特許第6144595号(P6144595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144595
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】火災受信機
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   G08B17/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-203505(P2013-203505)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-69448(P2015-69448A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坪川 克秀
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−184576(JP,A)
【文献】 特開昭62−231398(JP,A)
【文献】 特開平05−089383(JP,A)
【文献】 特開2006−048211(JP,A)
【文献】 特開2012−212381(JP,A)
【文献】 特開2008−242648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00−31/00
H04L 12/28
12/44−12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新端末機器と伝送線を介して信号伝送を行い該新端末機器の個別情報を収集する新端末伝送部と、該新端末伝送部と盤内通信線を介して盤内通信を行い該新端末伝送部が収集した前記新端末機器の状態を収集する新制御部を備えた火災受信機であって、
前記新端末機器と異なる信号伝送を行う旧端末機器と伝送線を介して信号伝送を行い、かつ前記新制御部と異なる盤内通信を行う旧制御部と盤内通信線を介して盤内通信を行い前記旧端末機器の個別情報を収集する旧端末伝送部と、
前記盤内通信線に接続され前記旧端末伝送部と前記新制御部とが通信可能に盤内通信を変換する盤内通信変換部とを備えたことを特徴とする火災受信機。
【請求項2】
前記盤内通信変換部は、前記旧端末機器の個別情報である火災や平常の状態情報を対応する前記新端末機器の個別情報である火災生成物の量に対応するコード信号であるアナログ情報に変換することを特徴とする請求項1に記載の火災受信機
【請求項3】
前記盤内通信変換部は、前記旧端末機器の個別情報である火災生成物の量に対応するコード信号であるアナログ情報を対応する前記新端末機器の個別情報である火災や平常の状態情報に変換することを特徴とする請求項1に記載の火災受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現在、建物に設置されている既存の火災報知設備を(以下、旧火災報知設備と呼ぶ)を新しい機器に交換して新しい火災報知設備(以下、新火災報知設備と呼ぶ)にリニューアルする場合に、設備全体の一部分のみ新設備に置き換わったときに、通信方式が異なる新端末機器および旧端末機器と通信を行うことができ、旧設備部分と新設備部分の両方において、火災監視ができる火災受信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災報知設備は、火災受信機にアドレスが割り付けられた火災感知器等の複数の端末機器が接続され、火災受信機はそのアドレスに基づいて端末機器を管理している。火災受信機は、端末機器と信号伝送を行い、端末機器から収集した個別情報に基づき、火災発生場所を警報したり、連動動作として火災発生場所に関連する場所に設置された連動機器であるベルを鳴動させたりして、火災の発生を報知する。また、火災受信機は、連動動作として火災発生場所に関連する場所に設置された連動機器である防火戸等の防排煙機器を制御して、煙の拡散を防いだり、火災の拡大を防いだりしている。
【0003】
従来の火災報知設備は、火災感知器が煙や熱量に基づき火災判定を行い、火災受信機は火災感知器からの個別情報として、平常情報や火災情報を収集し、その情報に基づき火災発生の判定をしていた(たとえば、特許文献1参照)。
近年の火災報知設備においては、火災受信機にて煙や熱の量(火災の程度)に応じて段階的に制御するベルの数や防排煙機器の数を増やしたり、煙や熱の量(火災の程度)の推移を火災受信機においてグラフ表示したりするために、火災受信機は火災感知器が検出した煙や熱量に対応したアナログ情報を収集しているものがある。このような火災報知設備は、所謂アナログ型と呼ばれ、アナログ情報に基づき火災受信機が平常や火災を判断している(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
上記のように、火災受信機と端末機器との通信において個別情報の内容が異なったり、通信の電圧が異なったりして、新(旧)火災受信機と旧(新)端末機器が接続できない場合には、次のように、火災の監視が途切れないように新火災報知設備へのリニューアル工事を行っていた。
旧火災報知設備を稼働させたまま旧火災報知設備に並列に全ての新火災報知設備を設置し、新火災報知設備設置の稼働後に旧火災報知設備を撤去して、一括で設備を変更する一括切換工事を行う。
または、旧火災報知設備を稼働させたまま旧火災報知設備に並列に一部の新火災報知設備を設置し、新火災報知設備の一部の稼働後に、その部分の旧火災報知設備を撤去して、段階的に設備を変更する分割切換工事を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−273082号公報
【特許文献2】特開2006−351048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、リニューアル工事において一括切換工事を行う場合には、新火災報知設備の火災受信機および端末機器の全ての設置スペースを新たに確保する必要があった。分割切換工事を行う場合は、切り換える部分の端末機器の設置スペースを確保すれば良いが、一括切換工事か分割切換工事かに関わらず火災受信機については新旧を並列に設置しなければならないという問題があった。
また、分割切換工事においては、旧(新)火災報知設備が監視している場所で火災が発生したときに、その場所に関連する場所に設置された連動機器が新(旧)火災報知設備に接続されていて連動動作ができないということがないように関連する端末機器を同時に切り換えなければならないので、工事に手間がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る火災受信機は、新端末機器と伝送線を介して信号伝送を行い新端末機器の個別情報を収集する新端末伝送部と、新端末伝送部と盤内通信線を介して盤内通信を行い新端末伝送部が収集した新端末機器の状態を収集する新制御部を備えた火災受信機であって、新端末機器と異なる信号伝送を行う旧端末機器と伝送線を介して信号伝送を行い、かつ新制御部と異なる盤内通信を行う旧制御部と盤内通信線を介して盤内通信を行い旧端末機器の個別情報を収集する旧端末伝送部と、盤内通信線に接続され旧端末伝送部と新制御部とが通信可能に盤内通信を変換する盤内通信変換部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る火災受信機の盤内伝送変換部は、旧端末機器の個別情報である火災や平常の状態情報を対応する新端末機器の個別情報である火災生成物の量に対応するコード信号であるアナログ情報に変換することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る火災受信機の盤内伝送変換部は、旧端末機器の個別情報である火災生成物の量に対応するコード信号であるアナログ情報を対応する新端末機器の個別情報である火災や平常の状態情報に変換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、新旧2台の火災受信機を並列に設置することなく、新火災報知設備への切換工事を行うことができる。また、連動動作等の端末機器の関連に制約されずに切換工事を行うことができるので、工事の計画が立てやすく、工事が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係る火災受信機を含むリニューアル中の火災報知設備の一例を示す概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る旧火災報知設備の一例を示す概略構成図である。
図3】本発明の実施の形態に係る新火災報知設備の一例を示す概略構成図である。
図4】本発明の実施の形態に係る旧データベースの一例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係る新データベースの一例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係る変換データベースの一例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態1に係る火災受信機を含むリニューアル中の火災報知設備の一例を示す概略構成図である。
図8】本発明の実施の形態2に係る火災受信機を含むリニューアル中の火災報知設備の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態1である盤内通信変換ユニット30を使用して、図2に示す旧火災報知設備100を、図3に示す新火災報知設備200にリニューアルしている途中の状態である切換工事中の火災報知設備110を示すブロック図である。
【0013】
図2に示す旧火災報知設備100は、旧火災受信機10から伝送線13が延設され、伝送線13には建物(例えば、ホテル、マンションなどの集合住宅、オフィスビル、商業施設など)の各部屋や共用部などに設置される端末機器である旧端末機器Kが接続されている。旧端末機器Kは、煙や熱等によって火災を検出する火災感知器や旧火災受信機10からの制御により動作する被制御機器である火災を報知するベルや防火戸等の火災の拡大を防ぐ防排煙機器である。
【0014】
ここで、旧端末機器Kの1つである火災感知器は、煙や熱の量を設定されている閾値と比較することで火災感知器において火災の判断を行っている。火災感知器は、火災の検知しやすさである感度の違いにより設定される閾値が異なり、火災感知器では、感度動作の違いによって1種から3種までの3つの種別に区分されている。例えば、火災感知器が煙火災感知器であれば、一般的な部屋には閾値が煙濃度10%に設定されている2種の感度のものが設置され、エレベータなどの煙の早期発見が必要な部分では、閾値が煙濃度5%に設定されている1種の感度のものが設置される。防排煙機器の連動用としては、火災の初期に動作してしまっては避難を阻害するため、煙濃度がより高くならければ動作しないように閾値が煙濃度15%に設定されている3種の感度のものが設置される。
熱火災感知器においても、例えば、1種の感度の閾値は温度65℃、2種の感度の閾値は温度70℃、3種の感度の閾値は75℃に設定されている。
【0015】
図2においては、火災受信機10から伝送線13が3本延設されており、それぞれ13A、13B、13Cとする。伝送線13A、13B、13Cのそれぞれを、系統A、B、Cと呼称し、それぞれの系統に接続されている旧端末機器Kは、「K」の後に系統名およびその系統において一意的なアドレス番号を付与して呼称する。例えば、系統Aに接続されるアドレス2の旧端末機器Kは、KA2と呼称する。
なお、本実施の形態1では、旧火災受信機10から延設される伝送線13を3系統(3本)として説明するがこれに限定されるものではなく、3系統とは別の系統数にしても良い。
【0016】
旧火災受信機10は、旧制御部11と旧端末伝送部12で構成されている。
旧端末伝送部12は、1つの系統に接続された旧端末機器Kと信号伝送を行っており、系統の名称に合わせて、それぞれ12A、12B、12Cと呼称する。
旧端末伝送部12は、伝送線13を介してアドレス信号とともに命令信号を送信して、それを受信した旧端末機器Kは、送信されたアドレス信号が自己のアドレスである場合には、命令信号に従って動作する。旧端末機器Kは、命令信号が個別情報の返送命令であれば、自己のアドレスを指定するアドレス信号とともに、自己が判断した火災または平常の状態情報を個別情報として返送する。また旧端末機器Kは、命令信号が制御命令であれば、それに従った制御を行う。
【0017】
旧制御部11は、旧端末伝送部12と盤内通信線14を介して盤内通信を行い、旧端末伝送部12A〜12Cのそれぞれに対して、旧端末機器Kの個別情報の送信命令を順番に送信し、旧端末伝送部12A〜12Cが収集した旧端末機器Kの個別情報を収集する。また、旧制御部11は、旧端末機器Kの情報を管理する旧データベース15を有している。図4は旧データベース15の一例を示す図であり、旧データベース15には、旧端末機器Kが接続されている「系統」、「アドレス番号」、「端末機器種類」および「連動データ」とが関連付けて格納されている。
【0018】
「端末機器の種別」は、「系統」、「アドレス番号」で特定される旧端末機器Kの種類が煙や熱等の火災感知器であるか、ベルや防火戸等の被制御機器であるかを示すものである。「連動データ」は、火災感知器が個別情報として火災情報を返送したときに、どの旧端末機器Kを制御して連動動作させるかが登録されている。例えば、図4において、「系統」Aの「アドレス番号」01の火災感知器が火災情報を返送してきた場合には、旧制御部11は、「系統」Aの「アドレス番号」04の「端末機器種類」ベルと「系統」Aの「アドレス番号」05の「端末機器種類」防火戸の2つを連動動作させる。連動動作は、旧端末機器Kへの制御命令が、旧制御部11から盤内通信で旧端末伝送部12へ送信され、旧端末伝送部12から旧端末機器Kへと送信されて行われる。
【0019】
図3に示す新火災報知設備200は、旧火災報知設備100と同様に新火災受信機20から伝送線13が延設され、伝送線13には端末機器である新端末機器Fが接続されている。新端末機器Fは、旧端末機器Kと同様に火災感知器や被制御機器であるベルや防排煙機器である。
【0020】
ここで、新端末機器Fの火災感知器は、旧火災報知設備100の火災感知器とは異なり、自身で火災判断は行わず、煙や熱の火災生成物の量に対応するコード信号であるアナログ情報を新火災受信機20へ返送するものである。
【0021】
図3においては、新火災受信機20から系統A、B、Cの3本の伝送線13が延設されており、それぞれの系統に接続されている新端末機器Fは、「F」の後に系統名およびその系統において一意的なアドレス番号を付与して呼称する。
【0022】
新火災受信機20は、新制御部21と新端末伝送部22で構成されている。
新端末伝送部22は、1つの系統に接続された新端末機器Fと信号伝送を行っており、系統の名称に合わせて、それぞれ22A、22B、22Cと呼称する。
新端末伝送部22は、旧火災報知設備100と同様にアドレス信号に基づき新端末機器Fとの信号伝送を行い、新端末機器Fから個別情報を収集したり、新端末機器Fに制御を行わせたりしている。
【0023】
新制御部21は、新端末伝送部22と盤内通信線14を介して盤内通信を行い、新端末伝送部22A〜22Cのそれぞれに対して、新端末機器Fの個別情報の送信命令を順番に送信し、新端末伝送部22A〜22Cが収集した新端末機器Fの個別情報を収集する。また、新制御部11は、新端末機器Fの情報を管理する新データベース25および新端末機器Fの個別情報に基づき火災を判定する火災判定部26を有している。
【0024】
図5は新データベース25の一例を示す図であり、新データベース25は、「種別」を除き旧データベース15と同じ内容である新端末機器Fが接続されている「系統」、「アドレス番号」、「端末機器種類」および「連動データ」とが関連付けて格納されている。
新データベース25において、旧データベース15に格納されていない「種別」は、旧端末機器Kの火災感知器で区分されていた1種から3種の3つの種別の区分を設定するものである。
【0025】
火災判定部26は、新端末機器Fから収集された個別情報にアナログ情報を検出すると、アナログ情報を返信した新端末機器Fの「系統」、「アドレス番号」に関連付けられた「端末機器種類」および「種別」を新データベース25から読み出す。火災判定部26は、「端末機器種類」および「種別」に基づく閾値とアナログ情報とを比較し、火災か否かを判定する。
新制御部21は、火災判定部26が火災と判定すると新データベース25の「連動データ」に従い連動命令を送信し、新端末機器Fを連動動作させる。
【0026】
次に図1の盤内通信変換部30について説明する。
盤内通信変換部30は、変換データベース31(盤内通信変換部30Cにのみ図示する)を有し、盤内通信線14に接続され、新制御部21と旧端末伝送部12の盤内通信の変換あるいは旧制御部12と新端末伝送部22の盤内通信の変換を行う。
図6は変換データベース31の一例を示す図であり、変換データベースは、新データベース25から「系統」および「連動データ」を除いたものとなっている。
【0027】
次に旧火災報知設備100から新火災報知設備200にリニューアルする動作について説明する。
図1は、旧火災報知設備100において、旧端末機器Kをそのままにして、旧火災受信機10の代わりに新火災受信機20に盤内通信変換部30を用いて旧端末機器Kが接続されている状態を示すリニューアル中の火災報知設備110の図である。
【0028】
旧火災報知設備100において、旧火災受信機10を撤去してその代わりに新火災受信機20を設置し、旧火災受信機10から取り外した旧端末伝送部12を盤内通信変換部30を介して盤内通信線14に接続する。この場合、盤内通信で旧端末伝送部12から新制御部21に返送される個別情報である火災情報や平常情報の状態情報は、盤内通信変換部30によって、変換データベース31の「端末機器種別」および「種別」に基づきアナログ情報に変換され新制御部21に返送される。
【0029】
盤内通信変換部30で行われる変換について、「アドレス番号」3を例に具体的に説明する。盤内通信変換部30は、新制御部21から送信された「アドレス番号」3の個別情報送信命令に対する旧端末伝送部12の返送信号を受信し、個別情報が火災情報であるか平常情報であるか判定する。このとき盤内通信変換部30は、変換データベース31から「アドレス番号」3の「端末機器種類」が煙火災感知器であることを認識し、個別情報のデータを解析している。盤内通信変換部30は、変換データベース31の「種別」が2種であるため火災判定の閾値を煙濃度10%と認識する。
【0030】
盤内通信変換部30は、個別情報が平常情報であれば、新制御部21が「アドレス番号」3の個別情報を火災と判断しない10%未満である例えば3%に対応するアナログ情報を新制御部21に対して返送する。また、盤内通信変換部30は、個別情報が火災情報であれば新制御部21が火災と判断する10%以上である例えば12%に対応するアナログ情報を新制御部21に対して返送する。
【0031】
図7は、伝送線13Aに接続されていた旧端末機器Kの代わりに新端末機器Fが接続されている状態を示すリニューアル中の火災報知設備120の図である。
図7に示すように、新しい伝送線13Aに系統Aの全ての新端末機器Fを設置した後に旧端末伝送部12Aに接続されていた古い伝送線13Aを切断し、新しい伝送線13Aを新端末伝送部22Aに接続する。このように、旧端末機器Kを新端末機器Fに系統毎に順次切り換えていき、切り換えた場所から盤内通信変換部30、旧端末伝送部12、旧端末機器Kおよび伝送線13を撤去して旧火災報知設備100を新火災報知設備200にリニューアルを行う。
【0032】
なお、リニューアル中の火災報知設備において、新制御部21は、盤内通信変換部30により、旧端末機器Kの個別情報が新端末機器Fからの個別情報として変換されているため、個別情報が閾値以上のアナログ情報である場合には、火災を検出して新火災報知設備200と同様に連動動作を行う。
【0033】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について図面に基づき説明する。
実施の形態1においては、火災受信機を先行して切り換えてから端末機器を切り換える方法について説明したが、実施の形態2においては、端末機器を先行して切り換えてから火災受信機を切り換える方法について説明する。
図8は、本発明の実施の形態2である盤内通信変換ユニット30を使用して、図2に示す旧火災報知設備100を、図3に示す新火災報知設備200にリニューアルしている途中の状態である切換工事中の火災報知設備210を示す図である。
【0034】
旧火災報知設備100において、旧火災受信機10に新端末伝送部22を盤内通信変換部30を介して盤内通信線14に接続する。さらに、新端末機器Fを設置して旧端末機器Kを取り外し、伝送線13を新端末伝送部22に接続する。図8は、系統Cの旧端末機器Kを新端末機器Fに切り換えた状態を示している。系統AおよびBについても旧端末機器Kを新端末機器Fに切り換えていき、全ての端末機器の切り換えが終わった後に、旧火災受信機10を新火災受信機20に切り換えて旧火災報知設備100を新火災報知設備200にリニューアルを行う。
【0035】
リニューアル中の火災報知設備210においては、盤内通信で新端末伝送部22から旧制御部11に返送される個別情報であるアナログ情報は、盤内通信変換部30によって、変換データベース31の「端末機器種別」および「種別」に基づき火災情報や平常情報に変換され新制御部21に返送される。
【0036】
盤内通信変換部30で行われる変換について、「アドレス番号」3を例に具体的に説明する。盤内通信変換部30は、旧制御部11から送信された「アドレス番号」3の個別情報送信命令に対する新端末伝送部22の返送信号を受信し、アナログ情報が火災か否かを判定する。このとき盤内通信変換部30は、変換データベース31から「アドレス番号」3の「端末機器種類」が煙火災感知器であることを認識し、「種別」が2種であるため火災判定の閾値を煙濃度10%と認識し、アナログ情報との比較を行う。
【0037】
盤内通信変換部30は、アナログ情報が閾値以上であれば、個別情報として火災情報を旧制御部11に対して返送する。また、盤内通信変換部30は、アナログ情報が閾値未満であれば、個別情報として平常情報を旧制御部11に対して返送する。
【0038】
なお、リニューアル中の火災報知設備において、旧制御部11は、盤内通信変換部30により、新端末機器Fの個別情報が旧端末機器Kからの個別情報として変換されているため、個別情報が火災情報である場合には、旧火災報知設備100と同様に連動動作を行う。
【0039】
以上のように本実施の形態1および2に係る火災報知設備によれば、新旧2台の火災受信機を並列に設置することなく、新火災報知設備への切換工事を行うことができる。また、接続されている端末機器が旧端末機器Kであるか新端末機器Fであるかに関わらず連動動作を行うことができるため連動動作等の端末機器の関連に制約されずに切換工事を行うことができるので、工事の計画が立てやすく、工事が容易である。
【0040】
なお、本実施の形態1および2において、系統毎に端末機器全ての設置が終わった後に端末機器の切り換えを行う方法について説明したが、端末機器1台ずつ切り換えても良い。例えば、実施の形態1において、系統Aの「アドレス番号」2の旧端末機器Kを新端末機器Fに切り換えた場合には、新制御部21からの「アドレス番号」2の個別情報の返送命令に対しては、新端末伝送部22Aが返送する。そして、その他の端末機器の個別情報の返送命令に対しては、盤内通信変換部30Aが返送する。
【0041】
また、盤内通信変換部30は、火災情報または平常情報をアナログ情報に変換する、あるいはその逆変換を行う、つまりデータを変換するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、盤内通信の信号電圧が旧火災報知設備100と新火災報知設備200で異なる場合には、信号電圧も適合する電圧に変換しても良い。また、火災感知器以外の被制御機器の個別情報についても変換を行うようにしても良い。また、盤内通信の信号フォーマットが異なる場合には、適合するフォーマットに変換するようにしても良い。
【0042】
また、盤内通信変換部30は、火災受信機先行切り換えとして火災情報等をアナログ情報にデータ変換するのか、端末機器先行切り換えとしてアナログ情報を火災情報等にデータ変換するのかをスイッチにて設定できるようにしても良いし、変換データベース31に設定データを登録するようにしても良い。また、盤内通信変換部30は、接続されている制御部の新旧および端末伝送部の新旧を盤内通信から判断して、自動的にデータ変換の方法を設定するようにしても良い。
【0043】
また、個別情報として火災情報等を収集する火災報知設備をアナログ情報を収集する火災報知設備にリニューアルする方法について説明したが、逆にアナログ情報を収集する火災報知設備から火災情報等を収集する火災報知設備にリニューアルするようにしても良い。
【符号の説明】
【0044】
100 旧火災報知設備、200 新火災報知設備、110、120、220 リニューアル中の火災報知設備、K 旧端末機器、10 旧火災受信機、11 旧制御部、12 旧端末伝送部、13 伝送線、14 盤内通信線、15 旧データベース、F 新端末機器、20 新火災受信機、21 新制御部、22 新端末伝送部、25 新データベース、
26 火災判定部、30 盤内通信変換部、31 変換データベース、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8