特許第6144924号(P6144924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6144924基板処理装置、メンテナンス方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144924
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】基板処理装置、メンテナンス方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20170529BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20170529BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20170529BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   H01L21/02 Z
   H01L21/68 A
   H01L21/205
   H01L21/31 B
【請求項の数】12
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2013-29656(P2013-29656)
(22)【出願日】2013年2月19日
(65)【公開番号】特開2013-225659(P2013-225659A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2016年2月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-63424(P2012-63424)
(32)【優先日】2012年3月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100105256
【弁理士】
【氏名又は名称】清野 仁
(72)【発明者】
【氏名】米田 秋彦
(72)【発明者】
【氏名】小谷 浩
(72)【発明者】
【氏名】水口 靖裕
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−049432(JP,A)
【文献】 特開2005−150259(JP,A)
【文献】 特開2003−073840(JP,A)
【文献】 特開2010−263017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、
前記各種基板の一種である製品基板を収納したキャリアまたは前記各種基板の他の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、
記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を保持する記憶部と、
記記憶部が保持する膜厚値に基づいて当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を設定する管理部と、
前記ダミーキャリアを前記基板収容部から搬出するときに、当該ダミーキャリア内に収納されている各ダミー基板に累積した膜厚値を前記記憶部に保持させ、前記ダミーキャリアが前記基板収容部に再投入されると、前記記憶部が保持している膜厚値に基づき、当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を前記管理部に行わせ、前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記各ダミー基板を用いた処理を行うよう制御する制御部と、
を備えた基板処理装置。
【請求項2】
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種である製品基板を収納したキャリアまたは前記各種基板の他の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を保持する記憶部と、前記記憶部が保持する膜厚値に基づいて当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を設定する管理部と、を備えた基板処理装置にて用いられるメンテナンス方法であって、
記ダミーキャリアを前記基板収容部から搬出するときに、当該ダミーキャリア内に収納されている各ダミー基板に累積した膜厚値を前記記憶部に保持しておく工程と、
記ダミーキャリアが前記基板収容部に再投入されると、前記記憶部に保持しておいた前記膜厚値に基づき、当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を前記管理部により行う工程と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記各ダミー基板を用いた処理を行う工程と、
を含むメンテナンス方法。
【請求項3】
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種である製品基板を収納したキャリアまたは前記各種基板の他の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を保持する記憶部と、前記ダミーキャリアが前記基板収容部に投入されると前記記憶部が保持する膜厚値に基づいて当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を設定する管理部と、を備えた基板処理装置に接続されて用いられるコンピュータによって
前記ダミーキャリアが前記基板収容部から搬出されるときの前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を前記記憶部に保持する手順と、
搬出された前記ダミーキャリアが前記基板収容部に再投入されると、前記記憶部に保持しておいた前記膜厚値に基づいて投入された前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を前記管理部により再設定する手順と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記各ダミー基板を用いた処理を行う手順と、
前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項4】
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、
前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、
前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を取得する取得部と、
取得した前記ダミー基板の膜厚値を設定する管理部と、
他装置で使用したダミー基板を収納したダミーキャリアが前記基板収容部に投入されると、前記基板収容部に投入されたダミーキャリア内に収納されている各ダミー基板に累積した膜厚値についての情報を前記取得部に取得させ、取得情報に基づき前記基板収容部のダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を前記管理部に行わせ、前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記基板収容部にダミーキャリアが投入された後における当該ダミーキャリア内の各ダミー基板を用いた処理を行うよう制御する制御部と、
を備えた基板処理装置。
【請求項5】
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を取得する取得部と、取得した前記ダミー基板の膜厚値を設定する管理部と、を備えた基板処理装置にて用いられるメンテナンス方法であって、
他装置で使用したダミー基板を収納したダミーキャリア前記基板収容部に投入されると、前記基板収容部に投入されたダミーキャリア内に収納されている各ダミー基板に累積した膜厚値についての情報を前記取得部により取得する工程と、
取得情報に基づき前記基板収容部のダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を前記管理部により行う工程と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記基板収容部にダミーキャリアが投入された後における当該ダミーキャリア内の各ダミー基板を用いた処理を行う工程と、
を含むメンテナンス方法。
【請求項6】
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、前記ダミーキャリアが前記基板収容部に投入されると前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を取得する取得部と、取得した前記ダミー基板の膜厚値を設定する管理部と、を備えた基板処理装置に接続されて用いられるコンピュータによって、
他装置で使用したダミー基板を収納したダミーキャリアが前記基板収容部に投入されると、前記基板収容部に投入されたダミーキャリア内に収納されている各ダミー基板に累積した膜厚値についての情報を前記取得部により取得する手順と、
取得情報に基づき前記基板収容部のダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を前記管理部により行う手順と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記基板収容部にダミーキャリアが投入された後における当該ダミーキャリア内の各ダミー基板を用いた処理を行う手順と、
を前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項7】
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、
前記各種基板の一種である製品基板を収納したキャリアまたは前記各種基板の他の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、
前記基板収容部上の前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の累積膜厚値を含むメンテナンス情報を出力する情報出力部と、前記情報出力部が出力するメンテナンス情報に含まれる累積膜厚値を編集する第一設定部と、を有し、前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を設定する管理部と、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部に再投入されると、前記第一設定部で編集された後の累積膜厚値に基づき、再投入された前記ダミーキャリア内の全ダミー基板の膜厚値の再設定を前記管理部に行わせ、前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記各ダミー基板を用いた処理を行うよう制御する制御部と、
を備えた基板処理装置。
【請求項8】
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、
前記各種基板の一種である製品基板を収納したキャリアまたは前記各種基板の他の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、
前記基板収容部上の前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の累積膜厚値を含むメンテナンス情報を出力する情報出力部と、前記情報出力部が出力するメンテナンス情報に含まれる累積膜厚値を編集する第一設定部と、を有し、前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を設定する管理部と、を備えた基板処理装置にて用いられるメンテナンス方法であって、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部に再投入されると、前記基板収容部上の前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の累積膜厚値を含むメンテナンス情報を前記情報出力部により出力する工程と、
前記メンテナンス情報に含まれる累積膜厚値を前記第一設定部により編集する工程と、
前記編集された後の累積膜厚値に基づき、再投入された前記ダミーキャリア内の全ダミー基板の膜厚値を前記管理部により再設定する工程と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記各ダミー基板を用いた処理を行う工程と、
を含むメンテナンス方法。
【請求項9】
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、
前記各種基板の一種である製品基板を収納したキャリアまたは前記各種基板の他の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、
前記基板収容部上の前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の累積膜厚値を含むメンテナンス情報を出力する情報出力部と、前記情報出力部が出力するメンテナンス情報に含まれる累積膜厚値を編集する第一設定部と、を有し、前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を設定する管理部と、を備えた基板処理装置に接続されて用いられるコンピュータによって、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部に再投入されると、前記基板収容部上の前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の累積膜厚値を含むメンテナンス情報を前記情報出力部により出力する手順と、
前記メンテナンス情報に含まれる累積膜厚値を前記第一設定部により編集する手順と、
前記編集された後の累積膜厚値に基づき、再投入された前記ダミーキャリア内の全ダミー基板の膜厚値を前記管理部により再設定する手順と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記各ダミー基板を用いた処理を行う手順と、
を前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項10】
所定枚数の各種基板を一括で処理する基板処理装置の処理室と、
前記各種基板の一種である製品基板を収納したキャリアまたは前記各種基板の他の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、
前記基板処理装置を管理する管理装置に接続され、前記管理装置から前記ダミー基板の累積膜厚値に関する付加データが添付されたキャリア認証メッセージを受け付けるように構成され、前記ダミー基板の累積膜厚値に関する付加データに基づき、前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を設定する管理部と、
前記管理装置から受け付けたキャリア認証メッセージに添付された累積膜厚値に関する付加データに基づき、前記基板収容部上の前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を前記管理部に行わせ、前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記各ダミー基板を用いた処理を行うよう制御する制御部と、
を備えた基板処理装置。
【請求項11】
所定枚数の各種基板を一括で処理する基板処理装置の処理室と、
前記各種基板の一種である製品基板を収納したキャリアまたは前記各種基板の他の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、
前記基板処理装置を管理する管理装置に接続され、前記管理装置から前記ダミー基板の累積膜厚値に関する付加データが添付されたキャリア認証メッセージを受け付けるように構成され、前記ダミー基板の累積膜厚値に関する付加データに基づき、前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を設定する管理部と、を備えた前記基板処理装置にて用いられるメンテナンス方法であって、
前記ダミー基板の累積膜厚値に関する付加データが添付されたキャリア認証メッセージを前記管理装置から受け付ける工程と、
前記管理装置から受け付けたキャリア認証メッセージに添付された累積膜厚値に関する付加データに基づき、前記基板収容部上の前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を前記管理部により再設定する工程と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記各ダミー基板を用いた処理を行う工程と、
を含むメンテナンス方法。
【請求項12】
所定枚数の各種基板を一括で処理する基板処理装置の処理室と、前記各種基板の一種である製品基板を収納したキャリアまたは前記各種基板の他の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、前記基板処理装置を管理する管理装置に接続され、前記管理装置から前記ダミー基板の累積膜厚値に関する付加データが添付されたキャリア認証メッセージを受け付けるように構成され、前記ダミー基板の累積膜厚値に関する付加データに基づき、前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を設定する管理部と、を備えた前記基板処理装置に接続されて用いられるコンピュータによって、
前記ダミー基板の累積膜厚値に関する付加データが添付されたキャリア認証メッセージを前記管理装置から受け付ける手順と、
前記管理装置から受け付けたキャリア認証メッセージに添付された累積膜厚値に関する付加データに基づき、前記基板収容部上の前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を前記管理部により再設定する手順と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記各ダミー基板を用いた処理を行う手順と、
を前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を一括で処理する処理室を備えた基板処理装置、そのメンテナンス方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基板を一括で処理する処理室を備えた基板処理装置において、ダミー基板を用いる場合の一般的な運用方法としては、複数のダミー基板を収納したダミーキャリアを基板処理装置内に常駐させ、製品基板が処理室内で処理可能な基板枚数に満たない場合、ダミーキャリアから不足分のダミー基板を搬出し、空きスペースをダミー基板で埋めることにより、処理室内の処理の均一化を図るというものがある。この場合、ダミー基板は繰り返し使用されるため、例えば基板処理が成膜処理であると、複数回使用されるうちにダミー基板上には堆積膜が累積していく。
【0003】
そのため、ダミー基板を用いる場合には、従来からダミー基板の累積膜厚の管理及びこの累積膜厚に基づくダミーキャリアの交換が行われている。例えば、特許文献1では、累積膜厚と該累積膜厚に関するダミーキャリア交換条件の両方に応じて、次に使用するダミー基板を選択することが記載されている。また、カセット識別子と、カセットに保持されているダミー基板の枚数と、カセット内のダミー基板のマップ情報とを保持しておき、ダミーキャリアが交換されて新しいダミーキャリアが装置内に供給されたときに、各ダミー基板の累積膜厚値のカウンタをゼロクリアすることが記載されている。このように、従来、縦型装置などでダミーキャリアが交換されると同時にダミー基板が交換されるため、各ダミー基板の累積膜厚値はリセットされていた。枚葉装置においても同様に累積膜厚値を管理しており、累積膜厚値が閾値に達したときにアラームを発生し、ダミーキャリアが交換されないと次の処理を行えないようにしている。このため、ダミーキャリアが交換されると、累積膜厚値がゼロクリアされるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4294972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ダミーキャリアが基板処理装置内から搬出される場合に、ダミー基板の累積膜厚値がゼロクリアされてしまうと、不都合が生じる場合がある。枚葉装置においては、累積膜厚値が閾値に到達しなくても、メンテナンス作業や突発的な異常発生による復旧処理などを行う際に、ダミーキャリアが払い出されることがある。このような場合、実際にダミー基板に累積している膜厚値と装置コントローラ部が認識している膜厚値との乖離が発生して累積膜厚値の管理ができなくなる。現状は、メンテナンス作業や復旧処理などが終了してダミーキャリアを再投入した後、ノート等にメモしておいた累積膜厚値について再度入力作業をしなければならないという手間が生じている。
【0006】
本発明の目的は、ダミーキャリアが再投入された際に、各ダミー基板の累積膜厚値の再設定を行うことができる基板処理装置、メンテナンス方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
所定枚数の各種基板を処理する処理室と、
少なくとも前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上から搬出されるときの当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を保持する記憶部と、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上に再投入されると前記記憶部が保持する膜厚値に基づいて当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を再設定する管理部と、
を備えた基板処理装置が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、
所定枚数の各種基板を処理する処理室と、前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、を備えた基板処理装置にて用いられるメンテナンス方法であって、
前記基板処理装置の定期メンテナンスのために、前記ダミーキャリアを前記基板収容部上から搬出する工程と、
前記ダミーキャリアを前記基板収容部上から搬出するときに、当該ダミーキャリア内に収納されている各ダミー基板に累積した膜厚値を保持しておく工程と、
前記ダミーキャリアを前記基板収容部上に再投入する工程と、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上に再投入されると、保持している膜厚値に基づき、当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を行う工程と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記定期メンテナンスの後における前記各ダミー基板を用いた処理を行う工程と、
を含むメンテナンス方法が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の態様によれば、
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、を備えた基板処理装置にて用いられるメンテナンス方法であって、
他装置で使用したダミー基板を収納したダミーキャリアを前記基板収容部上に投入する工程と、
前記基板収容部上に投入されたダミーキャリア内に収納されている各ダミー基板に累積した膜厚値についての情報を取得する工程と、
取得情報に基づき前記基板収容部上のダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を行う工程と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記基板収容部上にダミーキャリアが投入された後における当該ダミーキャリア内の各ダミー基板を用いた処理を行う工程と、
を含むメンテナンス方法が提供される。
【0010】
本発明のさらに他の態様によれば、
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種である製品基板を収納したキャリアまたは前記各種基板の他の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、を備えた基板処理装置にて用いられるメンテナンス方法であって、
前記製品基板を収納した前記キャリアを前記基板収容部上に載置する載置工程と、
前記基板収容部上の前記キャリアから搬出した前記製品基板に対する処理を前記処理室内にて行う処理工程と、
前記載置工程を開始する前に、前記ダミー基板を収納した前記ダミーキャリアを前記基板収容部上から搬出する工程と、
前記ダミーキャリアを前記基板収容部上から搬出するときに、当該ダミーキャリア内に収納されている各ダミー基板に累積した膜厚値を保持しておく工程と、
前記処理工程の後に、前記ダミーキャリアを前記基板収容部上に再投入する工程と、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上に再投入されると、保持している膜厚値に基づき、当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を行う工程と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記ダミーキャリアの再投入後における前記各ダミー基板を用いた処理を行う工程と、
を含むメンテナンス方法が提供される。
【0011】
本発明のさらに他の態様によれば、
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、を備えた基板処理装置に接続されて用いられるコンピュータに、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上から搬出されるときの当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を保持するステップと、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上に再投入されると前記記憶部が保持する膜厚値に基づいて当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を再設定するステップと、
を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板処理装置において、ダミーキャリアが再投入された際に、各ダミー基板の累積膜厚値の再設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の装置コントローラ部の概略構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の装置コントローラ部で管理するダミー基板についての情報の一具体例を示す説明図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の操作部が管理するメンテナンス情報の一具体例を示す説明図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の装置コントローラ部における機能構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置でのダミーキャリア再投入時の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置でのダミーキャリア再投入時のメンテナンス情報設定処理の動作例を示すフローチャートである。
図8】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置でのダミーキャリア再投入時のダミー基板情報設定処理の動作例を示すフローチャートである。
図9】本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置でのダミーキャリア再投入時の自動設定処理の動作例を示すフローチャートである。
図10】本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置でのダミーキャリア再投入時のメンテナンス情報設定処理の動作例を示すフローチャートである。
図11】本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置でのダミーキャリア再投入時のダミー基板情報設定処理の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明の第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(1)基板処理装置の構成
本実施形態に係る基板処理装置は、処理手順及び処理条件が定義されたレシピに基づく基板処理プロセスを実行することで基板に対する処理を行うものであり、複数枚の基板に対して同時に処理を行う多枚葉式の基板処理装置として構成されたものである。
【0016】
処理対象となる基板としては、例えば、半導体集積回路装置(半導体デバイス)が作り込まれる半導体ウエハ基板(以下、単に「製品基板」という。)が挙げられる。さらには、例えば、処理室内の処理の均一化を図るべく、製品基板が処理室内で処理可能な基板枚数に満たない場合に空きスペースに配置されるダミー基板についても、処理対象となる基板に含まれる。
【0017】
これら製品基板やダミー基板等に対して行う処理としては、エッチング、アッシング、成膜処理等が挙げられるが、本実施形態では特に成膜処理を行うものとする。成膜処理の典型的な例としては、化学反応による成膜(CVD:Chemical Vapor Deposition)処理がある。
【0018】
以下、本実施形態に係る基板処理装置の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る多枚葉式の基板処理装置10の概略構成図である。
【0019】
図1に示すように、基板処理装置10は、真空側と大気側とに分れている。
【0020】
(真空側の構成)
基板処理装置10の真空側には、真空気密可能な真空搬送室TM(Transfer Module)と、予備室としてのロードロック室LM(Load Lock Module)1,LM2と、複数の基板Wを一括処理する処理室としてのプロセスチャンバPM(Process Module)1,PM2と、が設けられている。ロードロック室LM1,LM2、プロセスチャンバPM1,PM2は、真空搬送室TMの外周を囲むように配置されている。
【0021】
真空搬送室TMは、真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐えることができる構造に構成されている。なお、本実施形態において、真空搬送室TMの筐体は、平面視が五角形で、上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
【0022】
真空搬送室TM内には、搬送手段としての真空ロボットVRが設けられている。真空ロボットVRは、ロードロック室LM1,LM2及びプロセスチャンバPM1,PM2との間で、シリコン(Si)等からなる製品基板やダミー基板等の基板Wの搬送を基板載置部である2本のアームに載せることで相互に行う。なお、真空ロボットVRは、真空搬送室TMの気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。また、2本のアームはそれぞれ水平方向に伸縮でき、係る水平面内で回転移動できるように構成されている。また、真空搬送室TM内であって、ロードロック室LM1,LM2、プロセスチャンバPM1,PM2の各手前位置には、図示しない基板有無センサが設置され、アーム上の基板Wの存在を検知できるように構成されている。
【0023】
プロセスチャンバPM1,PM2は、基板Wが載置される基板載置台ST11〜ST15およびST21〜ST25をそれぞれ備え、例えば基板Wを5枚ずつ一括処理する多枚葉式の処理室として構成されている。すなわち、プロセスチャンバPM1,PM2は、それぞれが化学反応によるCVDなど、基板Wに付加価値を与える処理室として機能する。また、プロセスチャンバPM1,PM2は、その機能に応じた各種の構成、例えばガス導入・排気機構や温度制御・プラズマ放電機構(いずれも図示せず)を備えている。
【0024】
また、プロセスチャンバPM1,PM2は、図示しないゲートバルブを介して真空搬送室TMとそれぞれ連通している。したがって、ゲートバルブを開けることにより、真空搬送室TMとの間で基板Wの搬送を行うことが可能である。また、ゲートバルブを閉じることにより、プロセスチャンバPM1,PM2内の圧力や処理ガス雰囲気を保持したまま、基板Wに対して各種の基板処理を行うことが可能である。
【0025】
ロードロック室LM1,LM2は、真空搬送室TM内へ基板Wを搬入する予備室として、あるいは真空搬送室TM内から基板Wを搬出する予備室として機能する。ロードロック室LM1,LM2の内部には、基板Wを搬入搬出する際、基板Wを一時的に支持する基板載置部としての図示しないバッファステージが、それぞれ設けられている。バッファステージは、複数枚(例えば2枚)の基板Wを保持する多段型スロットとしてそれぞれ構成されていてもよい。
【0026】
また、ロードロック室LM1,LM2は、図示しないゲートバルブを介して真空搬送室TMとそれぞれ連通しており、また、図示しないゲートバルブを介して後述する大気搬送室EFEMとそれぞれ連通している。したがって、真空搬送室TM側のゲートバルブを閉じたまま、大気搬送室EFEM側のゲートバルブを開けることにより、真空搬送室TM内の真空気密を保持したまま、ロードロック室LM1,LM2と大気搬送室EFEMとの間で基板Wの搬送を行うことが可能である。
【0027】
また、ロードロック室LM1,LM2は、真空状態などの大気圧未満の負圧に耐えることが出来る構造に構成されており、その内部をそれぞれ真空排気することが可能となっている。したがって、大気搬送室EFEM側のゲートバルブを閉じてロードロック室LM1,LM2の内部を真空排気した後で、真空搬送室TM側のゲートバルブを開けることにより、真空搬送室TM内の真空状態を保持したまま、ロードロック室LM1,LM2と真空搬送室TMとの間で、基板Wの搬送を行うことが可能である。
【0028】
(大気側の構成)
一方、基板処理装置10の大気側には、上述の通り、ロードロック室LM1,LM2に接続されたフロントモジュールである大気搬送室EFEM(Equipment Front End Module)と、大気搬送室EFEMに接続され、例えば1ロット分、25枚の基板Wを収納した基板収納手段としてのキャリアCA1〜CA3を載置する基板収容部としてのロードポートLP1〜LP3と、が設けられる。
【0029】
大気搬送室EFEM内には、搬送手段としての大気ロボットARが例えば1台設けられている。大気ロボットARは、ロードロック室LM1,LM2とロードポートLP1〜LP3との間で基板Wの搬送を相互に行なう。大気ロボットARも、真空ロボットVRと同様に基板載置部である2本のアームを有する。また、大気搬送室EFEM内であって、ロードロック室LM1,LM2の各手前位置には、図示しない基板有無センサが設置され、アーム上の基板Wの存在を検知できるように構成されている。
【0030】
なお、大気搬送室EFEM内には、基板位置補正装置として、基板Wの結晶方位の位置合わせ等を行う図示しないオリフラ(Orientation Flat)合わせ装置が設けられている。基板Wがノッチタイプであるときは、基板位置補正装置としてのノッチ合わせ装置を設けることも可能である。また、大気搬送室EFEMには、大気搬送室EFEMの内部にクリーンエアを供給する図示しないクリーンエアユニットが設けられている。
【0031】
各ロードポートLP1〜LP3は、各ロードポートLP1〜LP3上に、複数枚の基板Wを収納する基板収納手段としてのキャリアCA1〜CA3をそれぞれ載置するように構成される。キャリアCA1〜CA3内には、基板Wをそれぞれ収納する収納部としてのスロット(図示せず)が例えば1ロット分、25スロット設けられている。各ロードポートLP1〜LP3はキャリアCA1〜CA3が載置されると、キャリアCA1〜CA3に付され、キャリアCA1〜CA3を識別するキャリアIDを示すバーコード等を読み取って記憶するよう構成される。
【0032】
また、各ロードポートLP1〜LP3のうち、例えばロードポートLP3には、ダミー基板としての基板Wを収納するキャリア(以下「ダミーキャリア」という。)C3が常駐されている。製品基板としての基板Wは、例えばキャリアCA1又はキャリアCA2に収納され、ロードポートLP1又はロードポートLP2に載置され、基板処理装置10内に搬送されて各種の基板処理を受けることとなる。なお、基板処理装置10の基板処理能力の向上を図るため、また、多品種小ロット化に伴って製品基板用の搬送スペースを多数確保する必要があるため、基板処理装置10内に常駐されるダミーキャリアC3は1つに留めることが望ましい。
【0033】
以上、本実施形態の基板処理装置10について説明をしたが、各室の数や構成、組み合わせは上記に限られず、適宜、選択することができる。
【0034】
(2)装置コントローラ部の構成
以上のように構成された基板処理装置10は、その処理動作が装置コントローラ部20からの指示によって制御される。装置コントローラ部20は、基板処理装置10の内部に設けられたものであってもよいし、あるいは基板処理装置10とは別体で設置されて通信回線等を介して電気的に接続されるものであってもよい。
【0035】
以下、本実施形態に係る装置コントローラ部20の構成を図面に基づいて説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置10の装置コントローラ部20の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
図2に示すように、装置コントローラ部20は、大別すると、操作部22と、制御部クラスタコントローラ(以下、クラスタコントローラを「CC」と略す。)23と、制御部プロセスモジュールコントローラ(以下、プロセスモジュールコントローラを「PMC」と略す。)24と、を備えて構成されている。これらの操作部22、制御部CC23及び制御部PMC24は、いずれもコンピュータとしての機能を有して構築されたものである。なお、ここでいうコンピュータは、プログラムを実行することでそのプログラムで指示された情報処理を行うものであり、その一例としてはCPU(Central Processing Unit)、メモリ、入出力装置等の組み合わせによって構成されたものが挙げられる。
【0037】
操作部22、制御部CC23及び制御部PMC24は、スイッチングハブ25を介して、LAN等の通信ネットワークにより相互に接続されている。なお、スイッチングハブ25には、他にも、真空搬送室TMが備える真空ロボットVRと大気搬室EFEMが備える大気ロボットARとを制御するロボットコントローラ26が接続されている。
【0038】
操作部22は、ディスプレイ装置等の出力装置とキーボード及びマウス等の入力装置とを備えており、オペレータ(操作者)に対する情報出力を行うとともに、オペレータからの情報入力を受け付けるように構成されている。さらに、操作部22は、所定プログラムを実行することにより、システム制御コマンドの指示、モニタ内容の表示、ロギングデータの保持、アラーム解析、パラメータ編集などの処理を行う機能を有している。
【0039】
制御部CC23は、システム全体の運用制御、真空ロボットVRのコントロール制御、大気ロボットARのコントロール制御、真空搬送室TMの排気系制御などの処理を行う機能を有している。真空搬送室TMの排気系制御には、排気するガス流量を制御するマスフローコントローラ(MFC)の動作制御、排気用バルブのオン/オフ制御、排気ポンプの動作制御などが含まれる。つまり、制御部CC23は、操作部22で作成又は編集されたシーケンスレシピに基づいて、製品基板やダミー基板を搬送する際の制御データ(制御指示)を、真空ロボットVRや大気ロボットAR、各種バルブ、スイッチ等に対して出力し、基板処理装置10内における基板Wの搬送を制御するように構成されている。そのために、制御部CC23には、排気用バルブのオン/オフを制御するバルブデジタルI/O23aと、各種スイッチ(SW)等のオン/オフを制御するSWデジタルI/O23bとが、シーケンサ23cを介してそれぞれ接続されている。また、制御部CC23では、ロードポートLP1〜LP3に載置されたキャリアCA1〜CA3,C3を識別するために、当該キャリアCA1〜CA3,C3のキャリアIDを示すバーコード1,2,3・・・を読み取る機能も有している。
【0040】
制御部PMC24は、各プロセスチャンバPM1,PM2を個別に制御する機能を有している。つまり、制御部PMC24は、操作部22で作成又は編集されたプロセスレシピに基づいて、製品基板やダミー基板を処理する際の制御データ(制御指示)を、圧力コントローラ24aや、処理ガスの供給・排気用バルブ、各種スイッチ、MFC、温度調整器等に対して出力し、プロセスチャンバPM1,PM2内における基板処理の制御を行うように構成されている。そのために、制御部PMC24には、プロセスチャンバPM1,PM2内の圧力を制御するオートプレッシャコントローラ(APC)等の圧力コントローラ24aが接続されているとともに、処理ガスの供給や排気用バルブのオン/オフを制御するバルブデジタルI/O24b、各種スイッチ(SW)等のオン/オフを制御するSWデジタルI/O24cが、シーケンサ24dを介してそれぞれ接続されている。
【0041】
なお、装置コントローラ部20は、操作部22、制御部CC23及び制御部PMC24等の他にも、記憶装置27を備えている。記憶装置27は、例えばROM(Read Only Memory)やハードディスク装置等の不揮発性記憶装置として構成されている。記憶装置27は、基板処理装置10の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたレシピ等が、読み出し可能に格納されている。なお、レシピは、後述する基板処理工程における各手順を装置コントローラ部20に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、この制御プログラムやレシピ等を総称して、単にプログラムともいう。記憶装置27が記憶する各種プログラムには、詳細を後述する「ダミー基板累積膜厚管理プログラム」が含まれている。
【0042】
なお、装置コントローラ部20は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)28を用意し、係る外部記憶装置28を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係る装置コントローラ部20を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置18を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置28を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶装置27や外部記憶装置28は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置27単体のみを含む場合、外部記憶装置28単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0043】
(3)基板処理装置の動作
次に、本実施形態に係る基板処理装置10の動作について、図1を参照しながら説明する。以下の説明において、基板処理装置10の各部の動作は装置コントローラ部20により制御される。その制御に従いつつ基板処理装置10が行う基板処理工程は、半導体装置の製造工程の一工程として実施される。
【0044】
(基板搬入)
基板処理工程では、先ず、スタンバイ処理として、真空搬送室TM内及びプロセスチャンバPM1,PM2内を真空排気して、真空搬送圧の状態にしておく。また、併せて、大気搬送室EFEM内には、略大気圧になるようにクリーンエアを供給する。
【0045】
その後、例えば複数枚の基板Wを収納したキャリアCA1〜CA3,C3のいずれかがロードポートLP1〜LP3のいずれかに載置(投入)されると、キャリアIDの読み取り結果等を基にして、投入されたキャリアが製品基板、ダミー基板のいずれを収納するものであるかを判定する。
【0046】
ここで、ホストコンピュータ30又は操作部22からジョブを実行する旨のコマンド指示を受けると、制御部CC23は、大気ロボットARを制御するロボットコントローラ26に対して、基板Wについてロードロック室LM1,LM2のいずれかへの搬入を指示する。そして、基板Wがロードロック室LM1,LM2のいずれかへ搬入されると、その基板Wが搬入されたいずれかのロードロック室LM1,LM2の内部を真空排気する。
【0047】
いずれかのロードロック室LM1,LM2内を所定の圧力まで減圧したら、制御部CC23は、真空ロボットVRを制御するロボットコントローラ26に対して、ロードロック室LM1,LM2内に搬入された基板Wについて、真空搬送室TM内を経た後に、例えばプロセスチャンバPM1内への搬入を指示する。基板WのプロセスチャンバPM1内への搬入は、例えばプロセスチャンバPM1内にて処理可能な基板枚数の基板Wが搬入され、プロセスチャンバPM1内の全ての基板載置台ST11〜ST15が埋まるまで繰り返される。
【0048】
(プロセスチャンバ内での処理)
所定の基板枚数の基板WがプロセスチャンバPM1内に搬送された後は、プロセスチャンバPM1内に処理ガスを供給したり基板Wを加熱したりなどして、基板Wに対して所定の処理、例えばプラズマ等を用いた成膜処理等を実施する。このとき、プロセスチャンバPM2内においても、同一の、或いは異なる内容の基板処理が同時進行される場合もある。
【0049】
このとき、全ての基板載置台ST11〜ST15を埋めることなく、1バッチの基板枚数に満たない状態で基板処理を行った場合、基板Wが搬入されなかった基板載置台ST11〜ST15には、基板処理の内容に応じて、不要の成膜やエッチング処理等が施されてしまう。特に、プラズマを用いた基板処理では、プラズマ電極ともなる基板載置台ST11〜ST15に電気的特性の変化やそれに伴う基板処理性能の変化が生じ、成膜特性やエッチング特性が悪化してしまう。
【0050】
このことから、本実施形態の基板処理装置10では、製品基板で全ての基板載置台ST11〜ST15を埋めてから基板処理が施される。たとえ製品基板で全ての基板載置台ST11〜ST15が埋まらない場合でも、製品基板とダミー基板とを組み合わせて1バッチとするように構成されている。よって、全ての基板載置台ST11〜ST15に基板Wが載置されて、基板処理が施されるので、成膜特性やエッチング特性等の基板処理特性が安定する。
【0051】
プロセスチャンバPM1内における基板Wの処理が完了すると、装置コントローラ部20では、プロセスチャンバPM1のステータスが更新される。具体的には、例えばプロセスチャンバPM1内に形成された堆積膜の累積膜厚値である「PM累積膜厚値」が更新される。また、これと併せて、詳細を後述するように、ダミー基板についてのステータスも更新される。
【0052】
なお、以上のような処理は、プロセスチャンバPM1内のみならず、プロセスチャンバPM2内においても、同様に行われる。
【0053】
(基板搬出)
必要な処理が全て完了したら、上述した基板搬入の場合とは逆の手順で、例えばプロセスチャンバPM1内部の基板載置台ST11〜ST15に設置されている処理済の基板Wを搬出する。これにより、処理済みの製品基板は、例えばロードポートLP1に載置されたキャリアCA1に搬出されて空きスロットに収納される。また、ダミー基板については、例えばロードポートLP3に載置されたダミーキャリアC3に搬出されて空きスロットに収納される。処理済みの全ての基板Wを所定のキャリアCA1,C3等に収納したら、ダミー基板を収納したダミーキャリアC3はロードポートLP3に常駐させたまま、処理済みの製品基板を収納したキャリアCA1をロードポートLP1から搬出して、基板処理工程を完了する。
【0054】
(4)ダミー基板の運用
次に、上述した基板処理工程における一連の処理動作でのダミー基板の運用について、さらに詳しく説明する。
【0055】
(ダミー基板の用途)
本実施形態の基板処理装置10では、ダミー基板を、以下に述べる二つの用途で使用する。
【0056】
第1の用途としては、製品基板がプロセスチャンバPM1,PM2での一括処理枚数に満たない場合、不足枚数の補充にダミー基板が用いられる。すなわち、プロセスチャンバPM1,PM2内で製品基板を処理する際に、基板載置台ST11〜ST15,ST21〜ST25に空きスペースがあると、その空きスペースを埋めるためにダミー基板が用いられる。このような空きスペースをダミー基板で埋めることにより、当該空きスペースへの不要な成膜を防止することができ、プロセスチャンバPM1,PM2内での処理の均一化が図れるようになる。特に、プラズマ処理の場合は、不要な処理によるプラズマ電極の電気的特性の変化、それに伴う成膜状態の変化が生じ、その結果として成膜特性の劣化が生じ得るため、これを防止するために非常に有用である。
【0057】
第2の用途としては、不良またはトラブルが発生した基板載置台ST11〜ST15,ST21〜ST25で製品基板が処理されるのを抑制するためにダミー基板が用いられる。すなわち、不良またはトラブルが発生した基板載置台ST11〜ST15,ST21〜ST25に対して、製品基板に代わってダミー基板が搬入されて用いられる。具体的には、基板載置台毎のヒータを検討する向きもあり、その場合には基板載置台毎に特性が異なってしまうため、ダミー基板を用いることで製品基板に悪影響が及ぶのを回避できる。また、熱電対引き出し線がある基板載置台の下を通過している場合には、その基板載置台の特性が異なっている可能性もあるが、その場合にもダミー基板を用いることで製品基板に悪影響が及ぶのを回避できる。さらには、ダミー基板を用いることで、プロセス条件出しにて製品基板の搬入枚数や基板載置台等を固定できるという利点も得られる。
【0058】
このように、ダミー基板については、プロセスチャンバPM1,PM2での一括処理枚数となるように、また、不良/トラブル発生基板載置台への搬入のために、制御部CC23からの指示に従いつつ、自動的に基板載置台ST11〜ST15,ST21〜ST25上に載置されて用いられる。これにより、操作部22を操作するオペレータは、ロットスタート画面にて製品基板のみ指定すればよい。
【0059】
(ダミー基板の膜厚管理)
ところで、ダミー基板は、繰り返し使用されるので、例えば基板処理が成膜処理であると、複数回使用されるうちに堆積膜が累積していく。そのため、ダミー基板を過剰に使用すると、累積膜厚が増大し、パーティクルが発生し、また膜応力の過多や繰り返し使用による熱履歴によりダミー基板の反りや変形等が発生してしまい、搬送エラーを起こしやすくなる。このことから、本実施形態の基板処理装置10では、装置コントローラ部20がダミー基板の累積膜厚を管理する。
【0060】
累積膜厚の管理は、操作部22と制御部CC23の少なくとも一方がダミー基板についての情報を記憶保持することによって行う。図3は、ダミー基板についての情報の一具体例を示す説明図である。
【0061】
図3に示すように、操作部22と制御部CC23の少なくとも一方は、ダミーキャリアC3に収納される1ロット分(例えば25枚)を一つの単位として、そこに収納される各ダミー基板についての情報を記憶保持する。ダミー基板についての情報には、当該ダミー基板の累積膜厚値が含まれている。そして、必要に応じて(例えばプロセスチャンバPM1,PM2内での処理が行われる度に)、記憶保持している情報の更新を行う。
【0062】
このようにして、操作部22と制御部CC23の少なくとも一方は、ダミー基板についてのステータス、特にダミー基板の累積膜厚値を含む情報を管理する。なお、管理する情報(特に累積膜厚値)は、ダミー基板についてのモニタ情報として、操作部22からオペレータに対して表示出力されるようになっている。
【0063】
また、ダミー基板の累積膜厚値は、予め設定されている閾値と比較され、当該閾値に達したか否か、すなわち当該ダミー基板の交換が必要であるか否か判断される。
【0064】
この判断に用いられる閾値は、操作部22が管理するメンテナンス情報の一つとして、その設定が行われる。図4は、メンテナンス情報の一具体例を示す説明図である。
【0065】
図4に示すように、閾値の設定にあたり、操作部22は、メンテナンス情報の管理画面を、オペレータに対して表示出力する。そして、その管理画面上にて「ダミー基板累積膜厚」が選択されると、操作部22は、閾値の入力設定を行えるようにする。入力設定される閾値には、アラート(警報)閾値とアラーム(警告)閾値との二段階がある。
【0066】
また、メンテナンス情報の管理画面には、累積膜厚を管理している一単位分のダミー基板のうちで累積膜厚値が最大の値が、モニタ表示されている。そして、アラート閾値及びアラーム閾値が設定入力された後、操作部22は、モニタ表示中の累積膜厚値がアラート閾値またはアラーム閾値への到達を監視している。
【0067】
累積膜厚値がアラート閾値に到達した場合、操作部22は、交換用のダミーキャリアの準備を促すべく、例えば表示画面上における累積膜厚表示エリアの背景色をアラート色(例えば黄色)で表示することでアラート出力を行うとともに、ホストコンピュータ30へのアラート報告を行う。また、累積膜厚値がアラーム閾値に到達した場合、操作部22は、使用限界を超過したダミー基板の使用を禁止すべく、例えば表示画面上における累積膜厚表示エリアの背景色をアラーム色(例えば赤色)で表示することでアラーム出力を行うとともに、ホストコンピュータ30へのアラーム報告を行う。その上で、操作部22は、さらに、実行中の全ジョブ完了までは動作継続を行うが、新規ジョブは実行を許可せず、全ジョブ実行完了後にダミーキャリアC3を自動でロードポートLP3上から搬出するように、制御部CC23に対してコマンド指示を与える。
【0068】
以上のようなアラート出力またはアラーム出力に応じてダミーキャリアC3がロードポートLP3上から搬出されると、操作部22と制御部CC23の少なくとも一方は、当該ダミーキャリアC3が収納しているダミー基板についてのステータス、特にダミー基板の累積膜厚値を含む情報を、原則としてゼロクリアする。
【0069】
その後は、新たなダミー基板を収納したダミーキャリアC3が例えばロードポートLP3上に再投入されて、引き続きダミー基板の運用が行われる。
【0070】
(5)ダミーキャリアの再投入
ダミーキャリアC3のロードポートLP3上への再投入については、上述したアラート出力またはアラーム出力に応じて行われるものの他に、以下に述べる第1〜第4の再投入態様によるものがある。
【0071】
(第1の再投入態様)
基板処理装置10については、定期メンテナンスを行う必要がある。定期メンテナンスとしては、例えば、フロントモジュールである大気搬送室EFEMのオーバーホールや、大気搬送室EFEM内の大気ロボットAR等の搬送系のグリスアップが挙げられる。このような定期メンテナンスを行う場合には、大気搬送室EFEMに接続するロードポートLP1〜LP3上にキャリアCA1〜CA3,C3が載置されていると、当該キャリアCA1〜CA3,C3が作業の邪魔になってしまうおそれがある。そのため、定期メンテナンスを行う場合には、例えばロードポートLP3上にダミーキャリアC3があれば、収容するダミー基板の累積膜厚値がアラート閾値に達していないときでも、そのダミーキャリアC3が一旦ロードポートLP3上から搬出される。そして、定期メンテナンスの作業終了後に、ダミーキャリアC3がロードポートLP3上に再投入されることになる。
【0072】
(第2の再投入態様)
基板処理装置10が用いられる半導体装置の製造現場では、当該基板処理装置10と他装置(例えば、縦型の基板処理装置や定期メンテナンスに入った他の基板処理装置10)との間で、ダミー基板を共用することがある。このような場合には、他装置で使用したダミー基板(使用済みであるが累積膜厚値がアラート閾値に達していないもの)を基板処理装置10にて再利用することが考えられる。つまり、再利用するダミー基板を収容したダミーキャリアC3が、ロードポートLP3上に投入されることになる。以下、ここでの投入についても「再投入」と称する。
【0073】
(第3の再投入態様)
基板処理装置10については、装置の改変作業を行う必要が生じる場合がある。改変作業としては、装置を動作させるソフトウエアのバージョンアップのための作業が挙げられる。また、例えば突発的な異常発生による復旧処理のために、装置の構成部品を改変(交換)することもあり得る。このような改変作業を行う場合には、その作業後に動作確認を行うことが必須となるが、その動作確認中に装置が予期せぬ動作を行うこともあり得る。そのため、ロードポートLP1〜LP3上にキャリアCA1〜CA3,C3が載置されていると、予期せぬ動作によりキャリア破損等のトラブルやこれに類する事態が発生してしまうことが懸念される。このことから、装置の改変作業を行う場合には、例えばロードポートLP3上にダミーキャリアC3があれば、収容するダミー基板の累積膜厚値がアラート閾値に達していないときでも、そのダミーキャリアC3が一旦ロードポートLP3上から搬出される。そして、装置の改変作業が終了し、その作業後の動作確認が完了した後に、ダミーキャリアC3がロードポートLP3上に再投入されることになる。
【0074】
(第4の再投入態様)
基板処理装置10においては、例えば、ロードポートLP1〜LP3上のキャリアCA1〜CA3に収納される製品基板の枚数がプロセスチャンバPM1,PM2での一括処理枚数(例えば5枚)の倍数であり、長期間にわたってダミー基板を必要としないことがわかっている場合がある。その場合には、ダミーキャリアC3をロードポートLP3上から搬出し、なるべく製品基板を収納するキャリアCA1〜CA3のためにロードポートLP1〜LP3を確保して、効率的な運用を図ることが想定される。そして、このような運用を図る場合には、ダミー基板を必要としない期間が経過した後に、ダミーキャリアC3がロードポートLP3上に再投入されることになる。
【0075】
(再投入の際の問題点)
以上に挙げた第1〜第4の再投入態様において、ロードポートLP3上からのダミーキャリアC3の搬出時にダミー基板の累積膜厚値を含む情報がゼロクリアされてしまうと、再投入されたダミーキャリアC3におけるダミー基板に実際に累積している膜厚値と、装置コントローラ部20が認識している膜厚値との間には、乖離が発生してしまう。このことから、本実施形態に係る基板処理装置10における装置コントローラ部20は、以下に説明するように、ダミーキャリアC3が再投入された際に各ダミー基板の累積膜厚値の再設定を行えるように構成されている。
【0076】
(6)装置コントローラ部の機能構成
以下、本実施形態に係る基板処理装置10における装置コントローラ部20の機能構成について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置10の装置コントローラ部20における機能構成を示すブロック図である。
【0077】
装置コントローラ部20は、「ダミー基板累積膜厚管理プログラム」を記憶装置27に格納している。そして、装置コントローラ部20の起動時に、または、ダミーキャリアC3が例えばロードポートLP3上に載置され、そのことがセンサ等によって検知され、その検知信号を装置コントローラ部20が受信した時に、「ダミー基板累積膜厚管理プログラム」を記憶装置27から読み出して実行するように構成されている。
【0078】
「ダミー基板累積膜厚管理プログラム」の実行によって、装置コントローラ部20は、上述したアラート出力及びアラーム出力を含む累積膜厚管理処理を行う。さらに、「ダミー基板累積膜厚管理プログラム」の実行によって、装置コントローラ部20における操作部22及び制御部CC23においては、図5に示す機能構成が実現される。すなわち、操作部22では、メッセージ解析部41、LP管理部42、ダミーキャリア制御部43、データ記憶部44、制御部通信部45、材料管理部46、累積膜厚管理部47、画面表示部48、及び、情報設定部49としての機能が実現される。また、制御部CC23では、メッセージ解析部51、材料管理部52、及び、操作部通信部53としての機能が実現される。
【0079】
メッセージ解析部41は、制御部CC23または操作部22が備える他の部からの要求や通知等のメッセージを受信し、その内容に応じて受信メッセージの他の部への割り振りを行うように構成されている。
【0080】
LP管理部42は、キャリアCA1〜CA3,C3のロードポートLP1〜LP3に対する投入又は搬出を管理し、キャリア認証結果などの管理データをLP管理データ61として格納し、さらにはキャリア認証メッセージをダミーキャリア制御部43へ渡すように構成されている。
【0081】
ダミーキャリア制御部43は、ダミーキャリアC3のロードポートLP3上からの搬出タイミングになると、同一キャリアの再投入に備えて、当該ダミーキャリアC3のキャリアIDとダミー基板累積膜厚値データを、データ記憶部44に格納するように構成されている。また、ダミーキャリア制御部43は、ダミーキャリアC3がロードポートLP3上に再投入された場合に、LP管理部42から渡されたキャリア認証メッセージに累積膜厚自動設定フラグが立てられていると、データ記憶部44での格納データと再投入されたダミーキャリアC3のキャリアIDとが一致しているか否かを確認し、一致していればデータ記憶部44での格納データにおける各ダミー基板の累積膜厚値を読み出して、ダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを制御部通信部45へ渡すように構成されている。さらに、ダミーキャリア制御部43は、メッセージ解析部41からダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを渡されると、データ記憶部44から読み出した格納データにおける各ダミー基板の累積膜厚値を、材料管理部46へ渡すように構成されている。
【0082】
データ記憶部44は、ダミーキャリア制御部43からの指示に従いつつ、ダミーキャリアC3がロードポートLP3上から搬出されるときの当該ダミーキャリアC3の各ダミー基板の膜厚値を保持するように構成されている。さらに、データ記憶部44は、ダミーキャリアC3を識別する識別子であるキャリアIDについても、各ダミー基板の膜厚値と同様に、保持するように構成されている。つまり、データ記憶部44は、ダミーキャリアC3の搬出時における当該ダミーキャリアC3のキャリアIDと各ダミー基板の累積膜厚値とを保持することで、本発明における記憶部として機能するようになっている。
【0083】
制御部通信部45は、ダミーキャリア制御部43から渡されたダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを、制御部CC23におけるメッセージ解析部51へ渡すように構成されている。
【0084】
材料管理部46は、ダミーキャリア制御部43から各ダミー基板の累積膜厚値を渡されると、操作部22の側で管理しているダミー基板のステータスに関するデータである基板データ62、さらに詳しくは当該基板データ62に含まれるダミー基板の累積膜厚値を、ダミーキャリア制御部43から渡された累積膜厚値によって更新するように構成されている。つまり、材料管理部46は、ダミーキャリアC3が再投入されると、データ記憶部44が保持する各ダミー基板の膜厚値に基づいて、基板データ62に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を再設定することで、本発明における管理部として機能するようになっている。
【0085】
累積膜厚管理部47は、ダミー基板についてのモニタ情報やメンテナンス情報等の表示出力にあたり、その表示出力の基になる画面表示データ63を、基板データ62に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値に基づいて更新するように構成されている。したがって、画面表示データ63における各ダミー基板の累積膜厚値は、再設定後の基板データ62と同一内容のものになる。なお、累積膜厚管理部47では、例えばメンテナンス情報の表示出力(例えば図4参照)を行う場合であれば、累積膜厚値の最大値を累積膜厚モニタ値として画面表示データ63の更新を行うようになっている。
【0086】
画面表示部48は、画面表示データ63を参照しつつ、ダミー基板についてのモニタ情報やメンテナンス情報等の表示出力を行うための画像を生成し、その生成画像を操作部22のディスプレイ装置等にて表示出力させるように構成されている。画面表示部48によって表示出力される画像には、例えば以下のようなものがある。その一つは、例えばロードポートLP3上のダミーキャリアC3についてのメンテナンス情報として、当該ダミーキャリアC3内のダミー基板の累積膜厚値を含む情報を出力するための画像である(例えば図4参照)。また、他の一つは、例えばロードポートLP3上のダミーキャリアC3内の各ダミー基板についての情報として、当該各ダミー基板の累積膜厚値を含む情報を一覧形式で出力するための画像である(例えば図3参照)。つまり、これらの画像を表示出力させる画面表示部48は、本発明におけるメンテナンス情報出力部または情報出力部としての機能を有したものである。
【0087】
情報設定部49は、画面表示部48が表示出力させる画面上において、オペレータによる操作内容に従いつつ、メンテナンス情報に含まれる累積膜厚値の編集、または一覧形式で出力された累積膜厚値の各ダミー基板別での編集を受け付けるように構成されている。つまり、このような累積膜厚値の編集を受け付ける情報設定部49は、本発明における第一設定部または第二設定部としての機能を有したものである。
【0088】
メッセージ解析部51は、操作部22と制御部CC23との間の要求や通知等のメッセージを解析し、その内容に応じて受信したメッセージを他の部へ割り振るように構成されている。
【0089】
材料管理部52は、操作部22からダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを受け取ると、制御部CC23の側で管理しているダミー基板のステータスに関するデータである基板データ64、さらに詳しくは当該基板データ64に含まれるダミー基板の累積膜厚値を、受け取ったダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージにおける累積膜厚値によって更新するように構成されている。つまり、材料管理部52は、ダミーキャリアC3が再投入されると、操作部22のデータ記憶部44が保持する各ダミー基板の膜厚値に基づいて、基板データ64に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を再設定するようになっている。また、材料管理部52は、ダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージに応じて基板データ64の累積膜厚値を更新すると、ダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを操作部通信部53へ渡すように構成されている。
【0090】
操作部通信部53は、材料管理部52からのダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを、操作部22のメッセージ解析部41へ渡すように構成されている。
【0091】
なお、ここでは、操作部22と制御部CC23のそれぞれが基板データ62,64を管理している場合を例に挙げている。ただし、基板データは、操作部22と制御部CC23の少なくとも一方が管理していればよい。どちらか一方のみが管理する場合には、操作部22と制御部CC23が同一の基板データを共用することになる。
【0092】
(7)ダミーキャリア再投入時の処理
次に、本実施形態に係る基板処理装置10において、ダミーキャリアC3がロードポートLP3上へ再投入された際に、ダミー基板の累積膜厚値を自動設定する処理動作を、図面に基づいて説明する。
【0093】
(自動設定処理)
図6は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置10でのダミーキャリア再投入時の自動設定処理の動作例を示すフローチャートである。なお、ここでは、上述した第1の再投入態様(すなわち定期メンテナンスの実施)によって、ダミーキャリアC3の再投入を行う場合を例に挙げて説明する。
【0094】
図6に示すように、操作部22において、ダミーキャリアC3の払い出し(すなわちロードポートLP3上からの搬出)をセンサ等の検知結果により認識すると(ステップ101、以下ステップを「S」と略す。)、ダミーキャリア制御部43は、当該ダミーキャリアC3のキャリアIDと、当該ダミーキャリアC3に収納された各ダミー基板の累積膜厚値とを、データ記憶部44に格納する(S102)。各ダミー基板の累積膜厚値については、例えば操作部22がその時点で管理している基板データ62にアクセスして取得することが考えられる。これにより、データ記憶部44は、ダミーキャリアC3のキャリアID毎に、当該ダミーキャリアC3が搬出されたときの各ダミー基板の累積膜厚値と各スロット番号とを、互いに関連付けた状態で保持することになる(S103)。
【0095】
そして、ロードポートLP3等の定期メンテナンスが実施された後に(S104)、例えばロードポートLP3上にダミーキャリアC3が再投入されると、LP管理部42は、そのダミーキャリアC3に対するキャリア認証結果について、キャリア認証メッセージとしてダミーキャリア制御部43へ渡す(S105)。キャリア認証メッセージを受け取ると、ダミーキャリア制御部43は、データ記憶部44にアクセスして、データ記憶部44が保持しているデータ、すなわち前回払い出したダミーキャリアC3についてのデータ(特にキャリアID及び各スロット番号で特定される各ダミー基板の累積膜厚値)を取得する(S106)。
【0096】
ここで、ダミーキャリア制御部43は、キャリア認証メッセージに係るキャリアIDを、データ記憶部44から取得したキャリアIDと照合し、それぞれが互いに一致するか否かを判断する(S107)。そして、キャリアIDが一致する場合、ダミーキャリア制御部43は、前回払い出したダミーキャリアC3についてのデータに基づき、各ダミー基板の累積膜厚値の再設定を行うか否かを判断する(S108)。この判断は、例えば、受け取ったキャリア認証メッセージに再設定を禁止する旨のフラグが付されているか否かによって行うことが考えられる。
【0097】
その結果、各ダミー基板の累積膜厚値の再設定を行うと判断した場合であれば、ダミーキャリア制御部43は、データ記憶部44から取得した各ダミー基板の累積膜厚値を含むダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを作成し、そのダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを制御部CC23の側へ渡す(S109)。なお、キャリアIDが一致せず(S107)、または再設定を行わないと判断すると(S108)、いずれの場合においても、操作部22は、その時点でダミー基板の累積膜厚値の再設定のための処理を終了する。
【0098】
操作部22からダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを受け取ると、制御部CC23の側では、材料管理部52が、再投入されたダミーキャリアC3について制御部CC23の側で管理する基板データ64に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を、ダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージに含まれる累積膜厚値によって更新することで、当該累積膜厚値の再設定を行う(S110)。そして、累積膜厚値の再設定を行うと、材料管理部52は、ダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを操作部22の側へ渡す。
【0099】
ダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを受け取ると、操作部22の側では、ダミーキャリア制御部43が、データ記憶部44から取得した各ダミー基板の累積膜厚値を、材料管理部46へ渡す。これにより、材料管理部46は、操作部22の側で管理する基板データ62に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を、ダミーキャリア制御部43から渡された累積膜厚値によって更新することで、当該累積膜厚値の再設定を行う(S111)。これにより、再投入されたダミーキャリアC3についての基板データ62は、その内容がゼロクリアされるのではなく、ロードポートLP3上からの搬出時と同内容に自動で再設定されることになる。
【0100】
さらに、操作部22の側では、累積膜厚管理部47が、ダミー基板についての情報を表示出力するための画面表示データ63を、再設定後の基板データ62に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値に基づいて更新する(S111)。これにより、オペレータは、画面上の表示出力内容を目視することで、再設定後におけるダミー基板の累積膜厚値を認識できるようになる。
【0101】
(メンテナンス情報設定処理)
上述した一連の手順によれば、同一キャリアIDのダミーキャリアC3が再投入されると、その再投入時に、当該ダミーキャリアC3内の各ダミー基板の累積膜厚値が、ロードポートLP3上からのキャリア搬出時と同内容に自動で再設定される。ところが、何らかの理由で上述した一連の手順を利用できない場合が生じてしまうことも考えられる。
【0102】
このことから、本実施形態に係る基板処理装置10は、以下に述べる手順によっても、各ダミー基板の累積膜厚値の再設定を行うことが可能である。図7は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置10でのダミーキャリア再投入時のメンテナンス情報設定処理の動作例を示すフローチャートである。
【0103】
図7に示すように、ダミーキャリアC3が例えばロードポートLP3上に再投入されるまでの手順は、上述した自動設定処理の場合(図6参照)と全く同様である(S201〜S204)。
【0104】
その後、操作部22の側では、累積膜厚管理部47が管理する画面表示データ63を参照しつつ、画面表示部48によってメンテナンス情報の表示出力が行われる。さらに詳しくは、ロードポートLP3上のダミーキャリアC3についてのメンテナンス情報として、当該ダミーキャリアC3内のダミー基板の累積膜厚値を含む情報が、画面表示部48によって表示出力される(S205)。このときに表示出力されるメンテナンス情報の管理画面には、ダミーキャリアC3内のダミー基板のうちで累積膜厚値が最大の値が、モニタ表示されている(例えば図4参照)。そして、メンテナンス情報の管理画面上において、累積膜厚値のモニタ値がオペレータによって編集されると、情報設定部49がその編集内容を受け付ける(S205)。つまり、オペレータ操作によって、累積膜厚値のモニタ値(すなわち代表値)が再設定されることになる。
【0105】
累積膜厚値のモニタ値が再設定されると、ダミーキャリア制御部43は、再設定されたモニタ値を含むダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを作成し、そのダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを制御部CC23の側へ渡す(S206)。
【0106】
操作部22からダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを受け取ると、制御部CC23の側では、材料管理部52が、再投入されたダミーキャリアC3について制御部CC23の側で管理する基板データ64に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を、ダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージに含まれるモニタ値によって一律に更新することで、当該累積膜厚値の再設定を行う(S207)。そして、累積膜厚値の再設定を行うと、材料管理部52は、ダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを操作部22の側へ渡す。
【0107】
ダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを受け取ると、操作部22の側では、ダミーキャリア制御部43が、情報設定部49で受け付けた編集後の累積膜厚値のモニタ値を、材料管理部46へ渡す。これにより、材料管理部46は、操作部22の側で管理する基板データ62に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を、ダミーキャリア制御部43から渡されたモニタ値によって一律に更新することで、当該累積膜厚値の再設定を行う(S208)。これにより、再投入されたダミーキャリアC3についての基板データ62は、その内容がゼロクリアされるのではなく、メンテナンス情報の管理画面上で編集されたモニタ値によって、全ダミー基板の累積膜厚値が一律に再設定されることになる。
【0108】
(ダミー基板情報設定処理)
また、本実施形態に係る基板処理装置10は、以下に述べる手順によっても、各ダミー基板の累積膜厚値の再設定を行うことが可能である。図8は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置10でのダミーキャリア再投入時のダミー基板情報設定処理の動作例を示すフローチャートである。
【0109】
図8に示すように、ダミーキャリアC3が例えばロードポートLP3上に再投入されるまでの手順は、上述した自動設定処理の場合(図6参照)と全く同様である(S301〜S304)。
【0110】
その後、操作部22の側では、累積膜厚管理部47が管理する画面表示データ63を参照しつつ、画面表示部48によって一覧形式で纏められた各ダミー基板についての情報の表示出力が行われる。さらに詳しくは、ロードポートLP3上のダミーキャリアC3内の各ダミー基板についての情報として、当該各ダミー基板の累積膜厚値を含む情報を一覧形式で纏めたものが、画面表示部48によって表示出力される(S305)。このときに表示出力される各ダミー基板についての情報は、ダミーキャリアC3におけるスロットナンバーと対応付けられて、各ダミー基板の累積膜厚値がそれぞれ個別に表示されている(例えば図3参照)。そして、各ダミー基板についての情報の表示画面上において、それぞれの累積膜厚値がオペレータによって個別に編集されると、情報設定部49がその編集内容を受け付ける(S305)。つまり、オペレータ操作によって、必要に応じてそれぞれの累積膜厚値が個別に再設定されることになる。
【0111】
それぞれの累積膜厚値が再設定されると、ダミーキャリア制御部43は、再設定された累積膜厚値を含むダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを作成し、そのダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを制御部CC23の側へ渡す(S306)。
【0112】
操作部22からダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを受け取ると、制御部CC23の側では、材料管理部52が、再投入されたダミーキャリアC3について制御部CC23の側で管理する基板データ64に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を、ダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージに含まれるそれぞれの累積膜厚値によって個別に更新することで、当該累積膜厚値の再設定を行う(S307)。そして、累積膜厚値の再設定を行うと、材料管理部52は、ダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを操作部22の側へ渡す。
【0113】
ダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを受け取ると、操作部22の側では、ダミーキャリア制御部43が、情報設定部49で受け付けた編集後の累積膜厚値を、材料管理部46へ渡す。これにより、材料管理部46は、操作部22の側で管理する基板データ62に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を、ダミーキャリア制御部43から渡されたそれぞれの累積膜厚値によって個別に更新することで、当該累積膜厚値の再設定を行う(S308)。これにより、再投入されたダミーキャリアC3についての基板データ62は、その内容がゼロクリアされるのではなく、各ダミー基板についての情報の表示画面上で編集されたそれぞれの累積膜厚値によって、各ダミー基板の累積膜厚値が個別に再設定されることになる。
【0114】
(8)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に挙げる一つ又はそれ以上の効果を奏する。
【0115】
(a)本実施形態によれば、ダミーキャリアC3が例えばロードポートLP3上に載置される基板処理装置10において、ロードポートLP3上のダミーキャリアC3が搬出されても、そのダミーキャリアC3内の各ダミー基板の累積膜厚値を保持しておくことで、各ダミー基板の累積膜厚値を継続的に管理できるので、そのダミーキャリアC3がロードポートLP3上に再投入された際に、各ダミー基板の累積膜厚値の再設定を行うことができる。
【0116】
したがって、本実施形態によれば、ロードポートLP3上のダミーキャリアC3が搬出されても、そのダミーキャリアC3内の各ダミー基板の累積膜厚値を再設定できるので、ダミーキャリアC3が搬出される毎にダミー基板を新たなものに交換する必要がなく、予
め設定された累積膜厚の閾値までダミー基板を有効に利用することができる。例えば、プロセスチャンバPM1,PM2で1回あたりSiO膜10nm程度の成膜処理を行う場合に、ダミー基板の累積膜厚値の閾値をSiO膜1000nmとすると、一つのダミー基板を100回まで利用することができる。さらに詳しくは、例えば、1日に成膜処理を4回ずつ、1回あたりダミー基板を1枚利用したとして、2つのプロセスチャンバPM1,PM2で計算すると、1日あたりのダミー基板利用回数は4回×1枚×2つ=8回となり、ダミーキャリアC3にダミー基板が25枚あると、全てのダミー基板が累積膜厚の閾値に到達するまでの回数は25枚×100回=2500回となり、その閾値到達に要する日数は2500回÷8回=約300日となる。このように、一旦使用を開始したダミーキャリアC3は、約300日という長期間にわたって使用し続けられるため、例えば定期メンテナンス等によってロードポートLP3上から一時的に搬出される可能性が高い。そのため、本実施形態のように、各ダミー基板の累積膜厚値を再設定できるようにして、累積膜厚の閾値まで各ダミー基板を有効に利用できるようにすることは、利点が大きいと言える。
【0117】
(b)また、本実施形態によれば、ロードポートLP3上のダミーキャリアC3が搬出されても、そのダミーキャリアC3が再投入された際に各ダミー基板の累積膜厚値が再設定され、各ダミー基板の累積膜厚値を継続的に管理できるので、累積膜厚値が閾値に達しているにも拘らず、累積膜厚値が閾値以上のダミー基板を誤って使用してしまうといったことがない。つまり、ダミー基板の誤使用が装置内パーティクルの発生原因となり得るというリスクを未然に回避することができる。
【0118】
(c)また、本実施形態によれば、累積膜厚値に起因するダミー基板交換周期の前に、例えば定期メンテナンスの実施により、ダミーキャリアC3がロードポートLP3上から搬出されたとしても、ダミーキャリアC3の再投入後には各ダミー基板の累積膜厚値を継続的に管理できるので、本当に必要な場合にのみダミー基板の交換を行えばよく、ダミーキャリアC3が搬出される度にダミー基板の交換を行う場合に比べて、無駄コストの削減が期待できる。
【0119】
(d)また、本実施形態によれば、ダミーキャリアC3の搬出及び再投入を通じて各ダミー基板の累積膜厚値を継続的に管理することで、ダミーキャリアC3内の複数のダミー基板のうち、どのダミー基板が累積膜厚値の閾値に達しているか否か明確に管理することができる。そのため、ダミーキャリアC3内のダミー基板が原因となって装置内パーティクルが発生した場合であっても、累積膜厚値の閾値に達しているダミー基板のみを新たなものに交換すればよく、ダミーキャリアC3毎、すなわち全てのダミー基板を交換する場合に比べて、無駄コストの発生を抑えられる。
【0120】
(e)また、本実施形態によれば、ダミーキャリアC3が再投入された際の各ダミー基板の累積膜厚値の再設定にあたり、原則として自動設定処理(例えば図6参照)を行うが、何らかの理由で自動設定処理を利用できない場合であっても、オペレータがメンテナンス情報の管理画面から設定処理を行ったり(例えば図7参照)、各ダミー基板についての情報の一覧表示画面から設定処理を行ったり(例えば図8参照)することができる。つまり、オペレータが、累積膜厚値の再設定を行うこともできる。したがって、オペレータが意図する累積膜厚値を直接的に反映させることも可能となり、基板処理装置10を運用する上での自由度や利便性等を高めることができる。特に、基板処理装置10の立ち上げ時には、オフライン運用でオペレータが画面操作する場面が多いことも想定されるが、オペレータが直接累積膜厚値を設定する機能を用意しておくことで、オペレータにとっては非常に有用なものとなる。
【0121】
(f)また、本実施形態によれば、ダミーキャリアC3を再投入する場合として、定期メンテナンスの実施による第1の再投入態様を想定している。したがって、定期メンテナンスの実施によって故障やトラブル等がない安定的な基板処理装置10の動作・運用が実現可能としつつ、さらに上記(a)〜(e)で述べたうちの一つ又はそれ以上の効果を奏する。
【0122】
(g)また、本実施形態によれば、ダミーキャリアC3を再投入する場合として、他装置で使用したダミー基板の再利用という第2の再投入態様を想定している。したがって、ダミー基板を再利用することで当該ダミー基板の有効利用を図り無駄コストの削減が可能になり、さらに上記(a)〜(e)で述べたうちの一つ又はそれ以上の効果を奏する。特に、第2の再投入態様の場合については、上記(e)で述べたように、オペレータが累積膜厚値を設定し得るようにすることが有効である。ただし、他装置で使用したダミー基板の累積膜厚値を当該他装置等から取得する機能を設けておけば、オペレータが直接的に設定するのではなく、原則通り自動設定処理を行うようにすることも考えられる。
【0123】
(h)また、本実施形態によれば、ダミーキャリアC3を再投入する場合として、装置改変作業による第3の再投入態様を想定している。したがって、装置改変作業により基板処理装置10の機能や性能等の向上を図りつつ、さらに上記(a)〜(e)で述べたうちの一つ又はそれ以上の効果を奏する。特に、第3の再投入態様のように装置改変作業を経る場合には、基板処理装置10が安定的に動作し得るようになるまでにダミーキャリアC3の一時的な搬出を要することも多くなると考えられるが、そのような場合であっても各ダミー基板の累積膜厚値の再設定により当該累積膜厚値を継続的に管理できるようにすることは非常に有用であると言える。
【0124】
(i)また、本実施形態によれば、ダミーキャリアC3を再投入する場合として、長期間にわたってダミー基板が不要となる第4の再投入態様を想定している。したがって、全てのロードポートLP1〜LP3を、製品基板を収納するキャリアCA1〜CA3のために確保することで、基板処理装置10の効率的な運用を図ることを実現可能としつつ、さらに上記(a)〜(e)で述べたうちの一つ又はそれ以上の効果を奏する。
【0125】
<本発明の第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0126】
本実施形態では、AMHS(Automated Material Handling Systems)により、キャリアCA1〜CA3,C3を自動搬送する場合の運用について説明する。AMHSとは、半導体生産ラインにおいて、ウエハAMHS装置間または基板処理装置10のロードポートLP1〜LP3との間で、基板Wの搬送を当該基板WがキャリアCA1〜CA3,C3に収納された状態で自動的に行うシステムである。
【0127】
(9)ダミーキャリア再投入時の処理
本実施形態においては、主として、ダミーキャリアC3のロードポートLP3上への再投入の際にダミー基板の累積膜厚値を再設定する処理動作が、上述した第1の実施形態の場合とは異なる。
【0128】
(自動設定処理)
図9は、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置10でのダミーキャリア再投入時の自動設定処理の動作例を示すフローチャートである。なお、ここでも、上述した第1の実施形態の場合と同様に、第1の再投入態様(すなわち定期メンテナンスの実施)によって、ダミーキャリアC3の再投入を行う場合を例に挙げて説明する。
【0129】
図9に示すように、ダミーキャリアC3が搬出された後、定期メンテナンスを実施するまでの手順は、上述した第1の実施形態の場合での自動設定処理の場合(図6参照)と全く同様である(S401〜S404)。
【0130】
定期メンテナンスの実施後、AMHSによって例えばロードポートLP3上にダミーキャリアC3が再投入されると、ホストコンピュータ30からは、ダミーキャリアC3についてのキャリア認証メッセージが送られてくる(S405)。このキャリア認証メッセージは、ホストコンピュータ30にて、「累積膜厚自動設定フラグ(有り)」という付加データが設定されているものとする。このような付加データが付されたキャリア認証メッセージを受け取ると、ダミーキャリア制御部43は、データ記憶部44にアクセスして、データ記憶部44が保持しているデータ、すなわち前回払い出したダミーキャリアC3についてのデータ(特にキャリアID及び各ダミー基板の累積膜厚値)を取得する(S406)。
【0131】
ここで、ダミーキャリア制御部43は、キャリア認証メッセージに係るキャリアIDを、データ記憶部44から取得したキャリアIDと照合し、それぞれが互いに一致するか否かを判断する(S407)。そして、キャリアIDが一致する場合、ダミーキャリア制御部43は、キャリア認証メッセージに「累積膜厚自動設定フラグ(有り)」という付加データが設定されているか否かを判断する(S408)。
【0132】
その結果、「累積膜厚自動設定フラグ(有り)」が付加されていれば、ダミーキャリア制御部43は、データ記憶部44から取得した各ダミー基板の累積膜厚値を含むダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを作成し、そのダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを制御部CC23の側へ渡す(S409)。なお、キャリアIDが一致せず(S407)、または「累積膜厚自動設定フラグ(有り)」が付加されていなければ(S408)、いずれの場合においても、操作部22は、その時点でダミー基板の累積膜厚値の再設定のための処理を終了する。
【0133】
ダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを受け取ると、操作部22の側では、ダミーキャリア制御部43が、データ記憶部44から取得した各ダミー基板の累積膜厚値を、材料管理部46へ渡す。これにより、材料管理部46は、操作部22の側で管理する基板データ62に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を、ダミーキャリア制御部43から渡された累積膜厚値によって更新することで、当該累積膜厚値の再設定を行う(S411)。これにより、再投入されたダミーキャリアC3についての基板データ62は、その内容がゼロクリアされるのではなく、ロードポートLP3上からの搬出時と同内容に自動で再設定されることになる。
【0134】
さらに、操作部22の側では、累積膜厚管理部47が、ダミー基板についての情報を表示出力するための画面表示データ63を、再設定後の基板データ62に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値に基づいて更新する(S411)。これにより、オペレータは、画面上の表示出力内容を目視することで、再設定後におけるダミー基板の累積膜厚値を認識できるようになる。
【0135】
(メンテナンス情報設定処理)
上述した一連の手順によれば、同一キャリアIDのダミーキャリアC3が再投入されると、その再投入時に、当該ダミーキャリアC3内の各ダミー基板の累積膜厚値が、ロードポートLP3上からのキャリア搬出時と同内容に自動で再設定される。ところが、何らかの理由で上述した一連の手順を利用できない場合が生じてしまうことも考えられる。
【0136】
このことから、本実施形態に係る基板処理装置10は、以下に述べる手順によっても、各ダミー基板の累積膜厚値の再設定を行うことが可能である。図10は、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置10でのダミーキャリア再投入時のメンテナンス情報設定処理の動作例を示すフローチャートである。
【0137】
図10に示すように、ダミーキャリアC3が搬出された後、定期メンテナンスを実施するまでの手順は、上述した自動設定処理の場合(図9参照)と全く同様である(S501〜S503)。
【0138】
定期メンテナンスの実施後、AMHSによって例えばロードポートLP3上にダミーキャリアC3が再投入されると、ホストコンピュータ30からは、ダミーキャリアC3についてのキャリア認証メッセージが送られてくる(S504)。このキャリア認証メッセージは、ホストコンピュータ30にて、「メンテナンス情報ダミー基板累積膜厚値設定フラグ(有り)」及び「累積膜厚値のモニタ値」という付加データが設定されているものとする。
【0139】
このような付加データが付されたキャリア認証メッセージを受け取ると(S505)、ダミーキャリア制御部43は、付加されていた累積膜厚値のモニタ値を含むダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを作成し、そのダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを制御部CC23の側へ渡す(S506)。
【0140】
操作部22からダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを受け取ると、制御部CC23の側では、材料管理部52が、再投入されたダミーキャリアC3について制御部CC23の側で管理する基板データ64に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を、ダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージに含まれるモニタ値によって一律に更新することで、当該累積膜厚値の再設定を行う(S507)。そして、累積膜厚値の再設定を行うと、材料管理部52は、ダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを操作部22へ渡す。
【0141】
ダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを受け取ると、操作部22では、ダミーキャリア制御部43が、キャリア認証メッセージに付されていた累積膜厚値のモニタ値を、材料管理部46へ渡す。これにより、材料管理部46は、操作部22で管理する基板データ62に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を、ダミーキャリア制御部43から渡されたモニタ値によって一律に更新することで、当該累積膜厚値の再設定を行う(S508)。これにより、再投入されたダミーキャリアC3についての基板データ62は、その内容がゼロクリアされるのではなく、ホストコンピュータ30からのキャリア認証メッセージに付加されていたモニタ値によって、全ダミー基板の累積膜厚値が一律に再設定されることになる。
【0142】
(ダミー基板情報設定処理)
また、本実施形態に係る基板処理装置10は、以下に述べる手順によっても、各ダミー基板の累積膜厚値の再設定を行うことが可能である。図11は、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置10でのダミーキャリア再投入時のダミー基板情報設定処理の動作例を示すフローチャートである。
【0143】
図11に示すように、ダミーキャリアC3が搬出された後、定期メンテナンスを実施するまでの手順は、上述した自動設定処理の場合(図9参照)と全く同様である(S601〜S603)。
【0144】
定期メンテナンスの実施後、AMHSによって例えばロードポートLP3上にダミーキャリアC3が再投入されると、ホストコンピュータ30からは、ダミーキャリアC3についてのキャリア認証メッセージが送られてくる(S604)。このキャリア認証メッセージは、ホストコンピュータ30にて、「ダミー基板累積膜厚値設定フラグ(有り)」及び「各ダミー基板の累積膜厚値」という付加データが設定されているものとする。
【0145】
このような付加データが付されたキャリア認証メッセージを受け取ると(S605)、ダミーキャリア制御部43は、付加されていた各ダミー基板の累積膜厚値を含むダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを作成し、そのダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを制御部CC23の側へ渡す(S606)。
【0146】
操作部22からダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージを受け取ると、制御部CC23の側では、材料管理部52が、再投入されたダミーキャリアC3について制御部CC23の側で管理する基板データ64に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を、ダミー基板累積膜厚値更新要求メッセージに含まれるそれぞれの累積膜厚値によって個別に更新することで、当該累積膜厚値の再設定を行う(S607)。そして、累積膜厚値の再設定を行うと、材料管理部52は、ダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを操作部22の側へ渡す。
【0147】
ダミー基板累積膜厚値更新応答メッセージを受け取ると、操作部22の側では、ダミーキャリア制御部43が、キャリア認証メッセージに付されていた各ダミー基板の累積膜厚値を、材料管理部46へ渡す。これにより、材料管理部46は、操作部22の側で管理する基板データ62に含まれる各ダミー基板の累積膜厚値を、ダミーキャリア制御部43から渡されたそれぞれの累積膜厚値によって個別に更新することで、当該累積膜厚値の再設定を行う(S608)。これにより、再投入されたダミーキャリアC3についての基板データ62は、その内容がゼロクリアされるのではなく、ホストコンピュータ30からのキャリア認証メッセージに付加されていたそれぞれの累積膜厚値によって、各ダミー基板の累積膜厚値が個別に再設定されることになる。
【0148】
(その他)
なお、基板処理装置10とホストコンピュータ30との間では、基板処理装置10からホストコンピュータ30に対して、ダミー基板のステータス変化に応じて累積膜厚値をイベント報告(SEMI E90 基板トラッキング仕様)することがある。このようなイベント報告を行う場合には、上述したようなホストコンピュータ30からのキャリア認証メッセージを利用したメンテナンス情報設定処理(図10参照)又はダミー基板情報設定処理(図11参照)を行うのにあたり、イベント報告された累積膜厚値を利用してキャリア認証メッセージにおける付加データを設定することが考えられる。
【0149】
(10)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、上述した第1の実施形態の場合において説明した効果に加えて、以下に挙げる一つ又はそれ以上の効果を奏する。
【0150】
(j)本実施形態によれば、AMHSによるキャリア自動搬送にも対応することが可能となるので、半導体生産ラインにおける生産性向上を図る上で非常に有効なものとなる。
【0151】
(k)また、本実施形態によれば、ホストコンピュータ30からダミー基板の累積膜厚値の再設定を行うことができる。しかも、その場合において、例えば基板処理装置10からのイベント報告を利用すれば、ホストコンピュータ30にてキャリア再投入を意識したダミー基板の累積膜厚を管理する必要がない。
【0152】
(l)また、本実施形態によれば、ホストコンピュータ30にて累積膜厚値を付加データとしてキャリア認証メッセージに付加する必要があるが、例えば他装置で使用したダミー基板の再利用という第2の再投入態様に対応する場合、他装置にて設定管理された累積膜厚値をオンライン運用でそのまま利用することも実現可能となる。さらに、第1〜第4の再投入態様に対応する場合であっても、基板処理装置10からダミー基板のステータス変化に応じて累積膜厚値が基板単位でイベント報告されていれば、ホストコンピュータ30は、そのイベント報告に係るデータを利用して付加データを設定することも実現可能である。
【0153】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0154】
例えば、上述の実施形態では、ダミーキャリアが載置される基板収容部が、ロードポートLP1〜LP3として構成されている例について説明したが、本発明は係る実施形態に限定されない。例えば、図1に示した大気搬送室EFEM内の側方(図中の右側および/または左側)や、搬送室TM内の側方(図中の右側および/または左側)等に棚や台を設置し、この棚や台を、ダミーキャリアが載置される基板収容部として用いることとしてもよい。
【0155】
例えば、上述した実施形態では、装置コントローラ部20が「ダミー基板累積膜厚管理プログラム」を実行することによって上述した一連の処理機能が実現される場合、すなわち「ダミー基板累積膜厚管理プログラム」が装置コントローラ部20にインストール済である場合を例にあげたが、「ダミー基板累積膜厚管理プログラム」は、装置コントローラ部20へのインストールに先立ち、装置コントローラ部20と接続する通信回線を通じて提供されるものであってもよいし、あるいは装置コントローラ部20で読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよい。
【0156】
例えば、上述した実施形態では、処理対象となる製品基板が半導体ウエハ基板である場合を例にあげたが、本発明はこれに限定されることなく、LCD(Liquid Crystal Display)装置等のガラス基板を処理する基板処理装置にも好適に適用できる。
【0157】
また例えば、上述した実施形態では、基板処理装置10が行う処理として成膜処理を例にあげたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理の他、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理であってもよい。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理にも好適に適用できる。さらに、本発明は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用した処理装置等の他の基板処理装置にも好適に適用できる。
【0158】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0159】
[付記1]
本発明の一態様によれば、
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室を備えた基板処理装置であって、
少なくとも前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上から搬出されるときの当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を保持する記憶部と、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上に再投入されると前記記憶部が保持する膜厚値に基づいて当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を再設定する管理部と、
を備えた基板処理装置が提供される。
【0160】
[付記2]
好ましくは、
付記1の基板処理装置であって、
前記記憶部は、前記ダミーキャリアが前記基板収容部上から搬出されるときに、当該ダミーキャリアを識別する識別子を前記膜厚値と関連付けて保持する基板処理装置が提供される。
【0161】
[付記3]
また好ましくは、
付記1の基板処理装置であって、
前記基板収容部上の前記ダミーキャリアについてのメンテナンス情報として当該ダミーキャリア内のダミー基板の累積膜厚値を含む情報を出力するメンテナンス情報出力部と、
前記メンテナンス情報出力部が出力するメンテナンス情報に含まれる累積膜厚値を編集する第一設定部と、を有し、
前記管理部は、前記ダミーキャリアが前記基板収容部上に再投入されると、前記第一設定部で編集された後の累積膜厚値に基づき、当該ダミーキャリア内の全ダミー基板の膜厚値を再設定する基板処理装置が提供される。
【0162】
[付記4]
また好ましくは、
付記1の基板処理装置であって、
前記基板収容部上の前記ダミーキャリア内の各ダミー基板についての情報として当該各ダミー基板の累積膜厚値を含む情報を一覧形式で出力する情報出力部と、
前記情報出力部が出力する累積膜厚値を各ダミー基板別に編集する第二設定部と、
を有し、
前記管理部は、前記ダミーキャリアが前記基板収容部上に再投入されると、前記第二設定部で編集された後の累積膜厚値に基づき、当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を再設定する基板処理装置が提供される。
【0163】
[付記5]
また好ましくは、
前記基板処理装置を管理する管理装置に接続されて用いられ、
前記管理装置から前記ダミー基板の累積膜厚値に関する付加データが添付されたキャリア認証メッセージを受け付けるように構成された付記1乃至付記4のいずれか一つに記載の基板処理装置が提供される。
【0164】
[付記6]
また好ましくは、
付記5の基板処理装置であって、
前記管理部は、前記キャリア認証メッセージを受け付けると、当該キャリア認証メッセージに添付された前記付加データにおける累積膜厚値に基づき、前記ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を再設定する基板処理装置が提供される。
【0165】
[付記7]
本発明の他の一態様によれば、
所定枚数の各種基板を処理する処理室と、前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、を備えた基板処理装置にて用いられるメンテナンス方法であって、
前記基板処理装置の定期メンテナンスのために、前記ダミーキャリアを前記基板収容部上から搬出する工程と、
前記ダミーキャリアを前記基板収容部上から搬出するときに、当該ダミーキャリア内に収納されている各ダミー基板に累積した膜厚値を保持しておく工程と、
前記ダミーキャリアを前記基板収容部上に再投入する工程と、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上に再投入されると、保持している膜厚値に基づき、当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を行う工程と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記定期メンテナンスの後における前記各ダミー基板を用いた処理を行う工程と、
を含むメンテナンス方法が提供される。
【0166】
[付記8]
本発明の他の一態様によれば、
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、を備えた基板処理装置にて用いられるメンテナンス方法であって、
他装置で使用したダミー基板を収納したダミーキャリアを前記基板収容部上に投入する工程と、
前記基板収容部上に投入されたダミーキャリア内に収納されている各ダミー基板に累積した膜厚値についての情報を取得する工程と、
取得情報に基づき前記基板収容部上のダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を行う工程と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記基板収容部上にダミーキャリアが投入された後における当該ダミーキャリア内の各ダミー基板を用いた処理を行う工程と、
を含むメンテナンス方法が提供される。
【0167】
[付記9]
本発明の他の一態様によれば、
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、を備えた基板処理装置にて用いられるメンテナンス方法であって、
前記基板処理装置の改変作業のために、前記ダミーキャリアを前記基板収容部上から搬出する工程と、
前記ダミーキャリアを前記基板収容部上から搬出するときに、当該ダミーキャリア内に収納されている各ダミー基板に累積した膜厚値を保持しておく工程と、
前記ダミーキャリアを前記基板収容部上に再投入する工程と、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上に再投入されると、保持している膜厚値に基づき、当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を行う工程と、 前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記改変作業の後における前記各ダミー基板を用いた処理を行う工程と、
を含むメンテナンス方法が提供される。
【0168】
[付記10]
本発明の他の一態様によれば、
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種である製品基板を収納したキャリアまたは前記各種基板の他の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、を備えた基板処理装置にて用いて、
前記製品基板を収納した前記キャリアを前記基板収容部上に載置する載置工程と、前記載置工程を開始する前に、前記ダミー基板を収納した前記ダミーキャリアを前記基板収容部上から搬出する工程と、前記製品基板に対する処理を前記処理室内にて行う基板処理工程と、
を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0169】
[付記11]
また好ましくは、
前記製品基板の収納枚数が10枚以下になると、前記ダミーキャリアを再投入する付記10の半導体装置の製造方法が提供される。
【0170】
[付記12]
本発明の他の一態様によれば、
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種である製品基板を収納したキャリアまたは前記各種基板の他の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、を備えた基板処理装置にて用いられるメンテナンス方法であって、
前記製品基板を収納した前記キャリアを前記基板収容部上に載置する載置工程と、
前記基板収容部上の前記キャリアから搬出した前記製品基板に対する処理を前記処理室内にて行う処理工程と、
前記載置工程を開始する前に、前記ダミー基板を収納した前記ダミーキャリアを前記基板収容部上から搬出する工程と、
前記ダミーキャリアを前記基板収容部上から搬出するときに、当該ダミーキャリア内に収納されている各ダミー基板に累積した膜厚値を保持しておく工程と、
前記処理工程の後に、前記ダミーキャリアを前記基板収容部上に再投入する工程と、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上に再投入されると、保持している膜厚値に基づき、当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値の再設定を行う工程と、
前記再設定がされた後の膜厚値に応じて前記ダミーキャリアの再投入後における前記各ダミー基板を用いた処理を行う工程と、
を含むメンテナンス方法が提供される。
【0171】
[付記13]
本発明の他の一態様によれば、
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、を備えた基板処理装置に接続されて用いられるコンピュータに、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上から搬出されるときの当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を保持するステップと、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上に再投入されると前記記憶部が保持する膜厚値に基づいて当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を再設定するステップと、
を実行させるプログラムが提供される。
【0172】
[付記14]
本発明の他の一態様によれば、
所定枚数の各種基板を一括で処理する処理室と、前記各種基板の一種であるダミー基板を収納したダミーキャリアが載置される基板収容部と、を備えた基板処理装置に接続されて用いられるコンピュータに、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上から搬出されるときの当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を保持するステップと、
前記ダミーキャリアが前記基板収容部上に再投入されると前記記憶部が保持する膜厚値に基づいて当該ダミーキャリア内の各ダミー基板の膜厚値を再設定するステップと、
を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【符号の説明】
【0173】
10 基板処理装置
20 装置コントローラ部
43 ダミーキャリア制御部
44 データ記憶部
46 材料管理部
CA1〜CA3 キャリア
C3 ダミーキャリア
LP1〜LP3 ロードポート
PM1,PM2 プロセスチャンバ
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11