特許第6144973号(P6144973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カンタツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000020
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000021
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000022
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000023
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000024
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000025
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000026
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000027
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000028
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000029
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000030
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000031
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000032
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000033
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000034
  • 特許6144973-撮像レンズ 図000035
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144973
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20170529BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   G02B13/00
   G02B13/18
【請求項の数】18
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-130416(P2013-130416)
(22)【出願日】2013年6月21日
(65)【公開番号】特開2015-4842(P2015-4842A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2016年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】391014055
【氏名又は名称】カンタツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100201248
【弁理士】
【氏名又は名称】田伏 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】関根 幸男
【審査官】 殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−264180(JP,A)
【文献】 特開2010−048996(JP,A)
【文献】 特開2002−062476(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0009843(US,A1)
【文献】 特開2014−115456(JP,A)
【文献】 特開平01−188815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像面側に向かって順に、光軸近傍で物体側に凸面を向けた正の屈折力を有する第1レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズと、光軸近傍で像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第3レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する第4レンズと、光軸近傍で像面側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第5レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けたメニスカス形状で両面が非球面の第6レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する両面が非球面の第7レンズとで構成され、以下の条件式(8)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
(8)0.7<f1/f<1.5
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
f1:第1レンズの焦点距離
【請求項2】
以下の条件式(1)、および(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(1)50<νd1<70
(2)20<νd2<30
ただし、
νd1:第1レンズのd線に対するアッベ数
νd2:第2レンズのd線に対するアッベ数
【請求項3】
以下の条件式(3)、および(4)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(3)50<νd3<70
(4)20<νd4<30
ただし、
νd3:第3レンズのd線に対するアッベ数
νd4:第4レンズのd線に対するアッベ数
【請求項4】
前記第6レンズの物体側の面及び像面側の面は、光軸上以外の位置に変極点を有する非球面であることを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項5】
前記第7レンズの像面側の面は、光軸上以外の位置に変極点を有する非球面であることを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項6】
以下の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(5)0.6<TTL/2ih<1.0
ただし、
TTL:フィルタ類を取り外した際の最も物体側に配置された光学素子の物体側の面から像面までの光軸上の距離
ih:最大像高
【請求項7】
以下の条件式(6)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(6)0.85<Σd/f<1.25
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
Σd:第1レンズの物体側の面から第7レンズの像面側の面までの光軸上の距離
【請求項8】
以下の条件式(7)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(7)0.8<ih/f<1.2
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
ih:最大像高
【請求項9】
以下の条件式(9)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(9)−5.0<f2/f<−1.0
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距
2:第2レンズの焦点距離
【請求項10】
以下の条件式(10)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(10)2.0<|f34/f|
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
f34:第3レンズと第4レンズの合成焦点距離
【請求項11】
以下の条件式(11)、および(12)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(11)0.6<f5/f<1.2
(12)−1.2<f67/f<−0.6
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
f5:第5レンズの焦点距離
f67:第6レンズと第7レンズの合成焦点距離
【請求項12】
以下の条件式(13)、(14)、および(15)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(13)50<νd5<70
(14)20<νd6<30
(15)50<νd7<70
ただし、
νd5:第5レンズのd線に対するアッベ数
νd6:第6レンズのd線に対するアッベ数
νd7:第7レンズのd線に対するアッベ数
【請求項13】
物体側から像面側に向かって順に、光軸近傍で物体側に凸面を向けた正の屈折力を有する第1レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズと、光軸近傍で像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第3レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する第4レンズと、光軸近傍で像面側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第5レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けたメニスカス形状で両面が非球面の第6レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する両面が非球面の第7レンズとで構成され、以下の条件式(9)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
(9)−5.0<f2/f<−1.0
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
f2:第2レンズの焦点距離
【請求項14】
以下の条件式(1)、および(2)を満足することを特徴とする請求項13に記載の撮像レンズ。
(1)50<νd1<70
(2)20<νd2<30
ただし、
νd1:第1レンズのd線に対するアッベ数
νd2:第2レンズのd線に対するアッベ数
【請求項15】
以下の条件式(3)、および(4)を満足することを特徴とする請求項13に記載の撮像レンズ。
(3)50<νd3<70
(4)20<νd4<30
ただし、
νd3:第3レンズのd線に対するアッベ数
νd4:第4レンズのd線に対するアッベ数
【請求項16】
物体側から像面側に向かって順に、光軸近傍で物体側に凸面を向けた正の屈折力を有する第1レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズと、光軸近傍で像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第3レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する第4レンズと、光軸近傍で像面側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第5レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けたメニスカス形状で両面が非球面の第6レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する両面が非球面の第7レンズとで構成され、以下の条件式(10)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
(10)2.0<|f34/f|
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
f34:第3レンズと第4レンズの合成焦点距離
【請求項17】
以下の条件式(1)、および(2)を満足することを特徴とする請求項16に記載の撮像レンズ。
(1)50<νd1<70
(2)20<νd2<30
ただし、
νd1:第1レンズのd線に対するアッベ数
νd2:第2レンズのd線に対するアッベ数
【請求項18】
以下の条件式(3)、および(4)を満足することを特徴とする請求項16に記載の撮像レンズ。
(3)50<νd3<70
(4)20<νd4<30
ただし、
νd3:第3レンズのd線に対するアッベ数
νd4:第4レンズのd線に対するアッベ数
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の撮像装置に使用されるCCDセンサやC-MOSセンサの固体撮像素子上に被写体の像を結像させる撮像レンズに関するものである。特に、スマートテレビや4Kテレビなどの高機能製品等、ゲーム機やPCなどの情報端末機器等、さらには、スマートフォンや携帯電話機およびPDA(Personal Digital Assistant)の情報端末機器等に搭載される撮像装置に内蔵する撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビにパーソナルコンピュータの機能を付加したスマートテレビや解像度がフルハイビジョンの4倍もの高画質化を追求した4Kテレビなどの高機能製品が注目されている。スマートテレビは、高機能に加えて多機能化が進んでいるため、今後の展開が特に期待されている。その機能のひとつとして、撮像装置を搭載し、映像や画像を撮影して通信するものがある。この機能を利用することによって、例えば、テレビ電話や顔認識技術を用いた高精度ピープルメーター、さらには動体検知機能を搭載することによりセキュリティ対策やペットの監視等、この他にも様々な応用が期待できる。また、4Kテレビほどの解像度になれば、撮影した画像はあたかもそこに実体があるかのようなリアルな映像を楽しむことができる。これらの機能は、スマートテレビ等の登場によって、従来よりも一般化されることが予想される。一方、最近では、デジタルフォトフレームにカメラ機能を搭載した製品も発売されるなど、カメラを取り巻く市場はますます拡大していくものと考えられる。
【0003】
テレビ電話を使ってコミュニケーションを図る場合、例えば複数人が参加するテレビ会議などにおいては、話し手の表情や周りの状況などの情報が重要になる。また、顔認識技術を用いて人間や動物の顔を認識させる場合にも、極めて正確に映像から識別できることが望まれる。このような高解像力を備える機器に適用する撮像レンズには、高い解像力を備え、小型、広画角、明るいレンズ系であることが要求されている。
【0004】
しかしながら、従来の技術ではこうした要求に十分に応えることは難しい。例えば、スマートテレビ等の高機能製品へ搭載される撮像装置には、高解像度化に適した比較的大型の撮像素子が使用されることが想定される。大型の撮像素子に従来の撮像レンズを適用する場合、光学系の大型化に伴う諸収差の悪化といった課題があり、小型の撮像素子と同等の良好な光学性能を実現することは非常に困難である。また、撮影画角の広角化を図ると、撮像素子のサイズに関わらず、特に周辺部における収差補正が非常に困難になり、良好な光学性能を確保できないという問題が生じやすい。
【0005】
撮像装置を備えた機器に搭載される撮像レンズとしては、例えば、以下の特許文献1や特許文献2のような撮像レンズが知られている。
【0006】
特許文献1には、物体側から順に、光軸近傍において物体側の面が凸形状で正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、光軸近傍において像側の面が凹形状で正の屈折力を有する第3レンズと、光軸近傍において像側の面が凸形状で正の屈折力を有する第4レンズと、光軸近傍において負の屈折力を有する第5レンズとで構成される撮像レンズが開示されている。特許文献1に記載の撮像レンズでは、5枚のレンズ構成とし、各レンズの構成の最適化を図ることにより、高性能化を図っている。
【0007】
特許文献2には、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群と、負の屈折力を有する第6レンズ群とが配置されて構成された撮像レンズが開示されている。特許文献2に記載の撮像レンズでは、光学系のレンズ構成を開口絞りに対してコンセントリックにすることで、非点収差とコマ収差を抑制して広角化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−262270号公報
【特許文献2】特開2012−155223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に記載の撮像レンズは、F値が2.0で明るく、半画角は約38°で比較的広角なレンズ系を実現している。しかし、近年求められている更なる広角化への要求を十分に満足することは出来ない。また、大型の撮像素子へ適用するには、諸収差をさらに抑制する必要がある。しかし、5枚レンズ構成における収差補正能力には限界があり、上述した高解像度が進む機器への適用は困難である。
【0010】
上記特許文献2に記載の撮像レンズは、F値は2.3程度で比較的明るく、良好な収差補正が実現できている。しかし、半画角が33°程度であり、広角化に十分対応できない。また、特許文献2に記載のレンズ構成で広角化を図ろうとした場合には、特に周辺部における収差補正が困難であり、良好な光学性能を得ることができない。
【0011】
このように、従来の技術においては、小型化を維持しながら広角化を満足し、且つ高解像度の要求を満足することは困難であった。また、大型の撮像素子に適用する場合、従来と同等の良好な光学性能を実現することは困難であった。
【0012】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の小型な撮像素子への適用は勿論のこと、大型の撮像素子に適用する場合にも、従来以上の光学性能を実現するとともに、広い画角でありながら、諸収差を良好に補正することが可能で、明るい、小型の撮像レンズを提供することにある。
【0013】
なお、ここでいう撮像レンズの小型化とは光学全長TTLと撮像素子の有効撮像面の対角線の長さ2ihとの比、すなわちTTL/2ihが1.0以下のレベルを指している。なお、光学全長とは、光学系において最も物体側に位置する光学素子の物体側の面から撮像面までの光軸上の距離を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、光軸近傍で物体側に凸面を向けた正の屈折力を有する第1レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズと、光軸近傍で像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第3レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する第4レンズと、光軸近傍で像面側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第5レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けたメニスカス形状で両面が非球面の第6レンズと、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する両面が非球面の第7レンズとで構成される。
【0015】
上記構成の撮像レンズは、第1レンズと第2レンズで構成される第1群、第3レンズと第4レンズで構成される第2群、第5レンズで構成される第3群、第6レンズと第7レンズで構成される第4群の4群7枚構成で考えると、物体側から順に正、正、正、負、または、物体側から順に正、負、正、負で配列されたレンズ群で構成される。従って、光学全長を短縮するのに有利なパワー配列となっている。また、第1群及び第2群はともに、物体側に正のレンズを配置し、像面側に負のレンズを配置する構成であり、物体側に配置された正のレンズで発生する色収差を像面側に配置した負のレンズによって良好に補正する。また、第3群を構成する第5レンズに適切な正の屈折力を配分して光学全長を短く維持するとともに、第4群を構成する負の第6レンズ及び負の第7レンズを適切な非球面形状に形成することで、色収差の更なる補正とともに像面湾曲、歪曲収差の良好な補正、撮像素子へ入射する主光線の角度の制御を可能にしている。
【0016】
第1レンズは物体側の面の曲率半径を像面側の面の曲率半径よりも小さくした両凸形状とし、両面に正の屈折力を適切に配分することで、球面収差の発生を抑えながら、比較的強い屈折力を得、撮像レンズの小型化を図っている。なお、第1レンズの像面側の面は凹面とすることも可能であり、その際の像面側の面の曲率半径の大きさは屈折力が低下し過ぎず、また球面収差量が増大しない範囲で、物体側の面の曲率半径よりも大きく設定することが望ましい。
【0017】
第2レンズは、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズであり、球面収差および色収差を良好に補正する。
【0018】
第3レンズは、光軸近傍で像面側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズであり、像面湾曲およびコマ収差を良好に補正する。
【0019】
第4レンズは、光軸近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズであり、残存する色収差を良好に補正する。
【0020】
第5レンズは、光軸近傍で像面側に凸面を向けたメニスカス形状の正の屈折力を有するレンズであり、撮像レンズを構成するレンズの中において、比較的強い正のパワーを有しており、第1レンズの正の屈折力とバランスさせることで、撮像レンズの小型化に寄与する。
【0021】
第6レンズは、光軸近傍で像面側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズであり、残存する色収差を良好に補正している。両面に形成された非球面形状によって、コマ収差、非点収差を良好に補正する事に寄与している。
【0022】
第7レンズは、光軸近傍で像面側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有するレンズであり、バックフォーカスの確保を容易にしている。また、両面に形成された非球面形状によって、レンズ周辺部に向かうにつれて正の屈折力に変化する形状になっていることで、主に歪曲収差および像面湾曲を補正する効果と、撮像素子へ入射する光線の角度を制御する効果を得ている。
【0023】
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(1)、(2)を満足することが望ましい。
(1)50<νd1<70
(2)20<νd2<30
ただし、
νd1:第1レンズのd線に対するアッベ数
νd2:第2レンズのd線に対するアッベ数
【0024】
条件式(1)、及び(2)は第1レンズと第2レンズのd線に対するアッべ数を適切な範囲に規定することで、第1レンズで発生する色収差を良好に補正するための条件である。条件式(1)の下限値を下回る場合、および条件式(2)の上限値を上回る場合は、第1レンズと第2レンズとの分散値の差が小さくなるため、色収差の補正が不十分になる。また、条件式(1)の上限値を上回る場合および条件式(2)の下限値を下回る場合、軸上色収差と倍率色収差のバランスが悪化し、周辺部における光学性能の確保が困難になる。
【0025】
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(3)、(4)を満足することが望ましい。
(3)50<νd3<70
(4)20<νd4<30
ただし、
νd3:第3レンズのd線に対するアッベ数
νd4:第4レンズのd線に対するアッベ数
【0026】
条件式(3)、及び(4)は第3レンズと第4レンズのd線に対するアッべ数を適切な範囲に規定することで、第3レンズで発生する色収差を良好に補正するための条件である。条件式(3)の下限値を下回る場合、および条件式(4)の上限値を上回る場合は、第3レンズと第4レンズとの分散値の差が小さくなるため、色収差の補正が不十分になる。また、条件式(3)の上限値を上回る場合、および条件式(4)の下限値を下回る場合、軸上色収差と倍率色収差のバランスが悪化し、周辺部における光学性能の確保が困難になる。
【0027】
本発明の撮像レンズの第6レンズは、物体側の面及び像面側の面に光軸上以外の位置に変極点を有する非球面を形成することが望ましい。
【0028】
第6レンズの物体側の面に変極点を有する非球面形状を形成し、且つ非球面サグ量の変化を小さく抑えることによって、光学全長を短縮することができるため、撮像レンズの小型化を図ることが可能となる。また、第6レンズの物体側の面及び像面側の面に光軸上以外の位置に変極点を有する非球面形状に形成することは、光軸近傍では物体側に凸面を向けたメニスカス形状であり、光軸から離れるに従って物体側は凸面から凹面に、像面側は凹面から凸面に変化する形状になる。このような形状変化を伴う非球面は、像面の中心部から最大像高にかけて効果的な収差補正を可能にする。また、第6レンズは、最も像面側に配置した第7レンズによる収差補正と主光線角度の制御の負担を軽減させる意味で非常に重要な役割を果たしている。
【0029】
本発明の撮像レンズの第7レンズは、像面側の面に光軸上以外の位置に変極点を有する非球面であることが望ましい。
【0030】
第7レンズの像面側は、光軸上以外の位置に変極点を有する非球面形状に形成し、光軸近傍において像面側は凹面とし、光軸から離れるに従って凸面に変化する形状としている。このような非球面形状とすることで、主に歪曲収差および像面湾曲の最終的な補正を容易にするとともに、主光線の角度制御を容易にし、周辺部における光量の低下を抑制している。なお、本発明でいう変極点とは、接平面が光軸と垂直に交わる非球面上の点を意味する
【0031】
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)0.6<TTL/2ih<1.0
ただし、
TTL:フィルタ類を取り外した際の最も物体側に配置された光学素子の物体側の面から像面までの光軸上の距離
ih:最大像高
【0032】
条件式(5)は、撮像レンズの光学全長と最大像高の比を規定するものであり、小型化を実現しつつ、良好な結像性能を得るための条件である。条件式(5)の上限値を上回ると、光学全長が長くなり過ぎ、小型化に適応することが困難になる。一方、条件式(5)の下限値を下回ると、小型化には有利になるが、光学全長が短くなり過ぎて、撮像レンズを構成する各レンズを最適な形状で配置することが困難になる。その結果、収差を良好に補正出来る構成が困難となり、光学性能の劣化に繋がる。
【0033】
条件式(5)は以下の条件式(5a)がより好適な範囲である。
(5a)0.6<TTL/2ih<0.9
【0034】
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
(6)0.85<Σd/f<1.25
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
Σd:第1レンズの物体側の面から第7レンズの像面側の面までの光軸上の距離
【0035】
条件式(6)は、光学全長を短縮しながら、良好に収差を補正するための条件である。条件式(6)の上限値を上回ると、バックフォーカスが短くなりすぎ、フィルタ等を配置するスペースの確保が困難になり、光学全長も長くなる。一方、条件式(6)の下限値を下回ると、撮像レンズを構成する各レンズの厚みを確保することが困難になる。また、各レンズ間の間隔も狭くなるため、非球面形状の設計上の自由度が制限を受けやすい。結果的に、良好な収差補正が困難になり、高い光学性能の確保が困難になる。本発明の撮像レンズは、構成する枚数が7枚と従来よりも多く、また、全てのレンズは空気間隔を置いて配置された構成になっているため一般的には小型化に不利な構成であるが、条件式(6)の範囲に規定することで、従来の5枚や6枚構成の撮像レンズと同程度、またはそれ以下の小型化が可能になる。
【0036】
条件式(6)は以下の条件式(6a)がより好適な範囲である。
(6a)0.95<Σd/f<1.25
【0037】
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
(7)0.8<ih/f<1.2
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
ih:最大像高
【0038】
条件式(7)は、撮像レンズ全系の焦点距離と最大像高の比を規定するものであり、広角化を実現しつつ、良好な結像性能を得るための条件である。条件式(7)の上限値を上回ると、画角が広くなりすぎて、収差を良好に補正出来る範囲を超えてしまい、光学性能の劣化に繋がる。一方、条件式(7)の下限値を下回ると、撮像レンズ全系の焦点距離が長くなりすぎ、小型化が困難になるとともに広角化にも不利になる。
【0039】
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(8)、(9)を満足することが望ましい。
(8)0.7<f1/f<1.5
(9)−5.0<f2/f<−1.0
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
f1:第1レンズの焦点距離
f2:第2レンズの焦点距離
【0040】
条件式(8)は、第1レンズの焦点距離と撮像レンズ全系の焦点距離との比を適切な範囲に規定し、撮像レンズの小型化を図りつつ、球面収差やコマ収差を良好に補正するための条件である。条件式(8)の上限値を上回ると、第1レンズの正のパワーが弱くなり過ぎるため、撮像レンズの小型化が困難となる。一方、条件式(8)の下限値を下回ると、第1レンズの正のパワーが強くなり過ぎ、球面収差およびコマ収差を良好に補正することが困難となる。
【0041】
条件式(9)は、第2レンズの焦点距離と撮像レンズ全系の焦点距離との比を適切な範囲に規定し、撮像レンズの小型化を図りつつ、色収差を良好に補正するための条件である。条件式(9)の上限値を上回ると、第2レンズの負のパワーが強くなり過ぎ、撮像レンズの小型化に不利になる。また、軸上および軸外の色収差が補正過剰となり、良好な結像性能を得ることが困難となる。一方、条件式(9)の下限値を下回る場合には、第2レンズの負のパワーが弱くなり過ぎ、軸上および軸外の色収差が補正不足となり、この場合も良好な結像性能を得ることが困難となる。
【0042】
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(10)を満足することが望ましい。
(10)2.0<|f34/f|
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
f34:第3レンズと第4レンズの合成焦点距離
【0043】
条件式(10)は、第3レンズと第4レンズの合成焦点距離と撮像レンズ全系の焦点距離との比を適切な範囲に規定することで、非点収差及びコマ収差を良好に補正するための条件である。条件式(10)の下限値を下回ると、第3レンズと第4レンズの合成の屈折力が強くなり過ぎ、非点収差及びコマ収差を補正する事が困難となる。
【0044】
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(11)、(12)を満足することが望ましい。
(11)0.6<f5/f<1.2
(12)−1.2<f67/f<−0.6
ただし、
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
f5:第5レンズの焦点距離
f67:第6レンズと第7レンズの合成焦点距離
【0045】
条件式(11)は、第5レンズの焦点距離と撮像レンズ全系の焦点距離との比を適切な範囲に規定することで、撮像レンズの小型化を図りつつ、コマ収差及び軸上色収差を良好に補正するための条件である。条件式(11)の上限値を上回ると、第5レンズの正のパワーが弱くなり過ぎるため、撮像レンズの小型化が困難となる。一方、条件式(11)の下限値を下回ると、第5レンズの正のパワーが強くなり過ぎ、コマ収差及び軸上色収差を良好に補正することが困難となる。
【0046】
条件式(12)は、光学全長を短く維持しながら、性能を確保し、十分なバックフォーカスを確保するための条件である。条件式(12)の上限値を上回ると、第6レンズと第7レンズの合成の負のパワーが小さくなり過ぎ、バックフォーカスを十分に確保することが困難になる。一方、条件式(12)の下限値を下回ると、第6レンズと第7レンズの合成の負のパワーが大きくなり過ぎ、光学全長の短縮が困難になってしまう。
【0047】
条件式(11)、(12)は以下の条件式(11a)、(12a)がより好適な範囲である。
(11a)0.75<f5/f<1.05
(12a)−1.1<f67/f<−0.7
【0048】
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(13)、(14)、(15)を満足することが望ましい。
(13)50<νd5<70
(14)20<νd6<30
(15)50<νd7<70
ただし、
νd5:第5レンズのd線に対するアッベ数
νd6:第6レンズのd線に対するアッベ数
νd7:第7レンズのd線に対するアッベ数
【0049】
条件式(13)、(14)、及び(15)はそれぞれ、第5レンズ、第6レンズ、第7レンズのアッベ数の適切な範囲を規定するものであり、色収差を良好に補正するための条件である。7枚で構成されるレンズ系の像面側に配置された3枚のレンズに対して、低分散材料と高分散材料とを交互に配置することにより、レンズ系の像面側で発生する軸上色収差および倍率色収差をより良好に補正することができる。
【0050】
また、本発明の撮像レンズは、全てのレンズにプラスチック材料を採用することが望ましい。すべてのレンズをプラスチック材料にすることによって、例えば射出成形で製造する場合、大量生産が可能となり、低コスト化を実現できる。
【0051】
さらに、本発明の撮像レンズは、接合レンズを採用せず、全てのレンズを空気間隔を置いて配置することが望ましい。このような構成は、全てのレンズ面に非球面を形成できるため、諸収差の補正をより好適に図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0052】
本発明により、従来の小型な撮像素子への適用は勿論のこと、大型の撮像素子に適用する場合にも、従来以上の光学性能を実現するとともに、広い画角でありながら、諸収差を良好に補正することが可能で、明るい、小型の撮像レンズを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】実施例1の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図2】実施例1の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図3】実施例2の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図4】実施例2の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図5】実施例3の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図6】実施例3の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図7】実施例4の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図8】実施例4の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図9】実施例5の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図10】実施例5の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図11】実施例6の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図12】実施例6の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図13】実施例7の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図14】実施例7の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図15】実施例8の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図16】実施例8の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1図3図5図7図9図11図13、及び図15はそれぞれ、本実施形態の実施例1から8に係る撮像レンズの概略構成図を示している。いずれも基本的なレンズ構成は同様であるため、ここでは主に実施例1の概略構成図を参照しながら、本実施形態の撮像レンズ構成について説明する。
【0055】
図1に示すように、本発明の撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、光軸Xの近傍で物体側に凸面を向けた正の屈折力を有する第1レンズL1と、光軸Xの近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズL2と、光軸Xの近傍で像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第3レンズL3と、光軸Xの近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する第4レンズL4と、光軸Xの近傍で像面側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第5レンズL5と、光軸Xの近傍で像面側に凹面を向けたメニスカス形状で両面が非球面の第6レンズL6と、光軸Xの近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する両面が非球面の第7レンズL7とで構成されている。開口絞りSTは、第1レンズL1の物体側に配置されている。なお、開口絞りSTの位置は、実施例6に示すように、第1レンズL1と第2レンズL2との間に配置しても良い。
【0056】
また、第7レンズL7と像面IMGとの間にはフィルタIRが配置されている。なお、このフィルタIRは省略することが可能であり、本発明における光学全長は、フィルタIRを取り外して評価するものとする。
【0057】
上記構成の撮像レンズは、第1レンズL1と第2レンズL2で構成される合成屈折力が正の第1群G1と、第3レンズL3と第4レンズL4で構成される合成屈折力が正の第2群G2と、第5レンズL5で構成される屈折力が正の第3群G3と、第6レンズL6と第7レンズL7で構成される合成屈折力が負の第4群G4との4群で構成しているため、光学全長を短縮するのに有利なパワー配列となっている。なお、実施例4に示すように、第2群G2は弱い負の合成屈折力であっても良い。また、第1群G1、及び第2群G2はそれぞれ、物体側に正のレンズを、像面側に負のレンズを配置した構成を採っており、物体側に配置された正のレンズで発生する色収差を像面側に配置した負のレンズによって良好に補正している。また、第3群G3を構成する第5レンズL5に適切な正の屈折力を配分して光学全長を短く維持するとともに、第4群G4を構成する負の第6レンズL6、及び負の第7レンズL7を適切な非球面形状に形成することで、色収差の更なる補正とともに像面湾曲、歪曲収差の良好な補正、撮像素子へ入射する主光線の角度の制御を可能にしている。
【0058】
第1レンズL1は物体側の面の曲率半径を像面側の面の曲率半径よりも小さくした両凸形状であり、両面に正の屈折力を適切に配分することで、球面収差の発生を抑えながら、比較的強い屈折力を得、撮像レンズの小型化を図っている。なお、実施例4に示すように、第1レンズL1の像面側の面は凹面とすることも可能であり、その際の像面側の面の曲率半径の大きさは、屈折力が低下し過ぎず、また球面収差量が増大しない範囲で、物体側の面の曲率半径よりも大きく設定することが望ましい。
【0059】
第2レンズL2は、光軸Xの近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズであり、球面収差および色収差を良好に補正している。
【0060】
第3レンズL3は、光軸Xの近傍で像面側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズであり、像面湾曲およびコマ収差を良好に補正している。
【0061】
第4レンズL4は、光軸Xの近傍で像面側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズであり、残存する色収差を良好に補正している。
【0062】
第5レンズL5は、光軸Xの近傍で像面側に凸面を向けたメニスカス形状の正の屈折力を有するレンズであり、比較的強い正の屈折力を持たせている。第1レンズL1の正の屈折力と適切にバランスさせることで撮像レンズの小型化を図っている。
【0063】
第6レンズL6は、光軸Xの近傍で像面側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズであり、ここでも残存する色収差を良好に補正している。また、両面に形成した非球面形状によって、コマ収差、非点収差を良好に補正している。
【0064】
第7レンズL7は、光軸Xの近傍で像面側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有するレンズであり、バックフォーカスの確保を容易にしている。また、第7レンズL7の屈折力は、両面に形成した非球面形状によって、レンズ周辺部に向かうにつれて負の屈折力が弱まり周辺部では正の屈折力に変化する。これによって、主に歪曲収差および像面湾曲を補正する効果と、撮像素子へ入射する光線の角度を制御する効果を得ている。
【0065】
本発明の撮像レンズは以下の条件式(1)から(15)を満足する。
(1)50<νd1<70
(2)20<νd2<30
(3)50<νd3<70
(4)20<νd4<30
(5)0.6<TTL/2ih<1.0
(6)0.85<Σd/f<1.25
(7)0.8<ih/f<1.2
(8)0.7<f1/f<1.5
(9)−5.0<f2/f<−1.0
(10)2.0<|f34/f|
(11)0.6<f5/f<1.2
(12)−1.2<f67/f<−0.6
(13)50<νd5<70
(14)20<νd6<30
(15)50<νd7<70
ただし、
νd1:第1レンズL1のd線に対するアッベ数
νd2:第2レンズL2のd線に対するアッベ数
νd3:第3レンズL3のd線に対するアッベ数
νd4:第4レンズL4のd線に対するアッベ数
TTL:フィルタ類を取り外した際の最も物体側に配置された光学素子の物体側の面から像面までの光軸上の距離
ih:最大像高
f:撮像レンズ系全体の焦点距離
Σd:第1レンズL1の物体側の面から第7レンズL7の像面側の面までの光軸上の距離
f1:第1レンズL1の焦点距離
f2:第2レンズL2の焦点距離
f34:第3レンズL3と第4レンズL4の合成焦点距離
f5:第5レンズL5の焦点距離
f67:第6レンズL6と第7レンズL7の合成焦点距離
νd5:第5レンズL5のd線に対するアッベ数
νd6:第6レンズL6のd線に対するアッベ数
νd7:第7レンズL7のd線に対するアッベ数
【0066】
本実施形態では、すべてのレンズ面を非球面で形成している。これらのレンズ面に採用する非球面形状は光軸方向の軸をZ、光軸に直交する方向の高さをH、円錐係数をk、非球面係数をA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16としたとき次式により表わされる。
【0067】
【数1】
【0068】
次に本実施の形態に係る撮像レンズの実施例を示す。各実施例において、fは撮像レンズ系全体の焦点距離を、FnoはFナンバーを、ωは半画角を、ihは最大像高を、TTLは光学全長をそれぞれ示す。また、iは物体側から数えた面番号、rは曲率半径、dは光軸上のレンズ面間の距離(面間隔)、Ndはd線(基準波長)に対する屈折率、νdはd線に対するアッベ数をそれぞれ示す。なお、非球面に関しては、面番号iの後に*(アスタリスク)の符号を付加して示す。
【実施例1】
【0069】
基本的レンズデータを以下の表1に示す。
【表1】
【0070】
実施例1の撮像レンズは、表9に示すように条件式(1)から(15)の全てを満たしている。
【0071】
図2は実施例1の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。これら収差図は、F線(486nm)、d線(588nm)、C線(656nm)の各波長に対する収差量を示している。また、非点収差図はサジタル像面S、タンジェンシャル像面Tにおける収差量を示している。(図4図6図8図10図12図14、および図16においても同じ)図2に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0072】
さらに、全画角で80°以上の広い画角を達成し、F値は2.4で明るい撮像レンズ系が実現されている。また、光学全長TTLと最大像高ihとの比(TTL/2ih)は0.83であり、7枚構成でありながら小型化が図られている。
【実施例2】
【0073】
基本的レンズデータを以下の表2に示す。
【表2】
【0074】
実施例2の撮像レンズは、表9に示すように条件式(1)から(15)の全てを満たしている。
【0075】
図4は実施例2の撮像レンズの収差図を示したものである。図4に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0076】
さらに、全画角で80°以上の広い画角を達成し、F値は2.4で明るい撮像レンズ系が実現されている。また、光学全長TTLと最大像高ihとの比(TTL/2ih)は0.80であり、7枚構成でありながら小型化が図られている。
【実施例3】
【0077】
基本的レンズデータを以下の表3に示す。
【表3】
【0078】
実施例3の撮像レンズは、表9に示すように条件式(1)から(15)の全てを満たしている。
【0079】
図6は実施例3の撮像レンズの収差図を示したものである。図6に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0080】
さらに、全画角で80°以上の広い画角を達成し、F値は2.4で明るい撮像レンズ系が実現されている。また、光学全長TTLと最大像高ihとの比(TTL/2ih)は0.78であり、7枚構成でありながら小型化が図られている。
【実施例4】
【0081】
基本的レンズデータを以下の表4に示す。
【表4】
【0082】
実施例4の撮像レンズは、表9に示すように条件式(1)から(15)の全てを満たしている。
【0083】
図8は実施例4の撮像レンズの収差図を示したものである。図8に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0084】
さらに、全画角で80°以上の広い画角を達成し、F値は2.4で明るい撮像レンズ系が実現されている。また、光学全長TTLと最大像高ihとの比(TTL/2ih)は0.79であり、7枚構成でありながら小型化が図られている。
【実施例5】
【0085】
基本的レンズデータを以下の表5に示す。
【表5】
【0086】
実施例5の撮像レンズは、表9に示すように条件式(1)から(15)の全てを満たしている。
【0087】
図10は実施例5の撮像レンズの収差図を示したものである。図10に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0088】
さらに、全画角で80°以上の広い画角を達成し、F値は2.4で明るい撮像レンズ系が実現されている。また、光学全長TTLと最大像高ihとの比(TTL/2ih)は0.79であり、7枚構成でありながら小型化が図られている。
【実施例6】
【0089】
基本的レンズデータを以下の表6に示す。
【表6】
【0090】
実施例6の撮像レンズは、表9に示すように条件式(1)から(15)の全てを満たしている。
【0091】
図12は実施例6の撮像レンズの収差図を示したものである。図12に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0092】
さらに、全画角で80°以上の広い画角を達成し、F値は2.4で明るい撮像レンズ系が実現されている。また、光学全長TTLと最大像高ihとの比(TTL/2ih)は0.82であり、7枚構成でありながら小型化が図られている。
【実施例7】
【0093】
基本的レンズデータを以下の表7に示す。
【表7】
【0094】
実施例7の撮像レンズは、表9に示すように条件式(1)から(15)の全てを満たしている。
【0095】
図14は実施例7の撮像レンズの収差図を示したものである。図14に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0096】
さらに、全画角で80°以上の広い画角を達成し、F値は2.0で明るい撮像レンズ系が実現されている。また、光学全長TTLと最大像高ihとの比(TTL/2ih)は0.82であり、7枚構成でありながら小型化が図られている。
【実施例8】
【0097】
基本的レンズデータを以下の表8に示す。
【表8】
【0098】
実施例8の撮像レンズは、表9に示すように条件式(1)から(15)の全てを満たしている。
【0099】
図16は実施例8の撮像レンズの収差図を示したものである。図16に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0100】
さらに、全画角で80°以上の広い画角を達成し、F値は2.4で明るい撮像レンズ系が実現されている。また、光学全長TTLと最大像高ihとの比(TTL/2ih)は0.79であり、7枚構成でありながら小型化が図られている。
【0101】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る撮像レンズは、撮影画角が全画角で80°以上の広い画角を達成しつつも、収差が良好に補正され、F値は2.0から2.4の明るい撮像レンズ系の実現を可能にする。また、光学全長TTLと最大像高ihとの比(TTL/2ih)は0.85以下を達成するほどの小型なレンズ系の実現を可能にする。
【0102】
表9に実施例1から実施例8の条件式(1)〜(15)の値を示す。
【表9】
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明に係る7枚構成の撮像レンズによれば、小型化を維持しながら広角化を満足し、且つ高解像度の要求を満足する撮像レンズを実現することができる。特にスマートテレビや4Kテレビなどの高機能製品への適用、ゲーム機やPCなどの情報端末機器への適用、さらには小型化、薄型化が進むスマートフォンや携帯電話機およびPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末機器へ適用することで、当該製品の性能を高めることができる。
【符号の説明】
【0104】
ST 開口絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ
L7 第7レンズ
G1 第1群
G2 第2群
G3 第3群
G4 第4群
IR フィルタ
ih 最大像高
IMG 撮像面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16