(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、
図1〜
図8を参照して説明する。本実施形態においては、車両内に配置され、放送信号にデータ信号を含んだFM放送波を受信して処理するFMラジオ受信装置を例示して説明する。そして、本実施形態のFMラジオ受信装置は、当該データ信号の中に「道路交通情報」を担った信号が含まれる場合には、当該道路交通情報を反映した画像を再生表示する機能を有しているものとする。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
[構成]
図1には、一実施形態に係る放送受信装置100の概略的な構成がブロック図にて示されている。
図1に示されるように、放送受信装置100は、2個のアンテナ110
1,110
2と、2個のRF処理ユニット120
1,120
2と、再生処理ユニット130とを備えている。また、放送受信装置100は、入力ユニット140と、音出力ユニット150と、表示ユニット160とを備えている。さらに、放送受信装置100は、受信制御ユニット180を備えている。
【0019】
上記のアンテナ110
1,110
2は、放送波を受信する。アンテナ110
1による受信信号RFS
1は、RF処理ユニット120
1へ送られる。また、アンテナ110
2による受信信号RFS
2は、RF処理ユニット120
2へ送られる。
【0020】
上記のRF処理ユニット120
1は、アンテナ110
1から送られた受信信号RFS
1を受ける。RF処理ユニット120
1は、受信制御ユニット180から送られた選局指令CSL
1に従って、選択すべき物理チャンネルの信号を受信信号RFS
1から抽出する選局処理を行う。RF処理ユニット120
1による選局結果は、信号IFD
1として、再生処理ユニット130及び受信制御ユニット180へ送られる。
【0021】
上記のRF処理ユニット120
2は、アンテナ110
2から送られた受信信号RFS
2を受ける。RF処理ユニット120
2は、受信制御ユニット180から送られた選局指令CSL
2に従って、選択すべき物理チャンネルの信号を受信信号RFS
2から抽出する選局処理を行う。RF処理ユニット120
2による選局結果は、信号IFD
2として、再生処理ユニット130へ送られる。
【0022】
RF処理ユニット120
j(j=1,2)は、入力フィルタと、高周波増幅器(RF−AMP:Radio Frequency-Amplifier)と、バンドパスフィルタ(以下、「RFフィルタ」とも呼ぶ)とを備えている。また、RF処理ユニット120
jは、ミキサ(混合器)と、中間周波フィルタ(以下、「IFフィルタ」と呼ぶ)と、AD(Analogue to Digital)変換器と、局部発振回路(OSC)とを備えている。
【0023】
ここで、入力フィルタは、対応するアンテナ110
jから送られた受信信号RFS
jの低周波成分を遮断するハイパスフィルタである。高周波増幅器は、入力フィルタを通過した信号を増幅する。RFフィルタは、高周波増幅器から出力された信号のうち、高周波帯の信号を選択的に通過させる。ミキサは、RFフィルタを通過した信号と、局部発振回路から供給された局部発振信号とを混合する。
【0024】
IFフィルタは、ミキサから出力された信号のうち、予め定められた中間周波数範囲の信号を選択して通過させる。こうしてIFフィルタを通過した信号は、信号IFS
jとして、AD変換器へ送られる。AD変換器は、信号IFS
jをAD変換して中間周波信号IFD
jを生成する。
【0025】
なお、局部発振回路は、電圧制御等により発振周波数の制御が可能な発振器等を備えて構成される。この局部発振回路は、受信制御ユニット180から送られた選局指令CSL
jに従って、選局すべき希望局に対応する周波数の局部発振信号を生成し、ミキサへ供給する。
【0026】
本実施形態では、アンテナ110
1が第1のアンテナに対応し、RF処理ユニット120
1が、第1の受信部の機能を果たすようになっている。また、アンテナ110
2が第2のアンテナに対応し、RF処理ユニット120
2が、第2の受信部の機能を果たすようになっている。
【0027】
上記の再生処理ユニット130は、受信制御ユニット180による制御もとで、RF処理ユニット120
1,120
2から送られる信号IFD
1,IFD
2の処理を行う。そして、再生処理ユニット130は、受信した放送波に「道路交通情報」を担ったデータ信号が含まれている場合には、当該データ信号に基づき表示ユニット160へ供給する道路交通情報の画像データIDTを生成する。また、再生処理ユニット130は、受信した放送波に含まれる音声信号に基づき音出力ユニット150へ供給する音声データADTを生成する。再生処理ユニット130の構成の詳細については、後述する。
【0028】
上記の入力ユニット140は、放送受信装置100の本体部に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、表示ユニット160の表示デバイスに設けられたタッチパネルを用いることができる。また、キー部を有する構成に代えて、又は併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。
【0029】
この入力ユニット140を利用者が操作することにより、放送受信装置100の動作内容の設定や動作指令の入力が行われる。例えば、選局設定指定等の利用者による入力が、入力ユニット140を利用して行われる。入力ユニット140への入力内容は、入力データIPDとして、受信制御ユニット180へ送られる。
【0030】
上記の音出力ユニット150は、(i)再生処理ユニット130から送られた音声データADTをアナログ信号に変換するDA(Digital to Analogue)変換器と、(ii)当該DA変換器から出力されたアナログ信号を増幅する増幅器と、(iii)増幅されたアナログ信号を音声に変換するスピーカとを備えて構成されている。この音出力ユニット150は、選局されているチャンネルの放送波に対応する放送音声を再生出力する。
【0031】
上記の表示ユニット160は、例えば、(i)液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)等の表示デバイスと、(ii)再生処理ユニット130から送られた画像データIDTに基づいて、当該表示デバイスに画像を表示させる表示制御回路とを備えている。この表示ユニット160は、「道路交通情報」を反映した画像を再生表示する。
【0032】
上記の受信制御ユニット180は、様々な処理を行うとともに、放送受信装置100の全体の動作を制御する。受信制御ユニット180の構成の詳細については、後述する。
【0033】
<再生処理ユニット130の構成>
次に、再生処理ユニット130の構成について説明する。再生処理ユニット130は、
図2に示されるように、信号合成部131と、検波部132
1と、検波部132
2と、データ信号用復号部133と、ステレオ復調部134とを備えている。
【0034】
上記の信号合成部131は、RF処理ユニット120
1,120
2のそれぞれから送られた信号IFD
1,IFD
2を受ける。そして、信号合成部131は、受信制御ユニット180による制御のもとで、信号合成処理を行う。
【0035】
この信号合成部131は、受信制御ユニット180から送られた合成制御指令SNCにより信号IFD
1,IFD
2を合成すべきではないこと(後述する「第1の受信モード」)が指定された場合には、信号合成を行わず、RF処理ユニット120
1から送られた信号IFD
1を検波部132
1へ送るとともに、RF処理ユニット120
2から送られた信号IFD
2を、信号SNDとして検波部132
2及び受信制御ユニット180へ送る。また、信号合成部131は、受信制御ユニット180から送られた合成制御指令SNCにより信号IFD
1,IFD
2を合成すべきこと(後述する「第2の受信モード」)が指定された場合には、信号IFD
1,IFD
2の2つの信号の合成を行い、合成された信号を、信号SNDとして検波部132
2及び受信制御ユニット180へ送る。
【0036】
上記の検波部132
1は、信号合成部131から送られた信号IFD
1を受ける。そして、検波部132
1は、当該信号に対して、所定方式でデジタル検波処理を施して検波信号DTD
1を生成する。こうして生成された検波信号DTD
1は、データ信号用復号部133へ送られる。
【0037】
上記の検波部132
2は、信号合成部131から送られた信号SNDを受ける。そして、検波部132
2は、当該信号に対して、検波部132
1の場合と同様の所定方式でデジタル検波処理を施して検波信号DTD
2を生成する。こうして生成された検波信号DTD
2は、ステレオ復調部134へ送られる。
【0038】
上記のデータ信号用復号部133は、検波部132
1から送られた検波信号DTD
1を受ける。データ信号用復号部133は、検波信号DTD
1を受けると、「道路交通情報」を担うデータ信号のブロック同期の確立処理を行う。そして、データ信号用復号部133は、当該データ信号のブロック同期が取れている間には、ブロック同期が取れている旨の同期報告SYNを受信制御ユニット180へ送り、当該データ信号のブロック同期が取れていない間には、ブロック同期が取れていない旨の同期報告SYNを受信制御ユニット180へ送る。
【0039】
また、データ信号用復号部133は、「道路交通情報」を担うデータ信号のブロック同期が取れている間に、検波信号DTD
1に対して、データ信号用の復号処理を施し、「道路交通情報」に関する画像データIDTを生成する。こうして生成された画像データIDTは、表示ユニット160へ送られる。
【0040】
上記のステレオ復調部134は、検波部132
2から送られた検波信号DTD
2を受ける。そして、ステレオ復調部134は、検波信号DTD
2に対して、セパレーション処理を含めたステレオ復調処理を施し、音声データADTを生成する。こうして生成された音声データは、音出力ユニット150へ送られる。
【0041】
本実施形態では、検波部132
1及びデータ信号用復号部133が、第1の信号処理部の機能を果たすようになっている。また、検波部132
2及びステレオ復調部134が、第2の信号処理部の機能を果たすようになっている。
【0042】
<受信制御ユニット180の構成>
次いで、受信制御ユニット180の構成について説明する。受信制御ユニット180は、
図3に示されるように、検出部181
1,181
2と、制御部185とを備えている。
【0043】
上記の検出部181
1は、RF処理ユニット120
1から送られた信号IFD
1を受ける。そして、検出部181
1は、信号IFD
1の受信品質に関する情報を検出し、当該受信品質に関する情報の検出結果を制御部185へ送る。上記の検出部181
2は、信号合成部131から送られた信号SNDを受ける。そして、検出部181
2は、信号SNDの受信品質に関する情報を検出し、当該受信品質に関する情報の検出結果を制御部185へ送る。ここで、制御部185の説明に先立って、検出部181
1,181
2の構成の詳細について説明する。
【0044】
(検出部181
1の構成)
まず、上述した検出部181
1の構成について説明する。検出部181
1は、
図4に示されるように、レベル検出部211
1と、振幅変調(AM)成分抽出部212
1と、レベル検出部213
1とを備えている。また、検出部181
1は、バンドパスフィルタ(BPF)部214
1,215
1と、レベル検出部216
1,217
1とを備えている。
【0045】
上記のレベル検出部211
1は、RF処理ユニット120
1から送られた信号IFD
1を受ける。そして、レベル検出部211
1は、信号IFD
1のレベルを検出する。このレベル検出部211
1による検出結果は、RF処理ユニット120
1により選局されている放送局の放送波の電界強度を反映したものとなっている。レベル検出部211
1による検出結果は、信号レベルSLD
1として、制御部185へ送られる。
【0046】
上記のAM成分抽出部212
1は、RF処理ユニット120
1から送られた信号IFD
1を受ける。そして、AM成分抽出部212
1は、信号IFD
1のAM変調成分を抽出する。かかるAM変調成分は、マルチパスフェージングの影響により発生するものである。AM成分抽出部212
1による抽出結果は、信号MPD
1として、レベル検出部213
1へ送られる。
【0047】
上記のレベル検出部213
1は、AM成分抽出部212
1から送られた信号MPD
1を受ける。そして、レベル検出部213
1は、信号MPD
1のレベルを検出する。このレベル検出部213
1による検出結果は、マルチパスフェージングの影響度を反映したものとなっている。レベル検出部213
1による検出結果は、マルチパスレベルMPL
1として、制御部185へ送られる。
【0048】
上記のBPF部214
1は、RF処理ユニット120
1から送られた信号IFD
1を受ける。そして、BPF部214
1は、選局指定されている放送局の中心周波数よりも周波数の低い下方隣接局の中心周波数を中心とする狭帯域の成分を通過させる。BPF部214
1を通過した信号NMD
1は、レベル検出部216
1へ送られる。
図5には、BPF部214
1の通過率の周波数変化特性の例が示されている。
【0049】
ここで、
図5においては、選局指定されている放送局の中心周波数IF
0より周波数の低い下方隣接局の中心周波数が「IF
-」として示され、当該中心周波数IF
0より周波数の高い上方隣接局の中心周波数が「IF
+」として示されている。また、
図5においては、選局指定されている放送局の信号の周波数分布の例が曲線SP
0(F)として示され、下方隣接局及び上方隣接局の信号の周波数分布の例が曲線SP
-(F),SP
+(F)として示されている。こうした
図5における表記は、後述する
図6においても同様となっている。
【0050】
上記のBPF部215
1は、RF処理ユニット120
1から送られた信号IFD
1を受ける。そして、BPF部215
1は、上述した周波数IF
+を中心とする狭帯域の成分を通過させる。BPF部215
1を通過した信号NPD
1は、レベル検出部217
1へ送られる。
図6には、BPF部215
1の通過率の周波数変化特性の例が示されている。
【0051】
上記のレベル検出部216
1は、BPF部214
1から送られた信号NMD
1を受ける。そして、レベル検出部216
1は、信号NMD
1のレベルを検出する。このレベル検出部216
1による検出結果は、周波数IF
-を中心周波数とする下方隣接局の電界強度、ひいては信号IFD
1における下方隣接局の信号の混入度を反映している。レベル検出部216
1による検出結果は、下方隣接局レベルNLM
1として、制御部185へ送られる。
【0052】
上記のレベル検出部217
1は、BPF部215
1から送られた信号NPD
1を受ける。そして、レベル検出部217
1は、信号NPD
1のレベルを検出する。このレベル検出部217
1による検出結果は、周波数IF
+を中心周波数とする上方隣接局の電界強度、ひいては信号IFD
1における上方隣接局の信号の混入度を反映している。レベル検出部217
1による検出結果は、上方隣接局レベルNLP
1として、制御部185へ送られる。
【0053】
(検出部181
2の構成)
次に、上述した検出部181
2の構成について説明する。検出部181
2は、
図7に示されるように、レベル検出部211
2と、AM成分抽出部212
2と、レベル検出部213
2とを備えている。また、検出部181
2は、BPF部214
2,215
2と、レベル検出部216
2,217
2とを備えている。
【0054】
上記のレベル検出部211
2は、信号合成部131から送られた信号SNDを受ける。そして、レベル検出部211
2は、信号SNDのレベルを検出する。このレベル検出部211
2による検出結果は、後述する「第2の受信モード」においては、RF処理ユニット120
1,120
2により選局されている希望局の放送波の電界強度を反映したものとなっている。レベル検出部211
2による検出結果は、信号レベルSLD
2として、制御部185へ送られる。
【0055】
上記のAM成分抽出部212
2は、信号合成部131から送られた信号SNDを受ける。そして、AM成分抽出部212
2は、信号SNDのAM変調成分を抽出する。AM成分抽出部212
2による抽出結果は、信号MPD
2として、レベル検出部213
2へ送られる。
【0056】
上記のレベル検出部213
2は、AM成分抽出部212
2から送られた信号MPD
2を受ける。そして、レベル検出部213
2は、信号MPD
2のレベルを検出する。レベル検出部213
2による検出結果は、マルチパスレベルMPL
2として、制御部185へ送られる。
【0057】
上記のBPF部214
2は、信号合成部131から送られた信号SNDを受ける。そして、BPF部214
2は、選局指定されている放送局の中心周波数よりも周波数の低い下方隣接局の中心周波数を中心とする狭帯域の成分を通過させる。BPF部214
2を通過した信号NMD
2は、レベル検出部216
2へ送られる。なお、BPF部214
2の通過率の周波数変化特性は、BPF部214
1の場合と同様となっている(
図5参照)。
【0058】
上記のBPF部215
2は、信号合成部131から送られた信号SNDを受ける。そして、BPF部215
2は、選局指定されている放送局の中心周波数よりも周波数の高い上方隣接局の中心周波数を中心とする狭帯域の成分を通過させる。BPF部215
2を通過した信号NPD
2は、レベル検出部217
2へ送られる。なお、BPF部215
2の通過率の周波数変化特性は、BPF部215
1の場合と同様となっている(
図6参照)。
【0059】
上記のレベル検出部216
2は、BPF部214
2から送られた信号NMD
2を受ける。そして、レベル検出部216
2は、信号NMD
2のレベルを検出する。このレベル検出部216
2による検出結果は、信号SNDにおける下方隣接局の信号の混入度を反映している。レベル検出部216
2による検出結果は、下方隣接局レベルNLM
2として、制御部185へ送られる。
【0060】
上記のレベル検出部217
2は、BPF部215
2から送られた信号NPD
2を受ける。そして、レベル検出部217
2は、信号NPD
2のレベルを検出する。このレベル検出部217
2による検出結果は、信号SNDにおける上方隣接局の信号の混入度を反映している。レベル検出部217
2による検出結果は、上方隣接局レベルNLP
2として、制御部185へ送られる。
【0061】
図3に戻り、上記の制御部185は、様々な処理を行うことにより、放送受信装置100の機能を実現させる。この制御部185は、検出部181
1から送られた信号レベルSLD
1、マルチパスレベルMPL
1、下方隣接局レベルNLM
1及び上方隣接局レベルNLP
1を受ける。そして、制御部185は、これらのレベルSLD
1,MPL
1,NLM
1,NLP
1に基づいて、信号IFD
1の受信品質を評価する。また、制御部185は、検出部181
2から送られた信号レベルSLD
2、マルチパスレベルMPL
2、下方隣接局レベルNLM
2及び上方隣接局レベルNLP
2を受ける。そして、制御部185は、これらのレベルSLD
2,MPL
2,NLM
2,NLP
2に基づいて、信号SNDの受信品質を評価する。また、制御部185は、データ信号用復号部133から送られた同期報告SYNを受ける。
【0062】
そして、制御部185は、信号IFD
1の受信品質及び信号SNDの受信品質、並びに、同期報告SYNの内容等に基づいて、放送受信装置100における「第1の受信モード」及び「第2の受信モード」の2つの受信モードの切り替え制御を行う。ここで、「第1の受信モード(以下、「独立動作受信モード」ともいう)」とは、RF処理ユニット120
1に所望の「道路交通情報」を担ったデータ信号を含む放送を行う放送局(以下、「データ希望局」ともいう)から送信される放送波(第1の放送波:以下、「データ希望局放送波」ともいう)を受信させるとともに、RF処理ユニット120
2に音声放送を行っている放送局(以下、「音声希望局」ともいう)から送信される放送波(第2の放送波:以下、「音声希望局放送波」ともいう)を受信させるモードである。また、「第2の受信モード(以下、「ダイバーシティ受信モード」ともいう)」とは、RF処理ユニット120
1及びRF処理ユニット120
2に、音声希望局から送信される放送波を受信させるモードである。
【0063】
ここで、「音声希望局」とは、特定した一の放送局をいうものではなく、利用者により選局設定指定されている音声放送を行っている放送局をいう。
【0064】
かかる2つの受信モードの切り替え制御に際して、制御部185は、RF処理ユニット120
1へ選局指令CSL
1を送るとともに、RF処理ユニット120
2へ選局指令CSL
2を送る。また、制御部185は、再生処理ユニット130の信号合成部131へ向けて合成制御指令SNCを送る。
【0065】
そして、制御部185は、「第1の受信モード」のときには、RF処理ユニット120
1から送られる信号IFD
1の処理を、検波部132
1及びデータ信号用復号部133に行わせるとともに、RF処理ユニット120
2から送られる信号IFD
2の処理を、検波部132
2及びステレオ復調部134に行わせる。また、制御部185は、「第2の受信モード」のときには、RF処理ユニット120
1から送られる信号IFD
1と、RF処理ユニット120
2から送られる信号IFD
2とを合成すべきことを指定した合成制御指令SNCを信号合成部131へ送る。そして、制御部185は、信号合成部131により合成された信号SNDの処理を、検波部132
2及びステレオ復調部134に行わせる。
【0066】
制御部185が実行する受信モードの切り替え制御処理の詳細については、後述する。
【0067】
[動作]
以上のようにして構成された放送受信装置100の動作について、制御部185による受信モードの切り替え制御処理に主に着目して説明する。
【0068】
当初においては、放送受信装置100では受信モードが「独立動作受信モード」となっており、制御部185が、データ希望局に対応する選局指令CSL
1をRF処理ユニット120
1へ送るとともに、利用者により選局指定された音声希望局に対応する選局指令CSL
2をRF処理ユニット120
2へ送っているものとする。また、制御部185は、信号合成部131へ向けて、RF処理ユニット120
1,120
2から送られる信号IFD
1,IFD
2を合成すべきではないことを指定した合成制御指令SNCを送っているものとする。
【0069】
こうした状態で、RF処理ユニット120
1から出力された信号IFD
1は、検波部132
1へ送られ、検波部132
1により検波処理が施された検波信号DTD
1が、データ信号用復号部133へ送られる。また、RF処理ユニット120
2から出力される信号IFD
2は、検波部132
2へ送られ、検波部132
2により検波処理が施された検波信号DTD
2が、ステレオ復調部134へ送られる。そして、制御部185は、データ信号用復号部133から送られる同期報告SYNを受けているものとする。
【0070】
このような状況のもとで、
図8に示されるように、まず、ステップS11において、制御部185が、同期報告SYNの内容から「道路交通情報」を担うデータ信号のブロック同期が取れているか、すなわち、「道路交通情報」の受信が可能か否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS11:Y)には、ステップS11の処理が繰り返される。一方、ステップS11における判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、処理はステップS12へ進む。
【0071】
ステップS12では、制御部185が、受信モードを「ダイバーシティ受信モード」に遷移させる。このステップS12における「ダイバーシティ受信モード」への遷移制御では、制御部185は、利用者により選局指定された音声希望局に対応する選局指令CSL
1,CSL
2をそれぞれRF処理ユニット120
1,120
2へ送る。また、制御部185は、信号合成部131へ向けて、RF処理ユニット120
1,120
2から送られる信号IFD
1,IFD
2を合成すべきことを指定した合成制御指令SNCを送る。
【0072】
こうした状態で、信号合成部131から出力された信号SNDは、検波部132
2へ送られ、検波部132
2により検波処理が施された検波信号DTD
2が、ステレオ復調部134へ送られる。また、「ダイバーシティ受信モード」では、信号合成部131から出力された信号SNDは、検出部181
2にも送られる。そして、検出部181
2において信号SNDの受信品質に関する情報である信号レベルSLD
2、マルチパスレベルMPL
2、下方隣接局レベルNLM
2及び上方隣接局レベルNLP
2が検出され、制御部185へ送られる。
【0073】
次に、ステップS13において、制御部185が、検出部181
2から送られたレベルSLD
2,MPL
2,NLM
2,NLP
2に基づいて、信号SNDの受信品質を評価することにより、音声希望局放送波の受信品質を評価する。引き続き、ステップS14において、第2放送波の受信品質が所定の値以上であるか否かを判断することにより、音声希望局放送波の受信品質が良好であるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS14:N)には、処理はステップS15へ進む。ステップS15では、制御部185が、「独立動作受信モード」への遷移条件であるデータ希望局放送波の受信品質切替閾値THを「TH1」に設定する。この後、処理は、後述するステップS17へ進む。
【0074】
一方、ステップS14における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS14:Y)には、処理はステップS16へ進む。ステップS16では、制御部185が、データ希望局放送波の受信品質切替閾値THを「TH2(<TH1)」に設定する、この後、処理はステップS17へ進む。
【0075】
ここで、音声希望局放送波の受信品質が良好である否かの判定に用いる所定の値、データ希望局放送波の受信品質切替閾値TH1,TH2は、音声信号に基づく音声の聴取を確保しつつ、「道路交通情報」を取得する観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0076】
ステップS17では、制御部185が、暫定的に所定期間にわたって受信モードを独立動作受信モードに切り替えて、データ希望局放送波の受信品質RDQの評価を行う。このステップS17における「データ希望局放送波の受信品質の評価」の制御では、制御部185は、データ希望局に対応する選局指令CSL
1をRF処理ユニット120
1へ送る。また、制御部185は、信号合成部131へ向けて、RF処理ユニット120
1,120
2から送られる信号IFD
1,IFD
2を合成すべきではないことを指定した合成制御指令SNCを送る。
【0077】
ここで、「所定期間」は、利用者が選局指定した音声放送の快適な聴取を妨げないほど十分短い期間であり、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められた期間である。また、「暫定的」な「独立動作受信モード」への切り替えとは、「ダイバーシティ受信モード」の期間中に、所定期間だけ受信モードを「独立動作受信モード」に切り替えることでデータ希望局放送波の受信品質に関する情報を取得し、所定時間が経過した後に、受信モードを「ダイバーシティ受信モード」に復帰させることをいう。
【0078】
こうして状態で、RF処理ユニット120
1から出力された信号IFD
1は、検出部181
1に送られ、検出部181
1において信号IFD
1の受信品質に関する情報である信号レベルSLD
1、マルチパスレベルMPL
1、下方隣接局レベルNLM
1及び上方隣接局レベルNLP
1が検出される。そして、制御部185は、検出部181
1が検出したレベルSLD
1,MPL
1,NLM
1,NLP
1に基づいて、信号IFD
1の受信品質を評価することにより、データ希望局放送波の受信品質RDQを評価する。こうしてデータ希望局放送波の受信品質が評価されると、制御部185は、暫定的に独立動作受信モードに変更した受信モードを、ダイバーシティ受信モードに復帰させる。この後、処理はステップS18へ進む。
【0079】
ステップS18では、制御部185が、データ希望局放送波の受信品質RDQが、受信品質切替閾値THよりも大きいか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS18:N)には、処理はステップS13へ戻る。
【0080】
一方、ステップS18における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS18:Y)には、処理はステップS19へ進む。このステップS19では、制御部185が、受信モードを確定的に「独立動作受信モード」に遷移させる。この後、処理はステップS11へ戻る。ここで、「確定的」な「独立動作受信モード」への遷移とは、上述したステップS12において「ダイバーシティ受信モード」に遷移するまでは、「独立動作受信モード」を継続することをいう。
【0081】
以上説明したように、本実施形態では、受信モードが「ダイバーシティ受信モード」のときに、制御部185が、定期的に、所定時間にわたって、データ希望局に対応する選局指令CSL
1をRF処理ユニット120
1へ送る。また、制御部185は、信号合成部131へ向けて、RF処理ユニット120
1,120
2から送られる信号IFD
1,IFD
2を合成すべきではないことを指定した合成制御指令SNCを送る。そして、制御部185は、検出部181
1が検出したレベルSLD
1,MPL
1,NLM
1,NLP
1に基づいて、データ希望局放送波の受信品質RDQを評価する。次いで、制御部185は、データ希望局放送波の受信品質RDQが、第2放送波の受信品質により定まる受信品質切替閾値THよりも大きいときには、受信モードを確定的に独立動作受信モードに切り替える。
【0082】
このように、本実施形態では、「ダイバーシティ受信モード」から「独立動作受信モード」に確定的に切り替えるタイミングを、データ希望局放送波の受信品質及び音声希望局放送波の受信品質に基づいて判断するため、確定的に「独立動作受信モード」に切り替えた際には、データ希望局から送信されるデータ信号を受信することができる。また、本実施形態では、「ダイバーシティ受信モード」の期間中に、所定期間だけ受信モードを暫定的に「独立動作受信モード」に切り替えて、データ希望局放送波の受信品質を評価するため、ダイバーシティ受信効果を損なうことがない。
【0083】
このため、放送信号にデータ信号を含んだ放送局から送信される放送波、及び、当該放送局とは異なる放送局から送信される放送波を受信するに際して、道路交通情報等のような重要情報の取得を極力確保するとともに、放送番組の再生品質の確保にも貢献することができる。
【0084】
したがって、本実施形態によれば、放送信号にデータ信号を含んだ放送を受信し、適切な受信処理を行うことができる。
【0085】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0086】
例えば、上記の実施形態では、音声希望局放送波の受信品質に基づいて定める「独立動作受信モード」への遷移条件であるデータ希望局放送波の受信品質切替閾値THを、2段階とすることとした。これに対して、受信品質切替閾値THを、音声希望局放送波の受信品質に依存させることなく一定の値とするようにしてもよい。また、受信品質切替閾値THを、音声希望局放送波の受信品質の変化に応じて、3段階以上に段階的に変化させるようにしてもよいし、音声希望局放送波の受信品質の変化に応じて、連続的に変化させるようにしてもよい。
【0087】
また、上記の実施形態では、放送波の電界強度を反映した信号レベル、マルチパスフェージングの影響度を反映したマルチパスレベル、選局指定されている放送局の下方隣接局の信号の混入度を反映した下方隣接局レベル、及び、選局指定されている放送局の上方隣接局の信号の混入度を反映した上方隣接局レベルに基づいて、放送波の受信品質を評価することとした。これに対して、例えば、放送波の電界強度を反映した信号レベルのみに基づいて、放送波の受信品質を評価するようにしてもよいし、放送波の電界強度を反映した信号レベル及びマルチパスレベルに基づいて、放送波の受信品質を評価するようにしてもよい。また、放送波の電界強度を反映した信号レベル、並びに、下方隣接局レベル及び上方隣接局レベルに基づいて、放送波の受信品質を評価するようにしてもよい。
【0088】
また、放送波の受信品質を評価するに際しては、検波部により検波処理が施された検波信号の高周波成分の信号レベルを検出し、当該高周波成分の信号レベル(高周波ノイズレベル)を利用して、放送波の受信品質を評価するようにしてもよい。
【0089】
また、上記の実施形態では、「ダイバーシティ受信モード」の期間中に行う音声希望局放送波の受信品質の評価は、RF処理ユニット120
1,120
2から送られる信号IFD
1,IFD
2を合成した信号SNDの受信品質を評価することにより行った。これに対して、RF処理ユニット120
2から送られる信号IFD
2の受信品質を評価することにより、音声希望局放送波の受信品質を評価するようにしてもよい。
【0090】
また、上記の実施形態では、2チューナ構成としたが、アンテナとRF処理ユニットとの対を3対以上とすることもできる。例えば、4チューナ構成を採用する場合には、2つのチューナをRF処理ユニット120
1に対応させて、他の2つのチューナをRF処理ユニット120
2に対応させることができる。
【0091】
また、上記の実施形態では、「道路交通情報」を担ったデータ信号を受信して処理することとしたが、受信処理するデータ信号としては、「道路交通情報」以外の情報であってもよい。
【0092】
また、本発明を、例えば、欧州で実施されているRDS方式等の音声信号にデータ信号が多重化されて放送される情報伝送システムに対応した受信装置に適用することができるのは、勿論である。
【0093】
また、上記の実施形態においては、車両に搭載される放送受信装置に本発明を適用したが、車両以外の他の移動体に配置される放送受信装置にも本発明を適用することもできるし、スマートフォン等の携帯端末装置に配置される放送受信装置にも本発明を適用することができる。
【0094】
なお、上記の受信制御ユニットの一部又は全部を中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等を備えた演算部としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における受信制御ユニットの機能を実現するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。