(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態である印刷装置1を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
まず、本発明の一実施形態である印刷装置1の全体構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
<印刷装置の全体構成>
本発明の一実施形態である印刷装置1の構成について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態である印刷装置1の構成を示す構成図である。
【0020】
図1に示すように、印刷装置1は、サイド給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50と、操作パネル部70と、制御部80とを備えている。
【0021】
サイド給紙部10は、用紙Pが積層される給紙台11と、この給紙台11から最上位置の用紙Pのみを給紙搬送路FR上へ搬送させる1次給紙部12と、この1次給紙部12によって搬送された用紙Pを循環搬送路CR上へ搬送する2次給紙部14とを備えている。
【0022】
内部給紙部20は、それぞれ、用紙Pが積層される給紙台21a〜21dと、各給紙台21a〜21dから最上位置の用紙Pのみを給紙搬送路FR上へ搬送させる1次給紙部22a〜22dを備えている。
【0023】
このように2次給紙部14には、サイド給紙部10及び内部給紙部20から用紙Pが搬送され、さらに、後述する反転部50からも用紙Pが搬送される。そのため、搬送方向における2次給紙部14の手前には、給紙された用紙Pの搬送経路と、一方の面が印刷された用紙が循環して搬送されてくる経路とが合流する合流地点が存在する。この合流地点を基準に、給紙機構側の経路を給紙搬送路FRと称し、それ以外の経路を循環搬送路CRと称している。
【0024】
印刷部30は、循環搬送路CR上で用紙Pを搬送する用紙搬送ユニット133と、この用紙搬送ユニット133の上部に設けられ、複数のインクジェットヘッドが組み込まれたインクジェットヘッドユニット31とを備える。なお、印刷部30における印刷形式は、インクジェット印刷に限定されず、孔版印刷でも、レーザー印刷でも良い。
【0025】
用紙搬送ユニット133は、環状のプラテンベルト132を備えており、2次給紙部14により給紙された用紙Pは、プラテンベルト132内に設置された後述するサクションファン131によってプラテンベルト132上に吸引され、搬送路上を所定の搬送速度で搬送されながら、インクジェットヘッドユニット31から吐出されたインクにより用紙Pに印刷される。
【0026】
印刷部30により印刷された用紙Pは、循環搬送路CR上に配置された搬送ローラ等によって筐体内を循環搬送路CR上を搬送される。循環搬送路CR上には、循環搬送路CR上を搬送された用紙Pを排紙経路DRを介して排紙部40へ誘導するか、又は循環搬送路CR上を循環させるか反転部50へ誘導するかを切り替える切り替え機構134が備えられている。
【0027】
排紙部40は、印刷装置1の筐体から突出したトレイ形状をした排紙台41と、排紙台41に用紙Pを誘導する一対の排紙ローラ42と、用紙Pを排出する排紙口43とを有している。切り替え機構134により排紙部40に誘導された用紙Pは、排紙ローラ42によって排紙口43から排出されて排紙台41上に積載される。
【0028】
反転部50は、用紙Pを反転させる反転台51と、循環搬送路CRから反転台51へ用紙Pを搬送し、又は反転台51から循環搬送路CR上へ用紙Pを搬送する反転ローラ52とを備えている。
【0029】
切り替え機構134により反転部50に誘導された用紙Pは、反転ローラ52により循環搬送路CRから反転台51に搬送され、所定時間経過後、反転台51から循環搬送路CRへ搬送されることにより、循環搬送路CRに対して表裏が反転する。そして、表裏が反転された用紙Pは、循環搬送路CR上に設けられた搬送ローラ53等の複数のローラにより循環搬送路CR上を印刷部30へ向かって搬送される。
【0030】
操作パネル部70は、テンキーやスタートキー、ストップキー等の各種キーや表示パネル等を備えている。ここでは、ユーザが操作パネル部70の各種キーを操作することにより、後述するスキャナなどによりスキャンされた画像データに基づいて印刷ジョブを設定できる。ただし、これらの印刷ジョブは、操作パネル部70からではなく、この印刷装置1に有線または無線のLAN等によって接続された後述するコンピュータ等からも送信できる。
【0031】
図2は、本発明の実施例1である印刷装置の制御構成を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように本発明の実施例1である印刷装置1の制御部80は、コンピュータ2と、スキャナ3と、カードリーダ71と、印刷部30と、操作パネル部70と接続されている。なお、印刷部30は、上述したので説明を省略する。なお、制御部80には、図示しないが、印刷部30以外にも、サイド給紙部10と、内部給紙部20と、排紙部40と、反転部50と、操作パネル部70とが接続されている。
【0033】
スキャナ3は印刷装置1と接続され、図示しないが、原稿を載置するコンタクトガラス、このコンタクトガラスに対して接離自在に設けられたカバー、コンタクトガラス上に載置された原稿を走査する走査ユニット、走査された画像を集束するレンズ、及び集束された画像を処理する画像処理部を備えている。そして、走査ユニットがコンタクトガラス上に載置された原稿を1ライン毎に走査し、画像処理部が走査された画像を処理することにより、画像データを読み取る。また、スキャナ3は通常、ADF(Auto Document Feeder)機能を有しており、これを使用して画像データを読み取ることもできる。ここで、スキャナ3はRGB形式のデータとして画像データを読み取り、制御部80へ送信する。
【0034】
コンピュータ2には、図示しないプリンタドライバがインストールされており、ユーザの印刷指示により、印刷ジョブを圧縮されたPDL(ページ記述言語)形式等の印刷ジョブデータとして印刷装置1に送信する。
【0035】
カードリーダ71は、非接触型の読み取り装置であり、接近した認証カード72に記憶されたユーザIDを読み取る。認証カード72は、ユーザIDが記憶されたカードであり、ユーザが保持している。
【0036】
制御部80は、外部インタフェース部81と、認証部82と、優先順位決定部83と、ハードディスクドライブ84と、画像展開部85と、メモリ86と、印刷制御部87と、印刷ジョブ記憶制御部88と、印刷ジョブ管理部89とを備える。
【0037】
外部インタフェース部81は、コンピュータ2とスキャナ3とを接続する接続インタフェースであり、外部インタフェース部81を介して印刷ジョブ管理部89が、コンピュータ2及びスキャナ3と接続されることにより、印刷ジョブ等のデータのやり取りを行うことができる。
【0038】
認証部82は、ユーザが印刷指示を行えるものか否かを認証する。ユーザがカードリーダ71に認証カード72を近づけることにより、カードリーダ71が認証カード72からユーザIDを読み取り、認証部82が、この読み取られたユーザIDと予め記憶しているユーザIDとが一致するか否かに基づいて、ユーザが印刷指示を行えるものか否かを判定する。
【0039】
優先順位決定部83は、印刷ジョブに対応するユーザの特性に応じて印刷ジョブの優先順位を決定する。具体的には、優先順位決定部83は、ユーザ毎に、後述する印刷待機時間の平均時間を算出し、印刷待機時間の平均時間が短いユーザに対応する印刷ジョブの優先順位が高くなるように決定する。
【0040】
ハードディスクドライブ84は、受信した印刷ジョブを全て記憶すると共に、ユーザ履歴情報、平均印刷待機時間テーブル、優先順位テーブル、印刷ステータス情報を記憶する。
【0041】
図3は、本発明の一実施形態である印刷装置1が備えるハードディスクドライブ84に記憶されたユーザ履歴情報の一例を示した図である。
【0042】
図3に示すように、ユーザ履歴情報は、受信した印刷ジョブに順次割り当てられるジョブID101と、ユーザIDにより一意に識別されるユーザ102と、印刷ジョブを受信した印刷ジョブ受信日時103と、印刷のために印刷ジョブが選択された選択日時104と、認証されたユーザに対応する印刷ジョブを受信した時点から印刷ジョブが印刷のために選択されるまでの経過時間、即ち、印刷ジョブ受信日時103から選択日時104までの経過時間である印刷待機時間105が関連づけられて記憶されている。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態である印刷装置1が備えるハードディスクドライブ84に記憶された平均印刷待機時間テーブルの一例を示した図である。
【0044】
図4に示すように、平均印刷待機時間テーブルは、ユーザ102と、ユーザ毎に算出された印刷待機時間の平均202とが関連づけられて記憶されている。なお、後述するように、
図3に示したユーザ履歴情報が更新されると、印刷ジョブ管理部89により、ユーザ履歴情報に基づいて、ユーザ毎に印刷待機時間の平均が算出され、平均印刷待機時間テーブルが更新される。
【0045】
図5は、本発明の一実施形態である印刷装置1が備えるハードディスクドライブ84に記憶された、優先順位テーブルの一例を示した図である。
【0046】
図5に示すように、優先順位テーブルは、印刷待機時間の平均202と、印刷ジョブの優先度合いを示す優先順位32と、優先順位32が高いほど、後述する画像展開部85により画像展開されて生成させる印刷データの一部のデータ量が多くなるように設定された展開ページ数303とが関連づけられて記憶されている。
【0047】
図6は、本発明の一実施形態である印刷装置1が備えるハードディスクドライブ84に記憶された印刷ステータス情報の一例を示した図である。
【0048】
図6に示すように、印刷ステータス情報は、ユーザ102と、印刷中か待機中かのいずれかを示すステータス402と、優先順位302と、展開ページ数303とが関連づけられて記憶されている。
【0049】
なお、印刷ステータス情報は、印刷ジョブ管理部89により、定期的に更新される。
【0050】
画像展開部85は、ユーザ情報を含む印刷ジョブを画像展開し、印刷部30が印刷可能な印刷データを生成する。具体的には、コンピュータ2から受信した印刷ジョブは、圧縮されたPDL(ページ記述言語)形式としてハードディスクドライブ84に記憶されているので、画像展開部85は、印刷ジョブ管理部89の指示に従い、圧縮されたPDL(ページ記述言語)形式の印刷ジョブを解凍すると共に解析して画素毎のCMYKデータ(例えば、画素毎の0〜255)に展開する。そして、画像展開部85は、抽出したCMYKデータをインクジェットヘッドから吐出されるインク量を示すドロップデータ(例えば、画素毎の0〜7ドロップ)に変換することにより印刷データを生成する。また、スキャナ3から受信した印刷ジョブは、RGB形式の画像データが含まれているので、画像展開部85は、RGB形式の画像データをCMYK形式に変換し、さらに、ドロップデータに変換することにより、印刷データを生成する。
【0051】
なお、スキャナ3によりコピー機能などの印刷を伴う場合、RGB形式からCMYK形式への変換はスキャナ3内部で実施し、スキャナ3内部にて圧縮されたPDLデータを構築するようにしてもよい。これにより、スキャナ3から印刷装置1へ供給するデータ量を低減できるとともに、コンピュータ2と同じネットワーク経路を用いて印刷ジョブを送信することができる。
【0052】
メモリ86は、画像展開部85により画像展開された印刷データを記憶する。
【0053】
印刷制御部87は、メモリ86に記憶された印刷データのうち認証部82により印刷指示を行えるものと認証されたユーザに対応する印刷データに基づいて印刷部30に印刷させる。
【0054】
印刷ジョブ記憶制御部88は、メモリ86に、未認証のユーザに対応する複数の印刷データを記憶する場合、優先順位の高い印刷ジョブから優先的に画像展開部85に印刷データの一部を生成させてメモリ86に記憶させる。具体的には、印刷ジョブ記憶制御部88は、優先順位決定部83により決定された優先順位が高いほど、画像展開部85に生成させる印刷データのデータ量が多くなるようにメモリ86に記憶させる。
【0055】
印刷ジョブ管理部89は、認証部82により印刷指示を行えるものと認証されたユーザに対応する印刷ジョブが印刷指示された場合、印刷指示された印刷ジョブのうちメモリ86に記憶された一部以外の残りを画像展開部85により展開させ、メモリ86に記憶させ、印刷制御部87に、メモリ86に記憶された印刷データに基づいて印刷を行わせる。
【0056】
<印刷装置の作用>
次に、本発明の実施例1である印刷装置1の作用を説明する。
【0057】
本発明の実施例1である印刷装置1は、主に、印刷ジョブを受信したときの受信処理と、ユーザが印刷装置1に対して認証して印刷指示の操作することにより開始される印刷処理とを行う。そのため、各々の処理について以下に詳細に説明する。
【0058】
≪受信処理≫
図7は、本発明の実施例1である印刷装置1の受信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
まず、印刷ジョブ管理部89は、外部インタフェース部81を介して、コンピュータ2又はスキャナ3から印刷ジョブを受信したか否かを判定する(S101)。ここで、コンピュータ2からの印刷ジョブは、ファイルの先頭にヘッダ情報(ジョブ設定情報ともいう)が設けられ、その後に画像データが設けられるデータ構造からなっている。コンピュータ2からの印刷ジョブのヘッダ情報には、印刷処理を実行するにあたり必要な情報、例えば、片面両面設定情報、画像データの枚数(総印刷枚数)、印刷ジョブのカラー属性情報、解像度、印刷倍率、プリント濃度、入力サイズ(原稿サイズ)、出力サイズ(使用する印刷用紙サイズ)等に加え、印刷を指示したコンピュータにログインされているユーザを一意に識別するユーザIDが含まれている。一方、スキャナ3からの印刷ジョブは、画像データが外部インタフェース部81を介して送られてくる。具体的には、ユーザが、カードリーダ71に認証カード72を近づけることでユーザIDが読み込まれて認証部82により認証される。そして、記憶されたユーザIDと一致すると認証されたユーザが操作パネル部70から操作することにより、スキャナ3が動作して読み取られた画像データが外部インタフェース部81を介して送られ、認証部82により認証されたユーザIDが関連づけられて、印刷ジョブとして生成される。
【0060】
次に、印刷ジョブ記憶制御部88は、ユーザ履歴情報の印刷ジョブ受信時刻を更新した後(S103)、メモリ86の空き容量を算出する(S105)。
【0061】
そして、優先順位決定部83は、印刷ジョブに対応するユーザの特性に応じて印刷ジョブの優先順位を決定する(S107)。具体的には、優先順位決定部83は、印刷待機時間の平均時間が短いユーザに対応する印刷ジョブの優先順位が高くなるように決定する。例えば、
図4に示した平均印刷待機時間テーブルの例では、ユーザ“A”の印刷待機時間の平均は、“1時間56分28秒”であり、ユーザ“B”の印刷待機時間の平均は、“16分31秒”であり、ユーザ“C”の印刷待機時間の平均は、“50秒”であるので、
図5に示した優先順位テーブルに基づいて決定すると、ユーザ“A”の優先順位は“低”、ユーザ“B”の優先順位は“中”、ユーザ“C”の優先順位は“高”となる。
【0062】
次に、印刷ジョブ記憶制御部88は、メモリ86に待機の印刷データがあるか否かを判定する(S109)。
【0063】
ステップS109において、メモリ86に待機の印刷データがないと判定された場合(NOの場合)、メモリ86には、印刷中の印刷データのみが記憶されているか、又は印刷データが何も記憶されていないことになる。そこで、画像展開部85は、メモリ86の空き容量全体を使って最大記憶できる印刷データを生成するため、受信した印刷ジョブの画像展開処理を実行し(S111)、生成した印刷データをメモリ86に記憶する(S113)。
【0064】
一方、ステップS109において、メモリ86に待機の印刷データがあると判定された場合(YESの場合)、印刷ジョブ記憶制御部88は、優先順位決定部83により決定された優先順位が高いほど、画像展開部85に生成させる印刷データの一部のデータ量が多くなるように各印刷ジョブの展開ページ数を算出する(S117)。具体的には、印刷ジョブ記憶制御部88は、
図5に示した優先順位テーブルに基づいて、ステップS107において決定した優先順位に対応する展開ページ数を決定する。
【0065】
次に、印刷ジョブ記憶制御部88は、決定した展開ページ数、解像度、サイズに基づいて算出したデータ容量が、ステップS105において算出されたデータ容量内にあるか否かを判定する(S118)。
【0066】
ステップS118において、データ容量内にないと判定された場合(NOの場合)、処理をステップS109に移行し、データ容量内にあると判定された場合(YESの場合)、画像展開部85は、印刷ジョブ管理部89により決定された展開ページ数分の画像展開処理を実行し(S119)、生成した印刷データをメモリ86に記憶させる(S121)。
【0067】
≪印刷処理≫
図8は、本発明の実施例1である印刷装置1の印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0068】
まず、印刷ジョブ管理部89は、印刷指示されたか否かを判定する(S201)。具体的には、ユーザが、カードリーダ71に認証カード72を近づけることで認証部82により認証され、ユーザIDが一致すると認証されたユーザによる操作パネル部70の操作により印刷ジョブが選択されてスタートキーが押下操作された場合、印刷ジョブ管理部89は、印刷指示されたと判定する。
【0069】
次に、印刷ジョブ管理部89は、ユーザ履歴情報の選択日時のうちステップS201において選択された印刷ジョブに対応する選択日時を更新した後(S203)、認証されたユーザに対応する印刷ジョブを受信した時点から印刷指示されるまでの経過時間を印刷待機時間として算出し、
図3に示したユーザ履歴情報を更新する(S205)。
【0070】
次に、印刷ジョブ管理部89は、ユーザ履歴情報に基づいて、ユーザ毎に印刷待機時間の平均を算出し、平均印刷待機時間テーブルを更新する(S207)。
【0071】
そして、優先順位決定部83は、印刷ジョブに対応するユーザの特性に応じて印刷ジョブの優先順位を決定する(S209)。具体的には、優先順位決定部83は、印刷待機時間の平均時間が短いユーザに対応する印刷ジョブの優先順位が高くなるように決定する。
【0072】
次に、画像展開部85は、選択された印刷ジョブの画像展開処理を実行することにより印刷データを生成し、生成した印刷データをメモリ86に記憶させる(S211)。ここで、印刷処理を実行するためにメモリ86の必要なメモリ容量は、印刷装置1で印刷される片面両面設定、印刷用紙のサイズ、及び印刷の解像度により異なる。そのため、画像展開部85は、片面両面設定、印刷用紙のサイズ、及び解像度に基づいて、印刷を開始するために必要な記憶容量を算出し、算出した記憶容量をメモリ86に確保して印刷処理を実行する(S213)。例えば、片面両面設定において片面印刷が設定されている場合、印刷中、給紙台11又は給紙台21a〜21dからインクジェットヘッドユニット31までの給紙搬送路FR及び循環搬送路CR上を搬送されている枚数分の印刷データを必要な記憶容量として算出する。また、片面両面設定において両面印刷が設定されている場合、表面と裏面に印刷するための印刷データが揃うまでに、給紙搬送路FR及び循環搬送路CR上を搬送されている枚数分の印刷データを必要な記憶容量として算出する。上述したように、両面印刷が設定されると、用紙Pは、切り替え機構134により反転部50に誘導され、反転部50で表裏が反転されて循環搬送路CRへ搬送され、給紙台11又は給紙台21a〜21dから搬送された用紙Pと合流して給紙搬送路FRを搬送される。そのため、給紙搬送路FRを搬送される用紙Pは、「1枚目表」、「空」、「2枚目表」、「空」、「3枚目表」、「1枚目裏」、「4枚目表」、「2枚目裏」、「5枚目表」、「3枚目裏」、「6枚目表」、「4枚目裏」、・・・というように搬送される。そこで、「1枚目表」〜「1枚目裏」までの6枚数分の印刷データを必要な記憶容量として算出する。そして、印刷ジョブ管理部89は、算出した記憶容量をメモリ86に確保し、印刷制御部87が印刷部30等を制御して印刷処理を実行する。
【0073】
そして、印刷データに基づいて印刷が完了すると、印刷ジョブ管理部89は、メモリ86から印刷が完了した印刷データを削除した後、メモリ86の空き容量を算出する(S215)。
【0074】
次に、印刷ジョブ管理部89は、メモリ86に待機の印刷データがあるか否かを判定する(S217)。
【0075】
ステップS217において、メモリ86に待機の印刷データがないと判定された場合(NOの場合)、印刷処理を終了する。
【0076】
一方、ステップS217において、メモリ86に待機の印刷データがあると判定された場合(YESの場合)、印刷ジョブ管理部89は、優先順位決定部83により決定された優先順位が高いほど、画像展開部85に生成させる印刷データの一部のデータ量が多くなるように各印刷ジョブの展開ページ数を決定する(S219)。具体的には、印刷ジョブ管理部89は、
図5に示した優先順位テーブルに基づいて、優先順位に対応する展開ページ数を決定する。ここで、印刷ジョブ管理部89は、メモリ86の空き容量と優先順位とに応じて、メモリ86の空き容量をなくすように、即ち、メモリ86の容量を最大に使用するように、画像展開部85に印刷データの展開ページ数を決定してもよい。
【0077】
次に、印刷ジョブ管理部89は、決定した展開ページ数、解像度、サイズに基づいて算出したデータ容量が、ステップS215において算出されたデータ容量内にあるか否かを判定する(S220)。
【0078】
ステップS220において、データ容量内にないと判定された場合(NOの場合)、処理をステップS217に移行し、データ容量内にあると判定された場合(YESの場合)、画像展開部85は、印刷ジョブ管理部89により決定された展開ページ数分の画像展開処理を実行し(S221)、生成した印刷データをメモリ86に記憶させる(S223)。
【0079】
図9は、本発明の実施例1である印刷装置1の効果を示したタイミングチャートである。(a)は、比較のため、従来技術における受信処理及び印刷処理のタイミングであり、(b)は、本発明の実施例1である印刷装置1における受信処理及び印刷処理のタイミングである。
【0080】
図9(a)(b)に示すように、t1時点にユーザAの印刷ジョブを受信し、t3時点にユーザBの印刷ジョブを受信し、t5時点にユーザCの印刷ジョブを受信している。また、t7時点から、ユーザAの印刷ジョブの画像展開処理が実行されている。
【0081】
従来技術における受信処理及び印刷処理を示した
図9(a)では、印刷ジョブの一部(例えば、1ページ)について印刷ジョブの受信順に画像展開処理が実行し順次記憶するので、t9時点からユーザBの印刷ジョブの画像展開処理が実行されている。
【0082】
そして、t11時点において、ユーザAが認証され、認証されたユーザAによる操作パネル部70の操作によりt1時点で受信した印刷ジョブが選択され、t13時点において、印刷開始している。このとき、t7時点から印刷ジョブの画像展開処理が先行して実行されているので、t11時点からt13時点までの時間は、比較的短くなっている。
【0083】
その後、t15時点において、ユーザCが認証され、認証されたユーザCによる操作パネル部70の操作によりt5時点で受信した印刷ジョブが選択されている。このとき、従来技術では、印刷ジョブの一部について印刷ジョブの受信順に画像展開処理が実行し順次記憶するので、t15時点において、ユーザCの印刷ジョブの画像展開処理が実行されていない。そこで、t15時点から、ユーザCの印刷ジョブの画像展開処理が実行するので、t15時点からかなり時間が経過したt19時点から印刷を開始することになる。
【0084】
一方、
図9(b)に示した本発明の実施例1である印刷装置1における受信処理及び印刷処理では、t9時点において、優先順位の高い印刷ジョブから優先的に画像展開部85に印刷データの一部を生成させてメモリ86に記憶させる。ここでは、ユーザBよりユーザCの方が、優先順位が高いので、画像展開部85は、t5時点において受信したユーザCの印刷ジョブの画像展開処理を実行する。
【0085】
そのため、t15時点において、ユーザCが認証され、認証されたユーザCによる操作パネル部70の操作によりt5時点で受信した印刷ジョブが選択されると、t15時点において、既に、ユーザCの印刷ジョブの一部について画像展開処理が実行済みであるので、t15時点の直後のt17時点から印刷を開始することができる。
【0086】
これにより、従来技術と比較して、本発明の実施例1である印刷装置1では、t17時点〜t19時点までの時間を短縮することができるので、印刷開始までの遅延を低減させることができる。
【0087】
以上のように、本発明の実施例1である印刷装置1によれば、ユーザ情報を含む印刷ジョブを画像展開し、印刷部が印刷可能な印刷データを生成する画像展開部85と、画像展開部85により画像展開された印刷データを記憶するメモリ86と、ユーザが印刷指示を行えるものか否かを認証する認証部82と、メモリ86に記憶された印刷データのうち認証部82により、印刷指示を行えるものと認証されたユーザに対応する印刷データに基づいて印刷部30に印刷させる印刷制御部87と、印刷ジョブを受信してから印刷指示されるまでの印刷待機時間がユーザ毎に設定され、ユーザ毎の印刷待機時間に応じて印刷ジョブの優先順位を決定する優先順位決定部83と、メモリ86に複数の印刷データを記憶する場合、優先順位の高い印刷ジョブから優先的に画像展開部85に印刷データの一部を生成させてメモリ86に記憶させる印刷ジョブ記憶制御部88と、認証部82により印刷指示を行えるものと認証されたユーザに対応する印刷ジョブが印刷指示された場合、印刷指示された印刷ジョブのうちメモリ86に記憶された一部以外の残りを画像展開部85により展開させ、メモリ86に記憶させ、印刷制御部87に、メモリ86に記憶された印刷データに基づいて印刷を行わせる印刷ジョブ管理部89とを備えたので、早く印刷部30に印刷させる可能性が高い印刷データを記憶させることができ、その後、印刷指示されると、残りの印刷データ生成し、メモリに記憶し、印刷するので、適切に印刷データを記憶することにより、印刷開始までの遅延を低減させることができる。