特許第6144986号(P6144986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6144986粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シート及び容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144986
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シート及び容器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20170529BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20170529BHJP
   B65D 1/22 20060101ALI20170529BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20170529BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20170529BHJP
   A47J 36/04 20060101ALI20170529BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   A47J27/00 107
   B32B27/00 101
   B65D1/22
   B65D1/26
   B65D81/34 V
   A47J36/04
   F24C7/02 551C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-151895(P2013-151895)
(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公開番号】特開2015-19954(P2015-19954A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】591030776
【氏名又は名称】株式会社丸善
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(72)【発明者】
【氏名】白神 雅夫
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−276219(JP,A)
【文献】 特開2013−086832(JP,A)
【文献】 特開2005−067645(JP,A)
【文献】 特開2005−075465(JP,A)
【文献】 特開2007−084113(JP,A)
【文献】 特開2005−132400(JP,A)
【文献】 特開2007−320208(JP,A)
【文献】 米国特許第05862977(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
A47J 36/04
B32B 27/00
B65D 1/22
B65D 1/26
B65D 81/34
F24C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂シートの少なくとも一方の面に食品用シリコーン系付着防止剤で被覆したシリコーン樹脂層を有してなり、
熱可塑性樹脂シートは、熱可塑性不織布シートの少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂フィルムが積層されたシートであり、
シリコーン樹脂層は、熱可塑性不織布シートに積層された熱可塑性樹脂フィルムの表面にコロナ放電加工を施した後に食品用シリコーン油をコーティングしてシリコーン樹脂層を形成したものであって、
熱可塑性樹脂シートは、熱可塑性不織布シートの厚みが0.3−3mmであり、
熱可塑性樹脂フィルムは、無延伸ポリプロピレンフイルムの厚みが10−40μmであることを特徴とする粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シート。
【請求項2】
請求項1記載の熱可塑性樹脂シートを用いてシリコーン樹脂層を内面にして成形した粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着性食品、特に時間が経って固くなった餅や団子あるいはおにぎり等の電子レンジ加熱により粘着性が出て付着しやすい食品の加工や包装に有用な粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シート及び容器に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着性食品の代表的なものに餅がある。特に、搗きたてや、熱湯を潜らせた柔らかい餅がある。これら粘着性の強い状態の餅を取り扱うのに、ポリオレフィン製シートを用いた餅用シートが特許文献1に見られる。
【0003】
特許文献1が開示する餅用下敷シートは、ポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂に5-40%の無機フィラーとしてタルク、炭酸カルシウム及びガラス繊維などを配合した、厚さ0.5-5mmのシートの少なくとも片面にエンボス加工を施し凹凸面を形成したものである(特許文献1・[請求項1]〜[請求項3])。このような餅用下敷シートは、ポリプロピレン製で適度な剛性と可撓性を有し、軽量で取り扱いが容易で、適度の耐熱性もあって、木板や金属板より優れたものではあったが、使用により経時的に餅が表面に付着し易くなり、餅用下敷シートとしての機能を果たさなくなる欠点があった。
【0004】
熱可塑性樹脂発泡シートを用いて製造される容器のブロッキング現象を回避可能な付着防止性を備えるために、特許文献2には、食品容器に嫌われるノニルフェノールを含まない付着防止剤を塗布した安全性に優れた容器成形用熱可塑性樹脂積層発泡シート及び容器の提供のために、熱可塑性樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂フィルムが積層され、少なくとも一方の面に付着防止剤として実質的にノニルフェノールが含有されていないシリコーン油が塗布された容器成形用熱可塑性樹脂積層発泡シートが提案されている(特許文献2・[請求項1])。
【0005】
一般に、シリコーン樹脂は剥離材として、各種分野で使用されている。また、合成樹脂シートやフィルムの剥離性を高めるためにその表面へシリコーン樹脂のコーティングをすることも周知技術である。そして、シリコーン樹脂の密着性を高めるために、シリコーン樹脂のコーティング前に、熱可塑性樹脂フィルムの硬化樹脂層にコロナ放電処理、フレーム処理、オゾン処理等の表面活性化処理、あるいはアンカー処理剤を用いたアンカーコーティング処理を施すことも知られている(特許文献3・[0059])。
【0006】
本発明者は、これら周知技術を参考にして、特開2013-86832公報(特許文献4)において、食品の付着を抑制又は防止する内面処理を施した食品容器の成形に適した強粘性食品用トレーの成形用シート基材を開発した。このシート基材は、ポリプロピレンシートの片面に食品用シリコーンをコーティングしたポリプロピレンフィルムをダイレクトラミネートした複合シートであり、食品用シリコーンをコーティングしたポリプロピレンフィルム層が内面に来るように、真空・圧空成形で製造したトレーは、業務用アイスクリームや餃子の運搬、保存、販売商品の取り扱いに極めて優れたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭62-39652号公報
【特許文献2】特開2005-132400公報
【特許文献3】特開2007-320208公報
【特許文献4】特開2013-86832公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献4が開示する強粘性食品用トレーの成形用シート基材は、その形状、構造を変えれば、食品加工用シートや容器として、アイスクリームや餃子に限らず広範囲な強粘性食品の加工や取り扱いに、予想以上の性能を発揮することが期待できる。そこで、特に時間が経って固くなった餅や団子あるいはおにぎり等の電子レンジ加熱により粘着性が出て付着しやすい食品の加工や包装に有用な粘着性各種食品の付着を抑制又は防止できる食品シートや容器について更なる検討をした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記解決手段として、本発明では、熱可塑性樹脂シートの少なくとも一方の面に食品用シリコーン系付着防止剤で被覆したシリコーン樹脂層を有してなる粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シートとした。
【0010】
熱可塑性樹脂シートは、単なるシートのほか、熱可塑性発泡シートの少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂フィルムが積層されたシートや、熱可塑性不織布シートの少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂フィルムが積層されたシート、あるいはセルロース系の紙の片面に熱可塑性樹脂シートとフィルムが積層されたシートなどが用いられる。
【0011】
また、この熱可塑性樹脂シートは、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、とりわけ、ポリプロピレン(PP)シートで、一般のPPは耐熱性に優れており、電子レンジ加熱処理をする食材用トレーに適しているが、真空・圧空成形に適した無延伸ポリプロピレン(CPP)を使用すると、成形にも容易であり、ある程度電子レンジ加熱にも耐えるので好適である。シートの厚みは食品トレーの大きさや用途によって適宜決定するが、取り扱い容易で電子レンジ加熱に耐えるためには通常0.3-3.0mm、好ましくは0.5-1.5mmの範囲である。通常1枚もののシートとして用いる場合でも0.5-1.0mm程度の厚みがあれば、電子レンジ加熱用としては十分である。
【0012】
食品用シリコーン系付着防止剤で被覆したシリコーン樹脂層は、熱可塑性樹脂シートの表面にコロナ放電加工を施した後に食品用シリコーン油をコーティングして粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シートとするが、例えば、ポリプロピレンシートの片面にラミネートするポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン(CPP)の膜厚10-40μm程度のフィルムが好ましく、この表面にコロナ放電加工を施した後に食品用シリコーンをコーティングしてラミネート用フィルムとしたものである。ここで、食品用シリコーンにUV硬化剤を混ぜ紫外線を照射するとシリコーンコーティング層の強度が増大する。同様に、エポキシアクリレート等の電子線硬化型オリゴマーからなるEB硬化剤をシリコーン樹脂中に添加し、これに電子線を照射し高いエネルギーを利用して硬化させる方法も利用できる。
【0013】
ポリプロピレンシートとポリプロピレンフィルムの張り合わせには、両者を接着剤により行うこともできるが、上記方法でシリコーンコーティングしたフィルムの裏面にTダイからシートを直接流し込みローラで圧着するダイレクトラミネートによるのが好ましい。このようにすると、本発明の熱可塑性樹脂シートを用いて食品用シリコーン系付着防止層を内面に向け成形して粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂容器にもなる。
【0014】
容器本体の全体形状は、収納する食品に合わせて決定される。例えば、餅つき装置の「もろぶた」の場合は平坦な大きな浅い縁のあるトレーであり、搗きたての柔らかい餅も付着することなく、その上で取粉なしに小餅とすることができる。そこから成形された餅の食品容器は、多数の収納凹部を形成したトレーで、包装容器と兼ねる場合は外周に平坦な鍔を設けて、上蓋フィルムでシール可能な形状とする。また、あんまん、豚まん、シュウマイ、餃子などの蒸し食品などを収納する食品容器は、仕切りを挟んで同じ姿勢の蒸し食品を並べて収納できる食品トレーを例示できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シートは、食品が接する内面にシリコーン樹脂層を形成しているので食品の付着を抑制又は防止する。シリコーン樹脂層は、ほとんどの有機物と非相溶のために高い離型性を有し、しかも耐熱性及び耐寒性に優れ、食品の電子レンジ加熱する温度範囲で、加熱により強粘性となっても、優れた剥離性が発揮できるのである。
【0016】
樹脂シート本体及びシート膜は、いずれも同じポリプロピレンであり、容器本体を構成するポリプロピレンシートとフィルムとを、ダイレクトラミネート(押し出しラミネート)により一体化できる。食品容器は、一体化された前記ポリプロピレンシートとフィルムとを真空成型又は圧空成型して得られる。シリコーン樹脂層は、フィルムの片面を放電加工により粗雑面とし、前記粗雑面に塗布して形成されるのでフィルムが剥離するようなことがなく、繰り返し使用できる。
【0017】
容器本体は、厚いシート部分がPPであり、薄いフィルム部分CPPとすると、全体として絞り成型に向きながら、引っ張り強度や引裂強度に優れる上、光沢があって透明性に優れ、防湿性、耐水性、耐熱性、耐油性及び耐ボイル性に優れ、食品に接する内面の食品用シリコーン系付着防止剤で被覆したシリコーン樹脂層のために食品との剥離性が優れるものとなる。
【0018】
本発明の粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シートは、加熱軟化により強粘性の食品となる、例えば餅等の電子レンジ直接加熱が可能であるし、餅の成形装置のトレーに用いると、取粉なしに小餅に加工することが出来る。このような小分け成形用トレーのほか、シュウマイ等の業務用トレー(皮の破れ防止、底面をフラットに仕上げるなど高剥離性が要求される)、健康食品、老人食等の固形化物包装用(取り出しの容易性が要求される)、練り製品の成形用、業務用食品の形状維持流通用トレー(作業性向上、消費者の利便性向上)など、各分野において食品容器からの剥離性が使用上の要求度の高い分野で広く使用される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シートの斜視図である。
図2】本発明の粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シートの断面拡大図である。
図3】本発明の粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シートの他の例を示す斜視図である。
図4】本発明の粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シートからの浅いトレーを示す斜視図である。
図5】本発明の粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂容器としてのもろぶたの斜視図である。
図6】本発明の粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂容器としての餅菓子用容器の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シート及び容器を実施例により具体的にかつ詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、粘着性食品を代表して餅、餅菓子やシュウマイを例示したが、これらに限定されるものではなく、本発明の粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シート及び容器は、広くその他の粘着性食品に適用できる。
【0021】
[実施例1]
図1は本発明の粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シート1の斜視図であるが、この図にみられるように、通常の家庭用電子レンジに入る形状のコーナーを丸めた長方形シートである。この例では、大きさは縦17cm、横26cm,厚さ0.6mmである。図2にその断面拡大図を示すが、電子レンジ加熱用樹脂シート1はポリプロピレンシート2とポリプロピレンフィルム3の複合シートである。この複合シートは、片面に食品用シリコーン系付着防止剤をコーティングしたポリプロピレンフィルム3をダイレクトラミネートした複合シートであり、これを電子レンジ加熱用樹脂シート1とした。そして、食品用シリコーン系付着防止剤で被覆したシリコーン樹脂層4が必ず表面に来るようにポリプロピレンフィルム3には予めデザインを兼ねた印刷面5を施している。
【0022】
ポリプロピレンシート2には、真空・圧空成形にも適した厚さ0.6mmの無延伸ポリプロピレン(CPP)を使用した。一般のPPは耐熱性に優れており加熱処理をするシュウマイ、餃子等の食材用トレーに適している。また、餅、団子などのほか蒸し製品の冷凍保存のように、極低温保存を必要とするものには、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体からなる耐寒性PPを選択して上記と同様にダイレクトラミネートして複合シートとした。
【0023】
このポリプロピレンシート2の片面にラミネートするポリプロピレンフィルム3は、ポリプロピレン(CPP)の膜厚30μmのフィルムを用い、この表面にコロナ放電加工層を施した後に食品用シリコーンをコーティングして表面にシリコーン樹脂層4を形成してラミネート用フィルムとしたものである。この際、シリコーン剤にUV硬化剤が混合されている住友スリーボンド株式会社製の紫外線硬化性シリコーン樹脂「ThreeBond3164」(登録商標)を使用した。
【0024】
得られた電子レンジ加熱用樹脂シート1の上に、水に浸けて表面を湿らせた粘着性食品Mの代表である「餅M」を図1に示すように載せ、700Wの電子レンジで20秒加熱して電子レンジから取り出し、柔らかくなって変形した餅Mはシート1に見掛け上は密着しているが、箸でつまみ上げると容易にシートから剥がれて、きな粉等を入れた皿へ移すことが出来た。シートに密着した餅がシート上に若干残ったとしても、冷えると膜状に剥がれるし、更に、水洗いをしながら「たわし」で軽くこする程度でも容易に取り去ることが出来たのである。
[実施例2]
【0025】
図3は実施例1に記載した電子レンジ加熱用樹脂シート1を用いたセイロ用穴開きシート11を示すもので、蒸し器の底に敷いて用い、その上に直接、粘着性食品Mであるシュウマイ等の蒸し食品を載せて蒸すためのシートである。このセイロ用穴開きシート11には多数の蒸気穴12を開けており、上面側に食品用シリコーン系付着防止剤で被覆したシリコーン樹脂層4が積層されている。蒸し処理後には、たとえ熱い状態でシュウマイ等を取り出しても、セイロ用穴開きシート11には付着することがなかった。
[実施例3]
【0026】
図4は、本発明の粘着性食品の電子レンジ加熱用樹脂シートからの浅いトレーを示す斜視図であり、実施例1に記載した一般のCPPからなる耐熱性の電子レンジ加熱用樹脂シート1を用いた陸上競技用トラック形状の浅いトレーに成形して餅Mの電子レンジ加熱に適したトラック型トレー21を示すもので、全体形状を構成するポリプロピレン製トレーの内面側のトレー平面の餅収容部22と周縁部23に対して、シリコーンコーティング層4が来るように真空・圧空成形により成形したものである。このトラック型トレー21は、実施例1に示す電子レンジ加熱用樹脂シートよりも薄手の約0.3mmであるが、トレー形状でかつ周縁部23が下方に湾曲面を形成しているので変形し難い構造となっているから、実施例1の電子レンジ加熱用樹脂シートと同様に使用することができ、餅収容部22はもちろんのことトレー周縁部23にも、柔らかくなった餅Mの付着がなくなった。
[実施例4]
【0027】
図5は実施例1に記載した一般のCPPからなる耐熱性の電子レンジ加熱用樹脂シート1を用いた餅の製造時に用いるトレー形状の「もろぶた」31を示すもので、全体形状を構成するポリプロピレン製トレーの内面側のトレー平面の餅収容部32と周縁部33に対して、シリコーンコーティング層4が来るように真空・圧空成形で「もろぶた」31を形成した。通常、「もろぶた」31の使用に際して、餅Mがトレーに付着するので、片栗粉のような取粉を敷くのであるが、本発明の電子レンジ加熱用樹脂シート1を用いることで、餅収容部32はもちろんのことトレー周縁部33や収容部側壁34に餅Mの付着がなくなった。
[実施例5]
【0028】
図6は実施例1に記載した一般のCPPからなる耐熱性の電子レンジ加熱用樹脂シート1を用いた餅菓子用容器41を示すもので、全体形状を構成するポリプロピレン製トレーの内面側のトレー平面の餅菓子収容部42側にシリコーンコーティング層4が来るように真空・圧空成形で餅菓子用容器41を形成した。餅菓子Mはトレーに付着するので、通常は片栗粉のような取粉を敷いて用いるのであるが、本発明の電子レンジ加熱用樹脂シート1を用いることで、餅菓子収容部42を形成する容器分画部43や収容部側壁44あるいは収容部底面45に付着することがなくなった。しかも、従来は餅収容部42の底面は多数の条溝を設けて剥離し易くしていたのが、本発明の餅菓子用容器41では収容部側壁44及び収容部底面45の内面を平坦にしても、餅収容部42に餅菓子Mを入れたまま電子レンジ加熱をしても、柔らかくなった餅菓子は餅菓子収容部42内で密着しても取り出し時に極めて剥離し易くなり、餅菓子の取り扱いが容易になった。
【符号の説明】
【0029】
1 電子レンジ加熱用樹脂シート
2 ポリプロピレンシート
3 ポリプロピレンフィルム
4 シリコーン樹脂層
5 印刷面
11 セイロ用穴開きシート
12 蒸気穴
21 トラック型トレー
22 餅収容部
23 トレー周縁部
31 もろぶた
32 餅収容部
33 トレー周縁部
34 収容部側壁
41 餅菓子用容器
42 餅菓子収容部
43 容器分画部
44 収容部側壁
45 収容部底面
M 粘着性食品(餅、餅菓子、シュウマイ等)
図1
図2
図3
図4
図5
図6