特許第6144688号(P6144688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナトレオン,インコーポレイテッドの特許一覧

特許6144688インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体および使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144688
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07J 71/00 20060101AFI20170529BHJP
   C07J 75/00 20060101ALI20170529BHJP
   A61P 25/28 20060101ALN20170529BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20170529BHJP
   A61P 25/22 20060101ALN20170529BHJP
   A61P 25/24 20060101ALN20170529BHJP
   A61K 31/585 20060101ALN20170529BHJP
【FI】
   C07J71/00CSP
   C07J75/00
   !A61P25/28
   !A61P43/00 111
   !A61P25/22
   !A61P25/24
   !A61K31/585
【請求項の数】7
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2014-540198(P2014-540198)
(86)(22)【出願日】2012年11月6日
(65)【公表番号】特表2015-501787(P2015-501787A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(86)【国際出願番号】US2012063727
(87)【国際公開番号】WO2013070619
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年9月4日
(31)【優先権主張番号】61/556,603
(32)【優先日】2011年11月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/669,207
(32)【優先日】2012年11月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505208444
【氏名又は名称】ナトレオン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ゴーサル,シブナス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーララガヴァン,ムルガナンダム
(72)【発明者】
【氏名】カリディンディ,サンヤシ,アール.
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−502958(JP,A)
【文献】 特表2006−515290(JP,A)
【文献】 米国特許第06153198(US,A)
【文献】 特開昭57−116099(JP,A)
【文献】 特表2009−541423(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0230551(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07J 71/00
C07J 75/00
A61K 31/585
A61P 25/22〜28
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
の化合物またはその塩において、
式中、Rが、水素、(C〜C)−アルキル、ヒドロキシル、および(C〜C)−アルコキシからなる群から選択され;
式中、Rが、水素または(C〜C)−アルキルであり;
式中、Rが、水素またはヒドロキシルであり;そして
式中、
が、単結合または二重結合を表す
ことを特徴とする式(I)の化合物またはその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)の化合物において、Rが5−メトキシであり、Rが水素であり、Rがヒドロキシルであり、そして
が炭素−炭素二重結合である
ことを特徴とする式(I)の化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の式(I)の化合物において、Rが水素であり、Rが水素であり、Rがヒドロキシルであり、そして
が炭素−炭素二重結合である
ことを特徴とする式(I)の化合物。
【請求項4】
式(I):
[式中、Rは、水素、(C〜C)−アルキル、ヒドロキシル、および(C〜C)−アルコキシからなる群から選択され;
式中、Rは、水素または(C〜C)−アルキルであり;
式中、Rは、水素またはヒドロキシルであり;そして
式中、
は、単結合または二重結合を表す]
の化合物またはその塩を製造する方法において、
(a)式(2)
[式中、Rは、水素、(C〜C)−アルキル、ヒドロキシル、および(C〜C)−アルコキシからなる群から選択され;そして式中、Rは、水素または(C〜C)−アルキルである]
を有するトリプタミン化合物およびその塩を供給するステップと、
(b)トリプタミン化合物(2)の溶液を塩基の存在下においてウィタノリド誘導体(1−a):
[式中、Rは、水素またはヒドロキシルであり;そして式中、
は、単結合または二重結合を表す]
に添加して反応混合物を供給するステップと、
(c)任意選択で、結果として生じた反応混合物を加熱するステップと、
(d)前記反応生成物から前記式(I)の化合物またはその塩を単離するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法において、ステップ(b)の後に、約pH6.8〜7.8の中性アルミナを前記反応混合物に添加するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法において、化合物(2)と化合物(1−a)とのモル比が、約1:2であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法において、化合物(2)および化合物(1−a)と中性アルミナとの質量比が、約1:10であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)から単離され精製されるインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体の群に関する。本発明はさらに、患者における認知症および認知症関連障害(例えば、アルツハイマー病)ならびに不安障害および抑鬱性障害の処置のための前記化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
古代ヒンズー医学体系であるアーユルヴェーダにおいてアシュワガンダとして知られるナス科のウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera Dunal)(WS)は、2500年以上使用されている。この植物の根は、疾患に対する身体の防衛機構を増強し、老化過程を抑制し、衰弱した状態の身体を活性化し、有害環境因子に抵抗する個体の能力を高め、精神的健康の感覚をもたらすことにより健康および長寿を促進すると言われている植物由来薬物群である、ラサーヤナ(rasayana)製剤において使用された。M.A.Weiner,J.Weiner,Ashwagandha(Indian Ginseng),pp.70−72,Herbs that Heal(Mill Valley,Calif.:Quantum Books,1994)。
【0003】
いくつかのこれまでの調査は、WSが、推定される抗ストレスおよび抗酸化活性と一致する活性のプロファイルを有することを示している。WSまたはその主要活性成分は、抗炎症活性、抗腫瘍および放射線増感作用を有しており、かつシクロホスファミド毒性を無効にした。同様に、シトインドシドVII−XおよびウィタフェリンAを含むWSの活性成分は、実験的ストレスの急性および慢性モデルに対する有意な抗ストレス活性、免疫調節作用、アルツハイマー病の動物モデルにおける認知欠損の抑制、ラット脳領域における抗酸化活性、ならびにラットにおける不安緩解−抗鬱作用を有することが示されている(S.K.Bhattacharya,et al.,“Antistress activities of sitoindosides VII and VIII,new acyl sterylglucosides from Withania somnifera,”Phytother.Res.(1987)1:32−37;S.K.Bhattacharya,Muruganandam A.V.,“Adaptogenic activity of Withania somnifera:an experimental study using a rat model of chronic stress,”Pharmacol Biochem.and Behavior(2003)75:547−555;S.Ghosal,et al.,“Immunomodulatory and CNS effects of sitoindosides IX and X,two new glycowithanolides from Withania somnifera,”Phytother.Res.(1989)3:201−206;S.K.Bhattacharya,et al.,“Effect of Trasina,an Ayurvedic herbal formulation on experimental models of Alzheimer’s disease and central cholinergic markers in rats,”J.Altern.Complement.Med.(1997)3:327−336;S.K.Bhattacharya,et al.,“Antioxidant activity of glycowithanolides from Withania somnifera,”Indian J.Exp.Biol.(1997)35:236−239;およびS.K.Bhattacharya,et al.,“Anxiolytic−antidepressant activity of Withania somnifera glycowithanolides:an experimental study,”Phytomed.(2000)7:463−469)。WS根抽出物ならびにその構成成分であるウィタノリドおよびウィタノシドは、抗アセチルコリンエステラーゼ活性および認知症阻止活性を有することも報告された(M.I.Choudhary,et al.“Withanolides,a new class of natural cholinesterase inhibitors with calcium antagonistic properties,”Biochem.and Biophys.Res.Comm.(2005)334:276−287)。
【0004】
著しい数の研究が、WSおよびその生物活性成分(bioactive)について実施されたが、それらの多くが、ウィタステロイド、すなわちウィタノリドおよびそれらのグリコシドに集中している。最近になって、抗酸化活性、抗炎症活性およびβ−アミロイド防御活性を有する、WS果実由来の新しいクラスの化合物であるウィタナミドが報告された(B.Jayaprakasam et al.,“Potent lipid peroxidation inhibitors from Withania somnifera fruits,”Tetrahedron(2004)60:3109−3121;およびB.Jayaprakasam et al.,“Withanamides in Withania somnifera fruit protect PC−12 cells from beta−amyloid responsible for Alzheimer’s disease,”Phytother.Res.(2010)24:859−63)。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)は、軽度〜中等度のアルツハイマー型認知症の管理に必要とされる重要なクラスの化合物である。アルツハイマー病は、コリン作動性ニューロンの著しい減少、ならびに学習過程および記憶過程に著しく関与している神経伝達物質アセチルコリンの濃度の低下と関連する。AChEIは、無傷のコリン作動性ニューロンの存在下においてシナプス内アセチルコリンの利用可能性を高めることによって薬理学的作用を発揮する。アルツハイマー病と関連する認知機能障害および記憶喪失の処置のために現在使用されている、いくつかの合成医薬(例えば、タクリン、ドネペジル、ガランタミン)および天然物ベースのリバスチグミンがある。しかしながら、これらの化合物は、胃腸障害およびバイオアベイラビリティと関連する問題をはじめとする特定の有害作用を免れない。AChEIの臨床的有用性は、極めて短い半減期または極端に長い半減期のいずれか、肝毒性、および深刻な末梢コリン作動性副作用によって制約された。
【0005】
2つの研究がWSのAChE活性について報告したが、それらは全抽出物およびウィタノリドのみに限られていた。(M.I.Choudhary,et al.,“Withanolides,a new class of natural cholinesterase inhibitors with calcium antagonistic properties,”Biochemical and Biophysical Res.Comm.(2005)334:276−287;およびS.Khattak,et al.,“In vitro enzyme inhibition activities of crude ethanolic extracts derived from medicinal plants of Pakistan,”Nat.Prod.Res.(2005)19:567−571。)
【0006】
WSは、様々な研究者により、種々の動物モデルにおいて学習および記憶を改善する活性を有することが示された。1つの研究は、等モル量のシトインドシドVII−XおよびウィタフェリンAからなるWSの活性成分を、実験により検証されたアルツハイマー病モデルにおいて、推定されるヌートロピック活性について調査した。当該症候群は、ラットにおける基底核大細胞部(nucleus basalis magnocellularis:NBM)のイボテン酸損傷によって誘導された。WSは、イボテン酸誘導認知欠損およびコリン作動性マーカー減少の両方を、2週間の処置後に有意に逆転させた。この調査結果は、アーユルヴェーダにおいて報告されている、WSのメドハラサヤン(medharasayan)(学習および記憶促進物質)作用を確証するものである。(S.K.Bhattacharya,et al.,“Effects of glycowithanolides from Withania somnifera on an animal model of Alzheimer’s disease and perturbed central cholinergic markers of cognition in rats,”Phytother.Res.(1995)9:110−113。)
【0007】
別の研究において、老年患者における脳機能障害(健忘を含む)を減じるために、シトインドシドVII−X、およびウィタフェリンAが、WS栽培品種の根からの水性メタノール抽出物から単離された。WSからの特定抽出物の全身適用は、しかしながら、前脳基底核(basal forebrain nuclei)におけるAChE活性に対する差別的な効果に繋がり、僅かに増強されたAChE活性が外側中隔および淡蒼球において認められたのに対して、垂直対角帯においてはAChE活性はシトインドシドVII−XおよびウィタフェリンAでの処置に続いて減少した。これらの変化が、外側および内側中隔ならびに前頭皮質において増強されたM1ムスカリン性コリン作動性受容体結合を伴った一方で、多くの皮質領域(帯状皮質、前頭皮質、梨状皮質、頭頂皮質および脳梁膨大後皮質を含む)において、M2ムスカリン受容体結合部位が増加した。WSからの特定抽出物での処置は、調査された皮質領域または皮質下領域のいずれにおいても、GABAおよびベンゾジアゼピンの受容体結合にもNMDAおよびAMPAグルタミン酸受容体サブタイプにも影響を及ぼさなかった。これらのデータは、WSからの特定抽出物が、皮質および前脳基底部のコリン作動性シグナル伝達カスケードにおける事象に優先的に影響を及ぼすことを示唆している。薬物誘導された皮質ムスカリン性アセチルコリン受容体能力の増大が、動物およびヒトにおいて観察されるWSからの抽出物の認知向上効果および記憶改善効果を部分的に説明し得るであろう。(R.Schliebs,et al.,“Systemic administration of defined extracts from Withania somnifera(Indian Ginseng)and Shilajit differentially affects cholinergic but not glutamatergic and GABAergic markers in rat brain,”Neurochem.Int.(1997)30:181−190。)
【0008】
WSからのグリコウィタノリドの不安緩解作用および抗鬱作用が、抗不安薬ロラゼパムによっておよび抗鬱薬イミプラミンによって惹起されるそれらの作用と比較された。グリコウィタノリドは、高架プラス迷路試験、社会的相互作用試験、および不慣れな環境での摂食潜時試験において、ロラゼパムによってもたらされた不安緩解効果に匹敵する不安緩解効果を誘導した。さらに、グリコウィタノリドおよびロラゼパムの両方が、臨床的不安のエンドコイドマーカー(endocoid marker)であるトリブリン(Tribulin)のラット脳内レベルを、そのレベルが不安生成剤(anxiogenic agent)ペンチレンテトラゾールの投与に続いて増加した時に減少させた。グリコウィタノリドはまた、強制水泳誘導行動的絶望試験および学習性無力試験において、イミプラミンによって誘導された抗鬱効果に匹敵する抗鬱効果を示した。この調査は、アーユルヴェーダにおける、および他の処置パラダイムにおける、不安および抑鬱の臨床的状態における気分安定薬としてのWSの使用を支持するものである。(S.K.Bhattacharya,et al.,“Anxiolytic−antidepressant activity of WS glycowithanolides:an experimental study,”Phytomed.(2000)7:463−469。)
【0009】
WS根抽出物投与は、マウスにおけるステップダウンパラダイムにおける受動的回避課題の保持を改善した。WSはまた、スコポラミンにより誘導された習得および保持の崩壊を逆転させ、かつ電気痙攣ショックによる急性処置によりもたらされた健忘を減じた。高架プラス迷路においては、アシュワガンダは、スコポラミンにより誘導される1日目における移動潜時の遅延を逆転させた。これらの調査結果に基づき、アシュワガンダが、ナイーブかつ健忘のマウスにおいてヌートロピック様作用を示すことが示唆される。別の研究において、ヒト神経芽腫SH−SY5Y細胞における神経突起生長を向上させる6種の化合物が、WS根のメタノール抽出物から単離された。この研究はまた、ウィタノリドAで処理された細胞において、NF−H陽性突起の長さがビヒクルで処理された細胞に比べて有意に増加したのに対して、MAP2陽性突起の長さはウィタノリド類(withanolides)により増加したことも報告した。(J.N.Dhuley,“Nootropic−like effect of Ashwagandha(WS L.)in mice,”Phytother.Res.(2001)15:524−5288;およびT.Kuboyama,et al.,“Axon or dendrite−predominant outgrowth induced by constituents from Aswagandha,”Neuroreport.(2002)13:1715−1717。)
【0010】
上で引用したBhattacharyaおよびMuruganandam A.V.は、慢性ストレス(CS)のラットモデルに対するWS根の標準化された抽出物の適応形成(adaptogenic)活性を調査した。ストレス手順は、成体雄Wistarラットに21日間にわたり1日1回投与された、軽い、予測不可能なフットショックであった。CSは、有意な高血糖、グルコース不耐性、血漿コルチコステロンレベルの上昇、胃潰瘍形成、雄の性機能障害、認知欠損、免疫抑制および精神的鬱を誘導した。これらのCS誘導逸脱は、21日間にわたりフットショックの1時間前に投与されたWS抽出物によって減じられた。これらの結果は、WSが有意な抗ストレスおよび適応形成活性を有することを示している。
【0011】
アユガ・ブラクテオサ(Ajuga bracteosa)およびWSからそれぞれ単離された、ウィタノリド1〜3、ならびに4および5が、濃度依存的に、アセチルコリンエステラーゼ酵素およびブチリルコリンエステラーゼ酵素を阻害することもまた報告された。カルシウム拮抗能力およびヒト好中球生存能力アッセイにおける安全プロファイルに加えて、この潜在的コリンエステラーゼ阻害能力が、ウィタノリド1〜5を、アルツハイマー病および関連する問題を処置するためのさらなる研究のための見込みのある薬物候補にし得ることが示唆された。WSの一部の活性構成成分(例えば、ウィタノリドA、ウィタノシドIVおよびウィタノシドVI)が、アミロイドβ(25〜35)により誘導された記憶障害、神経萎縮ならびに大脳皮質および海馬におけるシナプス減少を改善し得ることもまた報告された。(M.I.Choudhary,et al.,“Withanolides,a new class of natural cholinesterase inhibitors with calcium antagonistic properties,”Biochem.and Biophys.Res.Comm.(2005)334:276−287;およびT.Chihiro,et al.,“Scientific basis for the anti−dementia drugs of constituents from Ashwagandha(WS),”J.Trad.Med.(2005)22:176−182。)
【0012】
ラットにおける社会的隔離により誘導された行動(例えば、不安および抑鬱)におけるWS根抽出物の不安緩解活性および抗鬱活性が報告されている。(G.L.Gupta,et al.,“Protective Effect of WS Dunal Root Extract against Protracted Social Isolation Induced Behavior in Rats,”Indian J.Physiol.Pharmacol.(2007)51:345−353。)
【0013】
WS抽出物の経口投与は、保護効果を発揮し、アセチルコリンエステラーゼの産生および作用を阻止するプロポキスルへの亜慢性曝露によって引き起こされるAChE阻害および認知障害を減じる。(C.S.Yadav,et al.,“Propoxur−induced acetylcholine esterase inhibition and impairment of cognitive function:attenuation by Withania somnifera,”Indian J.Biochem.Biophys.(2010)47:117−20。)
【0014】
上で述べたように、WSのいくつかの生物活性成分が単離され、それらの抗酸化活性、抗ストレス活性、不安緩解活性および抗コリンエステラーゼ活性が幅広く研究されている。不安緩解薬として一般に使用されている薬物(例えば、ベンゾジアゼピン)およびアルツハイマー病を処置するために使用されている薬物は、深刻な副作用を有し得る。したがって、有害な副作用のないより好ましいクラスの薬物の必要性および要望がある。本発明は、WS由来の新規の薬物群、すなわちインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体群の単離、精製、および薬理学的作用について記述するものである。しかしながら、これらの新規の化合物は、他の植物からも得られ得る可能性がある。
【発明の概要】
【0015】
上記のことから考えて、病気、特に神経脱落および抑鬱の処置または予防のための改善された特性を有する薬学的組成物または機能性食品組成物として強力かつ治療的に有効なWS抽出物を提供することが望ましいであろう。栄養補給剤としての使用のためのWS抽出物を提供することもまた望ましいであろう。
【0016】
WS抽出物中のウィタノリドおよび/またはウィタステロイドのレベルを増強または富化する方法が見出され得るならば、これは、当該技術分野への価値ある貢献となるであろう。
【0017】
1つの実施形態において、本発明は、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)から単離および精製された、新規インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体の群、ならびに哺乳動物における認知症および認知症関連疾患(例えば、アルツハイマー病)ならびに不安障害および抑鬱性障害の処置におけるそれらの使用に関する。これらの新規のインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体または化合物は、式(I):
[式中、Rは、水素、ヒドロキシル、および(C〜C)−アルコキシからなる群から選択され、
式中、Rは、水素またはメチルであり、
式中、Rは、水素またはヒドロキシルであり、そして
式中、
は、単結合または二重結合を表す]
の一般構造式およびその塩を有する。
【0018】
式(I)に従う代替的な実施形態において、Rは、水素、(C〜C)−アルキル、ヒドロキシル、および(C〜C)−アルコキシからなる群から選択され;そしてRは、水素または(C〜C)−アルキルである。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の一般構造式を有する化合物に関する。当該化合物は、化学合成または半合成によって調製され得、かつ/または式(I)の化合物を提供するように単離および精製され得る。
【0020】
1つの態様において、式(I)の化合物は、ウィタフェリンA(1)およびトリプタミン誘導体(2)から誘導された複合体である。
【0021】
ウィタフェリンA(アグリコン)(1)は、WS中の主要なウィタノリドアグリコンである。ウィタノリドは、エルゴスタン型のC−28ステロイドラクトンであり、本明細書において「ウィタステロイド」と総称される。
【0022】
さらに、ウィタノリド構造(1−a)(式中、Rは、水素またはヒドロキシルであり;そして、式中、
は単結合または二重結合を表す)を有するウィタフェリンA化合物(1)の誘導体が企図されている。
【0023】
したがって、式(I)の化合物は、ウィタノリド誘導体(1−a)およびトリプタミン誘導体(2)から誘導された複合体であり得る。
【0024】
構造(2)で表されるトリプタミン
[式中、Rは、水素、ヒドロキシル、および(C〜C)−アルコキシからなる群から選択され;そして
式中、Rは、水素またはメチルである]
およびその塩は、トリプタミン(R、R=H)、セロトニン(R=5−ヒドロキシ、R=H)、および5−メトキシトリプタミン(R=5−メトキシ、R=H)を含む生物学的に活性な化合物である。
【0025】
構造(2)に従う代替的な実施形態において、Rは、水素、(C〜C)−アルキル、ヒドロキシル、および(C〜C)−アルコキシからなる群から選択され;そしてRは、水素または(C〜C)−アルキルである。
【0026】
本発明の目的は、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)から式(I)を有するインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体を単離し、精製し、そして特徴付けることである。式(I)を有する1種または複数種のインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体が、抽出物またはブレンドに含まれ得る。
【0027】
本発明の別の目的は、式(I)を有するインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体を化学的に合成することである。
【0028】
式(I)の化合物を製造する方法は、(a)式(2)を有するトリプタミン化合物または誘導体を供給するステップと、(b)トリプタミン化合物(2)の溶液をウィタフェリンA化合物(1)またはその誘導体(例えば、ウィタノリド化合物(1−a))に添加するステップと、(c)任意選択で、結果として生じた反応混合物を加熱するステップと、(d)式(I)の化合物またはその塩を単離するステップとを含み得る。
【0029】
別の実施形態において、本発明は、哺乳動物における認知症および認知症関連障害(例えば、アルツハイマー病)の処置のための方法であって、式(I)を有する1種または複数種の単離されたインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体、その塩、およびそれらの混合物を投与することによる方法に関する。本発明のさらなる実施形態は、認知症および認知症関連障害を処置するための方法であって、式(I)を有する1種または複数種の単離されたインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体、その塩、およびそれらの混合物を含有する有効量の抽出物を、その処置を必要とする患者に投与することによる方法に関する。
【0030】
なおさらなる実施形態において、本発明は、哺乳類における不安障害の処置のための方法であって、式(I)を有する1種または複数種の単離されたインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体、その塩、およびそれらの混合物を投与することによる方法に関する。本発明のさらに別の実施形態は、不安障害を処置するための方法であって、式(I)を有する1種または複数種の単離されたインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体、その塩、およびそれらの混合物を含有する有効量の抽出物を、その処置を必要とする患者に投与することによる方法に関する。
【0031】
さらに別の実施形態において、本発明は、哺乳類における抑鬱性障害の処置のための方法であって、式(I)を有する1種または複数種の単離されたインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体、その塩、およびそれらの混合物を投与することによる方法に関する。本発明のさらに別の実施形態は、抑鬱性障害を処置するための方法であって、式(I)を有する1種または複数種の単離されたインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体、その塩、およびそれらの混合物を含有する有効量の抽出物を、その処置を必要とする患者に投与することによる方法に関する。
【0032】
さらなる実施形態において、本発明は、式(I)を有する1種または複数種の単離されたインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体、その塩、およびそれらの混合物、ならびに薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物または機能性食品組成物に関する。さらにさらなる実施形態において、本発明は、式(I)を有する1種または複数種の単離されたインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体、その塩、およびそれらの混合物を含む抽出物、ならびに薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物または機能性食品組成物に関する。
【0033】
本発明の目的は、生物活性内容物、すなわち式(I)を有する1種または複数種の単離されたインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体を富化するための、最適化された抽出プロセスを開発することである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A図1Aは、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)抽出物の試験試料によるアセチルコリンエステラーゼのパーセント阻害を濃度の関数として図示したものである。
図1B図1Bは、図1AのWS抽出物試験試料によるアセチルコリンエステラーゼ阻害についてのIC50値を図示した棒グラフである。
図2A図2Aは、WS抽出物の2つのインドールアルキルアミノ富化画分(IAEF−AおよびIAEF−B)によるアセチルコリンエステラーゼのパーセント阻害を濃度の関数として図示したものである。
図2B図2Bは、図2AのWS抽出物試験試料によるアセチルコリンエステラーゼ阻害についてのIC50値を図示した棒グラフである。
図3A図3Aは、インドールアルキルアミノ富化画分(IAEF−A)由来の5つのインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体化合物(IAC1〜5)によるアセチルコリンエステラーゼのパーセント阻害を濃度の関数として図示したものである。
図3B図3Bは、図3AのIAC1、2、4および5の試験試料によるアセチルコリンエステラーゼ阻害についてのIC50値を図示した棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
1つの実施形態において、式(I)を有する1種または複数種の単離されたインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体を含有するウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)抽出物が提供される。ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)を抽出して式(I)を有するインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体が富化された生成物を得るための方法もまた提供される。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、式(I)を有する化合物、またはその塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグに関する。
【0037】
当該インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体は、式(I):
[式中、Rは、水素、ヒドロキシル、および(C〜C)−アルコキシからなる群から選択され、
式中、Rは、水素またはメチルであり、
式中、Rは、水素またはヒドロキシルであり、そして
式中、
は、単結合または二重結合を表す]
の一般構造式およびその塩を有する。
【0038】
式(I)に従う代替的な実施形態において、Rは、水素、(C〜C)−アルキル、ヒドロキシル、および(C〜C)−アルコキシからなる群から選択され、そしてRは、水素または(C〜C)−アルキルである。
【0039】
式(I)の化合物において、置換基Rは、インドールのベンゼノイド環上の任意の利用可能な位置に、任意選択で配置され得る。
【0040】
1つの態様において、式(I)の化合物は、エルゴスタンクラスに基づくステロイド部分、例えば、典型的なウィタノリド化合物であるウィタフェリンA(1)を含む。ウィタノリドは、エルゴスタン型のC−28ステロイドラクトンであり、本明細書において「ウィタステロイド」と総称される。
【0041】
別の態様において、式(I)の化合物は、エルゴスタンクラスに基づくステロイド部分、例えば、ウィタノリド化合物であるウィタノリド構造(1−a)[式中、Rは、水素またはヒドロキシルであり;そして
は、単結合または二重結合を表す]を有する化合物を含み得る。
【0042】
しかしながら、本発明は、ウィタフェリンA(1)またはウィタノリド化合物(1−a)の構造に一般に基づく式(I)のウィタステロイド(すなわち、ステロイド部分)に限定されることは意図されていない。他のウィタステロイド構造が、本発明の実施形態において企図されている。したがって、他の有用なステロイド部分は、参照により本明細書に援用されるE.Glotter,Nat.Prod.Rep.(1991)8:415−440、またはM.H.Mirjalili,et al.,Molecules(2009)14:2373−2393に記載されているような、ウィタノリドクラスのエルゴスタンの任意のものを含み得る。
【0043】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」および「この、その(the)」という単数形は、文脈が明らかに別のことを指示しない限り、複数形への言及を包含する。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」および「処置」は、相互交換可能に使用され、病気または障害の発症の延期および/または発症するもしくは発症することが予想される症状の重症度の軽減を示すことが意図される。この用語はさらに、既存の症状を改善すること、さらなる症状を予防すること、および症状の根本的な代謝的原因を改善または予防することを包含する。
【0045】
本明細書で使用される場合、(処置の対象、または患者などの場合の)用語「個体」は、哺乳動物およびヒトの両方を意味する。
【0046】
「有効量」という表現は、障害を患っている個体に対する治療を記述するために使用される場合、その障害(例えば、認知症関連障害、不安、または抑鬱)を抑制、軽減、または別なふうに処置する式(I)に従う化合物の量、または少なくとも1種の式(I)の化合物を含有する薬学的組成物のそのような量をいう。
【0047】
2つの炭素原子の間の破線の(hashed)結合記号(−−−−−)は、炭素−炭素単結合または炭素−炭素二重結合のいずれかを適宜表すものと理解される。
【0048】
用語「アルキル」は、単独でまたは別の置換基の一部として、特記のない限り、指定された炭素原子数を有する(すなわち、C〜Cは、1個〜6個の炭素を意味する)、直鎖炭化水素、枝分れ鎖炭化水素または環状鎖炭化水素(シクロアルキル)を意味する。例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロへキシル、およびシクロプロピルが挙げられる。最も好ましくは、(C〜C)−アルキル、特にエチル、メチルおよびイソプロピルである。
【0049】
単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される用語「アルコキシ」は、特記のない限り、酸素原子を介して分子の残部に結合している、上に定義されたような指定された数の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メトキシ、エトキシ、1−プロポキシ、2−プロポキシ(イソプロポキシ)ならびにより高次の同族体および異性体など)を意味する。好ましいのは、(C〜C)−アルコキシ、特にメトキシおよびエトキシである。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「半合成」は、天然由来の出発原料または化合物を用いかつ/または天然由来の過程(例えば、酵素触媒反応など)を用いる化学過程をいう。「半合成」化合物は、構造の一部が天然源(植物源および薬草源を含む)から単離され、かつ構造の一部が合成された化合物として定義される。
【0051】
インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体化合物の合成調製
1つの実施形態において、式(I)の化合物を製造する方法が提供される。式(I)の化合物は、
(a)式(2)を有するトリプタミン化合物を供給するステップと、
(b)トリプタミン化合物(2)の溶液を、任意選択で塩基の存在下において、ウィタフェリンA化合物(1)またはそのウィタノリド誘導体(例えば、化合物(1−a))に添加するステップと、
(c)任意選択で、結果として生じた反応混合物を加熱するステップと、
(d)式(I)の化合物またはその塩を単離するステップと
を含む方法によって調製され得る。
【0052】
任意選択で、縮合反応は、固体担体または触媒の上または周りへの吸着によって行われ得る。有用な固体担体物質としては、E.Merck(Darmstadt,Germany)から入手可能なアルミナ(中性、酸性、または塩基性のそれぞれ)が挙げられる。
【0053】
合成は、上にスキームAで示されており、式中、Rは、水素、(C〜C)−アルキルヒドロキシル、および(C〜C)−アルコキシからなる群から選択され;式中、Rは、水素または(C〜C)−アルキルであり;式中、Rは、水素またはヒドロキシルであり;そして式中、
は、単結合または二重結合を表す。縮合反応は、式(I)を有する1種または複数種のジアステレオマーまたはその混合物をもたらし得ることが理解される。
【0054】
理論に拘束されるものではないが、(1−a)におけるC4−OH基およびC5,6−エポキシ基によるさらなる強化(fortification)を伴うα,β−不飽和カルボニル部分の存在、またはスキームBの一般化合物(B)におけるα,β−不飽和カルボニル部分の存在が、以下のスキームBに従うマイケル1,4付加による、対応する求核剤(2)との、またはスキームBの一般化合物(A)との、好適な条件下におけるそれの縮合のための合成経路を提供すると考えられる。
【0055】
スキームBは、共役付加による化合物(B)に対する化合物(A)の求核攻撃により形成される縮合(結合)生成物(C)の形成を図示したものである。
【0056】
理論に拘束されるものではないが、スキームBに図示される化学機構は、標準的なマイケル1,4付加反応を表していると一般に考えられる。1,4マイケル付加において、求核剤(A)は、マイケルアクセプター(例えば、α,β−不飽和ケトン(B))と縮合される。求核剤(A)は、電子が豊富な化学基(例えば、アミン、アルコール、チオール、カルバニオンなど、またはそのアニオンもしくは塩など)を含み得る。
【0057】
したがって、スキームBに従えば、化合物(1)または(1−a)を化合物(2)と反応させると、示されるように式(I)を有する複合体化合物が得られることが予想されるであろう。
【0058】
ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)からのインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体の抽出
ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)の乾燥させた根および茎(250g、地上部分)を粉末にし、精製水を用いて2時間にわたり80℃±5℃の蒸気浴上で熱抽出し、濾過し、真空下で蒸発乾固させて、固体WS水抽出物(約50g)を得た。この固体WS水抽出物を、1時間にわたり80℃±5℃の蒸気浴上で水(固体:溶媒1:10(w/w))を用いて再抽出し、抽出物を採取した。この再抽出プロセスをさらに2回繰り返し、3つの抽出物全てを合わせ、真空下で濃縮して合わせた液体WS抽出物(約50ml)とした。次いで、アセトン(約450ml)を、沈殿が完了するまで滴下した。この混合物を、室温(25℃±5℃)にて一晩維持し、次いで濾過し、アセトン可溶性部分(アセトン可溶性/WS抽出物)を、回転蒸発器により減圧下で蒸発乾固させて、残渣(19.25g)を得た。アセトン不溶性沈殿物を真空乾燥させ、真空下で保存した(28.5g)。
【0059】
次いで、アセトン可溶性/WS抽出物残渣の一部(2g)を、クロロホルム(CHCl)で十分に洗浄し、CHCl不溶性の固体(約1g)をメタノール(MeOH)に再溶解させ、シリカゲル(230〜400メッシュ)を用いたカラムクロマトグラフィーに供した。溶出は、100%CHClから出発し、続いて25%MeOHに至るまでMeOHを1カラム体積当たり5%増加させた。2つのインドールアルキルアミノ富化画分(IAEF−A、120mg、およびIAEF−B、90mg)が、25%MeOH濃度において得られた。IAEF−AおよびIAEF−Bを、HPTLC分析に供した。UV反射スペクトルおよびエールリッヒ試薬を、クロマトプレート中のインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体の検出のために使用した。
【0060】
IAEF−AおよびIAEF−Bの高性能薄層クロマトグラフィー(HPTLC)分析を、Merck KGaA 1.05554.0007 プレコートTLCシリカゲル60F254アルミニウムプレート上で行った。IAEF−AおよびIAEF−Bを、1mg/mlの濃度でMeOHに溶解させ、CAMAG Linomet IV TLCアプリケーター(CAMAG,Muttenz,Switzerlandから入手可能)を用いてそのTLCプレート上に適用した。これらのプレートを、CHCl:MeOH(95:5v/v)を移動相として用いて二槽式チャンバー中で展開させた。これらのプレートの濃度計評価を、(エールリッヒスプレー試薬による誘導体化後に)CAMAG TLC Scanner 3によってλ=225nm、366nmおよび560nmにて行った。CAMAG winCATSソフトウェア(バージョン1.3.4)によって走査データを処理した。その後、インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体を同定するために、プレートを走査して、各スポットの200〜400nmの間および400〜800nmの間(エールリッヒ陽性成分の場合)におけるUV反射スペクトルを測定した。
【0061】
IAEF−Aは、エールリッヒ陽性スポットを含有することが分かった。そのUVスペクトルは、インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体と一致する。IAEF−Aを、MeOHへの溶解後に分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)に供し、CHCl:MeOH(95:5v/v)の溶媒系を用いて個々のインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体画分(IAC)を単離した。(代替的なカラムクロマトグラフィー分離については下記スキーム1を参照されたい。)5つの異なる画分を単離し、IAC1、IAC2、IAC3、IAC4およびIAC5という名称で呼んだ。IAC2を、包括的なクロマトグラフィー分析(HPTLC、HPLC、GC/MS)およびスペクトル分析(UV、NMR、MASS SPEC)に供した(実施例1参照)。
【0062】
このプロセスの詳細は、インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の単離のためのWSの抽出および加工についての流れ図である、スキーム1に示されている。
【0063】
抽出プロセスの最適化
WSの抽出プロセスは、本発明の実施形態に従って最適化され得る。1つの態様において、本研究の目的は、(i)抽出物のインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)、すなわち式(I)の化合物およびその誘導体、ならびに他のウィタステロイド含有量の富化、(ii)USP規格を満たすこと、ならびに(iii)水を抽出溶媒として用いることの利点および抽出物調製において使用される改変された条件を評価することに関して、アシュワガンダ(ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera))の新鮮な全体植物の抽出手順を最適化することであった。
【0064】
抽出プロセスの結果は、他のパラメータの中でも特に、使用される溶媒、抽出温度、および抽出プロセスの継続時間によって決まる。本発明のいくつかの実施形態において、これらのパラメータは、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)の生物活性成分を単離および/または富化および維持するように最適化され得る。
【0065】
薬草抽出物は、薬草を粉砕して微粉にし、その粉末をアルコールおよび/または水の溶液中に懸濁させることにより作製され得る。その溶液は、ある期間にわたって、定期的に撹拌または微粉砕(例えば、超音波処理による)され、次いで濾材に通されて、生物活性成分が抽出される。抽出プロセスを実施するのに有用な溶媒としては、水、アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)などが挙げられ得る。1つの実施形態において、完全に水による(aqueous)抽出方法があることが、環境保護の観点から望ましい。これはまた、メタノール溶媒和生成物の摂取から、抽出物の受容者を保護するであろう。
【0066】
1つの実施形態において、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)抽出物を作製するための方法が提供される。本発明はさらに、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)を抽出してウィタステロイド、特にインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)、すなわち式(I)の化合物およびその誘導体が富化された粉末を得るための方法に関する。
【0067】
当該抽出方法は、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)の全体植物、地上部分、または根部分を供給するステップと;その植物部分を細断する、または任意選択で、WSを微粉砕もしくは粉砕して粉末にするステップと;抽出溶媒または溶媒混合物を用いて、任意選択で加熱しながら、WS材料を抽出して、WSウィタノリド成分富化抽出物を供給するステップと;WSウィタノリド成分富化抽出物を濃縮または乾燥させてWSウィタノリド成分富化抽出物粉末を供給するステップとを含む。水性溶媒が好ましい。特に好ましい溶媒は水である。有用な抽出温度は、約50℃〜約100℃、好ましくは約70℃〜約100℃の範囲であり得る。特に有用な抽出温度は約80±5℃である。有用な温度と関連した有用な抽出時間は、約1時間〜約4時間の範囲であり得る。約80±℃における特に有用な抽出時間範囲は、約2時間〜約4時間、好ましくは約3時間である。
【0068】
さらなる抽出および精製ステップ(同じまたは異なる溶媒への再抽出、およびクロマトグラフィー精製を含む)が企図されている。抽出生成物はまた、適切な溶媒を用いた結晶化、共結晶化、沈殿、濾過、トリチュレーション(trituration)により、または、混合、撹拌もしくは音波処理を伴うもしくは伴わない、適切な溶媒を用いた洗浄により、さらに精製され得る。こうした精製技術の組み合わせが企図されている。
【0069】
当該抽出方法はまた、抽出された試料を乾燥させることを含み得る。好適な乾燥方法としては、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥および真空下での濃縮が挙げられる。WSウィタノリド成分富化抽出物粉末は、単離または獲得されると、任意の好適な手段(粉砕、磨砕、篩分け、分粒などを含む)によって加工され得る。得られたWSウィタノリド成分富化抽出物粉末は、任意の好適な粒径、粒径範囲、またはブレンドで調製され得る。
【0070】
本抽出方法において、時間および温度は、大気圧(すなわち、およそ1atm)にて変更される。圧力は、当該抽出方法において、例えば1atmを超える圧力を提供し得る圧力反応器装置の使用によって、変更され得ることが企図されている。
【0071】
使用される最適化された条件下において、IACの重量パーセント収率は、WS抽出物の総重量に基づき約0.2重量%〜約2.5重量%の範囲であり得る。好ましい実施形態において、IACの重量パーセント収率は、WS抽出物の総重量に基づき約0.2重量%〜約1.6重量%の範囲であり得る。別の好ましい実施形態において、IACの重量パーセント収率は、WS抽出物の総重量に基づき約0.75重量%〜約1.6重量%の範囲であり得る。
【0072】
Rama Krishna Mission Ashrama(RKMA)(Narendrapur,West Bengal)という薬用植物園から、アシュワガンダ(ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera))植物の試料を収集した。
【0073】
USP規格に従って適合させたウィタノリドおよびウィタノシドのHPLC分析方法。IACもまた、同じ方法を用い、かつ単離されたIAC2を外部マーカーとして用いて定量化した。
【0074】
そのUSP法を、本明細書において説明する。
【0075】
ウィタノリドAの標準液:ある量のUSPウィタノリドAを、約0.1mg/mlの既知濃度を有する溶液が得られるようにメタノールに溶解させた。
【0076】
ウィタノシドIVの標準液:ある量のUSPウィタノシドIVを、約0.1mg/mlの既知濃度を有する溶液が得られるようにメタノールに溶解させた。
【0077】
USP粉末WS根抽出物の標準液:100mgのUSP粉末アシュワガンダ抽出物根を、10mlのメタノールに溶解させ、およそ15〜20分間穏やかに加熱し、メタノールで希釈して所定の体積にした。注入前に溶液を0.45μmの膜フィルターに通し、その濾液をHPLCのために使用した。
【0078】
IACの標準液:ある量のIAC2(カラムクロマトグラフィーにより単離および精製されたもの;スキーム1)を、10mg/mlの既知濃度を有する溶液が得られるようにメタノールに溶解させた。
【0079】
WS抽出物溶液:例えば実施例4および実施例5に示されるように、特定の時間間隔の間に抽出された試料を直接HPLCに注入し、特定の試料の溶媒含有量によって濃度を測定した。
【0080】
HPLC条件。
カラム:逆相C18 LiChroCART、長さ250mm×内径4mm。
カラム温度:27℃。
流量:1.5ml/分。
注入量:20μl
溶離剤:水相[A]:0.5mlのリン酸を含む1リットルの水中の0.14gのリン酸二水素カリウム;有機相[B]アセトニトリル(ACN)。
運転時間:40分。勾配:B 5〜45%(18分)、45〜80%(7分)、80%を維持(3分)、80〜5%(2分)、5%を維持(10分)。
227nmにおけるUV検出;PDA検出器(Waters(商標)2996、Photodiode Array Detector)を備えたWaters HPLC、型式515、Empowerによる評価。
【0081】
HPLC評価方法。この方法は、上記のような外部標準、および以下の等式を用いたピーク面積の評価を用いて開発された。
【0082】
試料中のウィタノリド(またはアグリコン、「AG」)の百分率の計算
ウィタノリド(AG)の百分率=(rT1/rS1)(CS1/W)×1g/1000mg×試料体積(ml)×100
T1=試料溶液からのウィタフェリンA、ウィタノストラモノリド(Withanostramonolide)、ウィタノリドA、ウィタノンおよびウィタノリドBについてのピーク応答の合計。
S1=USP標準ウィタノリドA液からのウィタノリドAのピーク応答。
S1=ウィタノリド標準液中のUSPウィタノリドAの濃度(mg/ml)。
W=試料溶液を調製するために用いられた粉末アシュワガンダ抽出物の重量(g)。
【0083】
試料中のウィタノシド(またはウィタノリドグリコシド、「WG」)の百分率の計算
ウィタノシド(WG)の百分率=(rT2/rS2)(CS2/W)×1g/1000mg×試料体積(ml)×100
T2=試料溶液からのウィタノシドIV、VおよびVIについてのピーク応答の合計。
S2=USP標準ウィタノシドIV液からのウィタノシドIVのピーク応答。
S2=ウィタノシド標準液中のUSPウィタノシドIVの濃度(mg/ml)。
W=試料溶液を調製するために用いられた粉末アシュワガンダ抽出物の重量(g)。
【0084】
試料中のIACの百分率の計算
IACの百分率=(rT3/rS3)(CS3/W)×試料体積(ml)×100
T3=220、280および320nmのλmaxを示すピークのピーク応答の合計。
S3=IAC2の標準液のピーク応答
S3=標準液中のIAC2の濃度(g/ml)。
W=試料溶液を調製するために用いられたアシュワガンダ根抽出物の重量(g)。
【0085】
本発明はさらに、式(I)に従う単離化合物を包含する。「単離化合物」という表現は、式(I)の化合物、または式(I)に従う化合物の混合物の調製物をいい、この単離化合物は、その化合物またはそれらの化合物の合成において使用された試薬、および/または形成された副生物から分離されたものである。「単離(された)」とは、その調製物が技術的に純粋(均質)であることを意味しないが、この調製物は、それが治療的に使用され得る形態に配合するのに十分に純粋である。好ましくは、「単離化合物」は、式(I)の化合物または式(I)に従う化合物の混合物の調製物であって、式(I)に従う指定された化合物または化合物の混合物を総重量の少なくとも10重量パーセントの量で含有するものをいう。好ましくは、当該調製物は、指定された化合物または化合物の混合物を、調製物の総重量の少なくとも50重量パーセント;より好ましくは総重量の少なくとも80重量パーセント;最も好ましくは総重量の少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセントまたは少なくとも98重量パーセントの量で含有する。
【0086】
本発明の化合物および中間体は、標準的な技術(例えば、濾過、液−液抽出、固相抽出、蒸留、再結晶またはクロマトグラフィー(フラッシュカラムクロマトグラフィー、分取TLC、HPTLC、またはHPLCを含む))によって、それらの反応混合物から単離され、精製され得る。式(I)に従う化合物またはその塩の精製のための好ましい方法は、溶媒から化合物または塩を結晶化させて、好ましくは結晶形態の化合物またはその塩を形成することを含む。結晶化に続き、蒸発以外の方法(例えば、濾過またはデカント)によって結晶化溶媒が除去され、次いで結晶が、好ましくは純溶媒(または純溶媒の混合物)を用いて洗浄される。結晶化に好ましい溶媒としては、水、アルコール、特に、4個までの炭素原子を含有するアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ならびにブタル−1−オール(butal−1−ol)、ブタン−2−オール、および2−メチル−2−プロパノール)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよび1,4−ジオキサン)、カルボン酸(例えば、ギ酸および酢酸)、および炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、トルエン)、ならびにそれらの混合物、特に水性混合物(例えば、エタノール水)が挙げられる。純溶媒、好ましくは少なくとも分析等級、より好ましくは製薬等級が使用されるのが好ましい。本発明の方法の好ましい実施形態において、生成物はこのように単離される。式(I)に従う本発明の化合物またはその塩、およびその薬学的組成物において、式(I)に従う化合物またはその塩は、好ましくは、結晶形態であるか、または結晶形態から調製され、好ましくはかかる方法に従って調製される。
【0087】
上記の合成方法は、収束的合成戦略を反映している。したがって、2つの成分を別個に合成し練り上げてから、その2つの化合物を縮合またはカップリングさせて標的化合物を形成し得る。こうした収束的合成スキームを用いれば、官能基の感受性に対処するようなおよび/または記載される縮合もしくはカップリング反応による標的化合物の主鎖の組み立て前もしくは組み立て後のいずれかに官能基もしくは元素が導入されることを可能にするような、標的化合物の主鎖の組み立て工程および誘導体化可能な官能基の誘導体化の配置が可能になる。
【0088】
当業者であれば、本発明の化合物中、上記の方法において使用される中間体中、またはその前駆体中の特定の芳香族置換基が、芳香族置換反応を採用して置換基を導入するもしくは置き換えることにより、または官能基変換を用いて既存の置換基を改変することにより、またはそれらの組み合わせにより、導入され得ることを理解するであろう。そのような反応は、上述の方法の前または直後のいずれにおいても行われ得、本発明の方法態様の一部として包含される。そのような手順のための試薬および反応条件は、当該技術分野において知られている。採用され得る手順の具体例としては、例えばニトロ化、ハロゲン化もしくはアシル化による、芳香族環の求電子性官能基化;例えば還元による(例えば、接触水素化による)、ニトロ基のアミノ基への変換;アミノ基もしくはヒドロキシル基のアシル化、アルキル化もしくはスルホニル化;中間体ジアゾニウム塩への変換、それに続くジアゾニウム塩の求核置換もしくはフリーラジカル置換による、別の官能基でのアミノ基の置き換え;または例えば求核置換反応もしくは有機金属で触媒される置換反応による、別の基でのハロゲンの置き換えが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
さらに、前述の方法において、反応条件に感受性があるであろう特定の官能基が、保護基によって保護され得る。保護基は、さもなければ特定の反応を行うために必要とされる条件と不適合であろう化学官能基の誘導体であり、反応が実施された後にそれが除去されると元の官能基が再生され得、これによって、その官能基は「保護」されていたと見なされる。本発明の化合物を合成するために使用される試薬のいずれかのものの構造成分であるいずれの化学官能基も、そのような保護基が本発明の化合物の合成において有用である場合に、任意選択で、化学保護基で保護され得る。保護基がいつ必要とされるか、どのようにそのような基を選択するか、およびそれらを選択的に導入し選択的に除去するために使用され得る方法は、当業者には分かっている。というのは、保護基の選択方法および使用方法は、化学文献において広範に記録されているからである。化学保護基を選択する技術、組み込む技術、および除去する技術は、例えば、参照によりその開示全体が本明細書に援用されるProtective Groups in Organic Synthesis by Theodora W.Greene,Peter G.M.Wuts(John Wiley&Sons,Inc.1999)において見出され得る。
【0090】
保護基の使用に加えて、感受性のある官能基が、中間体または最終生成物において望まれる官能基の合成前駆体として導入され得る。これの一例は、芳香族ニトロ(−NO)基である。芳香族ニトロ基は、芳香族アミノ基の求核反応を何ら行わない。しかしながら、ニトロ基は、大抵の他の官能基よりもニトロ基に対して選択的である穏やかな条件下においてアミノ基へと容易に還元されるので、それは、保護されたアミノ基の等価物として機能し得る。
【0091】
当業者であれば、記載される方法が、本発明の化合物が合成され得る唯一の手段ではないこと、および本発明の化合物を合成する際に潜在的に採用されるべき合成有機反応の極めて広範なレパートリーが利用可能であることを理解するであろう。どのように適切な合成経路を選択し実施するか、当業者には分かっている。好適な合成方法は、文献(Comprehensive Organic Synthesis,Ed.B.M.Trost and I.Fleming(Pergamon Press,1991)、Comprehensive Organic Functional Group Transformations,Ed.A.R.Katritzky,O.Meth−Cohn,and C.W.Reese(Pergamon Press,1996)、Comprehensive Organic Functional Group Transformations II,Ed.A.R.Katritzky and R.J.K.Taylor(Editor)(Elsevier,2ndEdition,2004)、Comprehensive Heterocyclic Chemistry,Ed.A.R.Katritzky and C.W.Rees(Pergamon Press,1984)、Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,Ed.A.R.Katritzky,C.W.Rees,and E.F.V.Scriven(Pergamon Press,1996)、およびAdvanced Organic Chemistry,4th Ed.,J.March(John Wiley&Sons,1992)などの参照資料を含む)を参照することにより確認され得る。
【0092】
本発明に従う化合物の塩
本発明の化合物は、塩の形態を取り得る。用語「塩」とは、本発明の化合物である遊離酸または遊離塩基の付加塩を包含する。用語「薬学的に受容可能な塩」とは、薬学的用途において有用性を与える範囲内の毒性プロファイルを有する塩をいう。
【0093】
好適な薬学的に受容可能な酸付加塩は、無機酸からまたは有機酸から調製され得る。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、およびリン酸が挙げられる。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族(araliphatic)、複素環式、カルボン酸およびスルホン酸のクラスの有機酸から選択され得、それらの例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロへキシルアミノスルホン酸(cyclohexylaminosufonic acid)、ステアリン酸、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、粘液酸およびガラクツロン酸が挙げられる。式(I)の化合物、すなわち、アミノ基を含有する化合物の本発明の例において、前記化合物は、無機酸または強有機酸(例えば、塩酸またはトリフルオロ酢酸)の塩として単離され得る。
【0094】
本発明の化合物の好適な薬学的に受容可能な塩基付加塩としては、例えば、金属塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩および遷移金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩および亜鉛塩など)を含む)が挙げられる。薬学的に受容可能な塩基付加塩には、塩基性アミン(例えば、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、トロメタミン(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、およびプロカインなど)から作製される有機塩もまた含まれる。
【0095】
これらの塩の全てが、例えば適切な酸または塩基を式(I)に従う化合物と反応させることにより、式(I)に従う対応する化合物から従来の手段によって調製され得る。好ましくは、当該塩は、結晶形態であり、好ましくは、好適な溶媒からの塩の結晶化によって調製される。例えばHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use by P.H.Stahl and C.G.Wermuth(Wiley−VCH 2002)に記載されているように、どのように好適な塩形態を調製および選択するか、当業者には分かるであろう。
【0096】
本発明の機能性食品組成物は、機能性食品的に(nutraceutically)受容可能なキャリアと組み合わせて投与され得る。そのような製剤中の有効成分は、1重量%〜99重量%、あるいは0.1重量%〜99.9重量%を構成し得る。「機能性食品的に受容可能なキャリア」とは、製剤の他の成分と適合性がありかつ使用者に有害でない任意のキャリア、希釈剤または賦形剤を意味する。1つの実施形態によれば、好適な機能性食品的に受容可能なキャリアとしては、エタノール、水性エタノール混合物、水、果汁および/または野菜汁、ならびにそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0097】
送達系
好適な剤形としては、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、散剤、ガム、および菓子が挙げられる。舌下送達系としては、舌下および舌上溶解性錠剤、液滴、および飲料が挙げられるが、これらに限定されない。食用フィルム、親水性ポリマー、口腔内溶解性フィルムまたは口腔内溶解性ストリップが使用され得る。他の有用な送達系は、経口または経鼻用の噴霧器または吸入器などを含む。
【0098】
経口投与のためには、式(I)の化合物、あるいはウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)抽出物は、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤または他の好適な剤形の調製のための1種または複数種の固体不活性成分とさらに組み合わされ得る。例えば、活性薬剤は、少なくとも1種の賦形剤(例えば、充填剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸収剤、または平滑剤)と組み合わされ得る。他の有用な賦形剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、マンニトール、キシリトール、甘味料、デンプン、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、シリカ、ゼラチン、二酸化ケイ素などが挙げられる。
【0099】
したがって、本発明の成分は、従来の佐剤、キャリア、または希釈剤と一緒に、薬学的組成物およびその単位投薬量の形態に入れられ得る。そのような形態としては、固体剤、特に錠剤、充填カプセル剤、粉末およびペレットの形態、ならびに液体剤、特に水性または非水性の液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、およびそれらを充填したカプセル剤が全て経口用途用として挙げられ、坐剤が直腸投与用として挙げられ、そして滅菌注射可能液剤が腸管外用途用として挙げられる。そのような薬学的組成物およびその単位投薬量形態は、さらなる活性化合物または活性成分を含むかまたは含まずに、従来の成分を従来の割合で含み得、そのような単位投薬量形態は、使用されるべき所期の1日投薬量範囲に対応する任意の好適な有効量の有効成分を含有し得る。
【0100】
本発明の成分は、多種多様な経口剤形および非経口剤形で投与され得る。当業者には、以下の剤形が、本発明の化合物または本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩のいずれかを有効成分として含み得ることが明らかであろう。
【0101】
本発明の化合物から薬学的組成物を調製するために、薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固形調製物は、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒剤を含む。固体キャリアは、希釈剤、着香料、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル封入材料としても機能し得る1種または複数種の物質であり得る。
【0102】
散剤においては、キャリアは、微粉固体であり、これが、微粉活性成分との混合物の状態にある。錠剤においては、活性成分は、必要な結合能力を有するキャリアと好適な割合で混合され、所望の形状および大きさに圧縮されている。
【0103】
散剤および錠剤は、好ましくは、5または10〜約70パーセントの活性化合物を含有する。好適なキャリアは、微結晶性セルロース、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点蝋、カカオ脂などであり、他の賦形剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、二酸化ケイ素などが挙げられ得る。用語「調製物」は、カプセル剤を提供するキャリアとしてのカプセル封入材料を伴う活性化合物の製剤を包含することが意図されており、カプセル剤において、活性成分はキャリアを伴ってかまたは伴わずにキャリアに取り囲まれており、そのようにしてキャリアが活性成分と関係している。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、サシェ剤、およびトローチ剤が包含される。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、サシェ剤、およびトローチ剤は、経口投与に適した固体形態として使用され得る。
【0104】
液体調製物は、液剤、懸濁剤、および乳剤、例えば、水溶液または水−プロピレングリコール溶液を含む。例えば、非経口注射液体調製物は、ポリエチレングリコール水溶液中の液剤として製剤化され得る。したがって、本発明に従う化合物は、(例えば、注射、例えば、ボーラス注射または持続注入による)非経口投与用に製剤化され得、アンプル、事前に充填された注射器、小容量注入容器において単位用量で、または保存剤を添加した複数回分の服用量を含む容器に入れて提供され得る。当該組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、または乳剤のような形態を取り得、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの製剤化剤を含有し得る。あるいは、有効成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば、滅菌した、発熱物質を含まない水)を用いて構成するための、滅菌固体の無菌単離によりまたは溶液からの凍結乾燥により得られた粉末形態であり得る。
【0105】
経口用途に好適な水性液剤は、水に活性成分を溶解させ、好適な着色料、矯味矯臭剤、安定剤および濃稠化剤を所望どおりに添加することにより調製され得る。経口用途に好適な水性懸濁剤は、粘性物質(例えば、天然もしくは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、または他のよく知られている懸濁化剤)を含む水に微粉活性成分を分散させることにより作製され得る。
【0106】
口内の局所投与に好適な組成物としては、風味を付けた基剤(通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント)中に活性薬剤を含むトローチ剤;不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア)中に有効成分を含む香錠;および好適な液体キャリア中に有効成分を含む口内洗剤が挙げられる。
【0107】
液剤または懸濁剤は、従来の手段によって、例えばドロッパー、ピペットまたは噴霧器を用いて、鼻腔に直接適用される。当該組成物は、単回または複数回用量形態で提供され得る。気道への投与が意図される組成物(鼻腔内組成物を含む)において、当該化合物は、概して、例えば約5ミクロンまたはそれ以下の、小さな粒径を有している。そのような粒径は、当該技術分野において知られている手段によって(例えば、超微粉砕によって)得られ得る。
【0108】
薬学的調製物は、好ましくは単位投薬量形態になっている。そのような形態において、調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分されている。単位投薬量形態は、個別量の調製物を包装材に入れた、包装された調製物(例えば、包装された錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の散剤)であり得る。また、単位投薬量形態は、1つのカプセル剤、錠剤、カシェ剤またはトローチ剤自体であり得るか、またはそれは、包装された形態の適切な数のこれらの任意のものであり得る。
【0109】
経口投与用の錠剤、カプセル剤およびトローチ剤ならびに経口用途用の液体剤は、好ましい組成物である。鼻腔または気道への適用のための液剤または懸濁剤は、好ましい組成物である。表皮への局所投与用の経皮貼付剤は好ましい。
【0110】
製剤化および投与の技術についてのさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版に見出され得る。
【0111】
経口投与用の固体栄養組成物は、上に列挙した栄養組成物成分または化合物に加えて、キャリア材料(例えば、トウモロコシデンプン、ゼラチン、アカシア、微結晶性セルロース、カオリン、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、アルギン酸など);崩壊剤(微結晶性セルロース、アルギン酸などを含む);結合剤(アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースなどを含む);および滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリコーン流体、タルク、蝋、油、コロイドシリカなど)を、任意選択で含有し得る。そのような賦形剤の有用性は、当該技術分野においてよく知られている。
【0112】
炎症、感冒および/またはインフルエンザを予防および/処置するための方法と関連した経口投与用液体栄養組成物は、水または他の水性ビヒクル中で調製され得る。上に列挙した成分または化合物に加えて、液体栄養組成物は、懸濁化剤(例えば、メチルセルロース、アルギネート、トラガカント、ペクチン、ケルギン(kelgin)、カラゲナン、アカシア、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなど)などを含み得る。液体栄養組成物は、上に列挙した成分または化合物と共に湿潤剤、甘味料、着色料および着香料を含むまたは含有する、液剤、乳剤、シロップ剤、ゲル剤、またはエリキシル剤の形態であり得る。種々の液体および粉末栄養組成物が、従来の方法によって調製され得る。種々の即席飲料製剤(ready−to−drink formulation:RTD)が企図されている。
【0113】
投与経路
当該組成物は、経口投与、舌下投与、口腔粘膜投与、眼投与、経肺投与、直腸投与、および腸管外投与を含むがこれらに限定されない任意の好適な経路により、または経口もしくは経鼻スプレー剤(例えば、霧状にした蒸気、小滴、または固体粒子の吸入)として投与され得る。腸管外投与には、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、膣内投与、嚢内(例えば、膀胱への)投与、皮内投与、経皮投与、局所投与、または皮下投与が含まれる。薬物の全身または局所放出が後に起こることになる制御製剤中での患者体内への薬学的組成物の点滴注入もまた、本発明の範囲内で企図されている。例えば、薬物は、循環への制御放出のため、または局所部位への放出のために、デポー中に局在化され得る。
【0114】
本発明の薬学的組成物は、経口投与、直腸投与、気管支投与、経鼻投与、経肺投与、局所(口腔粘膜および舌下を含む)投与、経皮投与、膣投与もしくは腸管外投与(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、大脳内(intracerebal)、眼内注射または注入を含む)に好適な薬学的組成物、または吸入もしくは吹入剤(散剤および液体エアロゾル投与を含む)によるもしくは徐放系による投与に好適な形態の薬学的組成物であり得る。徐放系の好適な例としては、本発明の化合物を含有する、固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、当該マトリックスは、成形品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形態であり得る。
【0115】
上記の方法は、以下の実施例と関連させてさらに理解され得る。また、以下の非限定的な実施例は、本発明を例示するために提供されるものである。抽出プロセスの結果は、使用される溶媒、抽出温度、および抽出プロセスの継続時間によって決まる。本発明のいくつかの実施形態において、これらの因子は、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)の生物活性成分を単離および/または富化および維持するように最適化され得る。以下の実施例において使用されるWSは、Rama Krishna Mission Ashrama(RKMA)(Narendrapur,Kolkata,West Bengal,India)から入手された。GC−MS分析は、VF−5 MS 5%フェニル−メチルポリシロキサンカラム(30m×内径0.25mm)を備えた、Varian GC−MS、型式:Saturn 2000、GC 3800を用いて実施された。使用されたキャリアガスは、超純粋ヘリウムであった。GC−MS分析の分析データは全て、Varian MSワークステーションソフトウェアに基づいた。20μlの試料をガラスバイアル中に採取し、Nガスで蒸発させ、その後、一晩真空中で維持した。次いで、40μlのピリジンおよび40μlのN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド試薬を添加し、十分に混合し、完全な誘導体化のために30分間にわたり70℃で維持した。使用されたキャリアガスは、1.2ml/分の一定流量の超純粋ヘリウムであった。GCオーブン温度を次のようにプログラムした:第1工程:初期温度は50℃であり、保持時間は1分であった;第2工程:10℃/分ずつ上昇させて、最終温度は100℃であり、保持時間は2分であった;第3工程:10℃/分ずつ上昇させて、最終温度は125℃であり、保持時間は3分であった;第4工程:10℃/分ずつ上昇させて、最終温度は150℃であり、保持時間は3分であった;第5工程:10℃/分ずつ上昇させて、最終温度は180℃であり、保持時間は3分であった;第6工程:20℃/分ずつ上昇させて、最終温度は200℃であり、保持時間は3分であった;第7工程:20℃/分ずつ上昇させて、最終温度は280℃であり、保持時間は12分であった。1:20のスプリット比を用いて試料を注入した。トランスファーライン温度は260℃であり、注入量は0.5μLであった。質量分析計のための条件は、次のとおりであった:質量範囲は50〜550、イオン化電位:70eV、放出電流:10マイクロアンペア、イオントラップ温度:180℃、マニホールド温度:45℃およびバックグラウンド質量:35m/z。
【実施例】
【0116】
実施例1
インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の合成調製
実施例1A
【0117】
インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体:式(I)の化合物:R=水素、R=水素、R=ヒドロキシル、そして
は、炭素−炭素二重結合である。溶液相。トリプタミン塩酸塩(3.6mg)を、50ml丸底フラスコに取り、200μlの蒸留水に溶解させた。この溶液を、200μlのアンモニアを添加することにより中和し、塩基性にした。過剰のアンモニアを窒素流れ下で除去した。
【0118】
典型的な実験において、丸底フラスコ中のそのように調製されたトリプタミン(2.85mg)を、20mlの無アルデヒドエタノールに溶解させた。ウィタフェリンA(9.4mg)をこの溶液に添加し、混合物を1時間還流させた。1時間後、混合物を冷却させ、1種または複数種の複合体の同定のためにHPTLCおよびHPLC分析に供した。
【0119】
トリプタミン−ウィタフェリンA複合体のHPTLC比較分析。トリプタミン−HClおよびウィタフェリンAと共に、トリプタミン−ウィタフェリンA複合体のHPTLCを、Merck KGaA;1.05554.0007 プレコートTLCアルミニウムシート シリカゲル60F254プレート上で行った。試料を2mg/mlの濃度でエタノールに溶解させ、CAMAG Linomet IV TLCアプリケーターを用いてそのTLCプレート上に適用した。これらのプレートを、クロロホルム:メタノール(90:10)を移動相として用いて二槽式チャンバー中で展開させた。これらのプレートの濃度計評価を、(エールリッヒスプレー試薬による誘導体化後に)CAMAG TLC Scanner 3によってλ=254nm、366nmおよび660nmにて行った。CAMAG winCATSソフトウェア(バージョン1.3.4)によって走査データを処理した。その後、トリプタミン−ウィタフェリンA結合化合物を同定するために、プレートを走査して、200〜400nmの間における各スポットのUV反射スペクトルを測定した。
【0120】
254nmにて:HPTLC(溶出R、相対存在量%):トリプタミン(0.01、24.40%);インドールアルキルアミノ複合体スポット1(0.46、6.53%);インドールアルキルアミノ複合体スポットスポット2(0.42、4.09%);インドールアルキルアミノ複合体スポット3(0.23、24.14%);ウィタフェリンA(0.65、40.84%)。UVλmax nm(吸収):インドールアルキルアミノ複合体スポット1:234(0.95)、297(0.59);インドールアルキルアミノ複合体スポット2:231(0.95)、293nm(0.64);インドールアルキルアミノ複合体スポット3:234(0.94)、295nm(0.58)。
【0121】
インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体:式(I)の化合物:R=水素、R=水素、R=ヒドロキシル、そして
は、炭素−炭素二重結合である。固体表面での調製。表題の化合物をアルミナの周りへの吸着によって調製した。
【0122】
1A.1.トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率に対するトリプタミンおよびウィタフェリンAのモル比の影響
トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率に対する反応物(トリプタミンおよびウィタフェリンA)のモル比の影響を、固体中性アルミナ表面上で測定した。異なる比(1:1.5、1:2、1:3)のトリプタミン:ウィタフェリンAを用いて実験を実施した。典型的な反応において、トリプタミン−HCl(16mg)を秤量し、コニカルフラスコに取り、0.2mlのMillipore脱イオン水に溶解させた。この溶液に、0.2mlのアンモニア溶液を添加し、アンモニア臭が消えるまで混合物を蒸気浴上で温めた。そうして形成されたトリプタミンを、5mlのエタノールに溶解させた。このトリプタミンのエタノール溶液に、(1:1.5のトリプタミン:ウィタフェリンAのモル比を守るように)70.5mgのウィタフェリンAを添加した。この溶液をペトリ皿に取り、(1:10の試料:アルミナ比を守るように)1100mgのアルミナをその溶液に添加して、トリプタミン−ウィタフェリンA混合物をアルミナ床の周りに吸着させた。この床を、覆いおよび振盪なしに、24時間にわたり室温で維持した。別の2組の実験は、2つの異なる比のトリプタミンおよびウィタフェリンA(トリプタミン 16mg:ウィタフェリンA 94mg;トリプタミン 16mg:ウィタフェリンA 141mg)を用いて上記のように実施した。24時間後、試料を含有するアルミナ床をコニカルフラスコに取り、5分間一定の振盪を与えながら50ml(25ml×2)のメタノールで溶出させた。このメタノール溶液を濾過し、40℃にて回転蒸発器により減圧下で蒸発させた。異なる比のもとでそのように形成されたトリプタミン−ウィタフェリンA複合体を、包括的なHPTLC分析に供した。その結果を表Aに組み入れる。酸化アルミニウムは、活性型(active)の、中性の、活性度I〜II(Merck Specialities Private Limited,Mumbai,India)のものであった。
【0123】
複合体のHPTLC分析
トリプタミン−HCl、5−メトキシトリプタミンおよびウィタフェリンAと共に、反応生成物のHPTLC分析を、Merck KGaA;1.05554.0007 プレコートTLCアルミニウムシート シリカゲル60F254プレート上で行った。試料(各1mg)を、2mg/mlの濃度で500μlのエタノールに溶解させ、CAMAG Linomet IV TLCアプリケーターを用いてそのTLCプレート上に適用した。これらのプレートを、クロロホルム:メタノール(95:5)を移動相として用いて二槽式チャンバー中で80cmまで展開させた。これらのプレートの濃度計評価を、(エールリッヒスプレー試薬による誘導体化後に)CAMAG TLC Scanner 3を吸光および蛍光(366nmの場合)モードで用いてλ=254nmおよび660nmにて行った。CAMAG winCATSソフトウェア(バージョン1.3.4)によって走査データを処理した。その後、インドールアルキルアミノ−ウィタフェリンA複合体を同定するために、プレートを走査して、200〜400nmの間において各スポットのUV反射スペクトルを測定した。
【0124】
上記の研究からの結果は、トリプタミン:ウィタフェリンAの1:2のモル比がトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の合成のための最適比として見出されたことを示している。したがって、1:2のトリプタミン:ウィタフェリンA比を用いて、さらなる実験を次のように実施した。
【0125】
1A.2.トリプタミノーウィタフェリンA複合体の収率に対する固体表面(アルミナ)のpHの影響
トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率に対する固体表面(アルミナ)のpHの影響を、酸性アルミナ(酸化アルミニウム活性型、酸性、活性度I〜II(Loba Chemie Private Limited,Mumbai,India)pH3.5〜5.0)、中性アルミナ(酸化アルミニウム活性型、中性、活性度I〜II、pH6.8〜7.8(Merck Specialities Private Limited,Mumbai,India))および塩基性アルミナ(酸化アルミニウム活性型、塩基性、活性度I〜II(Loba Chemie Private Limited,Mumbai,India)pH8.5〜10)を用いて研究した。典型的な反応において、トリプタミン−HCl(16mg)を秤量し、コニカルフラスコに取り、0.2mlのミリポア水に溶解させた。この溶液に、0.2mlのアンモニア溶液を添加し、アンモニア臭が消えるまで混合物を蒸気浴上で温めた。そうして形成されたトリプタミンを、5mlのエタノールに溶解させた。このトリプタミンのエタノール溶液に、(1:2のトリプタミン:ウィタフェリンAのモル比を守るように)94mgのウィタフェリンAを添加した。この溶液をペトリ皿に取り、(1:10の試料:アルミナ比を守るように)1100mgのアルミナをその溶液に添加して、トリプタミン−ウィタフェリンA混合物をアルミナ床の周りに吸着させた。この床を、覆いおよび振盪なしに、24時間にわたり室温で維持した。共役反応のための吸着媒体の最適pHを評価するために、3つの異なる実験を、酸性、塩基性および中性のアルミナを用いてこのようにして同様に行った。24時間後、試料を含有するアルミナ床をコニカルフラスコに取り、5分間にわたり一定の振盪を与えながら50ml(25ml×2)のメタノールで溶出させた。このメタノール溶液を濾過し、40℃にて回転蒸発器により減圧下で蒸発させた。吸着剤(アルミナ)の異なるpH条件のもとでそのように形成されたトリプタミン−ウィタフェリンA複合体を、包括的なHPTLC分析に供した。その結果を表Bに組み入れる。
【0126】
上(表B)に示される結果は、中性のアルミナ固体表面が、酸性および塩基性のアルミナ表面よりも良好なトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率(62%)をもたらしたことを示している。したがって、中性アルミナを用いて、複合体化(conjugation)のさらなる実験を行った。
【0127】
1A.3.トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率に対する反応物および固体表面(中性アルミナ)の比の影響
別の組の実験において、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率に対する合わせた反応物(トリプタミンおよびウィタフェリンA、1:2)および固体表面成分(中性アルミナ)の比の影響を測定した。これらの実験を、異なる比(1:2、1:10、1:20)の反応物および固体表面(中性アルミナ)、すなわち、それぞれ、反応物110mg:中性アルミナ220mg、反応物110mg:中性アルミナ1100mg、および反応物110mg:中性アルミナ2200mgを用いて、実施例1A.1において上で説明したように実施した。結果として生じた生成物を(上記のように)HPTLCにより分析した。その結果を表Cに組み入れる。
【0128】
合わせた反応物:アルミナの異なる比を用いての上(表C)に示された結果は、1:10(反応物:アルミナ)が、1:2の比よりもはるかに良好なトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の収率(62%)をもたらすことを示した。
【0129】
総合すれば、上記の例示的な最適化実験(1A.1〜1A.3)は、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体合成の好適かつ/または最適な条件が次のとおりであることを示唆している。
【0130】
トリプタミン:ウィタフェリンAの最適モル比は、約1:2である。
【0131】
固体吸着剤表面の最適pHは、中性アルミナ(pH約6.8〜7.8)である。
【0132】
合わせた反応物:固体吸着剤(中性アルミナ)の最適比は、約1:10である。
【0133】
最適化された条件を用いてこのように調製された複合体を、段階的溶媒沈殿法(graded solvent precipitation method)に従うことにより、さらに精製した。典型的な実験において、粗生成物(約100mg)をアセトン(5ml)に溶解させ、それに、連続的に撹拌しながら、40mlの酢酸エチルをゆっくりと添加した。溶液を、未反応のトリプタミンの完全な沈殿のために2時間にわたり4℃で維持した。溶液を5分間にわたり8000RPMで遠心分離し、上清を減圧下で蒸発乾固した。乾燥残渣をクロロホルム(5ml)に再溶解させ、40mlのn−ヘキサンをそれに添加し、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(45mg)の完全な沈殿のために、混合物を2時間にわたり4℃で維持した。精製された複合体を、構造特性決定のために、包括的なクロマトグラフィー分析(HPLC、HPTLC)およびスペクトル分析(UV、H−NMR、IR、質量)に供した。
【0134】
トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(I):分子式C3850を、ESI質量分析から確認した。ESI質量分析は、m/z 631.4(M+H)の正イオンを示した。メタノール中のUVスペクトルは、λmax 234nm(0.95AU)および297nm(0.59AU)の吸収極大を示した。したがって、上記の溶液相実験のインドールアルキルアミノ複合体スポット1に対応する。400MHzのH NMR(CDOD中)は、インドール部分のプロトンδ7.0〜7.2ppm(m,インドールH−4,6,7)およびウィタフェリンAδ0.9〜1.98(4×CH基)の存在を示した。
【0135】
トリプタミン(N)およびウィタフェリンA(C位)の結合点についての根拠:アルケニルプロトン(ウィタフェリンA C、C−H)シグナルが、ウィタフェリンAにおけるものからメチレン/メチン領域に高磁場シフトした[δ6.2(d,ステロイドC−2プロトン)およびδ7.0(m,ステロイドC−3プロトン)]。これらのデータにより、ウィタフェリンA部分のC位にあるインドールアルキルアミノ部分の連結点が示された。FTIR(KBR中)は、3415cm−1(ヒドロキシル基およびα−β−不飽和ラクトン)、2938cm−1(アルキルCH)および1689cm−1(結合したカルボニル官能基)にピークνmaxを示した。
【0136】
実施例2
5−置換インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の合成調製または抽出
実施例2A
インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体2(IAC2):式(I)の化合物:R=5−メトキシ、R=水素、R=ヒドロキシル、そして
は、炭素−炭素二重結合である。固体表面上での調製。表題の化合物を、中性アルミナの周りへの吸着によって調製した。5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体を、(実施例1A.3のように)トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体合成の開発された最適化された条件を用いて調製した。典型的な実験において、5−メトキシトリプタミン(18mg)を秤量し、5mlのエタノールに溶解させた。5−メトキシトリプタミンのエタノール溶液に、(1:2の5−メトキシトリプタミン:ウィタフェリンAのモル比を守るように)94mgのウィタフェリンAを添加した。この溶液をペトリ皿に取り、(1:10の試料:アルミナ比を守るように)1100mgの中性アルミナをその溶液に添加して、5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンAをアルミナ床の周りに吸着させた。この床を、覆いおよび振盪なしに、24時間にわたり室温で維持した。24時間後、試料を含有するアルミナ床をコニカルフラスコに取り、各回5分間にわたり一定の振盪を与えながら50ml(25ml×2回)のメタノールで抽出した。このメタノール溶液を濾過し、40℃にて回転蒸発器により減圧下で蒸発させた。そうして形成された5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体を、次のように段階的溶媒沈殿法によってさらに精製した。
【0137】
上記の反応生成物(約100mg)をアセトン(5ml)に溶解させ、それに、連続的に撹拌しながら、40mlの酢酸エチルをゆっくりと添加した。溶液を、未反応の5−メトキシトリプタミンの完全な沈殿のために2時間にわたり4℃で維持した。溶液を5分間にわたり8000RPMで遠心分離し、上清を減圧下で蒸発乾固した。乾燥残渣をクロロホルム(5ml)に再溶解させ、40mlのn−ヘキサンをそれに添加し、5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(45mg)の完全な沈殿のために、2時間にわたり4℃で維持した。精製された複合体を、構造特性決定のために、包括的なクロマトグラフィー分析(HPLC、HPTLC)およびスペクトル分析(UV、H−NMR、IR、質量)に供した。
【0138】
5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(I):分子式C3952を、ESI質量分析から確認した。ESI質量分析は、m/z 661.4(M+H)の正イオンを示した。メタノール中のUVスペクトルは、λmax 236nm(0.95Au)および299nm(0.70Au)の吸収極大を示した。H NMR(CDOD中)は、インドール部分:δ7ppm(6.7〜7.3ppm)を中心とした多重線プロトンの存在を示した。ウィタフェリンAの(C,C−H)プロトンが、5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体においては高磁場シフトしており、示されているような複合体の連結点がそれによって支持された。FTIR(KBR中)は、3407cm−1(ヒドロキシル基およびα,β−不飽和ラクトン)、2935cm−1(アルキルCH)および1684cm−1(共役カルボニル官能基)にピークを示した。
【0139】
実施例2Aおよび実施例1Aについてのインビトロ薬理学結果、そしてさらにインビボ試験結果は、下の実施例7で説明される。
【0140】
実施例2B
インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体2(IAC2):式(I)の化合物:R=5−メトキシ、R=水素、R=ヒドロキシル、そして
は、炭素−炭素二重結合である。式(I)を有するインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体が富化された抽出物。スキーム1の抽出および単離の一般的手順を、上述のように実施した。インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド富化画分IAEF−A(120mg)に基づき、IAC2を、カラムクロマトグラフィーによって単離した(13mg)。UVλmax(MeOH):nm(吸収)212(0.52)、235 sh(−)、295(0.033)。MS(EI) 分子は、M+●ピークを示す前に断片化した;フラグメントイオンピークは、m/z 648、645(M−15)、633、615、169、160、145、123に現れた。GC/MS t16.156分における強いシグナル;フラグメントイオン:ウィタフェリン部分 m/z 328、286、193、175、147、141、117、自動酸化後のインドールアルキルアミノ部分 m/z 207、190、189、162、161。H−NMR(300MHz,CDOD)δ0.9−1.98(4×CH−基),6.5−7(インドールH−4,6,7);解釈:アルケニルプロトンは存在せず、シグナルが、ウィタフェリンAに比べてメチレン/メタン領域に高磁場シフトしており(δ6.3(ステロイドC−2プロトン,d)および7.0(ステロイドC−3プロトン,q))、これにより、インドールアルキルアミノ部分の連結点が示された。
【0141】
実施例3
アセチルコリン−エステラーゼ活性のインビトロ阻害
WSの乾燥させた水抽出物(WS−74)、アセトン可溶性/WS抽出物画分(Ace Sol/WS−74)、インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体富化画分(IAEF−A)、単離された純粋な化合物(IAC1〜5)、および、他の比較試料の中でも特に、ウィタフェリンAを、それらの抗コリンエステラーゼ活性を測定するために、インビトロアセチルコリンエステラーゼ活性アッセイに供した(上記のスキーム1も参照されたい)。アセチルコリンエステラーゼ(AChE)アッセイを、小さな変更を加えたEllman et al.の方法によって、ヨウ化アセチルチオコリンを基質として用いて行った(G.L.Ellman,et al.,“A new and rapid colorimetric determination of acetylcholinesterase activity,”Biochem.Pharmacol.(1961)7:88−95)。Ellman反応混合物を、0.05M リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中の10mM ヨウ化アセチルチオコリンと0.5mM 5,5’−ジチオ−ビス−(2−ニトロ安息香酸)との組み合わせから作製した。AChEによる加水分解の速度を、96ウェルマイクロタイタープレートリーダーを用いて分光光度計によってモニタリングした。各試験試料(10μl)および0.05M リン酸ナトリウム緩衝液(30μl)を、酵素溶液(10μl)と混合した。エルマン反応混合物(50μl)をさらに添加して100μlの最終体積とし、混合物を37℃で30分間インキュベートした。450nmにおける吸収を、エルマン反応混合物の添加の直後に記録した。記録を10分間にわたり2分間隔で繰り返して、反応が直線的に生じることを確認した。ブランク反応を、酵素の代わりに生理食塩水を用いることによって測定した(Y.K.Chung,et al.,“Inhibitory effect of ursolic acid purified from Origanum majorana L.on the acetylcholinesterase,”Mol.Cells(2001)11:137−143)。
【0142】
WSの乾燥させた水抽出物(WS−74)、アセトン可溶性/WS抽出物画分(Ace Sol/WS−74)、およびアセトン不溶性/WS抽出物画分(Ace insol/WS−74)を上記のように試験して、アセチルコリンエステラーゼ阻害データおよびIC50を得た。図1Aおよび図1Bに図示されるその結果は、WS−74、Ace Sol/WS−74およびAce Insol/WS−74が、良好な用量依存的インビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示すことを示した。しかしながら、図1Aに見られる一番上の線で示されているように、Ace Sol/WS−74の活性は、他の2つの試料よりも強力であることが分かった。ウィタフェリンAは、微弱な阻害活性しか示さなかった(図示していない)。
【0143】
図1Aおよび図1Bにおいて、Ace Sol/WS−74が他の試料と比べてより強力なインビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であるということは明らかであった。したがって、この画分を、カラムクロマトグラフィーによって、2つの画分、すなわち、2つのインドールアルキルアミノ富化画分(IAEF−AおよびIAEF−B)にさらに精製した。これらの2つの試料もまた、インビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害活性について評価した。これらの試験試料の阻害百分率およびIC50を、それぞれ図2Aおよび図2Bに組み入れた。
【0144】
図2Aおよび図2Bにおいて、IAEF−Aが、IAEF−Bと比較して優れたインビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であることは明らかであった。したがって、IAEF−Aを、上に記載したように、カラムクロマトグラフィーおよび分取TLCによって、5つのインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体化合物:IAC1、IAC2、IAC3、IAC4およびIAC5にさらに細分した。これらの5つの化合物もまた、インビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害活性について試験した。その結果は、図3Aおよび図3Bに図示されている。
【0145】
5つの試験試料の中でIAC3だけは、何らインビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示さなかった。残りのインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体試験試料は全て、このアッセイ系において匹敵する活性を示した。これらの単離された個々の化合物のIC50値は、60〜80μg/mlの範囲であり、したがって、これらのインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の1種または複数種のものの間の相乗活性を示す母画分(IAEF−A、IC50値32.14μg/ml)よりも僅かに効力が劣ることが認められた。
【0146】
実施例4
インビボにおけるスコポラミン誘導健忘および不安パラダイムに対するウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)抽出物およびその画分の効果
実験動物。体重およそ32±4gの10〜15週齢の雄雌両方のSwiss AlbinoマウスをNational Research Institute of Ayurveda for Drug Development(インド政府)(Kolkata)から入手し、12.00時間の明暗サイクル(6:00AMから6:00PMまで照明がつく)で、22±3℃および相対空気湿度45〜55%にてポリプロピレンケージに収容した。マウスには、標準的なペレット食(炭水化物65.5%、タンパク質17.6%、脂肪6.6%)を与え、蒸留水を自由に与えた。マウスを、実験で使用する前に、実験室条件において1週間馴化させた。実験は全て、10:00AM〜2:00PMの間に行った。実験動物保護の原則(NIH publication no.85−23,revised 1885)に常に従った。
【0147】
薬物調製および用量投与。試験試料を、蒸留水の0.3%カルボキシメチルセルロース(CMC)溶液に懸濁させ、挿管カニューレを用いて16日間経口投与し、用量体積は、0.1ml/10g体重であった。WSの乾燥させた水抽出物(WS−74)、その画分であるアセトン可溶性/WS抽出物画分(Ace Sol/WS−74)アセトン不溶性/WS抽出物(Ace Insol/WS−74)、およびインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体富化画分(IAEF−A)、ならびにウィタフェリンA(1)を、0.3%CMC溶液中で16日間経口投与した。これらの実験を、45分間の薬物投与後に実施した。コントロール動物には、等量のビヒクル、すなわち0.3%CMC溶液のみが与えられた。
【0148】
実施例4A
スコポラミン誘導健忘
アルツハイマー病は、コリン作動性ニューロンの著しい減少、ならびに学習過程および記憶過程に著しく関与している神経伝達物質アセチルコリンの濃度の低下と関連する。臭化水素酸スコポラミンは、その抗コリン作動性作用のため、マウスにおいて健忘を生じさせる。臭化水素酸スコポラミンは、ムスカリン性アセチルコリン受容体、特にM1受容体において競合的アンタゴニストとして作用することによりその作用を発揮する。臭化水素酸スコポラミンは、その抗コリン作動性作用のため、空間記憶課題における新しい刺激に対する内側側頭葉構造物の活性化を妨げることが示されている。これはまた、アルツハイマー型認知症において認められる認知欠損を模倣する様式でヒトにおいて記憶を損なうことも示されている。したがって、本研究において、高架プラス迷路を用いた臭化水素酸スコポラミン誘導健忘モデルを、WS抽出物およびその画分(上で調製されたもの)の抗健忘作用を評価するために選択した。高架プラス迷路は、マウスにおける記憶学習行動を測定するために使用されているのではあるが、移動潜時、すなわち、開放アームから囲まれたアームへの動物の移動の間に経過した時間は、開放アームおよび閉鎖アームへの進入を動物が以前に経験していた場合に顕著に短縮された。
【0149】
8日目に、臭化水素酸スコポラミン(0.5mg/kg、腹腔内)の投与によって、学習トライアルの直後に健忘を誘導した。保持を、24時間後(9日目)および1週間の間隔を置いた後(16日目)に記録した。
【0150】
薬物プロトコル。動物を、各群8匹の動物からなる7つの群(群I〜VII)に分けた。群Iはビヒクル(0.3%CMC)のみが与えられ、ビヒクルコントロールとして機能した。群I〜VIIは、下記表1に記載される詳細に従ってそれぞれの試験薬物で16日間処置した。8日目に、臭化水素酸スコポラミン(0.5mg/kg、腹腔内)を、学習トライアルの直後に群II−VIIに投与した。8日目(学習トライアル)の45分間のその薬物投与後、ならびに学習トライアルから24時間後(9日目)および1週間後(16日目)に、移動潜時を記録した。
【0151】
表1に列挙された、異なる画分、すなわち、Ace Sol/WS−74、Ace Insol/WS−74、IAEF−A、ウィタフェリンAの用量は、WS抽出物(WS−74)中のそれらの存在量百分率に基づいて計算された。スキーム1もまた参照された。
【0152】
高架プラス迷路試験における保持を、試験動物における記憶機能を評価するために使用した。プラス迷路は、長さ×幅(50×10cm)の2つの開放対向アームを、高さ40cmの壁を有する同じ寸法の2つの囲まれたアームと交差させたものからなる。これらのアームは中央の正方形(10×10cm)と連結されており、その結果、装置はプラス記号のように見える。この迷路は、薄暗く照らされた部屋の中で、床から50cm上に上げた状態に保たれた。8日目に、マウスを1匹ずつ別々に、中央から遠ざかる方に向けて開放アームのうちの一方の遠端に置き、8日目における移動潜時(TL)を記録した。TLは、覆われたアームのうちの任意の一方の中にマウスが移動しその肢が4本とも入るのに要した時間である。マウスを、囲まれたアーム内に10〜15秒間置いておき、次いで、ホームケージに連れて行った。9日目に、マウスを再度開放アームの遠端に置き、囲まれたアームに進入するのにマウスが要した時間、すなわち移動潜時(TL)9日目を記録した。同様に、1週間の間隔を置いた後、すなわち16日目に再度、移動潜時(TL)16日目を記録した。(J.Itoh,et al.,“Utility of an elevated plus maze for the evaluation of nootropics,scopolamine and electro convulsive shock,”Psychopharmacol.(1990):101:27−33;M.Parle,et al.,“Improvement of mouse memory by Myristica fragrans seeds,”J Med.Food.(2004)7:157−61;およびH.Joshi,et al.,“Brahmirasayana Improves Learning and Memory in Mice,”eCAM(2006)3:79−85。)
【0153】
各動物について、以下の式:
%TL減少=(L−L/L)×100
[式中、L=初期移動潜時時間(単位は秒)であり、そしてL=24時間後、または1週間後の移動潜時である]
によって潜時時間のパーセント減少を計算することにより保持スコアを得た。
【0154】
スコポラミン誘導健忘実験の結果を、後に続く表2〜5に示す。
【0155】
スコポラミン誘導健忘実験の結果を表2〜4に示す。臭化水素酸スコポラミンは、群IIの9日目および16日目における移動潜時の増加(表2)によって示されるように、動物において健忘を生じさせ、ビヒクル処置された群I(表2)との比較において9日目(表3)および16日目(表4)における%TL減少を減じた。WS−74、Ace Sol/WS−74およびIAEF−Aは、スコポラミン処置群(群II)との比較におけるTLの有意な減少および%TL減少の有意な増加が示しているように、スコポラミンにより誘導される健忘を有意に和らげ、逆転させた。全ての処置群の中でIAEF−A(1mg/kg)が、最も強力な抗健忘活性を示した。Ace Insol/WS−74画分処置およびウィタフェリンA処置は、それらの移動潜時の増加傾向によって示されるように、ビヒクル処置されたコントロール群との比較において、スコポラミン誘導健忘から保護することも、スコポラミン誘導健忘を和らげることもなかった。
【0156】
脂質過酸化の評価。これらの動物を16日目の最終実験の直後に犠牲にし、脳の脂質過酸化レベルを、公開されている方法(H.Ohkawa,et al.,“Assay for lipid peroxides in animal tissues by thiobarbituric acid reaction,”Anal.Biochem.(1979)95:351−358)に従って脳組織のマロンジアルデヒド(MDA)濃度を測定することによって評価した。
【0157】
アルツハイマー病(AD)は、錯乱、記憶喪失、および気分変動はじめとする症状を有する不可逆的神経変性障害である。39〜42個のアミノ酸残基を有するβ−アミロイドペプチド(BAP)は、ADの発症において重要な役割を果たす。ADの治療法はないが、これは利用可能な薬物で管理され得る。とは言えそれは、患者の小さなサブセットにおいて、小さい程度までにすぎない。いくつかの研究が、天然の抗酸化剤(例えば、ビタミンE、ビタミンCおよびβ−カロチン)が、この疾患の開始および進行の間に生成されるフリーラジカルの除去に役立ち得るということを明らかにしている。本研究においては、異なる処置群の脳内脂質過酸化レベルを、脳組織のマロンジアルデヒド(MDA)濃度を評価することによって測定した。この研究からの結果を表5に示す。
【0158】
表5は、スコポラミン処置が脳組織MDAレベルを増加させたこと、およびIAEF−A処置がMDAレベルを減少させたことを示しており、このことは、IAEF−A処置の潜在的抗酸化能力を示している。他の処置は、何ら有意な活性を示さなかった。
【0159】
上記の研究の結果を参照すると、WSの水抽出物(WS−74)、Ace Sol/WS−74およびIAEF−Aが、スコポラミン誘導健忘マウスモデルにおいて抗健忘活性を示したと結論付けられ得る。これらの試験化合物の中でIAEF−Aが、非常に低用量(すなわち、1mg/kg)で最も強力な抗健忘活性を示し、これにより、それがアルツハイマー治療のための潜在的標的候補であり得ることが示唆された。
【0160】
実施例4B
不安パラダイム
不安は、想像上または架空の脅威の予期から生じる憂慮感、不安定感または緊張感として定義される。世界人口の8分の1までが不安に冒されており、不安は精神薬理学の分野における重要な研究領域になっている。ベンゾジアジピン(benzodiazipine)(BZD)、バルビツレート、三環系抗鬱薬(TCA)は、不安障害を処置するために臨床医学において長い間使用されてきた。しかしながら、これらの薬物と関連する深刻な副作用(例えば、反跳性不眠、鎮静、筋肉弛緩、離脱症状および耐性の発達(BZD、バルビツレートおよびアルコール)、性機能不全、抗コリン作動性作用および抗ヒスタミン作用(TCA))が、患者におけるそれらの使用を制限してきた。そのような望ましくない副作用のため、より特異的な不安緩解作用を有する代替的な医薬または植物由来の薬物が引き続き探求されている。(S.K.Kulkarni,D.S.Reddy,“Animal behavioural models for testing anti−anxiety agents,”Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.(1996)18:219−230;およびS.K.Kulkarni,et al.“Comparative behavioural profile of newer anti−anxiety drugs on different mazes,”Indian J.Exp.Biol.(2008)46:633−638。)
【0161】
マウスの高架プラス迷路およびオープンフィールド探索行動に対するWS−74およびその画分の不安緩解作用に関して研究を行った。
【0162】
薬物プロトコル。これらの動物を、各群6匹の動物からなる7つの群に分けた。異なる群の説明、投薬量および投与経路を表6に示す。先の投与から1時間の間隔を守りながらの7回の投与後に、行動試験を行った。
【0163】
表6に列挙された、異なる画分、すなわち、Ace Sol/WS−74、Ace Insol/WS−74、IAEF−A、ウィタフェリンAの用量は、WS抽出物(WS−74)中のそれらの存在量百分率に基づいて計算された。スキーム1もまた参照されたい。
【0164】
研究設計。行動試験を、複数の7回投与スケジュールを用いて行った。マウスを、薬物処置スケジュールの完了後に1度だけ、高架プラス迷路およびオープンフィールドにおいて試験した。これらの研究は、行動研究の間の動物への妨害を回避するために、防音室内で実施した。新しい環境への曝露は、情動障害および不安と関連する。不安な動物は、周期的なフリーズまたは不動状態と関連する移動の減少および通常の行動(例えば、立ち上がりおよび毛づくろい)の減少を示す。不安はまた、自律神経系の活動の増大とも関連し、排便および排尿の増加を結果としてもたらす。全てのこれらの影響が、不安生成薬によって強められ、不安緩解薬によって和らげられる。標準的なスクリーニング手順(例えば、オープンフィールド法および高架プラス迷路試験)を、標準薬ジアゼパムとの比較において薬物の不安緩解作用をスクリーニングするために使用した。
【0165】
オープンフィールド探索行動試験。オープンフィールド探索装置は、Bronsteinのもの(P.M.Bronstein,“Open field behaviour of the rat as a function of age:cross sectional and longitudinal investigations,”J.Comp.Physiol.Psycol.(1972)80:335−341)と同様である。これは、合板で作られており、高い壁を備えた正方形(61×61cm)からなる。床面を16個の正方形に分ける6mmの白線を除いて、装置全体が黒く塗られる。オープンフィールドを除く部屋全体を、実験の間暗くしておいた。オープンフィールドを、床面から約100cmの高さから、フィールドに焦点を合わせた60W電球によって照らした。各動物を、5分間試験装置の中央に置き、以下の行動を調査した:移動−これは動物が横切った正方形の数を測定する;立ち上がり−動物が後肢で立った回数;毛づくろい−動物が、顔の毛づくろいをすること、その体の様々な部分を舐める/洗うこと、および搔くことを示す回数;糞ペレット−期間中に排泄された糞ペレットの数;ならびに中央での活動−動物が横切った中央の正方形の数。動物が中央の正方形を横切った回数と動物が周縁の正方形を横切った回数との間の比が計算される。
【0166】
高架プラス迷路(elevated plus maze:EPM)行動試験。迷路は、50×10cmの2つの対向するアームを、高さ40cmの壁を有する同じ寸法の2つの対向する囲まれたアームと交差させたものからなる。これらのアームは中央の正方形(10×10cm)と連結されており、その結果、装置はプラス記号のように見える。この迷路は、薄暗く照らされた部屋の中で、床から50cm上に上げた状態に保たれた。マウスを1匹ずつ別々に、囲まれたアームの方に向けてプラス迷路の中央の正方形の上に置いた。それに続く5分間の間に開放アームおよび囲まれたアームにおいてマウスにより費やされた時間およびマウスによりなされたそれらへの進入の回数を記録した。アーム進入は、マウスの4本全ての肢がアーム上にある場合に定義された(K.C.Montgomery,“The relation between fear induced by novel and exploratory behavior,”J.Comp.Physiol.Psychol.(1955)48:254−60)。
【0167】
高架プラス迷路の結果を表7に示す。
【0168】
高架プラス迷路行動において、IAEF−A処置は、開放アームへの進入回数、開放アーム滞在時間および開放アームへの進入/囲まれたアームへの進入の比を、コントロールマウスとの比較において有意に増加させた(表7)。IAEF−A処置はまた、囲まれたアームでの滞在時間を有意に減少させ、これにより、不安緩解作用が示された。他の処置は、データ(表7)から明らかなように、マウスにおいて統計的に有意な不安緩解作用をもたらさなかった。処置群の中でIAEF−A(1mg/kg)が、標準不安緩解剤であるジアゼパムの不安緩解活性に匹敵するより強力な不安緩解活性を示した。
【0169】
オープンフィールド試験の結果を表8に示す。
【0170】
表8に示されるように、IAEF−A処置は、コントロール群との比較において、一方でオープンフィールドでの移動および立ち上がりが増加し、他方で毛づくろいおよび糞ペレットが減少したことから明らかなように、マウスにおいて有意な不安寛解活性をもたらした。しかしながら、WS−74、Ace sol/WS−74およびAce Insol/WS−74もまた、軽い不安緩解作用を示した。ウィタフェリンAは、何ら不安緩解作用を示さなかった。IAEF−Aの不安緩解作用は、ジアゼパムのものに匹敵した。
【0171】
実施例4Bに関し、高架プラス迷路(EPM)行動試験は、EPMへの曝露が、囲まれたアームへの曝露によって喚起される接近−回避葛藤よりもかなり強い接近−回避葛藤を喚起するという前提に基づいている。開放アームに対する忌避の減少は、不安緩解作用の結果であり、開放アームで費やされた時間および開放アームへの進入の増加によって表される。IAEF−A単離物の投与は、閉鎖アームでの割合の減少を伴って、開放アームで費やされた時間および開放アームへのパーセント進入を増加させ、これにより、強力な不安緩解活性が示唆された。
【0172】
結論として、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)から単離され同定された、式(I)を有する新規インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体の群が、強力なインビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害活性、スコポラミン誘導健忘マウスモデルにおける抗健忘活性およびマウスにおける不安緩解活性を有することが分かった。これらの結果は、インドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)が、哺乳動物における、認知症および認知症関連障害(例えば、アルツハイマー病)ならびに不安障害および抑鬱性障害を処置するための強力な標的候補であり得ることを示唆している。
【0173】
実施例5
ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)の新鮮な全体植物の水による最適化された抽出
抽出の温度および継続時間の作用を、まず水を抽出溶媒として用いて最適化した。アシュワガンダ(ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera))の2組の細断した新鮮な全体植物(各20g)を、別個の容器中で、水(120ml)に懸濁させた。一方の組は蒸気浴上で80±5℃にて抽出し、他方の組は加熱マントルを用いて100±5℃にて抽出した。異なる時間間隔(0時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間および12時間)での抽出試料を採取し、濾過し、濾液をHPLC装置に直接注入した。各時間間隔で採取された濾液(3ml)を蒸気浴上で乾燥させ、各残渣の重量を測定して、表9および表10に示されるように、抽出物の濃度を求めた。乾燥させた抽出物の全てのものの平均収率は、80±5℃においては3.17gであり、100±5℃においては4.46gであった。以下の表において、WG、AG、およびIACの量は、HPLC分析方法において上で説明したように求められたものである。
【0174】
表9および表10に示すように、WSの熱水抽出は、合計ウィタノリド(WG+AG)およびインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)が約3時間〜4時間までの時間範囲において80±5℃および100±5℃にてより能率的に抽出されるということを示した。合計ウィタノリド(WG+AG)およびインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の両方の最大濃度は、3時間において80±5℃にて観察された。約3時間を超える熱水抽出の継続時間は、より低い抽出収率および抽出物における効力の低下の両方を結果としてもたらした。
【0175】
実施例6
ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)(WS)の新鮮な全体植物のメタノール水による最適化された抽出
抽出の温度および継続時間の作用を、混合溶媒抽出を用いて最適化した。アシュワガンダ(ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera))の2組の細断した新鮮な全体植物(各20g)を、別個の容器中で、水−メタノール(水:MeOH 40:60v/v、120ml)に懸濁させた。一方の組は蒸気浴上で80±5℃にて抽出し、他方の組は加熱マントルを用い、冷水冷却された還流冷却器を用いて、100±5℃にて抽出した。異なる時間間隔(0時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間および12時間)での抽出試料を採取し、濾過し、濾液をHPLC装置に直接注入した。各時間間隔で採取された濾液(3ml)を蒸気浴上で乾燥させ、各残渣の重量を測定して、表11および表12に示されるように、抽出物の濃度を求めた。乾燥させた抽出物の全てのものの平均収率は、80±5℃においては4.28gであり、100±5℃においては4.92gであった。
【0176】
表11および表12に示すように、WSの熱混合溶媒抽出は、著しい量の生物活性成分が80±5℃において観察されたが、合計ウィタノリド(WG+AG)およびインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の両方の最大濃度は、1時間において100±5℃にて観察されるということを示した。より長い抽出時間は、100±5℃における混合溶媒実験についてはそれほど有効であるようには見えなかった。
【0177】
実施例5および実施例6で行われた実験に基づけば、合計ウィタノリド(WG+AG)およびインドールアルキルアミノ−ウィタステロイド複合体(IAC)の両方の最大濃度を達成するためには、3時間にわたる80±5℃におけるWSの熱水抽出が最適条件であるようである。使用した最適化された条件においては、IACの重量パーセント収率は、約0.75%〜約1.6%の範囲であることが示された。IACの重量パーセント収率は、本発明の原理に従って抽出パラメータを変更することにより、さらに改善され得ることが予想される。
【0178】
本発明の原理に従って作製されたIACおよび/またはウィタノリド富化WS抽出物が、栄養補給剤として有効であることがさらに予想される。WS抽出物、またはIAC、すなわち式(I)の化合物、もしくはその誘導体を含有する組成物が、栄養補給剤として有効であることがさらに予想される。
【0179】
WS抽出物、またはIAC、すなわち式(I)の化合物、もしくはその誘導体を含有する組成物が、薬学的組成物または機能性食品組成物において、それぞれ適切な製薬用または機能性食品用のキャリアまたは賦形剤と組み合わされている場合に、有効であることがさらに予想される。前記の薬学的組成物は、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病(AD))または精神障害(例えば、不安または抑鬱)を処置するのに有効であろう。前記機能性食品組成物は、栄養および/または健康を補うのに有効であり、したがって増大した健康上の利益を使用者にもたらすであろう。
【0180】
実施例7
式(I)を有するトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の認知促進作用を、以下の薬理学的スクリーニング実験により評価した。
【0181】
実施例7A.式(I)の複合体の薬理学的活性:アセチルコリンエステラーゼ活性のインビトロ阻害
固体アルミナ担体の周りに合成により調製した、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例1A.3)および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例2A)を、それらの抗コリンエステラーゼ活性を測定するためにインビトロアセチルコリンエステラーゼ活性アッセイに供した。アセチルコリンエステラーゼ(AChE)アッセイを、小さな変更を加えたEllman et al.の方法によって、ヨウ化アセチルチオコリンを基質として用いて行った(G.L.Ellman,et al.,“A new and rapid colorimetric determination of acetylcholinesterase activity,”Biochem.Pharmacol.(1961)7:88−95)。Ellman反応混合物を、0.05M リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中の10mM ヨウ化アセチルチオコリンと0.5mM 5,5’−ジチオ−ビス−(2−ニトロ安息香酸)との組み合わせから作製した。AChEによる加水分解の速度を、96ウェルマイクロタイタープレートリーダーを用いて分光光度計によってモニタリングした。各試験試料(10μl)および0.05M リン酸ナトリウム緩衝液(30μl)を、酵素溶液(10μl)と混合した。エルマン反応混合物(50μl)をさらに添加して100μlの最終体積とし、混合物を37℃で30分間インキュベートした。450nmにおける吸収を、エルマン反応混合物の添加の直後に記録した。記録を10分間にわたり2分間隔で繰り返して、反応が直線的に生じることを確認した。ブランク反応を、酵素の代わりに生理食塩水を用いることによって測定した(Y.K.Chung,et al.,“Inhibitory effect of ursolic acid purified from Origanum majorana L.on the acetylcholinesterase,”Mol.Cells(2001)11:137−143)。
【0182】
トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例1A.3)および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例2A)を上記のように試験して、アセチルコリンエステラーゼ阻害データおよびIC50を得た。これらの結果は、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体が、良好な用量依存的インビトロアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示すことを示した。IC50値を、表13に組み入れる。
【0183】
表13におけるIC50値は、両複合体ともかなりの程度のアセチルコリンエステラーゼ阻害性を有することを示している。しかしながら、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の方が、5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体よりも良好なアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示した。
【0184】
実施例7B.インビボにおけるスコポラミン誘導健忘および不安パラダイムに対するトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体の効果
実験動物。体重およそ24±4gの6〜7週齢の雌雄両方のSwiss AlbinoマウスをNational Research Institute of Ayurveda for Drug Development(インド政府)(Kolkata)から入手し、12.00時間の明暗サイクル(6:00AMから6:00PMまで照明がつく)で、22±3℃および相対空気湿度45〜55%にてポリプロピレンケージに収容した。マウスには、標準的なペレット食(炭水化物65.5%、タンパク質17.6%、脂肪6.6%)を与え、蒸留水を自由に与えた。マウスを、実験で使用する前に、実験室条件において1週間馴化させた。実験は全て、10:00AM〜2:00PMの間に行った。実験動物保護の原則(NIH publication no.85−23,revised 1985)に常に従った。
【0185】
薬物調製および用量投与。試験試料を、蒸留水の0.3%カルボキシメチルセルロース(CMC)溶液に懸濁させ、挿管カニューレを用いて16日間経口投与し、用量体積は、0.1ml/10g体重であった。トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例1A.3)および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例2A)を、0.3%CMC溶液中で16日間経口投与した。これらの実験を、45分間の薬物投与後に実施した。コントロール動物には、等量のビヒクル、すなわち0.3%CMC溶液のみが与えられた。
【0186】
スコポラミン誘導健忘。アルツハイマー病は、コリン作動性ニューロンの著しい減少、ならびに学習過程および記憶過程に著しく関与している神経伝達物質アセチルコリンの濃度の低下と関連する。臭化水素酸スコポラミンは、その抗コリン作動性作用のため、マウスにおいて健忘を生じさせる。臭化水素酸スコポラミンは、ムスカリン性アセチルコリン受容体、特にM1受容体において競合的アンタゴニストとして作用することによりその作用を発揮する。臭化水素酸スコポラミンは、その抗コリン作動性作用のため、空間記憶課題における新しい刺激に対する内側側頭葉構造物の活性化を妨げることが示されている。これはまた、アルツハイマー型認知症において認められる認知欠損を模倣する様式でヒトにおいて記憶を損なうことも示されている。したがって、本研究において、高架プラス迷路を用いた臭化水素酸スコポラミン誘導健忘モデルを、トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例1A.3)および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例2A)の抗健忘作用を評価するために選択した。高架プラス迷路は、マウスにおける記憶学習行動を測定するために使用されているのではあるが、移動潜時、すなわち、開放アームから囲まれたアームへの動物の移動の間に経過した時間は、開放アームおよび閉鎖アームへの進入を動物が以前に経験していた場合に顕著に短縮された。
【0187】
8日目に、臭化水素酸スコポラミン(0.5mg/kg、腹腔内)の投与によって、学習トライアルの直後に健忘を誘導した。保持を、24時間後(9日目)および1週間の間隔を置いた後(16日目)に記録した。
【0188】
薬物プロトコル。動物を、各群8匹の動物からなる6つの群(群I〜VI)に分けた。群Iはビヒクル(0.3%CMC)のみが与えられ、ビヒクルコントロールとして機能した。群II〜VIは、下記表14に記載される詳細に従ってそれぞれの試験薬物で16日間処置した。8日目に、臭化水素酸スコポラミン(0.5mg/kg、腹腔内)を、学習トライアルの直後に群II−VIに投与した。8日目(学習トライアル)の45分間のその薬物投与後、ならびに学習トライアルから24時間後(9日目)および1週間後(16日目)に、移動潜時を記録した。
【0189】
高架プラス迷路試験における保持を、試験動物における記憶機能を評価するために使用した。プラス迷路は、長さ×幅(50×10cm)の2つの開放対向アームを、高さ40cmの壁を有する同じ寸法の2つの囲まれたアームと交差させたものからなる。これらのアームは中央の正方形(10×10cm)と連結されており、その結果、装置はプラス記号のように見える。この迷路は、薄暗く照らされた部屋の中で、床から50cm上に上げた状態に保たれた。8日目に、マウスを1匹ずつ別々に、中央から遠ざかる方に向けて開放アームのうちの一方の遠端に置き、8日目における移動潜時(TL)を記録した。TLは、覆われたアームのうちの任意の一方の中にマウスが移動しその肢が4本とも入るのに要した時間である。マウスを、囲まれたアーム内に10〜15秒間置いておき、次いで、ホームケージに連れて行った。9日目に、マウスを再度開放アームの遠端に置き、囲まれたアームに進入するのにマウスが要した時間、すなわち移動潜時(TL)9日目を記録した。同様に、1週間の間隔を置いた後、すなわち16日目に再度、移動潜時(TL)16日目を記録した。(J.Itoh,et al.,“Utility of an elevated plus maze for the evaluation of nootropics,scopolamine and electro convulsive shock,”Psychopharmacol.(1990):101:27−33;M.Parle,et al.,“Improvement of mouse memory by Myristica fragrans seeds,”J Med.Food.(2004)7:157−61;およびH.Joshi,et al.,“Brahmirasayana Improves Learning and Memory in Mice,”eCAM(2006)3:79−85。)
【0190】
各動物について、以下の式:
%TL減少=(L−L/L)×100 等式(1)
[式中、L=初期移動潜時時間(単位は秒)であり、そしてL=24時間後、または1週間後の移動潜時である]
によって潜時時間のパーセント減少を計算することにより保持スコアを得た。
【0191】
スコポラミン誘導健忘実験の結果を、後に続く表15〜17に示す。
【0192】
スコポラミン誘導健忘実験の結果を表15〜17に示す。臭化水素酸スコポラミンは、群IIの9日目および16日目における移動潜時の増加(表15)によって示されるように、動物において健忘を生じさせ、ビヒクル処置された群Iとの比較において9日目(表16)および16日目(表17)における%TL減少を減じた。トリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例1A.3)および5−メトキシトリプタミノ−ウィタフェリンA複合体(実施例2A)は、スコポラミン処置群(群II)との比較におけるTLの有意な減少および%TL減少の有意な増加が示しているように、スコポラミンにより誘導された健忘を有意に和らげ、逆転させた。これらの複合体は両方とも、マウスにおけるスコポラミン誘導健忘において等しい効力の抗健忘活性を示した。
【0193】
前述の明細書において、本発明はその特定の実施形態に関連して記載されており、そして多くの詳細が例示の目的のために示されているが、当業者には、本発明はさらなる実施形態が可能であること、および本明細書に記載された詳細の一部は本発明の基本原理から逸脱することなく大幅に変更され得ることが明らかであろう。
【0194】
本明細書で引用された全ての参考文献は、参照によりその全体が援用される。本発明は、その趣旨または本質的特性から逸脱することなく他の特定の形態で具現化され得、したがって、前述の明細書よりもむしろ、本発明の範囲を示している添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B