特許第6144668号(P6144668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144668
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】テーブルを備えた航空機の座席配置
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20170529BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   B64D11/06
   B60N3/00 A
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-501723(P2014-501723)
(86)(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公表番号】特表2014-510670(P2014-510670A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】GB2012050715
(87)【国際公開番号】WO2012131384
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年3月4日
(31)【優先権主張番号】1105595.1
(32)【優先日】2011年4月1日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513245783
【氏名又は名称】ゾディアック シーツ ユーケー リミティッド
【氏名又は名称原語表記】ZODIAC SEATS UK LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100077780
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 泰甫
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】エルサン アリ
(72)【発明者】
【氏名】クラカス ダニエル
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/029223(WO,A1)
【文献】 特開2000−142587(JP,A)
【文献】 特表2010−523393(JP,A)
【文献】 特開2001−253283(JP,A)
【文献】 特表2009−513419(JP,A)
【文献】 特表2002−527288(JP,A)
【文献】 特開2005−289080(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0065684(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0241232(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/031506(WO,A1)
【文献】 英国特許出願公告第00907472(GB,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01405758(EP,A2)
【文献】 特表2012−501911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/06
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1列内の第1座席と、
第1列の前側に位置する第2列内の第2座席と、
第2列内に位置すると共に第1座席の前方にあり、第2座席に隣接して位置する第1コンソールと、
第1列内に位置すると共に第1座席に隣接し、前記第2座席の直ぐ後方にある第2コンソールと、を備え、
第1コンソールと第2コンソールと第1座席と第2座席とが、千鳥配置とされ、
前記第1コンソールに収容されたテーブルをさらに備え、
前記テーブルは、第1コンソール内に挿入される収容姿勢への移動を可能に設定され、
前記テーブルは、第1座席に着座した乗客の使用に適するよう第1コンソールの後方に位置する展開姿勢への移動を可能に設定された、航空機の座席配置。
【請求項2】
前記テーブルは、該テーブルの収容姿勢から展開姿勢への移動を実質的に水平方向の移動に制限するよう設定された、請求項1に記載の航空機の座席配置。
【請求項3】
第1コンソールは、前記テーブルが前記第1コンソール内に挿入される際に通って移動する開口又は凹部を備えた、請求項1又は2に記載の航空機の座席配置。
【請求項4】
第1コンソールは、第1座席に着座した乗客が見るモニターを備え、前記テーブルは、モニターの下の位置で前記第1コンソール内に挿入可能とされた、請求項1〜3のいずれかに記載の航空機の座席配置。
【請求項5】
第1コンソールは、鉛直方向におけるモニターと収容時のテーブルとの間に位置する収容スペースを備えた、請求項4に記載の航空機の座席配置。
【請求項6】
第1コンソールが足下空間を備え、第1座席は、ベッド・モードに変換可能とされ、前記ベッド・モードにおいて、第1座席に横たわった乗客の脚を前記足下空間に伸ばし入れ可能とされた、請求項1〜5のいずれかに記載の航空機の座席配置。
【請求項7】
第1コンソールは、第2座席に着座した人が利用可能な上面を備えた、請求項1〜6のいずれかに記載の航空機の座席配置。
【請求項8】
第1コンソールは、第2座席に着座した乗客が使用する収容スペースを備えた、請求項1〜7のいずれかに記載の航空機の座席配置。
【請求項9】
第1コンソールは、第2座席に着座した乗客が使用するよう第2座席の一側に位置する第1肘掛け部を備え、航空機の座席配置は、前記乗客が使用するよう第2座席の他側に第2肘掛け部をも備え、前記第1コンソールは、第1肘掛け部と前記第1コンソールの上面の残部との間に段差を備え、第1肘掛けの高さが第2肘掛けと実質的に同じ高さとされた、請求項1〜8のいずれかに記載の航空機の座席配置。
【請求項10】
第1コンソールは、第2座席に着座した乗客が使用するよう第2座席の一側に位置する第1肘掛け部を備え、航空機の座席配置は、前記乗客が使用するよう第2座席の他側に第2肘掛け部をも備え、前記第1コンソールが第1肘掛けの高さと実質的に同じ高さの中央上面を備えるのに対し、第1肘掛けの高さが第2肘掛けの高さより十分に高くされた、請求項1〜8のいずれかに記載の航空機の座席配置。
【請求項11】
前記テーブルは、第1展開姿勢への移動を可能に設定され、第1展開姿勢では、テーブルがその第1領域で、第1座席に着座した乗客の使用に利用可能なテーブルスペースを提供するよう、テーブルの第1部分が第1コンソール内に収容され、テーブルの第2部分が第1コンソールの後方に位置し、
前記テーブルは、第2展開姿勢への移動を可能に設定され、第2展開姿勢では、テーブルがその第1領域より大きい第2領域で、第1座席に着座した乗客の使用に利用可能なテーブルスペースを提供するよう、テーブルの前記第1部分の少なくとも一部が第1コンソールの外側に位置し、
前記テーブルは、第3展開姿勢に設定可能とされ、第3展開姿勢では、テーブルがその第2領域より大きい第3領域で、第1座席に着座した乗客の使用に利用可能なテーブルスペースを提供する、請求項1〜10のいずれかに記載の航空機の座席配置。
【請求項12】
前記テーブルは、第1座席に着座した乗客が展開して利用可能なテーブルスペースの領域を増大するように設定された少なくとも1つのテーブル・リーフを備えた、請求項1〜11のいずれかに記載の航空機の座席配置。
【請求項13】
前記テーブルは、2〜10の設定展開姿勢を有し、前記テーブルが一の設定位置にあるとき、他の設定位置へのテーブルの移動に対する抵抗が、テーブルが連続する両設定位置の間にあるときの設定位置へのテーブルの移動に対する抵抗よりも大きい、請求項1〜12のいずれかに記載の航空機の座席配置。
【請求項14】
第3座席、第4座席、第3コンソール及び第4コンソールを備え、
第3座席及び第4コンソールが第1列に位置し、
第4座席及び第3コンソールが第2列に位置し、
第1コンソール及び第3コンソールの各々が足下空間を有し、
第1座席は、ベッド・モードに変換可能とされ、前記ベッド・モードにおいて、第1座席に横たわった乗客の脚を第1コンソールの足下空間に伸ばし入れ可能とされ、
第3座席は、ベッド・モードに変換可能とされ、前記ベッド・モードにおいて、第3座席に横たわった乗客の脚を第3コンソールの足下空間に伸ばし入れ可能とされ、
第1コンソールの足下空間は、第3コンソールの足下空間の対応する幅と実質的に等しい幅を有する、請求項1〜13のいずれかに記載の航空機の座席配置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の航空機の座席配置を準備するステップと、
第1座席に着座した乗客がテーブルを第1コンソール内から使用可能な位置まで水平に引き出すステップと、
乗客がテーブルを第1コンソール内に水平に押し戻すステップと、
を含む航空機内のテーブルの使用方法。
【請求項16】
乗客がテーブルを第1コンソール内から使用可能な位置まで水平に引き出す前記ステップは、テーブルをその利用可能なテーブルスペースの第1領域を提供する第1設定形態で用いるステップを含み、
乗客がテーブルを第1コンソール内に水平に押し戻す前記ステップは、利用可能なテーブルスペースを実質的に提供することがないようにし、
当該方法は、さらに、
乗客がテーブルをその利用可能なテーブルスペースの第2領域を提供する第2設定形態で用いるステップと、
乗客がテーブルをその利用可能なテーブルスペースの第3領域を提供する第3設定形態で用いるステップと、を含み、
第3領域が第2領域より大きく、第2領域が第1領域より大きい、請求項15に記載の航空機内のテーブルの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の座席配置に関する。より詳細に言えば、他を除外するものではないが、本発明は、着座した乗客が使用するテーブルを備えた航空機の座席配置に関する。また、本発明は、そのようなテーブルの収容、展開、及び/又は使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の座席配置は、通常、着座した乗客が使用する何らかの構造のテーブルを備えている。エコノミー席では、通常、後ろの座席に着座した乗客が使用するよう、座席にテーブルがヒンジ結合されている。テーブルは、回転移動により、座席の背面に対して実質的に面一に位置する収容姿勢から、水平に位置して利用可能なテーブルスペースの1つの領域を提供する展開姿勢まで、揺動させることができる。このような配置は、通常、プレミアム・クラス席(ビジネス・クラス席やファースト・クラス席など)における使用には不適当であり、このプレミアム・クラス席では、座席同士の間隔が、着座した乗客の前方の座席又は構造体にテーブルをヒンジで取り付けると、着座した乗客の位置に向けて展開したときのテーブル位置の人間工学的要求を満足できないような間隔になっている。すなわち、乗客が容易に使うには、利用可能なテーブルスペースの領域が離れすぎる。また、座席の背内部又は背面に、後ろの座席に着座した乗客が見るための機内娯楽(IFE)モニターが設けられている場合もある。この場合、モニターとテーブルとその展開機構とが、スペースと位置について競合する。この問題に対する解決策の1つは、例えば肘掛けの内側のような、座席に隣接する位置から展開させるテーブルを設けることである。このようなテーブルは、通常、肘掛けから持ち上げて利用可能な位置まで回転させることができるように、このテーブルに関連する複雑な機構を有している。このテーブルは、通常折り畳んだ状態から伸ばせるものであるが、使用の際に、その折り畳めるという特徴によって大きな融通性が得られるということは全くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記問題の軽減を試みる。それに代えて又は追加で、本発明は、航空機用の改良したテーブル、又は、航空機内でのテーブルの使用方法の提供を試みる。それに代えて又は追加で、本発明は、テーブルを含む改良した航空機座席組立品の提供を試みる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1態様として、
第1座席と、
第1座席の前側に位置する構造体と、
前記構造体に収容されるテーブルと、を備え、
テーブルは、前記構造体内に挿入される収容姿勢への移動を可能に設定され、
テーブルは、第1座席に着座した乗客の使用に対して位置付けた展開姿勢への移動を可能に設定された、航空機の座席配置を提供する。
【0005】
テーブルを座席の前方の前記構造体内に挿入して、テーブルをその収容姿勢まで移動させることにより、利用可能なスペースによって使い勝手をより良くすることができると共に、より簡単な展開機構を採用することができる。
【0006】
この構造体はコンソールであってもよい。この構造体はモニュメントであってもよい。この構造体は足下空間を備えていてもよい。テーブルは、収容時に実質的に水平であってもよい。
【0007】
本発明が特有の有用性を有するのは、座席配置が備える第1列に、第1座席がコンソールと一緒に位置し、第2列に、第2座席が別のコンソールと一緒に位置する場合である。各コンソールは、(例えば、隣接する座席に機能を提供すると共に、背後の座席に着座する乗客が使用するテーブルを収容することにより)2つ以上の座席に対して機能を提供するものであってもよい。第1及び第2コンソールと第1及び第2座席とは、千鳥配置であってもよい。コンソール内に挿入されると共に、それと同様の方法で(好ましくは水平方向に)コンソールから展開可能なテーブルを設けることにより、コンソールが、コンソールに隣接する座席と、コンソールの後方の座席との両方に対して、複数の機能を提供可能となる。
【0008】
テーブルは、収容姿勢から展開姿勢へのテーブルの移動を実質的に水平方向の移動に限定するように設定したものであってもよい。
【0009】
その移動は、例えば展開する際にテーブルが水平面内で揺れ出すような種類の回転移動成分を含んだものであってもよいが、好ましくは、ほとんど平行移動の形式である。
【0010】
任意の適切な展開機構を採用して、テーブルの収容姿勢から展開姿勢までの移動を達成するようにしてもよい。展開機構は、移動を案内するための一又は複数のレールを備えてもよい。展開機構は、移動を案内するための一又は複数の溝を備えてもよい。展開機構は、移動を案内するための一又は複数の滑動部を備えてもよい。展開機構は、移動を案内するための一又は複数の走行部を備えてもよい。その機構は、中心線(前後方向)に沿って設けたものであってもよい。それに代えて又は追加で、上記の機構は、その各部分を横方向に分かれた部位に配置するように設けたものであってもよく、例えば、横方向に別々に分けた細長い展開手段を一組にする方式でもよい。展開機構は、水撃ポンプを備えてもよい。
【0011】
テーブルは、例えば前述したような展開機構を備えてもよい。
【0012】
構造体は、開口又は凹部を備えてもよく、例えば、この開口又は凹部が規定し又は規定される通路を通って、テーブルが前記構造体内に挿入されるときに移動するようにしてもよい。
【0013】
開口又は凹部は、凹部方式の場合には、少なくとも一側が開放されていてもよい。例えば、凹部は、上面、両側面を有するが底面を有しない溝状であってもよい。そのため、前記構造体内に挿入された際、テーブルの下側が前記構造体の内部又は近傍に設定された自由空間に露出することがわかる。構造体がコンソール方式の場合、自由空間を例えばコンソール内の足下空間まで拡張してもよい。
【0014】
開口又は凹部は、開口方式の場合には、例えば細長い隙間形状の開口であってもよい。開口又は凹部は、テーブルがその収容姿勢と展開姿勢との間を移動する際に通過する空間の形状を補完する形状を有してもよい。したがって、開口又は凹部は、好ましくは、テーブルがその収容姿勢と展開姿勢との間を移動する際に通過する空間を受け入れるのに必要なサイズと同等で、著しく大きくはないサイズである。テーブルを構造体内に挿入可能に設定した結果、テーブルの一部が、例えばテーブルの収容時に、開口又は凹部に直接に隣接する。
【0015】
構造体は、第1座席に着座した乗客が見るためのモニターを備えてもよい。テーブルは、モニターの下側位置で前記構造体内に挿入可能に設定してもよい。構造体は、鉛直方向で、モニターと収容時のテーブルとの間に位置する収容空間を備えてもよい。モニターはIFEモニターであってもよい。
【0016】
構造体は足下空間を含んでもよい。第1座席は、ベッド・モードに変換可能であってもよい。ベッド・モードでは、第1座席に横たわった乗客が脚を足下空間に伸ばし入れ可能である。
【0017】
本明細書で言及する乗客の大きさは、2000年における40歳の白人又は黒人のアメリカ人男性の住民の95パーセンタイルの大きさを有する概念上の人間(95%人間)を参照して定義してもよい。
【0018】
足下空間は、使用時において、ベッド・モードの第1座席の上面で定まるベッド表面への延長部として作用する上面を有してもよい。
【0019】
足下空間は、乗客による保管スペースを含むものであってもよいし、あるいは、乗客による保管スペースとして利用可能であってもよい。
【0020】
座席配置は、第2座席を備えてもよい。第1コンソールは、第2座席に隣接して位置してもよい。第1座席及び前記構造体は、航空機に設置する前に物理的に連結した状態で設ける必要はない。第1コンソールは、前記構造体の意義を明確にするものであってもよい。しかしながら、第2座席及び第1コンソールは、物理的に連結した方式で設けてもよく、それによって、航空機への正確で効率のよい設置が容易になる。したがって、航空機の座席配置は、座席、構造体及びテーブルを一緒に設けるという意味での「配置」であればよいことがわかる。航空機の座席配置は、航空機座席の組立品方式であってもよい。
【0021】
座席配置は、第1座席に隣接する第2コンソールを備えてもよい。第2コンソールは、第2座席の直ぐ後方にあってもよい。座席配置のコンソール及び座席は、千鳥配置、すなわち互い違いの配置であってもよい。
【0022】
座席配置は、第3座席と第3コンソールとを備えてもよい。座席配置は、第4座席と第4コンソールとを備えてもよい。第1座席と第3座席と第2コンソールと第4コンソール(選択的に設けた場合)とで、第1列を形成してもよい。第2座席と第1コンソールと第3コンソールと第4座席(選択的に設けた場合)とで、第2列を形成してもよい。第2列は、第1列の直ぐ前方にあってもよい。第1コンソール及び第3コンソールの各々は足下空間を有してもよい。第1座席は、乗客が横たわって脚を第1コンソールの足下空間に伸ばし入れるベッド・モードに変換可能であってもよい。第3座席も、乗客が横たわって脚を第3コンソールの足下空間に伸ばし入れるベッド・モードに変換可能であってもよい。好ましくは、第1コンソールの足下空間は、第3コンソールの足下空間の対応する幅と実質的に等しい幅を有するのがよい。
【0023】
第1コンソールは、第3コンソールの足下空間の形状と実質的に同一の形状のものを有してもよく、この場合、足下空間の幅は、どの対応する幅を比較したとしても同一になることがわかる。しかしながら、足下空間が同一の形状でなければ、一の足下空間の幅が他の足下空間の対応する幅と異なることがわかると同時に、同一になる別の幅の組合せを見つけることもできる。そのため、一組の足下空間の幅を同一と考えるかどうかは、どの幅を比較するかによる。比較する足下空間の幅は、足下空間の最大幅であってもよい。比較する足下空間の幅は、足下空間の最大長さの75%の位置での最小幅であってもよい。比較される足下空間の幅は、足下空間の平均幅であってもよい。コンソールの足下空間の平均幅は、中央幅であるとみなしてもよい。あるいは、コンソールの足下空間の平均幅は、以下で求めた幅と考えてもよく、すなわち、足下空間を縦に長さの等しい100区画に概念的に分割し、足下空間の各区画の最大幅を測定し、100の幅の測定値を大きさ順に並べ、50番目の測定値を選択して得た幅としてもよい。
【0024】
本発明は、エコノミー・クラスよりも上位クラスのシートが具体的な用途である。エコノミーの座席配置は、通常、間隔がより短く、エコノミー席は、通常、ベッド・モードを備える必要はない。
【0025】
第1及び第2座席間の間隔距離は100cmより大きくてもよい。第1及び第2座席間の間隔距離は、好ましくは900mm(約35インチ)より大きいのがよい。下記の実施形態では、その間隔距離が約45インチである(これは1000mmより大きな間隔である)。
【0026】
第2座席の後方に位置する第1座席との間の「間隔距離」は、第2座席のある点(例えば、座席が離陸又は着陸に備えて完全な直立姿勢にあるときの最前点)と、第1座席の対応する点と、の間を航空機の長手方向に測定した距離(つまり、2点間の距離の長手方向成分)を意味すると理解してよい。間隔距離は、第1及び第2座席を航空機に設置した時点で測定してもよく、あるいは、航空機への設置に備えて互いに物理的に連結した時点で測定してもよい。
【0027】
航空機に設置した際、第1座席は、その座席の中心を通って航空機の機体の長手方向線と平行な第1仮想線上に位置してもよく、第2座席は、第2座席の中心を通って第1仮想線と平行な第2仮想線上に位置してもよい。第1及び第2仮想線間の距離は、600mm(約24インチ)より大きくてもよい。第1及び第2仮想線間の距離は、900mm(約35インチ)より大きくてもよい。第1座席は、通常、背部クッションと、座面クッションと、クッション付きのレッグ・レスト部とを備えている。座面クッションは、450mmより大きく、好ましくは470mmより大きい最大幅を有してもよい。座面クッションは、500mmより大きい最大幅を有してもよい。第1及び第2仮想線間の距離は、座面クッションの最大幅を差し引いて、125mm(約5インチ)より大きくてもよい。第1及び第2仮想線間の距離は、座面クッションの最大幅を差し引いて、250mmより大きくてもよい。
【0028】
この航空機の座席配置は、同様に設定した一又は複数の航空機の座席配置を備えた、より大きな航空機の座席セットの一部として設けてもよい。
【0029】
第1コンソールは、第2座席に着座した乗客が使用する収容スペースを備えてもよい。この収容スペースは、その長さと幅について、長さを鉛直に配向して幅を水平に配向した浅い空間であってもよい。収蔵スペースは、第1コンソールの前端に位置してもよい。収蔵スペースをそのように配置すれば、その幅が第2座席の幅と平行になる。それに代えて又は追加で、収容スペースは、第2座席の座面クッション上面よりも上方に位置付する基部を有する棚状であってもよい。その棚には扉を設けて、棚内の保管スペースを引き出しの後方に配置してもよい。棚の扉を閉めたとき、その扉で定まる棚の前面が第2座席の背部クッションの最前点の前方に伸びてもよい。
【0030】
第2座席は、通路側の席として使用するのに適するように構成してもよい。第1コンソールは、第2座席に着座した乗客が使用するよう、第2座席の一側に位置する第1肘掛け部を備えてもよい。航空機の座席配置は、乗客が使用するよう、第2座席の他側に第2肘掛け部を備えてもよい。第1コンソールは、第1肘掛け部と第1コンソールの上面の残部との間に段差を備えてもよい。このような場合、第1肘掛けの高さを第2肘掛けの高さと実質的に同じにできる。あるいは、第1コンソールは、第1肘掛けの高さと実質的に同じ高さの中心上面を備えてもよく、この場合、第1肘掛けの高さが第2肘掛けの高さよりもかなり高くなる。他の高さの肘掛けの構成も、もちろん本発明の範囲内である。
【0031】
テーブルは、第1展開姿勢への移動を可能に設定してもよく、第1展開姿勢では、テーブルの第1部分が構造体内に収容される。第1展開姿勢では、テーブルの第2部分が構造体の後方に位置してもよい。第1展開姿勢では、テーブルがその第1領域で、第1座席に着座した乗客の使用に利用可能なテーブルスペースを提供し得る。第1領域は、構造体に直に隣接してもよい。第1領域は、一又は複数の飲み物の保持に適し、最大寸法が300mm未満のものでもよい。第1領域の面積は、70,000mm未満であってもよく、好ましくは、50,000mm未満である。
【0032】
第1展開姿勢のテーブルが提供する利用可能なテーブルスペースは、非対称であってもよい。テーブルの構成に対称性を求める通常の設計実務から逸脱することで、座席配置の技術的な具体化を可能にするのに、より大きな融通性が得られる。例えば、テーブルの移動方向は、直線状であったり、テーブルが展開又は挿入される部位で構造体の後面に垂直であったりする必要はない。
【0033】
テーブルは、第2展開姿勢への移動を可能に設定してもよく、第2展開姿勢では、テーブルの前記第1部分の少なくとも一部が構造体の外に位置する。テーブルは、第2展開姿勢では、その第2領域で、利用可能なテーブルスペースを提供してもよい。第2領域は、好ましくは、第1領域よりも大きいのがよい。第2領域の面積は、80,000mmより大きくてもよい。
【0034】
テーブル及びコンソールをそのように設定することにより、テーブルが第1展開姿勢から第2展開姿勢まで移動する際、利用可能なテーブル領域のより広い範囲が徐々に露出する。第2展開姿勢のテーブルの幅は、第1展開姿勢のテーブルの幅と同じでもよい。
【0035】
テーブルは、第3展開姿勢を構成するよう設定してもよく、第3展開姿勢では、テーブルがその第3領域で、利用可能なテーブルスペースを提供する。第3領域は、好ましくは第1領域より大きいのがよく、また、好ましくは第2領域より大きいのがよい。
【0036】
上記には、開口又は凹部を設けて、テーブルの前記構造体への挿入を容易にしてもよいことを述べている。開口又は凹部は、第1展開姿勢のテーブルの幅の100%から110%の間の幅であってもよい。開口又は凹部は、第2展開姿勢のテーブルの幅の100%から110%の間の幅であってもよい。開口又は凹部は、第3展開姿勢のテーブルの幅より狭い幅であってもよい。
【0037】
テーブルは、少なくとも1つのテーブル・リーフを備えてもよい。一又は複数のリーフは、第1座席に着座した乗客が展開して利用可能なテーブルスペースの領域を増大するように設定したものであってもよい。一又は複数のリーフの動作が、それによってテーブルの構成を第2展開姿勢及び第3展開姿勢間で変化させる手段であってもよい。
【0038】
1つの又は各々のテーブル・リーフは、テーブル本体から滑り出すように構成してもよい。1つの又は各々のリーフは、折り畳んだ状態のものを本体から広げてもよい。
好ましくは2つのテーブル・リーフを設けて、テーブルの両側にテーブルスペースを拡張するように設定するのがよい。1つの又は各々のリーフは、テーブルが第1展開姿勢又は第2展開姿勢のときに、本体の上部に設定してもよい。
【0039】
テーブル・リーフの第1側部は、テーブルが第2展開姿勢のときに用いるように設定してもよい。テーブル・リーフの反対側の第2側部は、テーブルが第3展開姿勢のときに用いるように設定してもよい。テーブル・リーフの第1側部の一部は、テーブルが第1展開姿勢のときに用いてもよい。
【0040】
座席配置をそのように構成することにより、テーブルを第1から第3展開姿勢まで、最初に第2展開姿勢を経由通過させることなく移動させるのが可能ではなくなる。
【0041】
テーブルは、構造体から伸び出すと共に、テーブルの展開機構の一部を構成する支持アームによって、少なくとも部分的に支持し、好ましくは十分に支持するように設定してもよい。支持アームは、常に少なくとも一部が構造体に保持されるように設定してもよい。支持アームは、第3展開姿勢のテーブルより狭い幅であってもよい。そのアームは、第1展開姿勢のテーブルより狭い幅であってもよい。支持アームは、単一構造を用いて規定してもよい。あるいは、支持アームは、例えば横方向に間隔を空けた2つの平行な側方アームを備えたような、複数部構造を用いて規定してもよい。
【0042】
テーブルは、好ましくは複数の設定位置を有するように設定するのがよい。テーブルは、好ましくは複数の設定展開姿勢を有し、好ましくは2〜10カ所の設定展開姿勢を有するのがよい。収容姿勢は設定位置であってもよい。テーブルは、例えば有限箇所の設定位置だけを有してもよいが、その設定位置の間でテーブルが取り得る無限箇所の位置があってもよい。テーブルが一の設定位置にあるとき、他の設定位置へのテーブルの移動に対する抵抗が、テーブルが連続する両設定位置の間にあるときの設定位置へのテーブルの移動に対する抵抗よりも大きくてもよい。
【0043】
本明細書に記載した本発明の特徴は、本発明の第1態様に関連する上記説明とは異なる形態で、テーブルを収容する場合に適用してもよい。すなわち、本発明の第2態様として、
第1座席と、
テーブルと、を備え、
テーブルは、構造体内に収容される収容姿勢への移動を可能に設定され、
テーブルは、第1設定展開姿勢への移動が可能とされ、第1設定展開姿勢では、テーブルがその第1領域で、第1座席に着座した乗客の使用に利用可能なテーブルスペースを提供するよう、テーブルの第1部分が構造体内に収容され、テーブルの第2部分が構造体の外に位置し、
テーブルは、第2設定展開姿勢への移動を可能に設定され、第2設定展開姿勢では、テーブルがその第1領域より大きい第2領域で、第1座席に着座した乗客の使用に利用可能なテーブルスペースを提供するよう、テーブルの前記第1部分の少なくとも一部が構造体の外に位置する、航空機の座席配置を提供する。
【0044】
テーブルは、その収容姿勢で、構造体内に完全に収容してもよいことがわかる。しかしながら、テーブルが収容姿勢にあるときに、小さな部分(言うならば、テーブルの利用可能なテーブルスペースの面積の10%未満)が構造体から突出することも、本発明の範囲内である。収容時にテーブルの小さな部分の突出を許容することが、乗客がテーブルを掴んで引き開けるための簡単な方法を提供する。テーブルは、テーブルを掛止及び収容した状態から解放するために、テーブルを押すように設定してもよい。そのために、好ましくはばね式の、押込解放機構を設けてもよい。
【0045】
本発明は、本明細書に記載又は特許請求した発明の任意の態様の航空機の座席配置のテーブルとして、使用するのに好適なように設定及び構成したテーブルをも提供する。
【0046】
本発明は、航空機でテーブルを使用する方法も提供する。その方法は、第1座席に着座した乗客が、テーブルを第1座席の前方に位置する構造体内から使用できる位置まで水平に引き出すステップを含んでもよい。その方法は、乗客が、テーブルを構造体内に水平に押し入れ、例えば、それでテーブルを構造体内に挿入するステップを含んでもよい。その方法は、第1座席に着座した乗客が第1設定構成でテーブルを用い、この第1設定構成で、テーブルが利用可能なテーブルスペースの第1領域を提供するステップを含んでもよい。乗客は、第2設定構成でテーブルを用いてもよく、この第2設定構成では、テーブルが利用可能なテーブルスペースの第2領域を提供する。乗客は、第3設定構成でテーブルを用いてもよく、この第3設定構成では、テーブルが利用可能なテーブルスペースの第3領域を提供する。乗客は、実質的に利用可能なテーブルスペースがないように、テーブルを収容してもよい。第3領域は第2領域より大きくてもよい。第2領域は第1領域より大きくてもよい。乗客のテーブルによる使用(つまり、テーブルをテーブルとして使用すること)は、テーブル上に物体を置くことを含んでもよい。乗客によるテーブルの使用は、テーブルが支持する物体をテーブルから取り除くことを含んでもよい。乗客は、テーブルの使用時に座席に座ってもよい。乗客は、ベッド・モードで座席を使用してもよい。
【0047】
本発明の一態様に関して説明した特徴は、もちろん、本発明の他の態様を組み込んでもよい。例えば、本発明の方法は、本発明の装置を参照して説明した任意の特徴を組み込んでもよいし、その逆もまた同様である。本発明の第2態様は、第1態様に関して説明した任意の特徴を含めることもできる。
【0048】
ここで、本発明の実施形態を単なる例として、以下の内容の添付概要図を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の第1実施形態の座席配置の平面図である。
図2】第1実施形態の座席配置の別の平面図である。
図3】座席が「ベッド・モード」である第1実施形態の座席配置の平面図である。
図4図3のB−B面における第1実施形態の座席配置の断面図である。
図5】乗客が座席を「ベッド・モード」で使用する際の第1実施形態の座席配置の一部平面図である。
図6】乗客が座席を「シート・モード」で使用する際の第1実施形態の座席配置の断面図である。
図7a】第1実施形態の座席配置の一部斜視図で、収容姿勢の2つのテーブルを示す。
図7b】第1実施形態の座席配置の一部斜視図で、収容姿勢の2つのテーブルを示す。
図8a】テーブルが収容姿勢である第1実施形態の座席配置の一部斜視図である。
図8b】テーブルが収容姿勢である第1実施形態の座席配置の一部平面図である。
図9】第1実施形態の座席配置の一部斜視図で、第1展開姿勢のテーブルを示す。
図10】第1実施形態の座席配置の一部斜視図で、第1展開姿勢から第2展開姿勢に移動するテーブルを示す。
図11a】テーブルが第2展開姿勢である第1実施形態の座席配置の一部斜視図である。
図11b】テーブルが第2展開姿勢である第1実施形態の座席配置の一部平面図である。
図12】第1実施形態の座席配置の一部斜視図で、第2展開姿勢から第3展開姿勢に移動するテーブルを示す。
図13a】テーブルが第3展開姿勢である第1実施形態の座席配置の一部斜視図である。
図13b】テーブルが第3展開姿勢である第1実施形態の座席配置の一部平面図である。
図13c図3のB−B面における第1実施形態の座席配置の一部断面図で、第3展開姿勢のテーブルを示す。
図14】第2実施形態の座席配置の平面図で、「シート・モード」の座席を示す。
図15】第2実施形態の座席配置の平面図で、「ベッド・モード」の座席を示す。
図16】第3実施形態の座席配置の平面図で、「シート・モード」の2つの座席を示す。
図17】第3実施形態の座席配置の平面図で、「ベッド・モード」の2つの座席を示す。
図18】肘掛けを異なる高さで設けた第1実施形態の座席配置の一部斜視図である。
図19】肘掛けを同じ高さに設けた第4実施形態の座席配置の一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1図13c及び図18は、収容姿勢と複数の展開姿勢との間で移動可能なテーブルを備えたプレミアム・クラス(例えば、プレミアム・エコノミー・クラス又はビジネス・クラス)用の航空機の座席配置を示す。図1及び図2は、平面図で、4つの座席と4つのコンソールとを示す。すなわち、第1コンソール12の後方の第1座席10と、第2コンソール22の前の第2座席20と、第3コンソール32の後方の第3座席30と、第4コンソール42の前の第4座席40とが存在する。また、第1座席10、第2コンソール22、第3座席30、及び第4コンソール42(列の一端から他端への順)が構成する第1列と、第1コンソール12、第2座席20、第3コンソール32、及び第4座席40(列の一端から他端への順)が構成する第2列とが存在する。第2列は、第1列の前方にある。したがって、第1座席10は、第1コンソール12の直ぐ後方に位置し、第2コンソール22と直に隣接する。
【0051】
座席は、それぞれがベッド・モードに変換可能でもある。図3は、第1座席10b及び第3座席については、このようなベッド・モードを示し、一方で、シート・モードの第2座席20a及び第4座席を示す。
【0052】
図3と、図4が示す断面図(図3のB−B線が示す面で定まる断面図)とを参照するならば、各コンソールは、コンソールの後方に位置する座席の乗客が使用するテーブル50を備えている。第2コンソール22のテーブル50fが、その完全な展開姿勢で図3に示されている。第4コンソール42のテーブル50sが、その収容姿勢で図3に示されている。第1コンソール12は、テーブル50を同様に収容し、そのテーブル50が、第1コンソール12内に挿入された収容姿勢と、第1座席の乗客が使用するよう位置する展開姿勢と、の間で移動可能とされる。テーブルの展開に関するさらなる説明を以下に示す。
【0053】
図4は、テーブル50sが収容姿勢である第4コンソール42を示す。座席は、図4に示すように、頭部クッション62、背部クッション64、座面クッション66、及び脚部クッション68を含むクッションを有している。各コンソールは、コンソールの後方に位置する座席の乗客が使用する足下空間80(例えば、図2図3図4及び図5に示す)を備える。図5は、ベッド・モードの第3座席30bに横たわる95%人間を示す。乗客が両脚を足下空間に伸ばし入れることや、足下空間80の上面80s(図4にも示す)が座席クッション62、64、66、68で定まるベッド面についての延長部として機能することがわかる。従来技術の他の同様な設計と比較した場合の本実施形態の有利な点は、全てのコンソールの足下空間が、その形と大きさにおいて非常に似ているということである。したがって、第1コンソールの足下空間は、第3コンソールの足下空間と実質的に同じ形状を有している。
【0054】
座席配置は、エコノミー・クラスよりも上位の座席クラスの座席配置であり、より広々としている。図6は、種々の寸法を示しており、a=26インチ(660mm)、b=35インチ(889mm)、c=27インチ(686mm)、d=10インチ(254mm)、e=90インチ(2286mm)(45インチ(1143mm)の間隔と等しい)、f=15インチ(381mm)、g=44インチ(1118mm)、h=14インチ(356mm)である(全ての寸法は最も近いインチのほぼ範囲内である)。座面クッションは約20インチ(508mm)の幅であり、列の中で隣接する座席間に約14インチ(356mm)の間隔がある。そのため、その隣接する座席の中心線は互いに約34インチ(864mm)離れている。
【0055】
図7は、第1及び第3コンソール12、32のテーブル50の下方の足下空間80を示す。各コンソールは、IFEモニター90と、その下に位置する水平な収容スペース100をも備える。テーブル50は、収容時に、収容スペース100の直ぐ下に位置し、ほぼ水平な姿勢に向きを合わされる。コンソールは、下側が開放されるが上面及び両側面で区画されて、テーブルを収容する通路を構成する。図7a及び図7bからわかるように、テーブル50の底面は、その収容時に、足下空間80が構成する自由空間に露出する。コンソールは滑動走行部85を備え、その滑動走行部85が、コンソールの足下空間80に対して相対的に固定した位置に取り付けられると共に、テーブルに固定された支持アーム54を滑動可能に支持することで、コンソールに出入りするテーブル50の滑動による並進を可能にする。次に、テーブル50の収容姿勢から多くの異なる展開姿勢への移動を図8a〜図13cを参照して説明する。
【0056】
図8a及び図8bは、第1座席10及び第1コンソール12をコンソール12に収容されたテーブル50sと共に示す。テーブルは、水平方向及び前後方向に対して垂直な後縁部を有する。しかしながら、コンソールは、垂直面に対して傾斜して急角度で曲がる後面を有している。この形状と、テーブルとコンソールの後面との相対位置の結果として、テーブルの非常に小さい部分(コーナー部を含む)がコンソールから突出する(テーブルの前縁部の一部のみが露出する)と同時に、テーブルの大部分はコンソール内に収容されるということがわかる。
【0057】
第1座席10に着座した乗客(図8a及び図8bに示さず)は、テーブルをその突出部分を掴んで、コンソール内からカクテル・テーブルとして機能する第1展開姿勢(図9に示す)まで水平移動させることができる。走行部85又はテーブル50のアーム54のいずれかが戻り止めを有して、走行部85及びアーム54のうちの他方がそれに対応する形状を有し、テーブルが、第1展開姿勢からの移動に対して、収容姿勢と第1展開姿勢との間の位置で生じる動きに対するよりも強く抵抗するようになっている。
【0058】
乗客は、テーブル50を第2展開姿勢(図11a及び図11bに示す)まで引き出すことができ、第2展開姿勢では、テーブル50dがコンソールから十分に伸び出して第2展開姿勢を構成する。この姿勢では、テーブルのアーム54がコンソール12から動き出ている。テーブルは、図10が示す位置を経由して移動する。ここでも、戻り止め構造が設けられ、第2展開姿勢からの移動に対するテーブルの抵抗が、第1及び第2展開姿勢の間の位置で生じる動きに対する抵抗よりも強くなるようにしている。乗客が使用可能なテーブルの面積は、第2展開姿勢のとき、第1展開姿勢と比較して十分に大きくなる(カクテル・テーブル・モードの大きさの150%超)。
【0059】
そして、乗客は、テーブル50のリーフ52を折り畳んだ状態から開いて、テーブルの第3展開姿勢(図13a、図13b及び図13cに示す、図13cは図3におけるA−A線についての横断面)を構成することができ、この第3展開姿勢では、テーブル50fが第2の構成と同じ量だけコンソールから伸び出している。テーブルは、テーブル50の両側縁部にヒンジ固定された2つのリーフ52を有する。第2展開姿勢では、各リーフ52の第1面がテーブルの上面を構成し、それらのリーフが中央(テーブル50の中心線)で接する。第3展開姿勢で、リーフが開いたとき、各リーフ52の第2面(上記第1面の反対側)は、第2展開姿勢の際に、上面をリーフ52で覆われていたテーブルの中心部分56と一緒になって、テーブルの上面を構成する。テーブル50のリーフ52は、図12が示す姿勢を経由して動く。各リーフ52は、ヒンジに隣接するリーフの端面が、ヒンジに隣接するテーブルの中心部分の対応する(反対の)面に当接することによって、水平姿勢に保持される。乗客の使用可能なテーブルの面積は、第3展開姿勢では、第2展開姿勢と比較して十分に大きくなる(第2展開姿勢のときの約2倍の大きさ)。
【0060】
乗客は、もちろん、実質的に水平方向に押すことで、テーブル50をコンソール内に挿入して戻すことができる。テーブル50を挿入する凹部は、リーフ52を閉姿勢に折り戻したときに、テーブル50の周囲にぴったりと合うことがわかる。
【0061】
座席の乗客は、モニターの下の収容部100に加えて、様々な収容領域を利用できる。例えば、コンソールの前端部に位置して鉛直に配置された書類保管スペース75がある(例えば、図5又は図6を参照)。また、棚70もある(例えば、図4図6及び図8aを参照)。
【0062】
上記の第1実施形態は、もちろん、一列当たりにより少ない品目を備えた配置のものを提供してもよい。例えば、図14及び図15は、第2実施形態の航空機の座席配置を示し、この配置では、各列が1つの座席と1つのコンソールのみを備えている。このような配置は、客室の外側部分で用いてもよい。図14はシート・モードの座席110sを示し、一方、図15は同じ座席110bのベッド・モードを示す。展開可能なテーブル150は、コンソール本体に挿入された収容姿勢で示されている。
【0063】
図16及び図17は、第3実施形態の航空機の座席配置を示し、この配置では、各列に3つの品目がある。第1、第2及び第3座席210、220、230と、第1、第2及び第3コンソール212、222、232とが示されている。その列は、すなわち、(a)2つの座席(例えば、第1及び第3座席210、230)及び1つのコンソール(第2コンソール222)と、(b)1つの座席(例えば、第2座席220)及び2つのコンソール(例えば、第1及び第3コンソール212、232)とを、交互に備える。そして、図16は、第2コンソール222で仕切られた第1座席210及び第3座席230を有する第1列と、第1及び第3コンソール212、232が第2座席220で仕切られた第2列と、を示す。図17は、ベッド・モードの第1及び第3座席210b、230bと、背後の座席に着座した乗客が使用するよう完全に展開した姿勢の第2コンソールのテーブル250fと、を示す。
【0064】
第4実施形態を図19に示して、航空機座席組立品の第1〜第4座席及び第1〜第4コンソールの斜視図を示す。第4実施形態の際立った特徴の理解を助けるために、第1実施形態の航空機座席組立品を同じ視点で見た図を図18に示す。図18は、通路側の座席について、両側の肘掛けが異なる高さであることを示している。そして、隣接するコンソールが第1肘掛け部を備え、座席自体が第2肘掛け部を備えている。第1肘掛け部の高さは、通路に求められる空間のため、ある限度よりも高くすることができない。しかしながら、コンソールは、その上面が平らであるべきなら、背後の座席のために、その内部に収容するテーブルを受け入れるために、ある程度の高さでなければならない。これらの相反し得る要求に対する解決策は、図18に示すように、肘掛けを異なる高さで設けることである。代わりの解決策として、第4実施形態が提供する解決策は、図19に示すように、コンソールの上面の肘掛け部と残余部との間に段差を設けることによって、座席の両肘掛け部を実質的に同じ高さにすることである。
【0065】
本発明を具体的な実施形態を参照しつつ記述及び説明したが、当業者には、本明細書に具体的に説明していない多くの異なる変形例に対しても、本発明を適用できることが理解できる。単に例示を目的として、ある可能な変形態様をここに説明する。
【0066】
テーブルをその底面が足下空間に露出するような凹部で定まる通路に挿入する代わりに、その通路を、テーブルの底面と足下空間との間に防壁を設けるような下面を備えた閉じた通路として形成することができる。通路が開口の形態である場合、テーブルは、コンソールの細長い隙間の形状の開口を通してコンソール内に挿入してもよい。
【0067】
座席が客室の範囲の最前席である場合、前述したのとほぼ同じ方法で、ただし、コンソールよりもモニュメントを座席の前に用いてテーブルを配置することが有益であり得る。
【0068】
前述の説明で言及した値や構成要素に、公知、自明又は予測可能な等価物がある場合、その等価物は、個別に説明しているかのようにして、本明細書に組み込まれる。本発明の正確な範囲を決定するため、特許請求の範囲に対して、上記のような等価物のいずれをも包含するよう解釈する論及がなされるべきである。好ましい、有利である、便利である、などのように記載した本発明の値や特徴は、選択的なものであって、独立請求項の範囲を限定するものではないこともわかる。さらに、そのような選択的な値や特徴は、本発明のある実施形態で有益であり得ても、他の実施形態では望ましくないこともあり、それ故に、それを欠いてもよいことを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10
図11a
図11b
図12
図13a
図13b
図13c
図14
図15
図16
図17
図18
図19