特許第6144956号(P6144956)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144956
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20170529BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20170529BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20170529BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20170529BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170529BHJP
【FI】
   F21S8/02 420
   F21S8/02 430
   F21S2/00 480
   F21V29/503
   F21V23/00 170
   F21V23/00 150
   F21Y115:10
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-91030(P2013-91030)
(22)【出願日】2013年4月24日
(65)【公開番号】特開2014-216116(P2014-216116A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(74)【代理人】
【識別番号】100161322
【弁理士】
【氏名又は名称】白坂 一
(72)【発明者】
【氏名】宮島 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 直輝
(72)【発明者】
【氏名】安住 まどか
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−044269(JP,A)
【文献】 特開2012−074216(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/024836(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3048814(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21S 2/00
F21V 23/00
F21V 29/503
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子が実装されたLED基板と、
前記LED素子を点灯駆動するための点灯回路を構成する電子部品が実装された点灯回路基板と、
前記LED素子の出射光を透光して前記LED素子が実装された側を覆う透光性カバーと、前記LED基板の外周に設けられた反射板とが配設されたLEDランプ本体と、
前記LEDランプ本体の外縁と前記透光性カバーの外縁との間を覆う枠体と、
を備え、天井等の被取付部に前記LEDランプ本体が固定手段によって取り付けられたLED照明装置であって、
前記透光性カバーが前記反射板によりLEDランプ本体に固定され
前記LED基板上に配置されている最外周の前記LED素子の端部と前記反射板の距離が、前記LED基板上に配置されているLED素子間の距離より小さくなるように配置されていることを特徴としたLED照明装置。
【請求項2】
前記透光性カバーが、前記反射板の端部を延出して形成された透光性カバー留め部により、反射板に装着されていることを特徴とした請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記透光性カバー留め部は、前記反射板の端部延出部を折り曲げて前記透光性カバーの端部を挟持するように構成されており、前記折り曲げ部が、対向して透光性カバーを挟んでいる反射板端部の部分より、前記透光性カバー中心部方向に延出していることを特徴とした請求項2に記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記点灯回路基板に放熱板が設けられ、前記放熱板は、下部が開口されている略台形で、前記点灯回路基板に前記略台形の頂部で装着されたことを特徴とした請求項1から3のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項5】
前記LED素子を調光するための調光回路を構成する電子部品が実装された調光回路基板が備えられて、
前記調光回路基板に放熱板が設けられ、
前記放熱板は、下部が開口されている略台形で、前記調光回路基板に前記略台形の頂部で装着されたことを特徴とした請求項1から4のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記放熱板が、前記LEDランプ本体と一体として形成されていることを特徴とした請求項4又は5に記載のLED照明装置。
【請求項7】
前記LED基板が、前記LED基板の最外周からLED素子が2以上の内側の位置で、前記LEDランプ本体に取り付けられたことを特徴とした請求項1から6のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項8】
前記透光性カバーに、該透光性カバーの中央部より外周部が高密度となる光拡散面を形成したことを特徴とした請求項1から7のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項9】
前記LED基板上に配置されているLED素子と前記透光性カバーの距離が、前記LED基板上に配置されているLED素子間の距離より大きくなるように配置されていることを特徴とした請求項1からのいずれかに記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED素子を光源に使用したLED照明装置に係り、特に天井に直接取り付ける天井直付け型のLED照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりから、省電力化に優れたLED素子を光源に使用した、電源内蔵型の電球型LEDランプが普及してきた。さらに最近は、天井埋め込み型のダウンライトや、天井直付け型のシーリングライトにおいても、LED素子を使用した照明装置が開発され、市場に導入されてきている。
天井埋め込み型のダウンライトは、天井面に大きな孔をあけるものであり、その孔あけ作業や、また孔部の補強が必要であり、施工時に手間がかかるものである。そこで、大きな孔をあけることのない照明装置が検討されている(特許文献1、2)。
また天井直付けシーリングライトは、天井面に取り付けられた引掛シーリングボディに、引掛シーリングアダプタを取り付けた照明装置を装着するものであり、特に最近は厚みの薄いシーリングライトも検討されている(特許文献3)。
【0003】
例えば特許文献1に記載されている照明装置は、給電部、LED、LEDと同一平面上にある点灯装置とが取り付けられたベース板が取付ネジにより天井面に直接ネジ止めされるもので、天井面には円筒形状の給電部が挿入される挿入孔が形成されていて、挿入孔に挿入された給電部に対して、電力供給用の電源線が接続される。それによって天井面に大きな孔をあけることなく天井面に直接取り付けることができる照明装置が提供される。
また特許文献2に記載されている照明装置は、光源及び当該光源に電源を供給する電源ブロックが内部に収納され、天井面に取り付けられる器具本体内部に、外部電線が電気的に接続される速結端子を備えたものであり、薄型化を図りつつ施工性を向上させた照明器具が提供される。
【0004】
特許文献3に記載されている照明装置は、照明モジュールと、照明モジュールに電力を供給する電源部と、照明モジュール及び電源部を保持するシャーシと、シャーシを引掛シーリングボディに取り付ける引掛シーリングアダプタとを備え、照明モジュール、電源部及び引掛シーリングアダプタは、夫々が引掛シーリングボディに対して互いに重なり合わないようにシャーシに配されている。それによって引掛シーリングボディからの照明モジュール、電源部及び引掛シーリングアダプタの突設高さを低減することができ、薄型化を図った照明装置が提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4565307号
【特許文献2】特開2011−233272
【特許文献3】特開2011−134684
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や2に記載されている照明装置においては、照明装置本体から透光性カバーを取り外し、照明装置本体のベース部を天井面にネジ止めし、再度透光性カバーを取り付ける構造であり、取り付け時にLED素子を傷つける虞があり、また簡単に照明装置を取り付けられるものではない。
また、特許文献3に記載されている照明装置においては、引掛シーリングボディの厚みと引掛シーリングアダプタの厚みを加えた厚みよりも、天井面から照明装置下面までの高さを薄くすることができない照明装置となっている。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するため鋭意検討した結果なされたものであり、薄く扁平でありながらも、LED素子、電子部品の熱劣化が抑制され、天井面に簡単に取り付けられるLED照明装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明にあたっては、LED素子が実装されたLED基板と、前記LED素子を点灯駆動するための点灯回路を構成する電子部品が実装された点灯回路基板と、前記LED素子の出射光を透光して前記LED素子が実装された側を覆う透光性カバーと、前記LED基板の外周に設けられた反射板とが配設されたLEDランプ本体と、前記LEDランプ本体の外縁と前記透光性カバーの外縁との間を覆う枠体と、を備え、天井等の被取付部に前記LEDランプ本体が固定手段によって取り付けられたLED照明装置であって、前記透光性カバーがLEDランプ本体に固定され、前記LED基板上に配置されている最外周の前記LED素子の端部と前記反射板の距離が、前記LED基板上に配置されているLED素子間の距離より小さくなるように配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明にあたっては、前記透光性カバーが、前記反射板の端部を延出して形成された透光性カバー留め部により、反射板に装着されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の発明にあたっては、前記透光性カバー留め部は、前記反射板の端部延出部を折り曲げて前記透光性カバーの端部を挟持するように構成されており、前記折り曲げ部が、対向して透光性カバーを挟んでいる反射板端部の部分より、前記透光性カバー中心部方向に延出していることを特徴とするものである。
【0017】
請求項4に記載の発明にあたっては、前記点灯回路基板に放熱板が設けられ、前記放熱板は、下部が開口されている略台形で、前記点灯回路基板に前記略台形の頂部で装着されたことを特徴とするものである。
【0025】
請求項5に記載の発明にあたっては、前記LED素子を調光するための調光回路を構成する電子部品が実装された調光回路基板が備えられて、前記調光回路基板に放熱板が設けられ、前記放熱板は、下部が開口されている略台形で、前記調光回路基板に前記略台形の頂部で装着されたことを特徴とするものである。
【0029】
請求項6に記載の発明にあたっては、前記放熱板が、前記LEDランプ本体と一体として形成されていることを特徴とするものである。
【0031】
請求項7に記載の発明にあたっては、前記LED基板が、前記LED基板の最外周からLED素子が2以上の内側の位置で、前記LEDランプ本体に取り付けられたことを特徴とするものである。
【0039】
請求項8に記載の発明にあたっては、前記透光性カバーに、該透光性カバーの中央部より外周部が高密度となる光拡散面を形成したことを特徴とするものである。
【0041】
請求項に記載の発明にあたっては、前記LED基板上に配置されているLED素子と前記透光性カバーの距離が、前記LED基板上に配置されているLED素子間の距離より大きくなるように配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0042】
本発明の透光性カバーが反射板に装着されているLED照明装置の構造によって、天井面へ小さな穴をあけるだけで簡単に取り付けられる施工性が良好な、扁平なLED照明装置を提供することができる。
また、本発明のLED照明装置の構造によって、扁平でありながらも各LED素子や点灯回路と調光回路を構成する電子部品の温度上昇が抑えられた、寿命の長いLED照明装置を提供することができる。
さらに、本発明のLED基板と透光性カバーと反射板を備えることによって、明るさムラのない組み立てやすいLED照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本実施形態に係わるLED照明装置の天井面側から見た取り付け前外観斜視図
図2】本実施形態に係わるLED照明装置の被照射面側から見た取り付け前外観斜視図
図3】本実施形態に係わるLED照明装置の天井面側から見た外観斜視図
図4】本実施形態に係わるLED照明装置の被照射面側から見た外観斜視図
図5】本実施形態に係わるLED照明装置を被照射面側上面から見た分解斜視図
図6】本実施形態に係わるLED照明装置のLEDランプ本体と枠体を別々にした状態の図5のA−A線に沿う断面図
図7】本実施形態に係わるLED基板の平面図
図8】本実施形態に係わるLED照明装置の図6の一方端部の拡大断面図
図9】本実施形態に係わるLED照明装置の図6の一方端部の拡大断面図 (a)反射板を複数の異なる角度の反射面で形成した形態 (b)反射板を外側に放射線形状に湾曲させた形態 (c)透光性カバー留め部の拡大断面図 (d)透光性カバー取付部の拡大断面図
図10】本実施形態に係わる透光性カバーの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお本実施の形態は一例であり、これに限定されるものではない。
【0045】
図1は、本実施形態に係わるLED照明装置の天井面側から見た取り付け前外観斜視図、図2は、本実施形態に係わるLED照明装置の被照射面側から見た取り付け前外観斜視図、図3は、本実施形態に係わるLED照明装置の天井面側から見た外観斜視図、図4は、本実施形態に係わるLED照明装置の被照射面側から見た外観斜視図である。
図1から図4に示したように、本実施形態に係わるLED照明装置100は、LEDランプ本体1と、枠体4とからなり、外部電源線(F−ケーブル)5と調光信号線6が出ている直径15mmの孔があいた天井面7にLEDランプ本体1がネジ止めされる。なお直径15mm以下の孔であれば、天井に特別な補強を施すことがないので、施工性良くLED照明装置100を取り付けることができる。
【0046】
図5は、本実施形態に係わるLED照明装置を被照射面側上面から見た分解斜視図、図6は、本実施形態に係わるLED照明装置のLEDランプ本体と枠体を別々にした状態の図5のA−A線に沿う断面図である。
LEDランプ本体1は、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属材料を使用して、打抜加工、プレス加工、折曲加工等によって作成される。LEDランプ本体1は4角形状で、図1から図5に示すように、LEDランプ本体1の裏面側の周縁部に円形の外部電源用孔11と調光信号用孔12が開口し、外部電源線5と調光信号線6がLEDランプ本体1の表面側の周縁部に設けられた点灯端子台15と調光端子台16に接続されている。
【0047】
図7は、本実施形態に係わるLED基板の平面図、図8は、本実施形態に係わるLEDランプの図6の一方端部の拡大断面図である。
LEDランプ本体1は、図5から図8に示すように、LEDランプ本体1と、このLEDランプ本体1の中央に取り付けられ、LED素子20が実装されたLED基板21と、LED基板の外周を取り巻くようにLEDランプ本体1に取り付けられた反射板23と、反射板23の開放端に側に装着された透光性カバー24とから概略構成されている。LED本体1の端縁部には、外部電源線5が接続される点灯端子台15と、調光信号線6が接続される調光端子台16と、複数のLED素子20と、LED素子を点灯させる点灯回路25を構成する各種電子部品29とが実装された点灯回路基板27と、LED素子を調光させる調光回路26を構成する各種電子部品29aとが実装された調光回路基板28が設けられている。なお、点灯回路25と調光回路26の外観構成は概略同一であるから、図8では代表例として点灯回路25を示している。
【0048】
本実施の形態では、調光機能を有する製品の例として、点灯回路25と調光回路26を別基板としての構成で説明している。この場合、別基板にすることにより調光機能を有しない製品においても、同じLEDランプ本体1を共通で用いることができるので、製品の汎用性を大きくし、低コスト化できることが期待できる。
【0049】
LED基板21は、図5及び図7に示すように、2枚の基板が並べて構成されており、LED素子20を14mmピッチにより格子状に配置したことにより、透光性カバー24の外周端部が均一な明るさになるように構成されている。また、LED基板21の最外周からLED素子20が2以上の内側の位置でLEDランプ本体1に複数の基板固定ピン22により2枚のLED基板が固定されている。LED素子20が2以上内側の位置に、LEDランプ本体1固定用の穴が加工されているので、一枚の基材から複数のLED基板21を取るために分割する加工を行うときに、基板のクラック発生を減少させることが可能となる。
【0050】
LED基板21には、図7に示すようにLED基板21の一方の端部を略台形に延出した延出部32が設けられ、延出部32に点灯回路基板27と接続する接続端子33が配置される。接続するために、反射板23のLEDランプ本体1と接する部分に反射板貫通孔34が設けられ、この反射板貫通孔34を通してLED基板21の前記延出部32を反射板23の外側に延出している。接続端子33は、反射板23の外側の位置で点灯回路基板27からのケーブルと接続されている。
また、ケーブルを反射板23の外側に配設された接続端子33を用いて接続しているので、組み立てが容易となる上に、ケーブルと接続された接続端子33をシリコン樹脂等の絶縁性樹脂35にて覆うことで、他の部品等との誤接続や誤接触を防ぐ効果が期待でき、信頼性の向上も期待できる。
さらに、LED基板21のLED素子実装側に、高反射シートを貼合することや、高反射用塗料を塗布することにより、光取り出し効率の改善が期待できる。
【0051】
反射板23は、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属材料を使用して、打抜加工、プレス加工、折曲加工等によって作成される。反射板23は、図5に示すように、4角形状に配置されたLED基板21の外周を被い、一方端面がLEDランプ本体1に固定されて(反射面23の下端部の複数個所に固定用舌片部が形成されている)、他方端面がLEDランプ本体外周方向に開口されている。反射板23の内壁面は鏡面加工された拡散反射面を形成しており、LED素子20の出射光を吸収することなく反射し、透光性カバー24から光をロスすることなく出射させる機能を有している。
【0052】
図9は、本実施形態に係わるLEDランプの図6の一方端部の拡大断面図で、図9(a)は、反射板23を複数の異なる角度の反射面で形成した形態を示し、図9(b)は、反射板を外側に放射線形状に湾曲させた形態を示している。また、図9(c)は、透光性カバー留め部形状の拡大断面図である。
反射板23は、図9(a)、(b)に示すように、LEDランブ本体と対向する方向に、LED照射光が反射するように形成されている。図9(a)の場合は、LEDランブ本体に対して60度、90度の角度となるように2つの異なる角度の反射面で構成されている。また、図9(b)の場合は、LEDランブ本体に対して、放物線形状に形成されている。
図9(c)に示すように、反射板23の端部の一部分を折り曲げて形成された透光性カバー留め部36に、透光性カバー24の端縁部を挟持することにより、該透光性カバー24は反射板23に装着されている。透光性カバー留め部36の折り曲げ部分(B=9mm)が、透光性カバー留め部と透光性カバーを挟んで対向接触している反射板の部分(C=6mm)より、透光性カバー中心部方向に延出している。
上記の施策により、透光性カバー24の端辺側が明るくなり透光性カバー24の均斉度を改善させることが可能になる。
【0053】
また、LEDランブ本体外周に向かっている反射板23が、点灯回路基板27と調光回路基板28を覆うように設けられているため、点灯回路基板27と調光回路基板28から発生するノイズレベルを低くする効果が期待できる。
さらに、LED基板上に配置されている最外周のLED素子端部と反射板の距離(L=7mm)が、LED基板上に配置されているLED素子間の距離(P=14mm)より近傍になるように配置されていることにより、透光性カバー24の均斉度と、LED照明装置100の絶縁耐圧を改善することが可能になる。
なお、点灯回路25と調光回路26の外観構成は概略同一であるから、図9では代表例として点灯回路25を示している。
【0054】
本実施形態で説明した方法とは異なる、透光性カバー取付部37を用いて透光性カバー24をLEDランプ本体1に設置する透光性カバー固定方法を説明する。
図9は、本実施形態に係わるLEDランプの図6の一方端部の拡大断面図で、図9(d)は、透光性カバー取付部の拡大断面図である。
図9(d)に示すように、LEDランプ本体1に設置された透光性カバー取付部37が、照射方向に延びて透光性カバー24を、LEDランプ本体と略平行になるように固定している。また、透光性カバー取付部37のLED基板側に反射板23を設置して、LED素子からの出射光を反射させている。まず透光性カバー取付部37を表面側からLEDランプ本体1に固定し、その後反射板23をLED基板側から透光性カバー取付部37に固定することにより、組み立てが全て表面側から可能となり、組み立てを行いやすい構造となっている。
【0055】
図5及び図6に示すように、LEDランプ本体1の周縁部であるLEDランプ本体1の外縁と反射板23の間に、点灯回路25と、調光回路26と、点灯端子台15と、調光端子台16が配設されている。点灯端子台15と、調光端子台16は、LEDランプ本体1の外縁の一辺に離して配設されている。点灯回路25は、LEDランプ本体1の外縁の隣り合う二辺に分割されて配設され、調光回路26は、LEDランプ本体1の外縁の残る一辺に配設されている。これにより、図5に示すように、点灯端子台15と点灯回路25が隣接し、調光端子台16と調光回路26が隣接して配設される。
このように隣接配設することにより、LED照明装置100から発生されるノイズレベルが低くなる効果を有することが実験で確認されている。
【0056】
図6に示すように、透光性カバー24は、ポリカーボネート等の熱可塑性プラスチックで造られており、LEDランプ本体1に設置されているLED基板21に対面して、反射板23の開口を塞ぐように設置され、前述したように反射板23の端面で固定されている。本実施形態の透光性カバー24は、押出し成型により作成された板厚(t=3mm)で拡散率(55%)の特性のものを、透光性カバーのサイズに加工して使用している。
透光性カバー24が反射板23に設置されることにより、LED照明装置100の設置時におけるLED素子20の保護ができ、従来のように、別にLED素子保護カバーを設ける必要がなく、透光性カバー24が、LED素子保護カバーの機能を併せ持つので、コストを低減することが可能となる。
【0057】
図10は、本実施形態に係わる透光性カバーの斜視図である。また、図10に示すように、透光性カバー24に行っているシボ加工等により光拡散面が形成されており、透光性カバーの内部より透光性カバーの外周部が高密度の光拡散面となるようにシボ施工することにより、より透光性カバー24の均斉度を改善させることが可能になる。
さらに、図6に示すように、LED基板上に配置されているLED素子20と透光性カバー24の距離(h=30mm)が、LED基板上に配置されているLED素子間の距離(P=14mm)より隔てるように配置されていることにより、透光性カバー24の均斉度と、LED照明装置100の絶縁耐圧を改善することが可能になる。
【0058】
図5に示すように、枠体4は、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属材料を使用して、打抜加工、プレス加工、折曲加工等によって4角形状の枠体に作成されて、外面が塗装される。枠体4の角部は、レーザー溶接により加工されることにより、角部表面の凹凸が軽減されて外面の塗装を滑らかに行うことができ、外観不具合を低減することが可能になる。
枠体4の4箇所に取り付けられたVバネ(図示せず)を、LEDランプ本体1に取り付けられているバネ受け(図示せず)に挿入させることにより、枠体4とLEDランプ本体1が一体化される。これにより、LEDランプ本体の外縁と透光性カバーの外縁との間が枠体4により覆われて、LEDランプ本体周縁部に配置されている各種基板、接続端子台等が見えなくなり、外部からは出射光を透光する透光性カバーのみが見える構造とすることになる。
【0059】
また、前述したように、Vバネによって枠体4は不用意に取り外れないようになっているが、枠体4とLEDランプ本体1とを繋ぐ落下防止用チェーン等の安全構造を別途設けてもよい。
【0060】
図9に示すように、点灯回路25の電子部品29が搭載されている点灯回路基板27と、調光回路26の電子部品29aが搭載されている調光回路基板28に放熱板30を設けてLEDランプ本体1に接続している。放熱板30は、下部が開口されている略台形で、点灯回路基板27と調光回路基板28に、放熱板30の略台形の頂部をネジ等により装着している。放熱板30を点灯回路基板27と調光回路基板28に取り付けることにより、それぞれの回路における電子部品29、29aの温度上昇が抑えられるとともに基板のたわみが抑制されて、信頼性が向上した寿命の長いLED照明装置を提供することができる。
なお、本実施の形態では、点灯回路基板27と調光回路基板28に別部品として放熱板30を固定しているが、LEDランプ本体1を打抜加工、プレス加工、折曲加工等により、LEDランプ本体1と一体とした放熱板を形成してコスト削減を図ってもよい。
【0061】
図8及び図9に示すように、点灯回路25の電子部品29が搭載されている点灯回路基板27と、調光回路26の電子部品29aが搭載されている調光回路基板28は、亜鉛めっき鋼板(SGCC)等の金属材料からなる金属カバー31で覆われて、金属カバー31がLEDランプ本体1に接続されている。金属カバー31で覆うことにより、点灯回路基板27と調光回路基板28から発生するノイズレベルを低くする効果が期待できる。
【0062】
LED素子20としては公知の種々のLEDを用いることができる。本実施形態では、照明用の白色光を発光する高輝度タイプのLED素子が用いられている。
【0063】
点灯回路25と調光回路26を構成する電子部品29、29aは、過電流保護、ノイズカット、整流、平滑、調光制御などを行うための各種ダイオード、コンデンサー、IC、抵抗などの公知の電子部品である。
【0064】
点灯回路基板27と調光回路基板28は、4角形状の平板で、両面に銅箔が貼られたガラスエポキシ基板であり、片面側に電子部品29、29aが実装されている。
【0065】
点灯回路基板27と調光回路基板28、LED素子が搭載されているLED基板21は、別基板として設けられているが、明るさのムラを重要視しない場合は、この複数の基板を統合して、周囲に回路を配した1枚のLED基板として用いることも考えられる。
【0066】
本実施形態のLED照明装置100は、以下のように被取り付け面である天井面7や壁等に取り付けられる。
まず、天井面7に直径15mmの孔をあけて、該孔から外部電源線5と調光信号線6を引き出す。LEDランプ本体1を天井面7に固定する場合、図1から図3に示すように、天井面7に固定ネジを2箇所設けて、その固定ネジに、LEDランプ本体1の周縁部に設けられている2つの異なる孔がつながった形状に形成されている取付孔A13を挿入し、天井面7に沿ってLEDランプ本体1を固定ネジの取付孔Aの狭い孔の方に移動させることにより、LEDランプ本体1が天井面7に仮固定させる。
次にネジにより取付孔B14で、LEDランプ本体1を天井面7に固定させる。LEDランプ本体1が天井面7に装着され、LEDランプ本体1の外部電源用孔11と調光信号用孔12により外部電源線5と調光信号線6がLEDランプ本体1の点灯端子台15と調光端子台16にそれぞれ接続される。
このとき、透光性カバー24が反射板23に設置されているので、透光性カバー24が、LED素子保護カバーの機能を併せ持ちLED素子20の保護も行っている。よって、LED照明装置の取付作業時が、短時間で安全に行うことができる。
さらに、LEDランプ本体1に、枠体4がVバネにより密着するように取り付けられてLED照明装置100はダウンライトとして使用可能となる。
【0067】
本実施形態では、LED照明装置に調光回路が設置された場合について説明したが、近年において採用されてきているLED出射光の調色を行う調色回路についても、調光回路と同様に対応することができる。また、本発明のLED照明装置に照度を一定とする明るさセンサや人の有無を感知して省電力化を図る人感センサをLED照明装置に搭載することも考えられる。
【0068】
以上のように、本実施形態では、LEDランプ本体1は、扁平な4角形状であり、被照射面側に近い側から順番に、枠体4と、透光性カバー24と、LED基板21と、LEDランプ本体1とが略平行となるように配置されている。これらによってLED照明装置100は、天井面7からの突出量が40mmと少なく、良好な意匠性を示している。
なお本実施形態ではLEDランプ本体1の形状を4角形にしたが、これに限定されず断面が円筒形や多角形等からなる扁平な多角柱であってもよい。この場合には、LED素子の配置を千鳥としたLED基板を用いること等により、光取り出し効率が改善できる。
【0069】
以上、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1:LEDランプ本体
11:外部電源用孔
12:調光信号用孔
13:取付孔A
14:取付孔B
15:点灯端子台
16:調光端子台
20:LED素子
21:LED基板
22:基板固定ピン
23:反射板
24:透光性カバー
25:点灯回路
26:調光回路
27:点灯回路基板
28:調光回路基板
29、29a:電子部品
30:放熱板
31:金属カバー
32:延出部
33:接続端子
34:反射板貫通孔
35:絶縁性樹脂
36:透光性カバー留め部
37:透光性カバー取付部
4: 枠体
5: 外部電源線
6: 調光信号線
7: 天井面
100:LED照明装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図9(c)】
図9(d)】
図10