特許第6144909号(P6144909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144909
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】放送受信装置及び放送受信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/08 20060101AFI20170529BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   H04B7/08 D
   H04B1/16 G
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-283187(P2012-283187)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-127851(P2014-127851A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002332
【氏名又は名称】特許業務法人綾船国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100112760
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 五雄
(72)【発明者】
【氏名】秋山 貴一郎
(72)【発明者】
【氏名】市川 俊人
【審査官】 野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/061439(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/121939(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02372926(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/08
H04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アンテナで受信したデータ信号を含む第1放送波、及び、第2アンテナで受信した第2放送波の受信処理を行う第1受信モードと、前記第1及び第2アンテナで受信した前記第2放送波の受信処理を行う第2受信モードとを切り替える制御部備え、
前記制御部は、前記第2受信モードのとき、
前記第2放送波の受信品質に応じた閾値を設定し、
暫定的に切り替えた前記第1受信モードでの前記第1放送波の受信品質及び前記閾値に基づき、前記第1受信モードへ確定的に切り替えるかを判定する、
放送受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2受信モードのとき、
前記第2放送波の受信品質が高くなるほど、前記閾値を、連続的に、あるいは、段階的に小さく設定し、
前記暫定的に切り替えた前記第1受信モードでの前記第1放送波の受信品質が、前記設定された閾値よりも高いときに、受信モードを確定的に前記第1受信モードに切り替える、
ことを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記制御部は、受信モードが前記第2受信モードのときには、前記暫定的な前記第1受信モードへの切り替え及び前記判定を定期的に行う、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1放送波の電界強度に基づいて、前記第1放送波の受信品質を評価する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1放送波におけるノイズレベルに更に基づいて、前記第1放送波の受信品質を評価する、ことを特徴とする請求項4に記載の放送受信装置。
【請求項6】
前記第1アンテナに接続された第1受信部と;
前記第2アンテナに接続された第2受信部と;
前記第1放送波の受信結果に含まれるデータ信号を復号する第1信号処理部と;
前記第2放送波の受信結果を処理する第2信号処理部と;を更に備え、
前記制御部は、
前記第1受信モードのときには、前記第1受信部から送られる出力信号の処理を、前記第1信号処理部に行わせるとともに、前記第2受信部から送られる出力信号の処理を、前記第2信号処理部に行わせ、
前記第2受信モードのときには、前記第1受信部から送られる出力信号と前記第2受信部から送られる出力信号とを合成した合成信号の処理を、前記第2信号処理部に行わせる、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の放送受信装置。
【請求項7】
前記データ信号は、道路交通情報を担った信号である、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の放送受信装置。
【請求項8】
第1アンテナで受信したデータ信号を含む第1放送波、及び、第2アンテナで受信した第2放送波の受信処理を行う第1受信モードと、前記第1及び第2アンテナで受信した前記第2放送波の受信処理を行う第2受信モードとを切り替える制御部を備える放送受信装置において使用される放送受信方法であって、
前記第2受信モードのとき、
前記制御部が、前記第2放送波の受信品質に応じた閾値を設定する閾値設定工程と;
暫定的に切り替えた前記第1受信モードでの前記第1放送波の受信品質及び前記閾値に基づき、前記制御部が、前記第1受信モードへ確定的に切り替えるかを判定する判定工程と;
を備える放送受信方法。
【請求項9】
放送受信装置が有するコンピュータに、請求項8に記載の放送受信方法を実行させる、ことを特徴とする放送受信プログラム。
【請求項10】
放送受信装置が有するコンピュータにより、請求項9に記載の放送受信プログラムが読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送受信装置、放送受信方法、放送受信プログラム、及び、当該放送受信プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両等の移動体に搭載され、ラジオ放送波などの放送波を受信する放送受信装置が広く普及している。こうした放送受信装置に関する技術の進展は目覚ましく、ラジオ放送の副搬送波の一部を用いてデータ信号を多重伝送する情報伝送システムが実用化されている。
【0003】
例えば、欧州において実施されているラジオデータシステム(RDS)では、選局中の放送局が放送している番組と同一の番組を放送している放送局の選局周波数の情報(AF(Alternative Frequency)リスト)等を担ったデータ信号が多重伝送されている。こうした場合には、各時点における最適な放送局を選局するために、AFリストを参照して、当該AFリストに登録されている放送局のそれぞれの放送波の受信品質を検出する代替放送局のシークが可能となる。この結果、特定の番組を再生するために最適な放送局を選局することができるようになっている。
【0004】
かかる背景のもと、2つのチューナを備える構成を採用し、メインチューナにおいて特定の番組を再生するための選局を行い、サブチューナにおいて代替放送局それぞれの放送波の受信品質を検出するための選局を行う技術が提案されている(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例の技術では、メインチューナ及びサブチューナが、互いに異なるアンテナに接続されるようになっている。
【0005】
そして、双方の受信信号の受信状態が良好であると判定されたときには、メインチューナとサブチューナとを独立に動作可能とし、メインチューナに、番組を再生するための選局中の放送局(以下、「希望局」という)を選局させるとともに、サブチューナに、当該希望局とは異なる放送局を選局させる(以下、この受信モードを「独立動作受信モード」とも記す)。一方、希望局の放送波の受信品質が低下した場合には、メインチューナ及びサブチューナに希望局を選局させ、2つのチューナから出力される信号を合成するフェーズダイバーシティ受信モードに移行させるようになっている。
【0006】
ところで、特定の番組の継続的な再生品質の維持のためには、希望局の放送波の受信品質が低下した場合にこそ、代替放送局のシークが必要となる。このため、従来例では、フェーズダイバーシティ受信モードへの移行後、一定期間を経過したとき、又は、一定の周期で、フェーズダイバーシティ受信モードを解除し、代替局シークを行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−60624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さて、多重伝送されるデータ信号には、例えば、道路交通情報が含まれる場合がある。こうした道路交通情報は、全ての放送局から放送されるとは限らない。このため、道路交通情報の取得と、所望の番組の再生とを両立させるためには、2チューナ構成が必要となる。また、所望の番組の再生品質を維持するためには、従来例の技術のように、メインチューナ及びサブチューナが、互いに異なるアンテナに接続したうえで、フェーズダイバーシティ受信モードによる動作を可能とすることが望ましい。
【0009】
ところで、道路交通情報のように車両の運転に際しての重要情報の取得を行う場合には、当該重要情報の取得を極力できるようにする必要があるので、従来例のように、所望の番組の再生品質の維持の必要性があるからいって、無条件でフェーズダイバーシティ受信モードに移行することは、望ましくない。また、従来例のように、フェーズダイバーシティ受信モードに移行後、一定期間を経過したとき、又は、一定の周期で、フェーズダイバーシティ受信モードを解除し独立受信モードに遷移するようにするのでは、当該重要情報の取得に貢献できないタイミングでモード遷移が行われることがある。このため、当該重要情報の取得に貢献できず、かつ、所望の番組の再生品質を低下させるのみである事態を発生させることがある。
【0010】
このため、放送信号にデータ信号を含んだ放送局から送信される放送波、及び、当該放送局とは異なる放送局から送信される放送波を受信するに際して、道路交通情報等のような重要情報の取得を極力確保するとともに、放送番組の再生品質の確保にも貢献することができる技術が望まれている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0011】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、放送信号にデータ信号を含んだ放送を受信し、適切な受信処理を行うことができる新たな放送受信装置及び放送受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、第1アンテナで受信したデータ信号を含む第1放送波、及び、第2アンテナで受信した第2放送波の受信処理を行う第1受信モードと、前記第1及び第2アンテナで受信した前記第2放送波の受信処理を行う第2受信モードとを切り替える制御部備え、前記制御部は、前記第2受信モードのとき、前記第2放送波の受信品質に応じた閾値を設定し、暫定的に切り替えた前記第1受信モードでの前記第1放送波の受信品質及び前記閾値に基づき、前記第1受信モードへ確定的に切り替えるかを判定する、放送受信装置である。
【0013】
請求項8に記載の発明は、第1アンテナで受信したデータ信号を含む第1放送波、及び、第2アンテナで受信した第2放送波の受信処理を行う第1受信モードと、前記第1及び第2アンテナで受信した前記第2放送波の受信処理を行う第2受信モードとを切り替える制御部を備える放送受信装置において使用される放送受信方法であって、前記第2受信モードのとき、前記制御部が、前記第2放送波の受信品質に応じた閾値を設定する閾値設定工程と;暫定的に切り替えた前記第1受信モードでの前記第1放送波の受信品質及び前記閾値に基づき、前記制御部が、前記第1受信モードへ確定的に切り替えるかを判定する判定工程と;を備える放送受信方法である。
【0014】
請求項9に記載の発明は、放送受信装置が有するコンピュータに、請求項8に記載の放送受信方法を実行させる、ことを特徴とする放送受信プログラムである。
【0015】
請求項10に記載の発明は、放送受信装置が有するコンピュータにより、請求項9に記載の放送受信プログラムが読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る放送受信装置の構成を概略的に示すブロック図である。
図2図1の再生処理ユニットの構成を示すブロック図である。
図3図1の受信制御ユニットの構成を示すブロック図である。
図4図3の検出部1811の構成を示すブロック図である。
図5図4のBPF2141の特性を示す図である。
図6図4のBPF2151の特性を示す図である。
図7図3の検出部1812の構成を示すブロック図である。
図8図1の装置による受信モードの切り替え制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図1図8を参照して説明する。本実施形態においては、車両内に配置され、放送信号にデータ信号を含んだFM放送波を受信して処理するFMラジオ受信装置を例示して説明する。そして、本実施形態のFMラジオ受信装置は、当該データ信号の中に「道路交通情報」を担った信号が含まれる場合には、当該道路交通情報を反映した画像を再生表示する機能を有しているものとする。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
[構成]
図1には、一実施形態に係る放送受信装置100の概略的な構成がブロック図にて示されている。図1に示されるように、放送受信装置100は、2個のアンテナ1101,1102と、2個のRF処理ユニット1201,1202と、再生処理ユニット130とを備えている。また、放送受信装置100は、入力ユニット140と、音出力ユニット150と、表示ユニット160とを備えている。さらに、放送受信装置100は、受信制御ユニット180を備えている。
【0019】
上記のアンテナ1101,1102は、放送波を受信する。アンテナ1101による受信信号RFS1は、RF処理ユニット1201へ送られる。また、アンテナ1102による受信信号RFS2は、RF処理ユニット1202へ送られる。
【0020】
上記のRF処理ユニット1201は、アンテナ1101から送られた受信信号RFS1を受ける。RF処理ユニット1201は、受信制御ユニット180から送られた選局指令CSL1に従って、選択すべき物理チャンネルの信号を受信信号RFS1から抽出する選局処理を行う。RF処理ユニット1201による選局結果は、信号IFD1として、再生処理ユニット130及び受信制御ユニット180へ送られる。
【0021】
上記のRF処理ユニット1202は、アンテナ1102から送られた受信信号RFS2を受ける。RF処理ユニット1202は、受信制御ユニット180から送られた選局指令CSL2に従って、選択すべき物理チャンネルの信号を受信信号RFS2から抽出する選局処理を行う。RF処理ユニット1202による選局結果は、信号IFD2として、再生処理ユニット130へ送られる。
【0022】
RF処理ユニット120j(j=1,2)は、入力フィルタと、高周波増幅器(RF−AMP:Radio Frequency-Amplifier)と、バンドパスフィルタ(以下、「RFフィルタ」とも呼ぶ)とを備えている。また、RF処理ユニット120jは、ミキサ(混合器)と、中間周波フィルタ(以下、「IFフィルタ」と呼ぶ)と、AD(Analogue to Digital)変換器と、局部発振回路(OSC)とを備えている。
【0023】
ここで、入力フィルタは、対応するアンテナ110jから送られた受信信号RFSjの低周波成分を遮断するハイパスフィルタである。高周波増幅器は、入力フィルタを通過した信号を増幅する。RFフィルタは、高周波増幅器から出力された信号のうち、高周波帯の信号を選択的に通過させる。ミキサは、RFフィルタを通過した信号と、局部発振回路から供給された局部発振信号とを混合する。
【0024】
IFフィルタは、ミキサから出力された信号のうち、予め定められた中間周波数範囲の信号を選択して通過させる。こうしてIFフィルタを通過した信号は、信号IFSjとして、AD変換器へ送られる。AD変換器は、信号IFSjをAD変換して中間周波信号IFDjを生成する。
【0025】
なお、局部発振回路は、電圧制御等により発振周波数の制御が可能な発振器等を備えて構成される。この局部発振回路は、受信制御ユニット180から送られた選局指令CSLjに従って、選局すべき希望局に対応する周波数の局部発振信号を生成し、ミキサへ供給する。
【0026】
本実施形態では、アンテナ1101が第1のアンテナに対応し、RF処理ユニット1201が、第1の受信部の機能を果たすようになっている。また、アンテナ1102が第2のアンテナに対応し、RF処理ユニット1202が、第2の受信部の機能を果たすようになっている。
【0027】
上記の再生処理ユニット130は、受信制御ユニット180による制御もとで、RF処理ユニット1201,1202から送られる信号IFD1,IFD2の処理を行う。そして、再生処理ユニット130は、受信した放送波に「道路交通情報」を担ったデータ信号が含まれている場合には、当該データ信号に基づき表示ユニット160へ供給する道路交通情報の画像データIDTを生成する。また、再生処理ユニット130は、受信した放送波に含まれる音声信号に基づき音出力ユニット150へ供給する音声データADTを生成する。再生処理ユニット130の構成の詳細については、後述する。
【0028】
上記の入力ユニット140は、放送受信装置100の本体部に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、表示ユニット160の表示デバイスに設けられたタッチパネルを用いることができる。また、キー部を有する構成に代えて、又は併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。
【0029】
この入力ユニット140を利用者が操作することにより、放送受信装置100の動作内容の設定や動作指令の入力が行われる。例えば、選局設定指定等の利用者による入力が、入力ユニット140を利用して行われる。入力ユニット140への入力内容は、入力データIPDとして、受信制御ユニット180へ送られる。
【0030】
上記の音出力ユニット150は、(i)再生処理ユニット130から送られた音声データADTをアナログ信号に変換するDA(Digital to Analogue)変換器と、(ii)当該DA変換器から出力されたアナログ信号を増幅する増幅器と、(iii)増幅されたアナログ信号を音声に変換するスピーカとを備えて構成されている。この音出力ユニット150は、選局されているチャンネルの放送波に対応する放送音声を再生出力する。
【0031】
上記の表示ユニット160は、例えば、(i)液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)等の表示デバイスと、(ii)再生処理ユニット130から送られた画像データIDTに基づいて、当該表示デバイスに画像を表示させる表示制御回路とを備えている。この表示ユニット160は、「道路交通情報」を反映した画像を再生表示する。
【0032】
上記の受信制御ユニット180は、様々な処理を行うとともに、放送受信装置100の全体の動作を制御する。受信制御ユニット180の構成の詳細については、後述する。
【0033】
<再生処理ユニット130の構成>
次に、再生処理ユニット130の構成について説明する。再生処理ユニット130は、図2に示されるように、信号合成部131と、検波部1321と、検波部1322と、データ信号用復号部133と、ステレオ復調部134とを備えている。
【0034】
上記の信号合成部131は、RF処理ユニット1201,1202のそれぞれから送られた信号IFD1,IFD2を受ける。そして、信号合成部131は、受信制御ユニット180による制御のもとで、信号合成処理を行う。
【0035】
この信号合成部131は、受信制御ユニット180から送られた合成制御指令SNCにより信号IFD1,IFD2を合成すべきではないこと(後述する「第1の受信モード」)が指定された場合には、信号合成を行わず、RF処理ユニット1201から送られた信号IFD1を検波部1321へ送るとともに、RF処理ユニット1202から送られた信号IFD2を、信号SNDとして検波部1322及び受信制御ユニット180へ送る。また、信号合成部131は、受信制御ユニット180から送られた合成制御指令SNCにより信号IFD1,IFD2を合成すべきこと(後述する「第2の受信モード」)が指定された場合には、信号IFD1,IFD2の2つの信号の合成を行い、合成された信号を、信号SNDとして検波部1322及び受信制御ユニット180へ送る。
【0036】
上記の検波部1321は、信号合成部131から送られた信号IFD1を受ける。そして、検波部1321は、当該信号に対して、所定方式でデジタル検波処理を施して検波信号DTD1を生成する。こうして生成された検波信号DTD1は、データ信号用復号部133へ送られる。
【0037】
上記の検波部1322は、信号合成部131から送られた信号SNDを受ける。そして、検波部1322は、当該信号に対して、検波部1321の場合と同様の所定方式でデジタル検波処理を施して検波信号DTD2を生成する。こうして生成された検波信号DTD2は、ステレオ復調部134へ送られる。
【0038】
上記のデータ信号用復号部133は、検波部1321から送られた検波信号DTD1を受ける。データ信号用復号部133は、検波信号DTD1を受けると、「道路交通情報」を担うデータ信号のブロック同期の確立処理を行う。そして、データ信号用復号部133は、当該データ信号のブロック同期が取れている間には、ブロック同期が取れている旨の同期報告SYNを受信制御ユニット180へ送り、当該データ信号のブロック同期が取れていない間には、ブロック同期が取れていない旨の同期報告SYNを受信制御ユニット180へ送る。
【0039】
また、データ信号用復号部133は、「道路交通情報」を担うデータ信号のブロック同期が取れている間に、検波信号DTD1に対して、データ信号用の復号処理を施し、「道路交通情報」に関する画像データIDTを生成する。こうして生成された画像データIDTは、表示ユニット160へ送られる。
【0040】
上記のステレオ復調部134は、検波部1322から送られた検波信号DTD2を受ける。そして、ステレオ復調部134は、検波信号DTD2に対して、セパレーション処理を含めたステレオ復調処理を施し、音声データADTを生成する。こうして生成された音声データは、音出力ユニット150へ送られる。
【0041】
本実施形態では、検波部1321及びデータ信号用復号部133が、第1の信号処理部の機能を果たすようになっている。また、検波部1322及びステレオ復調部134が、第2の信号処理部の機能を果たすようになっている。
【0042】
<受信制御ユニット180の構成>
次いで、受信制御ユニット180の構成について説明する。受信制御ユニット180は、図3に示されるように、検出部1811,1812と、制御部185とを備えている。
【0043】
上記の検出部1811は、RF処理ユニット1201から送られた信号IFD1を受ける。そして、検出部1811は、信号IFD1の受信品質に関する情報を検出し、当該受信品質に関する情報の検出結果を制御部185へ送る。上記の検出部1812は、信号合成部131から送られた信号SNDを受ける。そして、検出部1812は、信号SNDの受信品質に関する情報を検出し、当該受信品質に関する情報の検出結果を制御部185へ送る。ここで、制御部185の説明に先立って、検出部1811,1812の構成の詳細について説明する。
【0044】
(検出部1811の構成)
まず、上述した検出部1811の構成について説明する。検出部1811は、図4に示されるように、レベル検出部2111と、振幅変調(AM)成分抽出部2121と、レベル検出部2131とを備えている。また、検出部1811は、バンドパスフィルタ(BPF)部2141,2151と、レベル検出部2161,2171とを備えている。
【0045】
上記のレベル検出部2111は、RF処理ユニット1201から送られた信号IFD1を受ける。そして、レベル検出部2111は、信号IFD1のレベルを検出する。このレベル検出部2111による検出結果は、RF処理ユニット1201により選局されている放送局の放送波の電界強度を反映したものとなっている。レベル検出部2111による検出結果は、信号レベルSLD1として、制御部185へ送られる。
【0046】
上記のAM成分抽出部2121は、RF処理ユニット1201から送られた信号IFD1を受ける。そして、AM成分抽出部2121は、信号IFD1のAM変調成分を抽出する。かかるAM変調成分は、マルチパスフェージングの影響により発生するものである。AM成分抽出部2121による抽出結果は、信号MPD1として、レベル検出部2131へ送られる。
【0047】
上記のレベル検出部2131は、AM成分抽出部2121から送られた信号MPD1を受ける。そして、レベル検出部2131は、信号MPD1のレベルを検出する。このレベル検出部2131による検出結果は、マルチパスフェージングの影響度を反映したものとなっている。レベル検出部2131による検出結果は、マルチパスレベルMPL1として、制御部185へ送られる。
【0048】
上記のBPF部2141は、RF処理ユニット1201から送られた信号IFD1を受ける。そして、BPF部2141は、選局指定されている放送局の中心周波数よりも周波数の低い下方隣接局の中心周波数を中心とする狭帯域の成分を通過させる。BPF部2141を通過した信号NMD1は、レベル検出部2161へ送られる。図5には、BPF部2141の通過率の周波数変化特性の例が示されている。
【0049】
ここで、図5においては、選局指定されている放送局の中心周波数IF0より周波数の低い下方隣接局の中心周波数が「IF-」として示され、当該中心周波数IF0より周波数の高い上方隣接局の中心周波数が「IF+」として示されている。また、図5においては、選局指定されている放送局の信号の周波数分布の例が曲線SP0(F)として示され、下方隣接局及び上方隣接局の信号の周波数分布の例が曲線SP-(F),SP+(F)として示されている。こうした図5における表記は、後述する図6においても同様となっている。
【0050】
上記のBPF部2151は、RF処理ユニット1201から送られた信号IFD1を受ける。そして、BPF部2151は、上述した周波数IF+を中心とする狭帯域の成分を通過させる。BPF部2151を通過した信号NPD1は、レベル検出部2171へ送られる。図6には、BPF部2151の通過率の周波数変化特性の例が示されている。
【0051】
上記のレベル検出部2161は、BPF部2141から送られた信号NMD1を受ける。そして、レベル検出部2161は、信号NMD1のレベルを検出する。このレベル検出部2161による検出結果は、周波数IF-を中心周波数とする下方隣接局の電界強度、ひいては信号IFD1における下方隣接局の信号の混入度を反映している。レベル検出部2161による検出結果は、下方隣接局レベルNLM1として、制御部185へ送られる。
【0052】
上記のレベル検出部2171は、BPF部2151から送られた信号NPD1を受ける。そして、レベル検出部2171は、信号NPD1のレベルを検出する。このレベル検出部2171による検出結果は、周波数IF+を中心周波数とする上方隣接局の電界強度、ひいては信号IFD1における上方隣接局の信号の混入度を反映している。レベル検出部2171による検出結果は、上方隣接局レベルNLP1として、制御部185へ送られる。
【0053】
(検出部1812の構成)
次に、上述した検出部1812の構成について説明する。検出部1812は、図7に示されるように、レベル検出部2112と、AM成分抽出部2122と、レベル検出部2132とを備えている。また、検出部1812は、BPF部2142,2152と、レベル検出部2162,2172とを備えている。
【0054】
上記のレベル検出部2112は、信号合成部131から送られた信号SNDを受ける。そして、レベル検出部2112は、信号SNDのレベルを検出する。このレベル検出部2112による検出結果は、後述する「第2の受信モード」においては、RF処理ユニット1201,1202により選局されている希望局の放送波の電界強度を反映したものとなっている。レベル検出部2112による検出結果は、信号レベルSLD2として、制御部185へ送られる。
【0055】
上記のAM成分抽出部2122は、信号合成部131から送られた信号SNDを受ける。そして、AM成分抽出部2122は、信号SNDのAM変調成分を抽出する。AM成分抽出部2122による抽出結果は、信号MPD2として、レベル検出部2132へ送られる。
【0056】
上記のレベル検出部2132は、AM成分抽出部2122から送られた信号MPD2を受ける。そして、レベル検出部2132は、信号MPD2のレベルを検出する。レベル検出部2132による検出結果は、マルチパスレベルMPL2として、制御部185へ送られる。
【0057】
上記のBPF部2142は、信号合成部131から送られた信号SNDを受ける。そして、BPF部2142は、選局指定されている放送局の中心周波数よりも周波数の低い下方隣接局の中心周波数を中心とする狭帯域の成分を通過させる。BPF部2142を通過した信号NMD2は、レベル検出部2162へ送られる。なお、BPF部2142の通過率の周波数変化特性は、BPF部2141の場合と同様となっている(図5参照)。
【0058】
上記のBPF部2152は、信号合成部131から送られた信号SNDを受ける。そして、BPF部2152は、選局指定されている放送局の中心周波数よりも周波数の高い上方隣接局の中心周波数を中心とする狭帯域の成分を通過させる。BPF部2152を通過した信号NPD2は、レベル検出部2172へ送られる。なお、BPF部2152の通過率の周波数変化特性は、BPF部2151の場合と同様となっている(図6参照)。
【0059】
上記のレベル検出部2162は、BPF部2142から送られた信号NMD2を受ける。そして、レベル検出部2162は、信号NMD2のレベルを検出する。このレベル検出部2162による検出結果は、信号SNDにおける下方隣接局の信号の混入度を反映している。レベル検出部2162による検出結果は、下方隣接局レベルNLM2として、制御部185へ送られる。
【0060】
上記のレベル検出部2172は、BPF部2152から送られた信号NPD2を受ける。そして、レベル検出部2172は、信号NPD2のレベルを検出する。このレベル検出部2172による検出結果は、信号SNDにおける上方隣接局の信号の混入度を反映している。レベル検出部2172による検出結果は、上方隣接局レベルNLP2として、制御部185へ送られる。
【0061】
図3に戻り、上記の制御部185は、様々な処理を行うことにより、放送受信装置100の機能を実現させる。この制御部185は、検出部1811から送られた信号レベルSLD1、マルチパスレベルMPL1、下方隣接局レベルNLM1及び上方隣接局レベルNLP1を受ける。そして、制御部185は、これらのレベルSLD1,MPL1,NLM1,NLP1に基づいて、信号IFD1の受信品質を評価する。また、制御部185は、検出部1812から送られた信号レベルSLD2、マルチパスレベルMPL2、下方隣接局レベルNLM2及び上方隣接局レベルNLP2を受ける。そして、制御部185は、これらのレベルSLD2,MPL2,NLM2,NLP2に基づいて、信号SNDの受信品質を評価する。また、制御部185は、データ信号用復号部133から送られた同期報告SYNを受ける。
【0062】
そして、制御部185は、信号IFD1の受信品質及び信号SNDの受信品質、並びに、同期報告SYNの内容等に基づいて、放送受信装置100における「第1の受信モード」及び「第2の受信モード」の2つの受信モードの切り替え制御を行う。ここで、「第1の受信モード(以下、「独立動作受信モード」ともいう)」とは、RF処理ユニット1201に所望の「道路交通情報」を担ったデータ信号を含む放送を行う放送局(以下、「データ希望局」ともいう)から送信される放送波(第1の放送波:以下、「データ希望局放送波」ともいう)を受信させるとともに、RF処理ユニット1202に音声放送を行っている放送局(以下、「音声希望局」ともいう)から送信される放送波(第2の放送波:以下、「音声希望局放送波」ともいう)を受信させるモードである。また、「第2の受信モード(以下、「ダイバーシティ受信モード」ともいう)」とは、RF処理ユニット1201及びRF処理ユニット1202に、音声希望局から送信される放送波を受信させるモードである。
【0063】
ここで、「音声希望局」とは、特定した一の放送局をいうものではなく、利用者により選局設定指定されている音声放送を行っている放送局をいう。
【0064】
かかる2つの受信モードの切り替え制御に際して、制御部185は、RF処理ユニット1201へ選局指令CSL1を送るとともに、RF処理ユニット1202へ選局指令CSL2を送る。また、制御部185は、再生処理ユニット130の信号合成部131へ向けて合成制御指令SNCを送る。
【0065】
そして、制御部185は、「第1の受信モード」のときには、RF処理ユニット1201から送られる信号IFD1の処理を、検波部1321及びデータ信号用復号部133に行わせるとともに、RF処理ユニット1202から送られる信号IFD2の処理を、検波部1322及びステレオ復調部134に行わせる。また、制御部185は、「第2の受信モード」のときには、RF処理ユニット1201から送られる信号IFD1と、RF処理ユニット1202から送られる信号IFD2とを合成すべきことを指定した合成制御指令SNCを信号合成部131へ送る。そして、制御部185は、信号合成部131により合成された信号SNDの処理を、検波部1322及びステレオ復調部134に行わせる。
【0066】
制御部185が実行する受信モードの切り替え制御処理の詳細については、後述する。
【0067】
[動作]
以上のようにして構成された放送受信装置100の動作について、制御部185による受信モードの切り替え制御処理に主に着目して説明する。
【0068】
当初においては、放送受信装置100では受信モードが「独立動作受信モード」となっており、制御部185が、データ希望局に対応する選局指令CSL1をRF処理ユニット1201へ送るとともに、利用者により選局指定された音声希望局に対応する選局指令CSL2をRF処理ユニット1202へ送っているものとする。また、制御部185は、信号合成部131へ向けて、RF処理ユニット1201,1202から送られる信号IFD1,IFD2を合成すべきではないことを指定した合成制御指令SNCを送っているものとする。
【0069】
こうした状態で、RF処理ユニット1201から出力された信号IFD1は、検波部1321へ送られ、検波部1321により検波処理が施された検波信号DTD1が、データ信号用復号部133へ送られる。また、RF処理ユニット1202から出力される信号IFD2は、検波部1322へ送られ、検波部1322により検波処理が施された検波信号DTD2が、ステレオ復調部134へ送られる。そして、制御部185は、データ信号用復号部133から送られる同期報告SYNを受けているものとする。
【0070】
このような状況のもとで、図8に示されるように、まず、ステップS11において、制御部185が、同期報告SYNの内容から「道路交通情報」を担うデータ信号のブロック同期が取れているか、すなわち、「道路交通情報」の受信が可能か否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS11:Y)には、ステップS11の処理が繰り返される。一方、ステップS11における判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、処理はステップS12へ進む。
【0071】
ステップS12では、制御部185が、受信モードを「ダイバーシティ受信モード」に遷移させる。このステップS12における「ダイバーシティ受信モード」への遷移制御では、制御部185は、利用者により選局指定された音声希望局に対応する選局指令CSL1,CSL2をそれぞれRF処理ユニット1201,1202へ送る。また、制御部185は、信号合成部131へ向けて、RF処理ユニット1201,1202から送られる信号IFD1,IFD2を合成すべきことを指定した合成制御指令SNCを送る。
【0072】
こうした状態で、信号合成部131から出力された信号SNDは、検波部1322へ送られ、検波部1322により検波処理が施された検波信号DTD2が、ステレオ復調部134へ送られる。また、「ダイバーシティ受信モード」では、信号合成部131から出力された信号SNDは、検出部1812にも送られる。そして、検出部1812において信号SNDの受信品質に関する情報である信号レベルSLD2、マルチパスレベルMPL2、下方隣接局レベルNLM2及び上方隣接局レベルNLP2が検出され、制御部185へ送られる。
【0073】
次に、ステップS13において、制御部185が、検出部1812から送られたレベルSLD2,MPL2,NLM2,NLP2に基づいて、信号SNDの受信品質を評価することにより、音声希望局放送波の受信品質を評価する。引き続き、ステップS14において、第2放送波の受信品質が所定の値以上であるか否かを判断することにより、音声希望局放送波の受信品質が良好であるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS14:N)には、処理はステップS15へ進む。ステップS15では、制御部185が、「独立動作受信モード」への遷移条件であるデータ希望局放送波の受信品質切替閾値THを「TH1」に設定する。この後、処理は、後述するステップS17へ進む。
【0074】
一方、ステップS14における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS14:Y)には、処理はステップS16へ進む。ステップS16では、制御部185が、データ希望局放送波の受信品質切替閾値THを「TH2(<TH1)」に設定する、この後、処理はステップS17へ進む。
【0075】
ここで、音声希望局放送波の受信品質が良好である否かの判定に用いる所定の値、データ希望局放送波の受信品質切替閾値TH1,TH2は、音声信号に基づく音声の聴取を確保しつつ、「道路交通情報」を取得する観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0076】
ステップS17では、制御部185が、暫定的に所定期間にわたって受信モードを独立動作受信モードに切り替えて、データ希望局放送波の受信品質RDQの評価を行う。このステップS17における「データ希望局放送波の受信品質の評価」の制御では、制御部185は、データ希望局に対応する選局指令CSL1をRF処理ユニット1201へ送る。また、制御部185は、信号合成部131へ向けて、RF処理ユニット1201,1202から送られる信号IFD1,IFD2を合成すべきではないことを指定した合成制御指令SNCを送る。
【0077】
ここで、「所定期間」は、利用者が選局指定した音声放送の快適な聴取を妨げないほど十分短い期間であり、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められた期間である。また、「暫定的」な「独立動作受信モード」への切り替えとは、「ダイバーシティ受信モード」の期間中に、所定期間だけ受信モードを「独立動作受信モード」に切り替えることでデータ希望局放送波の受信品質に関する情報を取得し、所定時間が経過した後に、受信モードを「ダイバーシティ受信モード」に復帰させることをいう。
【0078】
こうして状態で、RF処理ユニット1201から出力された信号IFD1は、検出部1811に送られ、検出部1811において信号IFD1の受信品質に関する情報である信号レベルSLD1、マルチパスレベルMPL1、下方隣接局レベルNLM1及び上方隣接局レベルNLP1が検出される。そして、制御部185は、検出部1811が検出したレベルSLD1,MPL1,NLM1,NLP1に基づいて、信号IFD1の受信品質を評価することにより、データ希望局放送波の受信品質RDQを評価する。こうしてデータ希望局放送波の受信品質が評価されると、制御部185は、暫定的に独立動作受信モードに変更した受信モードを、ダイバーシティ受信モードに復帰させる。この後、処理はステップS18へ進む。
【0079】
ステップS18では、制御部185が、データ希望局放送波の受信品質RDQが、受信品質切替閾値THよりも大きいか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS18:N)には、処理はステップS13へ戻る。
【0080】
一方、ステップS18における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS18:Y)には、処理はステップS19へ進む。このステップS19では、制御部185が、受信モードを確定的に「独立動作受信モード」に遷移させる。この後、処理はステップS11へ戻る。ここで、「確定的」な「独立動作受信モード」への遷移とは、上述したステップS12において「ダイバーシティ受信モード」に遷移するまでは、「独立動作受信モード」を継続することをいう。
【0081】
以上説明したように、本実施形態では、受信モードが「ダイバーシティ受信モード」のときに、制御部185が、定期的に、所定時間にわたって、データ希望局に対応する選局指令CSL1をRF処理ユニット1201へ送る。また、制御部185は、信号合成部131へ向けて、RF処理ユニット1201,1202から送られる信号IFD1,IFD2を合成すべきではないことを指定した合成制御指令SNCを送る。そして、制御部185は、検出部1811が検出したレベルSLD1,MPL1,NLM1,NLP1に基づいて、データ希望局放送波の受信品質RDQを評価する。次いで、制御部185は、データ希望局放送波の受信品質RDQが、第2放送波の受信品質により定まる受信品質切替閾値THよりも大きいときには、受信モードを確定的に独立動作受信モードに切り替える。
【0082】
このように、本実施形態では、「ダイバーシティ受信モード」から「独立動作受信モード」に確定的に切り替えるタイミングを、データ希望局放送波の受信品質及び音声希望局放送波の受信品質に基づいて判断するため、確定的に「独立動作受信モード」に切り替えた際には、データ希望局から送信されるデータ信号を受信することができる。また、本実施形態では、「ダイバーシティ受信モード」の期間中に、所定期間だけ受信モードを暫定的に「独立動作受信モード」に切り替えて、データ希望局放送波の受信品質を評価するため、ダイバーシティ受信効果を損なうことがない。
【0083】
このため、放送信号にデータ信号を含んだ放送局から送信される放送波、及び、当該放送局とは異なる放送局から送信される放送波を受信するに際して、道路交通情報等のような重要情報の取得を極力確保するとともに、放送番組の再生品質の確保にも貢献することができる。
【0084】
したがって、本実施形態によれば、放送信号にデータ信号を含んだ放送を受信し、適切な受信処理を行うことができる。
【0085】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0086】
例えば、上記の実施形態では、音声希望局放送波の受信品質に基づいて定める「独立動作受信モード」への遷移条件であるデータ希望局放送波の受信品質切替閾値THを、2段階とすることとした。これに対して、受信品質切替閾値THを、音声希望局放送波の受信品質に依存させることなく一定の値とするようにしてもよい。また、受信品質切替閾値THを、音声希望局放送波の受信品質の変化に応じて、3段階以上に段階的に変化させるようにしてもよいし、音声希望局放送波の受信品質の変化に応じて、連続的に変化させるようにしてもよい。
【0087】
また、上記の実施形態では、放送波の電界強度を反映した信号レベル、マルチパスフェージングの影響度を反映したマルチパスレベル、選局指定されている放送局の下方隣接局の信号の混入度を反映した下方隣接局レベル、及び、選局指定されている放送局の上方隣接局の信号の混入度を反映した上方隣接局レベルに基づいて、放送波の受信品質を評価することとした。これに対して、例えば、放送波の電界強度を反映した信号レベルのみに基づいて、放送波の受信品質を評価するようにしてもよいし、放送波の電界強度を反映した信号レベル及びマルチパスレベルに基づいて、放送波の受信品質を評価するようにしてもよい。また、放送波の電界強度を反映した信号レベル、並びに、下方隣接局レベル及び上方隣接局レベルに基づいて、放送波の受信品質を評価するようにしてもよい。
【0088】
また、放送波の受信品質を評価するに際しては、検波部により検波処理が施された検波信号の高周波成分の信号レベルを検出し、当該高周波成分の信号レベル(高周波ノイズレベル)を利用して、放送波の受信品質を評価するようにしてもよい。
【0089】
また、上記の実施形態では、「ダイバーシティ受信モード」の期間中に行う音声希望局放送波の受信品質の評価は、RF処理ユニット1201,1202から送られる信号IFD1,IFD2を合成した信号SNDの受信品質を評価することにより行った。これに対して、RF処理ユニット1202から送られる信号IFD2の受信品質を評価することにより、音声希望局放送波の受信品質を評価するようにしてもよい。
【0090】
また、上記の実施形態では、2チューナ構成としたが、アンテナとRF処理ユニットとの対を3対以上とすることもできる。例えば、4チューナ構成を採用する場合には、2つのチューナをRF処理ユニット1201に対応させて、他の2つのチューナをRF処理ユニット1202に対応させることができる。
【0091】
また、上記の実施形態では、「道路交通情報」を担ったデータ信号を受信して処理することとしたが、受信処理するデータ信号としては、「道路交通情報」以外の情報であってもよい。
【0092】
また、本発明を、例えば、欧州で実施されているRDS方式等の音声信号にデータ信号が多重化されて放送される情報伝送システムに対応した受信装置に適用することができるのは、勿論である。
【0093】
また、上記の実施形態においては、車両に搭載される放送受信装置に本発明を適用したが、車両以外の他の移動体に配置される放送受信装置にも本発明を適用することもできるし、スマートフォン等の携帯端末装置に配置される放送受信装置にも本発明を適用することができる。
【0094】
なお、上記の受信制御ユニットの一部又は全部を中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等を備えた演算部としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における受信制御ユニットの機能を実現するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
100 … 放送受信装置
1201 … RF処理ユニット(第1受信部
1202 … RF処理ユニット(第2受信部
1321 … 検波部(第1信号処理部の一部)
1322 … 検波部(第2信号処理部の一部)
133 … データ信号用復号部(第1信号処理部の一部)
134 … ステレオ復調部(第2信号処理部の一部)
185 … 制御部



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8