(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144907
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】摺動面被覆用微細金属パターンシートの製造方法
(51)【国際特許分類】
C25D 1/08 20060101AFI20170529BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
C25D1/08
G03F7/40 521
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-272461(P2012-272461)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-118582(P2014-118582A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2014年9月17日
【審判番号】不服2015-21477(P2015-21477/J1)
【審判請求日】2015年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000131625
【氏名又は名称】株式会社シンク・ラボラトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(72)【発明者】
【氏名】重田 龍男
(72)【発明者】
【氏名】菅原 申太郎
【合議体】
【審判長】
鈴木 正紀
【審判官】
河本 充雄
【審判官】
土屋 知久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−167523(JP,A)
【文献】
特表平8−508324(JP,A)
【文献】
特開2007−146277(JP,A)
【文献】
特開平2−213491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 1/08, 1/04
G03F 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキ可能な円筒状金属基材を準備する工程と、該円筒状金属基材の表面にフォトレジストを塗布し、露光・現像せしめてレジストパターンを形成する工程と、該円筒状金属基材及びレジストパターンの表面にDLC被覆膜を形成する工程と、該レジストパターン上に形成されたDLC被覆膜を該レジストパターンごと剥離せしめて前記円筒状金属基材の表面にDLCパターンを形成し、DLCパターン付ロールを作製する工程と、
前記DLCパターン付ロールを用いて、メッキ可能な金属を連続メッキすることにより摺動面被覆用微細金属パターンシートを作製する工程と、
を含むことを特徴とする摺動面被覆用微細金属パターンシートの製造方法。
【請求項2】
前記フォトレジストが塗布される金属基材が、ニッケル、タングステン、クロム、チタン、金、銀、白金、ステンレス鋼、鉄、銅、アルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の材料から構成されることを特徴とする請求項1記載の摺動面被覆用微細金属パターンシートの製造方法。
【請求項3】
前記フォトレジストが塗布される金属基材が、ゴム又はクッション性を有する樹脂からなるクッション層を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の摺動面被覆用微細金属パターンシートの製造方法。
【請求項4】
前記フォトレジストが、ネガ型フォトレジストであることを特徴とする1〜3いずれか1項記載の摺動面被覆用微細金属パターンシートの製造方法。
【請求項5】
前記DLC被覆膜の厚さが、0.1μm〜10μmであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の摺動面被覆用微細金属パターンシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DLCパターンが設けられたロールを用いて連続メッキにより作製された摺動面被覆用微細金属パターンシート
の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続メッキ用ロールは、連続メッキ装置に用いられるもので、例えば、リールに巻き付けた鋼板等の帯状のワークを連続的に巻き取りながらメッキ浴中を通すことで、連続的にメッキを行うものである。連続メッキ用ロールの例としては、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されたシンクロール等のロールがある。
【0003】
上述したような連続メッキ用ロールを製作する場合、基材に感光材を塗布して露光・現像・バーニングしてエッチングすると、いわゆるサイドエッチングと呼ばれるオーバーエッチングが発生する問題があった。そして、パターニングが微細になる程、サイドエッチングの問題がより一層顕在化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−283044号公報
【特許文献2】特開2001−89836号公報
【特許文献3】特開2009−093170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みなされたもので、サイドエッチングの問題を解消したDLCパターン付ロールを用いて作製され、摩擦係数の小さい摺動面被覆用微細金属パターンシート
の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、
本摺動面被覆用微細金属パターンシートは、メッキ可能な円筒状金属基材の表面にフォトレジストを塗布し、露光・現像せしめてレジストパターンを形成し、前記円筒状金属基材及びメッシュ状レジストパターンの表面にDLC被覆膜を形成し、該レジストパターン上に形成されたDLC被覆膜を該レジストパターンごと剥離せしめ、前記円筒状金属基材の表面にDLCパターンを形成して製造されたDLCパターン付ロールを用いて、メッキ可能な金属を連続メッキすることにより製造されたことを特徴とする。
【0007】
このようにして、レジストパターン上に形成されたDLC被覆膜を該レジストパターンごと剥離せしめるため、サイドエッチングの問題が解消される利点がある。すなわち、本発明では、エッチングではなくいわゆるリフトオフとよばれる手法を用いているため、従来のようなサイドエッチングの問題が生じないのである。
【0008】
前記摺動面被覆用微細金属パターンシートのパターン形状としては、例えば三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形などの多角形を多数並べたパターンや、シートを円筒状に丸めた際に螺旋状となるパターンや、ストライプ状のパターンなどいずれのパターンでもよい。特に、前記摺動面被覆用微細金属パターンシートで被覆した摺動面を潤滑オイルが流れ易くなるパターンとするのが好適である。
【0009】
本摺動面被覆用微細金属パターンシートは、種々の部材の摺動面を被覆するように該摺動面に貼り付けて使用されるものである。種々の部材の摺動面としては、例えば自動車のエンジンなどのピストンシリンダの内周面がある。摺動面に貼り付けるにあたっては、耐熱性接着剤などの接着剤による接着や溶接のほか、螺子止めすることで貼り付けることができる。このうち、前記摺動面被覆用微細金属パターンシートを摺動面に螺子でとめるのが好ましい。
【0010】
また、例えば、自動車のエンジンなどのピストンシリンダの内周面に前記摺動面被覆用微細金属パターンシートを貼り付ける場合には、前記摺動面被覆用微細金属パターンシートで被覆したピストンシリンダの内周面を潤滑オイルが流れ易くなるように、螺旋状となるパターンとすればよい。
【0011】
本摺動面被覆用微細金属パターンシートは、摩擦係数が小さいため、摺動面を被覆するのに適している。
【0012】
前記フォトレジストが塗布される円筒状金属基材はメッキ可能な金属であればいずれも適用できるが、ニッケル、タングステン、クロム、チタン、金、銀、白金、ステンレス鋼、鉄、銅、アルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の材料から構成されるのが好ましい。
【0013】
前記連続メッキでメッキされるメッキ可能な金属についてもメッキ可能な金属であればいずれも適用でき、例えば、ニッケル、タングステン、クロム、チタン、金、銀、白金、鉄、銅、アルミニウムなどを適用することができる。
【0014】
前記被覆したDLC被覆膜の厚さが、0.1μm〜10μmであるのが好適である。より具体的には、0.1μm〜5μmがさらに好ましい。
【0015】
前記円筒状金属基材が、CFRP(炭素繊維強化樹脂)材の上に設けられる構成としてもよい。
【0016】
前記円筒状金属基材が、ゴム又はクッション性を有する樹脂からなるクッション層の上に設けられる構成としてもよい。前記クッション層としては、シリコンゴム等の合成ゴムやポリウレタン、ポリスチレン等の弾力性のある合成樹脂を使用することができる。このクッション層の厚さはクッション性即ち弾力性を付与できる厚さであればよく、特別の限定はないが、例えば、1cm〜5cm程度の厚さがあれば充分である。ゴム又はクッション性を有する樹脂からなるクッション層を備えたグラビア版の例としては、例えば特許文献3などがあり、前記円筒状金属基材を同様の構成とすることができる。
【0017】
前記フォトレジストは、ポジ型フォトレジスト又はネガ型フォトレジストのいずれも適用可能であるが、ネガ型フォトレジストであるのが好ましい。
【0018】
本発明の摺動面被覆用微細金属パターンシートの製造方法は、メッキ可能な円筒状金属基材を準備する工程と、該円筒状金属基材の表面にフォトレジストを塗布し、露光・現像せしめてレジストパターンを形成する工程と、該円筒状金属基材及びレジストパターンの表面にDLC被覆膜を形成する工程と、該レジストパターン上に形成されたDLC被覆膜を該レジストパターンごと剥離せしめて前記円筒状金属基材の表面にDLCパターンを形成し、DLCパターン付ロールを作製する工程と、前記DLCパターン付ロールを用いて、メッキ可能な金属を連続メッキすることにより摺動面被覆用微細金属パターンシートを作製する工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、前記フォトレジストが塗布される金属基材が、ニッケル、タングステン、クロム、チタン、金、銀、白金、ステンレス鋼、鉄、銅、アルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の材料から構成されるのが好適である。
【0020】
前記フォトレジストが塗布される金属基材が、ゴム又はクッション性を有する樹脂からなるクッション層を備える構成としても良い。
【0021】
前記フォトレジストが塗布される金属基材が、ゴム又はクッション性を有する樹脂からなるクッション性を有する材料からなるようにすることもできる。
【0022】
前記DLC被覆膜の厚さが、0.1μm〜10μmであるのが好適である。より具体的には、0.1μm〜5μmがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、サイドエッチングの問題を解消したDLCパターン付ロールを用いて作製され、摩擦係数の小さい摺動面被覆用微細金属パターンシート
の製造方法を提供することができるという著大な効果を有する。
【0024】
本発明
方法によって製造される摺動面被覆用微細金属パターンシートは、例えば、パターンの線と線の間隔が1μm〜100μm以下のサイズにすることができ、高精度に作製することができる。このため、様々な用途に適用可能である。用途としては、摺動面を被覆するものであればいずれも適用可能であり、例えば、内燃機関のピストンシリンダ内周面、ピストンの外周面、ベアリング受け部の内周面又は軸受けなど、摺動面を有するものであればいずれも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明
方法によって製造される摺動面被覆用微細金属パターンシートの一つの実施の形態を示す要部拡大図である。
【
図2】
図1の摺動面被覆用微細金属パターンシートを自動車のエンジンに適用した例を示す要部拡大図である。
【
図3】本発明
方法によって製造される摺動面被覆用微細金属パターンシートの別の実施の形態を示す要部拡大図である。
【
図4】本発明
方法によって製造される摺動面被覆用微細金属パターンシートに用いられるDLCパターン付ロールの一例を模式的に示す説明図であり、(a)は円筒状金属基材の表面にフォトレジストを塗布した状態の要部断面図、(b)は露光・現像せしめてレジストパターンを形成した状態の要部断面図、(c)は円筒状金属基材及びレジストパターンの表面にDLC被覆膜を形成した状態の要部断面図、(d)は該レジストパターン上に形成されたDLC被覆膜を該レジストパターンごと剥離せしめた状態を示す要部断面図である。
【
図5】
図4に示したDLCパターン付ロールの製造方法の工程順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これら実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0027】
図1において、符号10Aは摺動面被覆用微細金属パターンシートを示す。摺動面被覆用微細金属パターンシート10Aは、
図4に示されるDLCパターン付ロールを用いて、メッキ可能な金属を連続メッキすることにより製造された摺動面被覆用微細金属パターンシートであり、前記摺動面被覆用微細金属パターンシートのパターン12の形状が、ストライプ状とされている。
【0028】
図2に、摺動面被覆用微細金属パターンシート10Aを自動車のエンジンに適用した例を示す。
図2において、ピストンシリンダ14の内周面を被覆するように摺動面被覆用微細金属パターンシート10Aが取り付けられている。ピストンシリンダ14の内部には、クランク16によってピストン18が摺動して往復運動する。
【0029】
また、
図3に、本発明に係る摺動面被覆用微細金属パターンシートの別の実施の形態を示す。
図3において、符号10Bは摺動面被覆用微細金属パターンシートを示す。前記摺動面被覆用微細金属パターンシート10Bのパターン20の形状が、六角形を多数並べたパターンとされている。
【0030】
次に、本発明に係る摺動面被覆用微細金属パターンシートに用いられるDLCパターン付ロールの一例を
図4に示す。
【0031】
符号22はメッキ可能な円筒状金属基材である。円筒状金属基材22はメッキ可能な金属であればいずれも適用できるが、例えば、ニッケル、タングステン、クロム、チタン、金、銀、白金、ステンレス鋼、鉄、銅、アルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の材料から構成することができる。
【0032】
また、円筒状金属基材22は、CFRP(炭素繊維強化樹脂)材の上に設けられる構成としてもよいし、ゴム又はクッション性を有する樹脂からなるクッション層の上に設けられる構成としてもよい。
【0033】
まず、円筒状金属基材22を準備し(
図5のステップ100)、
図4(a)に示すように、前記円筒状金属基材22の表面にフォトレジスト24を塗布し、前記フォトレジスト24を露光・現像せしめてレジストパターン26を前記円筒状金属基材22の表面に形成する(
図5のステップ102)。前記フォトレジスト24としては、ネガ型フォトレジストが好適である。このようにして、
図4(b)に示す状態となる。
【0034】
そして、該円筒状金属基材22及びレジストパターン26の表面にDLC被覆膜28を形成する(
図5のステップ104)。このようにして、
図4(c)に示す状態となる。
【0035】
次に、レジストパターン26上に形成されたDLC被覆膜28を該レジストパターン26ごと剥離せしめて前記円筒状金属基材22の表面にDLCパターン30を形成してDLCパターン付ロール32を作製する(
図5のステップ106)。このようにして、
図4(d)に示す状態となる。
【0036】
そして、DLCパターン付ロール32を用いて、メッキ可能な金属を連続メッキすることにより、
図1及び
図2に示すような、摺動面被覆用微細金属パターンシート10A,10Bが出来る。前記DLCパターン付ロール32を用いて、メッキされるメッキ可能な金属については、メッキ可能な金属であればいずれも適用でき、例えば、ニッケル、タングステン、クロム、チタン、金、銀、白金、鉄、銅、アルミニウムなどを適用することができる。例えば、円筒状金属基材22が銅の場合、前記DLCパターン付ロール32を用いて、メッキする金属としてはニッケルが適用できる。
【0037】
DLC被覆膜28の形成にあたっては、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタ法によってDLCで被覆することが可能である。
【0038】
前記DLC被覆膜28の厚さは、0.1μm〜10μmであるのが好適である。より具体的には、0.1μm〜5μmがさらに好ましい。
【0039】
また、前記摺動面被覆用微細金属パターンシートのパターン形状としては、例えば三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形などの多角形を多数並べたパターンや、シートを円筒状に丸めた際に螺旋状となるパターンや、ストライプ状のパターンなどいずれのパターンでもよい。特に、前記摺動面被覆用微細金属パターンシートで被覆した摺動面を潤滑オイルが流れ易くなるパターンとするのが好適である。
【0040】
また、例えば、自動車のエンジンなどのピストンシリンダの内周面に前記摺動面被覆用微細金属パターンシートを貼り付ける場合には、前記摺動面被覆用微細金属パターンシートで被覆したピストンシリンダの内周面を潤滑オイルが流れ易くなるように、螺旋状となるパターンとすればよい。
【0041】
本発明の摺動面被覆用微細金属パターンシートは、摩擦係数が小さいため、摺動面を被覆するのに適している。
【実施例】
【0042】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0043】
(実施例1)
円周600mm、面長1100mmの版母材(アルミ中空ロール)を準備し、ブーメランライン(株式会社シンク・ラボラトリー製全自動レーザーグラビア製版ロール製造装置)を用いて下記する銅メッキ層の形成までを行った。
【0044】
まず、版母材(アルミ中空ロール)を銅メッキ槽に装着し、中空ロールをメッキ液に全没させて電流密度30A/dm
2、電圧6.0Vで80μmの銅メッキ層を形成した。メッキ表面はブツやピットの発生がなく、均一な銅メッキ層を得た。
【0045】
この銅メッキ層の表面を2ヘッド型研磨機(株式会社シンク・ラボラトリー製研磨機)により研磨して当該銅メッキ層の表面を均一な研磨面とした。形成した銅メッキ層を基材としてその表面に感光膜(半導体レーザー用レジスト:TSER−NS(株式会社シンク・ラボラトリー製))を塗布(ファウンテンコーター)、乾燥した。得られた感光膜の膜厚は膜厚計(FILLMETRICS社製F20、松下テクノトレーデイング社販売)で計ったところ、15μmであった。ついで、画像をレーザー露光し現像した。上記レーザー露光は、Laser Stream FXを用い露光条件300mJ/cm
2で所定のパターン露光を行った。また、上記現像は、TLD現像液(株式会社シンク・ラボラトリー製現像液)を用い、現像液希釈比率(原液1:水7)で、24℃90秒間行い、所定のレジストパターンを形成した。
【0046】
アルゴン/水素ガス雰囲気、原料ガスにヘキサメチルジシロキサン、成膜温度80−120℃、成膜時間60分で膜厚0.1μmの中間層を成膜した。次に、原料ガスにトルエン、成膜温度80−120℃、成膜時間180分で膜厚2μmのDLC層を成膜した。
ついで、5%水酸化ナトリウム水溶液にてレジストを剥離させ、複数の斜線状のDLCパターンを形成した。このようにして、パターン付ロールを得た。
【0047】
ついで、銅メッキ槽に装着し、メッキ液に全没させて2A/dm
2、7.0Vで厚さ20μmの銅パターン箔を得た。表面を光学顕微鏡で観察したところ、
図1に示すようなパターンの摺動面被覆用微細金属パターンシートが得られた。また、
図1に示す線幅D1は20μmであった。得られた摺動面被覆用微細金属パターンシートを自動車のエンジンの内周面に螺子止めしてピストンを動かすと、滑らかに摺動した。
【0048】
(実施例2)
複数の六角形のDLCパターンを形成した以外は実施例1と同様にして、パターン付ロールを得た。DLC被覆膜の厚さは2μmであった。得られたパターン付ロールを実施例1と同様にニッケルメッキ槽に装着し、メッキ液に全没させて2A/dm
2、7.0Vで厚さ20μmのニッケルパターン箔を得た。表面を光学顕微鏡で観察したところ、
図3に示すようなパターンの摺動面被覆用微細金属パターンシートが得られた。また、
図3に示す線幅D2は30μmであった。得られた摺動面被覆用微細金属パターンシートを自動車のエンジンの内周面に螺子止めしてピストンを動かすと、滑らかに摺動した。
【符号の説明】
【0049】
10A,10B:摺動面被覆用微細金属パターンシート、12,20:パターン、14:ピストンシリンダ、16:クランク、18:ピストン、22:円筒状金属基材、24:フォトレジスト、26:レジストパターン、28:DLC被覆膜、30:DLCパターン、32:DLCパターン付ロール、D1,D2:線幅。