特許第6144928号(P6144928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144928
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】ガス栓及びビルトイン式ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20170529BHJP
   F16K 5/02 20060101ALI20170529BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20170529BHJP
   A47B 77/08 20060101ALI20170529BHJP
   F16K 31/44 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   F23K5/00 301A
   F16K5/02 G
   F24C3/00 N
   F24C3/00 Z
   A47B77/08 A
   F16K31/44 A
   F23K5/00 301C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-39490(P2013-39490)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-167372(P2014-167372A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2016年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000167325
【氏名又は名称】光陽産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】梅沢 良昭
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−276078(JP,A)
【文献】 特開2012−237345(JP,A)
【文献】 特開平06−042763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/00
A47B 77/08
F16K 5/02
F16K 31/44
F24C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に、両端部が開口したガス通路が形成されるとともに、上記ガス通路と交差し、一端部が開口した弁収容部が形成された栓本体と、上記弁収容部に回転可能に設けられ、上記ガス通路を開閉する弁体と、上記栓本体の外部において上記弁収容部の一端部の開口部に回転可能に配置され、上記弁体に回転不能に連結されたハンドルと備えたガス栓において、
上記弁体の回転軸線方向における上記弁収容部の他端部が上記栓本体の外面に開口させられ、上記栓本体の外部において上記弁収容部の他端部の開口部に副ハンドルが回転可能に配置され、この副ハンドルを介して上記弁体を開閉操作することができるよう、上記副ハンドルが上記弁体に回転不能に連結されていることを特徴とするガス栓。
【請求項2】
上面部及び前面部に開口部を有する筐体と、少なくとも下部が上記筐体の上記上面部の開口部から上記筐体内に挿入された状態で上記筐体に取り付けられたコンロ本体、及びこのコンロ本体を上方から覆うようにして上記筐体の上面部に着脱可能に取り付けられたカバーを有するガスコンロと、上記筐体の内部に配置され、上記コンロ本体に接続されたガス栓と、上記筐体の上記前面部の開口部を開閉する開閉体とを備えたビルトイン式ガスコンロにおいて、
上記ガス栓として請求項1に記載のガス栓が用いられ、
上記ハンドルと上記副ハンドルの一方を上側に、他方を下側に位置させた状態で、上記ガス栓が上記コンロ本体に接続され、
上記カバーを取り外したときに上記ハンドルと上記副ハンドルとのうちの上記一方を上記筐体の外部から上記上面部の開口部を介して回転操作することができるよう、当該一方が上記筐体の上記上面部の開口部から上方に露出した状態で上記ガス栓が配置されていることを特徴とするビルトイン式ガスコンロ。
【請求項3】
上記筐体に取り付けられたコンロ本体には、その内部空間に対して離隔されるとともに上下が開放された設置空間が形成され、
上記ガス栓は上記設置空間に設置され、上記ハンドルと上記副ハンドルのうちの上記他方が下方に露出されて上記筐体の内部から回転操作することができることを特徴とする請求項2に記載のビルトイン式ガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビルトイン式ガスコンロ等に用いるのに好適なガス栓、及びそのガス栓が用いられたビルトイン式ガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルトイン式ガス栓は、下記特許文献1に記載されているように、筐体、ガスコンロ及びガス栓を有している。筐体は、内部が空洞の箱状をなしており、その上面部及び全面部に開口部が形成されている。ガスコンロは、ガスバーナ等の燃焼器が設けられたコンロ本体と、このコンロ本体を上方から覆うカバーとを有している。
【0003】
ガスコンロのコンロ本体は、その下部が上面開口部から筐体内に挿入された状態で筐体の上面部に取り付けられている。カバーは、コンロ本体の上面部及び筐体の上面開口部を上方から覆うようにして筐体の上面部に着脱可能に取り付けられている。筐体の前面開口部は、扉等の開閉体によって開閉されるようになっている。ガス栓は、コンロ本体に接近した状態で筐体内に配置されており、コンロ本体に接続されている。
【0004】
上記構成のビルトイン式ガスコンロにおいて、コンロ本体に接続されたガス栓のハンドルを回転操作(開閉操作)する場合には、まず筐体の前面開口部を開く。次に、作業者がその上半身を前面開口部から筐体内に挿入する。その状態でハンドルを回転操作する。なお、ハンドルの回転操作を行い易くするために、ハンドルは下側に位置させられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−113817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のビルトイン式ガスコンロにおいては、ガス栓のハンドルの回転操作を行う度に作業者がその上半身を筐体内にその前面開口部から挿入しなければならず、ハンドルの回転操作に多大の労力を有するという問題があった。特に、筐体内にペットボトル等の各種の物品が収容されている場合には、その物品を出し入れしなければならず、より一層多くの手間を要するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するために、この出願の発明者が鋭意研究した結果、次の知見を得るに至った。すなわち、ガスコンロのカバーと取り外すと、筐体の上面開口部の一部が上方に向かって外部に開放され、ひいては筐体の内部の一部が上面開口部を介して上方に開放される。この開放された筐体の内部にガス栓を配置すれば、ハンドルが上面開口部を介して外部に露出し、ハンドルを操作することができる。しかし、ハンドルは、ガス栓の接続時には、作業者によるハンドル操作を行い易くするために、ハンドルが下側に位置させられている。したがって、ガス栓を上面開口部を介して上方外部に露出させただけではハンドルを回転操作することができない。そこで、ハンドルを上下に二つ設ければ、このような事態に対処することができるという点に思い至ったのである。
この発明は、上記の知見に基づいてなされたもので、第1の発明は、内部に、両端部が開口したガス通路が形成されるとともに、上記ガス通路と交差し、一端部が開口した弁収容部が形成された栓本体と、上記弁収容部に回転可能に設けられ、上記ガス通路を開閉する弁体と、上記弁収容部の一端部が開口する上記栓本体の外部に回転可能に配置され、上記弁体に回転不能に連結されたハンドルと備えたガス栓において、上記弁体の回転軸線方向における上記弁収容部の他端部が上記栓本体の外面に開口させられ、上記弁収容部の他端部が開口する上記栓本体の外部に副ハンドルが回転可能に配置され、この副ハンドルを介して上記弁体を開閉操作することができるよう、上記副ハンドルが上記弁体に回転不能に連結されていることを特徴としている。
また、第2の発明は、上面部及び前面部に開口部を有する筐体と、少なくとも下部が上記筐体の上記上面部の開口部から上記筐体内に挿入された状態で上記筐体に取り付けられたコンロ本体、及びこのコンロ本体を上方から覆うようにして上記筐体の上面部に着脱可能に取り付けられたカバーを有するガスコンロと、上記筐体の内部に配置され、上記コンロ本体に接続されたガス栓と、上記筐体の上記前面部の開口部を開閉する開閉体とを備えたビルトイン式ガスコンロにおいて、上記ガス栓として請求項1に記載のガス栓が用いられ、上記ハンドルと上記副ハンドルとのいずれか一方が上側に、他方が下側にそれぞれ位置した状態で、上記ガス栓が上記コンロ本体に接続され、上記カバーを取り外したときに上記ハンドルと上記副ハンドルとのうちの上側に位置する上記一方を上記筐体の外部から上記上面部の開口部を介して回転操作することができるよう、当該一方が上記筐体の上記上面部の開口部から上方に露出した状態で上記ガス栓が配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
上記特徴構成を有する第1及び第2の発明によれば、ハンドルと副ハンドルとのいずれか一方を筐体の内部から回転操作することができ、他方を筐体の上方外部から上面部の開口部を通して回転操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、の発明に係るビルトイン式ガスコンロの一実施の形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1のX−X栓に沿う断面図である。
図3図3は、同実施の形成において用いられているガスコンロの分解斜視図である。
図4図4は、同ガスコンロのガスコンロ本体を示す平図である。
図5図5は、図4のX−X線に沿う拡大断面図である。
図6図6は、同実施の形態において用いられているガス栓を示す断面図である。
図7図7は、この発明に係るガス栓の他の実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1図6は、この発明に係るビルトイン式ガスコンロの第1実施の形態を示す。この実施の形態のビルトイン式ガスコンロAは、筐体1、ガスコンロ2及びガス栓5を有している。
【0011】
筐体1は、略直方体の箱状をなしており、その上面部には、上面開口部(上面部の開口部)1aが形成され、その前面部には、前面上開口部1b及び前面下開口部(前面部の開口部)1cが形成されている。これらの開口部1a〜1cにより、筐体1の内部が外部に開放されている。
【0012】
筐体1の内部には、収容ボックス6が前後方向へ設けられている。収容ボックス6は、筐体1に対し前面下開口部1cを通って出没可能であり、その移動範囲は、閉位置と開位置との間に規制されている。収容ボックス6は、その前端部に前板部(開閉体)6aを有している。この前板部6aは、収容ボックス6が後方へ向かって所定位置まで移動すると筐体1に突き当たる。その結果、収容ボックス6がそれ以上後方へ移動することができなくなる。このときの収容ボックス6の位置が閉位置である。つまり、前板部6aが筐体1に突き当たることによって収容ボックス6の閉位置が定められている。収容ボックス6が閉位置に位置すると、前面下開口部1cが前板部6aによって閉じられる。収容ボックス6の開位置は、筐体1と収容ボックス6との間に設けられたストッパ機構(図示せず)によって定められている。収容ボックス6は、ストッパ機構による停止状態を解除することにより、筐体1から前面下開口部1cを通して外部に取り外し可能である。なお、筐体1の前面部に扉を水平方向へ回転可能に設け、この扉によって前面下開口部1cを開閉するようにしてもよい。その場合には、収容ボックス6が設けられることがなく、筐体1の内部の下端部に物品を載置するための下板部が設けられる。
【0013】
ガスコンロ2は、図2及び図3に示すように、コンロ本体3及びカバー4を有している。コンロ本体3は、金属製の板材からなるものであり、上面部が開放された深さの浅い箱状に形成されている。コンロ本体3の上端部には、全周にわたって環状に延びるフランジ部3aが形成されている。このフランジ部3aには、パッキン3bが全周にわたって設けられている。パッキン3bは、ゴム等の比較的柔軟な樹脂によって構成されている。
【0014】
コンロ本体3のフランジ部3aより下側の部分は、上面開口部1aから筐体1の内部に挿入されている。そして、フランジ部3aが上面開口部3aに隣接する筐体1の上面部にパッキン3bを介して載置されている。これにより、コンロ本体3が筐体1に上下方向へ着脱可能に取り付けられている。コンロ本体3の前端部は、筐体1の前面上開口部1bに挿入され、筐体1の前方に向かって露出されている。前方に露出したコンロ本体3の前面部には、後述するガスバーナ3cやグリル(図示せず)等の点火や消火のための摘み3d及びグリルの開閉蓋3eが設けられている
【0015】
コンロ本体3の内部には、ガスバーナ3cが手前側の左右両端部と後側の左右の中央部とにそれぞれ設けられている。手前側の中央部には、グリル(図示せず)が設けられている。コンロ本体3の後端部には、グリルの燃焼後の排気を外部に排出するための排気口3jが設けられている。
【0016】
コンロ本体3の後側の左隅部は、フランジ部3aを除いて切り落とされている。この切り落とされた部分は、コンロ本体3の内部空間に対し隔壁板3fによって離隔されている。この結果、コンロ本体3を平面視したとき、コンロ本体3の左隅部には、フランジ部3a及び隔壁板3fによって囲まれた略正方形状の設置空間3gが形成されている。設置空間3gは、コンロ本体3の右隅部に形成してもよく、後側中央のガスバーナ3cが設けられない場合には、当該後側の中央部に形成してもよい。
【0017】
隔壁板3fのうちの左右方向に延びる部分には、挿通孔3hが形成されている。この挿通孔3hには、継手3iが挿入されている。継手3iの一端部(以下、上流側端部という。)は、挿通孔3hを通り抜けて設置空間3g内に突出させられている。継手3iの他端部(下流側端部)は、ガス配管(図示せず)を介してガスバーナ3c及びグリルに接続されている。継手3iの上流側端部は、必ずしも設置空間3g内に突出させる必要がなく、コンロ本体3の内部に相通孔3hと対向させて配置してもよい。
【0018】
カバー4は、金属製の板材からなるものであり、フランジ部3aより一回り大きい外形寸法を有している。カバー4の外周部は、筐体1の上面部にパッキン3bを介して載置されている。これにより、カバー4がコンロ本体3に着脱可能に支持され、ひいては筐体1に着脱可能に支持されている。カバー4は、筐体1の上面部に直接載置してもよく、あるいはパッキン3b及びフランジ部3aを介して筐体1の上面部に載置してもよい。
【0019】
カバー4がフランジ部3aより一回り大きい外形寸法を有しているので、カバー4を筐体1に載置すると、上面開口部1a及びコンロ本体3全体が上方から目視することができないように覆われる。その結果、設置空間3gも上方から目視することができないように覆われる。逆に、カバー4を筐体1から取り外すと、設置空間3gが上面開口部1aを介して上方に露出する。設置空間3gは、この実施の形態の場合、その全体が上方に露出するが、設置空間3gの一部だけを上方に露出させてもよい。
【0020】
カバー4には、これを上下に貫通する貫通孔4aが三つ形成されている。三つの貫通孔4aは、三つのガスバーナ3cとそれぞれ上下に対向するように配置されている。カバー4の各貫通孔4aが形成された各部には、五徳4bがそれぞれ設けられている。また、カバー4の後端部には、排気用のスリット4cが複数設けられている。排気口3jから排出された排気が、スリット4cを通ってガスコンロ2の外部に排出される。
【0021】
ガス栓5は、I型ガス栓と称されるものであり、図2及び図4に示すように、設置空間3g内に設けられている。ガス栓5は、直線状に延びる栓本体5aを有している。栓本体5aは、その長手方向を前後方向に向けて水平に配置されている。栓本体5aの内部には、ガス通路5b及び弁収容孔(弁収容部)5cが形成されている。
【0022】
ガス通路5bは、栓本体5aの長手方向の一端面から他端面まで延びている。ガス通路5bの一端部(図2及び図6において左端部;以下、上流側端部という。)には、接続機構7が設けられている。接続機構7は、ガス供給管としてのフレキシブルガス管Gをガス通路5bにワンタッチ操作で接続するためのものであり、公知の構造を有している。そこで、接続機構7についての詳細な説明は省略する。勿論、接続機構7に代えて他の公知の接続機構を採用してもよい。なお、フレキシブルガス管Gは、図2に示すように、筐体1の背板部1dを貫通しており、貫通後下方に向かって延びて戸外に設置された元栓(図示せず)に接続されている。
【0023】
ガス通路5bの他端部(図2及び図6において右端部;以下、下流側端部という。)が開口する栓本体5aの他端部外周面には、接続ナット5dが回転可能に、かつ気密に設けられている。接続ナット5dは、継手3iの設置空間3g内に突出した上流側端部に螺合固定されている。この結果、フレキシブルガス管Gから供給されるガスが、ガス通路5b、継手3i及びガス配管を介してガスバーナ3cやグリルに供給される。
【0024】
弁収容孔5cは、その長手方向をガス通路5bの長手方向と直交する方向に向けて設けられており、ガス通路5bとその長手方向の中間部において交差するように配置されている。弁収容孔5cがガス通路5bと交差する結果、ガス通路5bが、一端側(図6において左側)の上流側部分と他端側の下流側部分とに区分されている。
【0025】
弁収容孔5cの長手方向の中央部には、テーパ孔部5eが形成されている。このテーパ孔部5eには、弁体5fがテーパ孔部5eの軸線(回転軸線)を中心として回転可能に嵌合されている。弁体5fは、図6に示す開位置とこの開位置から周方向へ90°離間した閉位置との間を回転可能である。弁体5fには、その外周面の一側部から他側部まで延びる貫通孔5gが形成されている。弁体5fを開位置に回転させると、ガス通路5bの上流側部分と下流側部分とが貫通孔5gを介して連通する。この結果、ガス通路5bが開かれ、ガス栓5が開状態になる。弁体5fを閉位置に回転させると、ガス通路5bの上流側部分と下流側部分とが弁体5fによって遮断される。この結果、ガス通路5bが閉じられ、ガス栓5が閉状態になる。
【0026】
弁収容孔5cの一端部は、栓本体5aの一側部外面(図2及び図6において下側の外面)に開口させられている。弁収容孔5cの一端部が開口する栓本体5aの一側部外面には、第1環状壁部5hが形成されている。第1環状壁部5hは、その軸線を弁収容孔5cの軸線と一致させて配置されている。弁収容孔5cの他端部は、栓本体5aの他側部外面(図2及び図6において上側の外面)に開口させられている。弁収容孔5cの他端部が開口する栓本体5aの他側部外面には、第2環状壁部5iが形成されている。第2環状壁部5iは、その軸線を弁収容孔5cの軸線と一致させて配置されている。
【0027】
栓本体5aの一側部側(下側)には、第1ハンドル(ハンドル)5jが設けられている。第1ハンドル5jは、長さが短い有底筒状に形成されており、その開口部を上方に向けて配置されている。第1ハンドル5jには、第1環状壁部5hが相対回転可能に挿入されている。それにより、第1ハンドル5jが栓本体5aに対し弁収容孔5cの軸線を中心として回転可能になっている。第1ハンドル5jは、弁体5fの大径側の端部に回転不能に連結されている。したがって、第1ハンドル5jを回転操作することにより、弁体5fを閉位置と開位置との間において回転させることができる。
【0028】
栓本体5aの他側部側(上側)には、第2ハンドル(副ハンドル)5kが設けられている。第2ハンドル5kは、長さが短い有底筒状をなしており、その開口部を下方に向けて配置されている。第2ハンドル5kの底部の中央部には、断面円形の突出部5lが形成されている。この突出部5lの外周面と第2ハンドル5kの内周面との間の環状の隙間に第2環状壁部5iが相対回転可能に挿入されている。それにより、第2ハンドル5kが栓本体5aに対し弁収容孔5aの軸線を中心として回転可能になっている。第2ハンドル5kは、弁体5fの小径側の端部に回転不能に連結されている。したがって、第2ハンドル5kを回転操作することにより、弁体5fを閉位置と開位置との間において回転させることができる。なお、突出部5lの外周面と第2環状壁部5iの内周面との間が、Oリング等のシール部材5mによって封止されている。
【0029】
上記構成のビルトイン式ガスコンロAにおいて、ガスコンロ2にガス栓5を接続する場合には、予め筐体1にフレキシブルガス管Gを挿通し、そのフレキシブルガス管Gをガス栓5に接続しておく。この作業は、筐体1の上面開口部1aを通して行うことができる。その後、筐体1にガスコンロ2を取り付ける。次に、上半身を前面下開口部1cから筐体1内に挿入する。そして、接続ナット5dを継手3iに螺合させて締め付ける。これにより、ガス栓5をガスコンロ2に接続する。ここで、ガス栓5は、第1ハンドル5jが下側に位置し、第2ハンドル5kが第1ハンドル5jの上側に位置した状態で接続する。その後、第1ハンドル5jを回転操作して弁体5fを開位置に回転させ、ガス栓5を開状態にする。この場合、第1ハンドル5jが下側に配置されているので、第1ハンドル5jを容易に操作することができる。
【0030】
また、長期間の外出のために、ガス栓5を開状態から閉状態に切り換える場合には、カバー4を取り外し、設置空間3gを上方に開放する。すると、ガス栓5の第2ハンドル5kが上方に露出する。そこで、手を設置空間3g内に上方から挿入する。設置空間3gは、上面開口部1a内に位置している。したがって、手は、設置空間3gに上面開口部1aを介して挿入される。その後、第2ハンドル5kを回転操作して弁体5fを閉位置に回転させ、ガス栓5を閉状態にする。また、同様にして閉状態のガス栓5を開状態に切り換えることができる。
【0031】
上記のように、ガス栓5の開閉操作に際しては、手を設置空間3g内に上方から挿入すればよく、上半身を前面下開口部1cから筐体1内に挿入する必要がない。したがって、筐体1内の物品を出し入れする必要もない。よって、ガス栓5の開閉操作を容易に行うことができる。
【0032】
なお、この実施の形態のビルトイン式ガスコンロAにおいては、設置空間3gの大きさが、接続ナット5dを継手3iに接続するための作業を行うのに十分な大きさに設定されているので、ガス栓5のガスコンロ2への接続作業も設置空間3gを通して行うことができるが、通常は設置空間3gの平面視における大きさが、第2ハンドル5kの回転操作を行うことができるだけの小さなものとされる。したがって、ガス栓5のガスコンロ2への接続は、従来と同様に上半身を前面下開口部1cから筐体1内に挿入して行われる。
【0033】
図7は、この発明に係るビルトイン式ガスコンロにおいて用いられるガス栓の他の例を示す。この例のガス栓5Aにおいては、弁収容孔5cの上端部に環状突出部5nが形成されている。一方、弁体5fの上端面には、突出部5oが形成されている。この突出部5oは、環状突出部5nを回転可能に貫通して上方に突出している。突出部5cの外周面と環状突出部5nの内周面との間は、シール部材5mによって封止されている。環状突出部5nを貫通した突出部5oの上端部は、第2ハンドル5kに回転不能に連結されている。これにより、第2ハンドル5kが弁体5fに回転不能に連結されている。その他の構成は、上記実施の形態と同様である。
【0034】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
例えば、上記の実施の形態においては、ガス栓として、栓本体5a及びガス通路5bが直線状に延びるI型のガス栓5,5Aが用いられているが、栓本体5a及びガス通路5bをその長手方向の一端部、他端部及び中央部のいずれかの箇所を水平面上において屈曲させ、栓本体5a及びガス通路5bをL字状に屈曲させてもよい。
また、弁体としてテーパ状の弁体5fが用いられているが、これに代えて球状の弁体を用いてもよい。
さらに、上記の実施の形態においては、第1ハンドル5jを下側に、第2ハンドル5kを上側にそれぞれ配置しているが、これとは逆に、第1ハンドル5jを上側に、第2ハンドル5kを下側にそれぞれ配置してもよい。
【符号の説明】
【0035】
A ビルトイン式ガスコンロ
1 筐体
1a 上面開口部(上面部の開口部)
1c 前面下開口部(前面部の開口部)
2 ガスコンロ
3 コンロ本体
4 カバー
5 ガス栓
5A ガス栓
5a 栓本体
5b ガス通路
5c 弁収容孔(弁収容部)
5f 弁体
5j 第1ハンドル(ハンドル)
5k 第2ハンドル(副ハンドル)
6a 前板部(開閉体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7