(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で説明する本発明の各実施の形態では、ダンプトラックの運行管理システムの1つである鉱山ダンプの自律走行システムにおいて、鉱山ダンプが自律走行に使用する地図データの更新に際して、鉱山サイト内の全ての鉱山ダンプを停止させるのではなく、更新に関する部分を走行しない鉱山ダンプの稼働は継続させることで、地図更新が鉱山ダンプの操業にできるだけ影響を与えないようにしている。なお、以下の各実施の形態では、鉱山ダンプの搬送路(道路)で互いに接続された積込場と放土場を1組以上有する鉱山サイト内の領域を「鉱区エリア(鉱区)」と定義しており、鉱山サイトを適宜複数の鉱区エリアで区画している。
【0012】
<第1の実施の形態>
はじめに、本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施の形態では、鉱山ダンプの自律走行システムにおいて、地図データの管理を鉱区エリア単位で行い、地図データの更新箇所が含まれる鉱区エリア内に鉱山ダンプが存在しない場合に地図データを更新している。なお、ここでは、複数の鉱区エリアから成る鉱山サイトは、1つの管制センタが管理しているものとする。
【0013】
第1の実施の形態における鉱区エリアについて説明する。第1の実施の形態では、
図1に示すように鉱区Aエリア400、鉱区Bエリア430、鉱区Cエリア460という鉱区エリアに分けて鉱山サイトを管理している。管制センタ490の管理下に置かれている複数の鉱山ダンプは、それぞれに割り当てられた鉱区エリア内で積込み作業と搬送作業と放土作業を繰り返し行う。
【0014】
鉱区Aエリア400には、超大型の油圧ショベルである鉱山ショベル402,406,410による鉱山ダンプ420,422への積み込み作業が行われる積込場404,408,412と、積込場404,408,412で積み込んだ積み荷(土砂や鉱物)を降ろす放土場414,416,418があり、これらは互いに鉱山ダンプ420,422が走行可能な搬送路(道路)によって接続されている。また、鉱区Aエリア400は、管制センタ490と搬送路で繋がっており、さらに、管制センタ490を経由して鉱区Bエリア430および鉱区Cエリア460と搬送路で繋がっている。
【0015】
鉱山ショベル402は、積込場404に配置されており、土砂や鉱物を鉱山ダンプに積込みする。鉱山ショベル406は、積込場408に配置されており、土砂や鉱物を鉱山ダンプに積込みする。鉱山ショベル410は、積込場412に配置されており、土砂や鉱物を鉱山ダンプに積込みする。
【0016】
鉱山ダンプ420および鉱山ダンプ422は、搬送路を介して、鉱区Aエリア400内の積込場404、積込場408、積込場412、放土場414、放土場416および放土場418の間を行き来し、土砂や鉱物を運搬する。
【0017】
鉱区Bエリア430には、鉱山ショベル432,436,440による鉱山ダンプ450,452への積み込み作業が行われる積込場434,438,442と、積込場434,438,442で積み込んだ積み荷を降ろす放土場444,446,448があり、これらは互いに鉱山ダンプ450,452が走行可能な搬送路によって接続されている。また、鉱区Bエリア430は、管制センタ490と搬送路で繋がっており、さらに、管制センタ490を経由して鉱区Aエリア400および鉱区Cエリア460と搬送路で繋がっている。
【0018】
鉱山ショベル432は、積込場434に配置されており、土砂や鉱物を鉱山ダンプに積込みする。鉱山ショベル436は、積込場438に配置されており、土砂や鉱物を鉱山ダンプに積込みする。鉱山ショベル440は、積込場442に配置されており、土砂や鉱物を鉱山ダンプに積込みする。
【0019】
鉱山ダンプ450および鉱山ダンプ452は、搬送路を介して、鉱区Bエリア430内の積込場434、積込場438、積込場442、放土場444、放土場446および放土場448の間を行き来し、土砂や鉱物を運搬する。
【0020】
鉱区Cエリア460には、鉱山ショベル462,466,470による鉱山ダンプ480,482への積み込み作業が行われる積込場464,468,472と、積込場464,468,472で積み込んだ積み荷を降ろす放土場474,476,478があり、これらは互いに鉱山ダンプ480,482,484が走行可能な搬送路によって接続されている。また、鉱区Cエリア460は、管制センタ490と搬送路で繋がっており、さらに、管制センタ490を経由して鉱区Aエリア400および鉱区Bエリア430と搬送路で繋がっている。
【0021】
鉱山ショベル462は、積込場464に配置されており、土砂や鉱物を鉱山ダンプに積込みする。鉱山ショベル466は、積込場468に配置されており、土砂や鉱物を鉱山ダンプに積込みする。鉱山ショベル470は、積込場472に配置されており、土砂や鉱物を鉱山ダンプに積込みする。
【0022】
鉱山ダンプ480、鉱山ダンプ482および鉱山ダンプ484は、搬送路を介して、鉱区Cエリア460内の積込場464、積込場468、積込場472、放土場474、放土場476および放土場478の間を行き来し、土砂や鉱物を運搬する。
【0023】
各鉱山ダンプには、担当の鉱区エリアが予め設定されており、各鉱山ダンプは、同一の鉱区エリア内の積込場と放土場の間を繰り返し移動することで、土砂や鉱物の運搬走行を行っている。つまり、一の鉱区エリアを走行する鉱山ダンプは、他の鉱区エリアを走行することは基本的に無い。そして、各鉱山ダンプは、給油、鉱山ダンプのオペレータシフト交代(ダンプの有人走行時)、作業終了による駐機場への移動、メンテナンス等のために、管制センタ490に移動することがある。
【0024】
第1の実施の形態では、管制センタ490に設置された管制センタシステム100(後述する
図4参照)は、例えば、管制センタシステム100で管理されているマスター地図データにおいて、鉱区Cエリア460内の地図データの一部(道路リンク(詳細は後述))を変更しようとする場合には、その変更対象の道路リンクが含まれている鉱区Cエリア460内に鉱山ダンプが存在するか否かを判別する。そして、
図2に示すように、変更対象の道路リンク(道路リンク510)が含まれる鉱区Cエリア460内に鉱山ダンプ380,382,384が存在する場合には、管制センタシステム100のマスター地図データの更新を行わない。一方、
図3に示すように、変更対象の道路リンク(道路リンク510)が含まれる鉱区Cエリア460に1台も鉱山ダンプが存在しない場合には、マスター地図データの更新を行う。そして、その更新後のマスター地図データに基づいて各鉱山ダンプで管理されている地図データ(車載地図データ)を更新する。これにより、地図更新の際に、鉱区Cエリア460以外の鉱区エリア(鉱区Aエリア400および鉱区Bエリア430)の鉱山ダンプ420,422,450,452の操業を停止することなく地図データの更新を行うことができる。
【0025】
次に、第1の実施の形態におけるシステム構成図を
図4に示す。この図に示すダンプトラックの運行管理システムは、管制センタ490に設置された管制センタシステム100と、鉱山サイト内の各鉱山ダンプ420,422,450,452,380,382,384に搭載される車載端末システム150で構成されている。管制センタシステム100と車載端末システム150は無線通信網190で接続され情報の授受を行う。なお、車載端末システム150は、各鉱山ダンプに搭載されているため、実際には複数存在するが、
図4には省略して1つのみ示している。
【0026】
管制センタシステム100は、コンピュータで構成された制御装置であり、各車載端末システム150から送信される鉱山ダンプの自車位置を管理するダンプ位置管理部105と、鉱山サイトにおいて鉱山ダンプが走行可能な道路地図を示す地図データであって、各車載端末システム150に提供されるマスター地図データを記憶・管理するマスター地
図DB(例えば、磁気記憶装置)130と、マスター地
図DBで管理されているマスター地図データを更新するマスター地図更新部135と、更新に係る地図データの位置と各鉱山ダンプの位置に基づいてマスター地図データの更新の可否を判断する地図更新判別部140と、各車載端末システム150と無線LANなどの通信網を経由して通信を行うセンタ側通信部(例えば、無線通信装置)145と、マスター地図データの更新等に際して管制センタ490内のオペレータが入力操作を行うためのセンタ側入力部(例えば、マウス、キーボード)120と、当該オペレータに情報表示を行うためのセンタ側表示部(例えば、液晶モニタ)125と、管制センタシステム100の全体的な処理制御を行うセンタ側制御部115とを備えている。
【0027】
車載端末システム150は、コンピュータで構成された制御装置であり、GPSや加速度センサやジャイロや速度センサなどを使って鉱山ダンプの自車位置を測位する自車位置測位部155と、管制センタシステム100のマスター地
図DB130から提供されるマスター地図を車載地図データとして記憶している車載地
図DB(例えば、磁気記憶装置)170と、車載地
図DB170で管理されている車載地図データを更新する車載地図更新部175と、管制センタシステム100と無線LANなどの通信網を経由して通信を行う車載側通信部(例えば、無線通信装置)165と、オペレータが入力操作を行う車載側入力部(例えば、キーボード)180と、オペレータに情報表示を行う車載側表示部(例えば、液晶モニタ)185と、車載端末システム150の全体的な処理制御を行う車載側制御部160と、鉱山ダンプの加速、減速、停止などの車両制御を行う車両制御部2080とを備えている。車両制御部2080は、管制センタシステム100から与えられた指示と、自車位置測位部155で測位される自車位置と、車載地
図DB170で管理されている車載地図データとに基づいて、自律的に車両を操舵したり加減速したりする自律走行制御を行っている。
【0028】
次に、本実施の形態に係る運行管理システムにおいて利用される鉱山ダンプについて
図5を用いて説明する。
図5に示した鉱山ダンプ200には、複数のGPS衛星(航法衛星)からの航法信号を受信して自車位置測位部155に出力するGPSアンテナ210と、管制センタ490等から出力された電気信号を受信して車載側通信部165に出力する無線LANアンテナ220が装着されており、さらにコックピット230内に車載端末システム150が搭載されている。
【0029】
次に、本実施の形態における管制センタ490について、
図6を用いて説明する。管制センタ490には、管制センタシステム100が設置されており、オペレータ310が管制センタシステム100を操作する。また、管制センタシステム100の画面320を用いて、オペレータ310に情報提示が行われる。オペレータ310は、管制センタシステム100を用いて、マスター地図の編集操作を行ったり、マスター地図の更新命令を出したりする。
【0030】
次に、
図7と
図8を用いて、上記のように構成した第1の実施の形態に係る運行管理システムによる鉱山ダンプの地図更新処理フローについて説明する。まず、
図7を用いて管制センタシステム100の処理フローについて説明する。
【0031】
まず、
図7におけるステップ900では、管制センタシステム100において、ユーザからの処理スタート要求の受付や、管制センタシステム100の起動状態を確認する初期設定処理を行う。ユーザからの処理スタート要求は、センタ側入力部120を介して行われ、処理スタート要求があったらステップ905に進む。
【0032】
ステップ905では、マスター地
図DB130で管理されているマスター地図の一部(道路リンク)に係る形状、制限速度、勾配、曲率、路面抵抗に関する情報の修正、追加、削除の要求(以下において「マスター地図更新要求」と称することがある)を、センタ側入力部120から受け付ける。
【0033】
ここで、マスター地
図DB130で管理されているマスター地図データについて
図9、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14を用いて説明する。
図9〜
図14に示したテーブルは、マスター地
図DB130に記憶されており、鉱山ダンプが走行可能な道路(搬送路)を示している。本実施の形態では、マスター地図データに係る道路を、複数の小区間の結合で定義しており、当該小区間のそれぞれを道路リンクと称している。道路を道路リンクで区切る基準としては、例えば、他の道路が接続される交差点や、道路の制限速度などの属性(「道路リンク属性」と称することがある)があり、2つの交差点を接続する道路や道路リンク属性が同じ道路が1つの道路リンクとなることがある。
【0034】
図9は、鉱山サイト内の道路リンクの形状(道路形状)を管理する道路形状管理テーブル1300である。本実施の形態では、道路形状を、各道路リンクを構成する2以上の節点の座標で定義している。道路形状管理テーブル1300は、各道路リンクに個別に割り当てられた道路リンクID1310と、道路リンクID1310を有する道路リンクの道路形状(接点の座標座標)1320を関連付けて管理している。なお、道路形状1320を表現するための座標系は、緯度経度であってもよいし、鉱山内に設定された独自の座標系であってもよい。
図9では、鉱山内に独自に設定された、緯度、経度方向の座標を整数で表現する座標系を利用した例を示している。
【0035】
図10は、鉱山サイト内の道路リンクがどの鉱区エリアに含まれるかを管理する鉱区エリア管理テーブル1400を示す図である。鉱区エリア管理テーブル1400は、各道路リンクの道路リンクID1410と、当該道路リンクID1410に係る道路リンクが属する鉱区エリアを示す鉱区エリア情報1420とを管理している。鉱区エリア管理テーブル1400を利用することで、道路リンクのIDから、その道路リンクが属する鉱山エリアを検索することができる。
【0036】
図11は、鉱山サイト内の道路リンクの制限速度を管理する制限速度管理テーブル1500を示す図である。制限速度管理テーブル1500は、各道路リンクの道路リンクID1510と、当該道路リンクID1510に係る道路リンクの制限速度情報1520とを管理している。
【0037】
図12は、鉱山サイト内の道路リンクの勾配を管理する勾配管理テーブル1600を示す図である。勾配管理テーブル1600は、各道路リンクの道路リンクID1610と、当該道路リンクID1610に係る道路リンクの勾配情報1620を管理している。
【0038】
図13は、鉱山サイト内の道路リンクの曲率を管理する曲率管理テーブル1700を示す図である。曲率管理テーブル1700は、各道路リンクの道路リンクID1710と、当該道路リンクID1710に係る道路リンクの曲率情報1720を管理している。
【0039】
図14は、鉱山サイト内の道路リンクの路面抵抗を管理する曲率管理テーブル1800を示す図である。路面抵抗管理テーブル1800は、各道路リンクの道路リンクID1810と、当該道路リンクID1810に係る道路リンクの路面抵抗情報1820を管理している。路面抵抗情報1820はμ値を使っても良いし、滑りやすさの度合いを路面の状態に応じて複数段階に分類すること(例えば、DRY、WET)などにより表現してもよい。
図14では、路面抵抗をμ値を使って表現した例を示している。
【0040】
以上のように、マスター地
図DB130では、少なくとも道路形状管理テーブル1300、鉱区エリア管理テーブル1400、制限速度管理テーブル1500、勾配管理テーブル1600、曲率管理テーブル1700および路面抵抗管理テーブル1800を管理している。そして、マスター地図の更新要求により、1以上の道路リンクの道路形状、鉱区エリア情報、制限速度、勾配、曲率および路面抵抗の少なくとも1つが更新されたり、1以上の道路リンクが追加・削除されたりする。
【0041】
図7に戻り、ステップ910では、地図更新判別部140において、鉱山内で運転中の各鉱山ダンプの位置の確認処理を行う。この位置確認処理では、ダンプ位置管理部105で管理されている鉱山ダンプ位置管理テーブル1200(
図15参照)に登録された運転中の全ての鉱山ダンプの位置を取得し、ステップ915に進む。
【0042】
図15は鉱山ダンプ位置管理テーブルを示す図である。鉱山ダンプ位置管理テーブル1200は、各鉱山ダンプに割り当てられた鉱山ダンプID1210と、当該ID1210に係る鉱山ダンプの位置1220と、位置1220を測位した時刻である測位時間1230とを管理している。鉱山ダンプID1210は、例えば320、350といった各鉱山ダンプに固有に割り振られた番号である。位置1220は、緯度経度による座標系で表現してもよいし、鉱山内で独自に使われる座標系で表現してもよい。
図15では、鉱山内に独自に設定された、緯度、経度方向の座標を整数で表現する座標系を利用した例を示している。また、測位時間は、自車位置測位部155が複数のGPS衛星から受信した航法信号に基づいて自車位置を測位した時刻である。
【0043】
次に、鉱山ダンプ位置管理テーブル1200への各鉱山ダンプの位置情報の登録処理について説明する。
図16は、車載端末システム150による自車位置の管制センタ490への送信処理フローを示しており、
図17は、管制センタシステム100による各鉱山ダンプの現在位置の登録処理フローを示している。
【0044】
図16に示すように、車載端末システム150では、ステップ700において、ユーザからの処理スタート要求の受付や、鉱山ダンプのエンジンONの状態か否かなどを確認する初期設定処理を行う。ここでユーザからの処理スタート要求は、端末側入力部180を介して行われ、処理スタート要求があったらステップ705に進む。
【0045】
ステップ705では、車載端末システム150は、自分が搭載されている鉱山ダンプの位置(自車位置)を自車位置測位部155において測位し、ステップ710に進む。
【0046】
ステップ710では、車載端末システム150は、車載側通信部165を介して、自分が搭載されている鉱山ダンプの鉱山ダンプIDを、管制センタシステム100におけるセンタ側通信部145に対して無線通信網190を経由して送信する。
【0047】
ステップ715では、車載端末システム150は、車載側通信部165を介して、ステップ705で測位した自車位置と自車位置を測位した時刻(1230)とを管制センタシステム100のセンタ側通信部145に無線通信網190を経由して送信し、ステップ705に戻る。
【0048】
一方、
図17に示すように、管制センタシステム100では、ステップ800において、ユーザからの処理スタート要求の受付や、管制センタシステムの起動状態を確認する初期設定処理を行う。ユーザからの処理スタート要求は、センタ側入力部120を介して行われ、処理スタート要求があったらステップ805に進む。
【0049】
ステップ805では、車載端末システム150から送信される鉱山ダンプIDをセンタ側通信部145において受信する。
【0050】
ステップ810では、各車載端末システム150から送信される情報のうち、ステップ805で受信した鉱山ダンプIDに係る鉱山ダンプの自車位置情報と、その自車位置を測位した時刻をセンタ側通信部145において受信する。
【0051】
ステップ815では、鉱山ダンプ位置管理部105において、ステップ810で受信した自車位置情報と測位時刻を、鉱山ダンプIDに関連付けて鉱山ダンプ位置管理テーブル1200に登録する。
【0052】
図7に戻り、ステップ915では、ステップ910で取得した鉱山サイト内の各鉱山ダンプの位置に基づいて、各鉱山ダンプがどの鉱区エリアに位置するかを示す情報(エリア情報)の取得処理を行い、ステップ920に進む。ここで、ステップ915における各鉱山ダンプのエリア情報の取得処理について説明する。
【0053】
図18は、各鉱山ダンプのエリア情報の取得処理に関する処理フローである。はじめに、ステップ1100では、ユーザからの処理スタート要求の受付や、鉱山ダンプのエンジンONの状態か否かなどを確認する初期設定処理を行う。ユーザからの処理スタート要求は、端末側入力部180を介して行われ、処理スタート要求があったらステップ1110に進む。
【0054】
ステップ1110では、管制センタシステム100は、地図更新判別部140において、ステップ910で取得した各鉱山ダンプの位置に最も近い道路リンクの道路リンクIDを道路形状管理テーブル1300から取得する。ここでは、ステップ910で取得した各鉱山ダンプの位置と道路形状管理テーブル1300内の道路形状1320の座標を比較することで、各鉱山ダンプに最も近い道路リンクに関する道路リンクIDを取得する。
【0055】
ステップ1120では、地図更新判別部140において、ステップ1110で求めた道路リンクIDが属する鉱区エリアを鉱区エリア管理テーブル1400に基づいて取得する。ここでは、ステップ1110で取得した道路リンクIDを、鉱区エリア管理テーブル1400に登録された道路リンクID1410から検索し、その検索した道路リンクIDに関わる鉱区エリア情報1420を取得する。
【0056】
ステップ1130では、自車位置のエリア情報の取得処理に関する終了処理を行い、ステップ920に進む。
【0057】
図7に戻り、ステップ920では、管制センタシステム100は、地図更新判別部140において、ステップ905でマスター地図更新要求があった道路リンクが属する鉱区エリア(エリア情報)を取得する。ここでは、マスター地図更新要求に関する道路リンクの鉱区エリア情報を取得するため、ステップ905でマスター地図更新要求があった道路リンクの道路リンクIDを、鉱区エリア管理テーブル1400から検索し、当該道路リンクIDに係る鉱区エリア情報1420をエリア情報として取得する。エリア情報の取得が終了したら、ステップ925に進む。
【0058】
ステップ925では、管制センタシステム100は、地図更新判別部140において、ステップ915で取得した各鉱山ダンプのエリア情報と、ステップ920で取得したマスター地図更新要求のあるエリア情報を比較し、マスター地図更新要求のある鉱区エリアに、運転中の鉱山ダンプが存在するかどうかを判別する。マスター地図更新要求のある鉱区エリアに、運転中の鉱山ダンプが存在する場合には、マスター地図更新要求による更新を禁止してステップ930に進む。一方、マスター地図更新要求のある鉱区エリアに運転中の鉱山ダンプが存在しない場合には、マスター地図更新要求による更新を許可してステップ935に進む。
【0059】
ステップ930では、管制センタシステム100は、センタ側表示部125を介して、マスター地図更新要求のある鉱区エリアには運転中の鉱山ダンプが存在するため、マスター地図の更新は不可能である旨の通知を行う。
【0060】
図19に、ステップ930でセンタ側表示部125に表示される通知画面1900を示す。通知画面1900は、マスター地図の更新が不可能である旨通知する画面であり、『マスター地図更新要求のある鉱区エリアに 運転中の鉱山ダンプが存在します。マスター地図更新できません。』というメッセージが表示されるダイアログボックス1910と、オペレータによる当該メッセージの確認が完了したことを入力するための確認ボタン1920を備えている。このようにマスター地図更新不可の通知画面1900を介して、オペレータに、マスター地図の更新を希望する鉱区エリアには運転中の鉱山ダンプが存在するため、マスター地図の更新はできないことを通知する。
【0061】
一方、ステップ935では、管制センタシステム100は、マスター地図更新部135において、ステップ905で受け付けたマスター地図更新要求を反映するようにマスター地
図DB130のマスター地図データを更新し、ステップ940に進む。
【0062】
ステップ940では、センタ側通信部145から、車載端末システム150の車載側通信部165にマスター地図更新通知を送信し、ステップ945に進む。
【0063】
ステップ945では、センタ側通信部145において、車載端末システム150の車載側通信部165から送信される地図更新要求を受信し、ステップ950に進む。
【0064】
ステップ950では、マスター地図更新部135は、車載端末システム150における車載地
図DB170の車載地図データを、ステップ935で更新されたマスター地図データに更新するための地図更新データをマスター地
図DB170から取得し、ステップ955に進む。
【0065】
ステップ955では、ステップ950で取得した地図更新データを、センタ側通信部145から車載端末システム150の車載側通信部165に送信し、ステップ960に進む。
【0066】
ステップ960では、管制センタシステム100において、マスター地図更新の終了処理を行う。終了処理では、センタ側表示部125にマスター地図処理の終了を示す情報(例えば、メッセージや図形)を表示する。
【0067】
次に車載端末システム150の処理フローについて
図8を用いて説明する。はじめに、ステップ1000では、車載端末システム150においてユーザからの処理スタート要求の受付や、鉱山ダンプのエンジンONの状態か否かなどを確認する初期設定処理を行う。ユーザからの処理スタート要求は、端末側入力部180を介して行われ、処理スタート要求があったらステップ1005に進む。
【0068】
ステップ1005では、車載端末システム150は、車載側通信部165において、ステップ940でセンタ側通信部145から送信されたマスター地図更新通知を受信し、ステップ1010に進む。
【0069】
ステップ1010では、車載側制御部160において、車載端末システム150の地図データを更新することが可能かどうかを判断するために、他の部分から車載地
図DB170の車載地図データへのアクセス状態(地図アクセス状態)を取得し、ステップ1015に進む。
【0070】
ステップ1015では、ステップ1010において取得した地図アクセス状態に基づき、地図データアクセスがないと判断した場合(すなわち地図更新可能と判断した場合)にステップ1020に進む。一方、地図データアクセスがあると判断した場合(すなわち地図更新不可と判断した場合)にはステップ1010に戻る。ここで、地図更新が可能な状態(地図データアクセスのない状態)とは、例えば、鉱山ダンプが目的地に到着して停止している状態や、停止して次の作業指示を待っている状態など、一定時間以上地図データに外部からのアクセスが無い状態のことを示す。
【0071】
ステップ1020では、車載側通信部165が、センタ側通信部145に地図更新通知を送信する。そして、ステップ1025で、車載側通信部165において、センタ側通信部145からの地図更新データを受信し、ステップ1030に進む。
【0072】
ステップ1030では、車載地図更新部175によって、ステップ1025で受信した地図更新データを使って車載地
図DB170の車載地図データを更新し、ステップ1035に進む。ステップ1035では、車載端末システム150において、車載地図更新の終了処理を行う。
【0073】
上記のように構成した第1の実施の形態では、鉱山内の道路に係る地図データの更新要求を許可するか否かを判定するために、鉱山内を1以上の閉領域である「鉱区」で区分し、地図更新要求に係る道路リンクが含まれている鉱区内に鉱山ダンプが1台も存在しない場合に、当該地図更新要求に基づく地図データの更新を許可することとした。こうすることにより、管制センタの管理下にある全ての鉱山ダンプの操業を停止することなくマスター地図データおよび車載地図データを更新することができるので、鉱山ダンプによる作業効率を向上させることができる。
【0074】
なお、上記の実施の形態では、すべての道路リンクがいずれかの鉱区に含まれる場合について説明したが、マスター地図更新要求に係る道路リンクがいずれの鉱区にも含まれない場合には、当該更新要求に基づくマスター地図データおよび車載地図データの更新を常に許可するように構成すれば良い。
【0075】
<第2の実施の形態>
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に地図データの管理を鉱区エリア単位で行うが、地図データの更新箇所が含まれる鉱区エリア内に鉱山ダンプが存在する場合には、その鉱山ダンプに停止指令を出力して当該鉱山ダンプのみを停止させてからマスター地図データと車載地図データを更新し、これらの地図データの更新が完了したら当該停止させた鉱山ダンプに出発指令を出力して再始動している。
【0076】
これを具体例を挙げて説明すれば、第2の実施の形態では、
図2に示すように鉱区Cエリア460内の道路リンク510を変更しようとする場合に、管制センタシステムは、鉱区Cエリア460内に鉱山ダンプが存在するか否かを判別する。
図2の例では、道路リンク510が含まれる鉱区Cエリア内に3台の鉱山ダンプ380,382,384が存在するので、その3台の鉱山ダンプ380,382,384を停止させてから管制センタシステムのマスター地図データと鉱山ダンプ380,382,384の車載地図データを更新し、更新終了後に鉱山ダンプ380,382,384に出発指令を出力する。これにより、地図更新の際に一部の鉱山ダンプの操業を停止するだけで地図更新を行うことができる。
【0077】
ここで、第2の実施の形態におけるシステム構成図を
図20に示す。この図に示す管制センタシステム2000は、第1の実施の形態の管制センタシステム100に対して、鉱山ダンプに一時停止指令を出すための一時停止指令部2005と、車載端末システム2050の地図更新が完了したことを確認してから鉱山ダンプに新たな出発指示を出す出発指示部2010が追加されている。
【0078】
また、車載端末システム2050には、第1の実施の形態の車載端末システム150に対して、管制センタシステム2000からの一時停止命令または出発指令を受けて一時停止指令や出発指令を車両制御部2080に出す走行指令部2055が追加されている。
【0079】
次に第2の実施の形態に係る運行管理システムによる鉱山ダンプの地図更新処理フローについて説明する。はじめに、
図21および
図22に示した管制センタシステム2000の地図更新処理フローについて説明する。
【0080】
本実施の形態における管制センタシステム2000の地図更新処理フローでは、ステップ900からステップ920までは第1の実施の形態における管制センタシステム100の地図更新処理フローと同じである。
【0081】
次にステップ2105では、管制センタシステム2000は、地図更新判別部140において、ステップ920で取得した各鉱山ダンプのエリア情報と、ステップ920で取得したマスター地図更新要求のあるエリア情報を比較し、マスター地図更新要求のある鉱区エリアに、運転中の鉱山ダンプが存在するかどうかを判別する。マスター地図更新要求のある鉱区エリアに、運転中の鉱山ダンプが存在する場合には、ステップ2110に進む。一方、マスター地図更新要求のある鉱区エリアに運転中の鉱山ダンプが存在しない場合には、マスター地図更新要求を許可してステップ935に進む。
【0082】
ステップ2110では、管制センタシステム2000は、一時停止指令部2005において、マスター地図更新要求がある鉱区エリアに存在する鉱山ダンプの車載側通信部165に対して、センタ側通信部145を介して鉱山ダンプ一時停止指令を送信し、ステップ2115に進む。
【0083】
ステップ2115では、管制センタシステム2000は、センタ側通信部145において、マスター地図更新要求がある鉱区エリアに存在する鉱山ダンプの車載側通信部165から送信される鉱山ダンプ一時停止完了通知を受信し、ステップ2120に進む。
【0084】
ステップ2120では、管制センタシステム2000は、マスター地図更新要求のある鉱区エリアを走行していた全ての鉱山ダンプの一時停止が完了したことを、センタ側表示部125を介してオペレータに通知して、ステップ935に進む。
【0085】
図23に、ステップ2120でセンタ側表示部125に表示される通知画面2600の一例を示す。この図に示す通知画面2600は、鉱山ダンプの一時停止が完了した旨を通知する画面であり、『マスター地図更新要求のある鉱区エリアを運転中の全ての鉱山ダンプを一時停止完了しました。マスター地図データの更新を行うことができます。』というメッセージが表示されるダイアログボックス2610と、オペレータによる当該メッセージの確認が完了したことを入力する確認ボタン2620を備えている。この通知画面2600により、オペレータに、マスター地図データの更新をしようとする鉱区エリアの鉱山ダンプを全て一時停止完了したことを通知する。
【0086】
次のステップ935からステップ955までは、第1の実施の形態における管制センタシステム100の地図更新処理フローと同じなので説明は省略する。
【0087】
ステップ955が終了したら、管制センタシステム2000は、ステップ2205(
図22参照)において、マスター地図更新要求に係る鉱区エリアに存在する鉱山ダンプの車載側通信部165から送信される車載地図更新完了通知をセンタ側通信部145を介して受信し、ステップ2210に進む。
【0088】
ステップ2210では、出発指示部2010において、マスター地図更新要求に係る鉱区エリアに存在する全ての鉱山ダンプにおける車載地
図DB170の車載地図データの更新が完了したかどうかを判断し、当該全ての鉱山ダンプの車載地図データの更新が完了した段階で、センタ側通信部145を経由して、各鉱山ダンプの車載側通信部165に走行を再開させるための出発指令を送信する。そして、最後にステップ960において、第1の実施の形態における管制センタシステムの地図更新処理フローと同様に終了処理を行う。
【0089】
次に、
図24に示す本発明の第2の実施の形態に係る車載端末システムの地図更新処理フローについて説明する。この図に示した車載端末システム2050の地図更新処理フローでは、ステップ1000からステップ1030までは第1の実施の形態における車載端末システム150の地図更新処理フローと同じであるので説明は省略する。
【0090】
ステップ1030が終了したら、各車載端末システム2050の車載側通信部165は、ステップ2305において、管制センタシステム2000のセンタ側通信部145に対して、車載地図データの更新が完了したことを通知する車載地図更新完了通知を送信する。そして、最後にステップ1035において、第1の実施の形態における車載端末システムの地図更新処理フローと同様の終了処理を行う。
【0091】
次に、
図25を用いて、管制センタシステム2000から一時停止指令を受信した車載端末システム2050による鉱山ダンプの一時停止処理フローについて説明する。はじめに、ステップ2400では、車載端末システム2050においてユーザからの処理スタート要求の受付や、鉱山ダンプのエンジンONの状態か否かなどを確認する初期設定処理を行う。ユーザからの処理スタート要求は、端末側入力部180を介して行われ、処理スタート要求があったらステップ2405に進む。
【0092】
ステップ2405では、車載端末システム2050は、ステップ2110(
図21参照)でセンタ側通信部145から出力された鉱山ダンプ一時停止指令を車載側通信部165で受信する。そして、ステップ2410では、走行指令部2055から車両制御部208に一時停止指令を出力し、鉱山ダンプ200を停止させる。
【0093】
ステップ2415では、車載端末システム2050は、車載側通信部165からセンタ側通信部145に対して、鉱山ダンプ一時停止完了通知を送信する。ステップ2420では、車載端末システム2050における鉱山ダンプ一時停止の終了処理を行う。
【0094】
次に、
図26を用いて、管制センタシステム2000から出発指令を受信した車載端末システム2050の鉱山ダンプの出発処理フローについて説明する。はじめに、ステップ2500では、車載端末システム2050においてユーザからの処理スタート要求の受付や、鉱山ダンプのエンジンONの状態か否かなどを確認する初期設定処理を行う。ユーザからの処理スタート要求は、端末側入力部180を介して行われ、処理スタート要求があったらステップ2505に進む。
【0095】
ステップ2505では、車載端末システム2050は、ステップ2210(
図22参照)でセンタ側通信部145から出力された鉱山ダンプの出発指令を車載側通信部165で受信する。そして、ステップ2510では、走行指令部2055から車両制御部2080に走行開始を指示する出発指令を出力し、鉱山ダンプ200の走行を再開させる。そして、ステップ2515では、車載端末システム2050は、地図更新後の鉱山ダンプの走行開始に関する終了処理を行う。
【0096】
上記のように構成した第2の実施の形態では、地図更新要求に係る道路リンクが含まれている鉱区内に鉱山ダンプが存在する場合には、その鉱区内に存在する鉱山ダンプをすべて停止させた後にマスター地図データおよび車載地図データを更新することとした。さらに、マスター地図データおよび車載地図データの更新が完了した後は、停止させていた各鉱山ダンプに出発指令を出力して、運搬作業を自動的に再開することとした。こうすることにより、地図更新要求に係る鉱区に鉱山ダンプが存在した場合にも、その鉱区に係る鉱山ダンプのみを停止させるだけでマスター地図データおよび車載地図データを更新できるので、鉱山に存在する全ての鉱山ダンプが停止して作業効率が著しく低下することを回避できる。さらに、地図データの更新完了後は自動的に作業が再開されるように構成されているので、作業が停止する時間を必要最小限に留めることができる。
【0097】
<第3の実施の形態>
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、地図データの管理を鉱山ダンプの走行経路(各鉱山ダンプに設定されている出発地から目的地までの経路)単位で行い、どの鉱山ダンプの走行経路にも地図データの更新箇所が含まれない場合に地図データを更新している。
【0098】
なお、各鉱山ダンプの走行経路は、管制センタシステム2800の配車管理部2805(後述)で管理されている。通常は、各鉱山ダンプの属する鉱区におけるいずれかの積込場と放土場を接続する道路が走行経路として設定されており、各鉱山ダンプは自分の走行経路の両端に設定された積込場と放土場の間を繰り返し運行している。なお、後述するように、積込場または放土場に到着して作業が完了した時点で次の目的地を改めて設定し、これにより走行経路を毎回変更しても勿論構わない。
【0099】
図27を用いて、第3の実施の形態において地図更新を行う場合の具体例について説明する。
図27において、鉱山ダンプ380は、放土場378から積込場364までを接続する道路を走行経路2710としており、鉱山ダンプ382は、積込場364から放土場374までを接続する道路を走行経路2720としている。この場合において、道路リンク510に係る地図データを変更しようとしたとき、鉱区Cエリア内を走行している全ての鉱山ダンプ380,382の走行経路2710,2720には、道路リンク510が含まれていない。したがって、全ての鉱山ダンプ380,382を停止させることなく道路リンク510に係る地図データを更新できる。
【0100】
次に、第3の実施の形態におけるシステム構成図を
図28に示す。この図に示す管制センタシステム2800は、第1の実施の形態の管制センタシステム100に対して、各鉱山ダンプの走行経路を管理する配車計画部2805が追加されている。この配車計画部2805は、積込場から放土場まで移動して放土する、または、放土場から積込場まで移動して積込する、といった鉱山ダンプの一連の運搬作業が終了するたびに新たな目的地と新たな走行経路を設定できるように、鉱山内の鉱物、土砂を効率的に運搬するための鉱山ダンプの配車計画を行っている。なお、第3の実施の形態における車載端末システムの構成は、第1の実施の形態の車載端末システムと同じなので、説明は省略する。
【0101】
次に第3の実施の形態に係る運行管理システムによる鉱山ダンプの地図更新処理フローについて説明する。はじめに、
図29に示した管制センタシステム2800の地図更新処理フローについて説明する。
【0102】
本実施の形態における管制センタシステム2800の地図更新処理フローでは、ステップ900からステップ905までは第1の実施の形態における管制センタシステムの地図更新処理フローと同じであるので説明は省略する。
【0103】
ステップ905が終了したら、管制センタシステム2800の配車管理部2805は、ステップ2905において、配車管理部2805が管理する走行経路管理テーブル3000(
図30参照)から現在走行中の各鉱山ダンプの走行経路に関する道路リンクの集合を取得する。
【0104】
ここで、
図30を用いて配車管理部2805が管理する走行経路管理テーブルについて説明する。この図に示すように、走行経路管理テーブル3000は、鉱山内の全ての鉱山ダンプの走行経路を管理するものであり、各走行経路に固有に割り振られた走行経路ID3010と、各走行経路IDに係る走行経路を道路リンクの集合で表現した走行経路の道路リンク集合3020と、各走行経路IDに係る走行経路の出発地3030と、各走行経路IDに係る走行経路の目的地3040と、各走行経路IDに係る走行経路を走行中の鉱山ダンプID3050から構成されている。
【0105】
先述のステップ2905では、配車管理部2805は、現在走行中の各鉱山ダンプの鉱山ダンプIDを取得し、当該各鉱山ダンプIDに係る道路リンク集合3020を走行経路管理テーブル3000から取得する。これにより、現在走行中の鉱山ダンプの走行経路に係るすべての道路リンクを取得することができる。
【0106】
次にステップ2910において、管制センタシステム2800は、配車管理部2805において、ステップ905でマスター地図更新要求のあった道路リンクが、ステップ2905で取得した道路リンク集合(走行経路)の中に含まれているかどうかを判別する。ここで、マスター地図更新要求のあった道路リンクがいずれかの鉱山ダンプの走行経路に含まれる場合には、マスター地図更新要求による更新を禁止してステップ2915に進み、マスター地図更新要求のあった道路リンクがいずれの鉱山ダンプの走行経路にも含まれない場合には、マスター地図更新要求による更新を許可してステップ935に進む。
【0107】
ステップ2915では、いずれかの鉱山ダンプの走行経路にマスター地図更新要求のある道路リンクが存在するため、マスター地図更新不可である通知をセンタ側表示部125に対して行う。
【0108】
図31に、ステップ2915でセンタ側表示部125に表示される通知画面3100を示す。この図に示すマスター地図更新不可の通知画面3100は、マスター地図の更新が不可能である旨を通知する画面であり、『走行経路上にマスター地図更新要求のある道路が存在します。マスター地図更新できません。』というメッセージを表示するダイアログボックス3110と、オペレータによる当該メッセージの確認が完了したことを入力するための確認ボタン3120とを備えている。このマスター地図更新不可の通知画面3100により、いずれかの鉱山ダンプの走行経路に変更要求のある道路リンクが存在するために、マスター地図更新不可であることをオペレータに通知する。
【0109】
一方、ステップ2910においてマスター地図更新要求のあった道路リンクがいずれの鉱山ダンプの走行経路にも含まれないと判定された場合には、ステップ935からステップ960までの処理が行われるが、これらの処理は第1の実施の形態における管制センタシステム100の地図更新処理フローと同じなので説明を省略する。また、第3の実施の形態における車載端末システム150の地図更新処理フローは、第1の実施の形態における車載端末システム150の地図更新処理フローと同じなので、これについても説明を省略する。
【0110】
上記のように構成した第3の実施の形態では、鉱山内の道路に係る地図データの更新要求を許可するか否かを判定するために、鉱区内を1以上の閉領域である「各鉱山ダンプの走行経路」で区分し、地図更新要求に係る道路リンクが含まれている走行経路が存在しない場合に、当該地図更新要求に基づく地図データの更新を許可することとした。こうすることにより、管制センタの管理下にある全ての鉱山ダンプの操業を停止することなくマスター地図データおよび車載地図データを更新することができるので、鉱山ダンプによる作業効率を向上させることができる。
【0111】
<第4の実施の形態>
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態では、第3の実施の形態と同様に地図データの管理を各鉱山ダンプの走行経路単位で行うが、地図データの更新箇所が含まれる走行経路が存在する場合には、その走行経路が設定された鉱山ダンプに停止指令を出力して当該鉱山ダンプのみを停止させてから地図データの更新し、地図データの更新が完了したら当該停止させた鉱山ダンプに出発指令を出力して再始動している。
【0112】
図32を用いて、第4の実施の形態において地図更新を行う場合の具体例について説明する。
図32において、鉱山ダンプ384は、積込場372から放土場374までを接続する道路を走行経路3210としている。この場合において、道路リンク510に係る地図データを変更しようとするときを考えると、鉱山ダンプ384の走行経路3210には、道路リンク510が含まれている。そこで、鉱山ダンプ384を一旦停止させてから管制センタシステムのマスター地図データと鉱山ダンプ384の車載地図データを更新し、更新終了後に鉱山ダンプ384の出発指令を出力する。これにより、地図更新の際に一部の鉱山ダンプの操業を停止するだけで地図更新を行うことができる。
【0113】
次に、第4の実施の形態におけるシステム構成図を
図33に示す。この図に示す管制センタシステム3300は、第2の実施の形態の管制センタシステム2000に対して、各鉱山ダンプの走行経路を管理する配車計画部2805が追加されている。なお、第4の実施の形態における車載端末システムは、第2の実施の形態の車載端末システム2050と同じなので説明は省略する。
【0114】
次に第4の実施の形態に係る運行管理システムによる鉱山ダンプの地図更新処理フローについて説明する。はじめに、
図34に示した管制センタシステム3300の地図更新処理フローについて説明する。
【0115】
本実施の形態における管制センタシステム3300の地図更新処理フローでは、ステップ900からステップ905までは第1の実施の形態における管制センタシステムの地図更新処理フローと同じなので説明は省略する。
【0116】
ステップ905が終了したら、管制センタシステム3300の配車管理部2805は、ステップ3405において、配車管理部2805が管理する走行経路管理テーブル3000(
図30参照)から現在走行中の各鉱山ダンプの走行経路に関する道路リンク集合を取得する。
【0117】
次にステップ3410において、管制センタシステム3300は、配車管理部2805において、ステップ905でマスター地図更新要求のあった道路リンクが、ステップ3405で取得した道路リンク集合(走行経路)の中に含まれているかどうかを判別する。ここで、マスター地図更新要求のあった道路リンクがいずれかの走行経路に含まれる場合にはステップ2110に進み、当該道路リンクがいずれの走行経路にも含まれない場合にはステップ935に進む。
【0118】
ここで、更新要求のあった道路リンクがいずれかの走行経路に含まれる場合に実行されるステップ2110からステップ2115までの処理は、第2の実施の形態に係る処理と同じなので説明を省略する。
【0119】
そして、ステップ2115を終了したら、管制センタシステム3300は、ステップ3420において、マスター地図更新要求のあった道路リンクを含む走行経路上を走行する鉱山ダンプの停止が完了した旨を伝える通知をセンタ側表示部125に表示し、ステップ935に進む。
【0120】
図35に、ステップ3420においてセンタ側表示部125に表示される通知画面3500を示す。この図に示す通知画面3500は、鉱山ダンプの一時停止が完了した旨を通知する画面であり、『マスター地図更新要求のある走行経路上の鉱山ダンプの一時停止を完了しました。マスター地図データの更新を行うことができます。』というメッセージが表示されるダイアログボックス3510と、オペレータによる当該メッセージの確認が完了したことを入力する確認ボタン3520を備えている。この通知画面3500により、オペレータに、マスター地図データの更新をしようとする走行経路が設定された鉱山ダンプを全て一時停止完了したことを通知する。
【0121】
次のステップ935からステップ960までは、第2の実施の形態における管制センタシステム2050の地図更新処理フローと同じなので説明は省略する。また、第4の実施の形態における車載端末システム2050の地図更新処理フローは、第2の実施の形態における車載端末システム2050の地図更新処理フローと同じなので説明は省略する。
【0122】
上記のように構成した第4の実施の形態では、地図更新要求に係る道路リンクがいずれかの鉱山ダンプの走行経路に含まれる場合には、その走行経路が設定された鉱山ダンプをすべて停止させた後にマスター地図データおよび車載地図データを更新することとした。さらに、マスター地図データおよび車載地図データの更新が完了した後は、停止させていた各鉱山ダンプに出発指令を出力して、運搬作業を自動的に再開することとした。こうすることにより、地図更新要求に係る走行経路が設定された鉱山ダンプが存在した場合にも、その鉱山ダンプのみを停止させるだけでマスター地図データおよび車載地図データを更新できるので、鉱山に存在する全ての鉱山ダンプが停止して作業効率が著しく低下することを回避できる。さらに、地図データの更新完了後は自動的に作業が再開されるように構成されているので、作業が停止する時間を必要最小限に留めることができる。
【0123】
<第5の実施の形態>
次に第5の実施の形態について説明する。本実施の形態では、第3の実施の形態と同様に地図データの管理を各鉱山ダンプの走行経路単位で行うが、地図データの更新箇所が含まれる走行経路が存在する場合には、その走行経路上を走行する鉱山ダンプに対して当該更新箇所が含まれる道路を通らないように新たな走行経路を設定してから地図データを更新している。
【0124】
図32と
図36を用いて、第5の実施の形態において地図更新を行う場合の具体例について説明する。前述の
図32において、鉱山ダンプ384は、積込場372から放土場374までを接続する道路を走行経路3210としている。この場合において、道路リンク510に係る地図データを変更しようとするときを考えると、鉱山ダンプ384の走行経路3210には、道路リンク510が含まれている。そこで、
図36に示すように、鉱山ダンプ384に対して道路リンク510を含まない新たな走行経路3610を設定する。これにより、地図更新の際に全ての鉱山ダンプの操業を停止する必要がなく地図更新を行うことができる。
【0125】
次に、第5の実施の形態におけるシステム構成図を
図37に示す。この図に示す管制センタシステム3700は、第4の実施の形態の管制センタシステム2000から、一時停止指令部2005と出発指示部2010を削除し、マスター地図更新要求に係る道路リンクを含まない走行経路を送信する走行経路送信部3705を追加したものに相当する。一方、第5の実施の形態における車載端末システム2050は、第4の実施の形態の車載端末システム2050と同じなので説明は省略する。
【0126】
次に第5の実施の形態に係る運行管理システムによる鉱山ダンプの地図更新処理フローについて説明する。はじめに、
図38に示した管制センタシステム3700の地図更新処理フローについて説明する。
【0127】
本実施の形態における管制センタシステム3700の地図更新処理フローでは、ステップ900とステップ905は第1の実施の形態における管制センタシステム100の地図更新処理フローと同じで、ステップ3405は第4の実施の形態における管制センタシステム3300の地図更新処理フローと同じなので説明は省略する。
【0128】
ステップ3405が終了したら、管制センタシステム3700の配車管理部2805は、ステップ3805において、ステップ905でマスター地図更新要求のあった道路リンクが、ステップ3405で取得した道路リンク集合(走行経路)の中に含まれているかどうかを判別する。ここで、マスター地図更新要求のあった道路リンクがいずれかの走行経路に含まれる場合にはステップ3810に進み、当該道路リンクがいずれの走行経路にも含まれない場合にはステップ935に進む。
【0129】
ステップ3810では、管制センタシステム3700は、配車管理部2805において、マスター地図更新要求のあった道路リンクを含まない新たな走行経路(迂回路)を算出する。新たな走行経路の算出方法としては、例えば、マスター地図更新要求のあった道路リンクを除外した道路リンク集合において、現在値から目的地までの最短ルートを探索し、当該最短ルートを新たな走行経路とするものがある。
【0130】
ステップ3815では、走行経路送信部3705は、マスター地図更新要求のあった道路リンクを走行経路に含む鉱山ダンプの車載側通信部165に対して、ステップ3810で算出された新たな走行経路をセンタ側通信部145を介して送信し、ステップ3820に進む。
【0131】
ステップ3820では、管制センタシステム3700は、センタ側通信部145において、車載側通信部165から送信される走行経路設定完了通知を受信し、ステップ3825に進む。
【0132】
次に、ステップ3825では、管制センタシステム3700は、地図更新要求のあった道路リンクを走行経路に含む鉱山ダンプに対して、ステップ3810の新たな走行経路の設定が完了したことを伝える通知をセンタ側表示部125に表示し、ステップ935に進む。
【0133】
図39に、ステップ3825でセンタ側表示部125に表示される通知画面4000を示す。この図に示す通知画面4000は、新たな走行経路の設定が完了したことを伝える画面であり、『マスター地図更新要求のある走行経路上の鉱山ダンプに新たな走行経路を設定しました。マスター地図データの更新を行うことができます。』というメッセージが表示されるダイアログボックス4010と、オペレータによる当該メッセージの確認が完了したことを入力する確認ボタン4020を備えている。この通知画面4000により、地図更新要求のあった道路リンクを走行経路に含む鉱山ダンプの走行経路が、当該地図更新要求に係る道路リンクを含まない新たなものに設定されたことをオペレータに通知する。
【0134】
ステップ3825の後に続く、ステップ935からステップ955までの処理と、これに続くステップ2205からステップ2210までの処理と、ステップ960の処理は、第4の実施の形態における管制センタシステムの地図更新処理フローと同じなので説明は省略する。また、本実施の形態における車載端末システム2050の地図更新処理フローは、第4の実施の形態における車載端末システム2050の地図更新処理フローと同じなので説明を省略する。
【0135】
次に、管制センタシステム3700の上記のステップ3815とステップ3820の処理に関連して、本実施の形態における車載端末システム2050の鉱山ダンプの走行路設定処理フローについて
図40を用いて説明する。はじめに、ステップ3900では、車載端末システム2050においてユーザからの処理スタート要求の受付や、鉱山ダンプのエンジンONの状態か否かなどを確認する初期設定処理を行う。ユーザからの処理スタート要求は端末側入力部180を介して行われ、処理スタート要求があったらステップ3905に進む。
【0136】
ステップ3905では、車載端末システム2050は、ステップ3815でセンタ側通信部145から送信される新たな走行経路を車載側通信部165で受信する。そして、ステップ3910で、走行指令部2055は、ステップ3905で受信した新たな走行経路を車両制御部208において当該鉱山ダンプ200の走行経路として設定し、当該鉱山ダンプ200に新たな走行経路を走行させる。そして、ステップ3915では、車載端末システム2050は、センタ側通信部145に対して鉱山ダンプの走行経路の設定が完了した旨の通知(走行経路設定完了通知)を車載側通信部165から送信する。そして、ステップ3920では、車載端末システムにおける鉱山ダンプ一時停止の終了処理を行う。
【0137】
上記のように構成した第5の実施の形態では、地図更新要求に係る道路リンクがいずれかの鉱山ダンプの走行経路に含まれる場合には、その走行経路が設定された鉱山ダンプの走行経路を当該地図更新要求に係る道路リンクを通過しないように新たに設定し直してからマスター地図および車載地図データを更新することとした。こうすることにより、管制センタの管理下にある全ての鉱山ダンプの操業を停止することなくマスター地図データおよび車載地図データを更新することができるので、鉱山ダンプによる作業効率を向上させることができる。
【0138】
なお、上記の各実施の形態では、自律走行を行う無人の鉱山ダンプを利用してシステムを構成した場合について説明したが、コックピットに搭乗したオペレータによって操縦される有人ダンプを利用する場合にも本発明は適用可能である。なお、第2および第4の実施の形態で有人ダンプを利用する場合には、上記の「停止指令」に代えて、オペレータに鉱山ダンプの停止操作を促す「停止指示表示」を車載側表示部185に表示すれば良く、上記の「出発指令」に代えて、オペレータに鉱山ダンプの走行再開を促す「出発指示表示」を車載側表示部185に表示すれば良い。さらに、第5の実施の形態では、ステップ3810に係る新たな走行経路を車載側表示部185等に表示する等してオペレータに報知すれば良い。
【0139】
また、便宜上、上記の各実施の形態では、管制センタシステムに含まれる各部を管制センタに設置し、車載端末システムに含まれる各部を鉱山ダンプに設置したが、管制センタシステムおよび車載端末システムの各部の設置場所は上記の例に限らないものとする。例えば、管制センタシステムに係る各部を鉱山ダンプに設置しても良い。また、機能の共通するものを同じ場所に存在させる場合にはこれらを併合しても良い。例えば、マスター地
図DBと車載地
図DBを同じ場所に存在させる場合には、両者を併合して地
図DBとしても良い。
【0140】
また、本発明は、上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例が含まれる。例えば、本発明は、上記の各実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、ある実施の形態に係る構成の一部を、他の実施の形態に係る構成に追加又は置換することが可能である。
【0141】
また、上記の管制センタシステムおよび車載端末システムに係る各構成や当該各構成の機能及び実行処理等は、それらの一部又は全部をハードウェア(例えば各機能を実行するロジックを集積回路で設計する等)で実現しても良い。また、上記の管制センタシステムおよび車載端末システムに係る構成は、演算処理装置(例えばCPU)によって読み出し・実行されることで当該制御装置の構成に係る各機能が実現されるプログラム(ソフトウェア)としてもよい。当該プログラムに係る情報は、例えば、半導体メモリ(フラッシュメモリ、SSD等)、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ等)及び記録媒体(磁気ディスク、光ディスク等)等に記憶することができる。
【0142】
また、上記の各実施の形態の説明では、制御線や情報線は、当該実施の形態の説明に必要であると解されるものを示したが、必ずしも製品に係る全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。