【実施例】
【0116】
実施例1
インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の合成調製
実施例1A
【0117】
インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体:式(I)の化合物:R
1=水素、R
2=水素、R
3=ヒドロキシル、そして
は、炭素−炭素二重結合である。溶液相。トリプタミン塩酸塩(3.6mg)を、50ml丸底フラスコに取り、200μlの蒸留水に溶解させた。この溶液を、200μlのアンモニアを添加することにより中和し、塩基性にした。過剰のアンモニアを窒素流れ下で除去した。
【0118】
典型的な実験において、丸底フラスコ中のそのように調製されたトリプタミン(2.85mg)を、20mlの無アルデヒドエタノールに溶解させた。ウィタフェリンA(9.4mg)をこの溶液に添加し、混合物を1時間還流させた。1時間後、混合物を冷却させ、1種または複数種の複合体の同定のためにHPTLCおよびHPLC分析に供した。
【0119】
トリプタミン−ウィタフェリンA複合体のHPTLC比較分析。トリプタミン−HClおよびウィタフェリンAと共に、トリプタミン−ウィタフェリンA複合体のHPTLCを、Merck KGaA;1.05554.0007 プレコートTLCアルミニウムシート シリカゲル60F
254プレート上で行った。試料を2mg/mlの濃度でエタノールに溶解させ、CAMAG Linomet IV TLCアプリケーターを用いてそのTLCプレート上に適用した。これらのプレートを、クロロホルム:メタノール(90:10)を移動相として用いて二槽式チャンバー中で展開させた。これらのプレートの濃度計評価を、(エールリッヒスプレー試薬による誘導体化後に)CAMAG TLC Scanner 3によってλ=254nm、366nmおよび660nmにて行った。CAMAG winCATSソフトウェア(バージョン1.3.4)によって走査データを処理した。その後、トリプタミン−ウィタフェリンA結合化合物を同定するために、プレートを走査して、200〜400nmの間における各スポットのUV反射スペクトルを測定した。
【0120】
254nmにて:HPTLC(溶出R
f、相対存在量%):トリプタミン(0.01、24.40%);インドールアルキルアミノ複合体スポット1(0.46、6.53%);インドールアルキルアミノ複合体スポットスポット2(0.42、4.09%);インドールアルキルアミノ複合体スポット3(0.23、24.14%);ウィタフェリンA(0.65、40.84%)。UVλmax nm(吸収):インドールアルキルアミノ複合体スポット1:234(0.95)、297(0.59);インドールアルキルアミノ複合体スポット2:231(0.95)、293nm(0.64);インドールアルキルアミノ複合体スポット3:234(0.94)、295nm(0.58)。
【0121】
インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体:式(I)の化合物:R
1=水素、R
2=水素、R
3=ヒドロキシル、そして
は、炭素−炭素二重結合である。固体表面での調製。表題の化合物をアルミナの周りへの吸着によって調製した。
【0122】
1A.1.トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率に対するトリプタミンおよびウィタフェリンAのモル比の影響
トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率に対する反応物(トリプタミンおよびウィタフェリンA)のモル比の影響を、固体中性アルミナ表面上で測定した。異なる比(1:1.5、1:2、1:3)のトリプタミン:ウィタフェリンAを用いて実験を実施した。典型的な反応において、トリプタミン−HCl(16mg)を秤量し、コニカルフラスコに取り、0.2mlのMillipore脱イオン水に溶解させた。この溶液に、0.2mlのアンモニア溶液を添加し、アンモニア臭が消えるまで混合物を蒸気浴上で温めた。そうして形成されたトリプタミンを、5mlのエタノールに溶解させた。このトリプタミンのエタノール溶液に、(1:1.5のトリプタミン:ウィタフェリンAのモル比を守るように)70.5mgのウィタフェリンAを添加した。この溶液をペトリ皿に取り、(1:10の試料:アルミナ比を守るように)1100mgのアルミナをその溶液に添加して、トリプタミン−ウィタフェリンA混合物をアルミナ床の周りに吸着させた。この床を、覆いおよび振盪なしに、24時間にわたり室温で維持した。別の2組の実験は、2つの異なる比のトリプタミンおよびウィタフェリンA(トリプタミン 16mg:ウィタフェリンA 94mg;トリプタミン 16mg:ウィタフェリンA 141mg)を用いて上記のように実施した。24時間後、試料を含有するアルミナ床をコニカルフラスコに取り、5分間一定の振盪を与えながら50ml(25ml×2)のメタノールで溶出させた。このメタノール溶液を濾過し、40℃にて回転蒸発器により減圧下で蒸発させた。異なる比のもとでそのように形成されたトリプタミン−ウィタフェリンA複合体を、包括的なHPTLC分析に供した。その結果を表Aに組み入れる。酸化アルミニウムは、活性型(active)の、中性の、活性度I〜II(Merck Specialities Private Limited,Mumbai,India)のものであった。
【0123】
複合体のHPTLC分析
トリプタミン−HCl、5−メトキシトリプタミンおよびウィタフェリンAと共に、反応生成物のHPTLC分析を、Merck KGaA;1.05554.0007 プレコートTLCアルミニウムシート シリカゲル60F
254プレート上で行った。試料(各1mg)を、2mg/mlの濃度で500μlのエタノールに溶解させ、CAMAG Linomet IV TLCアプリケーターを用いてそのTLCプレート上に適用した。これらのプレートを、クロロホルム:メタノール(95:5)を移動相として用いて二槽式チャンバー中で80cmまで展開させた。これらのプレートの濃度計評価を、(エールリッヒスプレー試薬による誘導体化後に)CAMAG TLC Scanner 3を吸光および蛍光(366nmの場合)モードで用いてλ=254nmおよび660nmにて行った。CAMAG winCATSソフトウェア(バージョン1.3.4)によって走査データを処理した。その後、インドールアルキルアミノ−ウィタフェリンA複合体を同定するために、プレートを走査して、200〜400nmの間において各スポットのUV反射スペクトルを測定した。
【0124】
上記の研究からの結果は、トリプタミン:ウィタフェリンAの1:2のモル比がトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の合成のための最適比として見出されたことを示している。したがって、1:2のトリプタミン:ウィタフェリンA比を用いて、さらなる実験を次のように実施した。
【0125】
1A.2.トリプタミノーウィタフェリンA複合体の収率に対する固体表面(アルミナ)のpHの影響
トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率に対する固体表面(アルミナ)のpHの影響を、酸性アルミナ(酸化アルミニウム活性型、酸性、活性度I〜II(Loba Chemie Private Limited,Mumbai,India)pH3.5〜5.0)、中性アルミナ(酸化アルミニウム活性型、中性、活性度I〜II、pH6.8〜7.8(Merck Specialities Private Limited,Mumbai,India))および塩基性アルミナ(酸化アルミニウム活性型、塩基性、活性度I〜II(Loba Chemie Private Limited,Mumbai,India)pH8.5〜10)を用いて研究した。典型的な反応において、トリプタミン−HCl(16mg)を秤量し、コニカルフラスコに取り、0.2mlのミリポア水に溶解させた。この溶液に、0.2mlのアンモニア溶液を添加し、アンモニア臭が消えるまで混合物を蒸気浴上で温めた。そうして形成されたトリプタミンを、5mlのエタノールに溶解させた。このトリプタミンのエタノール溶液に、(1:2のトリプタミン:ウィタフェリンAのモル比を守るように)94mgのウィタフェリンAを添加した。この溶液をペトリ皿に取り、(1:10の試料:アルミナ比を守るように)1100mgのアルミナをその溶液に添加して、トリプタミン−ウィタフェリンA混合物をアルミナ床の周りに吸着させた。この床を、覆いおよび振盪なしに、24時間にわたり室温で維持した。共役反応のための吸着媒体の最適pHを評価するために、3つの異なる実験を、酸性、塩基性および中性のアルミナを用いてこのようにして同様に行った。24時間後、試料を含有するアルミナ床をコニカルフラスコに取り、5分間にわたり一定の振盪を与えながら50ml(25ml×2)のメタノールで溶出させた。このメタノール溶液を濾過し、40℃にて回転蒸発器により減圧下で蒸発させた。吸着剤(アルミナ)の異なるpH条件のもとでそのように形成されたトリプタミン−ウィタフェリンA複合体を、包括的なHPTLC分析に供した。その結果を表Bに組み入れる。
【0126】
上(表B)に示される結果は、中性のアルミナ固体表面が、酸性および塩基性のアルミナ表面よりも良好なトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率(62%)をもたらしたことを示している。したがって、中性アルミナを用いて、複合体化(conjugation)のさらなる実験を行った。
【0127】
1A.3.トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率に対する反応物および固体表面(中性アルミナ)の比の影響
別の組の実験において、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率に対する合わせた反応物(トリプタミンおよびウィタフェリンA、1:2)および固体表面成分(中性アルミナ)の比の影響を測定した。これらの実験を、異なる比(1:2、1:10、1:20)の反応物および固体表面(中性アルミナ)、すなわち、それぞれ、反応物110mg:中性アルミナ220mg、反応物110mg:中性アルミナ1100mg、および反応物110mg:中性アルミナ2200mgを用いて、実施例1A.1において上で説明したように実施した。結果として生じた生成物を(上記のように)HPTLCにより分析した。その結果を表Cに組み入れる。
【0128】
合わせた反応物:アルミナの異なる比を用いての上(表C)に示された結果は、1:10(反応物:アルミナ)が、1:2の比よりもはるかに良好なトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率(62%)をもたらすことを示した。
【0129】
総合すれば、上記の例示的な最適化実験(1A.1〜1A.3)は、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体合成の好適かつ/または最適な条件が次のとおりであることを示唆している。
【0130】
トリプタミン:ウィタフェリンAの最適モル比は、約1:2である。
【0131】
固体吸着剤表面の最適pHは、中性アルミナ(pH約6.8〜7.8)である。
【0132】
合わせた反応物:固体吸着剤(中性アルミナ)の最適比は、約1:10である。
【0133】
最適化された条件を用いてこのように調製された複合体を、段階的溶媒沈殿法(graded solvent precipitation method)に従うことにより、さらに精製した。典型的な実験において、粗生成物(約100mg)をアセトン(5ml)に溶解させ、それに、連続的に撹拌しながら、40mlの酢酸エチルをゆっくりと添加した。溶液を、未反応のトリプタミンの完全な沈殿のために2時間にわたり4℃で維持した。溶液を5分間にわたり8000RPMで遠心分離し、上清を減圧下で蒸発乾固した。乾燥残渣をクロロホルム(5ml)に再溶解させ、40mlのn−ヘキサンをそれに添加し、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(45mg)の完全な沈殿のために、混合物を2時間にわたり4℃で維持した。精製された複合体を、構造特性決定のために、包括的なクロマトグラフィー分析(HPLC、HPTLC)およびスペクトル分析(UV、
1H−NMR、IR、質量)に供した。
【0134】
トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(I):分子式C
38H
50O
6N
2を、ESI質量分析から確認した。ESI質量分析は、m/z 631.4(M+H)の正イオンを示した。メタノール中のUVスペクトルは、λmax 234nm(0.95AU)および297nm(0.59AU)の吸収極大を示した。したがって、上記の溶液相実験のインドールアルキルアミノ複合体スポット1に対応する。400MHzの
1H NMR(CD
3OD中)は、インドール部分のプロトンδ7.0〜7.2ppm(m,インドールH−4,6,7)およびウィタフェリンAδ0.9〜1.98(4×CH
3基)の存在を示した。
【0135】
トリプタミン(N)およびウィタフェリンA(C
3位)の結合点についての根拠:アルケニルプロトン(ウィタフェリンA C
2、C
3−H)シグナルが、ウィタフェリンAにおけるものからメチレン/メチン領域に高磁場シフトした[δ6.2(d,ステロイドC−2プロトン)およびδ7.0(m,ステロイドC−3プロトン)]。これらのデータにより、ウィタフェリンA部分のC
3位にあるインドールアルキルアミノ部分の連結点が示された。FTIR(KBR中)は、3415cm
−1(ヒドロキシル基およびα−β−不飽和ラクトン)、2938cm
−1(アルキルCH)および1689cm
−1(結合したカルボニル官能基)にピークνmaxを示した。
【0136】
実施例2
5−置換インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の合成調製または抽出
実施例2A
インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体2(IAC2):式(I)の化合物:R
1=5−メトキシ、R
2=水素、R
3=ヒドロキシル、そして
は、炭素−炭素二重結合である。固体表面上での調製。表題の化合物を、中性アルミナの周りへの吸着によって調製した。5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体を、(実施例1A.3のように)トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体合成の開発された最適化された条件を用いて調製した。典型的な実験において、5−メトキシトリプタミン(18mg)を秤量し、5mlのエタノールに溶解させた。5−メトキシトリプタミンのエタノール溶液に、(1:2の5−メトキシトリプタミン:ウィタフェリンAのモル比を守るように)94mgのウィタフェリンAを添加した。この溶液をペトリ皿に取り、(1:10の試料:アルミナ比を守るように)1100mgの中性アルミナをその溶液に添加して、5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンAをアルミナ床の周りに吸着させた。この床を、覆いおよび振盪なしに、24時間にわたり室温で維持した。24時間後、試料を含有するアルミナ床をコニカルフラスコに取り、各回5分間にわたり一定の振盪を与えながら50ml(25ml×2回)のメタノールで抽出した。このメタノール溶液を濾過し、40℃にて回転蒸発器により減圧下で蒸発させた。そうして形成された5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体を、次のように段階的溶媒沈殿法によってさらに精製した。
【0137】
上記の反応生成物(約100mg)をアセトン(5ml)に溶解させ、それに、連続的に撹拌しながら、40mlの酢酸エチルをゆっくりと添加した。溶液を、未反応の5−メトキシトリプタミンの完全な沈殿のために2時間にわたり4℃で維持した。溶液を5分間にわたり8000RPMで遠心分離し、上清を減圧下で蒸発乾固した。乾燥残渣をクロロホルム(5ml)に再溶解させ、40mlのn−ヘキサンをそれに添加し、5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(45mg)の完全な沈殿のために、2時間にわたり4℃で維持した。精製された複合体を、構造特性決定のために、包括的なクロマトグラフィー分析(HPLC、HPTLC)およびスペクトル分析(UV、
1H−NMR、IR、質量)に供した。
【0138】
5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(I):分子式C
39H
52O
7N
2を、ESI質量分析から確認した。ESI質量分析は、m/z 661.4(M+H)
+の正イオンを示した。メタノール中のUVスペクトルは、λmax 236nm(0.95Au)および299nm(0.70Au)の吸収極大を示した。
1H NMR(CD
3OD中)は、インドール部分:δ7ppm(6.7〜7.3ppm)を中心とした多重線プロトンの存在を示した。ウィタフェリンAの(C
2,C
3−H)プロトンが、5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体においては高磁場シフトしており、示されているような複合体の連結点がそれによって支持された。FTIR(KBR中)は、3407cm
−1(ヒドロキシル基およびα,β−不飽和ラクトン)、2935cm
−1(アルキルCH)および1684cm
−1(共役カルボニル官能基)にピークを示した。
【0139】
実施例2Aおよび実施例1Aについてのインビトロ薬理学結果、そしてさらにインビボ試験結果は、下の実施例7で説明される。
【0140】
実施例2B
インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体2(IAC2):式(I)の化合物:R
1=5−メトキシ、R
2=水素、R
3=ヒドロキシル、そして
は、炭素−炭素二重結合である。式(I)を有するインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体が富化された抽出物。スキーム1の抽出および単離の一般的手順を、上述のように実施した。インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド富化画分IAEF−A(120mg)に基づき、IAC2を、カラムクロマトグラフィーによって単離した(13mg)。UVλ
max(MeOH):nm(吸収)212(0.52)、235 sh(−)、295(0.033)。MS(EI) 分子は、M
+●ピークを示す前に断片化した;フラグメントイオンピークは、m/z 648、645(M−15)、633、615、169、160、145、123に現れた。GC/MS t
R16.156分における強いシグナル;フラグメントイオン:ウィタフェリン部分 m/z 328、286、193、175、147、141、117、自動酸化後のインドールアルキルアミノ部分 m/z 207、190、189、162、161。
1H−NMR(300MHz,CD
3OD)δ0.9−1.98(4×CH
3−基),6.5−7(インドールH−4,6,7);解釈:アルケニルプロトンは存在せず、シグナルが、ウィタフェリンAに比べてメチレン/メタン領域に高磁場シフトしており(δ6.3(ステロイドC−2プロトン,d)および7.0(ステロイドC−3プロトン,q))、これにより、インドールアルキルアミノ部分の連結点が示された。
【0141】
実施例3
アセチルコリン−エステラーゼ活性のインビトロ阻害
WSの乾燥させた水抽出物(WS−74)、アセトン可溶性/WS抽出物画分(Ace Sol/WS−74)、インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体富化画分(IAEF−A)、単離された純粋な化合物(IAC1〜5)、および、他の比較試料の中でも特に、ウィタフェリンAを、それらの抗コリンエステラーゼ活性を測定するために、インビトロアセチルコリンエステラーゼ活性アッセイに供した(上記のスキーム1も参照されたい)。アセチルコリンエステラーゼ(AChE)アッセイを、小さな変更を加えたEllman et al.の方法によって、ヨウ化アセチルチオコリンを基質として用いて行った(G.L.Ellman,et al.,“A new and rapid colorimetric determination of acetylcholinesterase activity,”Biochem.Pharmacol.(1961)7:88−95)。Ellman反応混合物を、0.05M リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中の10mM ヨウ化アセチルチオコリンと0.5mM 5,5’−ジチオ−ビス−(2−ニトロ安息香酸)との組み合わせから作製した。AChEによる加水分解の速度を、96ウェルマイクロタイタープレートリーダーを用いて分光光度計によってモニタリングした。各試験試料(10μl)および0.05M リン酸ナトリウム緩衝液(30μl)を、酵素溶液(10μl)と混合した。エルマン反応混合物(50μl)をさらに添加して100μlの最終体積とし、混合物を37℃で30分間インキュベートした。450nmにおける吸収を、エルマン反応混合物の添加の直後に記録した。記録を10分間にわたり2分間隔で繰り返して、反応が直線的に生じることを確認した。ブランク反応を、酵素の代わりに生理食塩水を用いることによって測定した(Y.K.Chung,et al.,“Inhibitory effect of ursolic acid purified from Origanum majorana L.on the acetylcholinesterase,”Mol.Cells(2001)11:137−143)。
【0142】
WSの乾燥させた水抽出物(WS−74)、アセトン可溶性/WS抽出物画分(Ace Sol/WS−74)、およびアセトン不溶性/WS抽出物画分(Ace insol/WS−74)を上記のように試験して、アセチルコリンエステラーゼ阻害データおよびIC
50を得た。
図1Aおよび
図1Bに図示されるその結果は、WS−74、Ace Sol/WS−74およびAce Insol/WS−74が、良好な用量依存的インビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示すことを示した。しかしながら、
図1Aに見られる一番上の線で示されているように、Ace Sol/WS−74の活性は、他の2つの試料よりも強力であることが分かった。ウィタフェリンAは、微弱な阻害活性しか示さなかった(図示していない)。
【0143】
図1Aおよび
図1Bにおいて、Ace Sol/WS−74が他の試料と比べてより強力なインビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であるということは明らかであった。したがって、この画分を、カラムクロマトグラフィーによって、2つの画分、すなわち、2つのインドールアルキルアミノ富化画分(IAEF−AおよびIAEF−B)にさらに精製した。これらの2つの試料もまた、インビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害活性について評価した。これらの試験試料の阻害百分率およびIC
50を、それぞれ
図2Aおよび
図2Bに組み入れた。
【0144】
図2Aおよび
図2Bにおいて、IAEF−Aが、IAEF−Bと比較して優れたインビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であることは明らかであった。したがって、IAEF−Aを、上に記載したように、カラムクロマトグラフィーおよび分取TLCによって、5つのインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体化合物:IAC1、IAC2、IAC3、IAC4およびIAC5にさらに細分した。これらの5つの化合物もまた、インビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害活性について試験した。その結果は、
図3Aおよび
図3Bに図示されている。
【0145】
5つの試験試料の中でIAC3だけは、何らインビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示さなかった。残りのインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体試験試料は全て、このアッセイ系において匹敵する活性を示した。これらの単離された個々の化合物のIC
50値は、60〜80μg/mlの範囲であり、したがって、これらのインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の1種または複数種のものの間の相乗活性を示す母画分(IAEF−A、IC
50値32.14μg/ml)よりも僅かに効力が劣ることが認められた。
【0146】
実施例4
インビボにおけるスコポラミン誘導健忘および不安パラダイムに対するウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)抽出物およびその画分の効果
実験動物。体重およそ32±4gの10〜15週齢の雄雌両方のSwiss AlbinoマウスをNational Research Institute of Ayurveda for Drug Development(インド政府)(Kolkata)から入手し、12.00時間の明暗サイクル(6:00AMから6:00PMまで照明がつく)で、22±3℃および相対空気湿度45〜55%にてポリプロピレンケージに収容した。マウスには、標準的なペレット食(炭水化物65.5%、タンパク質17.6%、脂肪6.6%)を与え、蒸留水を自由に与えた。マウスを、実験で使用する前に、実験室条件において1週間馴化させた。実験は全て、10:00AM〜2:00PMの間に行った。実験動物保護の原則(NIH publication no.85−23,revised 1885)に常に従った。
【0147】
薬物調製および用量投与。試験試料を、蒸留水の0.3%カルボキシメチルセルロース(CMC)溶液に懸濁させ、挿管カニューレを用いて16日間経口投与し、用量体積は、0.1ml/10g体重であった。WSの乾燥させた水抽出物(WS−74)、その画分であるアセトン可溶性/WS抽出物画分(Ace Sol/WS−74)アセトン不溶性/WS抽出物(Ace Insol/WS−74)、およびインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体富化画分(IAEF−A)、ならびにウィタフェリンA(1)を、0.3%CMC溶液中で16日間経口投与した。これらの実験を、45分間の薬物投与後に実施した。コントロール動物には、等量のビヒクル、すなわち0.3%CMC溶液のみが与えられた。
【0148】
実施例4A
スコポラミン誘導健忘
アルツハイマー病は、コリン作動性ニューロンの著しい減少、ならびに学習過程および記憶過程に著しく関与している神経伝達物質アセチルコリンの濃度の低下と関連する。臭化水素酸スコポラミンは、その抗コリン作動性作用のため、マウスにおいて健忘を生じさせる。臭化水素酸スコポラミンは、ムスカリン性アセチルコリン受容体、特にM1受容体において競合的アンタゴニストとして作用することによりその作用を発揮する。臭化水素酸スコポラミンは、その抗コリン作動性作用のため、空間記憶課題における新しい刺激に対する内側側頭葉構造物の活性化を妨げることが示されている。これはまた、アルツハイマー型認知症において認められる認知欠損を模倣する様式でヒトにおいて記憶を損なうことも示されている。したがって、本研究において、高架プラス迷路を用いた臭化水素酸スコポラミン誘導健忘モデルを、WS抽出物およびその画分(上で調製されたもの)の抗健忘作用を評価するために選択した。高架プラス迷路は、マウスにおける記憶学習行動を測定するために使用されているのではあるが、移動潜時、すなわち、開放アームから囲まれたアームへの動物の移動の間に経過した時間は、開放アームおよび閉鎖アームへの進入を動物が以前に経験していた場合に顕著に短縮された。
【0149】
8日目に、臭化水素酸スコポラミン(0.5mg/kg、腹腔内)の投与によって、学習トライアルの直後に健忘を誘導した。保持を、24時間後(9日目)および1週間の間隔を置いた後(16日目)に記録した。
【0150】
薬物プロトコル。動物を、各群8匹の動物からなる7つの群(群I〜VII)に分けた。群Iはビヒクル(0.3%CMC)のみが与えられ、ビヒクルコントロールとして機能した。群I〜VIIは、下記表1に記載される詳細に従ってそれぞれの試験薬物で16日間処置した。8日目に、臭化水素酸スコポラミン(0.5mg/kg、腹腔内)を、学習トライアルの直後に群II−VIIに投与した。8日目(学習トライアル)の45分間のその薬物投与後、ならびに学習トライアルから24時間後(9日目)および1週間後(16日目)に、移動潜時を記録した。
【0151】
表1に列挙された、異なる画分、すなわち、Ace Sol/WS−74、Ace Insol/WS−74、IAEF−A、ウィタフェリンAの用量は、WS抽出物(WS−74)中のそれらの存在量百分率に基づいて計算された。スキーム1もまた参照された。
【0152】
高架プラス迷路試験における保持を、試験動物における記憶機能を評価するために使用した。プラス迷路は、長さ×幅(50×10cm)の2つの開放対向アームを、高さ40cmの壁を有する同じ寸法の2つの囲まれたアームと交差させたものからなる。これらのアームは中央の正方形(10×10cm)と連結されており、その結果、装置はプラス記号のように見える。この迷路は、薄暗く照らされた部屋の中で、床から50cm上に上げた状態に保たれた。8日目に、マウスを1匹ずつ別々に、中央から遠ざかる方に向けて開放アームのうちの一方の遠端に置き、8日目における移動潜時(TL)を記録した。TLは、覆われたアームのうちの任意の一方の中にマウスが移動しその肢が4本とも入るのに要した時間である。マウスを、囲まれたアーム内に10〜15秒間置いておき、次いで、ホームケージに連れて行った。9日目に、マウスを再度開放アームの遠端に置き、囲まれたアームに進入するのにマウスが要した時間、すなわち移動潜時(TL)9日目を記録した。同様に、1週間の間隔を置いた後、すなわち16日目に再度、移動潜時(TL)16日目を記録した。(J.Itoh,et al.,“Utility of an elevated plus maze for the evaluation of nootropics,scopolamine and electro convulsive shock,”Psychopharmacol.(1990):101:27−33;M.Parle,et al.,“Improvement of mouse memory by Myristica fragrans seeds,”J Med.Food.(2004)7:157−61;およびH.Joshi,et al.,“Brahmirasayana Improves Learning and Memory in Mice,”eCAM(2006)3:79−85。)
【0153】
各動物について、以下の式:
%TL減少=(L
1−L
0/L
0)×100
[式中、L
0=初期移動潜時時間(単位は秒)であり、そしてL
1=24時間後、または1週間後の移動潜時である]
によって潜時時間のパーセント減少を計算することにより保持スコアを得た。
【0154】
スコポラミン誘導健忘実験の結果を、後に続く表2〜5に示す。
【0155】
スコポラミン誘導健忘実験の結果を表2〜4に示す。臭化水素酸スコポラミンは、群IIの9日目および16日目における移動潜時の増加(表2)によって示されるように、動物において健忘を生じさせ、ビヒクル処置された群I(表2)との比較において9日目(表3)および16日目(表4)における%TL減少を減じた。WS−74、Ace Sol/WS−74およびIAEF−Aは、スコポラミン処置群(群II)との比較におけるTLの有意な減少および%TL減少の有意な増加が示しているように、スコポラミンにより誘導される健忘を有意に和らげ、逆転させた。全ての処置群の中でIAEF−A(1mg/kg)が、最も強力な抗健忘活性を示した。Ace Insol/WS−74画分処置およびウィタフェリンA処置は、それらの移動潜時の増加傾向によって示されるように、ビヒクル処置されたコントロール群との比較において、スコポラミン誘導健忘から保護することも、スコポラミン誘導健忘を和らげることもなかった。
【0156】
脂質過酸化の評価。これらの動物を16日目の最終実験の直後に犠牲にし、脳の脂質過酸化レベルを、公開されている方法(H.Ohkawa,et al.,“Assay for lipid peroxides in animal tissues by thiobarbituric acid reaction,”Anal.Biochem.(1979)95:351−358)に従って脳組織のマロンジアルデヒド(MDA)濃度を測定することによって評価した。
【0157】
アルツハイマー病(AD)は、錯乱、記憶喪失、および気分変動はじめとする症状を有する不可逆的神経変性障害である。39〜42個のアミノ酸残基を有するβ−アミロイドペプチド(BAP)は、ADの発症において重要な役割を果たす。ADの治療法はないが、これは利用可能な薬物で管理され得る。とは言えそれは、患者の小さなサブセットにおいて、小さい程度までにすぎない。いくつかの研究が、天然の抗酸化剤(例えば、ビタミンE、ビタミンCおよびβ−カロチン)が、この疾患の開始および進行の間に生成されるフリーラジカルの除去に役立ち得るということを明らかにしている。本研究においては、異なる処置群の脳内脂質過酸化レベルを、脳組織のマロンジアルデヒド(MDA)濃度を評価することによって測定した。この研究からの結果を表5に示す。
【0158】
表5は、スコポラミン処置が脳組織MDAレベルを増加させたこと、およびIAEF−A処置がMDAレベルを減少させたことを示しており、このことは、IAEF−A処置の潜在的抗酸化能力を示している。他の処置は、何ら有意な活性を示さなかった。
【0159】
上記の研究の結果を参照すると、WSの水抽出物(WS−74)、Ace Sol/WS−74およびIAEF−Aが、スコポラミン誘導健忘マウスモデルにおいて抗健忘活性を示したと結論付けられ得る。これらの試験化合物の中でIAEF−Aが、非常に低用量(すなわち、1mg/kg)で最も強力な抗健忘活性を示し、これにより、それがアルツハイマー治療のための潜在的標的候補であり得ることが示唆された。
【0160】
実施例4B
不安パラダイム
不安は、想像上または架空の脅威の予期から生じる憂慮感、不安定感または緊張感として定義される。世界人口の8分の1までが不安に冒されており、不安は精神薬理学の分野における重要な研究領域になっている。ベンゾジアジピン(benzodiazipine)(BZD)、バルビツレート、三環系抗鬱薬(TCA)は、不安障害を処置するために臨床医学において長い間使用されてきた。しかしながら、これらの薬物と関連する深刻な副作用(例えば、反跳性不眠、鎮静、筋肉弛緩、離脱症状および耐性の発達(BZD、バルビツレートおよびアルコール)、性機能不全、抗コリン作動性作用および抗ヒスタミン作用(TCA))が、患者におけるそれらの使用を制限してきた。そのような望ましくない副作用のため、より特異的な不安緩解作用を有する代替的な医薬または植物由来の薬物が引き続き探求されている。(S.K.Kulkarni,D.S.Reddy,“Animal behavioural models for testing anti−anxiety agents,”Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.(1996)18:219−230;およびS.K.Kulkarni,et al.“Comparative behavioural profile of newer anti−anxiety drugs on different mazes,”Indian J.Exp.Biol.(2008)46:633−638。)
【0161】
マウスの高架プラス迷路およびオープンフィールド探索行動に対するWS−74およびその画分の不安緩解作用に関して研究を行った。
【0162】
薬物プロトコル。これらの動物を、各群6匹の動物からなる7つの群に分けた。異なる群の説明、投薬量および投与経路を表6に示す。先の投与から1時間の間隔を守りながらの7回の投与後に、行動試験を行った。
【0163】
表6に列挙された、異なる画分、すなわち、Ace Sol/WS−74、Ace Insol/WS−74、IAEF−A、ウィタフェリンAの用量は、WS抽出物(WS−74)中のそれらの存在量百分率に基づいて計算された。スキーム1もまた参照されたい。
【0164】
研究設計。行動試験を、複数の7回投与スケジュールを用いて行った。マウスを、薬物処置スケジュールの完了後に1度だけ、高架プラス迷路およびオープンフィールドにおいて試験した。これらの研究は、行動研究の間の動物への妨害を回避するために、防音室内で実施した。新しい環境への曝露は、情動障害および不安と関連する。不安な動物は、周期的なフリーズまたは不動状態と関連する移動の減少および通常の行動(例えば、立ち上がりおよび毛づくろい)の減少を示す。不安はまた、自律神経系の活動の増大とも関連し、排便および排尿の増加を結果としてもたらす。全てのこれらの影響が、不安生成薬によって強められ、不安緩解薬によって和らげられる。標準的なスクリーニング手順(例えば、オープンフィールド法および高架プラス迷路試験)を、標準薬ジアゼパムとの比較において薬物の不安緩解作用をスクリーニングするために使用した。
【0165】
オープンフィールド探索行動試験。オープンフィールド探索装置は、Bronsteinのもの(P.M.Bronstein,“Open field behaviour of the rat as a function of age:cross sectional and longitudinal investigations,”J.Comp.Physiol.Psycol.(1972)80:335−341)と同様である。これは、合板で作られており、高い壁を備えた正方形(61×61cm)からなる。床面を16個の正方形に分ける6mmの白線を除いて、装置全体が黒く塗られる。オープンフィールドを除く部屋全体を、実験の間暗くしておいた。オープンフィールドを、床面から約100cmの高さから、フィールドに焦点を合わせた60W電球によって照らした。各動物を、5分間試験装置の中央に置き、以下の行動を調査した:移動−これは動物が横切った正方形の数を測定する;立ち上がり−動物が後肢で立った回数;毛づくろい−動物が、顔の毛づくろいをすること、その体の様々な部分を舐める/洗うこと、および搔くことを示す回数;糞ペレット−期間中に排泄された糞ペレットの数;ならびに中央での活動−動物が横切った中央の正方形の数。動物が中央の正方形を横切った回数と動物が周縁の正方形を横切った回数との間の比が計算される。
【0166】
高架プラス迷路(elevated plus maze:EPM)行動試験。迷路は、50×10cmの2つの対向するアームを、高さ40cmの壁を有する同じ寸法の2つの対向する囲まれたアームと交差させたものからなる。これらのアームは中央の正方形(10×10cm)と連結されており、その結果、装置はプラス記号のように見える。この迷路は、薄暗く照らされた部屋の中で、床から50cm上に上げた状態に保たれた。マウスを1匹ずつ別々に、囲まれたアームの方に向けてプラス迷路の中央の正方形の上に置いた。それに続く5分間の間に開放アームおよび囲まれたアームにおいてマウスにより費やされた時間およびマウスによりなされたそれらへの進入の回数を記録した。アーム進入は、マウスの4本全ての肢がアーム上にある場合に定義された(K.C.Montgomery,“The relation between fear induced by novel and exploratory behavior,”J.Comp.Physiol.Psychol.(1955)48:254−60)。
【0167】
高架プラス迷路の結果を表7に示す。
【0168】
高架プラス迷路行動において、IAEF−A処置は、開放アームへの進入回数、開放アーム滞在時間および開放アームへの進入/囲まれたアームへの進入の比を、コントロールマウスとの比較において有意に増加させた(表7)。IAEF−A処置はまた、囲まれたアームでの滞在時間を有意に減少させ、これにより、不安緩解作用が示された。他の処置は、データ(表7)から明らかなように、マウスにおいて統計的に有意な不安緩解作用をもたらさなかった。処置群の中でIAEF−A(1mg/kg)が、標準不安緩解剤であるジアゼパムの不安緩解活性に匹敵するより強力な不安緩解活性を示した。
【0169】
オープンフィールド試験の結果を表8に示す。
【0170】
表8に示されるように、IAEF−A処置は、コントロール群との比較において、一方でオープンフィールドでの移動および立ち上がりが増加し、他方で毛づくろいおよび糞ペレットが減少したことから明らかなように、マウスにおいて有意な不安寛解活性をもたらした。しかしながら、WS−74、Ace sol/WS−74およびAce Insol/WS−74もまた、軽い不安緩解作用を示した。ウィタフェリンAは、何ら不安緩解作用を示さなかった。IAEF−Aの不安緩解作用は、ジアゼパムのものに匹敵した。
【0171】
実施例4Bに関し、高架プラス迷路(EPM)行動試験は、EPMへの曝露が、囲まれたアームへの曝露によって喚起される接近−回避葛藤よりもかなり強い接近−回避葛藤を喚起するという前提に基づいている。開放アームに対する忌避の減少は、不安緩解作用の結果であり、開放アームで費やされた時間および開放アームへの進入の増加によって表される。IAEF−A単離物の投与は、閉鎖アームでの割合の減少を伴って、開放アームで費やされた時間および開放アームへのパーセント進入を増加させ、これにより、強力な不安緩解活性が示唆された。
【0172】
結論として、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)から単離され同定された、式(I)を有する新規インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体の群が、強力なインビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害活性、スコポラミン誘導健忘マウスモデルにおける抗健忘活性およびマウスにおける不安緩解活性を有することが分かった。これらの結果は、インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)が、哺乳動物における、認知症および認知症関連障害(例えば、アルツハイマー病)ならびに不安障害および抑鬱性障害を処置するための強力な標的候補であり得ることを示唆している。
【0173】
実施例5
ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)の新鮮な全体植物の水による最適化された抽出
抽出の温度および継続時間の作用を、まず水を抽出溶媒として用いて最適化した。アシュワガンダ(ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera))の2組の細断した新鮮な全体植物(各20g)を、別個の容器中で、水(120ml)に懸濁させた。一方の組は蒸気浴上で80±5℃にて抽出し、他方の組は加熱マントルを用いて100±5℃にて抽出した。異なる時間間隔(0時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間および12時間)での抽出試料を採取し、濾過し、濾液をHPLC装置に直接注入した。各時間間隔で採取された濾液(3ml)を蒸気浴上で乾燥させ、各残渣の重量を測定して、表9および表10に示されるように、抽出物の濃度を求めた。乾燥させた抽出物の全てのものの平均収率は、80±5℃においては3.17gであり、100±5℃においては4.46gであった。以下の表において、WG、AG、およびIACの量は、HPLC分析方法において上で説明したように求められたものである。
【0174】
表9および表10に示すように、WSの熱水抽出は、合計ウィタノリド(WG+AG)およびインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)が約3時間〜4時間までの時間範囲において80±5℃および100±5℃にてより能率的に抽出されるということを示した。合計ウィタノリド(WG+AG)およびインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の両方の最大濃度は、3時間において80±5℃にて観察された。約3時間を超える熱水抽出の継続時間は、より低い抽出収率および抽出物における効力の低下の両方を結果としてもたらした。
【0175】
実施例6
ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)の新鮮な全体植物のメタノール水による最適化された抽出
抽出の温度および継続時間の作用を、混合溶媒抽出を用いて最適化した。アシュワガンダ(ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera))の2組の細断した新鮮な全体植物(各20g)を、別個の容器中で、水−メタノール(水:MeOH 40:60v/v、120ml)に懸濁させた。一方の組は蒸気浴上で80±5℃にて抽出し、他方の組は加熱マントルを用い、冷水冷却された還流冷却器を用いて、100±5℃にて抽出した。異なる時間間隔(0時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間および12時間)での抽出試料を採取し、濾過し、濾液をHPLC装置に直接注入した。各時間間隔で採取された濾液(3ml)を蒸気浴上で乾燥させ、各残渣の重量を測定して、表11および表12に示されるように、抽出物の濃度を求めた。乾燥させた抽出物の全てのものの平均収率は、80±5℃においては4.28gであり、100±5℃においては4.92gであった。
【0176】
表11および表12に示すように、WSの熱混合溶媒抽出は、著しい量の生物活性成分が80±5℃において観察されたが、合計ウィタノリド(WG+AG)およびインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の両方の最大濃度は、1時間において100±5℃にて観察されるということを示した。より長い抽出時間は、100±5℃における混合溶媒実験についてはそれほど有効であるようには見えなかった。
【0177】
実施例5および実施例6で行われた実験に基づけば、合計ウィタノリド(WG+AG)およびインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の両方の最大濃度を達成するためには、3時間にわたる80±5℃におけるWSの熱水抽出が最適条件であるようである。使用した最適化された条件においては、IACの重量パーセント収率は、約0.75%〜約1.6%の範囲であることが示された。IACの重量パーセント収率は、本発明の原理に従って抽出パラメータを変更することにより、さらに改善され得ることが予想される。
【0178】
本発明の原理に従って作製されたIACおよび/またはウィタノリド富化WS抽出物が、栄養補給剤として有効であることがさらに予想される。WS抽出物、またはIAC、すなわち式(I)の化合物、もしくはその誘導体を含有する組成物が、栄養補給剤として有効であることがさらに予想される。
【0179】
WS抽出物、またはIAC、すなわち式(I)の化合物、もしくはその誘導体を含有する組成物が、薬学的組成物または機能性食品組成物において、それぞれ適切な製薬用または機能性食品用のキャリアまたは賦形剤と組み合わされている場合に、有効であることがさらに予想される。前記の薬学的組成物は、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病(AD))または精神障害(例えば、不安または抑鬱)を処置するのに有効であろう。前記機能性食品組成物は、栄養および/または健康を補うのに有効であり、したがって増大した健康上の利益を使用者にもたらすであろう。
【0180】
実施例7
式(I)を有するトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の認知促進作用を、以下の薬理学的スクリーニング実験により評価した。
【0181】
実施例7A.式(I)の複合体の薬理学的活性:アセチルコリンエステラーゼ活性のインビトロ阻害
固体アルミナ担体の周りに合成により調製した、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例1A.3)および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例2A)を、それらの抗コリンエステラーゼ活性を測定するためにインビトロアセチルコリンエステラーゼ活性アッセイに供した。アセチルコリンエステラーゼ(AChE)アッセイを、小さな変更を加えたEllman et al.の方法によって、ヨウ化アセチルチオコリンを基質として用いて行った(G.L.Ellman,et al.,“A new and rapid colorimetric determination of acetylcholinesterase activity,”Biochem.Pharmacol.(1961)7:88−95)。Ellman反応混合物を、0.05M リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中の10mM ヨウ化アセチルチオコリンと0.5mM 5,5’−ジチオ−ビス−(2−ニトロ安息香酸)との組み合わせから作製した。AChEによる加水分解の速度を、96ウェルマイクロタイタープレートリーダーを用いて分光光度計によってモニタリングした。各試験試料(10μl)および0.05M リン酸ナトリウム緩衝液(30μl)を、酵素溶液(10μl)と混合した。エルマン反応混合物(50μl)をさらに添加して100μlの最終体積とし、混合物を37℃で30分間インキュベートした。450nmにおける吸収を、エルマン反応混合物の添加の直後に記録した。記録を10分間にわたり2分間隔で繰り返して、反応が直線的に生じることを確認した。ブランク反応を、酵素の代わりに生理食塩水を用いることによって測定した(Y.K.Chung,et al.,“Inhibitory effect of ursolic acid purified from Origanum majorana L.on the acetylcholinesterase,”Mol.Cells(2001)11:137−143)。
【0182】
トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例1A.3)および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例2A)を上記のように試験して、アセチルコリンエステラーゼ阻害データおよびIC
50を得た。これらの結果は、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体が、良好な用量依存的インビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示すことを示した。IC50値を、表13に組み入れる。
【0183】
表13におけるIC50値は、両複合体ともかなりの程度のアセチルコリンエステラーゼ阻害性を有することを示している。しかしながら、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の方が、5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体よりも良好なアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示した。
【0184】
実施例7B.インビボにおけるスコポラミン誘導健忘および不安パラダイムに対するトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の効果
実験動物。体重およそ24±4gの6〜7週齢の雌雄両方のSwiss AlbinoマウスをNational Research Institute of Ayurveda for Drug Development(インド政府)(Kolkata)から入手し、12.00時間の明暗サイクル(6:00AMから6:00PMまで照明がつく)で、22±3℃および相対空気湿度45〜55%にてポリプロピレンケージに収容した。マウスには、標準的なペレット食(炭水化物65.5%、タンパク質17.6%、脂肪6.6%)を与え、蒸留水を自由に与えた。マウスを、実験で使用する前に、実験室条件において1週間馴化させた。実験は全て、10:00AM〜2:00PMの間に行った。実験動物保護の原則(NIH publication no.85−23,revised 1985)に常に従った。
【0185】
薬物調製および用量投与。試験試料を、蒸留水の0.3%カルボキシメチルセルロース(CMC)溶液に懸濁させ、挿管カニューレを用いて16日間経口投与し、用量体積は、0.1ml/10g体重であった。トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例1A.3)および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例2A)を、0.3%CMC溶液中で16日間経口投与した。これらの実験を、45分間の薬物投与後に実施した。コントロール動物には、等量のビヒクル、すなわち0.3%CMC溶液のみが与えられた。
【0186】
スコポラミン誘導健忘。アルツハイマー病は、コリン作動性ニューロンの著しい減少、ならびに学習過程および記憶過程に著しく関与している神経伝達物質アセチルコリンの濃度の低下と関連する。臭化水素酸スコポラミンは、その抗コリン作動性作用のため、マウスにおいて健忘を生じさせる。臭化水素酸スコポラミンは、ムスカリン性アセチルコリン受容体、特にM1受容体において競合的アンタゴニストとして作用することによりその作用を発揮する。臭化水素酸スコポラミンは、その抗コリン作動性作用のため、空間記憶課題における新しい刺激に対する内側側頭葉構造物の活性化を妨げることが示されている。これはまた、アルツハイマー型認知症において認められる認知欠損を模倣する様式でヒトにおいて記憶を損なうことも示されている。したがって、本研究において、高架プラス迷路を用いた臭化水素酸スコポラミン誘導健忘モデルを、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例1A.3)および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例2A)の抗健忘作用を評価するために選択した。高架プラス迷路は、マウスにおける記憶学習行動を測定するために使用されているのではあるが、移動潜時、すなわち、開放アームから囲まれたアームへの動物の移動の間に経過した時間は、開放アームおよび閉鎖アームへの進入を動物が以前に経験していた場合に顕著に短縮された。
【0187】
8日目に、臭化水素酸スコポラミン(0.5mg/kg、腹腔内)の投与によって、学習トライアルの直後に健忘を誘導した。保持を、24時間後(9日目)および1週間の間隔を置いた後(16日目)に記録した。
【0188】
薬物プロトコル。動物を、各群8匹の動物からなる6つの群(群I〜VI)に分けた。群Iはビヒクル(0.3%CMC)のみが与えられ、ビヒクルコントロールとして機能した。群II〜VIは、下記表14に記載される詳細に従ってそれぞれの試験薬物で16日間処置した。8日目に、臭化水素酸スコポラミン(0.5mg/kg、腹腔内)を、学習トライアルの直後に群II−VIに投与した。8日目(学習トライアル)の45分間のその薬物投与後、ならびに学習トライアルから24時間後(9日目)および1週間後(16日目)に、移動潜時を記録した。
【0189】
高架プラス迷路試験における保持を、試験動物における記憶機能を評価するために使用した。プラス迷路は、長さ×幅(50×10cm)の2つの開放対向アームを、高さ40cmの壁を有する同じ寸法の2つの囲まれたアームと交差させたものからなる。これらのアームは中央の正方形(10×10cm)と連結されており、その結果、装置はプラス記号のように見える。この迷路は、薄暗く照らされた部屋の中で、床から50cm上に上げた状態に保たれた。8日目に、マウスを1匹ずつ別々に、中央から遠ざかる方に向けて開放アームのうちの一方の遠端に置き、8日目における移動潜時(TL)を記録した。TLは、覆われたアームのうちの任意の一方の中にマウスが移動しその肢が4本とも入るのに要した時間である。マウスを、囲まれたアーム内に10〜15秒間置いておき、次いで、ホームケージに連れて行った。9日目に、マウスを再度開放アームの遠端に置き、囲まれたアームに進入するのにマウスが要した時間、すなわち移動潜時(TL)9日目を記録した。同様に、1週間の間隔を置いた後、すなわち16日目に再度、移動潜時(TL)16日目を記録した。(J.Itoh,et al.,“Utility of an elevated plus maze for the evaluation of nootropics,scopolamine and electro convulsive shock,”Psychopharmacol.(1990):101:27−33;M.Parle,et al.,“Improvement of mouse memory by Myristica fragrans seeds,”J Med.Food.(2004)7:157−61;およびH.Joshi,et al.,“Brahmirasayana Improves Learning and Memory in Mice,”eCAM(2006)3:79−85。)
【0190】
各動物について、以下の式:
%TL減少=(L
1−L
0/L
0)×100 等式(1)
[式中、L
0=初期移動潜時時間(単位は秒)であり、そしてL
1=24時間後、または1週間後の移動潜時である]
によって潜時時間のパーセント減少を計算することにより保持スコアを得た。
【0191】
スコポラミン誘導健忘実験の結果を、後に続く表15〜17に示す。
【0192】
スコポラミン誘導健忘実験の結果を表15〜17に示す。臭化水素酸スコポラミンは、群IIの9日目および16日目における移動潜時の増加(表15)によって示されるように、動物において健忘を生じさせ、ビヒクル処置された群Iとの比較において9日目(表16)および16日目(表17)における%TL減少を減じた。トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例1A.3)および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例2A)は、スコポラミン処置群(群II)との比較におけるTLの有意な減少および%TL減少の有意な増加が示しているように、スコポラミンにより誘導された健忘を有意に和らげ、逆転させた。これらの複合体は両方とも、マウスにおけるスコポラミン誘導健忘において等しい効力の抗健忘活性を示した。
【0193】
前述の明細書において、本発明はその特定の実施形態に関連して記載されており、そして多くの詳細が例示の目的のために示されているが、当業者には、本発明はさらなる実施形態が可能であること、および本明細書に記載された詳細の一部は本発明の基本原理から逸脱することなく大幅に変更され得ることが明らかであろう。
【0194】
本明細書で引用された全ての参考文献は、参照によりその全体が援用される。本発明は、その趣旨または本質的特性から逸脱することなく他の特定の形態で具現化され得、したがって、前述の明細書よりもむしろ、本発明の範囲を示している添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。