(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下側の前記蓄電モジュールは、前記上面から下方に延びる前記フレーム部材の側面に前記排出口が位置するように前記フレーム部材に固定されるとともに、前記排出口が前記側面に形成された前記排出スペースの第2連通孔と直接接続されることを特徴とする請求項1に記載の車載用電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0016】
(実施例1)
本発明の実施例1である車載用電源装置について説明する。本実施例の車載用電源装置1は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車などの車両に搭載され、走行用モータに電力を供給する電源装置として使用される。
【0017】
本実施例の車載用電源装置1は、例えば、後部座席の後方に位置するラゲッジスペースに搭載することができ、車両のフロアパネルPに固定することができる。ラゲッジスペース以外にも、乗員が乗車するスペースである車室内において、運転席や助手席などのシート下や後部座席のシート下などに車載用電源装置1を配置することもできる。
【0018】
図1は、本実施例の車載用電源装置1の側面図である。車載用電源装置1は、複数の電池モジュール10を含んで構成されている。本実施例では、車載スペースの効率化を図るため、上下に2つの電池モジュール(蓄電モジュールに相当する)10A,10Bが積層配置されている。なお、X軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交する軸である。本実施例では、垂直方向に相当する軸をZ軸としている。X軸、Y軸およびZ軸の関係は、他の図面においても同様である。
【0019】
Z方向上下に配置される各電池モジュール10A,10Bは、L字状のブラケット20を介してフレーム部材30に固定される。電池モジュール10A,10Bは、X方向に延びており、電池モジュール10A,10BのX方向端部(長手方向端部)の両側に、ブラケット20及びフレーム部材30がペアで配置されている。
【0020】
ブラケット20は、電池モジュール10A,10BのX方向端部両側から電池モジュール10A,10Bを挟み込むように配置される。ブラケット20は、Z方向に延びる固定部21と、固定部21の下端からX方向に延びる固定部22とを備える。電池モジュール10A,10Bは、固定部22から垂直に延びる固定部21に固定され、固定部22がフレーム部材30に固定される。
【0021】
フレーム部材30は、内部が中空に形成されており、車両のフロアパネルPに固定される。フレーム部材30は、X−Z平面視における断面形状が矩形であり、固定部22が上面31に固定される。電池モジュール10A,10Bとブラケット20との間の固定、及びブラケット20とフレーム部材30との間の固定は、例えば、溶接やボルト等の締結部材を用いた締結よって行うことができる。
【0022】
また、本実施例のブラケット20は、上下2段に積層して配置される各電池モジュール10A,10Bに対応して固定部22から垂直に延びるダクト部23を備えている。ダクト部23は、上下の電池モジュール10の各排出口19と、ガスを車外に排出するためのフレーム部材30の中空内部の排出スペースS2と、を連通させるためのダクトである。ダクト部23は、内部が中空に形成され、中空内部がガスの排出スペースS1として構成されている。
【0023】
ここで、
図2を参照して、本実施例の電池モジュール10について説明する。電池モジュール10は、複数の単電池(蓄電素子に相当する)11を有する。単電池11は、いわゆる円筒型電池であり、円筒状に形成された電池ケースの内部に発電要素が収容されている。単電池11としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタを用いることができる。
【0024】
図2に示すように、単電池11は、Z方向に延びており、単電池11の長手方向(Z方向)における両端には、正極端子11aおよび負極端子11bが設けられている。単電池11の外装である電池ケースは、ケース本体および蓋体によって構成することができ、円筒状に形成されたケース本体に発電要素を収容し、蓋体によって塞ぐことで単電池11を構成することができる。
【0025】
蓋およびケース本体の間には、絶縁材で形成されたガスケットが配置されている。蓋は、発電要素の正極板が電気的に接続されており、単電池11の正極端子11aとして用いられる。ケース本体は、発電要素の負極板が電気的に接続されており、単電池11の負極端子11bとして用いられる。本実施例では、Z方向において蓋(正極端子11a)と対向するケース本体の端面を、負極端子11bとして用い、Z方向両端において正極端子11a及び負極端子11bが位置している。
【0026】
電池モジュール10(10A,10B)を構成するすべての単電池11は、
図2に示すように、正極端子11aが上方に位置するように配置されている。すべての単電池11の正極端子11aは、同一平面内(X−Y平面内)において並んで配置されている。負極端子11bについても同様である。
【0027】
各単電池11は、保持部材であるホルダ12によって保持される。ホルダ12は、各単電池11が挿入される複数の開口部12aを有している。開口部12aは、単電池11の外周面に沿った形状(具体的には、円形状)に形成されており、単電池11の数だけ設けられている。ホルダ12は、例えば、アルミニウムなどの熱伝導性に優れた金属材や熱伝導性に優れた樹脂材で形成することができる。なお、ホルダ12の開口部12aおよび単電池11の間には、樹脂などの絶縁材によって形成された絶縁体を配置することができる。
【0028】
モジュールケース13は、X−Y平面内において、ホルダ12によって保持される複数の単電池11を囲む形状に形成されており、モジュールケース13の内側に複数の単電池11が収容される。モジュールケース13は、樹脂などの絶縁材で形成することができ、単電池11の正極端子11a側に位置する上面には、複数の開口部13aが形成されている。開口部13aは、単電池11の正極端子11a側の端部が挿入される。
【0029】
なお、モジュールケース13のX方向に沿う側面には、通風口としてスリットを複数設けることができる(不図示)。スリットは、所定の間隔を空けてモジュールケース13の側面それぞれに形成することができる。例えば、冷却風を一側面側のスリットから流入させる。冷却風は、電池モジュール10内をY方向に流れ、他側面のスリットから電池モジュール10外に流出させて単電池11を冷却することができる。
【0030】
単電池11の負極端子11b側の領域は、ホルダ12の開口部12aによって、X−Y平面内で位置決めされ、単電池11の正極端子11a側の領域は、モジュールケース13の開口部13aによって、X−Y平面で位置決めされる。単電池11の長手方向(Z方向)における両端が、ホルダ12及びモジュールケース13によってそれぞれ位置決めされており、X−Y平面内で隣り合う2つの単電池11が互いに接触してしまうことを防止している。
【0031】
本実施例の電池モジュール1は、
図2及び
図3に示すように、ホルダ12をベースに、単電池11の負極端子11b側の端部が各開口部12aに挿入され、各単電池11がホルダ12から上方に直立した状態で設けられる。そして、ホルダ12の開口部12aから露出した単電池11の各負極端子11b側には、バスバー14(第1バスバーに相当する)が設けられ、負極端子11bが接続部14a(第1接続部に相当する)と接続される。また、モジュールケース13の開口部13aから上方に露出した単電池11の正極端子11aには、バスバー15(第2バスバーに相当する)が設けられ、正極端子11aが接続部15a(第2接続部に相当する)と接続される。なお、
図2は、
図3のA−A断面図である。
【0032】
図2に示すように、接続部14aは、Z方向において負極端子11bと対向する位置に設けられており、負極端子11bおよび接続部14aは、溶接などによって接続することができる。負極バスバーであるバスバー14全体は、複数の各単電池11の負極の電荷を帯びている。
【0033】
複数の単電池11における各負極端子11bは、ホルダ12の下側端面に位置しており、開口部12aから露出する負極端子11bがバスバー14と接続される。バスバー14は、金属といった、導電性を有する材料で形成されている。バスバー14は、単電池11の各負極端子11bと接続される接続部14aを複数有しており、接続部14aは、X−Y平面において単電池11(負極端子11b)の数だけ設けられている。
【0034】
本実施例のバスバー14は、Z方向を厚み(板厚)方向とした平面状の板状部材をプレス打ち抜き加工することで形成することができ、単電池11(負極端子11b)の配列位置に対応する各位置に、複数の接続部14aが所定間隔を空けて形成されている(
図3参照)。バスバー14は、Z方向において複数の単電池11(負極端子11b)に対して所定距離離間して配置され、板状部材(基端部14b)からZ方向に突出した接続部14aが単電池11の負極端子11bに溶接接続される。
【0035】
本実施例のバスバー15の接続部15aは、Z方向において正極端子11aと対向する位置に設けられており、正極端子11aおよび接続部15aは、溶接などによって接続することができる。正極バスバーであるバスバー15全体は、複数の各単電池11の正極の電荷を帯びている。
【0036】
バスバー15は、バスバー14と同様に、平面状の板状部材をプレス加工することにより形成することができる。接続部15aは、板状部材(基端部15b)から単電池11の正極端子11aに向かって突出した形状に形成され、X−Y平面において単電池11(正極端子11a)の数だけ複数の接続部15aが所定間隔を空けて形成されている。
【0037】
バスバー15は、Z方向において複数の単電池11(正極端子11a)に対して所定距離離間して配置され、板状部材からZ方向に突出した接続部15aが単電池11の正極端子11aに接続される。
【0038】
本実施例の接続部15aは、単電池11の正極端子11aと電気的に接続される接続部であるとともに、所定値以上の電流が流れた際に溶断して単電池11(正極端子11a)との電気的な接続を遮断するヒューズとして用いられる。接続部15aは、例えば、バスバー14の接続部14aよりも幅が小さく形成され、溶断特性に対する上限電流値が低くなるように構成することができる。
【0039】
本実施例の複数の単電池11は、単電池11の正極端子11a(又は負極端子11b)の向きが、Z方向において同じ向きとなるように並んで配置されている。そして、負極端子11bそれぞれに対して1つのバスバー14が接続され、単電池11の正極端子11aそれぞれに対して1つのバスバー15が接続されることにより、複数の単電池11が電気的に並列に接続されている。なお、バスバー14,15の各接続部以外の領域は、絶縁フィルム等で覆うことができる。
【0040】
図3に示すように、電池モジュール10は、15本の各単電池11をバスバー14,15で並列に接続して1つの電池ブロックを構成し、各電池ブロックが直列に接続されている。X方向に並んで配置される一方の電池ブロックのバスバー14のリード部が、隣り合う他方の電池ブロックのバスバー15のリード部と接続されることで、各電池ブロックを直列に接続することができる。なお、すべての単電池11が並列に接続された電池ブロックで電池モジュールを構成することもできる。
【0041】
電池モジュール10の上面には、バスバー15を上方から覆うカバー部材16が設けられている。カバー部材16は、X−Y平面に延び、単電池11の正極端子11a(第2端部に相当する)が露出するモジュールケース13の上面全体を覆う形状に形成されている。カバー部材16は、例えば、モジュールケース13に固定することができ、モジュールケース13と同様に、樹脂等で形成することができる。
【0042】
一方、電池モジュール10の下面には、バスバー14を覆うカバー部材17が設けられている。カバー部材17も、X−Y平面に延び、単電池11の負極端子11bが露出するホルダ12の下面全体を覆う形状に形成されている。カバー部材17は、X−Y平面内に並ぶ単電池11の負極端子11b(第1端部に相当する)側を覆い、ガスの排出経路(排出スペース)S3を形成するための金属製の部材である。カバー部材17は、例えば、
図3に示すように、ホルダ12の側面に係止される係止部17aを備えることができる。係止部17aは、X−Y平面においてバスバー14を覆う蓋部17bの端部の一部をZ方向に延設して形成することができる。
【0043】
カバー部材17は、係止部17aによってホルダ12に固定されるとともに、
図3に示すように、X−Y平面においてZ方向を締結方向とする締結部17cを備え、締結部17cを介して締結部材によりホルダ12に固定されるように構成することができる。
【0044】
本実施例の単電池11は、
図2に示すように、単電池11内部で発生するガスを外部に排出するための排出弁11cが設けられている。排出弁11cは、負極端子11bを構成するケース本体の底部に設けることができる。排出弁11cは、例えば、破断弁であり、
図2に示すように、負極端子11bを構成するケース本体の底部に形成される溝111,112で構成することができる。ガスの発生によって高くなる単電池11の内圧に対して溝111,112からケース本体の底部が破断することで、内部のガスを単電池11の外部に排出することができる。
【0045】
電池モジュール10の下面において、バスバー14が配置される領域の周囲には、壁部18が設けられている。壁部18は、シール部であり、壁部18の端部は、カバー部材17の蓋部17bの内側と接触し、ホルダ12及びカバー部材17で構成される排出経路S3を密閉している。
【0046】
排出弁11cを介して単電池11内部から排出されたガスは、ホルダ12とカバー部材17の間の排出経路S3に流れ、Z方向において蓋部17bの内側に接触しながら、X方向に延びる排出経路S3の端部に設けられた排出口19に導かれる。このとき、カバー部材17を金属材で構成することで、排出口19まで流れる間に、高温状態のガスがカバー部材17と接触することで冷却され、排出口19から排出されるガスの温度を低減させることができる。
【0047】
排出口19は、ホルダ12の下面とカバー部材17との間に形成される排出経路S3のX方向端部、言い換えれば、複数の単電池11が並ぶ方向の電池モジュール10のX方向端部に設けられる。ホルダ12のX方向端部は、上方に凹んだ凹部19aが形成されている。凹部19aの下方がカバー部材17で覆われており、排出口19は、電池モジュール10のX方向端部においてY−Z平面内で開口し、排出経路S3と連通している。凹部19aは、
図3に示すようにホルダ12のX方向端部において略中央部位に形成されており、排出口19が電池モジュール10のX方向端部の略中央に位置している。
【0048】
排出経路S3は、電池モジュール10の長手方向(X方向)に延びており、排出口19が設けられる端部において、凹部19aによってZ方向の幅が広くなっている。1つの電池モジュール10のX方向端部両側に、排出口19がそれぞれ設けられている。
【0049】
図4は、上下段に積層された電池モジュール10A,10Bの固定構造を説明するための図であり、上下段の各電池モジュール10A,10B、ブラケット20及びフレーム部材30の構成斜視図である。
図5は、上下段に積層された電池モジュール10A,10Bの固定構造のB−B断面図である。なお、
図4及び
図5の例では、上下段に積層された電池モジュール10A,10BのX方向一端側の固定構造を示しており、X方向他端側の固定構造は、
図1に示したように同じであるため、省略している。
図7及び
図8についても同様である。
【0050】
図4に示すように、上下段に積層された2つの電池モジュール10A,10Bが一組のモジュールユニット(蓄電モジュールユニットに相当する)として構成され、2つのモジュールユニットがY方向に並んで配置される。1つのモジュールユニットは、各電池モジュール10A,10Bの長手方向が一致するように、Z方向上下に積層配置されている。このため、電池モジュール10A,10Bの各排出口19は、X方向端部に位置し、かつ上下に並んで位置している。
【0051】
また、隣り合うモジュールユニットにおいて、上側の各電池モジュール10A,10Aの各排出口19は、Y方向に並んで配置されている。下側の各電池モジュール10B,10Bの各排出口19も同様である。
【0052】
フレーム部材30は、1つのモジュールユニットの各排出口19が配置される端部に沿って延びており、ブラケット20の固定部22の下方に配置されている。フレーム部材30は、Y方向に長尺状に形成されており、電池モジュール10A,10Bの長手方向に対してフレーム部材30の長手方向が直交するように配置されている。
【0053】
図4及び
図5に示すように、ブラケット20は、固定部21が排出口19を覆うようにモジュールユニットのX方向端部に設けられる。固定部21には、Z方向に離間する開口部21a,21b(第1連通部、第2連通部に相当する)が設けられている。開口部21aは、1つのモジュールユニットの上側の電池モジュール10Aの排出口19に対応し、開口部21bは、下側の電池モジュール10Bの排出口19に対応している。ダクト部23は、排出口19から排出されるガスをフレーム部材30の排出スペースS2に導くための閉塞された排出スペースS1を形成する。排出スペースS1は、開口部21a,21bを介して上下の電池モジュール10A,10Bの各排出口19と連通している。開口部21a,21bは、ダクト部23と排出口19とを連通させる連通部である。
【0054】
ダクト部23は、上側の電池モジュール10Aの排出口19から下側の電池モジュール10Bの排出口19を介してフレーム部材30の上面31に向かって延びており、第2開口部21bよりも下方のダクト部23の一端が、固定部22に接続されている。
【0055】
固定部22には、ダクト部23の一端が接続される位置に、フレーム部材30の排出スペースS2と連通させるための開口部22aが形成されている。そして、フレーム部材30の上面31において、開口部22aが形成される位置に連通孔31aが形成されている。ダクト部23は、開口部22aを介して連通孔31aと接続され、排出スペースS1が開口部22a及び連通孔31aを介して排出スペースS2と連通するように構成されている。開口部22aは、ダクト部23とフレーム部材30の排出スペースS2とを連通させる連通部である。
【0056】
ダクト部23は、1つのブラケット20において、Y方向に隣接して配置されるモジュールユニット毎に複数設けることができる。つまり、本実施例のブラケット20は、隣接する2つのモジュールユニットに対して1つ設けられており、各モジュールユニットに対応する各ダクト部23,23が設けられている。1つのブラケット20は、Y方向に隣接する2つのモジュールユニットをフレーム部材30に固定する。
【0057】
1つのモジュールユニットの各電池モジュール10A,10Bは、ブラケット20の固定部21に固定される。具体的には、排出口19が設けられる領域を除くホルダ12及びカバー部材17の各端部が、ダクト部23が設けられる面と反対側の面に固定される。このとき、開口部21aと上側の電池モジュールの排出口19とがY−Z平面において一致しており、開口部21aと排出口19との接続箇所は、シール部材等でシールすることができる。開口部21bと下側の電池モジュール10Bの排出口19も同様であり、また、隣接する他方のモジュールユニットについても同様である。
【0058】
本実施例のダクト部23は、
図5に示すように、固定部21及び固定部22で構成されるX−Z平面視L字状ブラケットに対して、固定部21の開口部21a、21b及び固定部22の開口部22aと接続される閉じ断面(排出スペースS1)を形成する別体のブラケットを設けることで構成することができる。したがって、ダクト部23は、Y方向に幅広な板状の固定部21に対してZ方向に設けられる支柱となり、ブラケット20の強度向上のための補強部材として機能しつつ、電池モジュール10A,10Bから排出されるガスのチャンバとして機能する。
【0059】
本実施例の車載用電源装置1は、上下に積層された各電池モジュール10A,10Bの排出口19それぞれに個別の排出ホース等を設ける必要がなく、
図5の太線で示すように、各排出口19から電池モジュール10A,10Bの外に排出されたガスは、ブラケット20のダクト部23を通り、フレーム部材30の中空内部に流れる。したがって、ブラケット20を介して上下の各電池モジュール10A,10Bから排出されるガスをフレーム部材30の排出スペースS2に集約して車外に排出することができる。モジュールユニットの固定構造とは別にモジュールユニットの各排出口19を車外と接続する必要がなく、部品点数の削減及びガスの排出構造におけるスペースの効率化を図ることができる。
【0060】
また、本実施例の車載用電源装置1は、車載スペースの効率化を図るために、ブラケット20を介してフレーム部材30に上下2段の電池モジュールそれぞれを固定する固定構造を有しており、ブラケット20に排出口19と連通するダクト部23を設けつつ、ダクト部23を介してフレーム部材30の中空内部にガスを挿通させる。このため、上下に積層される電池ユニット10A,10Bにおいて、ダクト部23が、上側の電池モジュール10Aの排出口19のみと連通するように構成しても、上下に積層された電池モジュール10A,10Bの固定構造とは別に上側の電池モジュール10Aの排出口19を車外と接続する必要がなく、部品点数の削減及びガスの排出構造に伴うスペースの効率化を図ることができる。なお、この場合、下側の電池モジュール10Bは、ブラケット20を介してフレーム部材30に固定することができ、下側の電池モジュール10Bの排出口19には、ダクト部23を経由せずに、排出ホースを接続してフレーム部材30にガスを挿通させるように構成することができる。
【0061】
また、
図4に示すように、Y方向に隣接する2つのモジュールユニットが、1つのブラケット20を用いてフレーム部材30に固定することができるため、モジュールユニット毎にブラケット20を複数用いなくてもよい。このため、さらなる部品点数の削減及びガスの排出構造に伴うスペースの効率化を図ることができる。なお、本実施例では、1つのブラケット20を用いて2つのモジュールユニットをフレーム部材30に固定しているが、モジュールユニット毎にブラケット20を設けてもよい。この場合においても、上下に積層された電池モジュール10A,10Bの固定構造とは別に各排出口19を車外と接続する必要がないため、部品点数の削減及びガスの排出構造に伴うスペースの効率化を図ることができる。
【0062】
図6は、複数のモジュールユニットを備えた車載用電源装置の上面図であり、各電池モジュール10から排出されるガスが車外に排出される経路を説明するための図である。
図6において、FR方向は車両前後方向を示し、他の図面においてY方向に対応する。また、RH方向は、車両左右方向を示し、他の図面においてX方向に対応しており、Z方向は、車両の高さ方向に対応する。一点鎖線は、ガスの流れを示している。
【0063】
図6の例では、FR方向に隣接する2つのモジュールユニットを1つの電池ユニットとして、1つの(一対の)ブラケット20でフレーム部材30に固定する態様を示している。
図6に示すように、電池ユニット100A,100Bと、電池ユニット100C,100Dとを、RH方向に2列に並べて配置することができる。1つの電池ユニットは、
図4に示すように、上下2段の電池モジュール10A,10Bで構成されるモジュールユニットがFR方向に2つ並んだものであり、合計4つの電池モジュール10で構成されている。
【0064】
第1フレーム部材30Aは、電池ユニット100A,100BのRH方向左側の端部に沿って設けられ、第2フレーム部材30Bは、電池ユニット100C,100CのRH方向右側の端部に沿って設けられる。第3フレーム部材30Cは、電池ユニット100A,100Bと、電池ユニット100C,100Dとに共通して設けられるフレーム部材30である。
【0065】
第1フレーム部材30Cには、電池ユニット100A,100BのRH方向右側の端部に設けられるブラケット20と、電池ユニット100C,100DのRH方向左側の端部に設けられるブラケット20と、が固定される。このため、第1フレーム部材30Cは、第1フレーム部材30A,30Bに比べてRH方向に幅広に形成されている。
【0066】
各フレーム部材30A,30B,30Cは、FR方向前方側が閉塞され、FR方向後方側が開口している。各フレーム部材30A,30B,30CのFR方向後方側には、FR方向に延びる各排出スペースS2と接続されるRH方向に延びる排出ダクト40が設けられている。排出ダクト40の一端は、車外と連通しており、各電池ユニット100A,100B,100C,100Dの各排出口19からダクト部23に流入したガスは、各フレーム部材30A,30B,30Cの各排出スペースS2に集約され、さらに各排出スペースS2から排出ダクト40に集約されて車外に排出される。
【0067】
なお、
図6の例において、排出ダクト40で集約せずに、各フレーム部材30A,30B,30Cの排出スペースS2それぞれを車外と連通させるように、排出ホース等を接続してもよい。また、各フレーム部材30A,30B,30CのFR方向前方側を閉塞しているが、FR方向後方側と同様に排出ダクト40を設け、各フレーム部材30A,30B,30CがFR方向前後の各排出ダクト40と接続されるように構成することもできる。さらに、
図6の例とは逆に、FR方向前方側のみに排出ダクト40を設けるように構成してもよい。
【0068】
(実施例2)
図7及び
図8は、実施例2を示す図である。
図7は、本実施例の上下段に積層された電池モジュール10A,10Bの固定構造を説明するための図であり、上下段の各電池モジュール10A,10B、ブラケット20及びフレーム部材30の構成斜視図である。
図8は、上下段に積層された電池モジュール10A,10Bの固定構造のC−C断面図である。
図7及び
図8の例は、上記実施例1の
図4及び
図5と同様に、上下段に積層された電池モジュール10A,10BのX方向一端側の固定構造を示している。
【0069】
上記実施例1は、上下に積層された電池モジュール10A,10Bそれぞれの排出口19が、ダクト部23と連通している態様を示したが、本実施例は、下側の電池モジュール10Bの排出口19をフレーム部材30の排出スペースS2に直接接続する。
【0070】
図7及び
図8に示すように、本実施例のフレーム部材30は、ブラケット20が固定される上面31に連通孔31aが形成されていると共に、上面31からZ方向下方に延びる側面32に連通孔32aが形成されている。
【0071】
図8に示すように、下側の電池モジュール10Bは、フレーム部材30の側面32に排出口19が位置するように、上記実施例1よりも全体がX方向下方に位置し、フレーム部材30に固定される。下側の電池モジュール10Bの排出口19は、ブラケット20を介さずに、側面32に形成された排出スペースS2の連通孔32aと直接接続されている。
【0072】
また、本実施例のブラケット20は、上記実施例1で説明した開口部21bを備えていない。ダクト部23は、固定部21の開口部21a及び固定部22の開口部22aと接続され、ダクト部23の一端が、開口部21aを介して上側の電池モジュール10Aの排出口19に接続され、ダクト部23の他端が、フレーム部材30の上面31に形成された連通孔31aに接続されるように構成されている。
【0073】
電池モジュール10Aの排出口19から排出されたガスは、ブラケット20のダクト部23を通り、フレーム部材30の中空内部の排出スペースS2に流れる。一方、電池モジュール10Bの排出口19から排出されたガスは、連通孔32aを介してフレーム部材30内の排出スペースS2に直接流入する。
【0074】
本実施例においても、ブラケット20のダクト部23を介して上側の電池モジュール10Aから排出されるガスがフレーム部材30の排出スペースS2に流れるとともに、下側の電池モジュール10Bから排出されるガスが排出スペースS2に直接流入するため、上下に積層された各電池モジュール10A,10Bから排出されるガスを集約して車外に排出することができる。上下に積層された電池モジュール10A,10Bの固定構造とは別に各排出口19を車外と接続する必要がなく、部品点数の削減及びガスの排出構造におけるスペースの効率化を図ることができる。
【0075】
また、本実施例では、下側の電池モジュール10Bの排出口19が、フレーム部材30の上面31よりも下方の側面32に位置するように設けられるため、フレーム部材30に対して上下に積層された電池モジュール10A,10B全体の重心を低くすることができる。
図8に示すように、フレーム部材30の上面31から重心までの距離がH1となり、上記実施例1の
図4に示した距離Hよりも短くなっている。上下に積層された電池モジュール10A,10B全体の重心が低くなることで、例えば、フレーム部材30から電池モジュール10A,10B全体の重心までのモーメントアームが短くなり、ブラケット20の板厚を薄くするなど、軽量化を図ることができる。なお、上下段の電池モジュール10A,10B全体の重心位置は、例えば、
図4及び
図8に示すように、Z方向における上側の電池モジュール10Aと下側の電池モジュール10Bとの間とすることができる。
【0076】
また、
図4の例では、下側の電池モジュール10Bの下方にデットスペースが生じるが、本実施例では、フレーム部材30の上面31よりも下方に、下側の電池モジュール10Bの排出口19が位置しており、フレーム部材30が固定される車両のフロアパネルPにより近い位置に下側の電池モジュール10Bが固定される。このため、下側の電池モジュール10Bの下方にデットスペースが生じることを抑制することができ、車載用電源装置1の高さを低くすることができる。
【0077】
以上、本発明の実施例について説明したが、上記実施例1、2において、排出口19が電池モジュール10のX方向端部両側に2つ設けられているが、これに限るものではない。例えば、一方のX方向端部のみに排出口19を設け、一端部側からのみガスを電池モジュール外に排出するように構成することができる。この場合、ダクト部23を備えるブラケット20を、排出口19が位置する電池モジュール10の一端側に設け、他端側は、ダクト部23を備えていないL字状のブラケットで、上下の各電池モジュール10A,10Bをフレーム部材30に固定するように構成することもできる。また、ダクト部23を備えていないブラケットが固定されるフレーム部材30は、内部が中空でなくてもよい。
【0078】
また、上下2段の各電池モジュール10A,10Bのモジュールユニットを一例に説明したが、例えば、3段、4段とさらに多くの電池モジュール10を多段に積層したモジュールユニットであってもよい。この場合、L字状のブラケット20の固定部21は、各段の電池モジュール10の各排出口19に対応した複数の開口部が形成され、各排出口19とダクト部23とが接続されるように構成することができる。
【0079】
また、電池モジュール10の一例として、複数の円筒型電池がホルダ12に保持された組電池を一例に説明したが、これに限るものではない。例えば、所謂角型電池をX方向に複数並べた組電池であってもよい。この場合、例えば、各角型電池の排出弁に対応したX方向に延びるダクトやホースなどが設けられ、X方向に延びるダクト等の端部を排出口19とすることができる。そして、ダクト部23を備えたブラケット20により、上下に積層された各組電池をフレーム部材30に固定することができる。
【0080】
さらに、ホルダ12が下側に配置され、かつ排出経路S3が下側に配置されている電池モジュール10を一例に説明したが、これに限るものではない。例えば、ホルダ12を上に設け、上側に設けられるホルダ12に対応して排出経路S3及び排出口19を、電池モジュール10の上側に設けることができる。この場合においても、ブラケット20を介して上下の各電池モジュール10をフレーム部材30に固定しつつ、ダクト部23を介してフレーム部材30の排出スペースS2にガスを導くことができる。
【0081】
また、本発明の車載用電源装置1を構成するフレーム部材30として、車両を構成するクロスメンバーやサイドメンバなどの車体フレームを利用することもできる。これら車体フレームも、内部を中空に形成して排出スペースS2を備えるように構成することができるとともに、ブラケット20が固定される骨格フレームとして利用することができる。