特許第6144663号(P6144663)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ CKD株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6144663-流体制御弁 図000002
  • 特許6144663-流体制御弁 図000003
  • 特許6144663-流体制御弁 図000004
  • 特許6144663-流体制御弁 図000005
  • 特許6144663-流体制御弁 図000006
  • 特許6144663-流体制御弁 図000007
  • 特許6144663-流体制御弁 図000008
  • 特許6144663-流体制御弁 図000009
  • 特許6144663-流体制御弁 図000010
  • 特許6144663-流体制御弁 図000011
  • 特許6144663-流体制御弁 図000012
  • 特許6144663-流体制御弁 図000013
  • 特許6144663-流体制御弁 図000014
  • 特許6144663-流体制御弁 図000015
  • 特許6144663-流体制御弁 図000016
  • 特許6144663-流体制御弁 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144663
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】流体制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   F16K27/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-234357(P2014-234357)
(22)【出願日】2014年11月19日
(65)【公開番号】特開2016-98868(P2016-98868A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2016年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】井口 聖士
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−142023(JP,A)
【文献】 特開2013−145044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00−27/12
F16K 31/06−31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する側面に形成された入力ポートと出力ポートとを有するバルブ本体と、該バルブ本体の下端に取り付けられた取付板とを有する流体制御弁において、
前記バルブ本体には、前記対向する側面と直交する方向の他の側面に一対の係止凸部が形成され、前記他の側面の前記入力ポート側または前記出力ポート側端部の少なくとも一方に係止凹部が形成されていること、
前記取付板は、1枚のバネ材で形成されており、取付ネジ孔が形成された底面と、前記底面から立設する一対の第1立設部と、前記第1立設部から前記底面と平行に外側に延設された一対の段差部と、前記段差部から立設した一対の第2立設部と、前記段差部から立設したレバーとを有すること、
前記第1立設部は、取付ネジの頭部を内包する高さを有し、
前記段差部は、前記バルブ本体の下端面が当接し、
前記第2立設部は、前記係止凸部と係合する一対の係止爪を有し、
前記レバーは、前記係止凹部と係合すること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の流体制御弁において、
前記第2立設部及び前記レバーの上端は、外側に広がるように屈折部が形成されていること、
前記係止凸部の下部は、傾斜部が形成されていること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の流体制御弁において、
前記レバーを外側に弾性変形させると、前記レバーと前記係止凹部との係合が外れ、前記バルブ本体を前記底面と平行にスライドした後、前記底面の垂直方向に移動することにより、前記バルブ本体を前記取付板から取り外すことができること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記段差部には、前記入力ポートと前記出力ポートの流れの方向に付勢部が形成され、前記付勢部は、前記バルブ本体を付勢していること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記係止凹部は、前記バルブ本体の対角位置に2つ形成されていること、
を特徴とする流体制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する側面に形成された入力ポートと出力ポートとを有するバルブ本体と、該バルブ本体の下端に取り付けられた取付板とを有する流体制御弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置の洗浄プロセスにおいては、半導体ウェハの大型化やチップの微細化及び配線の多層化等に対応すべく、多くの流体制御弁が使用されている。かかる流体制御弁を容易に設置でき、また設置位置の変更等にも簡単に対応できる弁係止構造が、例えば、本出願人が提案した特許文献1に開示されている。
【0003】
図16に示すように、特許文献1の流体制御弁100は、バルブ本体101を取付板102に係止する技術である。具体的には、バルブ本体101に係止突起103を形成し、係止突起103に対向する取付板102の上端に係止突起103と係合する図示しない係止爪を有する係止腕104を立設した係止構造である。
取付板102の対角位置に係止腕104に隣接して略矩形状の取付部105が形成され、取付孔106が穿設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−145044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された流体制御弁100には、次のような問題があった。
すなわち、流体制御弁100では、取付板102に固定用の取付ネジを挿入するための取付部105が形成されているため、平面的に突出したスペースを設ける必要があった。また、配管後の設置や組み付け後の配管作業をするために周辺スペースを確保する必要があった。
一方、平面的に突出した取付部105を形成することを避けるため、製品の底部にネジ穴を加工し、下側から取付ネジで取り付けることも考えられる。しかし、この場合、製造時における工程が複雑となり、コストアップするという問題があった。また、配管後の設置や組み付け後の配管作業をするための周辺スペースを確保する必要があった。
【0006】
さらに、流体制御弁100は、取付板102とバルブ本体101を確実に係止し、バルブ本体101のグラツキを防止する。しかし、いったん係止すると、メンテナンス時などにバルブ本体101を交換したいときなど、バルブ本体101を取付板102から取り外すことが困難であり、作業性が悪かった。すなわち、係止腕104をドライバ等で無理やり外側へ曲げることによりバルブ本体101を取付板102から取り外していた。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、スペース効率性を確保しつつ、バルブ本体と取付板とを確実に容易に着脱することができる作業性の良い流体制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の流体制御弁は、次のような構成を有している。
(1)対向する側面に形成された入力ポートと出力ポートとを有するバルブ本体と、該バルブ本体の下端に取り付けられた取付板とを有する流体制御弁において、前記バルブ本体には、前記対向する側面と直交する方向の他の側面に一対の係止凸部が形成され、前記他の側面の前記入力ポート側または前記出力ポート側端部の少なくとも一方に係止凹部が形成されていること、前記取付板は、1枚のバネ材で形成されており、取付ネジ孔が形成された底面と、前記底面から立設する一対の第1立設部と、前記第1立設部から前記底面と平行に外側に延設された一対の段差部と、前記段差部から立設した一対の第2立設部と、前記段差部から立設したレバーとを有すること、前記第1立設部は、取付ネジの頭部を内包する高さを有し、前記段差部は、前記バルブ本体の下端面が当接し、前記第2立設部は、前記係止凸部と係合する一対の係止爪を有し、前記レバーは、前記係止凹部と係合すること、を特徴とする。
【0009】
(2)(1)に記載の流体制御弁において、前記第2立設部及び前記レバーの上端は、外側に広がるように屈折部が形成されていること、前記係止凸部の下部は、傾斜部が形成されていること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載の流体制御弁において、前記レバーを外側に弾性変形させると、前記レバーと前記係止凹部との係合が外れ、前記バルブ本体を前記底面と平行にスライドした後、前記底面の垂直方向に移動することにより、前記バルブ本体を前記取付板から取り外すことができること、を特徴とする。
【0010】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、前記段差部には、前記入力ポートと前記出力ポートの流れの方向に付勢部が形成され、前記付勢部は、前記バルブ本体を付勢していること、を特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、前記係止凹部は、前記バルブ本体の対角位置に2つ形成されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
(1)対向する側面に形成された入力ポートと出力ポートとを有するバルブ本体と、該バルブ本体の下端に取り付けられた取付板とを有する流体制御弁において、バルブ本体には、対向する側面と直交する方向の他の側面に一対の係止凸部が形成され、他の側面の入力ポート側または出力ポート側端部の少なくとも一方に係止凹部が形成されていること、取付板は、1枚のバネ材で形成されており、取付ネジ孔が形成された底面と、底面から立設する一対の第1立設部と、第1立設部から底面と平行に外側に延設された一対の段差部と、段差部から立設した一対の第2立設部と、段差部から立設したレバーとを有すること、第1立設部は、取付ネジの頭部を内包する高さを有し、段差部は、バルブ本体の下端面が当接し、第2立設部は、係止凸部と係合する一対の係止爪を有し、レバーは、係止凹部と係合すること、を特徴とするので、バルブ本体と取付板の間に取付ネジの頭部を納めて垂直構造をとることができるため、取付ネジのための平面的に突出した余分なスペースを要せず、流体制御弁を密着して配置することができるため、スペース効率性を確保することができる。また、上側から取付板に取付ネジを固定することができるため、流体制御弁が密着して配置されていても、上から取付板を固定する作業をすることができ、周辺スペースを要せず、スペース効率性を確保することができる。
また、係止爪がバルブ本体の係止凸部と、レバーが係止凹部と係合するため、バルブ本体2に対する上下方向、前後方向、左右方向の3方向にバルブ本体は規制され、確実に取付板にバルブ本体を取り付けることができる。
【0012】
(2)(1)に記載の流体制御弁において、第2立設部及びレバーの上端は、外側に広がるように屈折部が形成されていること、係止凸部の下部は、傾斜部が形成されていること、を特徴とするので、バルブ本体を取付板に取り付けるとき、バルブ本体を底面に向けて垂直方向に力を加えるだけで傾斜部が屈折部に沿って進行するため、第2立設部が外側に弾性変形されつつ、係止爪と係止凸部、レバーと係止凹部とを各々係合させることができる。これにより、バルブ本体と取付板とをワンタッチで容易に取り付けることができ、作業性が向上する。
【0013】
(3)(1)または(2)に記載の流体制御弁において、レバーを外側に弾性変形させると、レバーと係止凹部との係合が外れ、バルブ本体を底面と平行にスライドした後、底面の垂直方向に移動することにより、バルブ本体を取付板から取り外すことができること、を特徴とするので、バルブ本体を取付板から取り外すとき、第1に、レバーを外側に弾性変形させ、係止凹部との係合を外すと、バルブ本体は移動可能となり、第2に、底面と平行にスライドすることができる。また、第3に、垂直方向にバルブ本体を持ち上げることにより取り外すことができる。そのため、バルブ本体に作業者が意図せずぶつかった場合であっても、容易に外れることがない。また、第1~3の手順を行えば、メンテナンス時など、意図すれば簡単にバルブ本体を取り外すことができる。このように、バルブ本体を取付板に確実に取り付けることができ、かつ、意図すれば容易に取り外すことができることを同時に実現する。
【0014】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、段差部には、入力ポートと出力ポートの流れの方向に付勢部が形成され、付勢部は、バルブ本体を付勢していること、を特徴とするので、バルブ本体を取付板に取り付けたとき、付勢部により垂直方向に付勢力が加わることにより、係止爪と係止凸部の係合がより確実にされるため、バルブ本体の上下方向により強固に係合しつつ、前後方向、左右方向にも規制されるため、取付板に確実に取り付けることができる。
【0015】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、係止凹部は、バルブ本体の対角位置に2つ形成されていること、を特徴とするので、バルブ本体の入力ポートと出力ポートの位置を反転しても、係止凹部とレバーが係合するため、いったん取り付けた取付板をそのまま利用することができ、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の流体制御弁の正面図である。
図2】本実施形態の流体制御弁の右側面図である。
図3】本実施形態の流体制御弁の左側面図である。
図4】本実施形態の流体制御弁の背面図である。
図5】本実施形態の流体制御弁の底面図である。
図6】取付板の右側面図である。
図7】取付板の正面図である。
図8】取付板の背面図である。
図9図1のA−A断面図である。
図10】バルブ本体を取付板に取り付けた状態を示す流体制御弁の斜視図である。
図11】バルブ本体を取付板に取り付ける前の状態を示す図である。
図12】バルブ本体を取付板に取り付けた状態を示す図である。
図13】バルブ本体を取付板から取り外す第1手順を示す図である。
図14】バルブ本体を取付板から取り外す第2手順を示す図である。
図15】バルブ本体を取付板から取り外す第3手順を示す図である。
図16】従来の流体制御弁の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の流体制御弁1について、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。図1は、流体制御弁1の正面図を示す。図2は、流体制御弁1の右側面図を示し、図3は、流体制御弁1の左側面図を示す。図4は、流体制御弁1の背面図を示し、図5は、流体制御弁1の底面図を示す。図6は、取付板3の右側面図であり、図7はその正面図、図8はその背面図である。図9は、図1のA−A断面図を示す。
【0018】
図1に示すように、流体制御弁1は、バルブ本体2と、バルブ上体4と、バルブ本体2の下端に備えられた取付板3から構成される。
はじめに、バルブ本体2とバルブ上体4の外形について説明する。図1に示すバルブ本体2の右側面には、図2に示すように、入力ポート21が形成されている。入力ポート21が形成された側面と対向する側面(図1に示すバルブ本体2の左側面)には、図3に示すように、出力ポート22が形成されている。入力ポート21と出力ポート22を有する側面と直交する方向の他の側面(図1に示すバルブ本体2の正面と図4に示す背面)には、係止凸部23、24が各々形成されている。係止凸部23、24は、略長方形形状であり、図9に示すように、下部に傾斜部23a、24aが形成されている。バルブ本体2の正面の出力ポート22側端部、及び背面の入力ポート21側端部に、係止凹部25、26が各々L字状に形成されている。係止凹部25、26は、バルブ本体2の対角位置に2つ形成されている。バルブ上体4はハウジング48に覆われている。
【0019】
次に、バルブ本体2とバルブ上体4の内部構造及び作用について説明する。なお、本実施形態の流体制御弁1は、一例として電磁弁を用いているが、電磁弁以外の流体制御弁でも良い。
バルブ本体2とバルブ上体4との間には、図9に示すように、弁体41が挟持されている。弁体41は、バルブ本体2の中央部に形成される弁座27と当接または離間する。弁体41は、弁軸42と連結している。
図9に示すように、コイル46に通電していないとき、プランジャ45は下方に移動し、弁体41は弁座27に当接して弁閉状態となる。弁閉状態とは、入力ポート21と出力ポート22が遮断された状態をいう。
一方、図示しないが、コイル46が配線49により通電すると、付勢バネ44に抗してプランジャ45が固定鉄心47に吸引され、上方に移動する。それと同時に、弁軸42が弁体バネ43により上向きに移動し、弁体41が弁座27から離間し、弁開状態となる。弁開状態とは、入力ポート21と出力ポート22が連通した状態をいう。
【0020】
次に、本発明の技術的特徴を有する係止構造について説明する。
取付板3の材質は、1枚のステンレス製のバネ材であり、その厚みは約0.5mmである。取付板3が製品と接する底面31には、図5に示すように、中央部に取付ネジ孔311が形成されている。取付ネジ孔311は、取付ネジ5の頭部径方向の大きさよりわずかに大きい孔311aと、取付ネジ5の軸部径方向の大きさよりわずかに大きい孔311bにより形成されている。孔311aと孔311bは一体となって形成されている。また、底面31には、図5における下方に、取付ネジ5を取り付けるための開口部312が形成されている。孔311bと開口部312に各々取付ネジ5を固定することにより、製品に取付板3を固定する。なお、孔311aは取付ネジ5の頭部を通すことができるため、すでに取付ネジ5が設置してある状態であっても、わざわざ取付ネジ5を外すことなく取付板3を製品に設置することができる。
【0021】
底面31は、略長方形形状であり、長辺の側面には、図6に示すように、第1立設部32、33が各々垂直に立設している。第1立設部32、33の高さは、取付ネジ5の頭部を内包する程度の高さに設定されている。そのため、バルブ本体2と取付板3の間に取付ネジ5の頭部を納めることができる。第1立設部32、33には、底面31と平行に外側に延設された段差部34、35が形成されている。段差部34、35は、バルブ本体2の下端面が当接することにより、バルブ本体2が取付板3に収納される。
ここで、取付ネジ5の取付部と、バルブ本体2を収納する段差部34、35とを垂直構造としているため、取付ネジ5のための平面的に突出した余分なスペースを要せず、上側から取付板3に取付ネジ5を固定することができる。そのため、流体制御弁を密着して配置することできるため、周辺スペースを要せず、スペース効率性を確保することができる。
段差部34には付勢部34aが、段差部35には付勢部35a、35bが、入力ポート21と出力ポート22の流れの方向に形成されている。付勢部34a、35a、35bは、バルブ本体2を上方向に付勢している。
【0022】
段差部34、35には、各々第2立設部36、37が垂直に立設して形成されている。第2立設部36、37は、図7、8に示すように、上方に延びた縦片部361、371と、縦片部361、371から底面31と平行に延びた横片部362、372を有する。縦片部361、371の高さは、係止凸部23、24の短辺である縦の長さと同じ程度である。縦片部361、371及び横片部362、372により一辺が開口する横孔363、373が形成されている。横孔363、373に、係止凸部23、24が各々装着される。
【0023】
図7に示すように、第2立設部36の横孔363が開口している方向に、レバー38が段差部34から垂直に立設して形成されている。レバー38は、上方に延び、その先端は横片部362と同じ方向に延設されている。レバー38の延設された先端は、バルブ本体2に取り付けたとき、図1及び図4に示すように、バルブ本体2からはみ出している。図1に示すように、横片部362の開口側端部からレバー38までの距離Cは、係止凸部23、24の長辺である横の長さBよりもわずかに大きい。
また、第2立設部36、37の横片部362、372の上部には、外側に向かって広がって屈折された屈折部362a、372aが形成されている。レバー38の上部には、外側に向かって広がって屈折された屈折部38aが形成されている。
なお、第2立設部36のうち、縦片部361及び横片部362は、請求項に記載する「係止爪」に相当する。
【0024】
次に、本実施形態の流体制御弁1の作用効果について、図10から図15を用いて説明する。
図10は、バルブ本体2を取付板3に取り付けた状態を示す流体制御弁1の斜視図である。図11から図15は、図10のD部を拡大した図であり、バルブ本体2を取付板3に着脱する際の状態を時系列的に順に示している。具体的には、図11は、バルブ本体2を取付板3に取り付ける前の状態を示し、図12は、バルブ本体2を取付板3に取り付けた状態を示す。また、図13から図15はバルブ本体2を取付板3から取り外す第1から第3までの手順を示す。
【0025】
はじめに、バルブ本体2を取付板3に取り付ける際の作用について図11、12を用いて説明する。バルブ本体2を取付板3に取り付けるとき、図11に示すように、バルブ本体2を矢印X1方向に取付板3に押し付ける。係止凸部23、24が第2立設部36、37と各々が接触すると、係止凸部23、24の傾斜部23a、24aは屈折部362a、372aに沿って進行する。これにより、第2立設部36、37は外側に向かって広がるように徐々に弾性変形される。係止凸部23、24が横片部362、372から外れると、図12に示すように、横孔363、373に係止凸部23、24が嵌る。
【0026】
このように、第2立設部36、37が外側に向かって広がるように弾性変形されつつ、縦片部361、371及び横片部362、372と、係止凸部23、24を各々係合させ、レバー38と係止凹部25を係合させることができる。これにより、バルブ本体2を取付板3に押し込むことにより、ワンタッチで容易に取り付けることができ、作業性が向上する。
バルブ本体2を取付板3に取り付けるとき、バルブ本体2の図1における上下方向については、付勢部34a、35a、35bがバルブ本体2を上向きに付勢するため、バルブ本体2の横片部362、372の下面と係止凸部23、24の上面とが係合する。そのため、バルブ本体2は上下方向で規制される。また、バルブ本体2の図1における左右方向については、縦片部361、371の左面と、係止凸部23、24の縦片部361、371と接する側の右辺とが係合し、レバー38の右辺と係止凹部25とが係合する。そのため、バルブ本体2は左右方向で規制される。さらに、バルブ本体2の図1における前後方向については、段差部34、35及び第2立設部36、37とバルブ本体2とが係合する。そのため、バルブ本体2は前後方向で規制される。すなわち、バルブ本体2は3方向(3次元)で規制されている。これにより、バルブ本体2に作業者が意図せずぶつかった場合であっても、バルブ本体2は取付板3に確実に取り付けられているため、容易に外れることがない。
また、バルブ本体2を入力ポート21と出力ポート22の位置を入れ替えるように反転して取り付けたとき、係止凹部25、26はバルブ本体2の対角位置にあるため、レバー38が係合する。そのため、いったん取り付けた取付板3をそのまま利用することができ、作業効率が向上する。
【0027】
次に、バルブ本体2を取付板3から取り外す際の作用について図13から図15を用いて説明する。図13に示すように、第1手順として、バルブ本体2からはみ出たレバー38を外側(矢印Z方向)に向かって弾性変形させる。すると、レバー38と係止凹部25との係合が外れ、バルブ本体2が移動可能の状態となる。次に、図14に示すように、第2手順として、バルブ本体2を底面31と平行(矢印Y方向)にスライドさせることにより、縦片部361、371及び横片部362、372と係止凸部23、24の係合が外れる。そして、第3手順として、図15に示すように、底面31の垂直方向(矢印X2方向)に移動することにより、バルブ本体2を取付板3から取り外すことができる。
【0028】
ここで、メンテナンス時、バルブ本体2を取付板3から取り外すとき、第1、2、3手順に従えば、意図すれば、簡単にバルブ本体2を取り外すことができる。そのため、作業性が向上する。
このように、バルブ本体2を取付板3に取り付けたときは、確実に係止することができ、一方、バルブ本体2を取付板3から取り外すときは、簡単に取り外しできるということを同時に実現することができる。
【0029】
以上、説明したように、本発明の流体制御弁1によれば、
(1)対向する側面に形成された入力ポート21と出力ポート22とを有するバルブ本体2と、バルブ本体2の下端面に取り付けられた取付板3とを有する流体制御弁1において、バルブ本体2には、対向する側面と直交する方向の他の側面に一対の係止凸部23、24が形成され、他の側面の入力ポート21側または出力ポート22側端部の少なくとも一方に係止凹部25、26が形成されていること、取付板3は、1枚のバネ材で形成されており、取付ネジ孔311が形成された底面31と、底面31から立設する一対の第1立設部32、33と、第1立設部32、33から底面31と平行に外側に延設された一対の段差部34、35と、段差部34、35から立設した一対の第2立設部36、37と、段差部34から立設したレバー38とを有すること、第1立設部32、33は、取付ネジ5の頭部を内包する高さを有し、段差部34、35は、バルブ本体2の下端面が当接し、第2立設部36、37は、係止凸部23、24と係合する一対の係止爪(縦片部361、371及び横片部362、372)を有し、レバー38は、係止凹部25と係合すること、を特徴とするので、バルブ本体2と取付板3の間に取付ネジ5の頭部を納めて垂直構造をとることができるため、取付ネジ5のための平面的に突出した余分なスペースを要せず、流体制御弁1を密着して配置することができるため、スペース効率性を確保することができる。また、上側から取付板3に取付ネジ5を固定することができるため、流体制御弁1が密着して配置されていても、上から取付板3を固定する作業をすることができ、周辺スペースを要せず、スペース効率性を確保することができる。
また、縦片部361、371及び横片部362、372がバルブ本体2の係止凸部23、24と、レバー38が係止凹部25と係合するため、バルブ本体2に対する上下方向、前後方向、左右方向の3方向にバルブ本体2は規制され、確実に取付板3にバルブ本体2を取り付けることができる。
【0030】
(2)(1)に記載の流体制御弁1において、第2立設部36、37及びレバー38の上端は、外側に広がるように屈折部362a、372a、38aが形成されていること、係止凸部23、24の下部は、傾斜部23a、24aが形成されていること、を特徴とするので、バルブ本体2を取付板3に取り付けるとき、バルブ本体2を底面31に向けて垂直方向に力を加えるだけで傾斜部23a、24aが屈折部362a、372aに沿って進行するため、第2立設部36、37が外側に弾性変形されつつ、縦片部361、371及び横片部362、372と係止凸部23、24、レバー38と係止凹部25とを各々係合させることができる。これにより、バルブ本体2と取付板3とをワンタッチで容易に取り付けることができ、作業性が向上する。
【0031】
(3)(1)または(2)に記載の流体制御弁1において、レバー38を外側に弾性変形させると、レバー38と係止凹部25との係合が外れ、バルブ本体2を底面31と平行にスライドした後、底面31の垂直方向に移動することにより、バルブ本体2を取付板3から取り外すことができること、を特徴とするので、バルブ本体2を取付板3から取り外すとき、第1に、レバー38を外側に弾性変形させ、係止凹部25との係合を外すと、バルブ本体2は移動可能となり、第2に、底面31と平行にスライドすることができる。また、第3に、垂直方向にバルブ本体2を持ち上げることにより取り外すことができる。そのため、バルブ本体2に作業者が意図せずぶつかった場合であっても、容易に外れることがない。また、第1~3の手順を行えば、メンテナンス時など、意図すれば簡単にバルブ本体2を取り外すことができる。このように、バルブ本体2を取付板3に確実に取り付けることができ、かつ、意図すれば容易に取り外すことができることを同時に実現する。
【0032】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の流体制御弁1において、段差部34、35には、入力ポート21と出力ポート22の流れの方向に付勢部34a、35a、35bが形成され、付勢部34a、35a、35bは、バルブ本体2を付勢していること、を特徴とするので、バルブ本体2を取付板3に取り付けたとき、付勢部34a、35a、35bにより垂直方向に付勢力が加わることにより、縦片部361、371及び横片部362、372と係止凸部23、24の係合がより確実にされるため、バルブ本体2の上下方向により強固に係合しつつ、前後方向、左右方向にも規制されるため、取付板3に確実に取り付けることができる。
【0033】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の流体制御弁1において、係止凹部25、26は、バルブ本体2の対角位置に2つ形成されていること、を特徴とするので、バルブ本体2の入力ポート21と出力ポート22の位置を反転しても、係止凹部26とレバーが係合するため、いったん取り付けた取付板3をそのまま利用することができ、作業効率が向上する。
【0034】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 流体制御弁
2 バルブ本体
3 取付板
21 入力ポート
22 出力ポート
23、24 係止凸部
23a、24a 傾斜部
25、26 係止凹部
31 底面
311 取付ネジ孔
32、33 第1立設部
34、35 段差部
34a、35a、35b 付勢部
36、37 第2立設部
361、371 縦片部
362、372 横片部
362a、372a 屈折部
38 レバー
38a 屈折部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16