(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外針と、前記外針の基端部を保持すると共に、側面に突起部位を有する外針ハブと、前記外針に先端部が挿入される内針と、前記内針の基端部を保持する筒状の内針ハブと、前記外針を覆うプロテクタとを備える穿刺具であって、
前記プロテクタは、前記外針を収容する円筒部と、前記円筒部から軸線方向に延設されて該プロテクタの側面を形成すると共に、該側面に開口部を形成する支持脚部とを有し、
前記内針ハブの一端側には、該内針ハブの周方向に沿って形成された嵌合部が設けられ、
前記支持脚部の一端側には、前記嵌合部の周方向に沿って形成され、所定の長さと幅を有する溝部が設けられ、
前記プロテクタの側面の開口部に前記外針ハブの突起部位が配置され、前記支持脚部の溝部に前記嵌合部の一部が嵌入され、前記外針が前記円筒部に収容されることを特徴とする穿刺具。
前記円筒部から軸線方向に沿って複数の前記支持脚部が延設され、前記複数の支持脚部の間に前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載された穿刺具。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1に記載されているような外針を血管に留置するための穿刺具が知られている。
このような穿刺具は、外針と外針ハブと、外針に先端部が挿入される内針と、内針の基端部を内部に保持する筒状の内針ハブとを備えている。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載された穿刺具を
図15に基づいて説明する。
この穿刺具100は、
図15(A)に示すように、外針102aと外針ハブ102bと、外針102aに先端部が挿入される内針103と、内針の基端部を内部に保持する筒状の内針ハブ101とを備えている。
【0004】
そして、穿刺具100の使用方法について説明すると、
図15(A)に示すように、内針ハブ101内にスライドカバー104が収納され、外針102aの先端から内針103の先端103aが突出した状態で、患者の身体110に穿刺(刺針)される。
【0005】
その後、外針102aを体内に送った後(
図15(B)参照)、外針102aを体内に刺し置いた状態で、内針ハブ101を手元に引っ張ることにより、スライドカバー104が伸長し、内針の先端103aが体内から抜ける(
図15(C)参照)。
そして、更に同方向に内針ハブ101を引っ張ることで、手に触れることなく、内針103の先端103aが同スライドカバー104内に保持される。
【0006】
次いで、斯かる状態で内針ハブ101を周方向に回動させ(
図15(D)参照)、スライドカバー104の全体が同方向に回転して先端側のホルダー105が解除される(取り外される)。
その結果、外針102aのみを体内に留置し、内針103を収容した内針ハブ101を取外すことができ、内針103をそのまま廃棄することができる(
図15(E)参照)。
【0007】
前記穿刺具にあっては、
図15に示した形状の他に、
図16に示すように外針102aの基端を保持する外針ハブ102bにおいて、その側面に分岐管105が設けられたものがある。更には、外針ハブ102bの左右両側にそれぞれ延設され、外針ハブ102bと一体形成された一対の翼106を有するものがある。前記一対の翼106は、これを粘着テープ等により皮膚に固定し、カテーテル102のずれを防止するために用いられる。尚、このような穿刺具については、特許文献2に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の穿刺具においては、患者の身体110に外針102aを穿刺する際、外針102aの先端から内針103の先端103aが突出した状態となっている必要がある。そのため、穿刺具の使用前にあっては、内針103と外針102aとの軸方向の位置がずれないように、また安全面からキャップ状のプロテクタを外針102aおよび内針103に被せて保護したいという要求があった。
【0010】
しかしながら、
図16に示すように外針ハブ102bの側面に分岐管105が設けられていたり、翼106が設けられた穿刺具にあっては、前記プロテクタを被せる場合に、前記突起した分岐管105や翼106が障害となる。
即ち、外針ハブ102bの全体を前記プロテクタで覆うことができないという課題があった。また、分岐管105や翼106を収容可能なプロテクタを形成すると、非常に大型なプロテクタになるという課題があった。
【0011】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、外針を保持する外針ハブに分岐管や翼が設けられている場合にも、外針ハブを覆うためのプロテクタを大型化することなく確実に装着し、前記外針及び該外針から突出した内針を保護し、それらの位置ずれを防止すると共に安全面を確保することができる穿刺具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明にかかる穿刺具は、外針と、前記外針の基端部を保持すると共に、側面に突起部位を有する外針ハブと、前記外針に先端部が挿入される内針と、前記内針の基端部を保持する筒状の内針ハブと、前記外針を覆うプロテクタとを備える穿刺具であって、前記プロテクタは、前記外針を収容する円筒部と、前記円筒部から軸線方向に延設されて該プロテクタの側面を形成すると共に、該側面に開口部を形成する支持脚部とを有し、前記内針ハブの一端側には、該内針ハブの周方向に沿って形成された嵌合部が設けられ、前記支持脚部の一端側には、前記嵌合部の周方向に沿って形成され、所定の長さと幅を有する溝部が設けられ、前記プロテクタの側面の開口部に前記外針ハブの突起部位が配置され、前記支持脚部の溝部に前記嵌合部の一部が嵌入され、前記外針が前記円筒部に収容されることに特徴を有する。
このような構成によれば、前記プロテクタの側面には、開口部が設けられるため、前記開口部に突起部位(
図16に示した分岐管105や翼106など)を配置することができ、支持脚部を前記突起部位に干渉させずに内針ハブに嵌合させることができる。
即ち、外針ハブに分岐管や翼などの突起部位が設けられている場合にも、プロテクタを大型化することなく確実に装着することができ、前記円筒部により外針及び該外針の先端から突出した内針を収容して保護し、それらの位置ずれを防止すると共に、安全面を確保することができる。
【0013】
尚、前記円筒部から軸線方向に沿って複数の前記支持脚部が延設され、前記複数の支持脚部の間に前記開口部が形成されていることが望ましい。
このように複数の支持脚部を設けることにより、プロテクタの側面において、周方向に複数の開口部を形成することができ、複数の突起部位をそれら開口部に配置することができる。
【0014】
また、前記支持脚部の溝部の側面と、前記嵌合部の内側面または外側面には、それぞれ周方向に沿って延びるリブ状突起が設けられ、前記支持脚部の溝部の側面と前記嵌合部の内側面または外側面との間に、前記リブ状突起が介在し、それらが互いに係合することが望ましい。
このように互いに係合するリブ状突起を設けることによって、プロテクタの内針ハブに対する抜け止めをより確実なものとすることができる。
或いは、前記支持脚部の溝部の側面、或いは前記嵌合部の内側面または外側面のいずれか一方に、周方向に沿って延びるリブ状突起が設けられ、前記支持脚部の溝部の側面と前記嵌合部の内側面または外側面との間に、前記リブ状突起が介在し、前記支持脚部の溝部に前記嵌合部が嵌入されるようにしてもよい。
このように前記支持脚部の溝部の側面、或いは前記嵌合部の内側面または外側面のいずれか一方に周方向に延びるリブ状突起を設けることによっても、プロテクタの内針ハブに対する抜け止め効果を得ることができる。
また、前記支持脚部の溝部の側面、或いは前記嵌合部の内側面または外側面のいずれかに、軸線方向に延びるリブ状突起が設けられ、前記支持脚部の溝部の側面と前記嵌合部の内側面または外側面との間に、前記リブ状突起が介在し、前記支持脚部の溝部に前記嵌合部が嵌入されることが望ましい。
このように軸線方向に延びるリブ状突起を設けることによって、プロテクタの軸方向の位置ずれを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外針を保持する外針ハブに分岐管や翼が設けられている場合にも、外針ハブを覆うためのプロテクタを大型化することなく確実に装着し、前記外針及び該外針から突出した内針を保護し、それらの位置ずれを防止すると共に安全面を確保することができる穿刺具を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態にかかる穿刺具について、
図1乃至
図14に基づいて説明する。
穿刺具1は、
図1〜
図3に示すように、カテーテル2と、前記カテーテル2に先端部が挿入される内針3と、前記内針3の一端部(基端部)を保持する筒状の注射具4と、前記カテーテル2および前記内針3の先端を覆うプロテクタ5とを備えている。また、前記穿刺具1において、前記内針3を除く全ての部品は樹脂製である。尚、
図1,
図2では、前記カテーテル2および前記内針3の先端部は、前記プロテクタ5に覆われて見ることができない。
【0018】
前記カテーテル2は、
図3に示すように可撓性を有する中空の管からなる外針21と、外針21の基端部を保持する外針ハブ22とを有する。前記外針ハブ22は、その側面に分岐管22A(突起部位)が設けられている。また、外針ハブ22には、その左右両側に延設された一対の翼22B(突起部位)が一体形成されている。前記分岐管22Aは、例えば患者に対し薬液を投入するためのものであり、前記一対の翼22Bは、これを粘着テープ等により皮膚に固定し、カテーテル2のずれを防止するために用いられる。
【0019】
前記注射具4は、
図4〜
図6に示すように、筒状の内針ハブ41と、前記内針ハブ41の基端(紙面左端)に圧入によって取り付けられると共に、前記内針3の基端部が保持される略円筒状の針保持部42aを有する尾栓42とを備えている。
また、前記内針ハブ41の先端側の外周面には、本体の筒径よりも拡径された筒状の嵌合部41aが形成されている。この嵌合部41aの外周面には、周方向に沿って円環状にリブ状突起41bが形成され、このリブ状突起41bは内針ハブ41をプロテクタ5とより確実に嵌合させるために設けられている。
また、前記嵌合部41aの内周面には、軸方向へ延伸されたリブ状突起である凸部41cが形成されている。この凸部41cは、内針ハブ41とプロテクタ5とをより確実に嵌合させると共に、プロテクタ5の周方向の位置ずれを防止するために設けられている。
【0020】
また、前記注射具4は、
図4に示すように前記内針ハブ41の内部に進退自在に取り付けられた外筒6と、前記カテーテル2を把持する4つのアーム71Aを有し、前記外筒6の内部に進退自在に取付けられた内筒7とを備えている。
尚、本実施形態では、前記内筒7に、前記4つのアーム71Aが形成された場合を示しているが、2つ以上のアームでカテーテル2を保持できれば良い。
【0021】
前記外筒6は、
図7に示すように、前記外筒6の軸線に沿って形成された(内筒7の進退方向に沿って形成された)溝部61と、前記4つのアーム71Aを収容するアーム開閉部62とを備え、全体として筒状に形成されている。
尚、前記4つのアーム71Aは、前記アーム開閉部62の内面の両側部に形成されたガイド溝部62Aに案内されながら進退可能に形成されている。
【0022】
前記溝部61は、
図7(c)に示すように、前記外筒6の周面における上部および下部の2箇所に対称となるように形成されている。
また、前記アーム開閉部62は、
図5、
図6に示すように、前記外筒6に前記内筒7が収容されている場合には、前記4つのアーム71Aは閉じられ前記カテーテル2を把持する。
一方、前記外筒6から前記内筒7が引抜かれた(進出した)場合には、
図13、
図14に示すように、ガイド溝部62A(アーム開閉部62)による規制がなくなるため、アーム71A自体の弾発力により、前記4つのアーム71Aは開き、前記カテーテル2を解放する。
【0023】
このように、前記4つのアーム71Aと、前記アーム開閉部62とによって、前記カテーテル2を把持する把持手段が構成され、前記4つのアーム71Aがアーム開閉部62内に後退している状態にあっては、
図5、
図6に示すように、カテーテル2を把持する状態となり、前記4つのアーム71Aがアーム開閉部62から進出している状態にあっては、
図13、
図14に示すように、カテーテル2を解放する状態となる。
【0024】
具体的には、前記4つのアーム71Aは、
図4に示すように、内筒7の周面に対して、予め開いた形状に形成されている。
そして、前記外筒6のガイド溝62A(
図7参照)に、前記内筒7のアーム71Aが挿入(収容)されている場合には、前記4つのアーム71Aは前記アーム開閉部62によって閉じた状態になされている。即ち、前記アーム開閉部62は、前記4つのアーム71Aを閉じ、前記4つのアーム71Aが前記カテーテル2を把持する状態になされている。
【0025】
また、前記外筒6から前記内筒7が引き抜かれる(進出する)と、
図13、
図14に示すように、前記4つのアーム71Aは前記アーム開閉部62から抜出されて、元の開いた状態に戻る。
即ち、前記アーム開閉部62によって、前記4つのアーム71Aは開状態となり、前記4つのアーム71Aは前記カテーテル2を解放する状態となる。
【0026】
前記内筒7は、
図8に示すように、前記4つのアーム71Aを備えた首部71と、前記首部71よりも縮径した軸部72と、前記首部71および前記軸部72の中心を貫通し、前記内針3を挿通させる貫通孔73とを有し、全体として筒状に成形されている。
前記軸部72は、前記外筒6の前記溝部61内に収容され、移動可能に形成された突出部72Aと、前記貫通孔73内の内針3によって押し出されて起立し、前記溝部61に係合する起立片72Bとを備えている。
【0027】
前記突出部72Aは、前記溝部61のそれぞれに対応するように、前記軸部72の上面および下面の2箇所に対称となるように形成されている(
図5参照)。そして、前記溝部61と前記突出部72Aとによって、前記外筒6に対する前記内筒7の進退方向(内筒7に対する前記外筒6の進退方向)を規制している。
尚、前記内筒7を前記外筒6に対して進出させた際、前記外筒6および内筒7は互いに分離することのないように、溝部61の端部に前記突出部72Aが係止されるように構成されている。
【0028】
ここで、前記内筒7は、
図9示すように、前記起立片72Bを備えた下部7A(紙面左側)と、中心線lを挟んで反対側に形成された上部7B(紙面右側)とを一体として形成された部品であり、前記上部7Aおよび前記下部7Bを折曲げ線(中心線l)を中心に折り畳むことによって形成される。
【0029】
また、前記下部7Aおよび前記上部7Bの中央には、前記内筒7の軸線方向に沿って断面半円状の溝部73A,73Bがそれぞれ形成されている。これらの溝部73A,73Bは、前記下部7Aおよび前記上部7Bを折り畳むことによって、一つの貫通孔73が形成される。
【0030】
また、前記起立片72Bは、
図5に示すように、前記貫通孔73に前記内針3が挿入される(収容される)ことによって、前記内針3の周面によって押し出されて起立し、前記溝部61の端部に係合する。
ここで、前記起立片72Bは、前記溝部61のうち、前記カテーテル2側の端部に係合するので、前記内筒7の前記首部71と共働して前記外筒6を挟み込むようにして前記外筒6に係止される。
換言すれば、前記起立片72Bは、前記貫通孔73に内針3が存在する場合には、前記内針3によって起立し、外筒6と内筒7が一体となり、前記内筒7の前記外筒6からの引抜きが規制される。
【0031】
また、前記起立片72Bは、前記貫通孔73内から前記内針3が引き抜かれ、内針3による押し出しがなくなると、前記貫通孔73を閉塞するようにして前記内筒7の内部に収納され(復帰し)、前記溝部61との係合が解除される。
換言すれば、前記起立片72Bは、前記貫通孔73に内針3が存在しない場合には、前記外筒6に係止されないため、外筒6と内筒7とが分離可能となり、前記外筒6から前記内筒7を引抜くことができる。
【0032】
尚、前記内針ハブ41、および前記外筒6の夫々の端部41d、63には係合部が形成されており、伸長した際、前記端部41d、63に形成された係合部が係止することによって、互いに分離(離間)することのないように構成されている。
【0033】
また、プロテクタ5は、
図10に示すように、外針21及び外針21の先端から突出した内針3を収容可能な円筒部51(
図5,
図6参照)と、この円筒部51の外側周面から拡径しながら軸方向に延びる一対の支持脚部52とを有する。円筒部51は、プロテクタ5をカテーテル2に装着した際に、その後端が外針ハブ22に形成された段差部22Cに当接しカテーテル2を固定するようになっている。
前記一対の支持脚部52は、例えば、中空円錐体からなるキャップ形状の左右両側を軸方向に沿って切り欠くことで形成される。これにより、プロテクタ5の側面において、一対の支持脚部52の間には開口部53が形成される。
また、前記支持脚部52は、その先端に円筒部51の同心円に沿って(嵌合部41aの周方向に沿って)湾曲形成された溝部52aが設けられ、溝部52aは所定の長さと幅を有している。また、溝部52aを形成する外側壁の内側面には、周方向に延びるリブ状突起52bが形成され、このリブ状突起52bが前記内針ハブ41の有する嵌合部41aのリブ状突起41bを乗り越えて軸方向に重なることにより係止するようになっている。また、前記したように嵌合部41aの内周面に、軸方向へ延伸された凸部41cが形成されているため、前記嵌合部41aが溝部52aに嵌入されると、前記凸部41cが溝部52aの内側面に当接し、プロテクタ5の軸方向の位置ずれが防止されるようになっている。
【0034】
プロテクタ5を装着する際には、
図5に示すように一対の支持脚部52の先端に設けられた溝部52aにそれぞれ内針ハブ41の嵌合部41aの一部を嵌入させ、溝部52a内のリブ状突起52bを嵌合部41aのリブ状突起41bに係止させる。これによりプロテクタ5が内針ハブ41に対し安定して装着(嵌合)された状態となり、プロテクタ5の支持脚部52に支持された円筒部51に、外針21及び該外針21の先端から突出した内針3が収容される。
【0035】
また、
図1、
図2に示すように、プロテクタ5の側面に設けられた上側の開口部53に外針ハブ22の分岐管22Aが配置され、下側の開口部53に一対の翼22Bが配置された状態となるため、支持脚部52は前記分岐管22Aと一対の翼22Bとに干渉することなく内針ハブ41の嵌合部41aに嵌合する。
即ち、外針ハブ22に分岐管22Aや翼22Bが設けられている場合にも、プロテクタ5を大型化することなく確実に装着することができ、円筒部51により外針21及び該外針21の先端から突出した内針3を収容して保護することができる。
尚、本実施形態においては、外針ハブ22に分岐管22Aと翼22Bとが共に設けられている場合を示し、それらと干渉しないように一対の(2本の)支持脚部52が設けられているものとした。しかしながら、いずれか一方のみが設けられている場合、例えば分岐管22Aのみが設けられている場合には、1つの開口部53を有する1つの支持脚部52とし、前記開口部53に分岐管22Aを配置するようにしてもよい。
【0036】
次に、このような穿刺具1を使用する場合について説明する。
まず、
図1、
図2に示す穿刺具1からプロテクタ5を外し、
図3に示すようにカテーテル2および内針3を露出させる。尚、前記プロテクタ5を外す際には、内針ハブ41に対し、プロテクタ5を軸方向(離間する方向)に引き抜くことで嵌合部41aのリブ状突起41bとプロテクタ5の溝部52aのリブ状突起52bとの係合が解除され、プロテクタ5が内針ハブ41から分離される。
そして、
図11に示すように、前記カテーテル2および前記内針3を血管(患者の身体110)に穿刺する。
【0037】
その後、前記カテーテル2を留め置きするために、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記カテーテル2から離間する方向に移動させる(引抜動作を行う)。この内針ハブ41の引抜き動作により、前記注射具4は伸長する。
【0038】
具体的には、前記カテーテル2を留置した状態において、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記カテーテル2から離間させる(
図12に示す矢印方向に引抜動作を行う)と、前記内針ハブ41が軸方向に沿って移動し、前記注射具4は全体として伸長することになる。このとき、カテーテル2は内筒7によって保持され、内筒7と外筒6は起立片72Bによって一体化している。
【0039】
したがって、内針3の後端部(基端部)を保持する内針ハブ41を軸方向に沿って移動すると、内針3も同様に軸方向に沿って移動する。そして、カテーテル2内から引出されることで、引抜き出された内針3が内筒7、外筒6、内針ハブ41内に覆われる(
図12参照)。
【0040】
更に、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記カテーテル2から離間させる。そして、
図13に示すように、内針3の先端が起立片72Bを通過すると、起立片72Bは前記内針3の側面から力を受けない状態となり、元の状態に戻り、貫通孔73を閉塞する。
これにより、内針ハブ41をカテーテル2側に移動させる力が作用しても、内針3は、前記起立片72Bによって移動が規制され、再びカテーテル2内に戻ることはない。
【0041】
更に、前記内針3による起立片72Bの押し出しが解除されると、前記外筒6との係止状態が解除される。その結果、外筒6と内筒7が分離可能となり、前記内針ハブ41の移動に伴って、前記外筒6が軸方向に沿って移動することになる。
このとき、前記溝部61は前記突出部72Aに案内されるため、前記内筒7の突出部72Aに案内されながら、前記外筒6は前記内針ハブ41から引抜き出される。
【0042】
更に、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記カテーテル2から離間させ、前記外筒6を移動させ、前記外筒6から前記内筒7が抜出されると、
図13に示すように、前記4つのアーム71Aを開いて、前記4つのアーム71Aによるカテーテル2の保持状態を解放する。
即ち、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記カテーテル2から離間させて前記注射具4を伸長させることによって、前記カテーテル2から抜出された前記内針3が前記内筒7、外筒6、内針ハブ41の内部に収容されると、前記4つのアーム71Aとアーム開閉部62によるカテーテル2の保持状態から、カテーテル2を解放する。
【0043】
これによって、
図14に示すように、前記カテーテル2を血管に留置しつつ、前記内針3を前記カテーテル2から引抜き出して前記注射具4の内部に収容するとともに、前記カテーテル2は前記注射具4から取り外される。
このように、前記穿刺具1は、前記内針3を前記カテーテル2から引抜き動作のみによって、前記内針3を前記注射具4の内部に収容することができ、しかも前記カテーテル2を前記注射具4から取り外すことができる。
【0044】
以上のように本発明に係る一実施形態によれば、プロテクタ5の側面には、支持脚部52の間に開口部53が設けられるため、前記開口部53に外針ハブ22の分岐管22Aと一対の翼22Bとを配置することができ、支持脚部52を前記分岐管22A及び翼22Bに干渉させずに内針ハブ41に嵌合させることができる。
即ち、外針ハブ22に分岐管22Aや翼22Bが設けられていても、プロテクタ5を大型化することなく確実に装着することができ、円筒部51により外針21及び該外針21の先端から突出した内針3を収容して保護し、それらの位置ずれを防止すると共に安全面を確保することができる。
【0045】
尚、本実施形態では、筒状体が前記外筒6、および前記内筒7によって構成されている場合を例にとって説明したが、特にこの構成に限定されるものではなく、例えば、前記内針ハブと外筒、内筒とを延伸する中継筒(図示せず)を備えた穿刺具であっても良い。前記筒状体は外針ハブを把持する把持手段を有し、内針ハブの内部に進退自在に挿入できるように(収容できるように)取り付けられていれば良い。
【0046】
また、本実施形態では、把持手段として、前記4つのアーム71Aと、前記アーム開閉部62とによって構成されている場合を例にとって説明したが、特にこの構成に限定されるものではない。前記把持手段は、内針ハブを軸方向に沿って外針ハブから離間させて内針ハブを伸長させることによって、外針ハブから引き抜かれた内針が筒状体の内部に収容された際、外針ハブを解放することができるように構成されていれば良い。
【0047】
また、前記実施の形態においては、支持脚部52の溝部52aの内側面に内方に突起するリブ状突起52bが設けられ、嵌合部41aの外側面に外方に突起するリブ状突起41bが設けられ、それらが互いに係合するものとしたが、本発明にあってはそれに限定されるものではない。
例えば、支持脚部52の溝部52aの内側面に、周方向に沿って外方に突起するリブ状突起を設け、嵌合部41aの内側面に、周方向に沿って内方に突起するリブ状突起を設け、それらが互いに係合するようにしてもよい。
いずれの場合にも、支持脚部52の溝部52aの側面と嵌合部41aの内側面または外側面との間に、少なくとも2つのリブ状突起が介在することになり、それらを互いに係合させることによって、プロテクタ5を内針ハブ41に強固に嵌合させることができる。
或いは、支持脚部52の溝部52a、或いは嵌合部41aの内側面または外側面のいずれか一方に周方向に延びるリブ状突起を設けてもよい。
そのように構成しても、前記リブ状突起が、支持脚部52の溝部52aの側面と嵌合部41aの内側面または外側面との間に介在することになり、前記嵌合部41aを前記溝部52に嵌入することができる。
【0048】
また、前記実施の形態においては、嵌合部41aの内側面に、軸方向へ延伸された凸部41c(リブ状突起)が設けられ、この凸部41cが溝部52aの内側面と嵌合部41aの内側面との間に介在するものとした。
しかしながら、本発明にあっては、その構成に限定されるものではなく、軸方向に延びる凸部を、例えば、支持脚部52の溝部52aの内側面に設け、それが溝部52aの内側面と嵌合部41aの内側面または外側面との間に介在するようにしてもよい。
或いは、軸方向に延びる凸部を、嵌合部41aの外側面に設け、それが溝部52aの内側面と嵌合部41aの外側面との間に介在するようにしてもよい。
いずれの構成においても、支持脚部52の溝部52aの側面と嵌合部41aの内側面または外側面との間に凸部41cが介在し、前記嵌合部41aを前記溝部52に嵌入することができる。