【文献】
Int. J. Cancer,2009年,vol.125,p.1054-1064
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
EGFRアンタゴニストが、抗EGFR抗体、抗EGFRvIII抗体、抗ErbB2抗体、抗ErbB3抗体、及び抗ErbB4抗体からなる群より選択される、請求項3に記載の医薬組成物。
VEGFR1のIgドメイン2が配列番号11のアミノ酸27〜129を含み、VEGFR2のIgドメイン3が配列番号11のアミノ酸130〜231を含み、そして多量体化ドメインが配列番号11のアミノ酸232〜457を含む、請求項1に記載の医薬組成
物。
抗原特異的結合タンパク質が、VEGFR1R2−FcΔC1(a)と称されるVEGFトラップであり、抗IL−6R抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号2の重鎖可変領域(HCVR)と配列番号3の軽鎖可変領域(LCVR)を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本発明を記載する前に、当然のことながら、記載されるような特定の方法及び実験条件は変化し得るので、本発明は、このような方法及び条件に限定されない。また当然のことながら、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書において使用される用語は、特定の実施態様を記載する目的のみのものであり、限定することを意図されない。
【0011】
そうではないと定義されていなければ、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で使用される用語「約」は、特定の記載される数値に言及して使用される場合、その値が記載される値から1%以下だけ変動し得るということを意味する。例えば、本明細書で使用される表現「約100」は99及び101、並びに間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
【0012】
本明細書に記載される方法及び材料と類似しているか又は同等のいずれの方法及び材料も本発明の実施において使用され得るが、好ましい方法及び材料はここで記載される。
【0013】
腫瘍増殖を阻害又は軽減する方法
本発明は、被験体において腫瘍の増殖を阻害又は軽減する方法を提供する。本発明は、腫瘍を有する被験体にIL−6アンタゴニストを投与することを含む。IL−6アンタゴニストは、1つ又はそれ以上のさらなる治療剤と組み合わせて投与され得る。本発明の方法に従ってIL−6アンタゴニストと組み合わせて投与され得る例となる治療剤としては、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)のアンタゴニスト及び/又は上皮増殖因子受容体(EGFR)アンタゴニスト(本明細書において定義されるとおり)が挙げられる。本発明の方法に従ってIL−6アンタゴニストと組み合わせて投与され得る治療剤のさらなる例は本明細書の他所に記載される。
【0014】
本発明の方法は、脳及び髄膜、中咽頭、肺及び気管支樹、胃腸管、男性及び女性の生殖器官、筋肉、骨、皮膚及び付属肢、結合組織、脾臓、免疫系、造血細胞及び骨髄、肝臓及び泌尿器、並びに特殊(special)感覚器官、例えば眼において生じる原発性及び/又は転移性の腫瘍の処置に有用である。本発明の方法に従って処置可能である具体的な癌としては、例えば、腎細胞癌、膵癌、乳癌、前立腺癌、肝細胞癌、結腸直腸癌、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、卵巣癌、及び黒色腫が挙げられる。
【0015】
特定の実施態様において、本発明の方法は、被験体における抗VEGF耐性腫瘍の処置に有用である。本明細書で使用される「抗VEGF耐性腫瘍」は、抗VEGF抗体、抗VEGF受容体抗体、又はいずれかの他のVEGF特異的結合タンパク質(例えば、本明細書で定義されるVEGFトラップ(VEGF−Trap)を含む)のような抗VEGF剤を用いた処置に対して、応答しないか、又は部分的にしか応答しない腫瘍を意味する。例えば、抗VEGF耐性腫瘍は、例えば、通常は少なくとも1つの種類の腫瘍の増殖を阻害又は軽減することができる量のVEGFアンタゴニストと接触された場合に、インビトロ又はインビボで(例えば、細胞培養で、又は動物に移植された場合に)成長及び/又は増殖し続ける腫瘍であり得る。抗VEGF耐性腫瘍は、元々は抗VEGF治療に応答した腫瘍細胞由来であるが、選択、変異又は順応によって、1つ又はそれ以上の抗VEGF剤に対する耐性を獲得した腫瘍であり得る。
【0016】
本発明の方法を使用して処置可能な被験体には、癌と診断されたか又は腫瘍を有すると確認されたいずれかの被験体が含まれる。特定の実施態様において、被験体は、少なくとも部分的に抗VEGF処置に対して耐性である腫瘍を有すると診断されたか又はそのような腫瘍を有すると確認された患者である。患者が抗VEGF耐性腫瘍を有すると診断するための方法は当業者に公知であり、かつ通常の診断方法を使用して実施され得る。
【0017】
本明細書において実施例に示されるように、抗VEGF治療に耐性である腫瘍細胞は、非耐性親腫瘍細胞より高いレベルのIL−6及びホスホ−STAT3を発現することが示される。従って、本発明はまた、(i)被験体において(例えば、被験体から得られた血清サンプル、組織サンプル、腫瘍生検などにおいて)IL−6/STAT3シグナル伝達のレベルを測定すること;及び(ii)その被験体(又はそれらから得られたサンプル/生検)が増大したIL−6/STAT3シグナル伝達を示す場合に、その被験体にIL−6アンタゴニストを投与することを含む癌治療方法を含む。
【0018】
本発明の特定の実施態様によれば、「増大したIL−6/STAT−3シグナル伝達」は、腫瘍生検において測定されたIL−6の量及び/又はホスホ−STAT3の量が、抗VEGF治療に対して感受性(すなわち、耐性でない)腫瘍よりも少なくとも3倍高い(例えば、4倍、5倍、6倍、7倍又はそれ以上)ということを意味する。本発明の特定の実施態様によれば、「増大したIL−6/STAT−3シグナル伝達」は、被験体から採取されたサンプルにおけるインバリアントコントロールタンパク質に対するホスホ−STAT3の比(例えば、P−STAT3/アクチン比)が、約2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5又はそれ以上より高いということを意味する。本発明の特定の実施態様によれば、「増大したIL−6/STAT−3シグナル伝達」は、被験体から採取された腫瘍サンプルにおけるIL−6の濃度が、約50pg/ml、55pg/ml、60pg/ml、65pg/ml、70pg/ml、75pg/ml、80pg/ml、85pg/ml、90pg/ml、95pg/ml、100pg/ml、110pg/ml、120pg/ml、130pg/ml、140pg/ml、150pg/ml、160pg/ml、170pg/ml、180pg/ml、190pg/ml、200pg/ml又はそれ以上より高いということを意味する。IL−6及びホスホ−STAT3のレベルは、例えばウェスタンブロット、ELISAを使用して、又は当該分野で公知のいずれかの他の免疫組織化学的方法により測定され得る。
【0019】
同様に、本発明はまた、腫瘍を有する患者が抗VEGF耐性腫瘍を有するか否かを決定する方法を含む。本発明のこの局面に従う方法は、患者からのサンプル(例えば腫瘍生検)においてIL−6/STAT3シグナル伝達のレベルを測定することを含み、ここでサンプルにおける「増大したIL−6/STAT3シグナル伝達」(本明細書の上で定義された表現のとおり)により、その被験体が抗VEGF耐性腫瘍を有すると確認される。本発明者らは抗VEGF耐性腫瘍がIL−6拮抗に感受性であることを実証したので、本発明のこの局面に従う方法は、特定の実施態様において、患者にIL−6アンタゴニスト及び/又はVEGFアンタゴニストを投与することをさらに含み得る。
【0020】
アンタゴニスト
本発明は、IL−6アンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト、EGFRアンタゴニスト、及び/又はそれらの組み合わせを、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を含む。本明細書で使用される「IL−6アンタゴニスト」は、インビトロ又はインビボでIL−6に結合するか又はIL−6と相互作用し、そしてIL−6の正常な生物学的シグナル伝達機能を阻害するいずれかの薬剤である。用語「IL−6アンタゴニスト」はIL−6受容体(「IL−6R」、すなわち「IL−6Rアンタゴニスト)のアンタゴニストも含む。IL−6Rアンタゴニストは、インビトロ又はインビボでIL−6Rに結合するかまたはIL−6と相互作用し、そしてIL−6Rの正常な生物学的シグナル伝達機能を阻害するいずれかの薬剤であり得る。
【0021】
VEGFアンタゴニストは、VEGF又はVEGF受容体(VEGFR1、Flt1とも呼ばれる;又はVEGFR2、Flk1若しくはKDRとも呼ばれる)に結合するか又はこれらと相互作用するいずれかの薬剤であり得る。
【0022】
EGFRアンタゴニストは、インビトロ又はインビボで上皮増殖因子受容体に結合するか又は上皮増殖因子受容体と相互作用し、そして受容体の正常な生物学的シグナル伝達機能を阻害するいずれかの薬剤であり得る。本明細書で使用される表現「EGFRアンタゴニスト」は、上皮増殖因子受容体ファミリーのいずれか1つ又はそれ以上のメンバーのアンタゴニストを含む。例えば、EGFRアンタゴニストは、EGFR(ErbB1又はHER1とも呼ばれる)のアンタゴニスト、例えばEGFRvIIIのようなEGFRの変異形のアンタゴニスト、ErbB2(HER2又はNeuとも呼ばれる)のアンタゴニスト、ErbB3(HER3とも呼ばれる)のアンタゴニスト、及び/又はErbB4(HER4とも呼ばれる)のアンタゴニストであり得る。
【0023】
IL−6、IL−6R、VEGF、VEGF受容体、及びEGFRのアンタゴニストは、小分子アンタゴニスト、さらには本明細書の他所に記載される抗原特異的結合タンパク質も含む。
【0024】
抗原特異的結合タンパク質
本発明の方法において有用であるアンタゴニストとしては抗原特異的結合タンパク質が挙げられる。例えば、本発明は、インターロイキン−6(IL−6)又はIL−6受容体(IL−6R)に特異的に結合する抗原特異的結合タンパク質を被験体に投与することを含む方法を含む。本発明はまた、血管内皮増殖因子(VEGF)若しくはVEGF受容体(VEGFR)に特異的に結合する抗原特異的結合タンパク質、又は上皮増殖因子受容体(EGFR、EGFRvIII、ErbB2、ErbB3、及び/又はErbB4)に特異的に結合する抗原特異的結合タンパク質を被験体に投与することを含む方法を含む。
【0025】
本明細書で使用される表現「抗原特異的結合タンパク質」は、特定の抗原に特異的に結合する少なくとも1つのドメインを含むタンパク質を意味する。抗原特異的結合タンパク質の例となるカテゴリーとしては、抗体、抗体の抗原結合部分、特定の抗原と特異的に相互作用するペプチド(例えばペプチボディ(peptibodies))、特定の抗原と特異的に相互作用する受容体分子、及び特定の抗原に特異的に結合する受容体のリガンド結合部分を含むタンパク質が挙げられる。
【0026】
本明細書で使用される用語「特異的に結合する」又は同様のものは、抗原特異的結合タンパク質又は抗原特異的結合ドメインが、通常の試験条件下で他の非関連抗原と500pM若しくはそれ以下の解離定数(K
D)で特徴付けられる特定の抗原との複合体を形成するか、又は他の非関連抗原と結合しないことを意味する。「非関連抗原」は、互いに75%未満のアミノ酸同一性を有するタンパク質、ペプチド又はポリペプチドである。2つの分子が互いに特異的に結合するか否かを決定する方法は当該分野で周知であり、これらとしては、例えば平衡透析、表面プラズモン共鳴などが挙げられる。例えば、本発明の文脈において使用される抗原特異的結合タンパク質又は抗原特異的結合ドメインは、特定の抗原(例えば、IL−6、IL−6R、VEGF、VEGFR及び/又はEGFR)又はその部分に、表面プラズモン共鳴アッセイで測定して、約500pM未満、約400pM未満、約300pM未満、約200pM未満、約100pM未満、約90pM未満、約80pM未満、約70pM未満、約60pM未満、約50pM未満、約40pM未満、約30pM未満、約20pM未満、約10pM未満、約5pM未満、約4pM未満、約2pM未満、約1pM未満、約0.5pM未満、約0.2pM未満、約0.1pM、又は約0.05pM未満のK
Dで結合する分子を含む。
【0027】
本明細書で使用される、抗原特異的結合タンパク質又は抗原特異的結合ドメインは、表面プラズモン共鳴アッセイにおいて25℃にて非関連抗原に対する結合について試験された場合に、そのタンパク質又は結合ドメインが、1000pMより大きいK
Dを示すか、又はこのようなアッセイ又はその等価なものでいずれの結合も示すことができない場合に、非関連抗原に「結合しない」。
【0028】
本明細書で使用される用語「表面プラズモン共鳴」は、例えばBIAcore
TMシステム(Biacore Life Sciences division of GE Healthcare、Piscataway、NJ)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することにより実時間相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0029】
本明細書で使用される用語「K
D」は、特定のタンパク質−タンパク質相互作用)(例えば抗体−抗原相互作用)の平衡解離定数を意味する。そうではないと示されていなければ、本明細書において開示されるK
D値は、表面プラズモン共鳴アッセイにより25℃において決定されたK
D値を指す。
【0030】
抗体及び抗体の抗原結合フラグメント
上で示したように、抗原特異的結合タンパク質は、特定の抗原に特異的に結合する抗体又は抗体の抗原結合フラグメントを含んでいても、それらからなるものであってもよい(例えば、抗IL−6抗体、抗IL−6R抗体、抗VEGF抗体、抗VEGFR抗体及び/若しくは抗EGFR抗体、又はそれらの抗原結合フラグメント)。
【0031】
本明細書において使用される用語「抗体」は、ジスルフィド結合で相互接続された、4つのポリペプチド鎖、2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖、さらにはそれらの多量体を含む免疫グロブリン分子(例えばIgM)を含む。各重鎖は重鎖可変領域(本明細書ではHCVR又はV
Hと略される)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は3つのドメイン、C
H1、C
H2及びC
H3を含む。各軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書ではLCVR又はV
Lと略される)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は1つのドメイン(C
L1)を含む。V
H及びV
L領域は、フレームワーク
領域(FR)と呼ばれるより保存された領域に組み入れられた、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分され得る。各V
H及びV
Lは3つのCDR及び4つのFRから構成され、これらはアミノ末端からカルボキシ末端へ以下の順序で配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。本発明の異なる実施態様において、抗体(又はその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であってもよく、又は天然で若しくは人工的に改変されていてもよい。アミノ酸コンセンサス配列は、2つ又はそれ以上のCDRの比較(side−by−side)分析に基づいて定義され得る。
【0032】
本明細書で使用される用語「抗体」はまた、完全抗体分子の抗原結合フラグメントを含む。本明細書で使用される抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合フラグメント」などの用語は、いずれかの天然に存在するか、酵素的に入手可能か、合成により又は遺伝子操作された、抗原に特異的に結合して複合体を形成するポリペプチド又は糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合フラグメントは、いずれかの適切な標準的技術、例えばタンパク質分解消化、又は抗体の可変ドメイン及び場合により定常ドメインをコードするDNAの操作及び発現を含む組み換え遺伝子操作技術を使用して、例えば完全抗体分子から誘導され得る。このようなDNAは公知であり、かつ/又は例えば市販の供給源、DNAライブラリ(例えばファージ−抗体ライブラリを含む)から容易に入手可能であるか、又は合成され得る。DNAは配列決定され、そして、例えば、1つ若しくはそれ以上の可変ドメイン及び/若しくは定常ドメインを適切な構成中に配置するように、又はコドンを導入するように、システイン残基を生成するように、アミノ酸を修飾、付加若しくは欠失などするように、化学的に、又は分子生物学技術を使用することにより、操作され得る。
【0033】
抗原結合フラグメントの非限定的例としては以下が挙げられる:(i) Fabフラグメント;(ii) F(ab')2フラグメント;(iii) Fdフラグメント;(iv) Fvフラグメント;(v) 単鎖Fv(scFv)分子;(vi) dAbフラグメント;及び(vii) 抗体の超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位(例えば、CDR3ペプチドのような単離された相補性決定領域(CDR))、又は拘束性(constrained)FR3−CDR3−FR4ペプチド。他の操作された分子、例えばドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR−グラフト化(grafted)抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、ミニ抗体(minibodies)、ナノ抗体(nanobodies)(例えば、一価ナノ抗体、二価ナノ抗体など)、小モジュラー免疫薬(small modular immunopharmaceuticals)(SMIP)、及びサメ可変IgNARドメインもまた、本明細書で使用される表現「抗原結合フラグメント」内に包含される。
【0034】
抗体の抗原結合フラグメントは典型的には少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、いずれのサイズ又はアミノ酸組成のものでもよく、そして一般的には、1つ又はそれ以上のフレームワーク配列に隣接するかそれらとインフレームにある少なくとも1つのCDRを含む。V
Lドメインを伴ってV
Hドメインを有する抗原結合フラグメントにおいて、V
H及びV
Lドメインは、いずれかの適切な配置で互いに対して位置づけられ得る。例えば、可変領域はダイマーであり得、そしてV
H−V
H、V
H−V
L又はV
L−V
Lダイマーを含有し得る。あるいは、抗体の抗原結合フラグメントはモノマーのV
H又はV
Lドメインを含有し得る。
【0035】
特定の実施態様において、抗体の抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合で連結された少なくとも1つの可変ドメインを含有し得る。本発明の抗体の抗原結合フラグメント内に見られ得る可変ドメイン及び定常ドメインの非限定的な例となる構成としては以下が挙げられる:(i) V
H−C
H1;(ii) V
H−C
H2;(iii) V
H−C
H3;(iv) V
H−C
H1−C
H2;(v) V
H−C
H1−C
H2−C
H3;(vi) V
H−C
H2−C
H3;(vii) V
H−C
L;(viii) V
L−C
H1;(ix) V
L−C
H2;(x) V
L−C
H3;(xi) V
L−C
H1−C
H2;(xii) V
L−C
H1−C
H2−C
H3;(xiii) V
L−C
H2−C
H3;及び(xiv) V
L−C
L。上で列挙した例となる構成のいずれかを含む可変ドメイン及び定常ドメインのいずれかの構成において、可変ドメイン及び定常ドメイン
は、互いに直接連結されていても、完全又は部分的なヒンジ領域又はリンカー領域により連結されていてもよい。ヒンジ領域は、単一のポリペプチド分子中の隣接する可変ドメイン及び/又は定常ドメインの間の可撓性又は半可撓性の連結を生じる少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60又はそれ以上)のアミノ酸からなり得る。さらに、本発明の抗体の抗原結合フラグメントは、互いと、及び/又は1つ若しくはそれ以上のモノマーV
H若しくはV
Lドメイン(例えばジスルフィド結合による)と非共有結合した、上で列挙された可変ドメイン及び定常ドメイン構成のいずれかの、ホモダイマー又はヘテロダイマー(又は他のマルチマー)を含み得る。
【0036】
本発明の分子は、ヒト抗体及び/若しくは組み換えヒト抗体、又はそれらのフラグメントを含んでいても、それらからなるものであってもよい。本明細書で使用される用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変領域及び定常領域を有する抗体を含む。それでもなお、ヒト抗体は、例えばCDR及び特にCDR3において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされていないアミノ酸残基を含み得る(例えば、インビトロでランダム若しくは部位特異的変異誘発により、又はインビボで体細胞突然変異により導入された変異)。しかし、本明細書で使用される用語「ヒト抗体」は、マウスのような別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体を含むことを意図されない。
【0037】
本発明の分子は、組み換えヒト抗体又はその抗原結合フラグメントを含んでいてもよいし、それらからなるものであってもよい。本明細書で使用される用語「組み換えヒト抗体」は、組み換え手段により製造、発現、生成又は単離された全てのヒト抗体、例えば宿主細胞中にトランスフェクトされた組み換え発現ベクターを使用して発現された抗体(以下でさらに記載される)、組み換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体(以下でさらに記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックである動物(例えばマウス)から単離された抗体(例えば、Taylor et al. (1992) Nucl. Acids Res. 20:6287−6295を参照のこと)、又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含むいずれかの他の手段により製造、発現、生成又は単離された抗体を含むことを意図される。このような組み換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変領域及び定常領域を有する。しかし、特定の実施態様では、このような組み換えヒト抗体はインビトロ変異誘発(又は、ヒトIg配列についてトランスジェニックな動物が使用される場合は、インビボでの体細胞変異)を受け、従って 組み換え抗体のV
H及びV
L領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列V
H及びV
L配列に由来するかそれらと関連するものであるが、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内には天然に存在しないかもしれない。
【0038】
抗IL−6R抗体及びその抗原結合フラグメント
特定の実施態様に従う本発明の方法は、抗IL−6R抗体、又はその抗原結合フラグメントを被験体に投与することを含む。本明細書で使用される用語「インターロイキン−6受容体」、「IL−6R」などは、インターロイキン−6(IL−6)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体を指すことを意図される。ヒトIL−6Rの細胞外ドメインは配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する。抗IL−6R抗体は、例えば米国特許第5,795,695号;同第5,817,790号;同第6,410,691号;同第6,670,373号;及び同第7,582,298号において言及される。前述の刊行物において言及され、かつ/若しくは記載される抗IL−6R抗体、又はその抗原結合フラグメントのいずれかが、本発明の状況において使用され得る。本発明の状況において使用され得る非限定的な例となる抗IL−6R抗体は、配列番号2/3を含むHCVR/LCVRアミノ酸対の重鎖CDR及び軽鎖CDRを含む抗IL−6R抗体、又はその抗原結合フラグメントである。例えば、抗IL−6R抗体は、それぞれ配列番号4、5、及び6のアミノ酸配列を有する重鎖CDR(HCDR1、HCDR2及びHCDR3);並びにそれぞれ配列番号7、8、及び9のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含む抗体、又はその抗原結合フラグメントであり得る。
【0039】
VEGFアンタゴニスト
特定の実施態様に従う本発明の方法は、VEGFアンタゴニストを被験体に投与することを含む。本明細書で使用される表現「VEGFアンタゴニスト」は、VEGFの通常の生物学的活性を遮断、低減又は妨害するいずれかの分子を意味する。VEGFアンタゴニストは、VEGFと天然VEGF受容体との間の相互作用を妨害する分子、例えばVEGF又はVEGF受容体に結合して、VEGFとVEGF受容体との間の相互作用を妨げるか、そうでなければ妨害する分子を含む。具体的な例となるVEGFアンタゴニストとしては、抗VEGF抗体、抗VEGF受容体抗体、及びVEGF受容体ベースのキメラ分子(本明細書では「VEGFトラップ」とも呼ばれる)が挙げられる。
【0040】
VEGF受容体ベースのキメラ分子は、VEGF受容体の2つ又はそれ以上の免疫グロブリン(Ig)様ドメイン例えばVEGFR1(Flt1とも呼ばれる)及び/又はVEGFR2(Flk1又はKDRとも呼ばれる)を含み、そして多量体化ドメイン(例えば、2つ又はそれ以上のキメラポリペプチドの多量体化[例えば二量体化]を促進するFcドメイン)も含有し得る、キメラポリペプチドを含む。例となるVEGF受容体ベースのキメラ分子は、配列番号10の核酸配列によりコードされるVEGFR1R2−FcΔC1(a)と呼ばれる分子である。VEGFR1R2−FcΔC1(a)は3つの成分を含む:(1) 配列番号11のアミノ酸27〜129を含むVEGFR1構成要素;(2) 配列番号11のアミノ酸130〜231を含むVEGFR2構成要素;及び(3) 配列番号11のアミノ酸232〜457を含む多量体化構成要素(「FcΔC1(a)」)(配列番号11のC末端アミノ酸[すなわちK458]は、本発明の方法において使用されるVEGFアンタゴニスト中に含まれていてもいなくてもよい;例えば、米国特許第7,396,664号を参照のこと)。配列番号11のアミノ酸1〜26はシグナル配列である。
【0041】
組み合わせ治療
特定の実施態様に従う本発明の方法は、1つ又はそれ以上のさらなる治療剤、例えばVEGFアンタゴニスト及び/又はEGFRアンタゴニストと組み合わせてIL−6アンタゴニストを被験体に投与することを含む。本明細書で使用される表現「と組み合わせて」は、さらなる治療剤が、IL−6アンタゴニストの前、後又はIL−6アンタゴニストと同時に投与されることを意味する。例えば、IL−6アンタゴニストの「前」に投与される場合、さらなる治療剤は、IL−6アンタゴニストの投与の、約72時間前、約60時間前、約48時間前、約36時間前、約24時間前、約12時間前、約10時間前、約8時間前、約6時間前、約4時間前、約2時間前、約1時間前、約30分前、約15分前又は約10分前に投与され得る。IL−6アンタゴニストの「後」に投与される場合、さらなる治療剤は、IL−6アンタゴニストの投与の、約10分後、約15分後、約30分後、約1時間後、約2時間後、約4時間後、約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約60時間後又は約72時間後に投与され得る。IL−6アンタゴニストと「同時」の投与は、さらなる治療剤が、IL−6アンタゴニストの投与の5分未満以内に(前、後、又は同時に)別々の投薬形態で被験体に投与されるか、又はさらなる治療剤及びIL−6アンタゴニストの両方を含む単一の組み合わせ投薬製剤(例えば、抗IL−6R抗体+VEGFトラップを含む単一製剤;又は抗IL−6R抗体+抗EGFR抗体を含む単一製剤;又は抗IL−6R抗体+抗ErbB3抗体を含む単一製剤;など)として被験体に投与されるということを意味する。
【0042】
医薬組成物及び投与方法
本発明はIL−6アンタゴニストを含む医薬組成物を包含する。本発明はまた、IL−6アンタゴニストと、VEGFアンタゴニスト及び/又はEGFRアンタゴニストのような第二の活性成分とを含む医薬組成物を包含する。例えば、本発明は、抗IL−6R抗体及びVEGFトラップ分子を含む医薬組成物を包含し;本発明はまた、抗IL−6R抗体及び抗EGFR抗体を含む医薬組成物を包含する。このような医薬組成物を患者に投与することを含む処置方法もまた本発明の範囲内に包含される。
【0043】
本発明の医薬組成物は、適切な担体、添加剤、及び適切な移送、送達、耐性などをもたらす他の薬剤を用いて製剤化される。多数の適切な製剤が、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAに見出され得る。適切な製剤としては、例えば、散剤、ペースト剤、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、脂質(カチオン性又はアニオン性)含有小胞(例えばLIPOFECTIN
TM)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油及び油中水乳剤、carbowax乳剤(emulsions carbowax)(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ジェル、及びcarbowax含有半固体混合物が挙げられる。さらなる適切な製剤は、Powell et al.「Compendium of excipients for parenteral formulations」 PDA (1998) J Pharm Sci Technol 52:238−311にも記載される。
【0044】
様々な送達系が公知であり、そして本発明の医薬組成物を投与するために使用することができる、例えばリポソーム中のカプセル封入、微小粒子、マイクロカプセル、変異体ウイルスを発現することができる組み換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシス(例えば、Wu et al.、1987、J. Biol. Chem. 262:4429−4432を参照のこと)。投与方法としては、限定されないが、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口の経路が挙げられる。組成物はいずれかの都合のよい経路により、例えば、注入又はボーラス注射により、上皮又は粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を通して吸収により投与され得、そして他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与され得る。
【0045】
本発明の医薬組成物は、標準的な針及び注射器を用いて皮下又は静脈内に送達され得る。さらに、皮下送達に関して、ペン型送達デバイスは、本発明の医薬組成物の送達において容易に応用性を有する。このようなペン型送達デバイスは再使用可能又は使い捨てであり得る。再使用可能なペン型送達デバイスは、一般的には、医薬組成物を収容する交換式のカートリッジを利用する。カートリッジ内の全ての医薬組成物が投与されてカートリッジが空になると、この空のカートリッジは容易に廃棄され得、そして医薬組成物を収容した新しいカートリッジと交換され得る。次いでこのペン型送達デバイスは再使用され得る。使い捨てのペン型送達デバイスには交換式カートリッジは無い。むしろ、使い捨てペン型送達デバイスは、デバイス内のリザーバー中に保持される医薬組成物で予め充填される。リザーバーが医薬組成物を出して空になると、デバイス全体が廃棄される。
【0046】
多数の再使用可能なペン型及び自動注入送達デバイスは本発明の医薬組成物の皮下送達において応用性を有する。例としては、限定されないが、少数を挙げると、AUTOPEN
TM(Owen Mumford、Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC
TMペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25
TMペン、HUMALOG
TMペン、HUMALIN 70/30
TMペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN
TM I、II及びIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR
TM(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD
TMペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN
TM、OPTIPEN PRO
TM、OPTIPEN STARLET
TM、及びOPTICLIK
TM(sanofi−aventis、Frankfurt、Germany)が挙げられる。本発明の医薬組成物の皮下送達において応用性を有する使い捨てペン型送達デバイスの例としては、限定されないが、少数のみを挙げると、SOLOSTAR
TMペン(sanofi−aventis)、FLEXPEN
TM(Novo Nordisk)、及びKWIKPEN
TM(Eli Lilly)、SURECLICK
TM Autoinjector(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET
TM(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey、L.P.)、及びHUMIRA
TM Pen (Abbott Labs、Abbott Park IL)が挙げられる。
【0047】
特定の状況において、本発明の医薬組成物は制御放出系で送達され得る。一実施態様において、ポンプが使用され得る(Langer、supra;Sefton、1987、CRC Crit. Ref. Biomed.
Eng. 14:201を参照のこと)。別の実施態様において、ポリマー材料が使用され得る;Medical Applications of Controlled Release、Langer and Wise (eds.)、1974、CRC Pres.、Boca Raton、Floridaを参照のこと。さらに別の実施態様において、制御放出系は組成物の標的に近接して配置され得、従って全身用量のわずかしか必要としない(例えば、Goodson、1984、in Medical Applications of Controlled Release、supra、vol. 2、pp. 115−138を参照のこと)。他の制御放出系はLangerによる概説、1990、Science 249:1527−1533において考察される。
【0048】
注射用製剤は、静脈内、皮下、皮内及び筋内注射、点滴注射などのための投薬形態を含み得る。これらの注射用製剤は公知の方法により製造され得る。例えば、注射用製剤は、例えば、上記の抗体又はその塩を、従来注射に使用される滅菌水性媒体又は油性媒体中に溶解、懸濁又は乳化させることにより製造され得る。注射のための水性媒体としては、例えば生理食塩水、グルコース及び他の補助剤を含有する等張溶液などがあり、これらは適切な可溶化剤、例えばアルコール(例えばエタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、polysorbate 80、硬化ヒマシ油のHCO−50(ポリオキシエチレン(50mol)付加体)]などと組み合わせて使用され得る。油性媒体としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが使用され、これらは可溶化剤、例えば安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと組み合わせて使用され得る。このようにして製造された注射剤は、好ましくは適切なアンプル中に充填される。
【0049】
上記の経口又は非経口用途のための医薬製剤は、活性成分の用量に合うように適合された単位用量で投薬形態へと有利に製造される。単位用量のこのような投薬形態としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが挙げられる。
【0050】
投薬量
被験体に投与され得る活性成分(例えば、IL−6アンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト、EGFRアンタゴニストなど)の量は、一般的には治療有効量である。本明細書で使用される句「治療有効量」は、腫瘍を有する動物に投与された場合に、ネガティブコントロールと比較して、少なくとも5%の腫瘍の増殖又は質量の減少を生じる、抗原特異的結合タンパク質及び/又は抗原結合分子の用量を意味する(例えば、本明細書の実施例1を参照のこと)。例えば、IL−6R特異的結合タンパク質、VEGF特異的結合タンパク質、及び/又はEGFR特異的結合タンパク質の「治療有効量」としては、腫瘍を有する動物に投与された場合に、ネガティブコントロール処置動物と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、90%、95%、又は100%の腫瘍の増殖又は質量の減少を生じる、このような抗原特異的結合タンパク質の量が挙げられる。
【0051】
本発明の抗原特異的結合タンパク質(例えば、抗IL−6R抗体、抗EGFR抗体、抗体ErbB3抗体、及び/又はVEGFトラップ分子)の場合、治療有効量は、約0.05mgから約600mg;例えば、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg又は約600mgのそれぞれの抗原特異的結合タンパク質であり得る。例えば、抗IL−6R抗体が投与される(例えば本明細書で考察されるmAb1)特定の具体的な実施態様によれば、抗体は100mg、150mg、又は200mgの用量で(例えば週に1回、2週ごとに1回などの頻度で)被験体に投与され得る。
【0052】
個々の用量内に含有される本発明の抗原特異的結合タンパク質の量は、患者の体重1キログラムあたりの抗体のミリグラム(すなわち、mg/kg)を単位として表され得る。例えば、本発明の抗IL−6R抗体、抗EGFR抗体、抗ErbB3抗体、及び/又はVEGFトラップ分子は、約0.0001〜約50mg/患者の体重kgの用量(例えば、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、5.0mg/kg、10mg/kg、12.5mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kgなど)で患者に投与され得る。特定の例となる実施態様によれば、特定の用量で患者に投与されるVEGFトラップ分子の量は4mg/kg又は6mg/kgである。
【0053】
活性成分(例えば、抗IL−6R抗体、抗EGFR抗体、抗ErbB3抗体、及び/又はVEGFトラップ分子)は、等量で本発明の組成物中に存在していても、あるいは、互いに0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5倍又はそれ以上互いに異なる量で存在していてもよい。当業者は、通常の実験を使用して、所望の治療効果を生じるために必要な、本発明の組成物中の個々の成分の適切な量を決定することができるだろう。
【0054】
投与計画
本発明の特定の実施態様によれば、本発明の組成物の複数回用量(例えば、 IL−6アンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト及び/又はEGFRアンタゴニストを含む組成物)は、規定された時間経過にわたって被験体に投与され得る。本発明のこの局面に従う方法は、本発明の組成物の複数回用量を被験体に逐次的に投与することを含む。本明細書で使用される「逐次的に投与すること」は、本発明の組成物の各用量が、異なる時点で、例えば所定の間隔(例えば、時間、日、週又は月)だけ離れた異なる日に被験体に投与されることを意味する。本発明は、本発明の組成物の初期用量、続いてその組成物の1つ又はそれ以上の二次用量、場合により続いてその組成物の1つ又はそれ以上の三次用量を患者に逐次的に投与することを含む方法を包含する。
【0055】
用語「初期用量」、「二次用量」、及び「三次用量」は、本発明の組成物の投与の時間的順序を指す。従って、「初期用量」は、処置計画の最初に投与される用量であり(「ベースライン用量」とも呼ばれる);「二次用量」は初期用量の後に投与される用量であり;そして「三次用量」は二次用量の後に投与される用量である。初期、二次、及び三次用量は全て同じ量の活性成分を含有し得るが、一般的には投与の頻度に関して互いに異なるだろう。しかし、特定の実施態様において、初期、二次及び/又は三次用量に含有される活性成分の量は、処置の過程の間、互いに異なる(例えば、必要に応じて上下に調整される)。
【0056】
本発明の1つの例となる実施態様において、二次用量及び/又は三次用量はそれぞれ、直前の用量の1〜30(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又はそれ以上)日後に投与される。本明細書で使用される句「直前の用量」は、一連の複数回投与において、介在する用量なく連続したすぐ次の用量の投与の前に被験体に投与される本発明の組成物の用量を意味する。
【0057】
本発明のこの局面に従う方法は、本発明の組成物のいずれかの数の二次及び/又は三次用量を患者に投与することを含み得る。例えば、特定の実施態様において、単回の二次用量のみが患者に投与される。他の実施態様において、2回又はそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上)の二次用量が患者に投与される。同様に、特定の実施態様において、単回の三次用量のみが患者に投与される。他の実施態様において、2回又はそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上)の三次用量が患者に投与される。
【0058】
複数回の二次用量を含む実施態様において、各二次用量は他の二次用量と同じ頻度で投与され得る。例えば、各二次用量は、直前の用量の1〜29日後に患者に投与され得る。同
様に、複数回の三次用量を含む実施態様において、各三次用量は他の三次用量と同じ頻度で投与され得る。例えば、各三次用量は、直前の用量の1〜60日後に患者に投与され得る。あるいは、二次用量及び/又は三次用量が患者に投与される頻度は、処置計画の経過にわたって変化し得る。投与頻度はまた、診察後の個々の患者の必要性に依存して医師により処置の過程の間に調整され得る。
【実施例】
【0059】
以下の実施例は、当業者に本発明の方法及び組成物を製造及び使用する方法の完全な開示及び記載を提供するように示されるものであり、発明者らが彼らの発明とみなす範囲を限定することは意図されない。使用される数(例えば、量、温度など)に関して正確さを確実にする努力が為されてきたが、実験誤差及び偏差がいくらかの部分を占めるはずである。そうではないと示されていなければ、部(parts)は質量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、そして圧力は大気圧又は大気圧付近である。
【0060】
実施例1. 抗IL−6Rモノクローナル抗体は、単剤として、及び他の抗腫瘍剤と組み合わせて腫瘍異種移植片の増殖を阻害する。
治療剤
この実施例は、単独で、及びVEGFトラップ、抗EGFR抗体又は抗ErbB3抗体と組み合わせた、腫瘍を有するマウスへの抗IL−6R抗体の投与を実証する。この実施例において使用される抗IL−6R抗体(本明細書において「抗IL−6R mAb1」とも呼ばれる)は、それぞれ配列番号4、5、及び6のアミノ酸配列を有する重鎖CDR(HCDR1、HCDR2及びHCDR3);並びに、それぞれ配列番号7、8、及び9のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含む抗体である(すなわち、米国特許第7,582,298号においてVQ8F11−21と指定される抗IL−6R抗体)。この実施例において使用されるVEGFトラップは2つの融合ポリペプチドのダイマーであり、それぞれが:(1) 配列番号11のアミノ酸27〜129を含むVEGFR1構成要素;(2) 配列番号11のアミノ酸130〜231を含むVEGFR2構成要素;及び(3) 配列番号11のアミノ酸232〜457を含む多量体化構成要素(「FcΔC1(a)」)を含む(すなわち、米国特許第7,396,664号においてVEGFR1R2−FcΔC1(a)と称されるVEGFトラップ)。この実施例において使用される抗EGFR抗体(本明細書において「抗EGFR mAb2」とも呼ばれる)は、ヒトEGFR/ErbB1/HER1の細胞外ドメインに対して生成された完全ヒト抗体である。この実施例において使用される抗ErbB3抗体(本明細書では「抗ErbB3 mAb3」とも呼ばれる)は、ErbB3に対して生成された完全ヒト抗体(すなわち、米国特許出願第13/623,885号(2012年9月21日出願)においてH4H1821Nと称される抗体)である。
【0061】
実験手順及び結果
初期実験として、培養されたA549、Calu3及びDu145細胞を:(i) 10μg/mlヒトFcコントロールタンパク質(「hFc」)、(ii) 10μg/mlの抗IL−6R mAb1、(iii) 10ng/ml IL−6及び10μg/ml hFc、又は(iv) 10ng/mlのIL−6及び10μg/ml抗IL−6R mAb1で処理した。ヒトFc又は抗IL−6R mAb1を培養細胞に16時間加え、そしてIL−6をhFc又は抗IL−6R mAb1前処理細胞に30分間加えた。次いで細胞を溶解し、そしてウェスタンブロットを行って、ホスホ−STAT3及び総STAT3のレベルを評価した。
図1に示されるように、3つの腫瘍細胞株全てが構成的かつIL−6誘導性のホスホ−STAT3を示し、これは抗IL−6R mAb1により阻害された。
【0062】
次に、抗IL−6R mAb1、VEGF−Trap、又は抗IL−6R mAb1とVEGF−Trapとの組み合わせの、Du145ヒト前立腺癌細胞の増殖に対する効果について試験した。手短には、5×10
6 Du145細胞(ATCC)を6〜8週齢SCIDマウス(Taconic、Hudson、NY)の側腹部に皮下移植した。腫瘍が約200mm
3の平均体積に達した後、マウスを無作為に処置のためにグループに分けた(グループあたりn=5マウス)。マウスにヒトFcコントロールタンパク質(25mg/kg)、抗IL−6R mAb1(25mg/kg)、VEGFトラップ(25mg/kg)又は抗IL−6R mAb1とVEGFトラップとの組み合わせ(25+25mg/kg)を投与した。全てのタンパク質は皮下注射により週に2回投与された。実験の間に週に2回腫瘍体積を測定した(移植後35、39、42、46、49、53、56、60、63及び67日目)。処置開始からの平均腫瘍増殖を各グループについて計算した。腫瘍増殖の減少パーセントを、Fcコントロールグループとの比較から計算した。結果を表1にまとめる。
【0063】
【表1】
【0064】
表1にまとめられた結果の元になった生データの解析により、抗IL−6R mAb1+VEGFトラップの組み合わせで処置されたマウスにおいて観察された腫瘍増殖の減少は、抗IL−6R
mAb1単独で処置されたマウスにおいて観察された減少と比較して統計学的に有意である(p=0.0004)ということが確認された。
【0065】
hFc(25mg/kg)又は抗IL−6R mAb1(25mg/kg)で処置されたマウスからのDu145腫瘍を切除して薄片にした。免疫組織化学を、ホスホ−STAT3に特異的な抗体又はアポトーシスのマーカーとしての切断されたカスパーゼ3を用いて行った。抗IL−6R mAb1で処置された腫瘍は、ホスホ−STAT3についてより少ない染色、及び切断されたカスパーゼ3について増加した染色を示し、Du145腫瘍が腫瘍細胞生存に寄与する活性IL−6/STAT3シグナル伝達を有するということが示唆された。このことは、IL−6が生存シグナルを腫瘍細胞にもたらすということを示唆した。
【0066】
次の実験において、抗IL−6R mAb1、阻害性抗EGFR抗体(「抗EGFR mAb2」)、又は抗IL−6R mAb1と抗EGFR mAb2との組み合わせの、Calu3ヒト肺腺癌異種移植の増殖に対する効果を試験した。手短には、5x10
6 Calu3細胞(ATCC)を6〜8週齢SCIDマウス(Taconic、Hudson、NY)の側腹部に皮下移植した。腫瘍が150〜200mm
3の平均体積に達した後、マウスを無作為に処置のためのグループに分けた(グループあたりn=5マウス)。マウスにヒトFcコントロールタンパク質(25mg/kg)、抗IL−6R mAb1(12.5mg/kg)、抗EGFR mAb2(12.5mg/kg)又は抗IL−6R mAb1と抗EGFR mAb2との組み合わせ(12.5+12.5mg/kg)を投与した。全てのタンパク質は皮下注射により週に2回投与された。腫瘍体積を実験の間、週に2回測定し(移植後34、37、41、44、48、51、54及び57日目)、そして腫瘍質量を実験の終わりに腫瘍切除して決定した。処置開始からの腫瘍増殖及び腫瘍質量の平均を各グループについて計算した。腫瘍増殖及び腫瘍質量の減少パーセントを、Fcコントロールとの比較から計算した。結果を表2及び3にまとめる。
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
表2にまとめられた結果の元になった生データの解析により、抗IL−6R mAb1+抗EGFR mAb2の組み合わせで処置されたマウスにおいて観察された腫瘍増殖の減少は、抗IL−6R mAb1単独(p<0.0001)又は抗EGFR mAb2単独(p=0.0005)のいずれかで処置されたマウスで観察された減少と比較して統計学的に有意であるということが確認された。
【0070】
次の実験において、抗IL−6R mAb1、阻害性抗ErbB3抗体(「抗ErbB3 mAb3」)、又は抗IL−6R mAb1と抗ErbB3 mAb3との組み合わせの、A549ヒト肺腺癌異種移植の増殖に対する効果を試験した。手短には、1x10
7 A549細胞(ATCC、カタログ番号 CCL−185)を、6〜8週齢SCIDマウス(Taconic、Hudson、NY)の腹側部に皮下移植した。腫瘍が400mm
3の平均体積に達した後、マウスを無作為に処置のためにグループに分けた(グループあたりn=6マウス)。マウスに、ヒトFcコントロールタンパク質(25mg/kg)、抗IL−6R mAb1(12.5mg/kg)、抗ErbB3 mAb3(12.5mg/kg)又は抗IL−6R mAb1と抗ErbB3 mAb3との組み合わせ(12.5+12.5mg/kg)を投与した。全てのタンパク質は皮下注射により週に2回投与された。実験の間、腫瘍体積を週に2回測定し(移植後59、62、66、69、74、77、80、83、87及び90日目)、そして腫瘍質量を実験の終わりに腫瘍切除して決定した。処置開始からの腫瘍増殖及び腫瘍質量の平均を各グループについて計算した。腫瘍増殖及び腫瘍質量の減少パーセントを、Fcコントロールグループとの比較から計算した。結果を表4及び5にまとめる。
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
最後に、A549ヒト肺腺癌異種移植の増殖に対する抗IL−6R mAb1の効果を調べた。手短には、5×10
6 A549細胞(ATCC、カタログ番号CCL−185)を、6〜8週齢SCIDマウス(Taconic、Hudson、NY)の腹側部に皮下移植した。腫瘍が約100mm
3の平均体積に達した後、マウスを無作為に処置のためのグループに分けた(グループあたりn=5マウス)。マウスに、ヒトFcコントロールタンパク質(25mg/kg)、抗IL−6R mAb1(2.5mg/kg)、又は抗IL−6R mAb1(25mg/kg)を投与した。全てのタンパク質は皮下注射により週に2回投与された。腫瘍体積を実験の間、週に2回測定した。処置の開始からの平均腫瘍増殖を各グループについて計算した。腫瘍増殖の減少パーセントを、Fcコントロールグループとの比較から計算した。結果を表6にまとめる。
【0074】
【表6】
【0075】
結論
この実施例は、抗IL−6R mAb1が単剤としてDu145、Calu3及びA549腫瘍異種移植片の増殖を阻害したということを説明する。さらに、抗IL−6R mAb1とVEGFトラップとの組み合わせ処置は、いずれかの単剤よりも強くDu145腫瘍異種移植片の増殖を阻害した。また、抗IL−6R mAb1と阻害性抗EGFR抗体(抗EGFR mAb2)との組み合わせ処置は、いずれかの単剤よりも強くCalu3腫瘍異種移植片の増殖を阻害した。
【0076】
これらの結果は、抗IL−6R mAb1が、自己分泌IL−6/STAT3シグナル伝達を示す腫瘍の増殖を優先的に阻害したということを示し、IL−6及び/又はホスホ−STAT3レベルについての腫瘍生検の免疫組織化学分析が、抗IL−6R処置から利益を受ける可能性が最も高い患者を識別する際に有用であり得るということを示唆した。さらに、抗IL−6R mAb1は、腫瘍異種移植片において、ホスホ−STAT3レベルを減少させ、そして切断されたカスパーゼ−3レベルを増加させ、IL−6/STAT3シグナル伝達が腫瘍細胞生存に寄与するということを示唆した。
【0077】
実施例2. VEGFアンタゴニストと組み合わせた抗IL−6Rモノクローナル抗体は、抗VEGF耐性腫瘍の増殖を阻害する
導入
VEGFトラップの効果に対して耐性であるA431ヒト類表皮癌細胞株の変異体を、インビボでVEGFトラップの存在下にて連続継代により単離した。この変異体細胞株を本明細書では「A431−V2」と呼び、そして親A431細胞株を本明細書では「A431−P」と呼ぶ。
【0078】
A431−P細胞株と比較して、A431−V2細胞株から発現されるIL−6の相対的レベルを評価するために最初に実験を行った。この目的のために、培養したA431−P又はA431−V2細胞から馴化培地を集め、そしてヒトIL−6の濃度を測定するためにELISAを行った。
図2(a)に示されるように、A431−V2は、親A431細胞株が発現するIL−6のレベルよりかなり高いレベルのIL−6を発現する(178pg/ml対29pg/ml)。
【0079】
次に、ホスホ−STAT3のレベルをこの変異体及び親A431細胞において測定した。具体的には、培養したA431−P及びA431−V2細胞をヒトFc(10μg/ml)又は抗IL−6R mAb1(10μg/ml)で処理した。細胞溶解物を調製し、そしてウェスタンブロットを行ってホスホ−STAT3のレベルを評価した。
図2(b)に示されるように、ホスホ−STAT3の基礎レベルは、A431−P細胞と比較してA431−V2細胞において増加しており、そして抗IL−6R mAb1処理により有意に減少された。
【0080】
前述の実験所見を考慮して、完全ヒト抗IL−6R抗体とVEGFトラップとを含む組み合わせ処置の、A431−V2腫瘍異種移植片の増殖に対する効果をこの実施例において次に試験した。
【0081】
実験手順及び結果
手短には、1×10
6 A431−V2細胞を6〜8週齢SCIDマウス(Taconic、Hudson、NY)に皮下移植した。腫瘍が約200mm
3の平均体積に達した後、マウスを無作為に処置のためにグループに分けた(グループあたりn=5マウス)。マウスに、ヒトFcコントロールタンパク質(25mg/kg)、抗IL−6R mAb1(25mg/kg)、VEGFトラップ(25mg/kg)又は抗IL−6R mAb1とVEGFトラップとの組み合わせ(25+25mg/kg)を投与した。全てのタンパク質は皮下注射により週に2回投与された。実験の間、腫瘍体積を週に2回測定した(移植後15、18、22、25及び28日目)。処置開始からの平均腫瘍増殖を各グループについて計算した。腫瘍増殖の減少パーセントをFcコントロールグループとの比較から計算した。結果を表7にまとめる。
【0082】
【表7】
【0083】
表7にまとめられた結果の元になった生データの解析により、抗IL−6R mAb1単独(p=0.0001)又はVEGFトラップ単独(p=0.0041)のいずれかで処置されたマウスにおいて観察された腫瘍増殖の変化と比較して、抗IL−6R mAb1+VEGFトラップの組み合わせで処置されたマウスにおいて観察された腫瘍増殖の減少は有意であるということが確認された。
【0084】
結論
この実施例において示されるように、A431−V2腫瘍はVEGFトラップ単剤処置に対して耐性であり、コントロール処置被験体と比較して腫瘍増殖の36%の減少しか生じなかった。しかしこれらの腫瘍は、抗IL−6R mAb1とVEGFトラップとの組み合わせ処置には応答性であり、IL−6がA431−V2腫瘍のVEGFトラップ耐性表現型に寄与するということを示唆した。予備データは、A431−V2腫瘍における増加したIL−6シグナル伝達が、VEGFトラップの腫瘍血管増生を減少させる能力を妨げないということを示し、腫瘍脈管構造が正常に機能しない場合に、IL−6シグナル伝達が腫瘍細胞の増殖及び/又は生存する能力を増強するということを示唆する。この所見は、Du145腫瘍においてもVEGFトラップの効果を強化する抗IL−6R mAb1の能力と一致する(実施例1を参照のこと)。
【0085】
要約すれば、本明細書の上で示されたデータは、抗VEGF耐性腫瘍を同定するためにIL−6/STAT3シグナル伝達のレベルを使用することができるということ、及びIL−6拮抗(例えば、抗IL−6R mAb1を用いた処置)が、単剤として又はVEGFアンタゴニストとの組み合わせのいずれでも、特に抗VEGF耐性腫瘍の状況において、多数の種類の癌を処置するための有用な治療ストラテジーであるということを示す。
【0086】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施態様により範囲を限定されるべきではない。実際に、本明細書に記載されたものに加えて、本発明の様々な改変は前述の記載及び添付の図面から当業者に明らかとなるだろう。このような改変は添付の特許請求の範囲内であることを意図される。