特許第6144522号(P6144522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144522
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】温調装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/613 20140101AFI20170529BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20170529BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20170529BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20170529BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20170529BHJP
【FI】
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/6554
   H01M10/6556
   H01M10/6568
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-76154(P2013-76154)
(22)【出願日】2013年4月1日
(65)【公開番号】特開2014-203535(P2014-203535A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】川口 達生
(72)【発明者】
【氏名】大塚 隆
(72)【発明者】
【氏名】本橋 季之
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 哲
【審査官】 早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0107663(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/078586(WO,A1)
【文献】 特開2010−258022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/60−10/667
H01M2/10
B60K11/02
B60L11/18
H05K7/20
H01L23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部材に熱的に当接する第1プレートと、前記第1プレートの下面に重ね合わされて第1プレートとの間に冷却媒体が流れる冷却空間を区画し、冷却媒体の流れ方向上流側の冷却媒体の入口と冷却媒体の流れ方向下流側の冷却媒体の出口とを、第1プレートに対面する底面にそれぞれ備える第2プレートと、からなる冷却部材と、
扁平状の管部材により形成されると共に扁平となった部位に前記冷却部材の第2プレートの冷却媒体の入口または出口に接続する接続口を備え、前記発熱部材が配置された前記冷却部材の第1プレートと対面する第2プレートに扁平となった部位を当接させて積層配置される温調回路への接続部材と、を備え
前記接続部材は、円筒状領域と、前記円筒状領域に対して流路断面を偏心させて扁平となった扁平状領域と、これら領域同士を接続する遷移領域とを含み、
前記偏平状領域は、前記円筒状領域以上の通路断面積であることを特徴とする温調装置。
【請求項2】
前記接続部材は、前記円筒状領域と、前記扁平状領域と、前記遷移領域とにより、L字状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の温調装置。
【請求項3】
前記冷却部材は、前記接続部材の前記円筒状領域の径寸法より扁平な寸法に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の温調装置。
【請求項4】
前記接続部材は、前記円筒状領域に対して偏心方向の内側となる前記扁平状領域の外表面を前記冷却部材の第2プレートに接触させて積層されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の温調装置。
【請求項5】
前記接続部材は、前記円筒状領域に対して偏心方向の外側となる前記扁平状領域の外表面を前記冷却部材の第2プレートに接触させて積層され、前記円筒状領域に対して偏心方向の内側となる前記扁平状領域の外表面を車両に設けたクロスメンバに臨ませていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の温調装置。
【請求項6】
前記接続部材の接続口は、前記冷却部材の冷却空間における冷却媒体の流れ方向とは交差する方向に配置されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の温調装置。
【請求項7】
前記冷却媒体の入口は、前記第1プレートに対面して開口するよう前記第2プレートに設けられていることを特徴とする請求項6に記載の温調装置。
【請求項8】
前記冷却媒体の入口および出口は、冷却空間における冷却媒体の流れ方向の上流端と下流端とに離間する位置において、当該流れ方向とは直交する方向内の同じ位置に配置していることを特徴とする請求項7に記載の温調装置。
【請求項9】
前記接続部材は、管部材の前記冷却部材と重なる領域の流路断面を偏心させつつ潰すことにより、前記円筒状領域と前記扁平状領域とを形成することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の温調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバッテリセルの集合体よりなる複数のバッテリモジュールの底面に熱的に当接して、複数のバッテリモジュールを内部に流れる冷却媒体により温調する温調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から複数のバッテリモジュールの底面に熱的に当接して、複数のバッテリモジュールを内部に流れる冷却媒体により温調する冷却部材を備えた蓄電装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、冷却容器の側面に管部材で形成した冷却媒体の流入口及び流出口を設け、この流入口及び流出口をポンプ・タンクおよびラジエータを備える温調回路に接続している。そして、温調回路と冷却部材との間で冷却媒体を循環させて、冷却部材を冷却することにより発熱するバッテリモジュールを底面より温調するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−156124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両に搭載する蓄電装置は、車両空間のデッドスペースとなる、例えば、リヤシートの下部などに配置される。このリヤシートの下部は、床面からの高さ寸法の制約から、上下方向寸法が制約されており、この部位に配置する蓄電装置の上下方向寸法も小さくする必要がある。
【0006】
しかしながら、上記従来例では、冷却部材に冷却媒体を供給排出する流入口及び流出口を構成する管部材を備えるが、冷却部材の厚さ寸法がこれら管部材の外形寸法より大きい構造となっている。このように冷却部材の厚さ寸法が大きい場合には、その上に配置されるバッテリモジュールを含めて、蓄電装置が大型化し、結果として、車室内の居住空間が狭くなる。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、厚さ寸法の小型化に好適な温調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、発熱部材としてのバッテリモジュールに熱的に当接する第1プレートと、第1プレートの下面に重ね合わされて第1プレートとの間に冷却媒体が流れる冷却空間を区画し、冷却媒体の流れ方向上流側の冷却媒体の入口と冷却媒体の流れ方向下流側の冷却媒体の出口とを、第1プレートに対面する底面にそれぞれ備える第2プレートと、からなる冷却部材を備える。そして、扁平状の管部材により形成されると共に扁平となった部位に冷却部材の第2プレートの冷却媒体の入口または出口に接続する接続口を備え、発熱部材が配置された冷却部材の第1プレートと対面する第2プレートに扁平となった部位を当接させて積層配置される温調回路への接続部材を備え、接続部材は、円筒状領域と、円筒状領域に対して流路断面を偏心させて扁平となった扁平状領域と、これら領域同士を接続する遷移領域とを含み、偏平状領域は、円筒状領域以上の通路断面積である。
【発明の効果】
【0009】
したがって、本発明では、冷却媒体を冷却部材に供給及び排出する入口及び出口接続部材を、扁平状の管路により形成し、冷却部材の下面に積層配置し、冷却媒体を冷却部材の下面から供給排出するようにしている。このため、入口及び出口接続部材の厚さ方向寸法を小さくできる。また、冷却部材の厚さ寸法も入口及び出口接続部材の径方向寸法に拘束されることなく設定でき、温調装置の厚さ方向寸法を小さくすることができる。結果として、蓄電装置の車両上下方向寸法を低く小型化でき、車室内の(後席)居住空間を広くできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態を適用する蓄電装置の概略構成図である。
図2】同じく蓄電装置の平面図である。
図3】蓄電装置の正面図である。
図4】蓄電装置の側面図である。
図5図2のA−A線による断面図である。
図6図2のB−B線による断面図である。
図7】温調装置の斜視図である。
図8】温調装置の平面図である。
図9図8に示す温調装置C−C線に沿う断面図である。
図10】カシメ構造の説明図である。
図11】温調装置の接続部材を含む断面図である。
図12】接続部材の構造及び冷却部材との結合状態を示す説明図である。
図13】接続部材の成形過程を示す説明図である。
図14】本発明の第2実施形態を適用する蓄電装置の分解状態を示す説明図である。
図15】第2実施形態を適用した蓄電装置の組立状態を示す説明図である。
図16図16のY矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の温調装置を各実施形態に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1に示すように、電気自動車の走行駆動源であるモータ・ジェネレータに給電する蓄電装置1は、車両の後席のシートクッション下面と車体フロアとの間に配置される。そして、蓄電装置1は、電力を蓄電する複数のバッテリモジュール2とこれらバッテリモジュール2の底面に熱的に接触する冷却部材4によりバッテリモジュール2を温調する温調装置3とから構成されている。なお、バッテリモジュール2の底面と冷却部材4との間に伝熱部材を設けて、冷却効率を高めるようにしても良い。
【0013】
温調装置3を構成する冷却部材4の内部は空間とされ、ラジエータ5、タンク6、ポンプ7を備える温調回路8と接続され、冷却媒体を、タンク6からポンプ7で汲上げて冷却部材4の入口に供給し、冷却部材4の内部空間を循環させ、冷却部材4の出口からラジエータ5を経由してタンク6に戻される。この循環により、冷却部材4を内部から冷却してバッテリモジュール2を底面から温調するようにしている。
【0014】
図2図6に示すように、蓄電装置1は、上方が開放した箱形のバッテリケース10内に収められている。以下の説明では、車両の前後方向を、単に「前後方向」車両の左右方向を、単に「左右方向」、車両の上下方向を、単に「上下方向」という。
【0015】
バッテリケース10は、後席下部に配置されるために、左右方向に長尺となり、前後方向に短尺となるやや扁平な箱状に形成されている。バッテリケース10内には、底板側に温調装置3が配置され、温調装置3の上に複数のバッテリモジュール2が配置される。
【0016】
温調装置3は平板状をなし、バッテリケース10の長手方向及び幅方向の壁面に対して、予め設定した所定間隔をもつ外形に形成され、バッテリケース10の底板の中央領域を覆うよう配置される。温調装置3の前後方向の端部は、左右方向の延びる固定領域21が形成されている。バッテリケース10の底板には、温調装置3の固定領域21に重なる部分に、上方へ突出するエンボスによる突起11が左右方向に適宜間隔をもって設けられている。温調装置3の固定領域21は、この突起11にボルト固定して取付られている。
【0017】
温調装置3の上面には、底面を接触させて複数のバッテリモジュール2がバッテリケース10長手方向に整列して配置される。複数のバッテリモジュール2は、バッテリケース10の長手方向両端の壁面から内方に向けて設けた支持部材12に、その整列方向両端部分が当接して、整列方向の位置決めがなされている。
【0018】
温調装置3は、図7図11に示すように、アルミニウム板をプレス加工した第1プレート22(アッパプレート)及び第2プレート23(ロアプレート)からなる冷却部材4と、第2プレート23の下面に固定した入口接続部材24A及び出口接続部材24Bと、により構成される。入口接続部材24A及び出口接続部材24Bは、夫々コネクタパイプ24Cを接続して備え、夫々のコネクタパイプ24Cの先端には、ラジエータ5、タンク6及びポンプ7が連なった温調回路8に接続される。
【0019】
第1プレート22は、図8に示すように、平面状に形成されている。そして、第1プレート22は、バッテリケース10に設けた突起に対してボルト固定される前後の固定領域21を備える。なお、図7,11に示す第1プレート22には、前後の固定領域21の図示を省略している。
【0020】
第2プレート23は、浅い皿状に形成されている。第2プレート23は、図8では破線で示されているが、第1プレート22の前後の固定領域21を除いた第1プレート22の領域を下側から覆う外形形状を備える。即ち、第2プレート23は、その周縁領域23Aと、長手方向(左右方向)に延びる複数(3本)のビード部25と、これらビード部25の延長上の各位置(6箇所)の突起部26とにより、第1プレート22に接触・当接する。そして、この接触する領域を除いた領域を、ブレス成形により下方に膨らませて皿状に形成される。
【0021】
複数のビード部25の両側には溝27が形成され、一方の複数(3箇所)の突起部26の周囲には冷却媒体の入口28を備えた入口側窪み29が形成され、他方の複数(3箇所)の突起部26の周囲には冷却媒体の出口30を備えた出口側窪み31が形成される。従って、第2プレート23上に第1プレート22を重ねて両者を一体化させた状態では、両者間に、一方の突起部26回りに入口側空間29Aが、他方の突起部26回りに出口側空間31Aが、夫々形成される。また、複数のビード部25の両側には、入口側空間と出口側空間とを連通させる複数(4本)の通路27Aが形成される。
【0022】
第2プレート23の各ビード部25の長手方向端部及び端部間の複数個所と各突起部26には、図9及び図10に示すように、第1プレート22と当接する面に、上下方向の貫通孔32が形成されている。また、これらの各貫通孔32に対応する第1プレート22の各位置には、下方へ突出する円筒状の突起33をバーリング加工により形成している。そして、第1プレート22の円筒状の各突起33を第2プレート23の各貫通孔32に挿入し、次いで各突起33を内側から拡径させて、突起33を貫通穴32内にハトメにようにカシメルことにより、第1プレート22と第2プレート23とが一体化される。このように、第1,2プレート22,23の中央領域を互いに結合することにより、冷却部材4の内部空間に流通する冷却媒体の圧力が上昇した場合であっても、冷却部材4の膨らみを抑制することができる。
【0023】
図11,12に示すように、入口側空間を構成する第2プレート23の下面には、入口接続部材24Aが取付けられて、その接続口35が入口28に接続されている。また、出口側空間を構成する第2プレート23の下面には、出口接続部材24Bが取付けられて、その接続口35が出口30に接続されている。入口及び出口接続部材24A,24Bは、コネクタパイプ24Cに接続される円筒状領域41と、円筒状領域41に対して流路断面を偏心させて扁平となった扁平状領域42と、これら領域同士を接続する遷移領域43とにより、L字状に形成されている。
【0024】
また、入口及び出口接続部材24A,24Bは、円筒状領域41に対して偏心方向の内側となる扁平状領域42の外表面を冷却部材4の第2プレート23に接触させて積層している。このため、円筒状領域41の一部を冷却部材4と上下方向の重なる領域に配置でき、入口及び出口接続部材24A,24Bを含めた温調装置3の高さ寸法を小さくすることができる。
【0025】
また、本実施形態では、入口接続部材24A及び出口接続部材24Bは、小径部及び大径部を備えた管部材を粗材とする。そして、小径部を円筒状領域41とし、管部材の大径部を下方に向かって潰すことにより、小径部に対して大径部を扁平としつつ偏心させて扁平状領域42とする。結果として、小径部(円筒状領域41)の前方且つ扁平状領域42の上方に、逃げ空間を形成している。また、大径部を潰すことにより扁平状領域42を形成するため、大径部で形成する扁平状領域42の通路断面積を小径部で形成する円筒状領域41の通路断面積と同等以上となるようにしている。このため、扁平状領域42を備えるものであっても、円筒状領域41から扁平状領域42への若しくは扁平状領域42から円筒状領域41への、冷却媒体の流動に対する抵抗を生じないようにしている。
【0026】
即ち、入口接続部材24A及び出口接続部材24Bは、図13(A)に示すように、小径部及び大径部を備えた管部材を粗材とし、図13(B)に示すように、管部材の大径部を上下面が扁平状となるよう潰す。次いで、図13(C)に示すように、扁平となった上面側に上方へ突出する円筒状の接続口35をバーリング加工により設け、図13(D)に示すように、バーリング加工の近傍を偏平状に成形し、更に、図12に示すように、先端側の開口部のみを閉塞するように潰して大径部の端部を閉じる。このように形成することにより、管部材から接続部材24を容易に形成することができる。
【0027】
そして、入口側空間29Aを構成する第2プレート23の下面に、接触状態で入口接続部材24Aを配置する。そして、第2プレート23に設けた入口28と入口接続部材24Aに上方へ突出する円筒状の接続口35とを嵌合させて、入口側空間29Aと入口接続部材24A内の空間とを連通させる。次いで、入口接続部材24Aの円筒状の接続口35を内側から拡径させて、接続口35を第2プレート23の入口28内にハトメにようにカシメルことにより、入口接続部材24Aと第2プレート23とが一体化される。
【0028】
同様に、出口側空間31Aを構成する第2プレート23の下面にも、接触状態で出口接続部材24Bを配置する。そして、第2プレート23に設けた出口30と出口接続部材24Bに上方へ突出する円筒状の接続口35とを嵌合させて、出口側空間31Aと出口接続部材24B内の空間とを連通させる。次いで、出口接続部材24Bの円筒状の接続口35を内側から拡径させて、接続口35を第2プレート23の出口30穴内にハトメにようにカシメルことにより、出口接続部材24Bと第2プレート23とが一体化される。
【0029】
以上の構成の温調装置3の組立においては、先ず、第2プレート23の下面に入口接続部材24A及び出口接続部材24Bの円筒状の接続口35を内側から拡径させて、接続口35を第2プレート23の入口28及び出口30の穴内にハトメにようにカシメる。これにより、入口接続部材24A及び出口接続部材24Bと第2プレート23とを一体化させる。次いで、第2プレート23に第1プレート22を被せて、第1プレート22の各円筒状の各突起33を第2プレート23の各孔32に挿入する。次いで各突起33を内側から拡径させて、突起33を穴32内にハトメのようにカシメルことにより、第1プレート22と第2プレート23とを一体化させる。
【0030】
以上のようにして組み上がった温調装置3は、第1プレート22と第2プレート23との間、第2プレート23と入口及び出口接続部材24A,24Bとのカシメ嵌合した接続口35部分に、隙間が存在し、このままでは、冷却媒体の液漏れが発生する。この液漏れを防止するために、組立前に各接合部にろう材を被覆させるか若しくは組み上がった温調装置3の各接合部にろう材を被覆させ、加熱炉を通過させることにより、第1プレート22・第2プレート23・入口及び出口接続部材24A,24Bを溶融ろうにより隙間無くブレージングすることにより、完成させる。
【0031】
なお、上記実施形態において、温調装置3として、複数のバッテリモジュール2の底面に熱的に接触してこれらバッテリモジュール2を底面から温調するものについて説明した。しかし、複数のバッテリモジュール2の側面若しくは上面に熱的に接触して、これらバッテリモジュール2を温調するものであってもよい。
【0032】
また、上記実施形態において、入口及び出口接続部材24A,24Bとして、管部材の一部を偏心させつつ潰して扁平状領域42を形成するものについて説明した。しかし、円筒状領域41、扁平状領域42、遷移領域43を夫々別々に形成して溶接などにより結合するものであってもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、発熱部材として、蓄電装置の複数のバッテリモジュールを温調するものについて説明したが、発熱部材であれば、他の要素、機器にも適用できるものである。
【0034】
以上の構成の本実施形態の温調装置3では、発熱部材としてのバッテリモジュール2に熱的に当接する第1プレート22と、第1プレート22の下面に重ね合わされて第1プレート22との間に冷却媒体が流れる冷却空間を区画し、冷却媒体の流れ方向上流側の冷却媒体の入口28と冷却媒体の流れ方向下流側の冷却媒体の出口30とを、第1プレート22に対面する底面にそれぞれ備える第2プレート23と、からなる冷却部材4を備える。そして、扁平状の管部材により形成されると共に扁平となった部位に冷却部材4の第2プレート23の冷却媒体の入口28または出口30に接続する接続口35を備え、発熱部材が配置された冷却部材4の第1プレート22と対面する第2プレート23に扁平となった部位を当接させて積層配置される温調回路8への接続部材24を備える。即ち、冷却媒体を冷却部材4に供給及び排出する入口及び出口接続部材24A,24Bを、扁平状の管路により形成し、冷却部材4の下面に積層配置し、冷却媒体を冷却部材4の下面から供給排出するようにしている。このため、入口及び出口接続部材24A,24Bの上下方向寸法を小さくできる。また、冷却部材4の厚さ寸法も入口及び出口接続部材24A,24Bの上下方向寸法に拘束されることなく設定でき、温調装置3の上下方向寸法を小さくすることができる。結果として、蓄電装置1の車両上下方向寸法を低く小型化でき、車室内の(後席)居住空間を広くできる。
【0035】
また、入口及び出口接続部材24A,24Bは、円筒状領域41と、円筒状領域41に対して流路断面を偏心させて扁平となった扁平状領域42と、これら領域同士を接続する遷移領域43とにより、L字状に形成されている。このため、接続部材24の扁平状領域42の高さ寸法のみが冷却部材4の高さ寸法に追加されるのみとでき、温調装置3の高さ寸法を小さくすることができる。
【0036】
また、冷却部材4は、入口及び出口接続部材24A,24Bの円筒状領域41の径寸法よりも扁平な寸法に形成されているため、冷却部材4の上下方向寸法も小さくすることができる。
【0037】
また、入口及び出口接続部材24A,24Bは、円筒状領域41に対して偏心方向の内側となる扁平状領域42の外表面を冷却部材4の第2プレート23に接触させて積層されている。このため、円筒状領域41の一部を冷却部材4と重なる領域に配置でき、入口及び出口接続部材24A,24Bを含めた温調装置3の高さ寸法を小さくすることができる。
【0038】
また、入口及び出口接続部材24A,24Bの接続口35は、冷却部材4の冷却空間における冷却媒体の流れ方向とは交差する方向に配置されている。このため、接続部材24から流入及び流出する冷却媒体は、入口接続部材24Aの流れ方向から冷却空間の流れ方向に方向変更され、冷却空間の流れ方向から出口接続部材24Bの流れ方向に方向変更される。この方向変更により、流入流出方向への流れを抑制して、冷却空間内における流量分布を均一化することができる。
【0039】
また、冷却媒体の入口28は、第1プレート22に対面して開口するよう第2プレート23に設けられている。このため、冷却空間に対して直交する車両上下方向の下方から上方に向かって冷却媒体が供給され、冷却媒体は、流れ方向が上向き方向から冷却空間を構成する平面方向へと流れ方向が変更される。この方向変更により、流入方向への流れを抑制して、冷却空間内における流量分布を均一化することができる。
【0040】
また、冷却媒体の入口28および出口30は、冷却空間における冷却媒体の流れ方向の上流端と下流端とに離間する位置において、当該流れ方向とは直交する方向内の同じ位置に配置している。このため、入口及び出口接続部材24A,24Bを冷却部材4に対して同じ態様で配置でき、接続する温調回路8への接続を容易とできる。
【0041】
また、入口及び出口接続部材24A,24Bは、管部材の冷却部材4と重なる領域の流路断面を偏心させつつ潰すことにより、円筒状領域41と扁平状領域42とを形成する。このため、接続部材24の形成を容易とできる。
【0042】
(第2実施形態)
図14図16は、本発明を適用した温調装置の第2実施形態を示し、図14は温調装置を適用する蓄電装置1を分解して示す説明図、図15は蓄電装置1装置を車体メンバに取付けた状態の説明図、図16図15のY矢視図である。本実施形態においては、温調装置をバッテリケースの下部に配置した構成を第1実施形態に追加したものである。なお、第1実施形態と同一装置には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0043】
図14において、本実施形態における蓄電装置1は、複数のバッテリモジュール2を左右方向に整列した状態で直接バッテリケース10に収納して備える。温調装置3は、バッテリケース10の底部に上面を接触させてバッテリケース10に取付けられている。温調装置3の冷却部材4は、第1実施形態と同様に形成されるが、第1プレート22の前後の固定領域21の図示を省略している。また、温調装置3の入口接続部材24A及び出口接続部材24Bは、第1実施形態と同様に、円筒状領域41と、円筒状領域41に対して流路断面を偏心させて扁平となった扁平状領域42と、これら領域同士を接続する遷移領域43とにより、L字状に形成されている。なお、バッテリモジュール2の底面と冷却部材4との間に伝熱部材を設けて、冷却効率を高めるようにしても良い。
【0044】
そして、本実施形態においては、入口及び出口接続部材24A,24Bは、円筒状領域41に対して偏心方向の外側となる扁平状領域42の外表面を冷却部材4の第2プレート23に接触させて積層され、円筒状領域41に対して偏心方向の内側となる扁平状領域42の外表面を車両に設けたクロスメンバ50に臨ませている。扁平状領域42の冷却部材4への取付けは、第1実施形態と同様の取付け方法を用いている。車体のクロスメンバ50は、前後方向位置に平面部51を備えたU字状断面を備えるものとなっている。
【0045】
そして、蓄電装置1を収容するバッテリケース10の下面を温調装置3の上面に接触させて両者をボルト等により固定する。入口及び出口の接続部材24A,24Bは、扁平状領域42がクロスメンバ50の前方の平面部51に臨んで配置される。
【0046】
本実施例では、入口及び出口接続部材24A,24Bは、円筒状領域41に対して偏心方向の外側となる扁平状領域42の外表面を冷却部材4の第2プレート23に接触させて積層され、円筒状領域41に対して偏心方向の内側となる扁平状領域42の外表面を車両に設けたクロスメンバ50に臨ませている。このため、入口及び出口接続部材24A,24Bの円筒状領域41と冷却部材4を支持するクロスメンバ50との干渉を避けることができる。また、冷却部材4の厚さ寸法も入口及び出口接続部材24A,24Bの上下方向寸法に拘束されることなく設定でき、温調装置3の上下方向寸法を小さくすることができる。従って、入口及び出口接続部材24A,24Bを含めた温調装置3のクロスメンバ50からの高さ寸法を小さくすることができる。結果として、蓄電装置1のクロスメンバ50からの車両上下方向寸法を低く小型化でき、車室内の(後席)居住空間を広くできる。
【符号の説明】
【0047】
1 蓄電装置
2 バッテリモジュール
3 温調装置
4 冷却部材
5 ラジエータ
6 タンク
7 ポンプ
8 温調回路
10 バッテリケース
11 突起
12 支持部材
21 固定領域
22 第1プレート
23 第2プレート
24 接続部材
28 入口
30 出口
35 接続口
41 円筒状領域
42 扁平状領域
43 遷移領域
50 クロスメンバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図16