特許第6144927号(P6144927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6144927-パラメータ設定装置および方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144927
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】パラメータ設定装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   G05B23/02 301J
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-39174(P2013-39174)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-167705(P2014-167705A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】古澤 直樹
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−113705(JP,A)
【文献】 特開2002−170071(JP,A)
【文献】 特開2003−177978(JP,A)
【文献】 特開2004−259084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/04 −19/05
23/00 −23/02
G06F 3/01
3/048−3/0489
3/14 −3/153
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムに設定するパラメータ値が定義されたパラメータ定義データを記憶する定義データ記憶部と、
入力された入力値を受け付けて、前記定義データ記憶部に記憶されているパラメータ定義データに定義されているパラメータ値を前記入力値に更新するデータ設定部と、
前記データ設定部に入力されたパラメータ値の入力回数を入力されたパラメータ値および入力されたパラメータ値の属性により識別可能な状態で記憶する入力頻度記憶部と、
前記データ設定部による前記パラメータ値の入力を受け付ける動作に合わせ、前記入力頻度記憶部に記憶されている値の中で入力を受け付けた前記パラメータ値と同種パラメータに設定されているパラメータ値を入力回数の多い順に表示出力する候補表示部と
を備えることを特徴とするパラメータ設定装置。
【請求項2】
請求項1記載のパラメータ設定装置において、
前記入力値が入力される入力領域を表示部に表示する表示制御部を備え、
前記候補表示部は、前記表示制御部が前記表示部に表示する入力領域の表示に対応させて前記入力頻度記憶部に記憶されている入力回数の多い順に対応するパラメータ値を前記表示部に表示出力する
ことを特徴とするパラメータ設定装置。
【請求項3】
請求項記載のパラメータ設定装置において、
前記候補表示部は、前記表示制御部が前記表示部に表示した入力領域に対する入力のタイミングに対応させて前記入力頻度記憶部に記憶されている入力回数の多い順に対応するパラメータ値を前記表示部に表示出力する
ことを特徴とするパラメータ設定装置。
【請求項4】
制御システムに設定するパラメータ値が定義されたパラメータ定義データを記憶する定義データ記憶ステップと、
入力された入力値を受け付けて、前記定義データ記憶ステップで記憶されたパラメータ定義データに定義されているパラメータ値を前記入力値に更新するデータ設定ステップと、
前記データ設定ステップで入力されたパラメータ値の入力回数を入力されたパラメータ値および入力されたパラメータ値の属性により識別可能な状態で記憶する入力頻度記憶ステップと、
前記データ設定ステップにおける前記パラメータ値の入力を受け付ける動作に合わせ、前記入力頻度記憶ステップで記憶された値の中で入力を受け付けた前記パラメータ値と同種パラメータに設定されているパラメータ値を入力回数の多い順に表示出力する候補表示ステップと
を備えることを特徴とするパラメータ設定方法。
【請求項5】
請求項4記載のパラメータ設定方法において、
前記入力値が入力される入力領域を表示部に表示する表示制御ステップを備え、
前記候補表示ステップでは、前記表示制御ステップで前記表示部に表示する入力領域の表示に対応させて前記入力頻度記憶部に記憶されている入力回数の多い順に対応するパラメータ値を前記表示部に表示出力する
ことを特徴とするパラメータ設定方法。
【請求項6】
請求項記載のパラメータ設定方法において、
前記候補表示ステップは、前記表示制御ステップで前記表示部に表示される入力領域に対する入力のタイミングに対応させて前記入力頻度記憶ステップで記憶された入力回数の多い順に対応するパラメータ値を前記表示部に表示出力する
ことを特徴とするパラメータ設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムに関するパラメータを設定するパラメータ設定装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、建築物に付帯している各設備の監視制御や、プラントなどの制御には制御システムが用いられ、さらに機器管理装置が用いられている場合がある(特許文献1参照)。制御システムでは、フィールドバスなどのネットワークにより接続している現場に設置されたプロセス機器や各種センサなどのフィールド機器との間で信号をやりとりして制御を行っている。また、機器管理装置は、現場に設置されたプロセス機器や各種センサなどのフィールド機器との間で信号をやりとりし、従来では可搬型端末を現場でフィールド機器に直結して行っていた較正を上位からのパラメータ設定で行い、また、フィールド機器が正常に動作している状態に関する診断結果を表示している。
【0003】
また、このような制御では、多数のフィールド機器を制御対象とするため、制御システムでは、ブロックに分割して各ブロックにPIDなどの制御を行うコントローラを配置し、複数のコントローラを用いて分散制御を行うようにしている。例えば、複数のコントローラの各々に複数のI/Oモジュールが接続し、また、各I/Oモジュールに、複数のフィールド機器が接続している。I/Oモジュールには、センサなどのフィールド機器からの各入力や、バルブポジショナなどのフィールド機器からの開度出力の各々が個別に接続するI/Oデータポイントを備えている。
【0004】
ところで、上述したような分散制御では、ブロックごとに設定されるパラメータが存在している。この中には、設定必須のパラメータや、目的の制御には必要なパラメータなどがある。これらパラメータは、ユーザの操作により設定される。
【0005】
例えば、フィールドバス協会によるFOUNDATIONフィールドバスによるシステムでも、機能ブロックが用いられ、フィールド機器に関するパラメータで構成される「リソースブロック」、フィールド機器が含むセンサ/操作端やハードウェアに関するパラメータを含む「トランスデューサブロック」、入出力機能やPIDなどの演算機能を実現する「機能ブロック」などがある。
【0006】
トランスデューサブロックおよび機能ブロックは、1つのフィールド機器に複数が存在する可能性がある。 また、フィールドバスでは、ホストシステムで複数ベンダのフィールド機器を扱う際の相互運用性(インターオペラビリティ)の観点から、全フィールド機器が製造者(ベンダ)ID、フィールド機器タイプ、フィールド機器リビジョンなどのパラメータを持つ。これらが全て同じフィールド機器は、フィールドバスのホストシステムから見た「ブロック構成とパラメータ構成」が全く同じであることになっている。
【0007】
また、フィールド機器のベンダが提供することになっているフィールド機器記述ファイルと、ケーパビリティファイルが、フィールド機器のリビジョン別に用意されている。フィールド機器は、制御システムなどから見て接続対象のデバイスとして扱われ、上述したようなフィールド機器記述ファイルは、デバイス記述ファイルと呼ばれている。これらには、「該当するブロックがどのようなパラメータで構成されているか/該当するパラメータはどのような名前/データ型/データサイズ/最大値・最少値・選択肢等を持つか」などのブロックに関する情報が記述されている。
【0008】
一方、機器管理装置にも上述したフィールド機器が同時に接続され、制御システムと同様に、フィールド機器が持つ製造者ID、フィールド機器タイプ、フィールド機器リビジョンなどのパラメータによって識別されるケーパビリティファイルとデバイス記述ファイルを用いて、接続されたフィールド機器のパラメータの読み書きが行われる。
【0009】
ところで、制御システムとフィールド機器との間の接続では「4−20mA」信号と呼ばれる4mAから20mAまでの電流値を信号として用いた規格(国際規格)が、広く用いられている。この規格では、古くは、電流値(4−20mA)で、フィールド機器であるセンサの値やバルブ開度(プライマリ測定値)の0−100%値を示すようにしていた。
【0010】
また、現在では、上述したアナログ制御信号上にデジタル信号を重畳し、フィールド機器のセカンダリ測定値(例えば、圧力計における温圧補正のための温度)や、フィールド機器の設定パラメータなどの「付加情報」を、機器管理装置との間で送受信するネットワークシステムも開発されている。このネットワークシステムは、HART(Highway Addressable Remote Transducer;登録商標)通信と呼ばれ、HART通信仕様に準拠した機器の採用が増えてきている。
【0011】
上述したようなシステムにおいて、各機器の設定(コンフィギュレーション)を行う場合、計装エンジニアは、エンジニアリングツール上で上述した多数のパラメータを設定する。また、パラメータの設定などを間違えると、誤った表示,制御がなされることになり、大きな問題となるので、確認作業が重要となる。このため、パラメータの設定には、多大な時間を必要としている。
【0012】
この中で、同種のパラメータには、いくつかの選択肢の中から同じ値を設定することも多い。 例えば、あるジョブで、データポイントのあるパラメータには、1〜4のいずれかが設定され、また、フィールド機器のいくつかのバルブポジショナのアナログ出力ブロックに含まれるパラメータには、1〜2のいずれかが設定されるなどの場合が多い。
【0013】
多数のパラメータの入力作業を軽減する方法として、パラメータの種類別や、製造者ID/フィールド機器タイプ/フィールド機器リビジョン別のブロックタイプ別に、指定パラメータに設定する値を「デフォルト値」として用意しておき、計装エンジニアが設定する前に「デフォルト値」を設定し、計装エンジニアは、デフォルト値との差分のみを設定するといったことによる工数削減努力が既に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2012−014388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、デフォルト値を利用する方法では、あるパラメータに対して1種類の値を設定する場合には有効であるが、前例の複数の値のいずれかを設定するといった場合の入力支援にはなっていない。最も多いパターンをデフォルト値として用意し、設定後に差分を修正するといった作業が必要である。
【0016】
また、デフォルト値を変更した場合、変更した後に生成する全ての該当パラメータの値が変更した値になるため、一部のフィールド機器にのみ特定の値を設定したい場合には作業手順に制約を加えることになってしまう。
【0017】
また、エンジニアリングツールから値をテキスト形式などのファイルでエクスポート(出力)し、大量のデータを一括して編集しやすい市販されている表計算ソフトウェアを用いてデータを編集し、インポート(読み込み)するようなことも行われている。しかしながら、この手法では、エンジニアリングツールとは別に表計算ソフトウェアを準備しなければならない上、変更するデータの数によってはかえって時間を要することにもなりかねない。
【0018】
また、入力対象となるデータポイントやブロックを事前に選択し、入力先パラメータを指定して値を複数の同じパラメータに一括して設定する方法もあるが、データポイントごと/ブロックごと/フィールド機器ごとにパラメータを1つずつ確認しながら設定して行くような作業手順には適用できない。これらのように、従来では、多数のパラメータの設定に多大な時間が必要となるという問題がある。
【0019】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、多数のフィールド機器が接続されている環境において、パラメータの設定に要する工数を低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係るパラメータ設定装置は、制御システムに設定するパラメータ値が定義されたパラメータ定義データを記憶する定義データ記憶部と、入力された入力値を受け付けて、定義データ記憶部に記憶されているパラメータ定義データに定義されているパラメータ値を入力値に更新するデータ設定部と、データ設定部に入力されたパラメータ値の入力回数を入力されたパラメータ値および入力されたパラメータ値の属性により識別可能な状態で記憶する入力頻度記憶部と、データ設定部によるパラメータ値の入力を受け付ける動作に合わせ、入力頻度記憶部に記憶されている値の中で入力を受け付けたパラメータ値と同種パラメータに設定されているパラメータ値を入力回数の多い順に表示出力する候補表示部とを備える。
【0021】
上記パラメータ設定装置において、入力値が入力される入力領域を表示部に表示する表示制御部を備え、候補表示部は、表示制御部が表示部に表示する入力領域の表示に対応させて入力頻度記憶部に記憶されている入力回数の多い順に対応するパラメータ値を表示部に表示出力するようにすればよい。また、候補表示部は、表示制御部が表示部に表示した入力領域に対する入力のタイミングに対応させて入力頻度記憶部に記憶されている入力回数の多い順に対応するパラメータ値を表示部に表示出力するようにしてもよい。
【0022】
また、本発明に係るパラメータ設定方法は、制御システムに設定するパラメータ値が定義されたパラメータ定義データを記憶する定義データ記憶ステップと、入力された入力値を受け付けて、定義データ記憶ステップで記憶されたパラメータ定義データに定義されているパラメータ値を入力値に更新するデータ設定ステップと、データ設定ステップで入力されたパラメータ値の入力回数を入力されたパラメータ値および入力されたパラメータ値の属性により識別可能な状態で記憶する入力頻度記憶ステップと、データ設定ステップにおけるパラメータ値の入力を受け付ける動作に合わせ、入力頻度記憶ステップで記憶された値の中で入力を受け付けたパラメータ値と同種パラメータに設定されているパラメータ値を入力回数の多い順に表示出力する候補表示ステップとを備える。
【0023】
上記パラメータ設定方法において、入力値が入力される入力領域を表示部に表示する表示制御ステップを備え、候補表示ステップでは、表示制御ステップで表示部に表示する入力領域の表示に対応させて入力頻度記憶部に記憶されている入力回数の多い順に対応するパラメータ値を表示部に表示出力するようにすればよい。また、候補表示ステップは、表示制御ステップで表示部に表示される入力領域に対する入力のタイミングに対応させて入力頻度記憶ステップで記憶された入力回数の多い順に対応するパラメータ値を表示部に表示出力するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したことにより、本発明によれば、多数のフィールド機器が接続されている環境において、パラメータの設定に要する工数が低減できるようになるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施の形態におけるパラメータ設定装置の構成を示す構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態におけるパラメータ設定方法を説明するフローチャートである。
図3図3は、パラメータ入力ユーザインタフェースの構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるパラメータ設定装置の構成を示す構成図である。このパラメータ設定装置は、定義データ記憶部101、データ設定部102、入力頻度記憶部103、および候補表示部104を備える。
【0027】
定義データ記憶部101は、例えば、対象機器(フィールド機器)がコントローラなどを介して接続する制御システムに設定するパラメータ値が定義されたパラメータ定義データを記憶する。パラメータ定義データは、例えば、制御システムを構成するコントローラの各データポイントと、これを構成するパラメータの定義、FOUNDATIONフィールドバスのデバイス記述ファイルとケーパビリティファイル、HART通信で用いられるデバイス記述ファイルのように、コントローラ、フィールド機器機能ブロックといった、制御システムを構成する要素と含まれるパラメータ、データ型などパラメータの性質が記述されている。
【0028】
デバイス記述ファイルおよびケーパビリティファイルは、フィールド機器のベンダから提供されるデータであり、ユーザが作成するものではない。FOUNDATIONフィールドバスに接続されるフィールド機器は、構造体型のパラメータを含む。構造体型の場合、パラメータ名は「パラメータ名@メンバ名」で表現される。FOUNDATIONフィールドバスに接続されるフィールド機器のパラメータ定義データは、例えば、以下の表1に示すように構成されている。
【0029】
【表1】
【0030】
データ設定部102は、入力された入力値を受け付けて、定義データ記憶部101に記憶されているパラメータ定義データに定義されているパラメータ値を入力値に更新する。
【0031】
入力頻度記憶部103は、データ設定部102に入力された値(入力値)の入力回数を入力値および入力値の属性により識別可能な状態で記憶する。例えば、以下の表2に示すように、デバイスタイプ、デバイスリビジョン、ブロックタイプ、パラメータ名、および入力値に対応し、入力値の入力回数(頻度)が記憶される。
【0032】
【表2】
【0033】
候補表示部104は、データ設定部102によるパラメータ値の入力を受け付ける動作に合わせ、入力頻度記憶部103に記憶されている入力回数の多い順に対応するパラメータ値を表示出力する。
【0034】
また、パラメータ設定装置は、表示部105、表示制御部106、および入力部107を備える。表示制御部106は、入力値が入力される入力領域を表示部105に表示する。ここで、候補表示部104は、表示制御部106が表示部105に表示する入力領域の表示に対応させ、入力頻度記憶部103に記憶されている入力回数の多い順に対応するパラメータ値を表示部105に表示出力する。
【0035】
次に、本発明の実施の形態におけるパラメータ設定装置の動作(パラメータ設定方法)について、図2のフローチャートを用いて説明する。なお、以下では、予め制御システムに設定するパラメータ値が定義されたパラメータ定義データが、定義データ記憶部101に記憶されている状態である。また、入力頻度記憶部103には、過去に入力された値の入力回数が、入力された値および入力された値の属性により識別可能な状態で記憶されている。
【0036】
まず、ステップS101で、表示制御部106が、パラメータ値の入力を受け付けるための表示を表示部105に出力し、パラメータ値の入力を受け付ける状態とする。例えば、表示制御部106は、図3に示すように、パラメータ値入力領域151を備えるパラメータ入力ユーザインタフェースを表示部105に表示する。
【0037】
次に、ステップS102で、候補表示部104が、入力頻度記憶部103に記憶されている入力回数の多い順に対応するパラメータ値を表示部105に表示出力する(候補表示ステップ)。例えば、図3に示すように、パラメータ値入力領域151の表示に対応し、この近くに入力候補画面152を表示する。また、例えば、ユーザの入力部107の操作により、カーソルがパラメータ値入力領域151に重なるなど、パラメータ値入力領域151に対する入力のタイミングに対応させ、入力頻度記憶部103に記憶されている入力回数の多い順に対応するパラメータ値を入力候補画面152に表示出力する。
【0038】
この状態で、ユーザが、入力候補画面152内に表示された文字列をマウス,キーボード,タッチパネルなどを備える入力部107の操作により選択すると、選択された文字列がパラメータ値入力領域151に入力される。また、ユーザの入力部107の操作により、パラメータ値入力領域151に直接入力したパラメータ値が入力されるようにしてもよい。これらのようにしてパラメータ値が入力されると(ステップS103のy)、ステップS104で、データ設定部102は入力されたパラメータ値を受け付け、定義データ記憶部101に記憶されているパラメータ定義データに定義されているパラメータ値を入力値に更新する(データ設定ステップ)。
【0039】
次に、ステップS105で、入力頻度記憶部103が、入力された値(入力値)の入力回数を入力値および入力値の属性により識別可能な状態で記憶する(入力頻度記憶ステップ)。
【0040】
ここで、入力頻度の記憶においては、次に示すような規則を設定し、設定したいずれかの規則に則って行うようにしてもよい。
【0041】
[規則1]
対象とするフィールド機器およびブロックとも区別せずに、指定されたパラメータ名@メンバ名ごとに入力頻度を収集する。この場合、定義データ記憶部101に定義されている 「パラメータ名」または「パラメータ名@メンバ名」のみをキーとする。キーが一致する「入力値」(ユーザが設定した値)がデータとして存在する場合は、これに対応する「入力頻度」値をカウントアップする。「入力値」が存在しない場合は、入力値を「入力頻度=1」として登録する。
【0042】
[規則2]
対象とするフィールド機器は区別しないが、ブロックタイプ別に指定されたパラメータ名@メンバ名ごとに入力頻度を収集する。この場合、定義データ記憶部101に定義されている「パラメータ名」または「パラメータ名@メンバ名」で指定されたパラメータについて、ブロックタイプ(FOUNDATIONフィールドバスの場合は"PROFILE"パラメータで示される値)別に、「入力値」と「入力頻度」との組を登録する。
【0043】
パラメータ値の入力を行うためのパラメータ設定画面で表示しているブロックのPROFILEパラメータ値は、同画面表示以前に決まっている。定義データ記憶部101に、「パラメータ名」または「パラメータ名@メンバ名」と、PROFILE値が一致するデータの中で、キーが一致する「入力値」(ユーザが設定した値)がデータとして存在する場合は、これに対応する「入力頻度」値をカウントアップする。一方、「入力値」が存在しない場合は、入力値を「入力頻度=1」として登録する。
【0044】
[規則3]
対象とするフィールド機器別、対象ブロック別に、指定されたパラメータ名@メンバ名ごとに入力頻度を収集する。
【0045】
この場合、定義データ記憶部101に定義されている「パラメータ名」または「パラメータ名@メンバ名」で指定されたパラメータについて、フィールド機器(MANUFAC_ID、DEV_TYPE、DEV_REVで識別する)とブロックタイプ別に、「入力値」と「入力頻度」との組を登録する。
【0046】
パラメータ設定画面で表示しているブロックのフィールド機器指定(MANUFAC_ID、DEV_TYPE、DEV_REV)、およびPROFILEパラメータ値は、同画面表示以前に決まっている。定義データ記憶部101において、「パラメータ名」または「パラメータ名@メンバ名」と、MANUFAC_ID値/DEV_TYPE値/DEV_REV値/PROFILE値の全てが一致するデータの中で、キーが一致する「入力値」がデータとして存在する場合は、これに対応する「入力頻度」値をカウントアップする。一方、「入力値」が存在しない場合は、入力値を「入力頻度=1」として登録する。MANUFAC_ID値/DEV_TYPE値/DEV_REV値/PROFILE値の全てが一致するデータが存在しない場合は、これらの値と「入力値」を、「入力頻度=1」として登録する。
【0047】
[規則4]
指定フィールド機器/指定ブロックのパラメータ名@メンバ名ごとに入力頻度を収集する。
【0048】
この規則は、原則として、フィールド機器のベンダが独自に定義したカスタムパラメータに対する入力頻度を蓄積する場合に用いる。定義データ記憶部101に定義されている「パラメータ名」または「パラメータ名@メンバ名」と、フィールド機器(MANUFAC_ID、DEV_TYPE、DEV_REV)とブロック(PROFILE)で指定されたパラメータについて、「入力値」と「入力頻度」との組を登録する。この場合、指定ベンダの指定フィールド機器の指定ブロックの指定パラメータ」の入力値と入力頻度を収集する形になる。
【0049】
規則4において、入力頻度記憶部103で蓄積される規則は、規則3と同じであり、蓄積対象が事前に「指定ベンダの指定デバイスの指定ブロック」の指定パラメータのみに絞られることが、規則3との違いとなる。
【0050】
以上に説明したように、本発明によれば、入力値の入力回数を入力値および入力値の属性により識別可能な状態で記憶し、パラメータ値の入力を受け付ける動作に合わせ、記憶されている入力回数の多い順に対応するパラメータ値を表示出力するようにしたので、多数のフィールド機器が接続されている環境において、パラメータの設定に要する工数を低減できるようになる。
【0051】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、既に蓄積されている入力データから、同種パラメータに設定された値を、入力されている数の多い順に入力される可能性が高いと判断し、入力候補として表示してもよい。また、ユーザが入力した値を優先候補(ユーザが選択しやすい、若い番号の候補)として表示し、この表示に加えて、これ以外の値で、既に蓄積されている入力データに存在する値を優先候補に付加して表示してもよい。
【0052】
また、同種パラメータの過去の入力値を、他のパラメータの値で絞り込み、また、優先度を操作して表示するようにしてもよい。例えば、フィールド機器のブロック全てに含まれる選択肢型パラメータMODE_BLK.TARGETの入力可能値は、MODE_BLK.PERMITTEDで定義されたもののみに絞られる。例えば、過去に入力した同種ブロックのMODE_BLK.TARGETパラメータの値が"CAS"、"AUTO"、"MAN"、"OOS"の順序で多かったとしても、現在入力しようとしているブロックのMODE_BLK.PERMITTEDパラメータの値が"AUTO"、"OOS"のみであった場合、MODE_BLK.TARGETパラメータの入力候補は、"AUTO"、"OOS"のみにフィルタリングされることになる。
【0053】
また、定義データ記憶部に記憶される全てのパラメータ値を対象とするのではなく、一部のパラメータ値を対象とし、候補を表示するようにしてもよい。この場合、対象となるパラメータ値は、ユーザが予め決定しておけばよい。
【符号の説明】
【0054】
101…定義データ記憶部、102…データ設定部、103…入力頻度記憶部、104…候補表示部、105…表示部、106…表示制御部、107…入力部。
図1
図2
図3