【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1)実施 実施者 日綜産業株式会社 株式会社ジェイ・プルーフ 実施日 平成24年12月19日 実施場所 横浜市戸塚区にある集合住宅の屋上 公開された発明の内容 日綜産業株式会社および株式会社ジェイ・プルーフが共同開発した仮設手摺を屋上の扶壁(パラペット)に設置した。 2)刊行物発表 発行者名 株式会社日刊建設工業新聞社 刊行物名 日刊建設工業工新聞 発行年月日 平成24年12月21日 号数 第18130号 公開された発明の内容 日綜産業株式会社および株式会社ジェイ・プルーフが共同開発した仮設手摺の設置状況について公開された。 3)刊行物発表 発行者名 株式会社日刊建設産業新聞社 刊行物名 日刊建設産業新聞 発行年月日 平成24年12月21日 公開された発明の内容 日綜産業株式会社および株式会社ジェイ・プルーフが共同開発した仮設手摺の設置状況について公開された。 4)刊行物発表 発行者名 株式会社産業新聞社 刊行物名 日刊産業新聞 発行年月日 平成24年12月25日 号数 第18161号 公開された発明の内容 日綜産業株式会社および株式会社ジェイ・プルーフが共同開発した仮設手摺の設置状況について公開された。 5)刊行物発表 発行者名 株式会社建通新聞社 刊行物名 建通新聞 発行年月日 平成24年12月25日 公開された発明の内容 日綜産業株式会社および株式会社ジェイ・プルーフが共同開発した仮設手摺の設置状況について公開された。 6)刊行物発表 発行者名 株式会社日刊建設通信新聞社 刊行物名 建設通信新聞 発行年月日 平成24年12月25日 公開された発明の内容 日綜産業株式会社および株式会社ジェイ・プルーフが共同開発した仮設手摺の設置状況について公開された。 7)刊行物発表 発行者名 株式会社鋼構造出版社 刊行物名 週刊鋼構造ジャーナル 発行年月日 平成25年01月07日 号数 第1595号 公開された発明の内容 日綜産業株式会社および株式会社ジェイ・プルーフが共同開発した仮設手摺の設置状況について公開された。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図示した実施形態に基づいて、本発明を説明する。本発明による仮設手摺は、図示するように、たとえば、コンクリート造の建築物(図示せず)の屋上床Fから上方に突出するように形成されるパラペットあるいは胸壁とも称される扶壁Wに設けられるのに向く。
【0023】
そして、本発明の仮設手摺が利用されるのは、図示するところでは、建築物の屋上床Fに設けられている防水構造を更新する防水工事に際してであり、仮設手摺で形成される仮設の手摺は、防水工事に従事する作業員の安全を保障する。
【0024】
ちなみに、屋上の防水構造を更新する場合には、扶壁Wの内壁も併せて更新されるのが常態だが、扶壁Wの外壁が更新されるか否かは、屋上の防水工事に無関係とされるのが一般的である。
【0025】
詳しく説明すると、先ず、扶壁Wは、図示するように、上端部(符示せず)をいわゆる傘にするように形成される場合と、図示しないが、上端部を傘にしない一枚壁状に形成される場合とがあり、さらには、同じく図示しないが、一枚壁状でありながらいわゆる車止めのように低く形成される場合があり、これらのいずれの扶壁Wにあっても、本発明の仮設手摺の利用は、可能である。
【0026】
なお、図示しないが、扶壁Wにあっては、
図1中で左右方向となる扶壁Wにおける上端部、つまり、傘の厚さ寸法、および、傘の下方となる立上部(符示せず)の厚さ寸法を大小する場合があるが、本発明の仮設手摺にあっては、後述する組立支柱Pを構成する梁材1に対する係止部2の連結位置を変更し得るとしているので、また、固定手段5を構成する一方および他方の固定ボルト53,54が先端を進退し得るとしているので、これに対処し得る。
【0027】
また、図示しないが、たとえば、屋上床Fは、アスファルトルーフィングなどを有する防水構造に形成され、また、扶壁Wの内壁は、屋上床Fの防水構造に連続する仕上げとされ、さらに、扶壁Wの外壁は、タイルが貼られるなどして防水対策がなされているのが一般的である。
【0028】
ちなみに、扶壁Wの厚さ寸法を言う場合は、上記したように、
図1における左右方向を厚さの方向として指し示し、以下の各実施形態における扶壁Wの厚さ寸法を言う場合に共通する。
【0029】
一方、仮設手摺は、
図1,
図2および
図3に示すように、扶壁Wに着脱自在に設けられる複数の組立支柱Pと、この複数の組立支柱Pに着脱自在に架設される手摺Hとを備える。
【0030】
そして、組立支柱Pは、梁材1(
図1,
図3参照)と、係止部2(
図1,
図3参照)と、ガイド部3と、支柱4とを備え、図示するところでは、係止部2が扶壁Wの外側(屋外)に張り出す梁材1の外側部(符示せず)にあってこの梁材1の軸線方向に移動自在に設けられるとし、一方、扶壁Wの内側に張り出す梁材1の内側部(符示せず)に設けられて係止部2に対向しこの係止部2との間に扶壁Wを挟持する固定手段5(
図1参照)を備える。
【0031】
ちなみに、手摺Hは、上下の一対とされる横材6,6と、左右の一対とされて上下の横材6,6を連結する縦材7,7と、これら横材6および縦材7と別体に形成の斜材8とを備えてなる(
図2参照)。
【0032】
順次説明すると、梁材1は、軸線方向が
図2中および
図3中で左右方向となる扶壁Wの軸線方向を横切る方向とされて扶壁Wの内側から扶壁Wの外側に架け渡すようにして扶壁Wの上端に着脱自在に設けられる。
【0033】
そのため、この梁材1の
図1中で左右方向となる軸線方向の長さは、扶壁Wの厚さがいわゆる大きくなる場合でも、この梁材1を架け渡すことを可能にする、つまり、本発明の仮設手摺の利用を可能にする長さを備えるとする。
【0034】
一方、梁材1は、硬質、たとえば、鉄製あるいはアルミ合金製もしくは硬質合成樹脂製の角パイプからなり、扶壁Wの上端に載置されるとき、転がらないで静止し得るように、また、係止部2を有するとき、この係止部2が梁材1を中心にして回動しない、つまり、揺れないように配慮している。
【0035】
梁材1が扶壁Wの上端で転がらないように配慮することで、また、梁材1に設けられた係止部2の揺動を阻止するように配慮することで、梁材1を扶壁Wの上端に架け渡す作業を迅速に実践できることになる。
【0036】
ちなみに、図示するところでは、梁材1は、扶壁Wに架け渡されて固定的に設けられる際に、下面が扶壁Wの上端に接触しないで、扶壁Wの上端の上方に言わば隙間を有して設けられるとし、梁材1が使用される、つまり、仮設手摺が扶壁Wに設けられることで、扶壁Wの上端にダメを残すことをあらかじめ回避するとしている。
【0037】
なお、梁材1の下面に緩衝材C(
図3参照)が連設され、この緩衝材Cで扶壁Wの上端に傷を残すことを回避させることにして、梁材1の下面が扶壁Wの上端に接触することを可能にするとしても良く、また、扶壁Wの上端への傷付きが危惧されない場合には、梁材1の下面が緩衝材Cなしの状態で扶壁Wの上端に接触するとしても良い。
【0038】
戻って、梁材1は、
図4に示すように、外側寄りの部位にあって、軸線方向に沿う両側面に軸線方向を横切るように言わば水平に貫通するピン孔1aを軸線方向に沿って適宜の間隔で複数備えている。
【0039】
また、梁材1は、
図4中で右側となる扶壁Wの外側、つまり、屋外に張り出す外側部の先端にボルトナット11を配設して、このボルトナット11を係止部2の抜け止め、つまり、ストッパに設定している。なお、図示しないが、ストッパは、ボルトナット11に代えて、ピン状体やダボ状体で形成されても良い。
【0040】
係止部2は、梁材1における扶壁Wの外側に張り出す外側部の中央部から
図1中での右端たる先端にかけて梁材1の軸線方向に沿って移動自在に設けられ、これによって、扶壁Wの厚さ寸法に応じて係止部2の梁材1に設けられる位置、つまり、固定的に定着される位置を選択できるようにしている。
【0041】
そして、係止部2は、梁材1に対して移動自在となるように、図示するところでは、梁材1に移動自在に保持される筒状に形成のスライダ21を備え、このスライダ21に直交状態に一体に連設されて垂下する受部22を備える。
【0042】
スライダ21は、梁材1と同様に、鉄製あるいはアルミ合金製もしくは硬質合成樹脂製の角パイプからなり、梁材1の断面形状に相似する断面形状を呈し、
図7中で左右方向となる軸線方向を梁材1の軸線方向に一致させて梁材1に対して転動することなく移動自在に保持されている。
【0043】
なお、スライダ21は、その機能するところからすれば、角パイプからなるのに代えて、図示しないが、下向きに開口する角U字状の断面を有するように形成され、あるいは、図示しないが、下向きの開口を有するチャンネル状に形成されても良い。
【0044】
特に、スライダ21が下向きに開口する角U字状の断面を呈するように形成される場合には、このスライダ21に受部22を一体に備えるように形成することが可能になる点で有利になる。
【0045】
戻って、スライダ21は、
図4に示すように、軸線方向の両側面に軸線方向を横切るように言わば水平に貫通するピン孔21aを備えるとし、このピン孔21aは、上記した梁材1に形成のピン孔1aに照準されるとしている。
【0046】
それゆえ、スライダ21にあっては、スライダ21のピン孔21aを挿通するピン23が梁材1のピン孔1aを挿通するとき、スライダ21の梁材1に対する移動が阻止されて、係止部2が梁材1に対して固定的に定着された状態を具現化することになる。
【0047】
ちなみに、スライダ21のピン孔21aは、図示するところでは、一つとされるが、これに代えて、図示しないが、複数とされても良く、また、複数となるピン孔21aの相互間隔は、梁材1に形成の複数のピン孔1aにおける相互間隔と同じになるとしても良く、また、広狭されて異なるとしても良い。
【0048】
そして、スライダ21のピン孔21aを挿通するピン23は、図示しないが、たとえば、前記した梁材1の先端に設けたボルトナット11にワイヤなどを利用して連結保持されているのが好ましい。
【0049】
なお、
図4に示すところでは、スライダ21の下面に緩衝材Cが設けられている状態を示すが、緩衝材Cがゴム材からなることを理解し易いように、この
図4にあって、緩衝材Cを敢えて断面で表示している。また、
図4中には、係止部2におけるピン23を表示するが、
図1中では、図の複雑化を避けるために、ピン23の表示を省略している。
【0050】
一方、受部22は、スライダ21と同じ材料からなり、
図4に示すように、
図4中で上下方向となる軸線方向がスライダ21の軸線方向に直交するように、また、
図4中で上端となる基端が溶接でスライダ21に一体に連設され、先端、つまり、
図4中で下端部となる先端部の
図4中で左面となる側面たる正面にゴム材からなり滑り止め機能を発揮する当接部24を一体的に備え、この当接部24を扶壁Wの外壁に屋外側から当接自在にして扶壁Wの位置決めされる固定手段5に対向させるとしている(
図1参照)。
【0051】
ちなみに、受部22は、図示するところでは、スライダ21の
図4中で右端となる先端に連設されるが、これに代えて、図示しないが、スライダ21の軸線方向の中央に連設されても良い。
【0052】
それゆえ、以上のように形成された係止部2にあっては、スライダ21のピン孔21aが梁材1のピン孔1aに照準されているときに、このピン孔21a,1aにピン23を挿通することで、係止部2がいわゆる選択された位置で梁材1に固定的に定着されることになる。
【0053】
そして、この係止部2にあっては、特に、係止部2の梁材1に対する定着位置が、たとえば、梁材1の中央寄り位置とされるとき、係止部2よりいわゆる先となる梁材1における言わば余部は、扶壁Wの外側に突出することになるから、扶壁Wの内側の障害にならない利点がある。
【0054】
また、受部22は、係止部2の梁材1に対する定着位置が決定された状態で、先端を扶壁Wの外壁に当接させることになる。なお、受部22の先端に設けられる当接部24は、図示するところではゴム材からなるとするので、このことを理解し易いように、この
図4にあって、当接部24を敢えて断面で表示している。
【0055】
ガイド部3は、梁材1における扶壁Wの内側に位置決めされる基端に設けられると共に支柱4の上下動自在な保持を可能にするもので、支柱4の上下動自在な保持を可能にする限りには、任意に形成されて良いが、図示するところでは、梁材1と同じ材料からなり、横断面形状を
図1中で左側となる扶壁Wの内側に開口する角U字状にする。
【0056】
つまり、ガイド部3は、内側を扶壁Wの内側となる屋上床F側に対向させる溝(符示せず)を備え、この溝の底部(符示せず)の背面に梁材1の
図1中で左端となる基端を溶接で連設させ、この態勢で、支柱4を上下動自在に保持する(
図5参照)としている。
【0057】
そして、ガイド部3は、横断面形状を扶壁Wの内側に開口する角U字状にすることで、屋上床F側から、つまり、正面からガイド部3に支柱4を着脱できることになる点で有利となる。
【0058】
また、ガイド部3は、
図5に示すように、上下方向となる軸線方向の中央の両側面に軸線方向を横切る方向に言わば水平に貫通するピン孔3aを備え、このピン孔3aには、ピン31が挿通するとしている。なお、
図5中には、ガイド部3におけるピン31を表示するが、
図1中では、図の複雑化を避けるために、ピン31の表示を省略している。
【0059】
そして、このガイド部3は、溝内に支柱4を上下方向に移動自在に挿通させ、この溝内に支柱4が挿通された状態で上記のピン31がこのガイド部3を挿通することで、支柱4をガイド部3に起立した状態に連結して定着させるとしている。なお、ピン孔3aについては、図示するところでは、二つとされているが、これに代えて、図示しないが、これが三つ以上あるいは単数とされても良いことは、もちろんである。
【0060】
それゆえ、ガイド部3にあっては、内側の溝が扶壁Wの内側となる屋上床F側に対向するから、作業員は、扶壁Wの内側となる屋上床Fに居る状態でピン31を抜き挿しする動作、つまり、ガイド部3に対する支柱4の高さ位置を変更する動作を安全になすことが可能になる他、たとえば、あらかじめ保持されている支柱4に代えて長さの異なる支柱4をガイド部3に保持させる着脱動作を安全になすことが可能になり、作業員の安全を担保する上で有利になる。
【0061】
なお、ガイド部3は、梁材1の基端に連設されるが、図示する実施形態では、梁材1が基端から垂下する縦部材12を備えることから、この縦部材12にも連設されるとしても良く、この場合には、ガイド部3の梁材1に対する安定的な連設が容易に可能になる。
【0062】
支柱4は、ガイド部3に上下動自在に保持されて手摺Hを着脱自在に架設させるもので、その限りには、任意に形成されて良いが、好ましくは、梁材1、つまり、ガイド部3と同じ材料からなるのが良い。
【0063】
そして、支柱4は、たとえば、全長をほぼ90センチメートルとし、この支柱4が屋上床Fに立設されるが如きに立ち上がるとき、この支柱4に架設される手摺Hがいわゆる最適な高さ位置に位置決めされることになるように配慮している。
【0064】
なお、図示するところでは、支柱4が上端を梁材1の上方に僅かに突出するほどに短く形成されているが、これに代えて、図中の一点鎖線図で示すように、支柱4の上端が上方に大きく延びるように長く形成されるとしても良い。
【0065】
戻って、支柱4は、図示するところでは、丸パイプで形成されるとし、
図5中で上下方向となる軸線方向に沿う両側面に軸線方向を横切る方向に言わば水平に開穿されてガイド部3に形成のピン孔3aに照準される複数のピン孔4aを軸線方向に適宜の間隔で備えている。
【0066】
そしてまた、支柱4は、
図5中で左側面となるいわゆる正面、つまり、扶壁Wの内側となる屋上床F側に対向する正面にグラビティピン41を溶接させており、このグラビティピン41は、
図5中で左右方向となる軸線方向を支柱4の軸線方向に直交して、先端が扶壁Wの内側の屋上床F側に向くとしている。
【0067】
ちなみに、グラビティピン41は、
図1に示すところでは、支柱4の軸線方向のほぼ中央寄りに設けられると共に、支柱4の上下端にも設けられるとしており、このグラビティピン41を利用しての手摺Hの架設を可能にしている。
【0068】
支柱4がグラビティピン41を備えると共に、支柱4がガイド部3に対して上下動自在とされるから、このグラビティピン41がガイド部3に干渉しないように、ガイド部3が断面を角U字状にして開口を扶壁Wの内側となる屋上床F側に対向させる。
【0069】
なお、支柱4は、図示するところでは、丸パイプからなるが、ガイド部3に対して昇降し得るとする観点からすれば、これに代えて、図示しないが、角パイプからなるとしても良い。
【0070】
そして、材質を同じにして長さおよび肉厚を同じにする場合には、支柱4が角パイプからなる場合に比較して、支柱4が丸パイプからなる場合の方が部材重量の軽減の上から、また、曲げに対するなどの機械的強度を大きくする上からは有利になる。
【0071】
また、グラビティピン41にあっては、周知のように、いわゆる本体に対して出没自在とするストッパ41aを備えており、本体がいわゆる孔を挿通するときには、ストッパ41aが本体内に没入し、本体が所定のストロークを移動して孔を言わば通過する状況になると、ストッパ41aが本体の外に飛び出し、本体が逆に移動しても孔から抜け出ることが阻止されるとしている。なお、
図2にあっては、グラビティピン41の図示を省略している。
【0072】
固定手段5は、梁材1における扶壁Wの内側に張り出す内側部に設けられ、係止部2に対向してこの係止部2との間に扶壁Wを挟持するもので、
図5に示すところでは、梁材1の基端から下方に垂下する縦部材12の下端に保持されるとし、縦部材12の下端に連設されるソケット51と、このソケット51に移動自在に挿通されて進退する摺動筒52と、この摺動筒52に出没自在に螺装されて係止部2に対向して進退し、先端を扶壁Wの内面に当接自在にする一方の固定ボルト53と、この一方の固定ボルト53の上方に位置決めされて、縦部材12の上下方向のほぼ中央部に進退自在に設けられる他方の固定ボルト54とを備えている。
【0073】
ところで、本発明の仮設手摺にあっては、固定手段5を形成する固定ボルトを上下となる一方および他方の二本53,54としており、この二本の固定ボルト53,54を利用することで、扶壁Wにおけるダメを補修する工事たるダメ工事を手摺の撤去なしで実践できるとしている。
【0074】
つまり、今まで説明してきたところでは、本発明による仮設手摺を利用することで、扶壁Wの内壁にダメを残すことについて言及していないが、仮設手摺が利用される状況や利用の仕方によっては、扶壁Wの内壁にダメを残すことは、周知されている。
【0075】
そこで、本発明は、ダメ工事を行うのについて、従前のように、仮設手摺を撤去して言わば手摺が設けられていない状態でこれを行うのではなく、手摺が設けられたままの状態で、つまり、作業員の安全が確保されている状態でダメ工事を行えるようにしたものである。
【0076】
そのため、固定手段5における固定ボルトのいわゆる盛り替えを可能にするように、一方および他方となる二本の固定ボルト53,54を備え、扶壁Wの上端に架け渡した梁材1を固定状態に維持するためには、たとえば、一方の固定ボルト53を利用し、そのため残ったダメを補修する際には、他方の固定ボルト54を利用して扶壁Wに梁材1を固定状態に維持して、手摺が設けられた状態を継続し得るようにしたものである。
【0077】
以下に、固定手段5について説明するが、先ず、固定手段5は、梁材1における内側部に、つまり、図示するところでは、梁材1における扶壁Wの内側に位置決めされる基端から垂下する縦部材12の下端に保持されるとしている。
【0078】
そして、この固定手段5は、図示するところでは、縦部材12の下端に連設される筒状に形成のソケット51と、このソケット51に移動自在に挿通されて扶壁Wに向けて移動自在とする摺動筒52とを備え、この摺動筒52に先端を扶壁Wの内壁に当接自在にする固定ボルト53を進退自在に螺装させるとしている。
【0079】
そしてまた、この固定手段5にあっては、ソケット51が、縦部材12の下端に溶接されて固定状態に連設され、この言わば固定されたソケット51の内側を挿通する摺動筒52をピン構造で位置決めするとし、ピン構造は、ソケット51の軸線方向の両側面に軸線方向を横切るように言わば水平に貫通するピン孔51aと、摺動筒52の軸線方向の両側面に軸線方向を横切るように言わば水平に貫通する態勢に形成されてソケット51のピン孔51aに照準可能とされるピン孔52aと、このピン孔52a,51aに挿通されるピン55とで構成される。
【0080】
なお、摺動筒52は、これがソケット51に大きいストロークで押し込まれることを可能にするように設定されていて、図中に二点鎖線図で示すように、いわゆる後退した状態のときに、先端が扶壁Wに干渉することを回避できるように配慮している。これによって、梁材1を扶壁Wの上端に架け渡すとき、固定手段5が扶壁Wの上端に干渉して、梁材1の架け渡しが不能になる事態を回避し得るとしている。
【0081】
戻って、この固定手段5にあっては、縦部材12に固設されたソケット51に摺動筒52が回り止めされた状態で連結され、さらに、この摺動筒52に有頭ボルトからなる固定ボルト53の螺条軸部53aが螺装するから、この固定ボルト53の回動時に、摺動筒52およびソケット51が回動せずして、固定ボルト53の進退を可能にする。
【0082】
そして、固定ボルト53にあっては、頭部53bにベース部材56を連設させ、このベース部材56の先端にゴム材で形成される当接部56aを備え、この当接部56aを介してベース部材56の先端を対向する扶壁Wの内面に当接させるとしている。なお、図示するベース部材56にあって、先端への当接部56aの連設が省略されるとしても良い。
【0083】
ところで、固定ボルト53は、螺条軸部53aが摺動筒52の内周に連設されたナット部52bに螺合し、したがって、頭部53bを回動操作すると、螺条軸部53aがナット部52bに対して進退して、頭部53b、つまり、ベース部材56の扶壁Wの内壁への離着座を自在にする。
【0084】
以上のように形成される言わば下方となる一方の固定ボルト53に対して、言わば上方となる他方の固定ボルト54は、同じく有頭ボルトからなり、螺条軸部54aが縦部材12に連設されたナット部12aに螺装され、頭部54bを回動するときに、螺条軸部54aがナット部12aに対して進退して、頭部54b、つまり、頭部54bに連設されたベース部材56の扶壁Wの内面に対する離着座を自在にする。
【0085】
なお、他方の固定ボルト54にあっても、ベース部材56の先端にゴム材で形成される当接部56aを備え、この当接部56aを介してベース部材56の先端を扶壁Wに当接させるとしているが、ベース部材56における当接部56aの連設が省略されても良い。
【0086】
それゆえ、上下となる二本の固定ボルト53,54にあっては、たとえば、
図5に示すように、一方の固定ボルト53が先端を扶壁Wの内壁に当接するとき、組立支柱P、つまり、梁材1の扶壁Wへの架け渡しを具現化することになる。
【0087】
そして、この一方の固定ボルト53を利用したため、ベース部材56が当接されていた扶壁Wにおける内壁の該当部位がダメとして残ることになったとき、扶壁Wがいわゆる完成状態になったときに、他方の固定ボルト54を回動操作して先端を扶壁Wの内壁に当接させる。
【0088】
他方の固定ボルト54の先端が扶壁Wの内壁に当接されるとき、組立支柱P、つまり、梁材1の扶壁Wへの架け渡し状態がそのまま維持されるから、一方の固定ボルト53を後退させて先端を扶壁Wの内壁から離しても、梁材1の扶壁Wへの架け渡し状態が継続される。
【0089】
そして、一方の固定ボルト53が後退した状態になることで、扶壁Wの内壁に残された固定ボルト53の先端が当接されていたために、工事ができなかった部位、つまり、ダメに対する補修工事を実践し得ることになる。
【0090】
ちなみに、図示する実施形態にあっては、一方の固定ボルト53は、図中に二点鎖線図で示すように、摺動筒52の大きいストロークでの後退時に、摺動筒52と共に後退して、先端、つまり、ベース部材56の後退位置を他方の固定ボルト54におけるベース部材56の位置と同じにする設定とされているので、上端に傘を有する扶壁Wに代えて、図示しないが、上端に傘を有しない一枚壁状態に立ち上がる扶壁Wにあっても、ダメ工事の実施を可能にし得ることになる。
【0091】
以上からすれば、固定手段5を構成する二本の固定ボルト53,54は、図示する上下に設けられることに代えて、図示しないが、左右に、すなわち、たとえば、縦部材12を横方向から挟む位置取りに他方の固定ボルト54と同様の態勢で設けられるとしても良く、この場合、図示した実施形態の場合に比較して、一方の固定ボルト53を設けるためのソケット51および摺動筒52の配設を省略できると共に、ソケット51および摺動筒52を縦部材12の下端に設けなくて済むから、縦部材12を短く形成できる点で有利となる。
【0092】
組立支柱Pが以上のように形成されるのに対して、手摺Hは、次のように形成される。つまり、手摺Hは、基本的には、たとえば、使用状態たる支柱4への架設状態で、作業員が寄り掛かるなどしても簡単に折れ曲ったり変形したりしない所定の機械的強度を有するように形成されるもので、たとえば、鉄製やアルミ合金製とされる他、硬質合成樹脂製とされても良い。
【0093】
また、手摺Hは、図示するところでは、
図2に示すように、上下の一対とされる横材6,6と、左右の一対とされて上下の横材6,6を連結する縦材7,7と、これら横材6および縦材7と別体に形成の斜材8とを備えてなる。
【0094】
横材6,6は、縦材7,7が枢着されて使用時の上下方向の寸法が設定され、両端部に有するピン孔6a(
図2参照)に支柱4に設けたグラビティピン41(
図5参照)が挿通することで、支柱4に、つまり、組立支柱Pに架設される(
図1参照)としている。
【0095】
そして、横材6,6が支柱4に連結された状態のときに、さらに、斜材8が支柱4に連結されることで、手摺Hが組立支柱P間にいわゆる変形しない状態に、つまり、潰れない状態に架設されることになる。
【0096】
一方、手摺Hは、図示するところでは、横材6,6が伸縮自在に形成されて、使用時に、組立支柱Pの立設間隔が区々になる場合にも、支柱4への架設を可能にすると共に、
図2中に二点鎖線図で示すように、折り畳み自在にも形成されて、コンパクト化を可能し、不使用時の搬送性や収納性に優れるとしている。
【0097】
ちなみに、手摺Hは、横材6,6を形成する大径のパイプ(符示せず)内に小径のパイプ(符示せず)が出没自在に挿通されて伸縮自在とされ、伸長状態あるいは収縮状態の維持は、大径のパイプに螺装されて先端が小径のパイプの外周に当接する蝶ボルトなどの締付具(符示せず)で実践するとしている。なお、横材6,6が伸縮自在に形成されることに呼応して、斜材8も横材6,6と同様の構成にして伸縮自在に形成されるとしている。
【0098】
また、手摺Hにあって、横材6,6および斜材8は、両端部に有する孔6a,8aにグラビティピン41を挿通させるが、前記したように、グラビティピン41がストッパ41aを備えてなるから、一旦グラビティピン41を孔6a,8aに挿通させた横材6,6および斜材8は、ストッパ41aを押し込むいわゆる解除操作しない限り、支柱4から分離されないことになる。
【0099】
以上のように形成された手摺Hおよび前記したように形成された組立支柱Pを備える仮設手摺は、以下の手順で扶壁Wに設けられるが、本発明の仮設手摺にあっては、組立支柱Pを扶壁Wに設ける手順と、扶壁Wに設けられた組立支柱Pに手摺Hを架設する手順の二つに大別される。
【0100】
そこで、先ずは、組立支柱Pを扶壁Wに設ける手順から説明すると、たとえば、扶壁Wの内側の屋上床F上に居る作業員は、扶壁Wの内側から扶壁Wの外側に向けて係止部2を扶壁Wの外に突き出すようにして梁材1を扶壁Wの上端に架け渡し、その態勢で、係止部2と固定手段5とで扶壁Wを挟持する段取りになる。
【0101】
梁材1を扶壁Wの上端に架け渡す際には、扶壁Wの厚さがあらかじめ判っているので、梁材1における係止部2が定着される位置が選択され、したがって、係止部2は、扶壁Wの厚さに相応するように梁材1における選択された位置に位置決めされる。
【0102】
係止部2を梁材1に位置決めするのには、係止部2のピン孔21aとこれに照準される梁材1のピン孔1aへのピン23の挿通による。また、梁材1を扶壁Wの上端に架け渡す際には、固定手段5にあって、固定ボルト52をソケット51に対して最大のストロークに螺入した状態にして、固定ボルト52と係止部2における受け部22、つまり、固定手段5と係止部2との間隔を最大限にしておく。
【0103】
梁材1の扶壁Wの上端への架け渡しが終了した後は、係止部2の受部22における当接部24を扶壁Wの外から扶壁Wの外壁に当接し、この状態で固定手段5における固定ボルト53を回動して係止部2に向けて前進させ、固定ボルト53の先端のベース部材56を扶壁Wの内側から扶壁Wの内壁に当接させ、固定ボルト53の適宜の工具を利用するなどの締め上げで固定手段5と係止部2とで扶壁Wを挟持し、これによって、扶壁Wに組立支柱Pを設ける作業が終了する。
【0104】
扶壁Wに組立支柱Pを設ける作業の後は、組立支柱Pにおけるガイド部3に保持されている支柱4への手摺Hの架設作業が引続き、この手摺Hの支柱4への架設作業が終了して仮設の手摺を扶壁Wに設ける一連の作業が終了する。
【0105】
ところで、本発明にあっては、扶壁Wに組立支柱Pを設ける作業を終了した時点で、支柱4が扶壁Wの内側にあってガイド部3に保持されて立設されているので、たとえば、特許文献1に開示する従前の場合と比較すると、支柱4を立設する作業自体が省略されると共に、結果として、支柱4を立設させるまでの作業を迅速に行える。
【0106】
つまり、前記した特許文献1に開示の従前の場合にあっては、扶壁の上端に梁材を架け渡すだけでは、支柱が立設されないので、あらためて支柱をソケットに装着する作業、つまり、支柱を立設する作業をすることになる。
【0107】
それに対して、本発明の場合には、組立支柱Pにあって、支柱4は、あらかじめガイド部3に保持されているから、ガイド部3を設けるだけ、つまり、組立支柱Pを扶壁Wに設けるだけで足り、支柱4そのものを立設する作業を要しない。
【0108】
上記の組立支柱Pは、厳密でなくて良いから、選択された間隔で複数が扶壁Wに設けられ、各組立支柱Pは、手摺Hの架設で連結される。そこで、次には、手摺Hの組立支柱Pへの架設の段取りについて説明するが、支柱4に設けられているグラビティピン41に手摺Hを連結すれば足りる。
【0109】
つまり、たとえば、
図2に示すところによれば、手摺Hを形成する上下の横材6,6の
図2中で左端部となる一端部の孔6aにグラビティピン41を挿通させれば良く、また、上下の横材6,6の
図2中で右端部となる他端部の孔6aにグラビティピン41を挿通させれば良い。斜材8についても同様である。
【0110】
孔6a,8aをグラビティピン41が挿通すれば、ストッパ41aが言わば自動的に作動するから、ストッパ41aを積極的に解除操作しない限り、上下の横材6,6および斜材8が支柱4から分離されることはない。
【0111】
以上のように、本発明の仮設手摺にあっては、組立支柱Pを扶壁Wに設けた時点で、支柱4があらかじめ扶壁Wの内側に位置決めされるから、作業員は、扶壁Wの内側の屋上床F上に居る状態で手摺Hを組立支柱P、つまり、支柱4に架設する作業をなすことが可能になる。
【0112】
このことから、たとえば、前記した特許文献1に開示の提案のように、ソケットが扶壁の外に位置決めされている場合には、このソケットに支柱を連結するとなると、保安上の理由から、支柱の落下を阻止するために、支柱にロープなどの繋ぎ部材を連結する作業が必須になる。
【0113】
そして、ソケットに連結された支柱に手摺棒を連結するのに際しても、上記と同様に、手摺棒の落下を阻止するために、手摺棒にロープなどの繋ぎ部材を連結する作業が必須になる。
【0114】
対して、本発明の仮設手摺にあっては、組立支柱Pを扶壁Wに架け渡すようにして設けるだけで、扶壁Wの内側への支柱4の立設が実現され、支柱4にロープなどの繋ぎ部材を連結する作業を省略でき、作業性を良くし得る。
【0115】
そして、立設された支柱は、扶壁Wの内側に位置決めされるから、支柱4に手摺Hを架設する作業の際に、手摺Hにロープなどの繋ぎ部材を連結する作業が必須とされず、これまた、作業性を良くし得る。
【0116】
のみならず、前記した特許文献1に開示の提案の場合には、扶壁Wの外側にあるソケットに支柱を装着することになるから、作業員は、扶壁Wの上端に登らないまでも、扶壁Wの上方に身を乗り出すようにする体勢になることが考えられ、このことからすると作業員の安全を確保することが必須になるが、本発明にあっては、作業員は、屋上床Fの上に居て足りるので、作業員の安全を容易にして確実に確保し得ることになる。
【0117】
以上のようにして扶壁Wに設けられた架設手摺の撤去には、上記したところと逆の手順を辿れば足りるが、その際にも、手摺Hの落下を防止するためのロープなどの繋ぎ部材を手摺Hに連結する手間を要せず、撤去作業を迅速に行えるのはもちろんである。
【0118】
図6および
図7は、本発明の仮設手摺が建築物の屋上における出隅(符示せず)に設けられる場合(
図6)、および、入隅(符示せず)に設けられる場合(
図7)を示すもので、以下には、これについて少し説明する。
【0119】
ちなみに、出隅および入隅は、一般的には、直角に構成されるので、以下の説明でも、出隅および入隅は、直角に構成されているとする。また、組立支柱Pは、前記した
図1に示す組立支柱Pと同じ構成からなり、また、扶壁Wについても、前記した
図1に示すのと同様に構成されている。
【0120】
先ず、
図6に示すところにあって、仮設手摺における組立支柱Pは、いわゆる両方向となる
図6中で右側からおよび下方から出隅を挟む態勢にして扶壁Wの上端に設けられる。そして、各組立支柱Pにいわゆる一端側が架設される手摺Hの
図6中にあって図示されない他端側は、扶壁Wに設けられた同じく図示しない組立支柱Pに架設される。
【0121】
一方、出隅を両方向から挟む態勢にして扶壁Wの上端に設けられる両方の組立支柱Pにあっては、扶壁Wの内側となって屋上床Fの上方に位置決めされる屋上床F側端が、図示するように、近隣されることで、この両方の間を作業員が摺り抜けることを阻止し得るから、この両方の屋上床F側端を連結部材で連結する必要はないと言える。
【0122】
それに対して、
図7に示す実施形態にあっては、仮設手摺が入隅に設けられることから、上記の組立支柱Pにおける屋上床F側端を連結する必要がある。つまり、入隅に仮設手摺を設ける場合にも、
図7に示すように、組立支柱Pは、入隅を両方向から挟む態勢にして扶壁Wの上端に設けられるから、両方の組立支柱Pにおける屋上床F側端間は、言わばアングル状に大きく開いて、作業員が扶壁Wに近づき、あるいは、扶壁Wの上端に上ることを許容することになる。
【0123】
両方の組立支柱Pにおける屋上床F側端部間が大きく開いて、作業員が扶壁Wに近づき、あるいは、扶壁Wの上端に上ることを許容する状態は、保安上からは好ましくないので、
図8にも示すように、上記の空きを閉鎖する補助手摺H1を設けることが必要になる。
【0124】
この補助手摺H1は、基本的には、前記した手摺Hと同様に、つまり、伸縮自在に構成されて、上記の空きの幅が区々になる場合にも対応できるように、展開時に平面形状が入隅に相似するとしている。
【0125】
また、この補助手摺H1は、上下で一対となる横材61,61と、左右の一対とされて上下の横材61,61を連結する縦材71,71とを有し、横材61,61は、縦材71,71が連結されることで使用時の上下方向の寸法が設定されて立面形状を矩形にする(
図8参照)と共に、折り畳み自在に形成されて折り畳み時に、二本の棒状の態勢になるとしている。
【0126】
そして、この補助手摺H1において、組立支柱P側の端部に有する孔(符示せず)に支柱4に設けたグラビティピン41(
図4参照)を挿通させることで、支柱4に、つまり、組立支柱Pに架設されるとしている。
【0127】
また、この補助手摺H1にあっては、上記の孔を有する端と反対側となる端同士が枢着されるとして、組立支柱Pから取り外されたとき、その折り畳みを自在にしている。
【0128】
なお、言わば左右で一対となる補助手摺H1を折り畳み自在に構成するのにあっては、任意の構造が採用されて良いが、
図7および
図8に示すところにあっては、符示しないが、ヒンジ構造で両方の補助手摺H1が連結されるとしている。
【0129】
それゆえ、以上のように、建築物の屋上における出隅に設けられる仮設手摺(
図6参照)、および、建築物の屋上における入隅に設けられる仮設手摺(
図7参照)にあっても、組立支柱Pが前記した
図1に示す実施形態の場合と同様に構成されるから、扶壁Wの上端に架け渡した梁材1の外側部に設けられる係止部2と、梁材1の内側部に設けられる固定手段5とで扶壁Wを挟むことで、組立支柱Pを扶壁Wに設けることが可能になり、また、ガイド部3を梁材1の基端が位置決めされる扶壁Wの内側に位置決めすることが可能になる。
【0130】
そして、ガイド部3が扶壁Wの内側に位置決めされるから、ガイド部3に保持されている支柱4が扶壁Wの内側に位置決めされることになり、支柱4に手摺H1を連結することで、仮設の手摺を出隅あるいは入隅の扶壁Wの内側に設けることが可能になる。
【0131】
また、支柱4が扶壁Wの内側に位置決めされるから、支柱4が扶壁Wの外に位置決めされ、したがって、保安上の理由から、支柱に架設する手摺の落下を阻止するために、手摺にロープなどの繋ぎ部材を連結する作業が必須になる場合に比較して、手摺H,H1にロープなどの繋ぎ部材を連結する作業を要しない。
【0132】
ちなみに、この実施形態にあっても、組立支柱Pを扶壁Wに設けることで、扶壁Wの内側に位置決めされるガイド部3が支柱4を保持するから、ガイド部3に支柱4を保持させる作業を必要としない。
【0133】
また、この実施形態にあっても、係止部2が梁材1に沿って移動自在とされるから、固定手段5との間に挟持する扶壁Wの厚さ寸法が区々となる場合にも、係止部2の梁材1に対する定着位置を選択することで対応できる。
【0134】
そして、係止部2の梁材1に対する定着位置が、たとえば、梁材1の中央寄り位置とされるとき、係止部2よりいわゆる先となる言わば余部は、扶壁Wの外に突出するから、扶壁Wの内側の障害にならない。
【0135】
さらに、この実施形態にあっても、支柱4がガイド部3に上下動自在に保持されるから、ガイド部3の高さ位置に応じて、つまり、扶壁Wの上端の高さ位置に応じて、支柱4の高さ位置を高低することが可能になり、上端の高さが異なる扶壁Wに好ましい高さの手摺H,H1を設けることが可能になる。
【0136】
その結果、この実施形態によれば、仮設手摺を設けたり撤去したりする際の作業性を良くすることが可能になるのはもちろんのこと、この実施形態にあっても、手摺H,H1が扶壁Wの内側に位置決めされたガイド部3に保持されている支柱4に設けられるから、手摺H,H1が扶壁Wの内側に設けられることになり、手摺が扶壁の外側に位置決めされている支柱に設けられて、手摺が扶壁の外側に設けられる場合に比較して、作業員が扶壁Wの上端に立ち入る余地を完全に排除でき、手摺H,H1を設けることによる保安性を向上させることが可能になる。
【0137】
前記した実施形態では、固定手段5が複数本の固定ボルト、つまり、二本の固定ボルト53,54を上下に設けるとしたが、この二本の固定ボルト53,54を設ける目的、つまり、ダメを補修するダメ工事に対応し得るとする観点からすれば、この二本の固定ボルト53,54が、図示しないが、縦部材12を挟む左右に、つまり、横方向に設けられるとしても良いことは前述した通りである。
【0138】
また、前記したところでは、本発明による仮設手摺がコンクリート造の建築物における屋上に形成の扶壁Wに具現化される場合を例にして説明したが、本発明が意図するところからすると、扶壁Wが屋上に形成されるのに代えて、図示しないが、扶壁Wがベランダやテラスに形成とされるとしても良く、その場合の作用効果が異ならないのはもちろんである。