【実施例】
【0017】
図1は、本発明の患者包括ケア情報自動配信システムの構成を示す図である。同図において、患者包括ケア情報自動配信システム10は、ネットワーク20を介して携帯端末30、医療機関システム40、他職種機関システム50、に接続するサーバからなる。
【0018】
サーバは、受信部(受信手段)101、送信部(送信手段)、電子カルテ情報作成部(電子カルテ情報作成手段)103、管理部(管理手段)104、制御部(制御手段)105、を有する。
【0019】
管理部103は、予め患者統一IDと、当該IDに関連付けされている医療機関及び他職種機関の各システムのアドレス、つまりメールアドレスなどを登録した管理テーブル(ID参照テーブル)1041(後述する
図2参照)を格納するDB1041を有する。
【0020】
受信部101は、携帯端末30や医療機関システム40、他職種機関システム50、の各情報処理装置(パーソナルコンピュータなど)から入力される看護記録情報、例えば、患者ID、医療機関(診療所、病院、薬局、訪問看護拠点等)情報、他種機関(介護施設等)情報、ケア情報(病名、投薬歴、介護歴)などを受信する。
【0021】
電子カルテ情報作成部103は、各機関で予め決められた電子カルテ用フォーマット(図示せず)を元に、看護記録情報からカルテに記載する患者のケア情報(カルテ記録データ)を抽出し、所望の形式、例えば、厚生労働省電子的診療情報交換推進事業で規定されているSS−MIX(Standardized Structured Medical Information eXchange)形式に展開する。訪問看護拠点に対しては、携帯端末30から入力した訪問看護記録情報のフォーマットのままとする。
【0022】
送信部102は、電子カルテ情報作成部103により所望の形式に展開されたカルテ記録データを、後述する管理テーブルT1041(
図3)を参照し、各関係機関のメールアドレスへ自動配信する。このメール自動配信は、一斉同報で行なっても1つ1つ順次行なってもよい。
制御部105は、各部を制御するプログラムを有する。
【0023】
図2は、携帯端末の入力手段の入力形式フォーマット(入力画面)例を示す図である。同図において、携帯端末30は、既存のモバイル端末(iPAD等)を利用し、例えば、端末を起動し、看護記録入力用ボタンを操作したとき、図示の如く、入力画面301が表示され、当該入力画面に従って、患者記録情報を入力し、送信ボタンを操作して送信することが可能な機能を有する。携帯端末30の入力画面には、例えば、入力者、患者ID、医療機関情報(メールアドレスなど)、他職種機関情報(メールアドレスなど)、ケア情報(病名、投薬歴、介護歴、など)の入力を促すような画面であることが望ましいが、これに特定する必要はない。
【0024】
図3は、管理部103において、管理される管理テーブル(ID参照テーブル)の一例を示す図である。
同図において、管理テーブルT1041は、患者ID(1〜6、・・・)と、当該IDに関連付けされている医療機関(診療所A、診療所B、病院C、病院D、など)のメールアドレスを含むID(A001、B001、C001、D001、など)や、他職種機関(介護施設、訪問看護ステーション、など)のメールアドレスを含むID(E001、F001、など)を有する。
【0025】
つまり、これらを対応付けて管理する管理テーブルT1041をもって、患者IDを元に一人の患者が利用している1つ以上の医療機関、1つ以上の他職種機関の各システムをグルーピングして、一元管理する。なお、図示していないが、薬局は、医療機関情報とする。
【0026】
ここで、肝要なことは、患者包括ケア情報自動配信システムにて、必要以上の情報、つまり看護記録情報(カルテ記録データ)を常時、保管、管理しないことである。但し、管理部103は、送信部102より、看護記録情報(カルテ記録情報)が全て関係機関に送信されるまでは一時的に記憶しておき、全ての関係機関に送信完了した後に、当該情報を消去し、患者包括ケア情報自動配信システム側に記録が残らないようにする。これにより、個人情報である患者の記録情報(カルテ記録データ)などの情報漏洩リスクを最小限とする。
【0027】
図4は、本発明の患者包括ケア情報自動配信システムの処理を示す図である。同図において、患者包括ケア情報自動配信システム(サーバ)10は、以下の処理手順をもって、携帯端末30からの患者記録を電子カルテ情報として関係機関40、50に対して自動配信する。
【0028】
本実施例では、携帯端末30からの看護記録情報を入力する例であるが、医療機関システム40や他職種機関システムの各情報処理装置からの看護記録情報を受け入れることが可能である。
【0029】
まず、前提として、患者は、医療機関の診療所Aに皮膚科通院し、診療所Bに内科通院し、病院Bに神経科通院し、しかる後、診療所Bの紹介により病院Aで内科手術を受け、当該病院を経過観察後退院し、患者の自宅で在宅療養する経緯を辿ったあと、患者の承諾を元に本システムの利用申請を行なうものとする。
【0030】
そして、患者包括ケア情報自動配信システムの制御部105は、ステップS401にて、患者の本システム利用申請を受付け、本システムの管理部104に患者や当該患者が利用した医療機関や他職種機関などを登録する。
【0031】
このとき、患者統一ID、患者が受診した医療機関や介護を受けた介護機関等の情報を管理部104のDB1041(管理テーブルT1041)に登録し、管理する(
図2参照)。
【0032】
次に、ステップS402にて、訪問看護士による訪問看護を受け、当該看護士の携帯端末30から入力、送信された看護記録を受信する。
【0033】
次いで、ステップS403にて、所望の看護記録フォーマット(図示せず)より、カルテ記録となる情報を自動抽出する。つまり、看護記録情報からカルテに記載するカルテ情報を抽出する。
【0034】
次に、ステップS404にて、カルテ記録情報を所望の電子カルテ形式に展開する。
【0035】
最後に、ステップS405にて、当該電子カルテ形式のカルテ記録情報を、管理テーブルT1041を参照して、当該テーブルに登録されている各医療機関、各他職種機関にメールにて自動配信する。
【0036】
この配信は、各機関に適したフォーマットや形式で配信するとよい。例えば、訪問看護拠点に対しては、訪問看護記録フォーマットのまま配信し、診療所A、B及び病院A、病院Bには、所望の形式で配信する。例えば、各医療機関や各他職種機関が、例えば、SS−MIX形式で受信可能な状態で配信する。訪問看護記録拠点に配信する場合は、訪問看護記録フォーマットのままで送受可能とする。
【0037】
以上述べたように患者のケア情報を電子カルテ情報として、関連機関や関連施設などに一斉配信することにより、各機関、施設間の連携を密に行うことが可能となり、連携漏れなどによる医療事故を未然に防止することができる。
【0038】
換言すれば、医師、看護師、介護者、施設職員、などの医療従事者による患者のケア情報入力漏れは、医療事故を引き起こすリスクとなることから、医療従事者の意識向上に繋げることが期待できる。
【0039】
また、本システムを利用する医療機関及び他職種機関を識別するID、患者ケア情報の配信先を識別するメールアドレスのみを管理するだけであることから、本システムから患者ケア情報が漏洩するリスクを最小限に抑えることができる。
【0040】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。