特許第6144645号(P6144645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144645
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】天井用目地装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   E04B1/68 100A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-104853(P2014-104853)
(22)【出願日】2014年5月21日
(65)【公開番号】特開2015-218545(P2015-218545A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2015年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【審査官】 小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−036641(JP,A)
【文献】 特開2011−202428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地部を介して設けられた左右の建物の一方の建物の躯体に取り付けられ、その先端部が前記目地部の中央部の天井部分に位置し、略逆山形状あるいは略逆台形状中央支持体を下方へ回動できるように支持する、少なくとも2個以上の中央支持機構と、この少なくとも2個以上の中央支持機構を、中央支持体を通常時には目地部の中央部に位置させ、地震で目地部が狭くなると中央支持体を下方へ回動させる中央支持機構支持具と、先端部が前記少なくとも2個以上の中央支持機構の中央支持体の両先端部に支持されて水平状態となるように、後端部が前記左右の建物の躯体の天井部分の外壁に取付けられた左右の目地天井パネルと、この左右の目地天井パネルを通常時には水平状態に保つとともに、地震で目地部が狭くなると先端部を下方へ回動させる左右の目地天井パネル支持具とからなることを特徴とする天井用目地装置。
【請求項2】
左右の目地天井パネルの先端部の一方の上面には地震で目地部が狭くなると、該左右の目地天井パネルの先端部が係合して合掌状態を保つことができるストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1記載の天井用目地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の建物間に天井を設ける場合の天井用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の天井用目地装置は目地部の左右の躯体にヒンジ部材を介して、目地部を覆うように一対の天井目地パネルを設け、地震で目地部が狭くなる揺れ動き時に一対の天井目地パネルの先端部の傾斜面によって、上方あるいは下方へ回動して、その揺れ動きを吸収するように構成されている。
【0003】
このため、小さな左右方向の異なる揺れ動きは安全に吸収することができるが、目地部の左右方向の寸法の半分以上、左右の建物が地震で揺れ動いた場合、一方の天井目地パネルが左右の目地部側の躯体によって押し圧され、損傷するという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−124571号公報
【特許文献2】特許第4907614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、地震で異なる左右方向に大きく揺れ動いても損傷することなく、その揺れ動きをスムーズに吸収することができ、揺れ動きが停止すると自動的に元の状態に戻り、かつ左右の目地天井パネルの上面に大きな隙間がなくても設置することができる天井用目地装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の一方の建物の躯体に取り付けられ、その先端部が前記目地部の中央部の天井部分に位置し、略逆山形状あるいは略逆台形状中央支持体を下方へ回動できるように支持する、少なくとも2個以上の中央支持機構と、この少なくとも2個以上の中央支持機構を、中央支持体を通常時には目地部の中央部に位置させ、地震で目地部が狭くなると中央支持体を下方へ回動させる中央支持機構支持具と、先端部が前記少なくとも2個以上の中央支持機構の中央支持体の両先端部に支持されて水平状態となるように、後端部が前記左右の建物の躯体の天井部分の外壁に取付けられた左右の目地天井パネルと、この左右の目地天井パネルを通常時には水平状態に保つとともに、地震で目地部が狭くなると先端部を下方へ回動させる左右の目地天井パネル支持具とで天井用目地装置を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、地震で目地部が狭くなるように揺れ動くと、左右の目地天井パネルが少なくとも2個以上の中央支持機構の略逆山形状あるいは略逆台形状の中央支持体によって、先端部が下方へ回動して、その揺れ動きを吸収することができる。
したがって、左右の目地天井パネルがほぼ垂直状態になるまで下方へ回動するので、目地部の左右方向の寸法が半分以下になっても損傷することなく、その揺れ動きを吸収することができる。
(2)前記(1)によって、左右の目地天井パネルの先端部間に略逆山形状あるいは略逆台形状の少なくとも2個以上の中央支持機構の中央支持体が位置するので、隙間が生じることなく、美観の向上を図ることができる。
(3)前記(1)によって、地震での揺れ動きが停止すると、中央支持機構支持具、目地天井パネル支持具によって、スムーズに確実に元の状態へ戻すことができる。
(4)前記(1)によって、少なくとも2個以上の中央支持機構および左右の目地天井パネルが下方へ回動するので、左右の目地天井パネルの上方に大きな隙間がなくても作動させることができ、天井の上部に大きな隙間がなくても設置することができる。
(5)請求項2も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、ストッパーによって、目地部が地震で狭くなった場合、左右の目地天井パネルを合掌状態で正確に回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
図2】本発明を実施するための第1の形態の底面図。
図3図1の3−3線に沿う断面図。
図4図1の4−4線に沿う断面図。
図5】本発明を実施するための第1の形態の地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
図6】本発明を実施するための第1の形態の地震で目地部が広くなった状態の動作説明図。
図7】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
図8図7の8−8線に沿う断面図。
図9】本発明を実施するための第2の形態の地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
図10】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
図11図10の11−11線に沿う断面図。
図12図10の12−12線に沿う断面図。
図13図10の13−13線に沿う断面図。
図14】本発明を実施するための第3の形態の地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた左右の建物3、3間に天井4を設けた天井用目地装置で、この天井用目地装置1は前記左右の建物3、3の目地部2側の外壁面で、かつ天井部分よりも上部に複数本のアンカーボルト5等で固定され、躯体となる少なくとも2対以上の支持体6、6、6、6と、この2対以上の支持体6、6、6、6のうちの一方の建物3側に取付けられた支持体6、6に取り付けられ、その先端部が前記目地部2の中央部の天井部分に位置する略逆台形状の中央支持体7を下方へ回動できるように支持する、少なくとも2個以上の中央支持機構8、8と、この少なくとも2個以上の中央支持機構8、8を、前記中央支持体7を通常時には目地部2の中央部に位置させ、地震で目地部2が狭くなると、前記中央支持体7を下方へ回動させる中央支持機構支持具9、9と、先端部が前記少なくとも2個以上の中央支持機構8、8で支持されている中央支持体7の両先端部7a、7aに支持されて水平状態となるように、後端部が前記左右の建物3、3の天井部分の外壁躯体3a、3aに複数個のヒンジ部材10で取付けられた左右の目地天井パネル11、11と、この左右の目地天井パネル11、11を通常時には水平状態に保つとともに、地震で目地部2が狭くなると先端部が下方へ回動させる目地天井パネル支持具12、12と、前記左右の目地天井パネル11、11の一方の先端部の上面に固定された、地震で目地部2が狭くなると、該左右の目地天井パネル11、11の先端部が係合して合掌状態を保つことができるストッパー13とで構成されている。
【0012】
前記中央支持機構支持具9、9は少なくとも2個以上の中央支持機構8、8の先端部に一端部が取付けられ、他端部が前記支持体6、6の上端に取付けられた先端部を上方へ付勢する付勢スプリング14と、前記中央支持体7を前記左右の目地天井パネル11、11より上方へ回動するのを阻止する、少なくとも2個以上の中央支持機構8、8の中央部より先端部側に一端部が取付けられ、他端部が前記支持体6、6の下部側に取付けられたワイヤー15、15とで構成されている。
【0013】
前記左右の天井パネル支持具12、12は前記左右の天井パネル11、11が水平状態になったところで当接する、前記支持体6、6、6、6の下端部に形成されたストッパー片16、16、16、16と、このストッパー片16、16、16、16に当るように付勢する一端部が左右の天井パネル11、11の中央部よりも先端部寄りの部位に取付けられ、他端部が前記支持体6、6、6、6の先端部の上部寄りの部位に取付けられた付勢スプリング17、17、17、17とで構成されている。
【0014】
なお、最上階の部分の天井用目地装置1の上部には左右の建物3、3間の目地部2を覆う既存の屋上用目地カバー装置18が設置されている。
【0015】
上記構成の天井用目地装置1は、通常時には左右の建物3、3の天井部分間の目地部2には左右の天井パネル支持具12、12に支持され、ほぼ水平状態となる左右の天井パネル11、11と、中央支持機構支持具9、9に支持された前記中央支持体7が、前記左右の天井パネル11、11間に位置した状態で、図1に示すように覆われている。
【0016】
地震で左右の建物3、3が揺れ動き、目地部2が狭くなると、図5に示すように中央支持体7は中央支持機構支持具9、9によって通常時の状態を保つとともに、左右の天井パネル11、11の先端部が左右の天井パネル支持具12、12の付勢力に抗して中央支持体7の傾斜面7a、7aに沿って下方へ移動し、ストッパー片16に天井パネル11の先端部が当接し、合掌状態で下方へ回動して、その揺れ動きを吸収する。
【0017】
また、大きく目地部2が狭くなると、中央支持機構支持具9、9の付勢力に抗して下方へ回動して、その揺れ動きを吸収する。
【0018】
地震での揺れ動きが停止すると、左右の天井パネル支持具12、12の不勢力で元の状態へ自動的に戻る。
【0019】
地震で左右の建物3、3が揺れ動き目地部2が広くなると、図6に示すように左右の天井パネル11、11が左右の天井パネル支持具12、12によって水平状態を保って、中央支持体7より先端部が離れるように移動して、その揺れ動きを吸収する。
【0020】
このため、地震で目地部2が狭くなり、あるいは広くなるように揺れ動いても、中央支持体7、左右の天井パネル11、11が水平状態よりも上方に移動しないので、左右の天井パネル11、11よりも上方に大きな移動空間が不要で、屋上用目地カバー装置(既存のものを用いるので、図示せず)に衝突するような不具合は解消することができる。
【0021】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図7ないし図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
図7ないし図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、略逆三角形状の中央支持体7Aを用いるとともに、左右の建物3、3の目地部2側の外壁面に位置をずらして、少なくとも2対以上の支持体6、6、6、6を設けた点で、このように少なくとも2対以上の支持体6、6、6、6を設けることにより、地震で目地部2が狭くなっても、少なくとも2対以上の支持体6、6、6、6の先端部が衝突しないので、より大きな揺れ動きを吸収できる天井用目地装置1Aにすることができる。
【0023】
図10ないし図14に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、付勢スプリングの代わりにワイヤー19と重り20を用いた中央支持機構支持具9A、9Aと、付勢スプリングの代わりにワイヤー21と重り22を用いた左右の天井パネル支持具12A、12Aを用いた点で、このような中央支持機構支持具9A、9A、左右の天井パネル支持具12A、12Aを用いて構成した天井用目地装置1Bにしても、同様な作用効果が得られる。
【0024】
なお、中央支持機構支持具9A、9Aのワイヤー19、19は支持体6、6の上部に形成した透孔23、23を通過させた状態で重り20、20を付けて使用するとともに、左右の天井パネル支持具12A、12Aのワイヤー21、21は支持体6、6の上部に形成した透孔24、24を通過させた状態で重り22、22を取付けて使用する。
【0025】
また、重り20、20、22、22とワイヤー19、19、22、22が絡まないように離れた状態で位置させるとよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は天井用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0027】
1、1A、1B:天井用目地装置、
2:目地部、 3:建物、
4:天井、 5:アンカーボルト、
6:支持体、 7、7A:中央支持体、
8:中央支持機構、 9、9A:中央支持機構支持具、
10:ヒンジ部材、 11:目地天井パネル、
12、12A:目地天井パネル支持具、
13:ストッパー、 14:付勢スプリング、
15:ワイヤー、 16:ストッパー片、
17:付勢スプリング、 19:ワイヤー、
20:重り、 21:ワイヤー、
22:重り、 23:透孔、
24:透孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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