(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カラオケ楽曲の各歌唱区間において、歌詞の先頭語が特定の子音で始まるとともに、当該歌唱区間の直前に連続して非歌唱区間が存在する場合に、歌唱採点値を修正することが可能な歌唱採点システムであって、
任意のカラオケ楽曲について、マイクロホンから入力された歌唱音声信号と採点リファレンスデータとを比較して歌唱採点値を算出する歌唱採点手段と、
前記カラオケ楽曲の歌詞テロップ情報に基づき、歌唱採点の対象となる歌唱区間であって子音が発生する子音採点区間及び当該子音採点区間における歌詞の先頭語を特定するとともに、前記歌詞テロップ情報及び採点リファレンスデータの少なくとも一方に基づき、前記特定した子音採点区間の直前に連続して非歌唱区間が存在するか否かを判定し、前記歌詞の先頭語が予め定めた特定の子音で始まる歌唱区間であって、直前に前記非歌唱区間が存在する特定歌唱区間を抽出する特定歌唱区間抽出手段と、
前記抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、前記マイクロホンから入力された歌唱音声信号からピッチ検出を行うピッチ検出手段と、
前記抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、前記ピッチ検出手段によりピッチを検出したか否かを判定するピッチ検出判定手段と、を備え、
前記歌唱採点手段は、各カラオケ楽曲について、前記抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、前記ピッチ検出判定手段によりピッチを検出したと判定された場合に、前記非歌唱区間においてピッチを検出したことに対する減点を行わずに修正歌唱採点値を算出する、
ことを特徴とする歌唱採点システム。
カラオケ楽曲の各歌唱区間において、歌詞の先頭語が特定の子音で始まるとともに、当該歌唱区間の直前に連続して非歌唱区間が存在する場合に、歌唱採点値を修正することが可能な歌唱採点システムであって、
任意のカラオケ楽曲について、マイクロホンから入力された歌唱音声信号と採点リファレンスデータとを比較して歌唱採点値を算出する歌唱採点手段と、
前記カラオケ楽曲の歌詞テロップ情報に基づき、歌唱採点の対象となる歌唱区間であって子音が発生する子音採点区間及び当該子音採点区間における歌詞の先頭語を特定するとともに、前記歌詞テロップ情報及び採点リファレンスデータの少なくとも一方に基づき、前記特定した子音採点区間の直前に連続して非歌唱区間が存在するか否かを判定し、前記歌詞の先頭語が予め定めた特定の子音で始まる歌唱区間であって、直前に前記非歌唱区間が存在する特定歌唱区間を抽出する特定歌唱区間抽出手段と、
前記抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、前記マイクロホンから入力された歌唱音声信号からピッチ検出を行うピッチ検出手段と、
前記抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、前記ピッチ検出手段によりピッチを検出したか否かを判定するピッチ検出判定手段と、を備え、
前記歌唱採点手段は、各カラオケ楽曲について、前記抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、前記ピッチ検出判定手段によりピッチを検出したと判定され、かつ前記特定歌唱区間における歌詞の先頭語の母音発音タイミングが、前記採点リファレンスデータとの比較において所定の範囲内である場合に、前記非歌唱区間においてピッチを検出したことに対する減点を行わずに修正歌唱採点値を算出する、
ことを特徴とする歌唱採点システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、マイクロホンから入力され、A/Dコンバータによりデジタル変換された歌唱音声信号と、ガイドメロディ等の歌唱採点用リファレンスデータとを比較することにより、歌唱採点値を算出することができる。しかし、カラオケ楽曲の各歌唱区間において、歌詞の先頭語が特定の子音を含む発音(例えば、マ行、ナ行、ヤ行、ワ行の単語)で始まるとともに、当該歌歌唱区間の直前に連続して非歌唱区間が存在する場合に、歌唱者が聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりするために、歌唱区間の先頭語の前に特定の子音「ン」を付加して歌唱を行うことがある。
【0007】
このような歌唱方法で歌唱を行った場合に、本来、ピッチを検出してはいけない非歌唱区間においてピッチを検出できてしまうことになり、従来の歌唱採点方法では、非歌唱区間においてピッチを検出したことにより歌唱採点値が減点されることになる。しかし、上述したように、非歌唱区間においてピッチを検出した場合であっても、聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりする歌唱方法であれば、このような歌唱方法を適切に評価する必要がある。また、聴者は、歌唱者が上手に歌唱していると感じるはずであり、歌唱採点値を減点したのでは、聴者の感覚と実際の歌唱採点との間に乖離を生じることになり、聴者に違和感を与えてしまう。
【0008】
具体的には、子音歌唱区間の先頭語が、「泣かないで」や「待ってて」という単語の場合に、歌唱者は、当該子音歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、「ン」を発音して、「ン泣かないで」、「ン待ってて」と歌唱することにより、聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりすることがある。しかし、上述したように、本来、ピッチを検出してはいけない非歌唱区間でピッチを検出した場合には、いわゆる先走り歌唱と判定されてしまい、減点対象となる。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、歌詞の先頭語が特定の子音で始まる子音歌唱区間の直前に連続して非歌唱区間が存在し、当該非歌唱区間においてピッチを検出した場合であっても、聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりする歌唱方法であれば、歌唱採点値に対する補正を行って、歌唱者及び聴者の双方がカラオケを楽しむことが可能な歌唱採点システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の歌唱採点システムは、上述した事情に鑑み提案されたもので、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明の歌唱採点システムは、カラオケ楽曲の各歌唱区間において、歌詞の先頭語が特定の子音で始まるとともに、当該歌唱区間の直前に連続して非歌唱区間が存在する場合に、歌唱採点値を修正することが可能な歌唱採点システムであって、歌唱採点手段と、特定歌唱区間抽出手段と、ピッチ検出手段と、ピッチ検出判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
歌唱採点手段は、任意のカラオケ楽曲について、マイクロホンから入力された歌唱音声信号と採点リファレンスデータとを比較して歌唱採点値を算出するための手段である。特定歌唱区間抽出手段は、カラオケ楽曲の歌詞テロップ情報に基づき、歌唱採点の対象となる歌唱区間であって子音が発生する子音採点区間及び当該子音採点区間における歌詞の先頭語を特定するとともに、歌詞テロップ情報及び採点リファレンスデータの少なくとも一方に基づき、特定した子音採点区間の直前に連続して非歌唱区間が存在するか否かを判定し、歌詞の先頭語が予め定めた特定の子音で始まる歌唱区間であって、直前に非歌唱区間が存在する
特定歌唱区間を抽出するための手段である。
【0012】
ピッチ検出手段は、抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、マイクロホンから入力された歌唱音声信号からピッチ検出を行うための手段である。ピッチ検出判定手段は、抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間においてピッチ検出手段によりピッチを検出したか否かを判定するための手段である。
【0013】
そして、歌唱採点手段は、各カラオケ楽曲について、抽出された特定歌唱区間の直前に連続する当該非歌唱区間において、ピッチ検出判定手段によりピッチを検出したと判定された場合に、当該非歌唱区間においてピッチを検出したことに対する減点を行わずに修正歌唱採点値を算出する。
【0014】
また、歌唱採点手段は、各カラオケ楽曲について、抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、ピッチ検出手段によりピッチを検出し、かつ特定歌唱区間における歌詞の先頭語の母音発音タイミングが、採点リファレンスデータとの比較において所定の範囲内である場合に、非歌唱区間においてピッチを検出したことに対する減点を行わずに修正歌唱採点値を算出する構成としてもよい。
【0015】
このような構成からなる歌唱採点システムでは、カラオケ楽曲の演奏に合わせて利用者が歌唱を行うと、マイクロホンから入力された歌唱音声信号をA/Dコンバータによりデジタル変換して、歌唱採点対象となる採点対象データを生成する。そして、歌唱採点手段により、所定の歌唱採点区間毎に、採点対象データと採点リファレンスデータとを比較して歌唱採点値を算出する。
【0016】
また、カラオケ楽曲の歌詞テロップ情報に基づき、歌唱採点の対象となる歌唱区間であって子音が発生する子音採点区間及び当該子音採点区間における歌詞の先頭語を特定する。また、歌詞テロップ情報及び採点リファレンスデータの少なくとも一方に基づき、特定した子音採点区間の直前に連続して非歌唱区間が存在するか否かを判定する。そして、歌詞の先頭語が予め定めた特定の子音で始まる歌唱区間であって、直前に非歌唱区間が存在する歌唱区間(以下、特定歌唱区間という)を抽出する。さらに、抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、マイクロホンから入力された歌唱音声信号からピッチ検出を行い、当該非歌唱区間においてピッチを検出したか否かを判定する。
【0017】
ここで、抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、ピッチ検出判定手段によりピッチを検出したと判定され、非歌唱区間においてピッチを検出したことに対する減点を行わない。さらに、抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、ピッチを検出した場合に、特定歌唱区間における歌詞の先頭語の母音発音タイミングが、採点リファレンスデータとの比較において所定の範囲内であれば、非歌唱区間においてピッチを検出したことに対する減点を行わないようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の歌唱採点システムによれば、歌詞の先頭語が特定の子音で始まる特定子音歌唱区間の直前に連続して非歌唱区間が存在する場合、当該非歌唱区間において、ピッチを検出した場合には、聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりする歌唱方法であるとして、非歌唱区間においてピッチを検出したことに対する減点を行わず、あるいは、さらに加点を行う。
【0019】
すなわち、歌唱者が敢えて通常の歌唱方法とは異なる歌唱方法であって、聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりしている場合には、このような歌唱方法に対する評価を行う必要がある。さらに、このような歌唱方法は、聴者にとってみても、上手に歌唱していると感じるものである。したがって、このような歌唱方法に対しては、歌唱採点値の減点を行わず、あるいは、さらに加点を行うことにより、聴者に違和感を与えることなく、歌唱者及び聴者の双方がカラオケを楽しむことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、本発明の歌唱採点システムの実施形態について説明する。
図1〜
図4は本発明の実施形態に係る歌唱採点システムを示すもので、
図1は歌唱採点システムを適用したカラオケシステムの構成を示すブロック図、
図2は歌唱採点方法(実施例1)を示す説明図、
図3は歌唱採点方法(実施例2)を示す説明図、
図4は母音発音タイミングの特定方法を示す説明図である。
【0022】
<歌唱採点システムの概要>
本発明の実施形態に係る歌唱採点システム10は、カラオケ楽曲の各歌唱区間において、歌詞の先頭語が特定の子音で始まるとともに、当該歌唱区間の直前に連続して非歌唱区間が存在する場合に、歌唱者が特定の歌唱方法で歌唱を行うと、歌唱採点値を修正して、聴者の感覚と実際の歌唱採点との間に乖離を生じさせず、歌唱者及び聴者の双方がカラオケを楽しむことを可能とするシステムである。この歌唱採点システム10は、
図1に示すようにカラオケシステム(カラオケ演奏装置20を含むシステム)に組み込まれてその機能を実現するものであり、歌唱採点機能の一部として構成される。
【0023】
本実施形態の歌唱採点システム10では、
図1に示すように、歌唱採点機能を実現するための機能手段として、歌唱採点手段37と、特定歌唱区間抽出手段38と、ピッチ検出手段39と、ピッチ検出判定手段40とを備えている。
【0024】
なお、以下の説明において、プログラムとは、RAM等に記憶され、CPU等のハードウェアで実行されることにより、その機能を発揮するソフトウェアだけではなく、同等の機能を発揮することが可能な論理回路も含む概念である。
【0025】
<カラオケ演奏装置>
本発明の実施形態に係る歌唱採点システム10を適用するカラオケ演奏装置20は、
図1に示すように、カラオケ本体21、スピーカ22、マイクロホン23、表示装置24、ミキシングアンプ25、カラオケリモコン装置26を備えている。また、カラオケ演奏装置20は、ルータ50及びデータ通信回線60を介して、管理サーバ70とネットワーク接続されている。
【0026】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置26は、ユーザインタフェース機能を備えており、ルータ50を介してカラオケ本体21とデータ通信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置26は、楽曲検索手段26aとして機能するプログラム、楽曲索引データベース26b、種々のデータを記憶するためのデータ記憶部26c、データの入出力を行うための入出力表示部26d等を備えている。このカラオケリモコン装置26に付帯するスイッチ類や、入出力表示部26dに表示される各種のアイコン等を操作することにより、選曲操作等が行われる。
【0027】
なお、カラオケ本体21にローカル送受信手段(図示せず)を設け、このローカル送受信手段とカラオケリモコン装置26との間で有線方式又は無線方式(例えば、赤外線通信)によりデータの送受信を行うようにしてもよい。さらに、利用者が所持する携帯情報端末(例えば、スマートフォン)等に、選曲プログラムをインストールすることにより、携帯情報端末に選曲装置としての機能を持たせ、管理サーバ70を経由して、携帯情報端末とペアリングしたカラオケ演奏装置20に対して選曲情報を送信するようにしてもよい。
【0028】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段26aは、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース26bを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース26bは、カラオケ演奏装置20で演奏に供されるカラオケ楽曲について、その属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・アーティスト名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【0029】
<マイクロホン>
マイクロホン23は、歌唱音声の入力を行うための装置である。マイクロホン23から入力された歌唱音声信号は、ミキシングアンプ25により、音楽再生制御手段41から送出される演奏音声信号とミキシングされると共に増幅され、スピーカ22へ出力される。なお、マイクロホン23からの音声入力信号は、A/Dコンバータ42によりデジタル変換され、歌唱採点手段37における歌唱採点等に使用される。
【0030】
<表示装置>
表示装置24は、カラオケ楽曲に関連した背景映像や歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0031】
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、
図1に示すように、ネットワーク送受信手段31、中央制御手段32、ROM33、RAM34、HDD35、予約管理手段36、特定歌唱区間抽出手段38、ピッチ検出手段39、ピッチ検出判定手段40、音楽再生制御手段41、A/Dコンバータ42、映像再生制御手段43を備えている。
【0032】
<ネットワーク送受信手段>
ネットワーク送受信手段31は、ルータ50及びデータ通信回線60を介して管理サーバ70、カラオケリモコン装置26、他のカラオケ演奏装置(図示せず)との間でデータの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。データ通信回線60は、データの送受信を行うことができればどのような回線であってもよいが、例えば、光回線、専用電話回線、一般電話回線、インターネット等を利用することができる。本実施形態では、光回線、専用電話回線、一般電話回線等の通信回線と、インターネットとを組み合わせて、データ通信回線60を構成している。
【0033】
<中央制御手段>
中央制御手段32は、カラオケ本体21を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM33等に記憶されたプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0034】
<ROM/RAM>
ROM33は、カラオケ本体21を構成する各機器を制御するためのプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM34は、プログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。
【0035】
本実施形態では、RAM34に、予約待ち行列34aが記憶されるようになっている。なお、予約待ち行列34aは、選曲予約されたカラオケ楽曲について、演奏順に楽曲IDを並べて構成されたデータテーブルであり、選曲予約者の利用者ID等、他の識別データが紐付けされている場合もある。また、RAM34に、歌唱採点値を記憶するようにしてもよい。
【0036】
<HDD>
HDD35は、大容量記憶装置として機能するもので、楽曲データベース35a、映像データベース35bが格納されている。なお、HDD35に替えて、あるいはHDD35と共に、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0037】
<楽曲データベース/映像データベース>
楽曲データベース35aは、演奏制御データ(MIDI規格のデータ)及び歌詞テロップ情報が同期されて構成される楽曲データと、歌唱採点に用いる採点リファレンスデータとが、楽曲IDと対応付けてそれぞれ構成されたデータベースである。演奏制御データは、各楽曲の演奏を制御するためのデジタルデータであり、歌詞テロップ情報は演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び色変わりデータを含んでいる。採点リファレンスデータは、歌唱採点手段37における歌唱採点において、マイクロホン23から入力された歌唱音声信号と比較することにより、歌唱採点値を算出するためのデータである。
【0038】
また、後に詳述するが、特定歌唱区間抽出手段38は、歌詞テロップ情報及び採点リファレンスデータに基づいて、子音を含む歌唱区間を特定し、さらに、その先頭語の子音の種類、直前に非歌唱区間が存在するか否か等に基づいて、特定歌唱区間を抽出する。すなわち、歌詞テロップ情報が存在せず、さらに、採点リファレンスデータにおいて無音状態が所定時間(所定秒数)以上存在する場合に、非歌唱区間であると判断することができる。
【0039】
映像データベース35bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0040】
<予約管理手段>
予約管理手段36は、任意の利用者が選曲予約する際に、当該選曲されたカラオケ楽曲の楽曲IDを含む予約待ち行列34aを作成して管理するためのプログラムからなる。すなわち、予約管理手段36は、利用者により楽曲検索手段26aの機能を用いて選曲された楽曲IDを演奏順に並べて予約待ち行列34aを作成し、この予約待ち行列34aをRAM34に格納して管理する。また、予約待ち行列34aに選曲者の利用者IDを含める場合には、利用者IDの取得が必要となる。
【0041】
利用者IDは、利用者IDカードに記憶された利用者IDをカードリーダにより読み取り、あるいは、カラオケリモコン装置26の入出力表示部26dを用いて入力された利用者ID及びパスワードに基づいて取得すればよい。さらに、利用者が携帯する携帯情報端末を用いて予約を行う機能を有する場合には、当該携帯情報端末の機器IDに紐付けされた利用者IDを取得してもよい。また、カラオケ演奏装置20を使用する際に、利用者に対して一時的に利用者IDを付与してもよい。
【0042】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段41は、楽曲IDに基づいて演奏データから抽出された演奏制御データに基づいて、音源データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ25に出力するための電子回路である。上述したように、ミキシングアンプ25は、マイクロホン23から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段41から送出される演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ22より出力するための装置である。
【0043】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段43は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース35bから抽出した背景映像データと、演奏データに含まれる歌詞テロップ情報に基づいて作成される歌詞文字とを、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させて表示装置24に出力する。
【0044】
<歌唱採点手段>
歌唱採点手段37は、マイクロホン23から入力された歌唱音声信号と採点リファレンスデータとを比較して歌唱採点値を算出するためのプログラムからなる。そして、歌唱採点手段37は、各カラオケ楽曲について、抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、ピッチ検出手段39によりピッチを検出した場合に、非歌唱区間においてピッチを検出したことに対する減点を行わずに修正歌唱採点値を算出する。
【0045】
また、歌唱採点手段37は、各カラオケ楽曲について、抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、ピッチ検出手段39によりピッチを検出し、かつ特定歌唱区間における歌詞の先頭語の母音発音タイミングが、採点リファレンスデータとの比較において所定の範囲内である場合に、非歌唱区間においてピッチを検出したことに対する減点を行わずに修正歌唱採点値を算出する構成としてもよい。
【0046】
抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、ピッチ検出手段39により連続してピッチを検出した場合とは、例えば、歌詞の先頭語が特定の発音(例えば、マ行、ナ行、ヤ行、ワ行の単語)で始まるとともに、当該歌唱区間の直前に連続して非歌唱区間が存在する場合に、歌唱者が聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりするために、歌唱区間の先頭語の前に特定の子音「ン」を付加して歌唱を行った場合のことをいう。
【0047】
例えば、子音歌唱区間の先頭語が、「泣かないで」や「待ってて」という単語の場合に、歌唱者は、当該子音歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、「ン」を発音して、「ン泣かないで」、「ン待ってて」と歌唱することにより、聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりすることがある。
【0048】
この場合、通常の歌唱採点方法では、非歌唱区間において「ン」の発音に対してピッチを検出してしまうため、いわゆる先走り歌唱であるとして、減点対象となる。しかし、「ン泣かないで」、「ン待ってて」という歌唱は、いわゆる先走り歌唱ではあるものの、歌唱者が聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりするための技巧を凝らした歌唱方法であるため、本発明の歌唱採点システムでは、減点を行わず、あるいは、さらにボーナス点を加点することにより、このような歌唱方法に対して有利な評価を行っている。
【0049】
<特定歌唱区間抽出手段>
特定歌唱区間抽出手段38は、カラオケ楽曲の歌詞テロップ情報に基づき、歌唱採点の対象となる歌唱区間であって子音が発生する子音採点区間及び当該子音採点区間における歌詞の先頭語を特定するとともに、歌詞テロップ情報及び採点リファレンスデータの少なくとも一方に基づき、特定した子音採点区間の直前に連続して非歌唱区間が存在するか否かを判定し、歌詞の先頭語が予め定めた特定の子音で始まる歌唱区間であって、直前に非歌唱区間が存在する
特定歌唱区間を抽出するためのプログラムからなる。
【0050】
なお、非歌唱区間であるか否かは、歌詞テロップ情報のみに基づいて判定可能な場合もあるが、より一層正確に非歌唱区間であるか否かを判定するためには、採点リファレンスデータを判定基準に含めることが好ましい。
【0051】
特定歌唱区間抽出手段38で抽出の基準となる歌詞の先頭語における特定の子音とは、例えば、マ行、ナ行、ヤ行、ワ行の単語であり、「待ってて」、「泣かないで」、「優しく」、「わかって」等のことである。このような歌詞が先頭語である場合には、聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりするために、「ン待ってて」、「ン泣かないで」、「ン優しく」、「ン解って」と、いわゆる先走り歌唱を行うことがある。そこで、特定歌唱区間抽出手段38は、このような特定歌唱区間を抽出する。
【0052】
また、本実施形態において、特定歌唱区間抽出手段38は、子音採点区間及び当該子音採点区間における歌詞の先頭後を特定する機能、特定した子音採点区間の直前に連続して非歌唱区間が存在するか否かを判定する機能、歌詞の先頭語が予め定めた特定の子音で始まる歌唱区間であって、直前に非歌唱区間が存在する歌唱区間を抽出する機能を併せ持った手段となっているが、各機能をそれぞれ独立させた別個の機能手段として構成してもよい。この場合には、カラオケ楽曲の歌詞テロップ情報に基づき、歌唱採点の対象となる歌唱区間であって子音が発生する子音採点区間及び当該子音採点区間における歌詞の先頭語を特定する子音歌唱区間特定手段と、歌詞テロップ情報及び採点リファレンスデータの少なくとも一方に基づき、特定した子音採点区間の直前に連続して非歌唱区間が存在するか否かを判定する非歌唱区間存在判定手段と、歌詞の先頭語が予め定めた特定の子音で始まる歌唱区間であって、直前に非歌唱区間が存在する歌唱区間を抽出する特定区間抽出手段とが、本実施形態の特定歌唱区間抽出手段38として機能する。
【0053】
<ピッチ検出手段>
ピッチ検出手段39は、抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、マイクロホンから入力された歌唱音声信号からピッチ検出を行うためのプログラムからなる。非歌唱区間では歌唱を行わないため、通常はピッチを検出することはない。また、子音歌唱区間では、子音の種類にもよるが、ピッチを検出できないことがある。反対に、母音はピッチを検出できるため、子音と母音とを区別することができる。なお、ピッチを検出できたか否かの判定において、例えば、入力された歌唱音声信号から規則的な波形(調波構造)を検出した場合に、ピッチを検出できたと判定することができる。
【0054】
<ピッチ検出判定手段>
ピッチ検出判定手段40は、抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、ピッチ検出手段39によりピッチを検出したか否かを判定するためのプログラムからなる。上述したように、非歌唱区間では歌唱を行わないため、通常はピッチを検出することはない。しかし、本発明では、聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりするために、各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、ピッチを検出してしまう「ン」等を発音した場合に、このような歌唱方法を適切に評価することを目的としてピッチを検出したか否かを判定する。
【0055】
<歌唱採点方法>
図2及び
図3を参照して、本発明の実施形態に係る採点方法を説明する。本発明の実施形態に係る歌唱採点方法は、各カラオケ楽曲について、抽出された各特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、ピッチ検出手段39によりピッチを検出した場合に、当該非歌唱区間においてピッチを検出したことに対する減点を行わずに修正歌唱採点値を算出する。さらに、減点を行わないだけではなく、ボーナス点を加算してもよい。一方、上述した条件を満足しない場合には、実際の歌唱採点値(減点された歌唱採点値)を採用する。
【0056】
<歌唱採点方法/実施例1>
実施例1の歌唱採点方法は、
図2に示すように、「泣かない」という単語が歌詞の先頭に存在する子音歌唱区間であって、当該子音歌唱区間の直前に連続して非歌唱区間が存在する場合に、いわゆる先走り歌唱をしているか否かを判定して歌唱採点値を修正する歌唱採点方法である。
【0057】
すなわち、一般的な歌唱では、子音歌唱区間において「NAKANAI・・・・」という発音がなされるはずである。しかし、聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりするために、当該特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、ピッチが検出される「N」を付加して「ン泣かない」と発音することにより、いわゆる先走り歌唱となった場合には、当該非歌唱区間においてピッチを検出したことに対する減点を行わずに、歌唱採点値を算出する。
【0058】
<歌唱採点方法/実施例2>
実施例2の歌唱採点方法は、
図3に示すように、「泣かない」という単語が歌詞の先頭に存在する子音歌唱区間であって、当該子音歌唱区間の直前に連続して非歌唱区間が存在する場合に、いわゆる先走り歌唱をしているか否かを判定して歌唱採点値を修正する歌唱採点方法である。
【0059】
すなわち、一般的な歌唱では、子音歌唱区間において「NAKANAI・・・・」という発音がなされるはずである。しかし、聴者に対してインパクトを与えたり、メロディを強調したりするために、当該特定歌唱区間の直前に連続する非歌唱区間において、ピッチが検出される「N」を付加して「ン泣かない」と発音することにより、いわゆる先走り歌唱となった場合には、特定歌唱区間における発音の時間軸情報を用いて、特定歌唱区間の先頭の「NA」の発音部分でピッチを検出可能な「A」の発音位置を特定するとともに、採点リファレンスデータにおける当該「A」の発音位置と比較を行い、両者の発音位置が所定の範囲(例えば、5msec以内)に収まっていれば、当該非歌唱区間においてピッチを検出したことに対する減点を行わずに、歌唱採点値を算出する。
【0060】
例えば、
図4に示すように、「NA」の時間経過に伴う波形データを参照することにより、「N」から「A」に変化するポイントが解り、当該ポイントにより「A」の発音位置を特定することができる。また、歌唱音声についてFFT分析を行うことにより、「A」の発音位置を特定することが可能な場合もある。なお、発音位置を比較する際の所定の範囲は、適宜変更して設定することができる。
【0061】
<他の実施形態>
本発明のシステム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよいし、複数の機能を統合した手段をそれぞれ単一の機能を有する複数の手段として構成してもよい。