(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
サスペンションが前記ナノマテリアルを含むとき、前記医療用デバイスに組み込まれたナノマテリアルをかくはんして、前記ナノマテリアルが前記チューブに滞留するのを防止する手段をさらに有する、請求項8に記載の画像生成システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本原理により、医療用装置を変更(modify)してその装置の表面上にまたはその中に組み込まれた追加的材料のレイヤを有するシステム、装置、及び方法が提供される。一実施形態では、ナノマテリアルを利用する。特定波長に対する吸収特性を有するナノマテリアルを選択してもよい。医療行為などの際、関心領域(region of interest)に電磁場をかける。この電磁場に応じて、ナノマテリアルが、入射電磁波の衝撃により音響シグネチャを発生し、その音響シグネチャが音響ディテクタを用いて検出される。
【0011】
特に有用な実施形態では、利用されるナノマテリアルには、例えば、カーボンナノチューブ、ナノロッド、またはナノスフェアが含まれる。他の実施形態では、2つの周波数での電磁放射を用いて、患者内にある医療用装置の位置をより正確に推定する画像減算法が利用される。
【0012】
言うまでもなく、本発明は、医療用機器に関して説明されるが、本発明の教示はそれよりも広く、複雑な生物学的または機械的システムをトラッキングまたは分析する際に利用される任意の機器に適用可能である。具体的に、本原理は、生物学的システムの内部トラッキング行為に適用可能であり、肺、消化管、排泄器官、血管などの人体のすべてのエリアにおける行為に適用可能である。図面に示した、特に
図4に示した要素は、ハードウェアとソフトウェアの様々な組合せで実施でき、複数の機能を提供でき、これらの機能は、単一の要素または複数の要素にcombineできる。
【0013】
図示した様々な要素の機能は、専用ハードウェアを用いても、ソフトウェアを実行可能なハードウェアと適当なソフトウェアとを組み合わせても提供できる。プロセッサにより提供される場合、機能を単一の専用プロセッサで提供してもよいし、共有された単一のプロセッサで提供してもよいし、一部が共有された複数の個別プロセッサで提供してもよい。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語を明示的に使用した場合、ソフトウェアを実行できるハードウェアのみをいうと解釈してはならず、限定はされないが、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ソフトウェアを記憶するROM、RAM、不揮発性記憶装置等を黙示的に含んでもよい。
【0014】
さらに、本発明の原理、態様、実施形態、及びその実施例のすべての記載は、その構成的等価物及び機能的等価物の両方を含むものである。また、かかる均等物は、現在知られている均等物及び将来開発される均等物を含み、すなわち、構成にかかわらず同じ機能を発揮する開発されるすべての要素を含む。このように、例えば、当業者には言うまでもなく、ここに説明したブロック図は本発明の原理を化体するシステムコンポーネント及び/または回路を概念的に示すものである。同様に、言うまでもなく、フローチャート、フロー図等は、様々な方法(processes)を表し、これらの方法をコンピュータ読み取り可能記憶媒体に実質的に表しても、明示的に示していようがいまいがコンピュータやプロセッサで実行してもよい。
【0015】
さらに、本発明の実施形態は、コンピュータや命令実行システムにより使用されるプログラムコードを提供するコンピュータ利用可能媒体またはコンピュータ読み取り可能媒体からアクセスできるコンピュータプログラム製品の形体を取りうる。本開示の目的では、コンピュータ使用可能またはコンピュータ読み取り可能媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスにより、またはそれらに関して使用される、プログラムを包含、格納、伝達、伝送、搬送できる任意の装置である。 この媒体は、電子的媒体、磁気的媒体、光媒体、光磁気媒体、赤外線媒体、半導体システム(または装置やデバイス)、伝達媒体などである。コンピュータ読み取り可能媒体の例としては、半導体または固体メモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、固定磁気ディスク、光ディスクなどがある。光ディスクの例としては、コンパクトディスク−リードオンリメモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク−リード/ライト(CD−R/W)、及びDVDなどがある。
【0016】
ここで図面を参照する。図中、同様の数字は同一のまたは同様の要素を表す。最初に
図1を参照して、一実施形態による医療用装置100の一部の断面図を示す。装置100は、カテーテル、ガイドワイヤ、内視鏡、プローブ、ロボット、電極、フィルタ装置、バルーン装置、ニードルその他の医療用コンポーネントなどを含む。装置100は、キャビティ104を構成する装置面または壁102を含む。マテリアルレイヤまたはボリューム106は、装置壁または面102の外側に構成される。レイヤ106は、医療用画像中における医療用装置100の可視化を支援する構成(composition)を含む。
【0017】
一実施形態では、レイヤ106は、レイヤ106中に及び/またはレイヤ106上にsuspendされたナノマテリアル108を含む。ポリマーマテリアルにはプラスチック、エポキシ、接着剤、レジン、ペイントなどが含まれ得る。ナノマテリアルサスペンションは、ソリッドマトリックスにモールドされ、または組み込まれ、デバイス壁102の表面中に形成され、または表面上にデポジットされる。サスペンドされたナノパーティクルを有するソリッドマトリックスは、PVAマトリックス、アガロースゲル、その他のポリマーゲルを用いて、またはシリコンを用いて生産できる。
【0018】
ナノマテリアル108は、シングルウォールまたはマルチウォールのカーボンナノチューブ、金属ナノロッド、ナノスフェア、ナノケージ、入射波長に依存する光学特性を有する量子ドット、または同様のコンポーネントを含み得る。ナノマテリアル108は、画定された波長において吸収または散乱のピークを有するものが選択される。医療行為中、関心エリアに電磁場がかけられる。レイヤ106のナノマテリアル108は、入射電磁波とナノマテリアル108との相互作用により、患者内の周囲の組織とは異なる電磁的シグネチャまたは音響シグネチャを発生する。検出方法は、光音響、光学的後方散乱画像化、体外のまたは内視鏡受信器を用いた熱音響などを使うことができる。適用可能な電磁放射の例としては、画定波長の赤外線場を用いることができる。この実施例では、アスペクト比が5.9であり、入射波長が1000nmの金ナノロッドのレイヤを用いることができる。このようにして、ナノロッドが励起され、可視の及び/または測定可能な応答をする。この応答を用いて、患者内のデバイス100を正確に位置特定することができる。
【0019】
金属ナノスフェア、ナノロッド、カーボンナノチューブなどのナノマテリアル108の電磁波吸収スペクトルは、材料のジオメトリに依存する。エキシトン、フォノン、プラズモンなどの擬粒子の振る舞い、及びこれらと入射波とのインターラクションも、吸収スペクトルに大きく影響する。その他の、ナノマテリアル108のドーピングや合金化などの変化も、その吸収スペクトルに大きく影響する。
【0020】
例えば、金属ナノパーティクルによる電磁波の吸収の物理的期限は、電磁場により誘起される伝導帯電子のコヒーレント振動である。これらの共鳴は表面プラズモンと呼ばれる。局所的な表面プラズモン共鳴は、粒子の物理的な大きさ、周囲の媒体の誘電率、ナノストラクチャの形状に依存する。
【0021】
カーボンナノチューブ(CNT)は、グラフェンと呼ばれる平面シートをチューブ状の構造に巻いて構成された炭素原子を有する構造を含む。CNTはシングルウォールまたはマルチウォールに分類できる。シングルウォールCNTのサイズは、直径が約1nmであり、長さが数百ナノメートルから数百マイクロメートルである。CNTは特別な電気的、熱的、及び機械的特性を有する。CNTによる電磁放射の吸収は、ジオメトリにより、具体的には直径とキラリティー(ツイスト)により、及び周辺媒体の誘電特性により決まる。
【0022】
CNTの吸収スペクトルは、そのバンドギャップ特性により記述される。CNTはダイレクトバンドギャップマテリアルであり、その光学的スペクトルは、バレンス及びコンダクションバンドにおけるエネルギー状態間の遷移による吸収スペクトルの通常のvan Hove吸収によるものと、長い間考えられていた。しかし、他の現象が、具体的には、これらの擬1次元系におけるエキシトン(電子・ホールペア)の振る舞いが、光学吸収特性の大部分を占めている。
【0023】
CNTは、エキシトン状態遷移に対応する明確な吸収ピークを有する。また、ドーピングをして、CNTの吸収ピークを大きくする(significantly tune)こともできる。CNTの吸収特性を、画像化に都合良く用いることができる。例えば、CNTは近赤外波長の放射を吸収するが、この波長では組織による固有の吸収が最低である。このように、CNTは、有効な光音響造影剤として利用できる。
【0024】
カーボンナノチューブ(CNT)の場合、πプラズモン共鳴はナノチューブの直径とともに、経験的には
【数1】
のように変化する。ここで、E
nはエネルギーであり、dはナノチューブの直径である。
【0025】
ナノマテリアル108の他の形式にはナノスフェア(nanospheres)が含まれる。ナノスフェアは、例えば金を含む。かかる材料の吸収スペクトルも、サイズやアスペクト比などのジオメトリに、及びプラズモン(自由電子ガス密度の振動)の振る舞いに依存する。直径が数十ナノメートルの金ナノスフェアは、約550nmのところに吸収ピークを示す。サイズが大きくなると、光吸収ピークは可視スペクトルの赤色端に向けてシフトする。単元素金属ナノスフェアの場合、サイズが大きくなるにつれて赤方向にシフトするという一般的なトレンドとともに、その金属ナノスフェアのピーク吸収はそのサイズに弱く依存する。例えば、サイズが22および99nmの金ナノスフェアでは、ピーク吸収波長はそれぞれ520nmと575nmである。
【0026】
球形ナノパーティクルの吸収ピークを決定するその他の強い要因は、他の金属を加えて合金を形成することである。金銀合金ナノパーティクルのピーク吸収スペクトルは、金モル比率が小さくなると、青シフトする(波長が短くなる)。例えば、金モル比率がゼロに近いとき、ピークスペクトルは約400nmであるが、金モル比率が0.5になると450nmに長くなり、さらにモル比率が0.80になると500nmに長くなる。このように、ナノスフェアは、そのサイズと合金化により調整して、特定のピーク吸収スペクトルを作り出すことができる。
【0027】
合金ナノスフェアの場合、合金の形成を用いて、ピーク波長を幅広く選択することができる。18nm金銀合金ナノスフェアのピーク波長の決定は、λ
max=130χ
Au+390を用いて行うことができる。ここで、λ
maxはnm単位のピーク吸収波長であり、χ
Auは金のモル比率である。
【0028】
ナノマテリアル108の他の形式にはナノロッド(nanorods)が含まれる。ナノスフェアと対照的に、例えば、金ナノロッド(すなわち、円筒形の金ナノパーティクル)のピーク吸収波長は、その直径には弱く依存するだけであるが、そのアスペクト比とともに非常に長くなる。例えば、平均アスペクト比が5.9と3.7の金ナノロッドは、それぞれ1000及び785nmのピーク光吸収を示す。
【0029】
例えば、単元素金属ナノロッドの場合、金はその生物学的適合性のため、材料として選択される。金属ナノロッドのピーク吸収波長は、λ
max=33.34ε
mR−46.31ε
m+472.31により与えられる。ここで、λ
maxはnm単位のピーク波長であり、ε
mは周辺媒体の誘電率であり、Rはロッドの長さを幅で割ったアスペクト比である。このように、吸収のピーク波長は、アスペクト比とともに、及び媒体の誘電率とともに線形に変化する。好ましいピーク波長は、赤外領域における人体組織の光学窓に、例えば650乃至1200nmに入るように選択できる。周辺媒体の誘電率が分かっている場合(例えば、ε
m=3)、この値を上式に入れて、ピーク波長をアスペクト比Rの関数として決定できる。媒体の誘電率はアスペクト比の関数であり、単調減少関数としてモデル化できる。
【0030】
合金ナノロッドの場合、光学特性は合金組成と長さの関数として変化する。縦モードと横モードを含む複数の共鳴がある。一例として、横モードを画像化に用いることができるが、それは長さが決まれば、これらのピークが合金組成の関数として変化するからである。ピーク縦モード波長(nm)は、金モル比率χ
Auの関数として、λ
max=149χ
Au+360のように変化する。
【0031】
縦モードは差分画像化にも用いることができるが、それはこれらの波長がロッド長(または、同じ事であるが、一定サイズの場合のアスペクト比)の関数として変化するからである。金が65%モル比率である場合、ピーク縦波長は、長さが123nmの場合の716nmから、長さが328nmの場合の1467nmまで赤シフトする。
【0032】
ナノマテリアル108は、スペクトル共鳴を示すのに加え、生物学的組織とは本質的に異なる光学特性を有し、これにより光コヒーレンストモグラフィなどの画像化モダリティによりコントラストメカニズムを提供する。かかる状況では、ナノマテリアル108は散乱造影剤として利用される。
【0033】
ナノマテリアル108は、電磁波吸収特性を調整する複数の方法とマテリアルを提供する。医療画像化アプリケーションではこれらの特性を都合良く用いて、画像コントラストと不透過率を提供することができる。例えば、近赤外波長ではほとんどの生物学的組織の固有吸収は低いので、例えば、血液中では、ナノマテリアルが光学造影剤となる。また、ナノマテリアル108の吸収特性により、光音響効果が生じ、画像化超音波スキャナを用いてこれを検出することができる。
【0034】
図2を参照するに、他の実施形態による他の医療用デバイス200を示す。デバイス200は、デバイス100と同じ形状である。デバイス200は、デバイス壁205の一部または全部を囲む同心チューブ202を含む。同心チューブ202は、デバイス壁205とチューブ202との間の環状キャビティ206を形成している。環状キャビティ206は、ナノマテリアルサスペンション208中のナノマテリアル108で満たされている。キャビティ206中のサスペンション208の液体は、水、生理食塩水、その他の生物適合的材料を含む。ナノマテリアルサスペンションは、循環/かくはんデバイス210を用いて、ナノマテリアル108の滞留を防止するため、循環される。循環/かくはんデバイス210は、外付けポンプ、振動デバイス、強磁性粒子をかくはんすることによる電磁かくはんデバイスなどのうち一または複数を含む。言うまでもなく、循環/かくはんデバイス210は、医療行為中、デバイス200に配置されてもよいし、患者の外部に配置されてもよい。
【0035】
他の実施形態では、デバイス200の内部キャビティ212は、環状キャビティ206の替わりに、または環状キャビティ206に加えてナノマテリアルサスペンション208で満たされる。
【0036】
図3を参照するに、他の実施形態による他の医療用デバイス300を示す。デバイス300は、医療用デバイス300の長さまたはその一部にわたるチューブ302を含む。また、チューブ302は、デバイスを(コイル状に、スパイラル状に、またはその他の構成で)包み込んでいてもよい。チューブ302はナノマテリアルサスペンション208を運ぶ。
【0037】
ナノマテリアルサスペンション208は、循環/かくはんデバイス210を用いて、ナノマテリアル108の滞留を防止するため、循環される。循環/かくはんデバイス210は、外付けポンプ、振動デバイス、強磁性粒子をかくはんすることによる電磁かくはんデバイスなどのうち一または複数を含む。言うまでもなく、循環/かくはんデバイス210は、医療行為中、デバイス300に配置されてもよいし、患者の外部に配置されてもよい。
【0038】
図4を参照するに、医療行為を実行するシステム400を示す。システム400は、行為を管理するワークステーションまたはコンソール412を含む。ワークステーション412は、好ましくは、一または複数のプロセッサ414と、プログラムとアプリケーションを記憶するメモリ416とを含む。メモリ416は、医療用デバイス402(403)のナノマテリアルレイヤまたはサスペンション404(405)からの電磁的及び/または音響的フィードバックを解釈するように構成されたデバイスセンシングモジュール415を記憶している。センシングモジュール415は、信号フィードバック(及びその他の任意のフィードバック)を用いて、医療用画像中において、場所を特定し、または医療用デバイス402(または403)を描くように構成されている。医療用デバイス402(403)は、カテーテル、ガイドワイヤ、内視鏡、プローブ、ロボット、電極、フィルタ装置、バルーン装置、ニードルその他の医療用コンポーネントなどを含む。ワークステーション412は、画像化システム410を用いて被験者の内部画像を見るディスプレイ418を含む。画像化デバイス410は、光コヒーレンストモグラフィ、共焦点顕微鏡法、光音響などの画像化モダリティを含む。また、画像化システム410は、例えば、磁気共鳴画像化(MRI)システム、蛍光透視法システム、コンピュータ断層撮影(CT)システム、超音波システム、または励起されたナノマテリアルを見ることができるその他のシステムなどを含む。また、ディスプレイ418により、ユーザは、ワークステーション412及びそのコンポーネント・機能とインターラクトできる。これは、さらにインタフェース420により促進される。インタフェース420は、キーボード、マウス、ジョイスティック、その他の、ユーザがワークステーション412とインターラクトできるようにする周辺機器やコントロールを含み得る。
【0039】
ワークステーション412は、所定波長の励起エネルギーを供給する一または複数のエネルギーまたは励起源406を含む。あるいは、一または複数の励起源406は、デバイス403(または402)に組み込まれて、入射する放射が人体/被験者448の外部の放射源から供給される必要がないようにしてもよい。励起波長を選択し、この波長に感度があるようにナノマテリアルを調整する。これは医療行為の場で、または事前に、行うことができる。エネルギー源406は、赤外線、X線、可視光線などの形式の電磁エネルギーを供給する。ナノマテリアルの吸収スペクトルは、励起に対して測定可能な応答をするように適宜調整される。センサユニット408を用いて、ナノマテリアル404(405)から戻る電磁エネルギーまたは音響エネルギーを検出する。これにより、エネルギー放射を決定でき、そのエネルギー放射を用いてデバイス402の形状及び/または方向を解釈できる。信号は、医療行為を調整するまたは行うためのフィードバックとして利用する。センサユニット408は、光検出器、超音波センサ(プローブ)、またはその他のセンサデバイスを含む。
【0040】
ナノマテリアルがサスペンション(suspension)中にある場合、循環またはかくはんデバイス422を用いてサスペンションをミックスまたはかくはんし、ナノマテリアル(404、405)の滞留を防止する。画像化システム410は、リアルタイムのイントラオペレーティブ(intra-operative)画像化データの補正をできる。画像化データがディスプレイ上に表示され、センシングモジュール415がリアルタイム画像内のエネルギー放射位置を計算する。(ナノマテリアル404からのフィードバックを用いて)医療用デバイス402のデジタルレンダリングを表示して、リアルタイム画像に対するデバイス402の位置を示す。デジタルレンダリングは画像処理モジュール417により生成される。一実施形態では、画像化システム410は、超音波システムを含み、ナノマテリアル404からの放射は本質的に音響的である。このように、解剖学的画像とデバイス画像の両方が同時に表示される。
【0041】
他の有用な実施形態では、侵襲的アプリケーションは、被験者448の内部で2つの医療用デバイスを用いる。例えば、一方のデバイス402は、ガイドカテーテルを含み、ある点に配置され、他方のデバイス403は、そのカテーテルの長さに沿った一定の/異なる点でのアブレーション(ablation)またはバイオプシー(biopsy)を行う針を含む。デバイス402はナノマテリアル404を含み、デバイス403はナノマテリアル405を含む。この例では、ナノマテリアル404と405は2つのタイプが異なるナノマテリアルであり、ピーク吸収波長も異なる。ナノマテリアル404はガイドカテーテルの画像化に用いられ、ナノマテリアル405は針の画像化に用いられる。
【0042】
医療行為中、ナノマテリアル404は第1の波長により励起され、ナノマテリアル405は異なる波長により励起される。このように、ナノマテリアル404はカテーテルの位置を決定するのに用いられ、一方、ニードル上のナノマテリアル405はそのカテーテルに対してニードルを正確に位置付けするために用いられる。
【0043】
他の一実施形態では、画像減算法を用いて、組み込まれたナノマテリアル404を用いてデバイス402の位置をより正確に推測する。ナノマテリアル404の吸収スペクトルは先験的に既知であり、組織成分の吸収スペクトルは未知であるから、吸収係数が組織の吸収係数に類似した2つの周波数を選択し、一方、その2つの周波数におけるナノマテリアル404の吸収が異なるようにする。患者または被験者448は、最初に第1の周波数にさらされ、これによりナノマテリアル404による第1の応答(放射)が得られ、第1の画像に記録される。次に、患者は、第2の周波数にさらされ、これによりナノマテリアル404による第2の、異なる応答(放射)が得られ、第2の画像に記録される。次に、画像処理モジュール417が、第1の画像から第2の画像を減算して、ナノマテリアル404のみに関し、それゆえ医療用デバイス402の位置に関する情報を生成する。
【0044】
この方法は、上記の実施形態のいずれか、及びすべてとともに利用して、デバイス402、402など(例えば、カテーテル、ニードルなど)の位置を推測できる。ナノマテリアル404、405の画像化の場合、電磁放射の入射波長は、ナノマテリアルとそのジオメトリに依存する。例えば、平均アスペクト比が5.9と3.7の金ナノロッドは、それぞれ1000及び785nmのピーク光吸収を示す。画像化デバイス410は、表示できるナノマテリアル404、405を提供する。
【0045】
図5を参照するに、一実施形態によるナノマテリアルの画像化方法を示す。ブロック502において、電磁放射の所定波長(または周波数)に応答するようにナノマテリアルの組成を選択し、調整する。この調整には、ここに説明したように、材料タイプ(例えば、ナノスフェア、ナノチューブCNTなど)、材料選択(例えば、金、グラファイトなど)、ジオメトリ選択(例えば、サイズと形状)、ドーパント濃度などが含まれる。ブロック503において、ナノマテリアルの組成を一または複数の医療用デバイスまたは機器に組み込む。ナノマテリアルは、同じ吸収スペクトルを有する複数の材料を含んでもよいし、異なる吸収スペクトルを有する複数の材料を含んでも良い。一実施形態では、異なるナノマテリアルのそれぞれが異なるデバイスに一意的に関連していてもよいし、同一デバイスが異なる波長/周波数に応答する複数のナノマテリアルを含んでいてもよい。ブロック504において、医療行為中、一または複数の医療用デバイスが患者(例えば、ほ乳類)に導入される。
【0046】
ブロック506において、一または複数のタイプのナノマテリアルの励起周波数に対応する電磁周波数を選択的に印加して、ナノマテリアルを励起する。ブロック508において、ナノマテリアルからの応答輻射から画像情報が収集される。輻射は、最も低い電磁励起周波数に応じるものである。画像情報は、患者の解剖学的/医療用画像において一または複数の医療用デバイスを位置特定するために用いることができる。
【0047】
ブロック510において、他の一実施形態では、一デバイスのまたは複数のデバイスの複数の電磁励起周波数の画像情報を取得する。この例では、デバイスは2つの区別できる励起周波数を有するナノマテリアルを含む。好ましくは、ナノマテリアルによる第2の周波数応答は、第1の周波数と比較して異なり、これらの応答は周辺領域とは異なる。例えば、第1の、第2の応答等は、周辺組織の応答と異なり、組織応答はすべての励起周波数で実質的に同じである。
【0048】
ブロック512において、デバイスのナノマテリアルに一意的な画像情報を取得するため、第1と第2の画像が互いに減算される。これにより、患者内の医療用デバイスの位置を特定する。かかる情報を用いて、例えばカテーテル、ニードルなどの位置を推測する。減算には、単純な画素値の減算を含むが、任意の有用な画像処理方法を用いることができる。
【0049】
ブロック514において、デバイスの位置を他の医療用画像にオーバーレイして、技術者や医師に、デバイス位置を特定し医療行為を実行するのに有用なロケーションツールを提供できる。かかる行為には、例えば、カテーテル、スコープ、ニードルなどを用いる侵襲的行為が含まれ、例えば、心臓カテーテル法、カテーテル検出、アブレーション中のトラッキングとポジショニング、組織バイオプシーのガイドのためのニードル可視化、最小侵襲手術(内視鏡)における他の機器の可視化などが含まれる。
図6を参照するに、他の一実施形態による所望の特性を有するカテーテルを構成して使用する他の方法を示す。ブロック602において、関心組織(入射波長における人体組織特性)による吸収が最小な波長を選択する。人体組織の場合、650nm−1200nmが望ましい(これは、光が組織への最大侵入深度を有する700−900nmの近赤外ウィンドウを含む)。医療用デバイス(例えば、カテーテルやニードル)が人体の表面または外側にある場合、他の波長を選択してもよい。
【0050】
ブロック604において、これらの波長または周波数で最もよい吸収をするナノマテリアルを特定する。粒子サイズ、形状などを選択する。これらのナノマテリアルは、さらに、最適な生物適合性を有するものをスクリーニングする。ナノマテリアルの選択は上記の通り行える。
【0051】
ブロック606において、医療用デバイス(例えば、カテーテル)を、その表面にナノマテリアルをコーティング、レイヤリング等することにより、または医療用デバイスをここに開示した一または複数の実施形態によるデバイスを形成することにより、構成する。粒子を励起する電子放射源は、デバイスの外に設けてもよいし、(医療行為中にそのデバイスを利用する人体の外部の放射源から放射を供給しなくもよいように)カテーテルのデザインに組み込んでもよい。高出力赤外(IR)発光ダイオード(LED)を用いて励起してもよい。
【0052】
ブロック608において、デバイスの入射によりナノマテリアルにより発生する光音響信号その他のフィードバックを、人体表面上の超音波プローブやその他のセンサでトラッキングすることもできる。
【0053】
添付した請求項の解釈において、以下のことを理解すべきである:
a)「有する」という用語は、請求項に上げられたもの以外の構成要素やステップの存在を排除するものではない;
b)構成要素に付された「1つの」、「一」という用語は、その構成要素が複数あることを排除するものではない;
c)請求項中の参照符号はその請求項の範囲を限定するものではない;
d)同一のアイテム、ハードウェアまたはソフトウェアにより実施された構造、もしくは機能により、幾つかの「手段」を代表してもよい;
e)特に断らなければ、動作(act)の順序を指定するものではない。
【0054】
ナノマテリアルを用いるリアルタイム医療用デバイス可視化の方法及びシステムの好ましい実施形態(これらは例示であって限定ではない)を説明したが、当業者は上記の教示を考慮して修正や変形をすることができることに留意すべきである。それゆえ、当然のことながら、添付した請求項により規定されるここに開示した実施形態の範囲内における、開示した開示の実施形態を変更することができる。特許法により要求される詳細と具体性をもって説明した。特許証により請求され保護を求めるものは、添付した請求項に記載されている。