(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145008
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】ピンチバルブとそれを備えた液体充填装置
(51)【国際特許分類】
F16K 23/00 20060101AFI20170529BHJP
F16K 7/07 20060101ALI20170529BHJP
B65B 3/12 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
F16K23/00
F16K7/07 B
B65B3/12
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-190291(P2013-190291)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-55331(P2015-55331A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 睦裕
(72)【発明者】
【氏名】高原 一典
【審査官】
加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭52−17788(JP,B2)
【文献】
実公平1−38001(JP,Y2)
【文献】
特開2003−34311(JP,A)
【文献】
米国特許第6053191(US,A)
【文献】
欧州特許出願公開第1357320(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 23/00
F16K 7/07
B65B 3/00−3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部に円柱状の中空空間を有する本体ケーシングと、
前記中空空間に配置され、本体ケーシング側から供給される気体圧によって中心方向に縮径するシールチューブと、
前記シールチューブの内部空間に挿入され、前記シールチューブが縮径して密接するシール面を有する弁体と、
前記本体ケーシングの上流側を閉鎖する上流側閉鎖部材と、
前記本体ケーシングの下流側を閉鎖する下流側閉鎖部材と、を備え、
前記弁体は、前記シール面の下流側から前記シールチューブとの間に気体を吹き出す気体吹き出し口と、該気体吹き出し口に気体を供給する気体供給通路とを有していることを特徴とするピンチバルブ。
【請求項2】
前記弁体は、前記本体ケーシングの中空空間内に位置し、前記上流側閉鎖部材と下流側閉鎖部材とは、前記本体ケーシングと別体で構成されている請求項1に記載のピンチバルブ。
【請求項3】
前記下流側閉鎖部材は、前記弁体に向けて開口する気体供給通路を有し、
前記弁体の気体供給通路は、前記下流側閉鎖部材の気体供給通路と連通するように構成されている請求項2に記載のピンチバルブ。
【請求項4】
前記弁体と前記下流側閉鎖部材との間にシール部材を配置した請求項3に記載のピンチバルブ。
【請求項5】
前記弁体の気体供給通路は、弁体の軸心位置から放射状に複数本が設けられ該弁体の周囲に気体吹き出し口を配置した請求項1〜4のいずれか1項に記載のピンチバルブ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のピンチバルブを備えた液体充填装置であって、
前記ピンチバルブを移送配管の終端部に設け、
前記ピンチバルブのシールチューブを弁体に向けて縮径させてシールする気体制御と、前記シールをした状態で前記気体吹き出し口から気体を吹出す気体制御とを行う制御装置を備えていることを特徴とする液体充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、粘性の高い液体を移送する配管に設けられるピンチバルブと、それを備えた液体充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶液などの液体を容器に定量入れる場合、例えば、
図6に示すように、液体タンク100から容器101に向けて配管102を設け、その配管102の容器側に開閉バルブ103が設けられた充填装置が用いられる。この充填装置は、ポンプ104で配管102内を移送した液体の積算流量や、容器101の重量を計測することにより、所定量の液体Lを移送するようなシステムが構築される。このようなシステムで移送される液体には、液体糊や接着剤のような高粘度の液体がある。
【0003】
この種の液体充填装置に関する先行技術として、充填室を形成するケース本体の下端部にノズル筒を垂設し、このノズル筒に充填室から液切り部材を嵌入してノズル筒内の充填液体を押し出すようにした液体充填装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他の先行技術として、充填する液体が高粘度の場合には充填バルブの開閉速度を高速にして液だれを防止し、充填する液体が低粘度の場合には充填バルブの開閉速度を低速にして液はねの防止を図るようにした充填装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−86502号公報
【特許文献2】特開平10−59491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載された充填装置の場合、液体を通過又は遮断する構成が複雑であるため、例えば、接着剤のような高粘度の液体を移送する場合には、バルブを閉鎖した後に配管内面に付着して残る液が多い。そのため、高温で移送していた液体の温度が低下して硬化した場合等には分解清掃が難しく、保守などに労力と時間を要する。しかも、液体が複雑な構造部分に滞留して、移送する液体の量に誤差が生じることがある。
【0007】
また、高粘度の液体は、バルブ103を閉鎖しても配管102の内壁にかなりの量が付着して残る。そのため、上記
図6に示すように、定量を入れた容器101を取り除いた後、次の容器101を配置するまでの間に配管102内の残存液Lが液だれとして滴下して作業環境を悪化させる。そのため、滴下した液体Lを清掃して次の容器を配置することになるが、例えば、液体が接着剤のような場合には滴下した液体を清掃するために多くの労力と時間を要する。なお、上記特許文献2のように、バルブの開閉速度を高速にしても残存液があれば液だれを生じる。
【0008】
そこで、本願発明は、シール面よりも下流側における液体を強制的に排出してシール後に残存液の液だれがないピンチバルブと、それを備えた液体充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明のピンチバルブは、中心部に円柱状の中空空間を有する本体ケーシングと、前記中空空間に配置され、本体ケーシング側から供給される気体圧によって中心方向に縮径するシールチューブと、前記シールチューブの内部空間に挿入され、前記シールチューブが縮径して密接するシール面を有する弁体と、前記本体ケーシングの上流側を閉鎖する上流側閉鎖部材と、前記本体ケーシングの下流側を閉鎖する下流側閉鎖部材と、を備え、前記弁体は、前記シール面の下流側から前記シールチューブとの間に気体を吹き出す気体吹き出し口と、該気体吹き出し口に気体を供給する気体供給通路とを有している。
【0010】
この構成により、シールチューブを弁体に向けて縮径させてシール面でシールし、その状態でシール面の下流側に設けた気体吹き出し口からシールチューブとの間に気体を吹き出す。これにより、シール面よりも下流側に付着している液体を気体で強制的に排出することができる。従って、シール後に残存液の液だれもなく、移送する液体を適切量で止めることができる。
【0011】
また、前記弁体は、前記本体ケーシングの中空空間内に位置し、前記上流側閉鎖部材と下流側閉鎖部材とは、前記本体ケーシングと別体で構成されていてもよい。
【0012】
このように構成すれば、シールチューブを縮径させることで弁体のシール面が均等に押圧されるように弁体が位置し、弁体などの製作誤差等を吸収してシール面の全周で適切なシールができる。しかも、各部品を分解可能に構成することで、高粘度で、温度低下などで硬化の可能性がある液体を移送する場合でも、短時間で内部の分解清掃ができる。
【0013】
また、前記下流側閉鎖部材は、前記弁体に向けて開口する気体供給通路を有し、前記弁体の気体供給通路は、前記下流側閉鎖部材の気体供給通路と連通するように構成されていてもよい。
【0014】
このように構成すれば、各部品を分解して短時間で内部の清掃ができるとともに、気体吹き出し口から吹出す気体を下流側閉鎖部材から弁体へ適切に供給することができる。
【0015】
また、前記弁体と前記下流側閉鎖部材との間にシール部材を配置してもよい。
【0016】
このように構成すれば、弁体と下流側閉鎖部材との接触面における隙間をシール部材で適切にシールし、下流側閉鎖部材から弁体に送る気体の漏れを抑えて適切に送ることができる。
【0017】
また、前記弁体の気体供給通路は、弁体の軸心位置から放射状に複数本が設けられ該弁体の周囲に気体吹き出し口を配置してもよい。
【0018】
このように構成すれば、複数個の気体吹き出し口から吹き出した気体で、シール面よりも下流側に付着している液体を一気に強制排出することができる。
【0019】
一方、本願発明の液体充填装置は、前記ピンチバルブを移送配管の終端部に設け、前記ピンチバルブのシールチューブを弁体に向けて縮径させてシールする気体制御と、前記シールをした状態で前記気体吹き出し口から気体を吹出す気体制御とを行う制御装置を備えている。
【0020】
この構成により、移送配管の終端部にピンチバルブを設けることでピンチバルブより下流の配管を無くし、移送配管内の液体をピンチバルブで止めた後、シール面よりも下流側のバルブ内液体を気体で強制的に排出することを連続的に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本願発明によれば、シール面よりも下流側における液体を強制的に排出することができるので、シール後に残存液の液だれもなく、移送する液体を適切量で止めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は本願発明の一実施形態に係るピンチバルブを示す縦断面図である。
【
図4】
図4は
図1に示すピンチバルブを備えた液体充填装置を示す構成図である。
【
図5】
図5は
図1に示すピンチバルブの使用時における断面図であり、(a) は液体供給時の断面図、(b) は液体供給停止時の断面図、(c) は残液排出時の断面図である。
【
図6】
図6は従来のバルブシステムにおける課題を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、高粘度の液体を所定の容器に移送する配管の終端部に設けられたピンチバルブを例に説明する。なお、以下の実施形態では、シールチューブによるバルブ閉鎖と残液排出用の気体としてエアーを例に説明する。また、シールチューブとしてゴムチューブを例に説明する。
【0024】
図1に示すように、この実施形態のピンチバルブ1は、中心部の軸方向(この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、ピンチバルブ1の液体移送方向(図の上下方向)をいう)に円柱状の中空空間11を有する本体ケーシング10を備えている。この本体ケーシング10の中空空間11には、本体ケーシング10側から供給される気体圧によって中心方向に縮径させられるゴムチューブ15と、このゴムチューブ15の内部空間に挿入され、ゴムチューブ15が縮径したときに密接する弁体20とが備えられている。また、本体ケーシング10の下流側には下流側閉鎖部材30が設けられ、本体ケーシング10の上流側には上流側閉鎖部材40が設けられている。
【0025】
この例では、下流側閉鎖部材30と本体ケーシング10と上流側閉鎖部材40とに設けられたボルト穴32,12,42に固定ボルト2を挿通し、上流側閉鎖部材40側で固定ボルト2のねじ部にナット3を螺合してこれらが一体的に固定されている。この例では、4箇所で固定されている(
図2,3)。
【0026】
上記弁体20は、円柱状の中央部分にくぼんだシール面21が形成され、その軸方向両側に大径部22,23が設けられている。この大径部22,23の軸方向両側には、円柱状の部分から突出する長円形断面の支持部24,25が設けられている。この支持部24,25は、大径部22,23の中心から軸方向に突出するように形成されていて、後述する
図5(a) に示すように、外周部の液体Lが突起31,41に対して一部通過できるよう切り欠かれている。
【0027】
また、弁体20は、軸心位置から下流側の大径部に向けて気体供給通路26が形成されている。この気体供給通路26は、弁体20の下流側大径部22の位置で、軸心位置から外周に向けて設けられている。この気体供給通路26は、中心部が後述する気体供給通路34と連通するようになっている。この気体供給通路26を下流側の大径部22に設けることにより、シール面21の下流側近傍からゴムチューブ15との間に排出エアーA2を吹き出すようにしている。
【0028】
上記本体ケーシング10には、軸方向に形成された円柱状の中空空間11に上記ゴムチューブ15が取付られた状態で、このゴムチューブ15の両端部に設けられた円環状の鍔部16が嵌り込む凹部13が設けられている。
【0029】
また、上記上流側閉鎖部材40と下流側閉鎖部材30とには、上記弁体20を本体ケーシング10のほぼ中心に位置させるための突起41,31がそれぞれ設けられている。
【0030】
本体ケーシング10の中空空間11にゴムチューブ15を配置し、ゴムチューブ15の鍔部16を本体ケーシング10の凹部13に嵌める。そして、このゴムチューブ15の中に弁体20を入れた状態で、本体ケーシング10と上流側閉鎖部材40と下流側閉鎖部材30とが軸方向に接合され、上記固定ボルト2とナット3で一体的に固定される。
【0031】
このように固定することで、ゴムチューブ15の鍔部16が、本体ケーシング10と上流側閉鎖部材40及び下流側閉鎖部材30との間に挟まれて、これらの連結部分におけるシール材として機能する。
【0032】
また、上記弁体20の下流側の端面と下流側閉鎖部材30との間には、シール材36が設けられている。このシール材36は、例えば、ゴムシートが用いられる。シール材36には、中央部分に貫通穴37が設けられている。このシール材36を設けることにより、弁体20が本体ケーシング10の中空空間11で軸方向に移動しないようにして、後述する気体供給通路34,26の連通状態を安定して保つようにしている。弁体20の気体供給通路26は、上記大径部22の位置で放射状に複数本が設けられ、大径部22の周囲に複数個の気体吹き出し口27が配置されている。大径部22の周囲に複数個の気体吹き出し口27を配置することにより、シール面21よりも下流側に付着している液体Lを気体で一気に強制排出できるようにしている。
【0033】
さらに、上記上流側閉鎖部材40の中央部には、液体Lの移送配管50の終端部が取付金具51で固定されている。また、本体ケーシング10の側部には、上記中空空間11とゴムチューブ15の外面との間に閉鎖エアーA1を供給してピンチバルブ1を閉鎖するエアー配管52が接続されている。さらに、上記下流側閉鎖部材30に設けられた気体供給通路34には、排出エアーA2を供給するエアー供給管53が接続されている。
【0034】
図2に示すように、上記下流側閉鎖部材30には、上記弁体20とゴムチューブ15との間の空間を移送される液体Lを排出する排出口33が設けられている。この排出口33は、下流側閉鎖部材30の中心部分を避けて、本体ケーシング10の中空空間11を下流側閉鎖部材30の下面に開放させるように2本が設けられている。この排出口33は、他の形態であってもよい。
【0035】
また、中心部分には、本体ケーシング10の中空空間11に向けて開口する気体供給通路34が設けられている。この気体供給通路34は、下流側閉鎖部材30の側方の中間部分から中心に向けて延び、中心部分で本体ケーシング10の中空空間11に向けて開口するように形成されている。この気体供給通路34には、排出エアーA2を供給するエアー供給管53が接続されている。
【0036】
図3に示すように、上記本体ケーシング10の軸方向中央部分は、本体ケーシング10の中空空間11内に配置されたゴムチューブ15が位置し、このゴムチューブ15の内部に弁体20が位置している。なお、図では本体ケーシング10の軸方向中央部分を切断しているため、中央部分のくぼんだシール面21とゴムチューブ15との間に弁体20の大径部22が示されている。この実施形態の弁体20には、大径部22の位置に、軸心位置から外周に向けて放射状に複数本の気体供給通路26が設けられている。
【0037】
図4に示すように、上記したピンチバルブ1を液体充填装置5に用いる場合、移送配管50の終端部に取り付けられる。これにより、ピンチバルブ1よって閉鎖された位置よりも下流側の配管部分を短くできる。移送配管50には、液体タンク55から容器58に液体Lを移送するポンプ57が設けられている。このポンプ57は、モータ56で駆動される。
【0038】
さらに、上記モータ56の駆動、ピンチバルブ1の開閉、及びピンチバルブ1の気体供給通路34,26にエアーを供給する制御等を行う制御装置60が設けられている。そして、この制御装置60により、以下のようにピンチバルブ1が制御される。
【0039】
図5(a) に示すように、ピンチバルブ1を開放した状態で、ポンプ57(
図4)によって液体Lが移送される。この状態の液体Lは、移送配管50から弁体20とゴムチューブ15との隙間を通って下流側閉鎖部材30の排出口33から排出され、上記
図4に示すように容器58に所定量が移送される。液体Lの所定量は、ポンプ57の吐出量や、容器58の重量によって検知される。
【0040】
次に、
図5(b) に示すように、液体Lを所定量移送した後、制御装置60によってエアー配管52から閉鎖エアーA1がゴムチューブ15の外周に供給される。この制御装置60の気体制御により、ゴムチューブ15が弁体20のくぼんで湾曲するシール面21に押圧されて密着し、弁体20とゴムチューブ15との間が閉鎖される。
【0041】
このようにゴムチューブ15が弁体20シール面21に押圧されて密着すると、液体Lの移送が止まる。また、ポンプ57(
図4)も停止させられる。この状態では、シール面21で液体Lの供給は止まっているが、シール面21よりも下流側の排出口33や隙間などには液体Lが残った状態となっている。
【0042】
そして、
図5(c) に示すように、制御装置60によってエアー供給管53から排出エアーA2が供給される。この制御装置60の気体制御により、下流側閉鎖部材30の気体供給通路34から弁体20の気体供給通路26を介して、気体吹き出し口27からシール面21の下流側におけるゴムチューブ15との間に排出エアーA2が吹き出される。
【0043】
この排出エアーA2により、シール面21よりも下流側の排出口33などに残っている液体Lが、排出エアーA2とともに排出口33から吹き出される。つまり、ピンチバルブ1の内部に排出エアーA2を送り込んでシール面21よりも下流側をエアーブローすることにより、ピンチバルブ1のシール面21よりも下流側に残っている液体Lを強制的に排出することができる。
【0044】
従って、このエアーブローを行った後は、ピンチバルブ1の排出口33から液体Lが垂れ落ちることはなく、正確な移送量の測定と、容器58を移動させた後の液垂れ防止を図ることが可能となる。
【0045】
以上のように、上記ピンチバルブ1によれば、シール面21から下流側の配管部分を物理的に減らせるので、液体Lの移送停止後にシール面21よりも下流側に残る液体量を減らすことができる。しかも、その残液は気体吹き出し口27から吹き出したエアーで排出口33から吹き出すので、移送停止後に残液が垂れ落ちるのを防止することが可能となる。従って、作業環境を悪化させることなく、高粘度の液体Lを効率良く移送することが可能となる。
【0046】
しかも、上記実施形態によれば、主な構成部品を、本体ケーシング10、ゴムチューブ15、弁体20、下流側閉鎖部材30及び上流側閉鎖部材40の5点とした簡単な構造のピンチバルブ1としている。そのため、接着剤のように高粘度で、温度が低下すると硬化する可能性があるような液体Lであっても、ピンチバルブ1の内部で硬化した場合には容易に分解して清掃することができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、弁体20と上流側閉鎖部材40と下流側閉鎖部材30とを別体で構成した例を説明したが、例えば、弁体20と下流側閉鎖部材30とを一体で形成してもよく、各構成は上記実施形態に限定されるものではない。
【0048】
また、上記実施形態における弁体20は一例であり、他の形態で形成してもよく、弁体20の形状などは上記実施形態に限定されるものではない。
【0049】
さらに、上記した実施形態は一例を示しており、本願発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本願発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本願発明に係るピンチバルブは、粘性の高い液体を容器に充填する装置におけるバルブとして利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 ピンチバルブ
5 液体充填装置
10 本体ケーシング
11 中空空間
13 凹部
15 ゴムチューブ(シールチューブ)
16 鍔部
20 弁体
21 シール面
22,23 大径部
24,25 支持部
26 気体供給通路
27 気体吹き出し口
30 下流側閉鎖部材
33 排出口
34 気体供給通路
53 エアー供給管
36 シール材
37 貫通穴
40 上流側閉鎖部材
50 移送配管
52 エアー配管
53 エアー供給管
60 制御装置
A1 閉鎖エアー
A2 排出エアー
L 液体