特許第6145087号(P6145087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レトロトップ、 インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145087
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】PUFA酸化関与障害
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/232 20060101AFI20170529BHJP
   A61K 31/201 20060101ALI20170529BHJP
   A61K 31/202 20060101ALI20170529BHJP
   A61K 31/231 20060101ALI20170529BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20170529BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20170529BHJP
   A61K 31/66 20060101ALI20170529BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20170529BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20170529BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20170529BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20170529BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20170529BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20170529BHJP
   A61P 9/06 20060101ALI20170529BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20170529BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20170529BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   A61K31/232
   A61K31/201
   A61K31/202
   A61K31/231
   A61K31/355
   A61K31/375
   A61K31/66
   A61K31/122
   A61K45/00
   A61P1/16
   A61P3/04
   A61P3/06
   A61P9/00
   A61P9/06
   A61P9/10
   A61P9/10 101
   A61P9/12
   A61P35/00
【請求項の数】18
【全頁数】74
(21)【出願番号】特願2014-508488(P2014-508488)
(86)(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公表番号】特表2014-513100(P2014-513100A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】US2012034835
(87)【国際公開番号】WO2012148929
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2015年2月24日
(31)【優先権主張番号】61/479,306
(32)【優先日】2011年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/479,311
(32)【優先日】2011年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510247526
【氏名又は名称】レトロトップ、 インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RETROTOPE, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シチェピノフ、ミハイル、セルゲーエヴィチ
【審査官】 井関 めぐみ
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/123316(WO,A1)
【文献】 特表2005−510501(JP,A)
【文献】 特開平08−268885(JP,A)
【文献】 特開平09−143492(JP,A)
【文献】 Free Radical Biology & Medicine,2010年10月16日,Vol.50,p.130-138
【文献】 Free Radical Biology & Medicine,2008年,Vol.44,p.1259-1272
【文献】 メルクマニュアル第18版日本語版,2006年,p.223,224
【文献】 日本内科学会雑誌,1992年,Vol.81, No.7,p.1119(131)-1124(136)
【文献】 栄養評価と治療,2004年,Vol.21,No.3,p.41(247)-46(252)
【文献】 薬局,2000年,Vol.51,増刊号,p.175(351)-180(356)
【文献】 Journal of Gastroenterology and Hepatology,2002年,Vol.17, Suppl.,p.S186-190
【文献】 日本臨床(別冊)新領域別症候群シリーズ13 肝・胆道系症候群(第2版) I 肝臓編(上),2010年 9月20日,p.196-201
【文献】 別冊・医学のあゆみ 酸化ストレス Ver.2,2006年10月 5日,p.23-27
【文献】 The Journal of Clinical Investigation,2005年 3月,Vol.115, No.3,p.500-508
【文献】 日本臨牀,1998年10月 1日,Vol.56, No.10,p.51-56(2509-2514)
【文献】 胆と膵,2005年,Vol.26, No.4,p.351-357
【文献】 歯科医学大事典 縮刷版,1989年10月10日,第1版,p.2216-2217
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/232
A61K 31/122
A61K 31/201
A61K 31/202
A61K 31/231
A61K 31/355
A61K 31/375
A61K 31/66
A61K 45/00
A61P 1/16
A61P 3/04
A61P 3/06
A61P 9/00
A61P 9/06
A61P 9/10
A61P 9/12
A61P 35/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)肝障害患者における、アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、肝硬変、肝細胞癌、閉塞性黄疸、胆石症、もしくは胆道疾患、または(b)脂血症または心臓関連危険因子の患者における、脂血症、全身性脂肪異栄養症、レプチンおよびレプチン受容体遺伝子の突然変異、食餌性肥満、脂肪毒性、虚血性心疾患、高血圧、心房細動、左室肥大、冠動脈疾患、もしくはアテローム性動脈硬化症の進行を治療または阻害するのに経口使用するための組成物であって、
前記組成物は、下記式(3)を有する重水素化された多価不飽和の脂肪酸または脂肪酸エステルを含む:
【化1】
ここで、R=HまたはC;R=H、アルキル、またはカチオン;Y−Yは独立してHまたはD、および少なくとも1つのY−YはD;X−Xは独立してHまたはDである;
前記重水素化された多価不飽和の脂肪酸または脂肪酸エステルが、投与後に患者の体内に取り込まれる;および
前記重水素化された多価不飽和の脂肪酸または脂肪酸エステルが、前記患者に投与される多価不飽和の脂肪酸または脂肪酸エステルの総量の約10%〜50%を含む、組成物。
【請求項2】
前記重水素化された多価不飽和の脂肪酸または脂肪酸エステルが、前記患者に投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記重水素化された多価不飽和の脂肪酸または脂肪酸エステルが、少なくとも1個の13C原子を含み、ここで、前記の少なくとも1個の13C原子が、前記13C原子の天然の存在量レベルより顕著に上のレベルで存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記重水素化された脂肪酸または脂肪酸エステルが、患者に投与される脂肪酸または脂肪酸エステルの総量の約20%以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
患者の細胞または組織が、天然に存在する多価不飽和の脂肪酸または脂肪酸エステルの自動酸化を防止するために、前記重水素化された脂肪酸または脂肪酸エステルの十分な濃度を維持する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記重水素化された脂肪酸または脂肪酸エステルが、ω−3脂肪酸もしくはω−3脂肪酸エステル、またはω−6脂肪酸もしくはω−6脂肪酸エステルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記重水素化された脂肪酸または脂肪酸エステルが、11,11−D2−リノレン酸、14,14,D2−リノレン酸、11,11,14,14−D4−リノレン酸、11、11−D2−リノール酸、14,14−D2−リノール酸、11,11,14,14−D4−リノール酸、11−D−リノレン酸、14−D−リノレン酸、11,14−D2−リノレン酸、11−D−リノール酸、14−D−リノール酸、および11,14−D2−リノ−ル酸からなる群から選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
前記重水素化された脂肪酸または脂肪酸エステルが、プロ−ビス−アリル位でさらに重水素化される、請求項に記載の組成物。
【請求項9】
前記脂肪酸エステルが、エチルエステルである、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
前記脂肪酸エステルが、トリグリセリド、ジグリセリド、またはモノグリセリドである、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
抗酸化剤をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗酸化剤が、コエンザイムQ、イデベノン、ミトキノン、ミトキノール、ビタミンC、またはビタミンEである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記重水素化された脂肪酸または脂肪酸エステルが、リノール酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記重水素化された脂肪酸または脂肪酸エステルが、リノレン酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記重水素化された脂肪酸または脂肪酸エステルが、アラキドン酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記重水素化された脂肪酸または脂肪酸エステルが、エイコサペンタエン酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記重水素化された脂肪酸または脂肪酸エステルが、ドコサヘキサエン酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
1つまたは複数のY−YがHである、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
関連出願の相互参照
本出願は、引用によりその全体が明示的に本明細書に組み込まれる、2011年4月26日に出願された米国仮特許出願第61/479,306号および2011年4月26日に出願された米国仮特許出願第61/479,311号の優先権の利益を主張する。
【0002】
分野
ある種の疾患、特に、肝障害、脂血症、および心臓関連危険因子を治療するための、同位体修飾された多価不飽和脂肪酸(「PUFA」)および他の修飾されたPUFA。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
酸化的損傷は、ミトコンドリア病、神経変性疾患、神経変性筋疾患、網膜疾患、エネルギー処理障害、腎疾患、肝疾患、脂血症、心疾患、炎症、および遺伝性障害などの様々な疾患に関与している。具体的には、このような疾患としては、アルコール性および非アルコール性の種類を含む脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、肝硬変、および肝細胞癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0004】
酸化ストレスに関連する疾患の数は、多く、多様であるが、酸化ストレスが細胞内での正常な酸化還元状態に対する乱れによって引き起こされることは充分に確立されている。過酸化物やフリーラジカルなどの活性酸素種(「ROS」)の決まった生成と解毒の間の不均衡が、細胞構造や機構への酸化的損傷をもたらし得る。通常の条件下では、好気性生物のROSの潜在的に重要な供給源は、通常の酸化的呼吸時のミトコンドリアからの活性酸素の漏出である。さらに、マクロファージと酵素反応は、また、細胞内のROSの発生に寄与することも知られている。細胞とその内部の細胞小器官は、脂質膜結合型であるので、ROSが容易に膜成分と接触し、脂質酸化を引き起こすことができる。最終的には、このような酸化的損傷は、活性酸素、酸化膜の成分、または他の酸化細胞成分との直接および間接的な接触を介して、DNAやタンパク質などの細胞内で他の生体分子に伝えることができる。したがって、内部成分の移動性と細胞経路の相互連絡を考えると、細胞を通じての酸化損傷の伝播は容易に想定することができる。
【0005】
脂質形成脂肪酸は、生細胞の主要な成分の1つとしてよく知られている。このように、それらは、多くの代謝経路に関与し、そして様々な病理の重要な役割を果たしている。多価不飽和脂肪酸(「PUFA」)は、脂肪酸の重要なサブクラスである。必須栄養素は、直接、または変換を介して、本質的な生物学的機能を果たし、内因的に、あるいは必要量をカバーするのに十分な程大量には産生されない食物成分である。恒温動物にとって、2つの厳密に必須のPUFAは、リノール酸(シス,シス−9,12−オクタデカジエン酸;(9Z,12Z)−9,12−オクタデカジエン酸;「LA」;18:2;n−6)およびα−リノレン酸(シス,シス,シス−9,12、15−オクタデカトリエン酸;(9Z,12Z、15Z)−9,12,15−オクタデカトリエン酸;「ALA」;18:3;n−3)であり、以前はビタミンF(Cunnane SC.Progress in Lipid Research 2003;42:544−568)として知られていた。LAは、さらに酵素的不飽和化と伸長により、アラキドン酸(AA;20:4;n−6)などの高級n−6系PUFAに変換される;ここで、ALAは、限定されないが、エイコサペンタエン酸(EPA;20:5;n−3)およびドコサヘキサエン酸(DHA;22:6;n−3)を含む高級n−3系列を生じる(Goyens PL.ら、Am.J.Clin.Nutr.2006;84:44−53)。特定のPUFAやPUFA前駆体の本質的な性質のために、それらの欠乏の多くの例が知られており、これらは多くの場合、病状に関連している。さらに、多くのPUFAサプリメントは、店頭入手が可能であり、特定の病気に対して有効性が証明されている(例えば、米国特許第7,271,315号および米国特許第7,381,558号を参照されたい)。
【0006】
PUFAは、最適な酸化的リン酸化の遂行のために必要な適切な流動性を、ミトコンドリア膜に授ける。PUFAはまた、酸化ストレスの開始および伝播に重要な役割を果たす。PUFAは、元の事象を増幅する連鎖反応を通じてROSと反応する(Sun M,Salomon RG,J.Am.Chem.Soc.2004;126:5699−5708)。しかし、高レベルの脂質ヒドロペルオキシドの非酵素的形成は、いくつかの有害な変化をもたらすことが知られている。確かに、コエンザイムQ10は、PUFAの過酸化を介して増加したPUFA毒性および得られる生成物の毒性に関係している(Do TQら、PNAS USA 1996;93:7534−7539)。そのような酸化生成物は、それらの膜の流動性と透過性に悪影響を与える;それらは膜タンパク質の酸化をもたらす;そして、それらは高反応性の多数のカルボニル化合物に変換することができる。後者は、アクロレイン、マロン酸ジアルデヒド、グリオキサール、メチルグリオキサール、その他などの反応性種を含む(Negre−Salvayre Aら、Brit.J.Pharmacol.2008;153:6−20)。しかし、PUFA酸化で最も突出した生成物は、4−ヒドロキシノン−2−エナール(4−HNE;LAまたはAAのようなn−6系PUFAから形成される)、4−ヒドロキシヘキサ−2−エナール(4−HHE;ALAまたはDHAのようなn−3系PUFAから形成される)、および対応するケトアルデヒド類(Esterfbauer Hら、Free Rad.Biol.Med.1991;11:81−128;Long EK,Picklo MJ.Free Rad.Biol.Med.2010;49:1−8)などのα,β−不飽和アルデヒドである。これらの反応性カルボニルは、ミカエル付加またはシッフ塩基形成経路を介して(生体)分子を架橋し、数多くの病理学的プロセス(上で紹介したものなど)、加齢関連および酸化ストレス関連の状態、ならびに老化に関与している。重要なことに、いくつかのケースでは、PUFAは、特定の部位で酸化するように見えるが、これは1,4−ジエン系(ビス−アリル位)のメチレン基が、アリルメチレンに比べて、ROS、ならびにシクロゲナーゼおよびリポキシゲナーゼなどの酵素に対する安定性が実質的に小さいからである。
【0007】
我々はこのたび、耐酸化性のPUFA、PUFA模倣物、PUFAプロドラッグおよび/または耐酸化性のPUFAとPUFA模倣物を含む脂肪が肝障害の軽減に有用であることを発見した。
【発明の概要】
【0008】
いくつかの実施形態は、肝障害の進行を治療または阻害する方法を提供し、これは、有効量の多価不飽和物質を、アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、肝硬変、肝細胞癌、閉塞性黄疸、胆石症、または胆道疾患を有して治療を必要とする患者へ投与することを含み、ここで、多価不飽和物質は、1つ以上の結合が酸化に対して安定化されるように化学的に修飾されており、前記1つ以上の安定化された結合を含む多価不飽和物質またはその多価不飽和代謝物が、投与後に患者の体内に取り込まれることを含む。他の実施形態は、脂血症または心臓関連危険因子の進行を治療または阻害する方法を提供し、それは、有効量の多価不飽和物質を、脂血症、脂肪調節障害、脂肪毒性、虚血性心疾患、高血圧、心房細動、左室肥大、冠動脈疾患、またはアテローム性動脈硬化症を有して治療を必要とする患者へ投与することを含み、ここで、多価不飽和物質は、1つ以上の結合が酸化に対して安定化されるように化学的に修飾されており、前記1つ以上の安定化された結合を含む多価不飽和物質またはその多価不飽和代謝物が、投与後に患者の体内に取り込まれる。
【0009】
いくつかの実施形態では、多価不飽和物質は栄養要素である。他の実施形態では、栄養要素は、脂肪酸、脂肪酸模倣物、および/または脂肪酸プロドラッグである。他の実施形態では、栄養要素は、脂肪酸、脂肪酸模倣物、および/または脂肪酸プロドラッグを含む、トリグリセリド、ジグリセリド、および/またはモノグリセリドである。いくつかの実施形態では、脂肪酸、脂肪酸模倣物、または脂肪酸プロドラッグは、1つ以上のビス−アリル位で安定化される。他の実施形態では、安定化は、ビス−アリル位において、少なくとも1つの13C原子または少なくとも1つの重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、安定化は、1つ以上のビス−アリル位において、少なくとも2つの重水素原子を含む。他の実施形態では、安定化は、天然の存在量レベルより上のレベルの同位体の量を利用する。いくつかの実施形態では、安定化は、同位体の天然の存在量レベルをかなり超える同位体の量を利用する。
【0010】
いくつかの実施形態では、脂肪酸、脂肪酸模倣物、または脂肪酸プロドラッグは、約20%〜99%の同位体純度を有する。他の実施形態では、同位体的に安定化された脂肪酸、脂肪酸模倣物、または脂肪酸プロドラッグは、安定化されていない、脂肪酸、脂肪酸模倣物、または脂肪酸プロドラッグと一緒に患者に投与される。いくつかの実施形態では、同位体的に安定化された、脂肪酸、脂肪酸模倣物、または脂肪酸プロドラッグは、患者に投与される脂肪酸、脂肪酸模倣物、または脂肪酸プロドラッグの総量の約1%〜100%、約5%〜75%、約10%〜30%、または約20%以上を含む。いくつかの実施形態では、患者は、脂肪酸、脂肪酸模倣物、または脂肪酸プロドラッグを摂取する。いくつかの実施形態では、患者の細胞または組織は、天然に存在する多価不飽和脂肪酸、模倣物、またはエステルプロドラッグの自動酸化を防止するために、脂肪酸、脂肪酸模倣物、脂肪酸プロドラッグ、トリグリセリド、ジグリセリド、および/またはモノグリセリドの十分な濃度を維持する。いくつかの実施形態では、安定化は前記同位体の天然の存在量レベルを超える同位体の量を利用する。
【0011】
いくつかの実施形態では、当該方法は、ω−3脂肪酸および/またはω−6脂肪酸である、脂肪酸、脂肪酸模倣物、または脂肪酸プロドラッグを利用する。他の実施形態では、脂肪酸は、11,11−D2−リノレン酸、14,14,D2−リノレン酸、11,11,14,14−D4−リノレン酸、11、11−D2−リノール酸、14,14−D2−リノール酸、11,11,14,14−D4−リノール酸、11−D−リノレン酸、14−D−リノレン酸、11,14−D2−リノレン酸、11−D−リノール酸、14−D−リノール酸、および11,14−D2−リノ−ル酸からなる群から選択される。他の実施形態では、脂肪酸は、プロ−ビス−アリル位でさらに安定化される。いくつかの実施形態では、脂肪酸は、α−リノレン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、および/またはドコサテトラエン酸である。いくつかの実施形態では、脂肪酸は、ミトコンドリア膜に組み込まれる。他の実施形態では、脂肪酸プロドラッグはエステルである。いくつかの実施形態では、エステルは、トリグリセリド、ジグリセリド、またはモノグリセリドである。
【0012】
いくつかの実施形態は、抗酸化剤の併用投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗酸化剤は、コエンザイムQ、イデベノン、ミトキノン、またはミトキノールである。他の実施形態では、抗酸化剤は、ミトコンドリア標的化抗酸化剤である。いくつかの実施形態では、抗酸化剤は、ビタミン、ビタミン模倣物、またはビタミンプロドラッグである。他の実施形態では、抗酸化剤は、ビタミンE、ビタミンE模倣物、ビタミンEプロドラッグ、ビタミンC、ビタミンC模倣物、および/またはビタミンCプロドラッグである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】PUFAのROSによる酸化の図である。
図1B】毒性カルボニル化合物の形成の図である。
図2A】実施例1〜4に記載された重水素化PUFAのH−および13C−NMR分析の図である。
図2B】実施例1〜4に記載された重水素化PUFAのH−および13C−NMR分析の図である。
図3】リノレン酸処置に対するcoqヌル変異体の感受性は、同位体補強によって抑制されることを示す図である。酵母coq3、coq7およびcoq9ヌル変異体を、W303酵母の遺伝的環境(WT)で調製した。酵母菌株を、YPD培地(1%バクト酵母エキス、2%バクトペプトン、2%デキストロース)で増殖させ、対数期増殖の間に集菌した(OD600nm=0.1〜1.0)。細胞を滅菌水で2回洗浄し、リン酸緩衝液(0.10Mリン酸ナトリウム、pH6.2、0.2%デキストロース)に再懸濁して、OD600nm=0.2にした。サンプルを除去し、0.20OD/mlから開始した1:5の系列希釈物を、YPD平板培地上に蒔いて、ゼロ時間未処理対照を提供した(左上パネルに示す)。指定の脂肪酸を、リン酸緩衝液中20mlの酵母に添加して最終濃度200μMにした。2時間、4時間および16時間目にサンプルを除去し、1:5系列希釈液を調製し、YPD平板培地上にスポットした。30℃で2日間増殖後、写真撮影をした。このパネルは、異なる日に実施した2つの独立したアッセイを表す。
図4】同位体強化したD4−リノレン酸で処理した酵母coq変異体が、PUFA媒介性の細胞死滅に耐性を有することを示す図である。アリコート100μlを、1、2および4時間目に除去し、希釈した後にYPDプレート上に広げたことを除き、図3に記載の通り、脂肪酸感度アッセイを実施した。2〜2.5日後に写真を撮り、コロニー数を計数した。酵母菌株は、野生型(○)、atp2(△)またはcoq3(□)を含む;脂肪酸処理は、オレイン酸C18:1(実線)、リノレン酸、C18:3、n−3系(破線)または11,11,14,14−D4−リノレン酸、C18:3、n−3系(点線)を含む。
図5】GC−MSによる脂肪酸メチルエステル(FAME)標準の分離および検出を示す図である。FAMEを記載(Moss CW、Lambert MA、Merwin WH.Appl.Microbiol.1974;1,80−85)の通り調製し、指示量の遊離脂肪酸およびC17:0(内部標準)200μgを、メチル化および抽出に付した。サンプル分析を、Agilent 6890−6975のGC−MSによりDB−ワックスカラム(0.25mm×30m×フィルムの厚さ0.25m)(Agilent、カタログ122−7031)で実施した。
図6】外因的に供給した脂肪酸の酵母による取込みを示す図である。WT(W303)酵母を、対数期に集菌し、0時間または4時間のいずれかにわたって、200μMの指定の脂肪酸の存在下でインキュベーションした。酵母細胞を集菌し、滅菌水で2回洗浄し、次いでアルカリメタノリシスおよび鹸化に付し、記載(Moss CW,Lambert MA,Merwin WH.Appl.Microbiol.1974;1,80−85(Shaw,1953 Shaw,W.H.C.;Jefferies,J.P.Determination of ergosterol in yeast.Anal Chem 25:1130;1953)の通り脂質を抽出した。各指定の脂肪酸を、μg/OD600nm酵母として与え、C17:0内部標準の回収に対して補正した。
図7】O消費の動力学は、37℃での40mMのAMVNによって開始されたクロロベンゼン中での0.71MのLA(プロット1と2)および0.71MのD2−LA(プロット3)の酸化を伴ったことを示す。プロット2−0.23mMのHPMCを0.71MのLAに添加した。
図8】クロロベンゼン溶液中のLAとD2−LAの混合物の酸化速度の混合組成に対する依存性を示す図である。条件:[LA]+[11,11−d−LA]=0.775M;[AMVN]=0.0217M;37℃。RIN=(1.10±0.08)×10−7M/秒。
図9】多価不飽和脂肪酸のビス−アリル位での同位体補強による、脂質の自動酸化の減衰を示す図である。野生型、酵母Q−レスcoq3、あるいは呼吸欠損cor1のヌル変異体を、PUFAの異なる割合でLAとD2−LAの200μMの存在下でインキュベーションした。0.2OD/mlで開始した系列希釈液(1:5)をYPD固体平板培地上にスポットした。ゼロ時間の未処理対照が左上に表示される。30℃での増殖である。
図10】多価不飽和脂肪酸のビス−アリル位での同位体補強による、脂質の自動酸化の減衰を示す図である。野生型、酵母Q−レスcoq3、あるいは呼吸欠損cor1のヌル変異体を、PUFAの異なる割合でALAとD4−LAの200μMの存在下でインキュベーションした。0.2OD/mlで開始した系列希釈液(1:5)をYPD固体平板培地上にスポットした。30℃での増殖である。
図11】酵母抽出物をGC−MS分析に付したクロマトグラムの図である。異なるトレースは、0時間のインキュベーションと4時間のインキュベーションをそれぞれ表す。各FAME(C18:1、C18:3、およびD4−リノレン酸)のピーク面積を、C17:0標準のピーク面積で割り、検量線を用いて定量した。内因性の16:0と16:1のものは、殆ど変化せず、外因的に添加された脂肪酸が著しく増加した。
図12】パラコートによる急性中毒後のH−PUFAおよびD−PUFA処理したMVEC細胞の生存率を示す図である。試験したすべての細胞型について、対照と比較して、D−PUFAは、MVEC細胞について図示されたものと同様の保護作用を有していた。
図13】重水素による組織濃縮を示す1:1のD2−LA/D4−ALAの動物の用量試験を示す図である。
図14】脂肪分布の変化を比較した、1:1のD2−LA/D4−ALAの動物の用量試験を示す図である。
図15】重水素による組織濃縮を示す1:1のD2−LA/ALAの動物の用量試験を示す図である。
図16】90日間の動物の用量試験後の対照肝脂肪プロファイルを示す図である。
図17】肝臓脂肪プロファイルと重水素による濃縮を示す1:1のD2−LA/D4−ALAの動物の用量試験を示す図である。
図18】D2−LAによる90日間の動物の用量試験後の肝脂肪プロファイルを示す図である。
図19】脳脂肪プロファイルと重水素による濃縮を示す1:1のD2−LA/D4−ALAの動物の用量試験を示す図である。
図20】脳脂肪プロファイルと重水素による濃縮を示す1:1のD2−LA/ALAの動物の用量試験を示す図である。
図21】90日間の動物の用量試験後の対照脳脂肪プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好ましい実施形態の詳細な説明
本明細書で使用する場合、略語は以下のように定義される:
αLnn:α−リノレン酸
4−HHEまたはHHE:4−ヒドロキシヘキサ−2−エナール
4−HNEまたはNHE:4−ヒドロキシノン−2−エナール
AA:アラキドン酸
ACE:アンジオテンシン変換酵素
AFLD:アルコール性脂肪肝疾患
ALA:α−リノレン酸
AMVN:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
CAD:冠動脈疾患
CHF:慢性心不全
D:重水素化
D1:モノ重水素化
D2:ジ重水素化
D2−LA:ジ重水素化リノール酸
D3:トリ重水素化
D4:テトラ重水素化
D5:ペンタ重水素化
D6:ヘキサ重水素化
DHA:ドコサヘキサエン(22:6;n−3)酸
EPA:エイコサペンタエン(20:5;n−3)酸
dL:デシリットル
DMF:ジメチルホルムアミド
EtOH:エタノール
FAME:脂肪酸メチルエステル
FLD:脂肪肝疾患
FRAP:血漿の鉄還元能
HPMC:6−ヒドロキシ−2,2,5,7,8−ペンタメチルベンゾクロマン
H−PUFA:非重水素化多価不飽和脂肪酸
IP:腹腔内
IR:赤外線
KIE:動力学的同位体効果
LA:リノール酸
LDL:低密度リポタンパク質
LVH:左室肥大
MDA:マロンジアルデヒド
mg:ミリグラム
MI:心筋梗塞
MPTP:1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン
MVEC:微小血管内皮細胞
NAFLD:非アルコール性脂肪肝疾患
NASH:非アルコール性脂肪性肝炎
PPAR:ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体
PQ:パラコート
PUFA(s):多価不飽和脂肪酸(複数も可)
IN:開始速度
ROS:活性酸素種
OX:酸化速度
RPE:網膜色素上皮
SNOMED:医学の体系化された命名法
SOD:スーパーオキシドジスムターゼ
TDMS:毒性データ管理システム
TH:チロシンヒドロキシラーゼ
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
V−SMOW:ウィーン標準平均海水
WT:野生型
YPD:1%バクト−酵母エキス、2%バクト−ペプトン、および2%デキストロースを含む培地
【0015】
PUFA関与肝障害
脂質代謝異常は、多くの肝障害の病因に重要な役割を果たしている。脂肪肝疾患(FLD)は、それがアルコール性(AFLD)であるか、または非アルコール性(NAFLD)であるかを問わず、肝脂肪変性(脂肪肝)および脂肪性肝炎(肝臓の進行性炎症または肝炎)からなる。FLDは、多くの場合、肝硬変や肝細胞癌の発病に向かって進行する。AFLDとNAFLDの両方の組織学的特徴の区別がつかないスペクトルは、肝硬変や肝癌に向かう脂肪性肝炎の進行を可能にする病原メカニズムの収斂を示唆している。過剰なエネルギー消費およびエネルギー燃焼の減少は、肝臓における過度の脂質貯蔵に至る重大な事象であると思われる。肝臓におけるエネルギー燃焼は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)で調節されるミトコンドリアおよびペルオキシソーム脂肪酸の酸化系およびミクロソーム酸化系によって制御される。ペルオキシソーム増殖因子の受容体であるPPARは、脂肪酸のためのセンサー(脂質センサー)として機能し、効果のないPPAR感知は、エネルギー燃焼の低減につながり、脂肪肝や脂肪性肝炎をもたらす(Reddy JKら、Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 2006;290:G852−858)。
【0016】
PUFA処理は、根本的なインスリン抵抗性と酸化ストレスと関連して、肥満のNAFLD患者では減少しており、それは脂肪浸潤に都合がよい脂質代謝の変更につながる(Araya Jら、Obesity 2010;18:1460−1463)。過剰の飽和脂肪酸は、不飽和化酵素の活性を阻害することが知られている。これは過酸化しやすいリノール酸およびリノレン酸の比率の上昇につながる(Puri Pら、Hepatology 2007;46:1081−1090)。
【0017】
肝細胞内の脂質の蓄積は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の発症を開始させる。脂質蓄積(脂肪肝)に至る主要な代謝異常は、インスリン抵抗性および肝臓脂質代謝の取り込み、合成、分解または分泌経路における変更に起因する可能性がある。更なる傷害によりチャレンジされるとき、脂肪肝は、それから、さらなる損傷に対して脆弱となる可能性がある。単純で合併症のない脂肪肝から脂肪性肝炎、そして進行した線維症への進行は、2つの要因、すなわち、肝細胞内の脂肪の蓄積をもたらす第1の要因(主にインスリン抵抗性)および脂質過酸化、サイトカイン産生およびFasリガンド誘導をもたらす第2の要因(主に活性酸素種)から生じる。酸化ストレスおよび脂質過酸化は、脂肪肝から、より進行した段階の肝障害への発症と進行における鍵となる要因である(Angulo P.ら、J.Gastroent.Hepat.2002;17:S186−190)。
【0018】
蓄積脂肪の増加した酸化ストレスは、肝臓障害および一般的には代謝症候群の重要な発症メカニズムである(Furukawa Sら、J Clin Invest 2004;114:1752−1761)。PUFAの比率の不均衡は、肝障害に特徴的な増加した酸化ストレスと組み合わされて、MDA、HNEおよびHHEなどの反応性カルボニル化合物のレベルの上昇につながる(Poli G.British Med.Bull.1993;49:604−620)。これらは、多数の有害な経路に関与することが知られており、非可逆的に細胞成分を損傷すること、アポトーシスを活性化することなどを含むが、これらに限定されない。
【0019】
酸化ストレスは、NAFLDの発症機序に関与している。肝臓および血漿の酸化ストレスに関連するパラメータの測定は、肝臓タンパク質のカルボニル含有量が脂肪肝を有する患者においては4倍よりも多く増強されるのに対して、グルタチオン含有量、SOD活性および血漿の鉄還元能(FRAP)が実質的に減少することを示唆している。酸化ストレスは、脂肪変性を有するNAFLD患者の肝臓で生じることが見い出されたが、脂肪性肝炎の患者ではさらに悪化する。実質的なタンパク質の酸化の後に、修飾されたタンパク質のタンパク質分解が続き、それは脂肪性肝炎患者の肝臓での減少した抗酸化能とタンパク質酸化の共存を説明することができる(Videla LAら、Clinical Sci 2004;106:261−268)。
【0020】
また、慢性肝炎、閉塞性黄疸、胆石症および関連する病態の患者では、肝臓の脂質過酸化物のレベルが増加しているのに対して、酸化された脂質の血漿レベルは、患者群と対照群の間で差がないことが判明した(Tsai LYら、Clinica Chimica Acta 1993;215:41−50)。
【0021】
胆道疾患もまた、増加した酸化ストレスおよび脂質過酸化によって特徴付けられる(Feher Jら、Scandinavian J Gastroenter.1998;228:38−46)。
【0022】
本発明のいくつかの態様は、以下のことから生じる:(1)必須PUFAは、脂質膜、特に、ミトコンドリア膜が適切に機能するために不可欠であるのに対して、それらの固有の欠点、すなわち、有害な結果となるROSで酸化される傾向は、アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、肝硬変、肝細胞癌、閉塞性黄疸、胆石症、および胆道疾患などの肝障害に関与していることの理解;(2)抗酸化剤処理に対するPUFA過酸化生成物(反応性カルボニル)のプロセスと安定性の確率論的性質に起因して、抗酸化剤はPUFA過酸化を防止することができない;そして(3)PUFA内の酸化が起こりやすい部位のROSによる損傷については、それらがそのような酸化の影響を受けるのを少なくする方法を用いて、それらの有益な物理的特性のいずれかを低下させることなく、克服することが可能である。本発明のいくつかの態様は、酸化にとって最も重要な必須のPUFAおよびPUFA前駆体における部位でのみ、これを達成するために同位体効果の使用を記載しているのに対して、他の態様は、酸化にとって最も重要な部位に加えて、他の部位についても考慮している。
【0023】
同位体標識された実施形態は、当然、重要な生物学的プロセスに対して最小限のまたは実在しない影響を有するはずである。例えば、生物学的基質に存在する同位体の天然存在量は、低レベルの同位体標識化合物が当然生物学的プロセスに対して無視し得る影響を有するはずであることを意味する。さらに、水素原子は水から生物学的基質に取り込まれ、そしてDO、すなわち重水の消費は、ヒトに対し健康上の脅威を引き起こすことがないことが知られている。例えば、“Physiological effect of heavy water.”Elements and isotopes:formation,transformation,distribution.Dordrecht:Kluwer Acad.Publ.(2003)pp.111−112(体重70kgの人が深刻な影響なしで重水4.8リットルを飲み得ることを示す)を参照されたい。さらに、多くの同位体標識化合物は、診断や治療目的のための米国食品医薬品局によって承認されている。
【0024】
なお、同じ効果が、他の化学的方法を用いて、PUFA内の酸化を起こしやすい位置を保護することによって達成され得ることは、当業者に理解されるであろう。ある種のPUFA模倣物は、天然PUFAと構造的類似性を有するが、それにもかかわらず、構造強化によりROSによる酸化に対して安定である。
【0025】
脂血症および心臓関連リスク
酸化ストレスは、ROSの生成と内因性の抗酸化防御メカニズムとの間の不均衡から発生する。興味深いことに、酸化ストレスおよび異常な脂質代謝は、多くの脂血症および心臓疾患の病因に重要な役割を果たしている。
【0026】
脂血症(脂肪血症、高脂血症、低脂血症)は、異常なレベルの血漿リポタンパク質およびコレステロールによって発現する状態であって、第1要因(例えば、Tangier病および魚眼症などの遺伝性)または第2要因(喫煙など)によって引き起こされる。低レベルの高密度リポタンパク質(HDL)または低αリポタンパク質血症(HA)は、リポタンパク質またはHDLの濃度が減少した種々の状態を包含する。実際、空腹時HDLコレステロールレベルと心臓病のリスクについてのアメリカ心臓協会のガイドラインでは、HDLが40mg/dl未満の男性(女性に対しては50mg/dL未満)は、心臓病に対して高いリスクを有し、一方、40〜59mg/dLは、中レベルのHDLとみなされ、60mg/dLを超える場合は、高いHDLコレステロールレベルであって、心疾患からの保護に最適であると考えられる。さらに、米国心臓協会は、100mg/dL未満のLDL(低密度リポタンパク質)コレステロールを最適として、100〜129mg/dLを最適付近または軽度高値として、130〜159mg/dLを境界域高値として、160〜189mg/dLを高値として、190mg/dL以上を非常に高い値として推奨している。一般的には、LDLコレステロールレベルを下げることはまた、心臓発作および脳卒中のリスクを下げると認められている。
【0027】
低HDLコレステロールレベルは、損なわれた逆コレステロール輸送および他のリポタンパク質の酸化の減少などのHDLの他の保護効果の欠如のため、アテローム性動脈硬化症の発症を加速すると考えられている。脂血症は、酸化ストレスの上昇や非常に多くの有害な経路を活性化する脂質過酸化生成物のレベルの上昇(Yang RLら、J Clin Biochem Nutr 2008;43:154−158)と結果的に関連している(Spiteller G.Exp.Gerontol.2001;136:1425−1457)。
【0028】
脂肪調節の他の障害には、全身性脂肪異栄養症、レプチンおよびレプチン受容体遺伝子の突然変異、ならびに食餌性肥満が含まれる。膵臓細胞、心筋および骨格筋の脂肪毒性は、それぞれ、2型糖尿病、心筋症、およびインスリン抵抗性につながる。ヒトでは、これらの異常は、一般的にメタボリックシンドロームと呼ばれる。脂質過酸化の反応性カルボニル生成物は、脆弱な標的に異なる形で影響を及ぼし得る。例えば、膵臓細胞における脂肪毒性は、ω−3過酸化生成物のHHEのコンジュゲートによって主に調節されることが示された(Furakawa Fら、Pancreas 2001;22:1900−1905)。脂質が栄養過多の過程で非脂肪組織に過剰蓄積されると、脂肪酸は、反応性カルボニル産生などの有害な経路に入り、心筋細胞などの脂質を含んだ細胞のアポトーシスを引き起こす。ヒトの肥満の合併症は、脂肪毒性を反映し得るという実質的証拠が現在ある(Unger RH Ann Rev Med 2002;53:319−336)。
【0029】
慢性心不全(CHF)は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤およびβ遮断剤の使用などの主要な治療の進歩にもかかわらず、かなりの罹患率と死亡率の原因となる。今日、CHFの主な原因は、虚血性心疾患(IHD)および高血圧である。CHFへの進行の基本的なプロセス(特に、以前の心筋梗塞[MI]を有する患者において)は、心臓リモデリングとして知られている心臓の構造と機能の一連の変化であり、細胞外マトリックスおよび心筋細胞の両方における遺伝子発現とタンパク質機能の著しい変化を伴う。酸化ストレスは、長い間、臨床および実験CHFにおいて熟慮されていた。実際に、脂質過酸化は、虚血性損傷の病因および3脂質異常症に起因する心筋細胞膜破壊による不可逆的損傷への可逆的損傷の変換において大きな役割を果たしている(Meerson FZら、Basic Res Cardiol 1982;77:465−485)。さらに脂質過酸化の役割を裏付けることに、酸化ストレスのマーカーは、CHFの患者において上昇しており、心筋機能障害および心不全の全体的な重症度と相関している。心筋の酸化ストレスが心機能を損ない得る場合のメカニズムとしては、限定されるものではないが、細胞タンパク質や膜への酸化的損傷があるが、それによって、アポトーシスおよび壊死による細胞の機能不全や死を誘導する(Grieve DJら、Eur.Heart J.2003;24:2161−2163)。
【0030】
また、虚血性心疾患は、血漿中のMDAなどのPUFA過酸化生成物のレベルの増加によって特徴づけられる(Bevan RJら、Free Rad Biol Med 2003;35:517−527)。MDA、アクロレイン、HNEおよびHHEを含むが、これらに限定されない、毒性の反応性カルボニル含有脂質過酸化生成物の生成に加えて、ROS開始脂質損傷はまた、PUFAのいくつかのシス2重結合のトランス異性化をもたらす。このプロセスはまた、ビス−アリル部位、特に、限定されるものではないが、硫黄系チイルラジカルでのROS攻撃によって開始される。得られる化合物は、膜特性に悪影響を与えて、膜の流動性を変化させ、それらを漏出させ、不安定にする(Chatgilialoglu Cら、Acc Chem Res.2005;38:441−448)。急性虚血性心疾患において、このメカニズムは、過酸化水素の形成により、重要な役割を演じ得、膜の欠陥を生じさせ、気絶心筋の細胞内カルシウム過負荷および心臓収縮機能障害をもたらす脂質過酸化およびスルフヒドリル基の酸化につながり得る(Dhalla NSら、Can J Cardiol 1999;15:587−593)。
【0031】
心房細動(心拍不整)は、酸化ストレス、心臓の左心房の肥大に関連している。このような肥大は、心房細動をもたらす。左心室肥大(LVH)は、主に再灌流損傷、老化などからの酸化的損傷を介するミトコンドリアの喪失による、機能停止に至る心臓障害の一般的な様相である。ROSは、結果としての心筋虚血および壊死−世界中の心不全の主原因を有する冠状動脈疾患(CAD)の発生および進行において主要な役割を演じる。脂質の過酸化は、無血漿および総MDAレベルにおけるMDA測定によって示されるように、CADで増加する。また、遊離MDA値は、不安定狭心症および慢性安定狭心症の区別の助けとなり得る(Cavalca Vら、Clin Chem 2001;47:887−892)。
【0032】
血管壁内のROS活性は、アテローム性動脈硬化症の病因の主要原因である酸化LDLの形成に寄与していると考えられている。実際に、PUFAに富む低密度リポタンパク質(LDL)の酸化は、アテローム性動脈硬化症およびアテローム性動脈硬化症に関連する高血圧症の主要な危険因子であることが示唆された。HNEおよびLDL酸化の他の反応性カルボニル生成物は、更に酸化的損傷を引き起こし、限定するわけではないが、抗酸化遺伝子発現を調節すること(Siow RCら、Redox Rep 2007;12:11−15)およびマクロファージ泡沫細胞の形成を増加させること(Yun MRら、Free Rad Biol Med 2008;45:177−183)を含む、多くの下流経路に関与する。また、アンギオテンシンII(Ang−II)は、PUFAの酸化に関与し、インビボおよびインビトロの両方でマクロファージの脂質過酸化を増強する(Keidar S.Life Sci.1998;63:1−11)。アテローム性動脈硬化症の病因における酸化ストレスの重要性にもかかわらず、脂質過酸化を低減させることを目指す抗酸化剤療法の成功は、これまでのところ限られている(Stocker Rら、Physiol Rev 2004;84:1381−1478)。
【0033】
心臓肥大は、心不全への代償的適応性または不適応性の前兆のいずれかとなり得る。増大する証拠から、ROSシグナル伝達は心肥大の発生に関係があるとされる。心筋の脂肪毒性は、筋細胞死に関連することが多い、収縮機能不全を相伴う心筋内脂質の蓄積を指す。最近では、脂質蓄積および過酸化は、臨床心不全の重要な特徴であることが示された(Unger RH Ann Rev Med 2002;53:319−336)。脂質蓄積は、脂質取り込みおよびβ−酸化の間に不均衡がある場合(様々なメカニズムを介して起こり得る状況)に起こる。脂質蓄積は、PPARα(脂質に応答して遺伝子発現を変化させる核内受容体)の増加を誘発する。PPARαは、脂肪酸酸化を増加させ、PPARαの発現の増加は、糖尿病性心筋症を含む心機能不全の発症に関連している。これが起こるメカニズムは不明のままであるが、脂肪酸のβ−酸化は、ROSおよびカルボニル脂質過酸化生成物を生成する。データは、ROSおよびカルボニル脂質過酸化生成物が、PPARα関連心筋症および脂肪毒性の病因にある一定の役割を演じていることを示唆している(Giordano FJ,J Clin Invest 2005;115:500−508)。
【0034】
本発明のいくつかの態様は、以下のことから生じる:(1)必須PUFAは、脂質膜、特にミトコンドリア膜が適切に機能するのに極めて重要であるが、それらの固有の欠点、すなわち有害な転帰を伴うROSによって酸化される傾向は、脂血症および心臓関連リスクに関与しているという理解;(2)抗酸化剤は、そのプロセスの確率的性質および抗酸化剤による治療に対するPUFA過酸化生成物(反応性カルボニル)の安定性に起因して、PUFA過酸化を防止できないこと;ならびに(3)PUFA内の酸化されやすい部位がROSによって受ける損傷は、それらの部位がこのような酸化を受けにくくなるようにする手法を使用することによって、それらの有益な物理的特性のいずれも損なうことなく克服できること。本発明のいくつかの態様は、酸化にとって最も問題となる必須PUFAおよびPUFA前駆体の部位のみにおいて、このことを達成する同位体効果の使用を説明するものであり、他の態様では、酸化にとって最も問題となる部位に加えて、他の部位も想定する。
【0035】
同位体で標識された実施形態が重要な生物学的プロセスに対して有する効果は最小限または非存在とするべきである。例えば、生物学的基質に存在する同位体の天然存在量は、低レベルの同位体標識化合物の生物学的プロセスに対する効果が無視し得るものであるべきであることを意味する。また、水素原子が水から生体基質に組み込まれており、DOまたは重水の消費は、ヒトの健康への脅威をもたらさないことが知られている。例えば、“Physiological effect of heavy water.”Elements and isotopes:formation,transformation,distribution.Dordrecht:Kluwer Acad.Publ.(2003)pp.111−112(体重70kgの人が深刻な影響なしで重水4.8リットルを飲むことができることを示す)を参照されたい。さらに、多くの同位体標識された化合物は、診断や治療目的について米国食品医薬品局(FDA)により承認されている。
【0036】
なお、同様の効果が他の化学的アプローチを用いて、PUFA内の酸化を起こしやすい位置を保護することによって達成することができることは、当業者に理解されるであろう。特定のPUFA模倣物は、天然のPUFAと構造的類似性を有するが、それにもかかわらず、構造強化によりROSによる酸化に対して安定である。
【0037】
組成物:
いくつかの実施形態では、同位体修飾された多価不飽和脂肪酸または模倣物は、化学的に、または1つもしくは複数の同位体、例えば13Cおよび/もしくは重水素を用いた補強によって安定化されている、天然に存在するPUFAと構造的な類似性を有する化合物を指す。一般に、重水素が補強に使用される場合、メチレン基上の1つまたは両方の水素が補強され得る。
【0038】
本発明のいくつかの態様は、重同位体によって1つ、数個、またはすべてのビス−アリル位のいずれかが置換されている必須PUFAの類似体である化合物を提供する。いくつかの実施形態では、酵素的変換時にPUFAのビス−アリル位になるCH基は、1つまたは2つの重同位体で置換される。そのような化合物は、PUFA酸化が一因であるか、または疾患進行の一因となり得る疾患の予防または治療に有用である。
【0039】
ビス−アリル位は、一般に、1,4−ジエン系のメチレン基に相当する、多価不飽和脂肪酸またはその模倣物の位置を指す。プロ−ビス−アリル位は、酵素的不飽和化の際にビス−アリル位になるメチレン基を指す。
【0040】
いくつかの実施形態では、PUFAの化学的同一性、すなわち化学的構造は、同位体置換または同位体置換を模倣する置換に関係なく、摂取時、同じままである。例えば、必須PUFA、すなわちヒトなどの哺乳動物が一般に合成しないPUFAの化学的同一性は、摂取時に同じままであり得る。しかし、ある場合には、PUFAは、哺乳動物においてさらなる伸展/不飽和化を受け、したがって摂取時にそれらの化学的同一性が変化することがある。化学的同一性は、模倣物に関しても同様に未変化のままであるか、または類似の伸展/不飽和化を受け得る。いくつかの実施形態では、伸展され、場合により不飽和化されるPUFAは、摂取およびさらなる代謝時に、高級同族体と呼ばれ得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、天然の存在量レベルは、天然の同位体の天然存在量と関連のある、PUFAに組み込むことができる同位体、例えば13Cおよび/または重水素のレベルを指す。例えば13Cは、すべての炭素原子において約1%の13C原子の天然存在量を有する。したがって、PUFAにおいて天然存在量を超える13Cを有する炭素の相対的百分率は、そのすべての炭素原子のうち13Cで補強されたものが2%などの約1%を超える天然存在量レベルを有することができるが、好ましくは各PUFA分子内の1つまたは複数の炭素原子に対して約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、65%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%が13Cである。他の実施形態では、13Cで補強された全ての炭素原子の百分率は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、65%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%である。
【0042】
水素に関して、いくつかの実施形態では、重水素は、地球上の海洋においてすべての天然に存在する水素の約0.0156%の天然存在量を有する。したがって、重水素のその天然存在量を超える存在量を有するPUFAは、このレベルを超えるか、またはその水素原子のうち重水素で補強されたものが0.02%などの約0.0156%を超える天然存在量レベルを有することができるが、好ましくは各PUFA分子内の1つまたは複数の水素原子に対して約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、65%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%が重水素である。他の実施形態では、重水素で補強された全ての水素原子の百分率は、少なくとも、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、65%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%である。
【0043】
いくつかの態様では、PUFAの組成物は、同位体修飾されたPUFAおよび同位体修飾されていないPUFAの両方を含有する。同位体純度は、a)同位体修飾されたPUFA分子の相対数と、b)同位体修飾されたPUFAおよび重原子を伴わないPUFAの両方のすべての分子、との間の比較である。いくつかの実施形態では、同位体純度は、重原子を除いてその他は同じであるPUFAを指す。
【0044】
いくつかの実施形態では、同位体純度は、同位体修飾されたPUFAと重原子を伴わないPUFAの分子の総数に対する、組成物中の同位体修飾されたPUFA分子の百分率を指す。例えば、同位体純度は、同位体修飾されたPUFAと重原子を伴わないPUFAの両方の分子の総数に対して、同位体修飾されたPUFA分子が約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、65%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%であり得る。他の実施形態では、同位体純度は、少なくとも、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、65%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%である。いくつかの実施形態では、PUFAの同位体純度は、組成物中のPUFA分子の総数の約10%〜100%、10%〜95%、10%〜90%、10%〜85%、10%〜80%、10%〜75%、10%〜70%、10%〜65%、10%〜60%、10%〜55%、10%〜50%、10%〜45%、10%〜40%、10%〜35%、10%〜30%、10%〜25%、または10%〜20%であり得る。他の実施形態では、PUFAの同位体純度は、組成物中のPUFA分子の総数の約15%〜100%、15%〜95%、15%〜90%、15%〜85%、15%〜80%、15%〜75%、15%〜70%、15%〜65%、15%〜60%、15%〜55%、15%〜50%、15%〜45%、15%〜40%、15%〜35%、15%〜30%、15%〜25%、または15%〜20%であり得る。いくつかの実施形態では、PUFAの同位体純度は、組成物中のPUFA分子の総数の約20%〜100%、20%〜95%、20%〜90%、20%〜85%、20%〜80%、20%〜75%、20%〜70%、20%〜65%、20%〜60%、20%〜55%、20%〜50%、20%〜45%、20%〜40%、20%〜35%、20%〜30%、または20%〜25%であり得る。同位体修飾されたPUFAと重原子を伴わないPUFAの合計100個のすべての分子のうち、2個の同位体修飾されたPUFA分子は、その2個の同位体修飾された分子が含有する重原子の数にかかわらず、2%の同位体純度を有することになる。
【0045】
いくつかの態様では、同位体修飾されたPUFA分子は、メチレン基の2個の水素の1個が、重水素によって置き換えられる場合など、1個の重水素原子を含有することができ、したがって「D1」PUFAと呼ぶことができる。同様に、同位体修飾されたPUFA分子は、メチレン基の2個の水素が、共に重水素によって置き換えられる場合など、2個の重水素原子を含有することができ、したがって「D2」PUFAと呼ぶことができる。同様に、同位体修飾されたPUFA分子は、3個の重水素原子を含有することができ、したがって、「D3」PUFAと呼ぶことができる。同様に、同位体修飾されたPUFA分子は、4個の重水素原子を含有することができ、したがって、「D4」PUFAと呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、同位体修飾されたPUFA分子は、5個の重水素原子または6個の重水素原子を含有することができ、したがって、「D5」PUFAまたは「D6」PUFAと、それぞれ呼ぶことができる。
【0046】
分子内の重原子の数または同位体負荷は変わり得る。例えば、同位体負荷が比較的低い分子は、約1個、2個、3個、4個、5個、または6個の重水素原子を含有することができる。中程度の同位体負荷を有する分子は、約10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個の重水素原子を含有することができる。負荷が非常に高い分子では、それぞれの水素が重水素で置き換えられ得る。したがって同位体負荷は、各PUFA分子の重原子の百分率を指す。例えば、同位体負荷は、同タイプの重原子を伴わないPUFAと比較して、同タイプの原子の数が約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、65%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%であり得る(例えば、水素は、重水素と「同タイプ」となる)。いくつかの実施形態では、同位体負荷は、少なくとも、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、65%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%である。意図しない副作用は、PUFA組成物内の同位体純度が高いが、所定の分子内の同位体負荷が低い場合に減少すると予想される。例えば、代謝経路は、同位体純度は高いが同位体負荷が低いPUFA組成物を使用することによって受ける影響が少なくなる。
【0047】
メチレン基の2個の水素のうち1個が、重水素原子で置換されている場合、得られた化合物が立体中心を有し得ることは容易に認められるであろう。いくつかの実施形態では、ラセミ化合物を使用することが望ましい場合がある。他の実施形態では、エナンチオマーとして純粋な化合物を使用することが望ましい場合がある。さらなる実施形態では、ジアステレオマー的に純粋な化合物を使用することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、65%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のエナンチオマー過剰率および/またはジアステレオマー過剰率を有する化合物の混合物を使用することが望ましい場合がある。他の実施形態では、エナンチオマー過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は、少なくとも、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、65%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%である。いくつかの実施形態では、キラル分子との接触が酸化的損傷を減衰させるための標的になっている場合などの実施形態の立体化学的に純粋なエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーを利用することが好ましい場合がある。しかしながら、多くの状況において、非キラル分子は酸化損傷を減衰させるための標的とされている。このような状況では、実施形態は、それらの立体化学的純度を気にせずに利用され得る。さらに、いくつかの実施形態では、エナンチオマーおよびジアステレオマーの混合物は、化合物が酸化的損傷を減衰するためのキラル分子を標的とした場合であっても使用され得る。
【0048】
いくつかの態様では、同位体修飾されたPUFAは、特定の組織においてある量の重原子を付与する。したがって、いくつかの態様では、重分子の量は組織における同タイプの分子の特定の百分率となる。例えば、重分子の数は同タイプの分子の総量の約1%〜100%であり得る。いくつかの態様では、分子の10〜50%が同タイプの重分子で置換されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、必須PUFAと同じ化学的結合構造であるが、特定の位置に異なる同位体組成を有する化合物は、非置換化合物とは著しく、有益に異なる化学特性を有することになる。ROSによる酸化を含む酸化に関する特定の位置は、図1に示す通り、必須の多価不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体のビス−アリル位を含む。以下に示す、ビス−アリル位において同位体的に補強された必須PUFAは、酸化に対してより安定になる。したがって、本発明のいくつかの態様は、式(1)の化合物またはその塩を使用する特定の方法を提供する(それらの部位は炭素−13でさらに補強され得る。R=アルキル、H、またはカチオン;m=1〜10;n=1〜5であり、各ビス−アリル位において、1個または両方のY原子は、重水素原子である)。例えば、
【化1】

11,11−ジジュウテロ−シス,シス−9,12−オクタデカジエン酸(11,11−ジジュウテロ−(9Z,12Z)−9,12−オクタデカジエン酸;D2−LA);および11,11,14,14−テトラジュウテロ−シス,シス,シス−9,12,15−オクタデカトリエン酸(11,11,14,14−テトラジュウテロ−(9Z,12Z,15Z)−9,12,15−オクタデカトリエン酸;D4−ALA)である。いくつかの実施形態では、前記位置は、重水素化に加えて、炭素−13によって、それぞれ天然に存在する存在量レベルを超える同位体存在量のレベルでさらに補強され得る。PUFA分子におけるすべての他の炭素−水素結合は、場合により天然存在量レベル以上で重水素および/または炭素−13を含有することができる。
【0050】
必須PUFAは、不飽和化および伸長によって高級同族体に生化学的に変換される。したがって、前駆体PUFAにおいてビス−アリルではないいくつかの部位は、生化学的変換時にビス−アリルになる。次いで、このような部位は、ROSによる酸化を含む酸化に対して感受性となる。さらなる実施形態では、既存のビス−アリル部位に加えて、このようなプロ−ビス−アリル位が、以下に示す通り同位体置換によって補強される。したがって、本発明のこの態様は、式(2)の化合物またはその塩の使用を提供する(各ビス−アリル位および各プロ−ビス−アリル位において、XまたはY原子の1つ以上は、重水素原子であり得る。R1=アルキル、カチオン、またはH;m=1〜10;n=1〜5;p=1〜10である)。
【化2】
【0051】
重水素化に加えて、前記位置は、炭素−13によって、それぞれ天然に存在する存在量レベルを超える同位体存在量のレベルでさらに補強され得る。PUFA分子におけるすべての他の炭素−水素結合は、場合により天然存在量レベル以上で重水素および/または炭素−13を含有することができる。
【0052】
異なるビス−アリル位におけるPUFAの酸化は、異なるセットの酸化生成物をもたらす。例えば、4−HNEは、n−6系PUFAから形成され、4−HHEは、n−3系PUFAから形成される(Negre−Salvayre Aら、Brit.J.Pharmacol.2008;153:6−20)。このような酸化生成物は、様々な調節特性、毒性、シグナル伝達、その他の特性を有する。したがって、そのような酸化の相対的程度を制御することが望ましい。それゆえ、本発明のいくつかの態様は、異なる部位における酸化の相対的収率を制御するために、以下に示す通り、PUFAのビス−アリルまたはプロ−ビス−アリル位におけるY−Yおよび/またはX−Xの対のいずれかが重水素原子を含み得るように、選択されたビス−アリルまたはプロ−ビス−アリル位において安定な重同位体で特異的に補強された式(3)の化合物またはその塩の使用を提供する。R1=アルキル、カチオン、またはH;m=1〜10;n=1〜6;p=1〜10である。
【化3】
【0053】
重水素化に加えて、前記位置は、炭素−13によってさらに補強され得る。PUFA分子におけるすべての他の炭素−水素結合は、天然存在量レベル以上で重水素を含有することができる。先に示した構造における破断線は、様々な数の2重結合、様々な数のすべての炭素、ならびに同位体補強されたビス−アリルおよびプロ−ビス−アリル位の様々な組み合わせを有するPUFAを表すことが理解されるであろう。
【0054】
同位体補強されたn−3(ω−3)およびn−6(ω−6)必須多価不飽和脂肪酸、ならびに不飽和化/伸長によってそれらから生化学的に生成されたPUFAの両方を提供する上に例示した化合物の正確な構造を以下に示す。これらの化合物のうちのいずれか1つは、酸化を遅らせるために使用され得る。次の化合物では、PUFAは、酸化感受性部位および/または生化学的な不飽和化/伸長時に酸化感受性となり得る部位において同位体的に補強される。Rは、H、アルキル、またはカチオンであってもよく;Rは、HまたはDであってもよく;は、12Cまたは13Cのいずれかを表す。
【0055】
D−リノール酸には、以下のものが含まれる。
【化4】
【0056】
以下の過重水素化リノール酸は、微生物学的方法によって、例えば、重水素および/または炭素−13を含有する培地で増殖させることによって生成され得る。
【化5】
【0057】
D−アラキドン酸には、以下のものが含まれる。
【化6】
【0058】
以下の過重水素化アラキドン酸は、微生物学的方法によって、例えば、重水素および/または炭素−13を含有する培地で増殖させることによって生成され得る。
【化7】
【0059】
D−リノレン酸には、以下のものが含まれる。
【化8】
【0060】
以下の過重水素化リノレン酸は、重水素および炭素−13を含有する培地で増殖させるなどの微生物学的方法によって生成され得る。
【化9】
【0061】
本発明のいくつかの態様では、必須であるかどうかにかかわらず、食物から摂取され、体内で使用され得る任意のPUFAを利用することができる。必須もしくは非必須のPUFAまたは前駆体の場合、栄養補助された安定化材料は、他の食物摂取および生物学的生産と競合して、利用可能な疾患誘発種濃度を低減することができる。
【0062】
本発明のいくつかの態様では、先の構造を用いて記載の通り酸化感受性位置において同位体補強されたPUFAは、適切な同位体、重水素および/または炭素−13の天然存在量と比較して、前記位置において重同位体強化されている。
【0063】
いくつかの実施形態では、開示の化合物は、99%以上の同位体純度まで強化されている。いくつかの実施形態では、前記位置における重同位体強化は、50%〜99%が重水素および/または炭素−13である。
【0064】
いくつかの実施形態では、修飾脂肪酸は、薬物または栄養補助剤として食物を介して投与される場合、限定されるものではないが、エチルエステルまたはグリセリンエステルなどの、親脂肪酸または模倣物の非毒性の薬学的に適切なエステルを含むプロドラッグとして投与され得る。このエステルは、腸内の薬物の耐性の一助になり、消化を助け、吸着する薬物の活性酸形態にエステルプロドラッグを脱エステル化する腸内の高レベルのエステラーゼに依存する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書の修飾脂肪酸のプロドラッグエステルを包含する。市場、栄養学および臨床試験の文献におけるこのタイプの薬物の例には、GlaxoのLovaza(ω3系脂肪酸エステル、EPA、DHAおよびα−リノレン酸の混合物)、AbbottのOmacor(ω−3−脂肪酸エステル)およびほとんどの魚油栄養補助剤(DHAおよびEPAエステル)が含まれる。いくつかの態様では、組織または細胞へのエステルプロドラッグの組込みは、修飾された親PUFAが体成分として使用されるときのその組込みを指す。
【0065】
いくつかの実施形態では、安定化組成物は、それらの元素組成を変化させることなく、天然に存在する脂肪酸を模倣する。例えば、置換基は、化学的な原子価殻を保持することができる。いくつかの実施形態は、特定の疾患機構の防止に有効になるように化学的に修飾されるが、材料の元素組成を変化させない(同位体置換など)ように修飾される天然に存在する脂肪酸、模倣物およびそれらのエステルプロドラッグを含む。例えば、重水素は、同じ元素の水素の一形態である。いくつかの態様では、これらの化合物は元素組成を維持し、酸化に対して安定化される。酸化に対して安定化されたいくつかの化合物は、酸化感受性位置において安定化される。いくつかの化合物は、重同位体置換により酸化に対して安定化され、次いでビス−アリルの炭素−水素結合等において安定化される。
【0066】
さらなる実施形態では、PUFAの酸化されやすいビス−アリル位は、以下に示す通り、ビス−アリル水素を活性化する2重結合の距離をさらに離し、したがって、ビス−アリル位を排除すると同時に、特定のPUFA流動性を保持することによって、水素引き抜き反応から保護され得る。これらのPUFA模倣物は、ビス−アリル位を有しない。
【化10】
【0067】
さらなる実施形態では、PUFAの酸化されやすいビス−アリル位は、以下に示す通り、II価のヘテロ原子を使用し、したがって、ビス−アリル水素を排除することによって、水素引き抜き反応から保護され得る。これらのPUFA模倣物もまた、ビス−アリル水素を有していない。
【化11】
【0068】
さらなる実施形態では、PUFA模倣物、すなわち天然PUFAに構造的に類似しているが、構造的差異に起因して酸化を受けることができない化合物を、前述の目的で使用することができる。PUFAの酸化されやすいビス−アリル位は、以下に示す通り、ジメチル化またはハロゲン化によって水素引き抜き反応から保護され得る。これらのメチル基上の水素原子は、場合によっては、フッ素などのハロゲンまたは重水素であってもよい。これらのPUFA模倣物は、ビス−アリル位においてジメチル化される。
【化12】
【0069】
さらなる実施形態では、PUFAの酸化されやすいビス−アリル位は、以下に示す通り、アルキル化によって水素引き抜き反応から保護され得る。これらのPUFA模倣物は、ビス−アリル位においてジアルキル化される。
【化13】
【0070】
さらなる実施形態では、以下に示す通り、2重結合の代わりにシクロプロピル基を使用することができ、酸に特定の流動性を付与すると同時に、ビス−アリル位を排除することができる。これらのPUFA模倣物は、2重結合の代わりにシクロプロピル基を有する。
【化14】
【0071】
さらなる実施形態では、以下に示す通り、適切な立体構造内に2重結合の代わりに1,2−置換シクロブチル基を使用することができ、酸に特定の流動性を付与すると同時に、ビス−アリル位を排除することができる。これらのPUFA模倣物は、2重結合の代わりに1,2−シクロブチル基を有する。
【化15】
【0072】
2重結合の代わりに1,2−シクロブチル基を有する模倣物の先の実施形態の修飾では、適切な立体構造の1,3−置換シクロブチル基を2重結合の代わりに使用することができ、酸に特定の流動性を付与すると同時に、ビス−アリル部位を排除することができる。以下のPUFA模倣物は、2重結合の代わりに、1,3−シクロブチル基を有する。
【化16】
【0073】
特定の官能基が他の特定官能基と等価性および/または生物学的等価性であることは、医薬品化学ではよく知られている原理である。生物学的等価体は、化学的な化合物に広く類似の生物学的特性をもたらす同様の物理的または化学的特性を有する置換基または基である。例えば、水素に対する周知の等価体および/または生物学的等価体は、フッ素などのハロゲンを含む;アルケンの等価体および/または生物学的等価体は、アルキン、フェニル環、シクロプロピル環、シクロブチル環、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、チオエーテルなどを含む;カルボニルの等価体および/または生物学的等価体は、スルホキシド、スルホン、チオカルボニルなどを含む;エステルの等価体および/または生物学的等価体は、アミド、スルホン酸エステル、スルホンアミド、スルフィニル酸エステル、スルフィニルアミドなどを含む。したがって、PUFA模倣物は、また、等価性および/または生物学的等価性の官能基を有する化合物を含む。
【0074】
PUFAおよび/またはPUFA模倣物を本発明で使用するためのプロドラッグとして処方することは、有用であり得ると考えられる。プロドラッグは、薬理学的物質で、それ自体が生物学的活性を有していてもよいが、投与の際、プロドラッグはまた、生物学的活性を発揮する形に代謝される。プロドラッグの多くの異なるタイプが知られており、それらは、それらの細胞代謝部位に基づいて、2つの主要なタイプに分類することができる。タイプIのプロドラッグは、細胞内的に代謝されるものであるが、タイプIIは、細胞外で代謝されるものである。カルボン酸が、吸収、分布、代謝、および排泄などの薬物動態を向上させるエステルおよび様々な他の官能基に変換され得ることは周知である。エステルは、カルボン酸(またはその化学的等価物)とアルコール(またはその化学的等価物)の縮合により形成されるカルボン酸の周知のプロドラッグ形態である。いくつかの実施形態では、PUFAのプロドラッグに組み込むためのアルコール(またはその化学的等価物)は、薬学的に許容可能なアルコールまたは代謝により薬学的に許容可能なアルコールをもたらす化学物質を含む。そのようなアルコールとしては、限定はされないが、プロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール(Transcutol(登録商標),Gattefosse、ウエストウッド、ニュージャージー07675)、ベンジルアルコール、グリセロール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、またはポリエチレングリコール400;ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(例えば、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレートまたはポリオキシル35ヒマシ油(Cremophor(登録商標)EL、BASF社製)、ポリオキシエチレングリセロールオキシステアレート(Cremophor(登録商標)RH40(ポリエチレングリコール40硬化ヒマシ油)、またはCremophor(登録商標)RH60(ポリエチレングリコール60硬化ヒマシ油)、BASF社製));飽和ポリグリコール化グリセリド(例えば、Gelucire(登録商標)35/10、Gelucire(登録商標)44/14、Gelucire(登録商標)46/07、Gelucire(登録商標)50/13もしくはGelucire(登録商標)53/10、これらは、Gattefosse、ウエストウッド、ニュージャージー07675から入手可能);ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000);ポリオキシエチレンステアレート(例えば、PEG−6ステアレート、PEG−8ステアレート、ポリオキシル40ステアレートNF、ポリオキシエチル50ステアレートNF、PEG−12ステアレート、PEG−20ステアレート、PEG−100ステアレート、PEG−12ジステアレート、PEG−32ジステアレート、またはPEG−150ジステアレート);オレイン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル;ジメチルイソソルビッド;N−メチルピロリジノン;パラフィン:コレステロール;レシチン;坐薬基剤;薬学的に許容され得るロウ(例えば、カルナウバロウ、黄ロウ、白ロウ、微晶性ワックス、または乳化性ロウ);薬学的に許容され得るシリコン流体;ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンラウレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンパルミテート、またはソルビタンステアレートを含む);薬学的に許容され得る飽和脂肪または薬学的に許容され得る飽和油(例えば、水素化ヒマシ油(グリセリル−トリス−12−ヒドロキシステアレート)、セチルエステルロウ(主として、約43°〜47℃の溶融範囲を有するC14〜C18飽和脂肪酸のC14〜C18飽和エステルの混合物)、またはグリセリルモノステアレート)が挙げられる。
【0075】
いくつかの実施形態では、脂肪酸プロドラッグは、エステルP−Bで表され、ここで、ラジカルPは、PUFAであり、ラジカルBは、生物学的に許容され得る分子である。したがって、エステルP−Bの切断は、PUFAおよび生物学的に許容され得る分子を与える。このような切断は、酸、塩基、酸化剤、および/または還元剤によって誘導され得る。生物学的に許容され得る分子の例としては、これらに限定されるものではないが、栄養材料、ペプチド、アミノ酸、タンパク質、炭水化物(単糖類、二糖類、多糖類、グリコサミノグリカン、およびオリゴ糖を含む)、ヌクレオチド、ヌクレオシド、脂質(モノ−、ジ−、およびトリ−置換グリセロール、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、およびステロイドを含む)が挙げられる。
【0076】
いくつかの実施形態では、PUFAのプロドラッグに組み込むためのアルコール(またはその化学的等価物)は、1〜50個の炭素原子を有するアルコール(「C1−50アルコール」)、C1−45アルコール、C1−40アルコール、C1−35アルコール、C1−30アルコール、C1−25アルコール、C1−20アルコール、C1−15アルコール、C1−10アルコール、C1−6アルコールを含む(本明細書に表示されるたびに、「1−50」などの数値範囲は、与えられた範囲内の各整数を指し、例えば、「1−50個の炭素原子」は、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、その他、最大50個までの炭素原子から成り得ることを意味するが、この定義はまた、何ら数値範囲が指定されていない用語「アルキル」の場合も包含する)。そのようなアルコールは、分岐、非分岐、飽和、不飽和、ポリ不飽和であってもよく、および/または窒素、酸素、硫黄、リン、ホウ素、シリコーン、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素などの1つ以上のヘテロ原子を含んでもよい。典型的なアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、パーフルオロメチルアルコール、パークロロメチルアルコール、パーフルオロ−tert−ブチルアルコール、パークロロ−tert−ブチルアルコール、およびベンジルアルコール、並びにポリエチレングリコールなどのエーテルアルコールが挙げられる。いくつかの実施形態では、アルコールは荷電種を含む。そのような種は、アニオン性またはカチオン性であってもよい。いくつかの実施形態では、種は正に荷電したリン原子である。他の実施形態では、正に荷電したリン原子は、ホスホニウムカチオンである。他の実施形態では、荷電種は、1級、2級、3級、または4級アンモニウムカチオンである。
【0077】
いくつかの実施形態では、PUFAのプロドラッグに組み込むためのアルコール(またはその化学的等価物)としては、例えば、ジオール、トリオール、テトラオール、ペンタオールなどの多価アルコールが挙げられる。多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、メチルプロパンジオール、エトキシジグリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールグリセロール、および炭水化物がある。多価アルコールとPUFAから形成されるエステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステルなどであってもよい。いくつかの実施形態では、多重エステル化多価アルコールは、同一のPUFAでエステル化される。他の実施形態では、多重エステル化多価アルコールは、異なるPUFAでエステル化される。いくつかの実施形態では、異なるPUFAは、同じ方法で安定化される。他の実施形態では、異なるPUFAは、異なる方法(一方のPUFAでの重水素置換および他方のPUFAでの13C置換など)で安定化される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPUFAは、ω−3系脂肪酸であり、1つ以上のPUFAは、ω−6系脂肪酸である。
【0078】
PUFAおよび/またはPUFA模倣物および/またはPUFAプロドラッグを本発明において使用するための塩として調合することは、有用であり得ると考えられる。例えば、医薬化合物の特性を調整する手段として、塩形成を使用することは周知である。Stahlら、Handbook of pharmaceutical salts:Properties,selection and use(2002)Weinheim/Zurich:Wiley−VCH/VHCA;Gould,Salt selection for basic drugs,Int.J.Pharm.(1986),33:201−217を参照されたい。塩形成は溶解度を増減し、安定性や毒性を改善し、製剤の吸湿性を低減するために使用することができる。
【0079】
PUFAおよび/またはPUFA模倣物および/またはPUFAプロドラッグの塩としての調合は、これらに限定されるものではないが、塩基性無機塩形成剤、塩基性有機塩形成剤、ならびに酸性および塩基性の官応基の両方を含む塩形成剤の使用を含む。塩を形成するための様々な有用な無機塩基としては、これらに限定されるものではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、およびフランシウムの塩などのアルカリ金属塩、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、およびラジウムなどのアルカリ土類金属塩、ならびにアルミニウムなどの金属が挙げられる。これらの無機塩基は、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸2水素塩、亜リン酸塩、亜リン酸水素塩、水酸化物、酸化物、硫化物、アルコキシド(メトキシド、エトキシド、t−ブトキシドなど)などの対イオンをさらに含み得る。塩を形成するための種々の有用な有機塩基としては、これらに限定されないが、アミノ酸、塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなど)、アンモニア、アルキルアミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)、複素環式アミン(例えば、ピリジン、ピコリンなど)、アルカノールアミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、ジエチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、N−メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、エチレンジアミン、ピペラジン、コリン、トロラミン、イミダゾール、ジオラミン、ベタイン、トロメタミン、メグルミン、クロロプロカイン、プロカインなどが挙げられる。
【0080】
PUFAおよび/またはPUFA模倣物および/またはPUFAプロドラッグの塩製剤は、限定されるものではないが、薬学的に許容され得る塩基性無機塩、塩基性有機塩、および/または酸性および塩基性の両方の官能基を有する有機化合物を含む。薬学的に許容され得る塩は、当該技術分野において周知であり、上記に挙げた無機および有機塩基の多くを含む。薬学的に許容され得る塩は、食品医薬品局(FDA)や外国の規制機関によって承認された医薬品に見られる塩および塩形成剤をさらに含む。配合のための薬学的に許容され得る有機カチオンとしては、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、ベネタミン、クレミゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、およびトロメタミンが挙げられるが、これらに限定されない。配合のための薬学的に許容され得る金属カチオンとしては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、バリウム、およびビスマスが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる塩形成剤としては、アルギニン、ベタイン、カルニチン、ジエチルアミン、L−グルタミン、2−(4−イミダゾリル)エチルアミン、イソブタノールアミン、リジン、N−メチルピペラジン、モルホリン、およびテオブロミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
また、薬学的に承認された対イオンのいくつかのリストが存在する。Bighleyら、Salt forms of drugs and absorption.1996 In:Swarbrick J.ら編、Encyclopaedia of pharmaceutical technology,第13巻、ニューヨーク:Marcel Dekker,Inc.pp 453−499;Gould,P.L.,Int.J.Pharm.1986,33,201−217;Berge,J.Pharm.Sci.1977,66,1−19;Heinrich Stahl P.,Wermuch C.G.(編集者),Handbook of Pharmaceutical Salts,IUPAC,2002;Stahlら、Handbook of pharmaceutical salts:Properties,selection and use(2002)Weinheim/Zurich:Wiley−VCH/VHCAを参照されたい。これらの全ては、引用により本明細書に組み込まれる。
【0082】
非重水素化PUFAなどの全ての同位体非修飾PUFAを、重水素化PUFAなどの同位体修飾PUFAで置換することは、不必要であるかもしれない。いくつかの実施形態では、H−PUFAなどの非修飾PUFAが自己酸化の連鎖反応を維持するのを防ぐために、D−PUFAなどの充分な同位体修飾PUFAを膜中に有することが好ましい。自己酸化の過程で、1個のPUFAが酸化し、その付近に非酸化PUFAがあるときには、非酸化PUFAは、酸化PUFAにより酸化されることができる。これは、自動酸化と呼ばれることもある。いくつかの事例では、低濃度の場合、例えば、D−PUFAを伴う膜中の「希釈」H−PUFAの場合は、この酸化サイクルは、H−PUFAを隔てる距離に起因して壊れる可能性がある。いくつかの実施形態では、同位体修飾PUFAの濃度は、自動酸化の連鎖反応を維持するのに十分な量で存在する。自動酸化の連鎖反応を破壊するために、例えば、同じタイプの合計分子の1〜60%、5〜50%、または15〜35%が膜内にある。これは、IRMS(同位体比質量分析法)によって測定することができる。
【0083】
本発明のさらなる態様は、活性化合物の食物、サプリメント、または医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、食物、サプリメント、または医薬組成物は、活性化合物の塩を含んでもよい。
【0084】
塩を形成するための様々な有用な無機塩基としては、これらに限定されるものではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、およびフランシウムの塩などのアルカリ金属塩、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、およびラジウムなどのアルカリ土類金属塩、アルミニウムなどの金属が挙げられる。これらの無機塩基は、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸2水素塩、亜リン酸塩、亜リン酸水素塩、水酸化物、酸化物、硫化物、アルコキシド(例えば、メトキシド、エトキシド、t−ブトキシドなど)などの対イオンをさらに含むことができる。
【0085】
塩を形成するための種々の有用な有機塩基としては、これらに限定されないが、アミノ酸;塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなど);アンモニア;水酸化アンモニウム;アルキルアミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなど);複素環式アミン(例えば、ピリジン、ピコリンなど);アルカノールアミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど);ジエチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール;N−メチルグルカミン;ジシクロヘキシルアミン;N,N’−ジベンジルエチレンジアミン;エチレンジアミン;ピペラジン;コリン;トロラミン;イミダゾール;ジオラミン;ベタイン;トロメタミン;メグルミン;クロロプロカイン;プロカインなどが挙げられる。
【0086】
活性化合物の塩は、限定されるものではないが、薬学的に許容され得る塩を含み得る。薬学的に許容され得る塩は、当該技術分野において周知であり、上記に列挙した塩形成剤の多くを含む。薬学的に許容され得る塩は、食品医薬品局(FDA)や外国の規制機関によって承認された医薬品に存在するタイプの塩や塩形成剤をさらに含む。
【0087】
活性化合物の塩に配合される薬学的に許容され得る有機カチオンとしては、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、ベネタミン、クレミゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、およびトロメタミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
活性化合物の塩に配合される薬学的に許容され得る金属カチオンとしては、これらに限定されないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、バリウム、およびビスマスが挙げられる。
【0089】
塩形成剤として潜在的な有用性を有するさらなる塩形成剤は、これらに限定されるものではないが、アセチルアミノ酢酸、N−アセチル−L−アスパラギン、N−アセチルシスチン、アルギニン、ベタイン、カルニチン、L−グルタミン、2−(4−イミダゾリル)エチルアミン、イソブタノールアミン、リジン、N−メチルピペラジン、およびモルホリンを含む。
【0090】
また、薬学的に承認された対イオンのいくつかのリストが存在する。Bighleyら、Salt forms of drugs and absorption.1996 In:Swarbrick J.ら編、Encyclopaedia of pharmaceutical technology,第13巻、ニューヨーク:Marcel Dekker,Inc.pp 453−499;Gould,P.L.,Int.J.Pharm.1986,33,201−217;Berge,J.Pharm.Sci.1977,66,1−19;Heinrich Stahl P.,Wermuch C.G.(編集者),Handbook of Pharmaceutical Salts,IUPAC,2002;Stahlら、Handbook of pharmaceutical salts:Properties,selection and use(2002)Weinheim/Zurich:Wiley−VCH/VHCAを参照されたい。これらの全ては、引用により本明細書に組み込まれる。
【0091】
併用投与
いくつかの実施形態では、本明細書に開示された化合物は、併用して投与される。例えば、いくつかの実施形態では、2つ、3つ、4つ、および/または5つ以上の安定化化合物が一緒に投与される。いくつかの実施形態では、安定化化合物は、ほぼ同様な量で投与される。他の実施形態では、安定化化合物は、異なる量で投与される。例えば、混合物中の2種以上の化合物のいずれか1つは、混合物の約1%〜約99%、混合物の約5%〜約95%、混合物の約10%〜約90%、混合物の約15%〜約85%、混合物の約20%〜約80%、混合物の約25%〜約75%、混合物の約30%〜約70%、、混合物の約35%〜約65%、混合物の約40%〜約60%、混合物の約40%〜約60%、混合物の約45%〜約55%、および/または混合物の約50%に相当し得る。他の実施形態では、混合物中の2種以上の化合物のいずれか1つは、混合物の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約65%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%に相当し得る。
【0092】
抗酸化剤は、そのプロセスの確率的性質および抗酸化剤処理に対するPUFA過酸化生成物(反応性カルボニル)の安定性に起因するPUFA過酸化の悪影響を取り消すことはできないが、本明細書に記載したものなどの、抗酸化剤と酸化に耐性の組成物との併用投与は、酸化的ストレス関連疾患を治療するために有益であることを証明することができる。
【0093】
併用投与に有用であると考えられる特定の抗酸化剤は、以下のものを含む:ビタミンCやビタミンEなどのビタミン類;グルタチオン、リポ酸、尿酸、カロテン、リコピン、ルテイン、アントシアニン、シュウ酸、フィチン酸、タンニン、コエンザイムQ、メラトニン、トコフェロール、トコトリエノール、ポリフェノール(レスベラトロールを含む)、フラボノイド、セレン、オイゲノール、イデベノン、ミトキノン、ミトキノール、ユビキノン、Szeto−Schillerペプチド、およびミトコンドリアを標的とした抗酸化剤。明示的に言及されていない場合には、上記抗酸化剤のキノン誘導体も併用投与に有用であると考えられる。
【0094】
いくつかの実施形態では、安定化化合物は、抗酸化遺伝子をアップレギュレーションする化合物と共に投与される。他の実施形態では、安定化化合物は、Keap1/Nrf2/AREシグナル伝達経路などのシグナル伝達経路に影響を与える化合物と共に投与され、それによって、ヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)などの、抗炎症性および/または抗酸化タンパク質の産生をもたらす。いくつかの実施形態では、安定化化合物は、抗酸化炎症モジュレーターと共に投与される。抗酸化炎症モジュレーターは、酸化促進剤および/または炎症誘発性転写因子を抑制する。いくつかの実施形態では、抗酸化炎症モジュレーターは、転写因子Nrf2の活性化因子である。Nrf2の活性化は、抗酸化、解毒、および抗炎症遺伝子のアップレギュレーションを推進する。他の実施形態では、抗酸化炎症モジュレーターは、NF−κBを抑制する。いくつかの実施形態では、抗酸化炎症モジュレーターは、STAT3を抑制する。他の実施形態では、安定化化合物は、ヒストンデアセチラーゼ活性に影響を与える化合物と共に投与される。いくつかの実施形態では、安定化化合物は、抗酸化剤応答エレメント(ARE)に結合する化合物と共に投与される。他の実施形態では、安定化化合物は、抗酸化炎症モジュレーターとしてバルドキソロンメチル(2−シアノ−3,12−ジオキソオレアン−1,9(11)−ジエン−28−オン酸メチルエステル)と共に投与される。いくつかの実施形態では、抗酸化炎症モジュレーターは、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアン−1,9(11)−ジエン−28−オン酸またはその薬学的に許容され得るエステルである。他の実施形態では、抗酸化炎症モジュレーターは、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアン−1,9(11)−ジエン−28−オン酸のアミドである。いくつかの実施形態では、抗酸化炎症モジュレーターは、トリテルペノイドである。他の実施形態では、抗酸化炎症モジュレーターは、以下の化合物から選択される:
【化17】
【0095】
併用投与療法において有用であると考えられるさらなる抗酸化剤は、米国特許第6,331,532号;同第7,179,928号;同第7,232,809号;同第7,888,334号;同第7,888,335号;同第7,432,305号;同第7,470,798号;および同第7,514,461号;ならびに米国特許出願第20020052342号;同第20030069208号;同第20040106579号;同第20050043553号;同第20050245487号;同第20060229278号:同第20070238709号;同第20070270381号;同第20080161267号;同第20080275005号;同第20090258841号;同第20100029706号;および同第20110046219号に開示された化合物を含み、そこに開示されている化合物は、引用により本明細書に組み込まれる。これらの化合物は、ミトコンドリア標的化化合物であり、限定されるものではないが、以下の化合物を含む:
【0096】
式IまたはIIの化合物
【化18】

式中、RおよびRは、独立して、−C−Cアルキル、−C−Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Brおよび−Iから選択され;Rは、−C−Cアルキル、−C−Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、および−Iから選択され、そして、R20は、独立して、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、および少なくとも1つの2重結合と少なくとも1つの3重結合を有する−C−C20から選択される。
【0097】
3−(6−ヒドロキシ−2−メチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−2−イル)−プロピオン酸メチルエステル;3−(6−ヒドロキシ−2−メチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロマン−2−イル)−プロピオン酸;2,2−ジメチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−6−オール;3−(6−ヒドロキシ−2−メチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−プロパノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−2−イル)−プロピオン酸メチルエステル;2−メチル−2−[3−(チアゾール−2−イルスルファニル)−プロピル]−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−6−オール;[3−(6−ヒドロキシ−2−メチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−2−イル)−プロピル]−ホスホン酸ジメチルエステル;[3−(6−ヒドロキシ−2−メチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−2−イル)−プロピル]−ホスホン酸;3−(6−ヒドロキシ−2−メチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−2−イル)−プロピオン酸メチルエステル;4−(6−ヒドロキシ−2−メチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−2−イル)−ブタン−1−スルホン酸ジメチルアミド;2−(3−ヒドロキシ−プロピル)−2−メチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−6−オール;2−(3−クロロ−プロピル)−2−メチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−6−オール 2,2−ジメチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−6−オール;−(2−クロロ−エチル)−2−メチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−6−オール;2−メチル−2−チアゾール−2−イル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−6−オール;2,2−ジメチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−エタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−6−オール;3−(6−ヒドロキシ−2−メチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−エタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−2−イル)−プロピオン酸;2−(3−クロロ−プロピル)−2−メチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−エタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−6−オール;4−(6−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−7,10−メタノ−2H−ベンゾ[h]クロメン−5−イルメチレン)−2−メチル−5−プロピル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オンなどの化合物。
【0098】
2,2,7,8−テトラメチル−5−フェニル−クロマン−6−オール;4−(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−5−イル)−安息香酸メチルエステル;4−(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−5−イル)−安息香酸;2,2,7,8−テトラメチル−5−ピリジン−4−イル−クロマン−6−オール;2,2,7、8−テトラメチル−5−ピリジン−3−イル−クロマン−6−オール;5−(4−メタンスルホニル−フェニル)−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;5−(4−ジメチルアミノ−フェニル)−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;5−(4−クロロ−フェニル)−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;4−(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−5−イル)−ベンゼンスルホンアミド;5−(4−メトキシ−フェニル)−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−5−イルメチル)−1−ヒドロキシ尿素;2,2,7,8−テトラメチル−5−(3−ニトロ−フェニル)−クロマン−6−オール;2,2,7,8−テトラメチル−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロマン−6−オール;5−(4−tert−ブチル−フェニル)−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;2,2,7,8−テトラメチル−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−クロマン−6−オール;4−(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−5−イル)−ベンゾニトリル;5−(2,5−ジメトキシ−3,4−ジメチル−フェニル)−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;5−(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−5−イル)−ベンゼン−1,2,3−トリオール;5−(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−5−イル)−2,3−ジメチル−ベンゼン−1,4−ジオール;5−(2−クロロ−フェニル)−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;5−フラン−2−イル−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;5−アリルスルファニルメチル−2,2,8−トリメチル−7−(3−メチル−ブチル)−クロマン−6−オール;5−シクロペンチルスルファニルメチル−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;5−ヘキシルスルファニルメチル−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;5−アリルスルファニルメチル−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;5−(4,6−ジメチル−ピリミジン−2−イルスルファニルメチル)−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;1−[3−(6−ヒドロキシ−2,2,7、8−テトラメチル−クロマン−5−イル−メチルスルファニル)−2−メチル−プロピオニル]−ピロリジン−2−カルボン酸;4−(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−5−イルメチレン)−5−メチル−2−フェニル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン;4−(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−5−イル−メチレン)−3−フェニル−4H−イソキサゾール−5−オン;4−[4−(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−5−イル−メチレン)−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1−イル]−安息香酸;4−(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−5−イル−メチレン)−2−メチル−5−プロピル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン;5−ヒドロキシ−3−(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−5−イル−メチレン)−3H−ベンゾフラン−2−オン;2,5,7,8−テトラメチル−2−チオフェン−2−イル−クロマン−6−オール;2−(2,5−ジメチル−チオフェン−3−イル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;2−(2,5−ジメチル−チオフェン−3−イル)−2,7,8−トリメチル−クロマン−6−オール;8−クロロ−2−(2,5−ジメチル−チオフェン−3−イル)−2,5,7−トリメチル−クロマン−6−オール;5−クロロ−2,7,8−トリメチル−2−チオフェン−2−イル−クロマン−6−オール;5−[3−(6−メトキシメトキシ−2,7,8−トリメチル−クロマン−2−イル)−プロピリデン]−チアゾリジン−2,4−ジオン;5−[3−(6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチル−クロマン−2−イル)−プロピリデン]−チアゾリジン−2,4−ジオン;3−[6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−5−イル−メチルスルファニル]−2−メチル−プロピオン酸;2,7,8−トリメチル−5−(5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル−スルファニルメチル)−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−6−オール;2−[6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−5−イルメチルスルファニル]−エタンスルホン酸;5−(4,6−ジメチル−ピリミジン−2−イルスルファニルメチル)−2,7,8−トリメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−6−オール;4−[2−(4,8−ジメチル−トリデシル)−6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチル−クロマン−5−イルメチルスルファニル]−安息香酸;1−{3−[6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−5−イルメチルスルファニル]−2−メチル−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸;2−(2,2−ジクロロ−ビニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;2−(2,2−ジブロモ−ビニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;5−(5−クロロ−3−メチル−ペンタ−2−エニル)−2,2,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール;5−クロロ−2−(2,5−ジメチル−チオフェン−3−イル)−2,7,8−トリメチル−クロマン−6−オール;2−(3−クロロ−プロピル)−5,7−ジメチル−2−チオフェン−2−イル−クロマン−6−オール;5−クロロ−2−(2,5−ジメチル−チアゾール−4−イル)−2,7,8−トリメチル−クロマン−6−オール;5−クロロ−2−(2,5−ジメチル−チアゾール−4−イル)−2,7,8−トリメチル−2H−クロメン−6−オール;および5−クロロ−2−(2,5−ジメチル−チアゾール−4−イル)−2,7,8−トリメチル−クロマン−6−オールなどの化合物。
【0099】
ジメボリン(2,8−ジメチル−5−(2−(6−メチルピリジン−3−イル)エチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール)、8−クロロ−2−メチル−5−(2−(6−メチルピリジン−3−イル)エチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール、メブヒドロリン(5−ベンジル−2−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール)、2,8−ジメチル−1,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール、8−フルオロ−2−(3−(ピリジン−3−イル)プロピル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール、および8−メチル−1,3,4,4a,5,9b−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールなどの化合物。
【0100】
2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−6−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;4−(5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−2,4−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ベンゾニトリル;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(4−フルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(4−クロロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−2−イル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−フェネチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−フェニルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−ベンジル−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−フェニルプロピル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3−(4−メトキシフェニル)−5,6−ジメチル−シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(4−(トリフルオロメチル)−フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(ベンゾフラン−2−イル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(4−クロロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(4−エチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(4−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;4−(2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−4,5−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ベンゾニトリル;2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(2−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3−(3−メトキシフェニル)−5,6−ジメチル−シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3−(4−メトキシフェニル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(4−クロロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(チアゾール−2−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1.4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(チアゾール−5−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)シクロヘキサ−2.5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(ピリダジン−4−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(チオフェン−2−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(チオフェン−3−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(2−(フラン−2−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(2−(フラン−3−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(2−(1H−ピラゾール−5−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(2−(1H−ピラゾール−4−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(2−(1H−イミダゾール−2−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(オキサゾール−5−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(オキサゾール−2−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(オキサゾール−4−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;および2−(2−(1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオンなどの化合物。
【0101】
【化19】

などの化合物:
式中、mは−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、または少なくとも1つの2重結合および少なくとも1つの3重結合を含む−C−C20であり、対イオンは、薬学的に許容され得るアニオンである。
【0102】
3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)プロピルトリフェニルホスホニウム塩;4−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ブチルトリフェニルホスホニウム塩;5−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ペンチルトリフェニルホスホニウム塩;6−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ヘキシルトリフェニルホスホニウム塩;7−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ヘプチルトリフェニルホスホニウム塩;8−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)オクチルトリフェニルホスホニウム塩;9−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ノニルトリフェニルホスホニウム塩;10−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)デシルトリフェニルホスホニウム塩;11−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ウンデシルトリフェニルホスホニウム塩;12−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ドデシルトリフェニルホスホニウム塩;13−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)プロピルデシルトリフェニルホスホニウム塩;14−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ブチルデシルトリフェニルホスホニウム塩;15−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ペンタデシルトリフェニルホスホニウム塩;16−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ヘキサデシルトリフェニルホスホニウム塩;17−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ヘプタデシルトリフェニルホスホニウム塩;18−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)オクタデシルトリフェニルホスホニウム塩;19−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ノナデシルトリフェニルホスホニウム塩;20−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)アイコシルトリフェニルホスホニウム塩;3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)プロピルトリフェニルホスホニウム塩;4−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)ブチルトリフェニルホスホニウム塩;5−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)ペンチルトリフェニルホスホニウム塩;6−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)ヘキシルトリフェニルホスホニウム塩;7−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)ヘプチルトリフェニルホスホニウム塩;8−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)オクチルトリフェニルホスホニウム塩;9−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)ノニルトリフェニルホスホニウム塩;10−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)デシルトリフェニルホスホニウム塩;11−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)ウンデシルトリフェニルホスホニウム塩;12−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)ドデシルトリフェニルホスホニウム塩;13−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシベンジル)プロピルデシルトリフェニルホスホニウム塩;14−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)ブチルデシルトリフェニルホスホニウム塩;15−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)ペンタデシルトリフェニルホスホニウム塩;16−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)ヘキサデシルトリフェニルホスホニウム塩;17−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)ヘプタデシルトリフェニルホスホニウム塩;18−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)オクタデシルトリフェニルホスホニウム塩;19−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)ノナデシルトリフェニルホスホニウム塩;20−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジヒドロキシフェニル)アイコシルトリフェニルホスホニウム塩などの化合物:ここで、塩の対イオンは、薬学的に許容され得るアニオン(例えば、臭化物、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、または2−ナフタレンスルホン酸塩)である。
【0103】
さらに、抗酸化剤の併用投与は、有益な抗酸化剤のレベルを増加させたことが知られている食品を消費する形態を取り得ることも考えられる。このような食品は、定期的な食品と抗酸化剤が含まれている「スーパー食品」の両方を含む。これらの食品は、果物、野菜、他の食品(例えば、イチゴ、クロフサスグリ、ブラックベリー、オレンジ、ブルーベリー、ザクロ、茶、コーヒー、オリーブ油、チョコレート、シナモン、ハーブ、赤ワイン、粒穀物、卵、肉、豆科植物、ナッツ類、ホウレンソウ、カブ、ダイオウ、カカオ豆、トウモロコシ、豆類、キャベツ、など)を含む。
【0104】
送達およびさらなる製剤:
トリグリセリドは、植物油および動物性脂肪の主成分であることがよく知られている。また、トリグリセリドは、グリセロールと3つの脂肪酸から誘導されるエステル化合物であることが知られている。トリグリセリドは、エステル結合を加水分解し、脂肪酸とグリセロールを放出するリパーゼなどの酵素によって代謝される。確かに、この代謝は、脂肪酸を放出し、それは、その後、脂肪酸輸送蛋白質を介して細胞によって取り込まれ得る。種々の疾患を治療するのに有用であるPUFAおよびPUFA模倣物は、患者への投与のために、トリグリセリド、ジグリセリド、および/またはモノグリセリドなどの脂肪に配合することができると考えられる。
【0105】
PUFA、PUFA模倣物、PUFAプロドラッグ、ならびにPUFAおよび/またはPUFA模倣物を含むトリグリセリドの送達は、修正された食事療法を介して可能である。あるいはまた、PUFA、PUFA模倣物、PUFAプロドラッグ、ならびにPUFAおよび/またはPUFA模倣物を含むトリグリセリドは、そのまま食品もしくは食品のサプリメントとして、または限定されるものではないが、アルブミンとの複合物などの、「担体」との複合物として投与することができる。
【0106】
薬物送達や医薬送達のために典型的に使用される方法などの、補強されたPUFAまたはそれらの前駆体を送達する他の方法も採用することができる。これらの方法としては、これらに限定されないが、経口送達、局所送達、経粘膜送達(例えば、経鼻送達、鼻腔篩板を介する送達など)、静脈内送達、皮下送達、吸入、または点眼を含む。
【0107】
限定されるものではないが、リポソーム送達方法を含む標的送達方法および持続放出方法を採用することもできる。
【0108】
本明細書に記載の同位体修飾化合物は、ある一定の時間にわたって投与され得ると考えられ、その間、対象の細胞および組織は、化合物が投与される一定の時間にわたって増加する同位体修飾化合物のレベルを含む。
【0109】
活性成分を含有する組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性もしくは油性懸濁液、水中油型エマルジョン、分散性散剤もしくは顆粒、エマルジョン、硬質もしくは軟質カプセル、またはシロップもしくはエリキシル剤として、経口使用に適した形態であってよい。そのような組成物は、増量剤、可溶化剤、矯味剤、安定剤、着色剤、保存剤および医薬製剤について当業者に公知の他の薬剤などの賦形剤を含有することができる。さらに、経口形態は、本明細書に記載の化合物を含有する食品または食物サプリメントを含むことができる。いくつかの実施形態では、サプリメントは、食品または対象の食物に含有される主要な脂肪に応じて、ω−3またはω−6脂肪酸などのPUFAの1タイプが食品に添加され、またはサプリメントとして使用され得るように、最適化され得る。さらに組成物は、治療を受ける疾患に応じて最適化され得る。例えば、LDLに関連する状態は、リノール酸から生成されるカルジオリピンが酸化されるので、より多量のD−リノール酸を必要とする可能性がある。他の実施形態では、網膜疾患および神経学的/CNS状態などは、D−ω−3脂肪酸がこれらの疾患の治療に関連性がより高いので、D−リノレン酸などのω−3脂肪酸をより多量に必要とし得る。いくつかの態様では、疾患がHNEに関連する場合、D−ω−6脂肪酸が処方されるべきであり、HHEについてはD−ω−3脂肪酸が処方されるべきである。
【0110】
組成物はまた、スプレー、クリーム、軟膏、ローションとして、またはパッチ、包帯もしくは創傷用包帯材への成分もしくは添加剤として、局所適用によって送達するのに適し得る。さらに、本化合物は、機械的手段によって疾患部位に送達することができるか、または正常な組織には豊富ではないか、もしくは存在しない罹患組織の局面について親和性のある、リポソーム(罹患組織についての親和性をリポソームに提供する化学修飾を伴うか、または伴わない)、抗体、アプタマー、レクチンもしくは化学的リガンド(例えば、アルブミンなど)などの全身標的技術の使用によって、疾患部位を標的にすることができる。いくつかの態様では、化粧品の局所適用は、パッチなどによって皮膚を介して送達するための、本明細書に記載の同位体修飾化合物または模倣物である担体の使用を含み得る。眼の障害は、点眼薬で治療することができる。
【0111】
医薬組成物は、注射による投与に適した形態であってもよい。そのような組成物は、溶液、懸濁液またはエマルジョンの形態であってよい。こうした組成物は、安定化剤、抗菌剤、または医薬品の機能を改善するための他の材料を含むことができる。本発明のいくつかの態様はまた、注射による投与または経口もしくは局所使用に適した溶液、懸濁液またはエマルジョンに容易に形成または再構成され得る化合物の乾燥または粉末形態を包含する。注射による送達は、全身送達に適しており、眼に関係する障害を治療するための眼への注射などの局所送達にも適し得る。
【0112】
用量
いくつかの実施形態では、化合物は、約0.01mg/kg〜約1000mg/kg、約0.1mg/kg〜約100mg/kg、および/または約1mg/kg〜約10mg/kgで投与される。他の実施形態では、化合物は、約0.01mg/kg、約0.1mg/kg、約1.0mg/kg、約5.0mg/kg、約10mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg、約100mg/kg、約150mg/kg、約200mg/kg、約300mg/kg、約400mg/kg、約500mg/kg、および/または約1000mg/kgで投与される。
【実施例】
【0113】
実験:MALDI−TOF質量スペクトルは、PE−ABI Voyager Elite遅延抽出機器で記録した。スペクトルは、加速電圧25KVおよび遅延100msにより陽イオンモードで得た。別段特定されない限り、1HのNMRスペクトルは、Varian Gemini 200MHz分光計で記録した。HPLCはWatersシステムで実施した。化学物質は、Sigma−Aldrich Chemical Company(アメリカ合衆国)、Avocado research chemicals(イギリス国)、Lancaster Synthesis Ltd(イギリス国)およびAcros Organics(Fisher Scientific、イギリス国)から得た。シリカゲル、TLCプレートおよび溶媒は、BDH/Merckから得た。IRスペクトルは、Vertex 70分光計を用いて記録した。Hおよび13CのNMRスペクトルは、Bruker AC 400機器を用いて、CDCl中、それぞれ400MHzおよび100MHzで得た(内部標準として、Hについてはδ=0.00におけるTMSまたはδ=7.26におけるCHClならびに13Cについてはδ=77.0におけるCHCl)。
【0114】
当業者であれば、以下に記載の合成を容易に改変して追加の抗酸化性化合物を調製できることを認識するであろう。例えば、安定化された化合物の1タイプのエステルは、切断されて対応するカルボン酸を与え得ることが認識されるであろう。同様に、カルボン酸は、エステル類などのさらなる誘導体に容易に変換することができる。さらに、同位体標識された出発材料の同一性を変化させることにより、以下に記載される化合物の同位体変種を作製することができることが理解されるであろう。後述する合成において、パラホルムアルデヒド−dは、同位体標識出発材料として使用される。同様の合成変換は、パラホルムアルデヒド−d、ホルムアルデヒド−d、パラホルムアルデヒド−d、ホルムアルデヒド−d、および前記化合物の炭素−13標識変異体により使用され得ることが容易に理解されるであろう。ホルムアルデヒド−dは、十分に特性確認された化合物であり、ギ酸−d、ギ酸−d、および/またはジクロロメタン−dなどの公知供給源から、一般的に既知で理解された合成変換を用いて、容易に入手可能である。尚、本明細書に記載の化合物の放射性類似体は、トリチウム含有出発材料を使って調製することができる。これらの化合物は、動物の細胞や組織内取り込みを決定するために有用である。
【0115】
実施例1:11,11−D2−リノール酸の合成
【化20】
【0116】
1,1−ジジュウテロ−オクタ−2−イン−1−オール(2)。ブロモエタン(100ml)、1,2−ジブロモエタン(1ml)およびマグネシウム屑(31.2g)から調製した臭化エチルマグネシウムの乾燥THF(800ml)溶液に、ヘプチン−1((1);170ml)をアルゴン下で30〜60分間かけて滴下した。反応混合物を1時間撹拌し、次いでジュウテロパラホルム(30g)を、一度に注意深く添加した。反応混合物を穏やかに2時間還流させ、−10℃に冷却し、次いで水5〜7mlをゆっくり添加した。混合物を砕いた氷のスラリー0.5kgおよび濃硫酸40mlに注ぎ、ヘキサン0.5Lで洗浄した。有機相を分離し、残りの水相を5:1のヘキサン:酢酸エチルで抽出(3×300ml)した。合わせた有機画分を、飽和NaCl(1×50ml)、飽和NaHCO(1×50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて、無色油119.3g(99%)を得て、それをさらなる精製なしに使用した。HRMS、m/z C12Oの計算値:128.1168;実測値:128.1173。H NMR(CDC1,δ):2.18(t,J=7.0,2H),1.57(s,1H),1.47(q,J=7.0Hz,2H),1.31(m,4H),0.87(t,J=7.0Hz,3H)。
【0117】
1,1−ジジュウテロ−1−ブロモ−オクタ−2−イン(3)。(2)(3.48g;27.2mmol)およびピリジン(19ml)の乾燥ジエチルエーテル(300ml)溶液に、ジエチルエーテル35ml中PBr36mlを、アルゴン下で撹拌しながら−15℃で30分かけて滴下した。反応混合物を室温まで徐々に温め、次いで撹拌しながら3時間還流させ、撹拌なしに1時間還流させた。次いで、反応混合物を−10℃に冷却し、冷水500mlを添加した。残渣が溶解したら、飽和NaCl(250ml)およびヘキサン(250ml)を添加し、有機層を分離した。水性画分をヘキサン(2×100ml)で洗浄し、合わせた有機画分をNaCl(2×100ml)で洗浄し、微量のヒドロキノンおよびトリエチルアミンの存在下、NaSOで乾燥させた。溶媒を、大気圧において蒸留によって、その後回転蒸発によって除去した。残渣を減圧蒸留(3mmHg)によって分留して、薄黄色油147.4gを得た(ジュウテロパラホルムで計数して82%)。沸点75℃。HRMS,m/z C11Brについての計算値:190.0324;実測値:189.0301,191.0321.H NMR(CDC1,δ):2.23(t,J=7.0Hz,2H,CH),1.50(m,2H,CH),1.33(m,4H,CH),0.89(t,J=6.9Hz,3H,CH)。
【0118】
11,11−ジジュウテロ−オクタデカ−9,12−ジイン酸メチルエステル(5)。CuI(133g)を、DMF(CaH上で新しく蒸留した)400mlに素早く添加し、その後乾燥NaI(106g)、KCO(143g)を添加した。次いで、デカ−9−イン酸メチルエステル((4);65g)を一度に添加し、その後、臭化物(3)(67g)を添加した。追加のDMF250mlを使用してフラスコ壁から試薬をすすぎ、反応混合物のバルクに入れ、次いで12時間撹拌した。次いで、飽和NHCl水溶液500mlを撹拌しながら添加し、その後数分以内に飽和NaCl水溶液を添加し、次いでヘキサン:EtOAcの5:1混合物(300ml)を添加した。混合物をさらに15分間撹拌し、次いで細かいメッシュのSchottガラスフィルターに通して濾過した。残渣をヘキサン:EtOAcの混合液で数回洗浄した。有機画分を分離し、水相をさらに抽出した(3×200ml)。合わせた有機画分を乾燥(NaSOで)させ、微量のヒドロキノンおよびジフェニルアミンを添加し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を1mmHg下で直ちに蒸留して、沸点165〜175℃の画分79g(77%)を得た。HRMS,m/z C1928についての計算値:292.2369;実測値:292.2365.H NMR(CDC1,δ):3.67(s,3H,OCH),2.3(t,J=7.5Hz,2H,CH),2.14(t,J=7.0Hz,4H,CH),1.63(m,2H,CH),1.47(m,4H,CH),1.3(m,10H,CH),0.88(t,J=7.0Hz,3H,CH).
【0119】
11,11−ジジュウテロ−シス,シス−オクタデカ−9,12−ジエン酸メチルエステル(6)。酢酸ニッケル四水和物(31.5g)の96%EtOH(400ml)懸濁液を、塩が溶解するまで撹拌しながら約50〜60℃に加熱した。フラスコに水素を勢いよく流し、次いでNaBH溶液(EtOH(170ml)中、NaBH懸濁液(7.2g)を15分撹拌し、その後濾過することによって調製した)130mlを、撹拌しながら20〜30分間かけて滴下した。15〜20分以内にエチレンジアミン(39ml)を一度に添加し、その後5分以内にEtOH(200ml)中の(5)(75g)を添加した。反応混合物を、水素(1気圧)下で非常に激しく撹拌した。水素吸収は約2時間で停止した。反応混合物に、ヘキサン900mlおよび氷冷したAcOH55mlを添加し、その後、水(15ml)を添加した。ヘキサン(400ml)を添加し、混合物を分離させた。水性画分を、ヘキサン:EtOAcの5:1混合液によって抽出した。抽出の完了をTLCによって監視した。合わせた有機相を希釈したHSO溶液で洗浄し、その後、飽和NaHCOおよび飽和NaClで洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。シリカゲル(シリカゲル60、Merck;162g)を、硝酸銀(43g)の無水MeCN(360ml)溶液に添加し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。得られた含浸シリカゲルを、50℃で3時間乾燥させ(吸引ポンプで)、次いで油ポンプで8時間乾燥させた。生成物1g当たり、このシリカ30gを使用した。反応混合物を少量のヘキサンに溶解し、銀修飾シリカゲルに適用し、1〜3%勾配のEtOAcで予洗した。非極性汚染物質を洗い流したら(TLCによる制御)、生成物を10%EtOAcで溶出し、溶媒を減圧下で蒸発させて、標題エステル(6)52gを無色液体として得た。HRMS,m/z C1932についての計算値:296.2682;実測値:296.2676.IR(CCl):ν=1740cm−1H NMR(CDC1,δ):5.32(m,4H),3.66(s,3H,OCH),2.29(t,J=7.5Hz,2H,CH),2.02(m,4H,CH),1.60(m,2H,CH),1.30(m,14H,CH),0.88(t,J=7.0Hz,3H,CH).
【0120】
11,11−ジジュウテロ−シス,シス−オクタデカ−9,12−ジエン酸(7)。KOH(46g)の水(115ml)溶液を、エステル(6)(46g)のMeOH(60ml)溶液に添加した。反応混合物を40〜50℃で2時間撹拌し(TLCによる制御)、次いで水200mlで希釈した。溶媒の3分の2を除去した(ロータリーエバポレーターで)。希硫酸をpH2になるまで残渣に添加し、その後少量のペンタンと共にジエチルエーテルを添加した。有機層を分離し、水層を少量のペンタンと共にジエチルエーテルで洗浄した。合わせた有機画分を飽和NaCl水溶液で洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させて、43gの(7)(99%)を得た。IR(CCl):ν=1741、1711cm−1
【0121】
実施例2.11,11,14,14−D4−リノレン酸の合成
【化21】
【0122】
1,1−ジジュウテロ−ペンタ−2−イン−1−オール(9)。ブロモエタン(100ml)およびマグネシウム屑(31.3g)から調製した臭化エチルマグネシウムの乾燥THF(800ml)溶液中、ブタ−1−イン(8)を浴(−5℃)上でゆっくり発泡させた。時々発泡を停止し、ブタ−1−インを入れたシリンダーを秤量して、消費速度を測定した。多量の沈殿物が形成して間もなく、アルキンの供給を停止した(消費されたアルキンの測定質量は125gであった)。反応混合物を30分かけて室温まで温め、次いで15分間撹拌した。次いで、混合物を30℃まで加熱すると、その時点で沈殿物が溶解し、次いで室温でさらに30分間撹拌した。ジュウテロパラホルム(28g)を一度に添加し、混合物を3時間還流させて、透明溶液を形成した。それを室温に冷却し、砕いた氷(800g)および濃HSO50mlの混合物に注いだ。ヘキサン(400ml)を添加し、有機層を分離した。水相をNaClで飽和させ、ヘキサン:EtOAcの4:1混合物(1L)で抽出した。抽出プロセスの完了をTLCによって監視した。合わせた有機相を、飽和NaCl、NaHCO、再度NaClで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を大気圧下、蒸留によって除去した(最大蒸気温度105℃)。残渣(70.5g;94%)をさらなる精製なしに使用した。HRMS,m/z COについての計算値:86.0699;実測値:86.0751.H NMR(CDC1,δ):2.21(q,J=7.5Hz,2H,CH),1.93(br s,1H,OH),1.12(t,J=7.5Hz,3H,CH).13C NMR(CDC1,δ):87.7,77.6,13.7,12.3(CDのシグナルは存在しない).
【0123】
1,1−ジジュウテロ−1−ブロモ−ペンタ−2−イン(10)。(9)(70.5g)およびピリジン(16.5ml)の乾燥ジエチルエーテル(280ml)溶液に、ジエチルエーテル50ml中PBr32.3mlを、アルゴン下で撹拌しながら−10℃で30分かけて滴下した。反応混合物を1時間かけて室温まで徐々に温めた。少量のヒドロキノンを添加し、次いで混合物を4.5時間還流させた。次いで反応混合物を−10℃に冷却し、冷水350mlを添加した。残渣が溶解したら、飽和NaCl(350ml)およびヘキサン(300ml)を添加し、有機層を分離した。水性画分をジエチルエーテル(2×150ml)で洗浄し、合わせた有機画分をNaCl(2×50ml)で洗浄し、微量のヒドロキノンおよびトリエチルアミンの存在下、NaSOで乾燥させた。溶媒を大気圧下で除去し、次いで沸点147〜155℃の画分を蒸留した。あるいは、100℃に達した後、大気圧下での蒸留を停止させ、生成物を77〜84℃で蒸留した(25mmHg)。収率:107gの澄明液体。HRMS,m/z CBrについての計算値:147.9855;実測値:146.9814,148.9835.IR(CC1):ν=2251cm−1H NMR(CDC1,δ):2.23(q,J=7.5Hz,2H,CH),1.11(t,J=7.5Hz,3H,CH).13C NMR(CDC1,δ):89.3,74.5,13.4,12.6(CDのシグナルは存在しない).
【0124】
1,1,4,4−テトラジュウテロ−オクタ−2,5−ジイン−1−オール(12)。乾燥THF400ml中、臭化エチル(53ml)およびマグネシウム屑(15.8g)から調製した臭化エチルマグネシウムを、乾燥THF350mlに少量ずつ添加すると同時に、激しく撹拌しながらこの混合物中にアセチレンを発泡させた(約25L/時の速度で)。グリニャール試薬溶液を、2〜5分当たり約10mlの割合で混合物に供給した。すべての臭化エチルマグネシウムを添加したら(約2.5時間後)、その反応系中にアセチレンをさらに15分間発泡させた。ジュウテロパラホルム(17.3g)とCuCl(0.2g)をアルゴン下で添加し、ジュウテロパラホルムが溶解するまで反応混合物を撹拌しないで2.5時間還流させて、(11)の溶液を得た。乾燥THF250ml中、マグネシウム14.8gおよび臭化エチル50mlから調製した臭化エチルマグネシウム溶液を、20分かけて反応混合物に滴下した。ガスの発生が停止したら冷却器を取り付け、溶媒250mlを留去した。次いで、反応混合物を30℃に冷却し、CuCl(1.4g)を添加し、その後、臭化物(10)(69g)を15分かけて滴下した。次いで、反応混合物を5時間還流させ、わずかに冷却し(冷却が速すぎると沈殿物が形成することになる)、砕いた氷(1〜1.2kg)と濃HSO40mlのスラリーに注いだ。混合物をヘキサン(600ml)で洗浄した。有機画分を分離し、水性画分を5:1のヘキサン:EtOAc(2×400ml)でさらに抽出した。合わせた有機画分を飽和NaClで洗浄し、その後飽和NaHCOおよびNaClで洗浄した。溶媒のバルクを、微量のヒドロキノンおよびトリエチルアミンの存在下で大気圧下において除去した。残渣を、シリカゲル100mlでフラッシュした(溶離液:7:1のヘキサン:EtOAc)。溶媒のバルクを大気圧下において除去し、残りをロータリーエバポレーターで除去した。得られた標題化合物49.5g(85%)をさらなる精製なしに使用した。HRMS,m/z COについての計算値:126.0979;実測値:126.0899.IR(CC1):ν=3622cm−1H NMR(CDCl,δ):2.16(q,J=7.5Hz,2H,CH),1.85(br s,1H,OH),1.11(t,J=7.5Hz,3H,CH).13C NMR(CDCl,δ):82.3,80.4,78.3,72.6,13.7,12.2
【0125】
1,1,4,4−テトラジュウテロ−1−ブロモ−オクタ−2,5−ジイン(13)を、臭化物(3)について記載の通りに合成した;アルコール(12)54.2gに対して、ピリジン2ml、PBr14mlおよびジエチルエーテル250mlを使用した。生成物を、4mmHg下で蒸留することによって精製した。収率:53g(65%)の(13);沸点100〜110℃。HRMS,m/z CBrについての計算値:188.0135;実測値:187.0136,189.0143.IR(CC1):ν=2255cm−1H NMR(CDC1,δ):2.13(q,J=7.5Hz,2H,CH);1.07(t,J=7.5Hz,3H,CH).13C NMR(CDC1,δ):82.5,81.8,75.0,72.0,13.6,12.2.
【0126】
11,11,14,14−テトラジュウテロ−オクタデカ−8,12,15−トリイン酸メチルエステル(15)を、11,11−ジジュウテロ−オクタデカ−9,12−ジイン酸メチルエステル(5)について記載のものと同様の方法で合成した。CuI(97g)を、DMF400ml(CaH上で新しく蒸留した)に迅速に添加し、その後乾燥NaI(77.5g)、KCO(104.5g)を添加した。次いで、デカ−9−イン酸メチルエステル((14);47.5g)を一度に添加し、その後臭化物(13)(48.5g)を添加した。追加のDMF250mlを使用してフラスコ壁から試薬をすすぎ、反応混合物のバルクに入れ、次いで12時間撹拌した。次いで、飽和NHCl水溶液500mlを撹拌しながら添加し、その後数分以内に飽和NaCl水溶液(300ml)を添加し、その後ヘキサン:EtOAcの5:1混合物(300ml)を添加した。混合物をさらに15分間撹拌し、次いで細かいメッシュのSchottガラスフィルターを通して濾過した。残渣をヘキサン:EtOAc混合液で数回洗浄した。有機画分を分離し、水相をさらに抽出した(3×200ml)。合わせた有機画分を乾燥(NaSOで)させ、微量のヒドロキノンおよびジフェニルアミンを添加し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を1mmHg下ですぐに蒸留して、沸点173〜180℃の画分45.8g(62%)を得た。さらなる結晶化を以下の通り実施した。エステル(15)をヘキサン(500ml)に溶解し、−50℃に冷却した。形成した結晶を、冷ヘキサンで洗浄した。このステップの収率は80%である。HRMS,m/z C1922についての計算値:290.2180;実測値:290.2200.H NMR(CDC1,δ):3.66(s,3H,OCH),2.29(t,J=7.5Hz,2H,CH),2.15(m,4H,CH),1.61(m,2H,CH),1.47(m,2H,CH),1.30(m,6H,CH),1.11(t,J=7.5Hz,3H,CH).13C NMR(CDC1,δ):174.1,82.0,80.6,74.7,74.6,73.7,73.0,51.3,33.9,28.9,28.6,28.52,28.49,24.8,18.5,13.7,12.2.
【0127】
11,11,14,14−テトラジュウテロ−シス,シス,シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸メチルエステル(16)を、11,11−ジジュウテロ−シス,シス−オクタデカ−9,12−ジエン酸メチルエステル(「6」)について記載のものと同様の方法で合成した。酢酸ニッケル四水和物(42g)の96%EtOH(400ml)懸濁液を、塩が溶解するまで撹拌しながら約50〜60℃に加熱した。フラスコを水素でフラッシュし、次いでNaBH溶液(EtOH(170ml)中NaBH懸濁液(7.2g)を15分間撹拌し、その後濾過することによって調製した)130mlを、撹拌しながら20〜30分間かけて滴下した。15〜20分以内にエチレンジアミン(52ml)を一度に添加し、その後5分以内にEtOH(200ml)中(15)(73g)を添加した。反応混合物を、水素(1気圧)下で非常に激しく撹拌した。水素吸収は約2時間で停止した。反応混合物に、ヘキサン900mlおよび氷冷AcOH55mlを添加し、その後水(15ml)を添加した。ヘキサン(400ml)を添加し、混合物を分離させた。水性画分を、ヘキサン:EtOAcの5:1混合液によって抽出した。抽出の完了をTLCによって監視した。合わせた有機相を希釈したHSO溶液で洗浄し、その後、飽和NaHCOおよび飽和NaClで洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。精製のためのシリカゲルを、(6)について記載の通り調製した。生成物1g当たり、このシリカを30g使用した。反応混合物を少量のヘキサンに溶解し、銀修飾シリカゲルに適用し、1〜5%勾配のEtOAcで予洗した。非極性汚染物質を洗い流したら(TLCによる制御)、生成物を10%EtOAcで溶出し、溶媒を減圧下で蒸発させて、標題エステル(16)42gを無色液体として得た。HRMS,m/z C1928についての計算値:296.2649;実測値:296.2652.IR(CC1):ν=1740cm−1H NMR(CDC1,δ):5.4(m,6H,CH−二重結合),3.68(s,3H,OCH),2.33(t,J=7.5Hz,2H,CH),2.09(m,4H,CH),1.62(m,2H,CH),1.33(m,8H,CH),0.97(t,J=7.5Hz,3H,CH).13C NMR(CDC1,δ):174.1,131.9,130.2,128.2,128.1,127.7,126.9,51.3,34.0,29.5,29.04,29.02,27.1,25.5,24.9,20.5,14.2.
【0128】
11,11,14,14−テトラジュウテロ−シス,シス,シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(17)。KOH(1.5g、27mmol)の水(2.6ml)溶液を、エステル(16)(1.00g、3.4mmol)のMeOH(15ml)溶液に添加した。反応混合物を40〜50℃で2時間撹拌し(TLCによる制御)、次いで水20mlで希釈した。溶媒の3分の2を除去した(ロータリーエバポレーターで)。希硫酸をpH2になるまで残渣に添加し、その後少量のペンタンと共にジエチルエーテルを添加した(50ml)。有機層を分離し、水層を少量のペンタンと共にジエチルエーテルで洗浄した(3×30ml)。合わせた有機画分を飽和NaCl水溶液で洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させて、(17)0.95g(100%)を得た。IR(CCl):ν=1741、1711cm−1
【0129】
実施例3.14,14−D2−リノレン酸の合成
【化22】
【0130】
4,4−ジジュウテロ−オクタ−2,5−ジイン−1−オール(19)。臭化エチル(9.2ml、123.4mmol)およびマグネシウム屑(2.74g、112.8mmol)から調製した臭化エチルマグネシウムの乾燥THF40ml溶液に、氷浴上で撹拌しながら、THF(5ml)中のプロパルギルアルコール(3.16g、56.4mmol)を10〜15分間かけて滴下した。反応混合物を室温まで加温し、時々40℃まで温めながらさらに2時間撹拌した。こうして生成されたジアニオンに、CuCl0.13gを添加し、その後THF(20ml)中の臭化物(10)(6.9g)をゆっくり(15分かけて)添加した。次いで、反応混合物を室温で1時間撹拌し、それから5時間還流させた。次いで、反応混合物を5時間還流させ、わずかに冷却し(冷却が速すぎると沈殿物が形成することになる)、砕いた氷と2.5mlの濃H2SO4のスラリーに注いだ。混合物をヘキサン(600ml)で洗浄した。有機画分を分離し、水性画分を5:1のヘキサン:EtOAcでさらに抽出した。合わせた有機画分を飽和NaClで洗浄し、その後、飽和NaHCO3およびNaClで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。溶媒のバルクを、微量のヒドロキノンおよびトリエチルアミンの存在下で大気圧下において除去した。生成物をCC(ヘキサン:EtOAc=15:1)によって精製して、3.45g(59%)の生成物19を得た。HRMS,m/z COについての計算値:124.0855;実測値:124.0849.IR(CC1):ν=3622cm−1H NMR(CDC1,δ):4.21(m,2H,CH),2.4(m,1H,OH),2.16(q,J=7.5Hz,2H,CH),1.11(t,J=7.5Hz,3H,CH).13C NMR(CDC1,δ):82.3,80.4,78.3,72.6,51.0,13.7,12.2.
【0131】
4,4−ジジュウテロ−1−ブロモ−オクタ−2,5−ジイン(20)を、すべての溶媒をロータリーエバポレーターで除去したことを除き、(3)について記載の通り合成した。3.4g(27mmol)の(19)から、臭化物(20)3.9g(75%)を得て、それをさらに精製することなく使用した。HRMS,m/z CBrについての計算値:186.0011;実測値:185.0019,187.0012.IR(CC1):ν=2255cm−1H NMR(CDC1,δ):3.88(br s,2H,CH),2.13(q,J=7.5Hz,2H,CH),1.07(t,J=7.5Hz,3H,CH).13C NMR(CDC1,δ):82.5,81.8,75.0,72.0,14.8,13.6,12.2.
【0132】
14,14−ジジュウテロ−オクタデカ−8,12,15−トリイン酸メチルエステル(21)を、(5)について記載の通り合成した。CuI9.7g、NaI7.8g、KCO10.5g、臭化物(20)4.85g、メチルエステル(14)4.75gおよび無水DMF40mlから得られた生成物を、CC(25:1のヘキサン:EtOAc)によって精製して、標題化合物4.5g(60%)を得た。HRMS,m/z C1924についての計算値:288.2056;実測値:288.2046.H NMR(CDC1,δ):3.66(s,3H,OCH),3.12(m,2H,CH),2.29(t,J=7.5Hz,2H,CH),2.15(m,4H,CH),1.61(m,2H,CH),1.47(m,2H,CH),1.30(m,6H,CH),1.11(t,J=7.5Hz,3H,CH).13C NMR(CDC1,δ):174.1,82.0,80.6,74.7,74.6,73.7,73.0,51.3,33.9,28.9,28.6,28.52,28.49,24.8,18.5,13.7,12.2,9.7.
【0133】
14,14−ジジュウテロ−シス,シス,シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸メチルエステル(22)を、リノール酸誘導体(6)について記載の通り合成した。4.5gの(21)の還元のために、酢酸ニッケル四水和物2.6gおよびエチレンジアミン3.2mlを使用した。生成物を、(6)について記載の通りAgNO含浸シリカゲルで精製した。HRMS,m/z C1930についての計算値:294.2526;実測値:294.2529.IR(CC1):ν=1740cm−1H NMR(CDC1,δ):5.37(m,6H,CH−二重結合),3.68(s,3H,OCH),2.82(m,2H,CH),2.33(t,J=7.5Hz,2H,CH),2.09(m,4H,CH),1.62(m,2H,CH),1.33(m,8H,CH),0.97(t,J=7.5Hz,3H,CH).13C NMR(CDC1,δ):174.1,131.9,130.2,128.2,128.1,127.7,126.9,51.3,34.0,29.5,29.1,29.04,29.02,27.1,25.5,24.9,20.5,14.2.
【0134】
14,14−ジジュウテロ−シス,シス,シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(23)。(22)(1g、3.4mmol)のMeOH(15ml)溶液に、KOH(1.5g、27mmol)の水(2.6ml)溶液を一度に添加した。次いで、反応混合物を(7)について記載の通り処理して、標題の酸0.94g(99%)を得た。IR(CCl):ν=1741、1711cm−1
【0135】
実施例4.11,11−D2−リノレン酸の合成
【化23】
【0136】
ペンタ−2−イン−1−オール(24)。ブチン−1((8);10.4g)を、THF(100ml)中ブロモエタン(11.2ml)およびマグネシウム屑(3.6g)から調製した氷冷溶液中で発泡させた。反応混合物を室温まで温め、次いで15分間撹拌した。次いで、混合物を30℃まで加熱すると、その時点ですべての沈殿物が溶解した。加熱を止め、混合物をさらに30分間撹拌し、次いでパラホルム(3g)を一度に添加した。反応混合物を3時間還流させ(すべてのパラホルムが溶解した)、次いで室温に冷却し、砕いた氷(80g)および濃HSO8mlの混合物に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を、飽和NaHCOおよびNaClで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣(7.56g;90%)をさらに精製することなく使用した。HRMS,m/z COについての計算値:84.0575;実測値:84.0583.
【0137】
1−ブロモ−ペンタ−2−イン(25)。(24)(11.7g)およびピリジン(2.66ml)の乾燥ジエチルエーテル(34ml)溶液に、ジエチルエーテル5ml中PBrの5.2mlを、アルゴン下で撹拌しながら−10℃で30分かけて滴下した。反応混合物を1時間かけて室温まで徐々に温めた。触媒量のヒドロキノンを添加し、次いで混合物を4.5時間還流させた。次いで、反応混合物を−10℃に冷却し、冷水35mlを添加した。残渣が溶解したら、飽和NaCl(35ml)およびジエチルエーテル(30ml)を添加し、有機層を分離した。水性画分をジエチルエーテル(2×15ml)で洗浄し、合わせた有機画分をNaCl(2×400ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒を、大気圧下で、次いで減圧下(25mmHg)で除去し、60〜90℃の画分を回収した。収率:11.1g(84%)。HRMS,m/z CBrについての計算値:145.9731;実測値:144.9750,146.9757.
【0138】
1,1−ジジュウテロ−オクタ−2,5−ジイン−1−オール(26)を、収率87%で(12)について記載の通り合成した。HRMS,m/z COについての計算値:124.0855;実測値:124.0868.IR(CC1):ν=3622cm−1H NMR(CDC1,δ):2.65(m,2H,CH),2.4(m,1H,OH),2.1(q,2H,CH),1.09(t,3H,CH).
【0139】
1,1−ジジュウテロ−1−ブロモ−オクタ−2,5−ジイン(27)を、すべての溶媒をロータリーエバポレーターで除去したことを除き、(3)について記載の通り合成した。生成物を、減圧下で蒸留によって精製した。収率:86%(沸点100〜105℃、4mmHg)。HRMS,m/z CBrについての計算値:186.0011;実測値:184.9948,187.9999.IR(CC1):ν=2255cm−1H NMR(CDC1,δ):2.66(m,2H,CH),2.1(q,2H,CH),1.09(t,3H,CH).
【0140】
11,11−ジジュウテロ−オクタデカ−8,12,15−トリイン酸メチルエステル(28)を、(5)について記載の通り合成した。CuI7.1g、NaI5.66g、KCO7.65g、臭化物(27)3.55g、メチルエステル(14)3.47gおよび無水DMF30mlから得られた生成物を、CC(25:1のヘキサン:EtOAc)によって精製して、標題化合物3.7gを得た。HRMS,m/z C1924についての計算値:288.2056;実測値:288.2069.H NMR(CDC1,δ):3.7(s,3H,OCH),3.15(br.s,2H,CH),2.35(m,2H,CH),2.17(m,4H,CH),1.61(m,2H,CH),1.48(m,2H,CH),1.35(m,6H,CH),1.11(t,3H,CH
【0141】
11,11−ジジュウテロ−シス,シス,シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸メチルエステル(29)を、リノール酸誘導体(6)について記載の通り合成した。3.7gの(28)の還元のために、酢酸ニッケル四水和物2.16gおよびエチレンジアミン2.62mlを使用した。生成物を(6)について記載の通りAgNO含浸シリカゲルで精製して、1.5gを得た。HRMS,m/z C1930についての計算値:294.2526;実測値:294.2402.IR(CC1):ν=1740cm−1H NMR(CDC1,δ):5.37(m,6H,CH−二重結合),3.6(s,3H,OCH),2.82(m,2H,CH),2.33(t,o=7.5Hz,2H,CH),2.09(m 4H,CH),1.62(m,2H,CH),1.33(m,8H,CH),0.97(t,J=7.5Hz,3H,CH).13C NMR(CDC1,δ):174.1,131.9,130.2,128.2,128.1,127.7,126.9,51.3,34.0,29.5,29.1,29.04,29.02,27.1,25.5,24.9,20.5,14.2.
【0142】
11,11−ジジュウテロ−シス,シス,シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(30)。(29)(1.5g、5.1mmol)のMeOH(7.5ml)溶液に、KOH(1.5g、27mmol)の水(3ml)溶液を一度に添加した。次いで、反応混合物を(17)について記載の通り処理して、標題の酸0.9gを得た。IR(CC1):ν=1741,1711cm−1H NMR(CDC1,δ):11.2(br s,1H,COOH),5.37(m,6H,CH−二重結合),2.83(m,2H,CH),2.35(t,J=7.5Hz,2H,CH),2.06(m 4H,CH),1.63(m,2H,CH),1.32(m,8H,CH),0.97(t,J=7.5Hz,3H,CH).13C NMR(CDC1,δ):180.4,131.9,130.2,128.3,128.1,127.6,127.1,34.1,29.5,29.1,29.03,28.98,27.2,25.5,24.6,20.5,14.2.
【0143】
実施例5.8,8−D−リノール酸メチルエステルの合成
【化24】
【0144】
8−ヒドロキシオクタン酸(502)。8−ブロモカプリル酸(501、37.5g、168mmol)、無水酢酸ナトリウム(60.0g、732mmol)およびヨウ化ナトリウム(1.0g、6.7mmol)のDMF(200ml)溶液を110〜120℃で8時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、水酸化カリウム(28g、0.5mol)の水(150ml)溶液を添加し、混合物をさらに1時間100℃で撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、氷と濃硫酸(45ml)のスラリー中に注いだ。得られた溶液をNaClで飽和させ、EtOAcと石油エーテル(1:1)の混合物で抽出(9×150ml)した。合わせた有機画分を飽和NaClで2回洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を蒸発させて生成物26.5g(98%)を得て、これをさらに精製することなく使用した。少量の生成物をシリカのCC(溶離液:石油エーテル:EtOAc=2:1)によりさらに精製し、特性検定した。H NMR(400MHz,CDC1)δ1.27−1.39(m,6H),1.50−1.68(m,4H),2.32(t,2H,J=7.5Hz),3.62(t,2H,J=6.5Hz),6.87(br.s.,2H).
【0145】
8−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)オクタン酸メチル(503)。8−ヒドロキシオクタン酸(502;26.3g、164mmol)を、塩化アセチル(3.5ml)を含有するメタノール(500ml)に溶解した。反応混合物を5時間還流し、溶媒を減圧下で除去した。CHCl(200ml)に溶解した残渣に、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(29ml、318mmol)を加え、反応混合物を20分間還流した。5mlのトリエチルアミンを添加し、溶媒を減圧下で除去し、残渣を石油エーテル(100ml)に溶解し、水で洗浄した。有機層を小さいシリカカラム(シリカ、100ml;溶離液:石油エーテルから石油エーテル:EtOAc=20:1)でフラッシュ精製した。後処理して生成物38.2g(90%)を得て、これはさらに精製することなく使用した。少量の生成物をシリカのCC(溶離液:石油エーテル:EtOAc=15:1)によりさらに精製し、特性検定した。IR(CC1):ν=1741cm−1H NMR(400MHz,CDC1)δ1.20−1.36(m,6H),1.40−1.82(m,10H),2.23(t,2H,J=7.5Hz),3.30(dt,1H,J=9.5Hz,6.5Hz),3.39−3.46(m,1H),3.59(s,3H),3.65(dt,1H,J=9.5Hz,7.0Hz),3.76−3.83(m,1H),4.47−4.52(m,1H).
【0146】
[1,1−D]−8−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)オクタン−1−オール(504)。氷浴中、エステル(503)(37.5g、145mmol)のジエチルエーテル(100ml)撹拌溶液に、LiAlD(4.0g、95mmol)のジエチルエーテル(300ml)懸濁液を1時間かけて滴下した。冷たい反応混合物に水(4ml)、15%NaOH(4ml)および水(12ml)を撹拌しながら添加した。沈殿物を濾過し、エチルエーテルで洗浄した。減圧下で蒸発させて、生成物33.5g(99%)を得た。少量の生成物をシリカのCC(溶離液:石油エーテル:EtOAc=10:1)によりさらに精製し、特性検定した。IR(CC1):ν=3638,3499cm−1H NMR(400MHz,CDC1)δ1.22−1.33(m,8H),1.42−1.56(m,8H),1.61−1.69(m,1H),1.71−1.80(m,1H),2.38(br.s.,1H),3.31(dt,1H,J=9.5Hz,6.5Hz),3.40−3.46(m,1H),3.66(dt,1H,J=9.5Hz,7.0Hz),3.76−3.84(m,1H),4.49−4.53(m,1H).13C NMR(100MHz,CDC1)δ19.5,25.3,25.5,26.0,29.2,29.3,29.5,30.6,32.4,62.1,67.5,98.7.
【0147】
[1,1−D]−8−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)オクチルメタンスルホナート(505)。アルコール(504)(33.4g、144mmol)とトリエチルアミン(45ml、323mmol)のジエチルエーテル(300ml)溶液に、0℃でMsCl(14.2ml、183mmol)のジエチルエーテル(100ml)溶液を撹拌しながら1時間かけて滴下した。反応混合物を室温にまで加温し、水で処理した。EtOによる水相の洗浄液(2×50ml)と合わせた有機相を、飽和NaClで2回洗浄し、NaSOで乾燥し、デカントした。これを、小さなシリカカラム(シリカ、100ml;石油エーテル:EtOAc=10:1)上でフラッシュ精製した。後処理してメタンスルホナート(505)43.7g(98%)を得た。IR(CC1):ν=1739cm−1H NMR(400MHz,CDCI3)δ1.26−1.41(m,8H),1.44−1.59(m,6H),1.63−1.84(m,4H),2.97(s,3H),3.32(dt,1H,J=9.5Hz,6.5Hz),3.42−3.50(m,lH),3.69(dt,1H,J=9.5Hz,7.0Hz)3.78−3.86(m,1H),4.52−4.56(m,1H).13C NMR(100MHz,CDC1)δ19.6,25.2,25.4,26.0,28.7,28.8,29.1,29.5,30.7,37.2,62.3,67.4,98.8.
【0148】
2−([8,8−D]−デカ−9−イン−1−イルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(506)。DMSO(100ml)中のメタンスルホナート(505)(43.5g、140mmol)をエチレンジアミン−リチウムアセチレニド複合体(70g、0.76mol)のDMSO(200ml)懸濁液に1時間かけて攪拌しながら滴下し、次いで、混合物を90分間撹拌した。反応混合物を、氷上に注ぎ、抽出(EtO、3×150ml)し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。これを小さなシリカカラム(シリカ、100ml;石油エーテル)でフラッシュ精製した。溶媒を除去(ロータリーエバポレーターで)し、生成物25.3g(75%)を得た。少量の生成物をシリカのCC(溶離液:石油エーテル:EtOAc=25:1)によりさらに精製し、特性検定した。IR(CC1):ν=3314cm−1H NMR(400MHz,CDC1)δ1.21−1.38(m,8H),1.42−1.57(m,8H),1.62−1.70(m,1H),1.73−1.83(m,1H),1.89(s,1H),3.32(d.t.,1H,J=9.5Hz,6.5Hz),3.42−3.50(m,1H),3.68(d.t.,1H,J=9.5Hz,7.0Hz)3.78−3.86(m,1H),4.51−4.54(m,1H).13C NMR(100MHz,CDC1)δ19.6,25.4,26.1,28.1,28.5,28.9,29.2,29.6,30.6,30.7,62.1,67.5,68.0,98.7.
【0149】
[8,8−D]−デカ−9−イン−1−オール(507)。エーテル(506)(25g、104mmol)をピリジニウムp−トルエンスルホナート(0.2g)を含むメタノール(300ml)に溶解した。反応混合物を3時間還流し、EtN(1ml)でクエンチし、溶媒を減圧下、除去し、残渣を石油エーテルに溶解し、少量のシリカゲルに通して濾過した。溶媒を蒸発させて生成物15.4g(95%)を得た。少量の生成物をシリカのCC(溶離液:石油エーテル:EtOAc=15:1)によりさらに精製し、特性検定した。IR(CC1):ν=3638,3508,3314cm−1H NMR(400MHz,CDC1)δ1.22−1.40(m,8H),1.42−1.56(m,4H),1.91(s,1H),2.29(br.s.,1H),3.59(t,J=6.5Hz,2H).13C NMR(100MHz,CDC1)δ25.6,28.1,28.5,29.0,29.2,32.6,62.8,68.1,84.6.
【0150】
デカ−9−イン酸[8,8−D]−メチル(508)。30℃の水浴上の2口丸底フラスコ中、三酸化クロム(24g、0.24mol)と濃硫酸(21ml)の水(100ml)溶液に、撹拌しながら、アルコール(507)(15.5g、99mmol)のアセトン(150ml)溶液を90分間かけて滴下した。添加後、反応混合物をさらに15分間撹拌し、そして過剰の酸化剤は、イソプロピルアルコールでクエンチした。混合物を冷水に注ぎ、ジエチルエーテル(5×50ml)で抽出した。合わせた有機画分を飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をメタノール(200ml)に溶解し、濃硫酸(1ml)を添加して、90分間還流した。酸は、トリエチルアミン(6.5ml、47mmol)でクエンチし、溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカ上のCC(溶離液:石油エーテル:EtOAc=50:1)によって精製し、エステル(508)12.6g(アルコール(507)当たりの計数で69%)を得て、次いで特性検定した。IR(CC1):ν=3314,1740cm−1H NMR(400MHz,CDC1)δ1.19−1.38(m,6H),1.41−1.48(m,2H),1.51−1.61(m,2H),1.88(s,1H),2.25(t,J=7.5Hz,2H),3.60(s,3H).13C NMR(100MHz,CDC1)δ24.7,28.0,28.3,28.6,28.8,33.9,51.3,68.1,84.4,174.0.
【0151】
オクタデカ−9,12−ジイン酸[8,8−D]−メチル(510)。DMF(20ml)に、撹拌しながらCuI(3.9g、20mmol)、次いで、NaI(3.1g、21mmol)、KCO(4.2g、30mmol)、エステル(508)(1.9g、10.3mmol)、および臭化物(509)(2.04g、10.8mmol、[2]に記載の通り合成した)を添加した。反応混合物を室温で12時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(20ml)、次いで飽和NaCl(15ml)を混合物に添加した。沈殿物と水相を石油エーテルで洗浄した。合わせた有機画分を、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカのCC(溶離液:石油エーテル:EtOAc=50:1)により精製して生成物2.47g(82%)を得た。H NMR(400MHz,CDC1)δ0.86(t,J=7.0Hz,3H),1.22−1.36(m,10H),1.40−1.50(m,4H),1.55−1.64(m,2H),2.09−2.15(m,2H),2.28(t,J=7.5Hz,2H),3.09(t,J=2.5Hz,2H),3.64(s,3H).13C NMR(100MHz,CDC1)δ9.6,13.9,18.6,22.1,24.8,28.3,28.4,28.5,28.7,28.9,31.0,34.0,51.4,74.4,74.5,80.2,80.4,174.2.
【0152】
[8,8−D]−オクタデカ−9,12−ジエノエート(511)。微粉砕Ni(AC)x4HO(0.8g、3.2mmol)の96%エタノール(25ml)懸濁液を塩が完全に溶解するまで攪拌しながら50〜60℃に加熱した。反応系を水素でフラッシュし、その後、NaBH(3.4ml;エタノール(12ml)中、NaBH懸濁液(0.53g、14mmol)を15分間攪拌し、微細フィルターに通してろ過して得られた)の溶液を10分間かけて添加した。水素の発生が観察された。15〜20分以内に、エチレンジアミン(1.65ml、25mmol)を攪拌しながら一度に反応混合物に添加し、続いて、(510)(2.4g、8.2mmol)のエタノール(10ml)溶液を添加した。反応混合物を水素のさらなる吸収が認められなくなるまで激しく水素下で攪拌した後、酢酸(2.3ml)、水(10ml)で処理し、石油エーテル:EtOAc(5:1)で抽出した。合わせた有機画分を、10%硫酸(10ml)で洗浄し、次いで、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカのCC(溶離液:石油エーテル:EtOAc=50:1)により精製して2.33g(96%)の生成物を得た。次いで、生成物を、20%AgNOを含浸させたシリカのCC(溶離液:石油エーテルから石油エーテル:EtOAc=2:1)により再び精製した。1.75g(72%)の生成物を得た(GCによる純度:97%)。H NMR(400MHz,CDC1)δ0.88(t,J=7.0Hz,3H),1.20−1.40(m,14H),1.55−1.66(m,2H),1.97−2.09(m,2H),2.29(t,J=7.5Hz,2H),2.72−2.79(m,2H),3.66(s,3H),5.28−5.41(m,4H).13C NMR(100MHz,CDCI3)δ14.0,22.5,24.9,25.6,27.2,29.00,29.08,29.13,29.3,29.4,31.5,34.1,51.4,127.9,128.0,129.9,130.2,174.2.
【0153】
実施例6.11−D−リノール酸の合成
【化25】
【0154】
オクタ−2−イン−1−オール(13)。0℃に冷却したオクタ−2−インアール[(Corey,E.J.;Schmidt,G.Tetrahedron Lett.1979,20,399;Meyer,M.P.;Klinman,J.P.Tetrahedron Lett.2008,49,3600を参照されたい]((612);1.00g、8.1mmol))のエタノール(15ml)溶液に、NaBD0.11g(2.6mmol)を5分かけて分割して加えた。添加に際して、溶液をさらに30分間、撹拌し、水(100ml)で希釈し、次いでEtO(4×20ml)で抽出した。合わせた有機画分を飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。アルコール613(0.85g、83%)をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル:EtOAc(15:1)で精製した。H NMR(400MHz,CDC1)δ0.88(t,J=7.0Hz,3H,CH),1.32(m,4H,CH),1.49(5重線,J=7.0Hz,2H,CH),1.81(br s,1H,OH),2.19(td,J=7.0Hz,2.0Hz,2H,CH),4.22(m,1H,CHD).
【0155】
1−ブロモオクタ−2−イン(614)は、[参照:Hill,Sh.;Hirano,K.;Shmanai,V.V.;Marbois,B.N.;Vidovic,D.;Bekish,A.V.;Kay,B.;Tse,V.;Fine,J.;Clarke,C.F.;Shchepinov,M.S.Free Radic.Biol.Med,2011,50(1),130−138]に記載の通り合成された。H NMR(400MHz,CDC1)δ0.89(t,J=7.0Hz,3H,CH),1.32(m,4H,CH),1.50(5重線,J=7.0Hz,2H,CH),2.22(td,J=7.0Hz,2.0Hz,2H,CH),3.91(m,1H,CHD).
【0156】
オクタデカ−9,12−ジイン酸[11−H]−エチル(615)は、[参照:Meyer,M.P.;Klinman,J.P.Tetrahedron Lett.2008,49,3600;Hill,Sh.;Hirano,K.;Shmanai,V.V.;Marbois,B.N.;Vidovic,D.;Bekish,A.V.;Kay,B.;Tse,V.;Fine,J.;Clarke,C.F.;Shchepinov,M.S.Free Radic.Biol.Med,2011,50(1),130−138]に記載の通りに合成された。CuI(2g、10.5mmol)、NaI(1.58g、10.5mmol)、KCO(2.1g、15mmol)、デカ−9−イン酸エチル(1.02g、5.2mmol)および臭化物614(1.03g、5.4mmol)を撹拌しながらDMF(10ml)に添加した。反応混合物を、室温で12時間撹拌し、次いで、NHCl(10ml)およびNaCl(8ml)を添加し、撹拌をさらに5分間続けた。沈殿物を分離し、石油エーテルで洗浄した。有機層を分離し、水層を石油エーテルで抽出した。合わせた有機画分を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(NaSOで)、減圧下で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル:EtOAc(15:1))により1.29g(81%)の生成物を得た。H NMR(400MHz,CDC1)δ0.89(t,J=7.0Hz,3H,CH),1.25(t,J=7.0Hz,3H,CHCH0),1.31(m,10H,CH),1.49(m,4H,CH),1.61(m,2H,CH),2.15(td,J=7.0Hz,2.0Hz,2H,CH、プロパルギル位),2.28(t,J=7.5Hz,2H,CHCOOEt),3.10(m,1Η,CHD),4.12(q,J=7.0Hz,2H,OCHCH).13C NMR(100MHz,CDC1)δ9.6(t,J=19.0Hz),13.9,14.1,18.56,18.57,22.1,24.8,28.4,28.6,28.7,28.9,28.9,31.0,34.2,60.0,74.3,74.5,80.2,80.3,173.7.
【0157】
[11−H]−リノール酸(616)。摩砕した酢酸ニッケル四水和物(0.4g、1.6mmol)の96%エタノール(12ml)懸濁液を、塩が溶解するまで撹拌しながら50〜60℃に加熱た。反応系を水素でフラッシュし、そして次に1.7mlのNaBH(エタノール(6ml)中NaBHの懸濁液(0.27g、14mmol)を15分間撹拌し、ろ過して得られた)を10分間かけて添加すると、いくらかのガスの気泡が発生した。15〜20分以内に、エチレンジアミン(0.8ml、12mmol)を攪拌しながら一度に添加し、続いて5分以内にジイン615(1.2g、3.9mmol)のエタノール(5ml)溶液を添加した。反応混合物を、水素の吸収がなくなるまで激しく撹拌し、次いで酢酸(1.2ml)と水(10ml)で処理し、石油エーテルおよびEtOAcの混合物(5:1)で抽出した。合わせた有機画分を10%硫酸(5ml)で、次いで飽和NaClで洗浄し、乾燥(NaSOで)させた後、減圧下で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル:EtOAc(50:1))により1.14g(94%)の生成物を得た。生成物を硝酸銀含浸シリカ(20%AgN0)上、溶離液として石油エーテル:EtOAc(2:1)を用いてさらに精製[3]してリノール酸エチルエステル0.73g(60%)(GCによる純度:>96%;GC−MS:分子量309(対照の非重水素化リノール酸エチルエステルに対するGC−MS:分子量308)を得た。H NMR(400MHz,CDC1)δ0.89(t,J=7.0Hz,3H,CH),1.25(t,J=7.0Hz,3H,CHCHO),1.30(m,14H,CH),1.61(m,2H,CH),2.04(m,2H),2.28(t,J=7.5Hz,2H,CHCOOEt),2.74(m,1Η,CHD),4.12(q,J=7.0Hz,2H,OCHCH),5.34(m,4H,CH=CH).13C NMR(100MHz,CDC1)δ14.1,14.2,22.6,25.0,25.3(t,J=19.5Hz),27.17,27.19,29.08,29.09,29.14,29.3,29.6,31.5,34.4,60.1,127.8,128.0,130.0,130.2,173.9.
【0158】
遊離[11−H]−リノール酸(616)を得るために、リノール酸エチルエステル(0.704g、2.3mmol)のエタノール(10ml)溶液に、KOH(0.4g、7.1mmol)の水(0.8ml)溶液を添加した。混合液を50℃で10分間撹拌し、次いで、水(20ml)で希釈し、硫酸(5ml)の10%溶液で処理し、EtO(4×20ml)で抽出した。合わせた有機画分を飽和NaClで洗浄し、乾燥(NaSOで)した後、減圧下で溶媒を除去した。残渣を少量のシリカゲル(2ml;溶離液:石油エーテル:EtOAc(2:1))に通してフラッシュし、減圧下で溶媒を除去して0.629g(98%)の示された酸616を得た。H NMR(400MHz,CDC1)δ0.88(t,J=7.0Hz,3H,CH),1.30(m,14H,CH),1.60(m,2H,CH),2.03(m,4H,CH),2.33(t,J=7.5Hz,2H,CHCOOEt),2.74(m,1Η,CHD),5.32(m,4H,CH=CH),11.6(br s,1H,COOH).13C NMR(100MHz,CDC1)δ14.1,22.6,24.6,25.3(t,J=19.0Hz),27.16,27.18,29.00,29.05,29.12,29.3,29.6,31.5,34.0,127.8,128.0,130.0,130.2,180.1.
【0159】
実施例7.[11−13C]−リノール酸の合成
【化26】
【0160】
[1−13C]−オクタ−2−イン−1−オール(717)。標題化合物は、13C−パラホルムを使用して、前述のプロトコル(Hill,Sh.;Hirano,K.;Shmanai,V.V.;Marbois,B.N.;Vidovic,D.;Bekish,A.V.;Kay,B.;Tse,V.;Fine,J.;Clarke,C.F.;Shchepinov,M.S.Free Radic.Biol.Med.,2011,50(1),130−138)に従って合成され、さらに精製することなく使用された。H NMR(CDC1,δ):4.22(д,J=148Hz,2H),2.18(td,J=7.0,J=1Hz,2H),1.91(br s,1H),1.47(5重線,J=7.0Hz,2H),1.31(m,4H),0.87(t,J=7.0Hz,3H).
【0161】
[1−13C]−1−ブロモオクタ−2−イン(718)は、(Hill,Sh.;Hirano,K.;Shmanai,V.V.;Marbois,B.N.;Vidovic,D.;Bekish,A.V.;Kay,B.;Tse,V.;Fine,J.;Clarke,C.F.;Shchepinov,M.S.Free Radic.Biol.Med.,2011,50(1),130−138)に記載の通りに合成された。13C−パラホルムから出発しての収率(2工程を通じて):82%。H NMR(CDC1,δ):3.93(dt,J=158Hz,J2=2Hz,2.23(m,2H),1.50(m,2H),1.33(m,4H),0.89(t,J=7Hz,3H).
【0162】
オクタデカ−9,12−ジイン酸[11−13C]−エチル(719)は、(参照:Meyer,M.P.;Klinman,J.P.Tetrahedron Lett.2008,49,3600;Hill,Sh.;Hirano,K.;Shmanai,V.V.;Marbois,B.N.;Vidovic,D.;Bekish,A.V.;Kay,B.;Tse,V.;Fine,J.;Clarke,C.F.;Shchepinov,M.S.Free Radic.Biol.Med.,2011,50(1),130−138)に先に記載の通りに合成された。収率:93%。H NMR(CDC1,δ):4.10(q,J=7Hz,2H),3.1(dm,J=134Hz,2H),2.27(t,J=7.5Hz,2H),2.13(m,4H),1.60(m,2H),1.47(m,4H),1.3(m,10H),1.24(t,J=7Hz,3H),0.88(t,J=7.0Hz,3H).
【0163】
[11−13C]−リノール酸エチルエステル(720)は、(参照:Meyer,M.P.;Klinman,J.P.Tetrahedron Lett.2008,49,3600;Hill,Sh.;Hirano,K.;Shmanai,V.V.;Marbois,B.N.;Vidovic,D.;Bekish,A.V.;Kay,B.;Tse,V.;Fine,J.;Clarke,C.F.;Shchepinov,M.S.Free Radic.Biol.Med.,2011,50(1),130−138)に先に記載の通りに合成された。収率:56%。H NMR(CDC1,δ):5.34(m,4H),4.12(q,J=7Hz,2H),2.77(dm,J=126Hz,2H),2.28(t,J=7.5Hz,2H),2.04(m,4H),1.61(m,2H),1.30(m,14H),1.25(t,J=7Hz,3H),0.88(t,J=7.0Hz,3H).
【0164】
[11−13C]−リノール酸(721)は、(参照:Meyer,M.P.;Klinman,J.P.Tetrahedron Lett.2008,49,3600;Hill,Sh.;Hirano,K.;Shmanai,V.V.;Marbois,B.N.;Vidovic,D.;Bekish,A.V.;Kay,B.;Tse,V.;Fine,J.;Clarke,C.F.;Shchepinov,M.S.Free Radic.Biol.Med.,2011,50(1),130−138)に先に記載の通りに合成された。収率:98%。H NMR(CDC1,δ):10.5(br s,1H),5.34(m,4H),2.77(dm,J=126Hz),2.33(t,J=7.5Hz,2H),2.03(m,4H),1.60(m,2H),1.30(m,14H),0.88(t,J=7.0Hz,3H).
【0165】
実施例8.エステルA〜Dの一般的調製
【化27】
【0166】
化合物Aのための一般的手順。塩化チオニル(2当量)をゆっくりとPUFA(1当量)のCHCl溶液に添加する。反応混合物を、1時間加熱還流し、次いで室温まで放冷し、溶媒を減圧下で蒸発させてPUFAのカルボン酸塩化物誘導体を得る。次に、カルボン酸塩化物誘導体を無水ピリジンに溶解し、ピリジン中に溶解したアルコール(1当量)をゆっくりと添加する(アルコールが多価アルコールである場合は、添加の順序が逆になることに注意)。完全に添加した後、反応混合物を24時間室温で攪拌する。次いで、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物Aを得る。
【0167】
11,11−ジジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(30);14,14−ジジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(23);11,11,14,14−テトラジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(17);および11,11−ジジュウテロ−シス、シス−オクタデカ−9,12−ジエン酸(7)は、それぞれ以下のアルコール:エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、グルコース、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、およびエストラジオールを用いて上述した手順に供されて化合物Aの一般式に相当する生成物を与える。
【0168】
化合物Bのための一般的手順。塩化チオニル(2当量)をゆっくりとPUFA(1当量)のCHCl溶液に添加する。反応混合物を、1時間加熱還流し、次いで室温まで放冷し、溶媒を減圧下で蒸発させてPUFAのカルボン酸塩化物誘導体を得る。次に、カルボン酸塩化物誘導体を無水ピリジンに溶解し、ピリジン中に溶解したアルコール(化合物A、1当量)をゆっくりと添加する。完全に添加した後、反応混合物を24時間室温で攪拌する。次いで、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物Bを得る。
【0169】
11,11−ジジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(30);14,14−ジジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(23);11,11,14,14−テトラジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(17);および11,11−ジジュウテロ−シス、シス−オクタデカ−9,12−ジエン酸(7)と、グリセロール、プロピレングリコール、グルコース、およびエストラジオールとの縮合から形成される化合物A生成物を、PUFAとして11,11−ジジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(30);14,14−ジジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(23);11,11,14,14−テトラジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(17);および11,11−ジジュウテロ−シス、シス−オクタデカ−9,12−ジエン酸(7)用いる上記の一般的手順に従って処理して、化合物Bの一般式に相当する生成物を得る。
【0170】
化合物Cのための一般的手順。塩化チオニル(2当量)をゆっくりとPUFA(1当量)のCHCl溶液に添加する。反応混合物を、1時間加熱還流し、次いで室温まで放冷し、溶媒を減圧下で蒸発させてPUFAのカルボン酸塩化物誘導体を得る。次に、カルボン酸塩化物誘導体を無水ピリジンに溶解し、ピリジン中に溶解したアルコール(化合物B、1当量)をゆっくりと添加する。完全に添加した後、反応混合物を24時間室温で攪拌する。次いで、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物Cを得る。
【0171】
化合物Aの生成物とグリセロールやグルコースとの縮合から形成される化合物Bの生成物を、PUFAとして11,11−ジジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(30);14,14−ジジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(23);11,11,14,14−テトラジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(17);および11,11−ジジュウテロ−シス、シス−オクタデカ−9,12−ジエン酸(7)用いて、上記の一般的手順に従って処理して、化合物Cの一般式に相当する生成物を得る。
【0172】
化合物Dのための一般的手順。塩化チオニル(2当量)をゆっくりとPUFA(1当量)のCHCl溶液に添加する。反応混合物を、1時間加熱還流し、次いで室温まで放冷し、溶媒を減圧下で蒸発させてPUFAのカルボン酸塩化物誘導体を得る。次に、カルボン酸塩化物誘導体(4当量)を無水ピリジンに溶解し、ピリジン中に溶解したアルコール(1当量)をゆっくりと添加する。完全に添加した後、反応混合物を24時間室温で攪拌する。次いで、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物Dを得る。
【0173】
化合物Bの生成物とグルコースとの縮合から形成される化合物Cの生成物を、PUFAとして11,11−ジジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(30);14,14−ジジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(23);11,11,14,14−テトラジュウテロ−シス、シス、シス−オクタデカ−8,12,15−トリエン酸(17);および11,11−ジジュウテロ−シス、シス−オクタデカ−9,12−ジエン酸(7)用いて、上記の一般的手順に従って処理して、化合物Dの一般式に相当する生成物を得る。
【0174】
実施例9.実施例1〜4に記載の重水素化PUFAのH−および13C−NMR分析(図2
Hと13Cスペクトルの特徴的エリアは、すべての値がppm単位である。(パネルA)11位のリノール酸の重水素化は、Hと13CのNMRスペクトルのピークの消失によって確認される。δ2.764におけるピークの消失は、H原子(H NMR)の不存在に起因するものと予想される。δ25.5におけるピークの消失は、核オーバーハウザー効果の組み合わせ、およびこの特定炭素原子の、リノール酸の重水素形における2つの重水素原子による5重線への分裂によるものである。(パネルB)H NMRスペクトルは、部位特異的重水素化α−リノレン酸のC11およびC14位における水素原子が、一致し(δ2.801)、このように、いずれかの部位(11,11−H,14,14−Dまたは11,11−D,14,14−H)における重水素化がこのピークの積分において50%の減少につながり、一方、両方の部位(11,11,14,14−D)の重水素化は、δ2.801でのピークの完全な消失につながることを示している。しかし、13C NMR実験は、C11位またはC14位に対して観察されたピークは、小さいが検出可能な差によって分離されるので、3つの重水素化形態を明らかに区別することができる。したがって、C11またはC14のどちらかの位置での重水素化は、δ25.68またはδ25.60のそれぞれのピーク消失につながり、一方、両方の部位での重水素化は、2つの対応するピークの消失につながる。
【0175】
実施例10.同位体補強はPUFAの過酸化をシャットダウンすることができる
Q−レス酵母(coqの変異体)は、脂肪酸のインビボでの自動酸化を評価するための理想的なシステムを提供する。コエンザイムQ(ユビキノンまたはQ)は、小さな脂溶性抗酸化剤としてだけでなく、ミトコンドリア内膜の呼吸鎖における電子シャトルとして機能する。10個のS.cerevisiae遺伝子(COQ1〜COQ10)は、コエンザイムQの生合成および機能、そして呼吸不全の結果の消去にも必要である(Tran UC,Clarke CF.Mitochondrion 2007;7S,S62)。coq酵母変異体は、PUFAの自動酸化生成物に非常に感受性であることが示された(Do TQら、PNAS USA 1996;93:7534−7539;Poon WW,Do TQ,Marbois BN,Clarke CF.Mol.Aspects Med.1997;18,s121)。S.cerevisiaeは、PUFAを産生しないが(Paltauf F,Daum G.Meth.Enzymol.1992;209:514−522)、それらは、外的に提供されるとき、PUFAを利用することができ、それらの内容物を操作させることができる(Paltauf F,Daum G.Meth.Enzymol.1992;209:514−522)。Q−レス(coq2、coq3、およびcoq5)酵母変異体の1%未満は、リノレン酸の4時間処理後、生存可能である(Do TQら、PNAS USA 1996;93:7534−7539;Poon WW,Do TQ,Marbois BN,Clarke CF.Mol.Aspects Med.1997;18,s121)。対照的に、この処理に供された野生型(親の遺伝的背景は、W303−1B株である)細胞の70%は生存可能のままである。Q−レス酵母はまた、容易に自動酸化する他のPUFA(例えばアラキドン酸など)には過敏であるが、モノ不飽和オレイン酸による処理に対して、野生型親株と同じように振る舞う(Do TQら、PNAS USA 1996;93:7534−7539)。cor1またはatp2変異体酵母(それぞれ、bc1複合体またはATP合成酵素のどちらかを欠いている)は、PUFA処理に対して野生型の耐性を示すため、Q−レス酵母変異体の過敏性は、呼吸不全の二次的影響ではない(Do TQら、PNAS USA 1996;93:7534−7539;Poon WW,Do TQ,Marbois BN,Clarke CF.Mol.Aspects Med.1997;18,s121)。
【0176】
平板希釈アッセイは、PUFA感受性を評価するために使用され得る。このアッセイは、YPD平板培地上に5倍系列希釈アリコートをスポットすることにより行うことができる(図3)。異なる株の感受性は、各スポットの細胞密度を目視により観察することができる。
【0177】
リノレン酸による処理は、coqヌル変異体の生存能力の劇的な喪失を引き起こす。全く対照的に、D4−リノレン酸で処理されたcoq変異体は、死滅しないで、オレイン酸で処理された酵母と同様の生存能力を保持していた。定量的なコロニーの計数は、オレイン酸およびD4−リノレン酸で処理した細胞の生存率は、同様であり(図4)、一方、coq変異体の生存率は、標準リノレン酸で4時間処理後、100倍よりも多く減少したことを明らかにした。これらの結果は、同位体補強リノレン酸が、細胞死滅に対する過敏性coq変異体の耐性によって証明されるように、標準リノレン酸よりも自動酸化に対してはるかに耐性であることを示している。
【0178】
実施例11.GC−MSは酵母細胞中の脂肪酸とPUFAを検出することができる
酵母はPUFAを合成しないが、しかし、それらは外因的に供給されるリノール酸とリノレン酸の取り込みを行う(Avery SVら、Applied Environ.Microbiol.1996;62,3960;Howlett NGら、Applied Environ.Microbiol.1997;63,2971)。従って、酵母はまた、外的に供給されたD4−リノレン酸を取り込みそうである。しかし、リノレン酸およびD4−リノレン酸への異なる感受性は、自動酸化よりもむしろ細胞内への組込みの違いに起因し得る可能性がある。このケースに該当するかどうかを試験するために、この脂肪酸の取り込みの程度が監視された。まず、C18:1、C18:3,D4−C18:3、およびC17:0(内部標準として使用される)の脂肪酸メチルエステル(FAME)の分離の条件が決定された。図5に示されるGC−MSクロマトグラムは、これらの脂肪酸メチルエステル標準の分離と検出感度の両方を確立する。
【0179】
野生型酵母を、対数増殖期中に採取し、脂肪酸感受性アッセイについて記載したように、リン酸緩衝液+0.20%デキストロースの存在下、外的に添加した脂肪酸の存在下でインキュベーションした(0または4時間)。細胞を採取し、10mlの滅菌水で2回洗浄し、酵母細胞ペレットを、上記したように、アルカリメタノリシスによってその後、処理した。脂肪酸は、内部標準として添加されたC17:0によるGC−MSの後で、メチルエステル(FAME)として検出される(図6)。4時間のインキュベーション後に検出される18:3とD4の量を、検量線から外挿した。これらの結果は、酵母が4時間のインキュベーションの過程で、リノレン酸およびD4−リノレン酸の両方を貪欲に取り入れることを示している。これらの結果に基づいて、D4−C18:3による処理に対するcoq変異体酵母の強化された耐性が、取り込み不足に起因するものでないことは明らかである。
【0180】
D2−リノレン酸、11,11−D2−リノレン酸、および14,14−D2−リノレン酸は、また、この酵母モデルで使用され、同等の保護を付与した。
【0181】
実施例12.連鎖反応形式でのD2−LAの非酵素的酸化における動力学的同位体効果
LAおよびD2−LAの酸化過程における酸素消費の動力学を、ガラス毛管マイクロ体積計を用いて調べた(図7)。酸化速度ROXは、[O]トレースの傾きとして測定された。開始速度RINは、基準阻害剤としてのHPMC(「6−ヒドロキシ−2,2,5,7,8−ペンタメチルベンゾクロマン」)による阻害剤方法により測定した。RINを、阻害された酸化の誘導期tIND:RIN=2・[HPMC]/tINDから算出した。0.71MのLAの酸化速度(図7)は、6.1×10−6M/sであることが判明した。プロセスが0.23mMの連鎖破壊抗酸化剤HPMCにより阻害されたとき、誘導期間tINDの持続時間は、約48分であり、RIN値は、約0.16×10−6M/sであった。これらのデータから算出した速度論的連鎖長は、ν=ROX/RIN=38±3であった。このデータに基づいて、LAの計算された酸化力は、0.0215±0.008M−0.5−0.5(n=5)であった(Gosgrave J.Pら、Lipids,1987,22,299−304)。D2−LAについては、ROXの0.18×10−6M/秒への減少が観察された(図7)。LAとは対照的に、HPMCの添加は、ROXの減少や任意の検出可能な誘導期間の出現をもたらすことはなかった(データは示されていない)。後者は、RINの直接的な決定を排除する。LAのそれと匹敵するD2−LA酸化に対するRIN値については、D2−LA酸化が、連鎖プロセスではなかったということになる(ν=0.18×10−6/0.16×10−6、およそ1.1)。LAとD2−LAに対するROXの比較から、推定動力学的同位体効果(「KIE」)は、約6.1×10−6/0.18×10−6、およそ35であった。同様なKIEは、Triton X−100水性ミセル中でのLAと11,11−d−LAの酸化過程で測定された(データは示さていない)。比較目的のため、理論的なKIEは、25℃で6.9である。Carpenter,“Determination of Organic Reaction Mechanisms”(John Wiley&Sons,1984),p.89を参照されたい。
【0182】
実施例13.少量のD2−LAはLAを過酸化から保護する
ありそうなインビボ条件をシミュレーションするために、D2−LAとLAとの混合物の酸化の動力学について検討した(図8)。実験において、LA+11,11−d2−LAの濃度は、0.775Mであり;AMVNの濃度は、0.0217Mであり;そして、反応は37℃で行われた。その結果、1.10±0.08×10−7M/秒のRINを得た。また、混合物の酸化速度は、非相加的であり、個々の化合物についてのROXの加算値よりもはるかに低いことが分かった。驚くべきことに、D2−LAは、本質的に自動酸化に対して非重水素化LAを「保護」する。定量的に同様の効果が、非重水素化リノール酸メチルと11,11−D2−LAの混合物の酸化の過程で観察された(データは示されない)。これらの結果は、D2−LAによる非重水素化LAの部分的置換でさえPUFA過酸化を実質的に遅らせる可能性を示唆している。
【0183】
実施例14.少量のD2−LAはLAをインビボでの過酸化から保護する
実施例13に記載の結果が、Q−レスcoq3酵母株およびLAとD2−LAの異なる比率を用いてインビボで再現された(図9)。野生型、酵母Q−レスcoq3、あるいは呼吸不全cor1ヌル変異体を、200μΜのLAおよびD2−LAの存在下、図9に示されるように、PUFAの異なる割合でインキュベーションした。0.2OD/mlで始まる系列希釈液(1:5)をYPD固体平板培地上にスポットした。また、ゼロ時間未処理の対照を利用し、その結果を図9の左上に示す。増殖は30℃においてであった。結果は、D2−LAの約10〜15%が、LAの毒性を取り消すのに十分な、最小限の量であったことを示している。モノ−重水素化PUFA、11,11−D,H−LAとの同様のインキュベーション処理は、処理3時間後の細胞生存率において、検出可能な減少をもたらさなかった(データは示されていない)。これらの結果は、D2−LAおよび11,11−D,H−LAの両方が脂質過酸化に対して耐性であったことを示唆している。
【0184】
野生型酵母細胞は、酵母を200μΜの指定された脂肪酸で2時間処理し、滅菌水で洗浄し、室温で50μΜのCuSOによる処理がされなかった(三角形)または処理された(正方形)以外は、上記のように処理された。60分の銅処理後、細胞を8μΜのC11−Bodipy581/591を用いて室温で30分間処理した。4つの100μlアリコートを96ウェルプレートに播種し、蛍光を測定した。PUFAの非存在下または存在下で銅により処理された野生型酵母細胞は、銅で処理されなかった酵母に比べて、有意に高いレベルの脂質過酸化を有している。しかし、11,11−D−LAで処理された銅ストレス野生型酵母細胞は、PUFAで処理されていない酵母と同様の低レベルの脂質過酸化を有している。モノ重水素化11,11−D,H−LAは、同様の保護を提供した。
【0185】
実施例15.少量のD4−ALAはALAをインビボでの過酸化から保護する
実施例14に記載の実験プロトコルはまた、Q−レスcoq3酵母株(図10)およびALAのD4−ALAに対する異なる割合を用いてインビボで再現された。野生型、酵母Q−レスcoq3、あるいは呼吸不全cor1ヌル変異体を、200μΜのALAおよびD4−Lnn(リノレン酸)の存在下、図10に示されるように、PUFAの異なる割合でインキュベーションした。0.2OD/mlで始まる系列希釈液(1:5)をYPD固体平板培地上にスポットした。増殖は30℃においてであった。結果はD2−Lnnの約15〜20%が、ALAの毒性を取り消すのに十分な、最小限の量であったことを示している。さらに、結果は、酵母細胞によって取り込まれたPUFAの含量は、添加された割合を大まかに反映し、酵母細胞が提供されたPUFAを区別しないことを示唆している。
【0186】
実施例16.D−PUFAは、酸化ストレスを軽減し、AMDおよび糖尿病性網膜症の病理に関与する網膜細胞における生存率を増大させる
微小血管内皮(MVEC)、網膜色素上皮(RPE)および網膜神経細胞(網膜神経節細胞)を含むいくつかの細胞型を、細胞培養における生存率について試験した。細胞を、水素化(対照)または重水素化D2−リノール酸(ω−6;LA)およびD4−リノレン酸(ω−3;ALA)(20μM;ω−6対ω−3の比率:1:1または2:1)のいずれかを含有する培地中で、72時間維持した。細胞へのPUFAの取り込みを、GCによって監視した(図11)。MVECへのPUFAの取り込みを示す表1によれば、PUFAは、細胞によって容易に取り込まれることが示された。
【0187】
【表1】
【0188】
次いで、細胞を一般的な酸化ストレス発生化合物であるパラコート(PQ;500μM)で処理した。生存率の測定のために、血球計算器およびトリパンブルー排除法を使用して細胞を計数した。図12は、パラコートによる急性中毒後のH−PUFAおよびD−PUFA処理したMVEC細胞の生存率を示す。試験したすべての細胞型について、D−PUFAは、対照と比較して、MVEC細胞について図8に示したものと同様の保護効果を有していた。
【0189】
実施例17.D−PUFAを補ったマウスの毒性学研究は、主要血液バイオマーカーにおいて異常を示さない
より長期の投与パラダイム(すなわち、3週間の食餌の置き換え)による、H−PUFAおよびD−PUFAを補充したマウスの血清の化学的分析(UC Davisで実施した)では、H−PUFA/D−PUFA生理食塩水処理マウスについて腎機能、肝機能、血液脂質等の主要バイオマーカーにおいて差は明らかにならなかった。この例では、D−PUFAは、D2−リノール酸:D4−リノレン酸の2:1混合物である。
【0190】
試験したパラメータには、表2のトリグリセリド;総タンパク質;総ビリルビン;リン;遊離脂肪酸;HDL;グルコース;クレアチン;コレステロール;カルシウム;血液尿素窒素;アルカリホスファターゼ;アルブミン;アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ等の測定が含まれていた。
【0191】
【表2】
【0192】
実施例18.病理組織学的研究
顕微鏡的変化は、最も具体的な組織分布的な形態学的診断によってコード化され、体系化医療名称(SNOMED)と国立毒性プログラムの毒性データ管理システム(TDMS)の用語マニュアルが、ガイドラインとして使用された。データは、Labcat(登録商標)病理モジュール4.30に記録された。4段階の採点システム(最小、軽度、中等度、および顕著)が、等級付け可能な変化を定めるのに用いられた。
【0193】
PUFAを含む食餌をC57BL6雄マウスに試験日1日目から14日目にかけて経口投与し、試験15日目に剖検した。第1群は4匹のマウスで構成され、水素化PUFAの投与を受けた。第2群は、5匹のマウスから成り、重水素化PUFA(D2−LAとD4−ALA)の投与を受けた。試験8日目に、すべてのマウスは、生理食塩水の腹腔内投与(IP)を受けた。供された全マウスからのプロトコル指定された組織[肝臓(3〜7切片)、気管支を伴う肺(2〜5の肺葉)、脾臓、心臓、および腎臓]の完全なセットを病理組織学的に検討した。H−PUFAおよびD−PUFA群の間に差異は観察されなかった。
【0194】
実施例19.組織特異的重水素化の評価
WTマウスは、1ケージあたり12匹(雌から分離した雄)を収容し、6%総脂肪を含むAIN93食餌をペレットとして90日間、自由摂取(通常は5〜6g/日)させた。その総脂肪の約10%は、D2−LA/D4−ALA(第1群)、D2−LA/ALA(第2群)、またはLA/ALA(対照群)の1:1混合物から構成された。動物を屠殺し、臓器を回収し、保存剤を使用せずに分析前に低温で保存した。脂質画分を分離し、前処理し、対照としてLA、D2−LA、ALAおよびD4−ALAを使用して、標準プロトコルに従ってLC−MSにより分析した。
【0195】
1:1のD2−LA/D4−ALAの用量試験は、組織が重水素で高度に富化され、総脂肪の約40%が重水素化されたことを示した(図13)。さらに、これらの試験は、脂肪分布が試験された用量により相対的に変わらないことを示した(図14)。1:1のD2−LA/ALAの用量試験の後では、総脂肪の約27%が重水素化されていることが確定された(図15)。
【0196】
肝臓や脳などの特定の臓器もまた評価された(図16〜21)。肝臓は以前に試験された組織とは異なる脂肪プロファイルを有したが(図16)、D2−LA/D4−ALAによる90日間の用量試験は、組織が非常に重水素で富化され、総脂肪の約40%が重水素化されていることを証明した(図17)。また、肝臓の試験では、脂肪分布が試験された用量により相対的に変わらないことが示された(図16〜17)。また、D2−LAのみによる90日間の用量試験は、約32%の総脂肪の重水素化とともに、以前の試験と同様の脂肪プロファイルを示した(図18)。その結果、肝臓における脂肪プロファイルおよび重水素化プロファイルは、投与された重水素化成分にかかわらず維持された。肝臓と同様に、脳もまた、以前に試験された組織とは異なる脂肪プロファイルを有した(図19〜21)。D2−LA/D4−ALAによる90日間の用量試験は、組織が非常に重水素で富化され、総脂肪の約30%が重水素化されていることを証明した(図19)。また、脳の試験では、脂肪分布が試験された用量により相対的に変わらないことが示された(図19〜21)。また、D2−LA/ALAによる90日間の用量試験は、約23%の総脂肪の重水素化とともに、以前の試験と同様の脂肪プロファイルを例証した(図20)。その結果として、脳の脂肪プロファイルおよび重水素化プロファイルは、投与された重水素化成分にかかわらず、維持された。
【0197】
実施例20:非アルコール性脂肪肝疾患および脂肪性肝炎に対する効力の試験 ドブネズミ(Rattus norvegicus)種およびWistar系統からの50匹の雄のヘテロ接合体ラット(45日齢)を、5匹の動物の群で12時間の明/暗サイクルおよび制御された温度条件下、ポリプロピレンのケージ中に維持する。NASHの誘導は、既知の手順に従ってメチオニンとコリンが欠乏した食餌(MCD)により行われる(参照:Rogers AE,Newberne PM.Alcoholic and nutritional fatty liver and cirrhosis.Am J Pathol.1973;73:817−20)。D−PUFA(D2−LA、D4−ALA、およびD2−LAとD4−ALA両方の1:1の組み合わせの0.01、0.1、1.0、10.0、および100mg/kg)またはH−PUFA(LA、ALA、およびLAとALA両方の1:1の組み合わせの0.01、0.1、1.0、10.0、および100mg/kg)を、3ヶ月間にわたってラットに毎日投与する。試験期間中、動物を毎週秤量し、薬物の用量は、必要に応じて再調整する。試験の最初の日、動物の体重を測定する以外にも、それらの血液を、生化学分析:アラニン−アミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)(Labtestキットを使用する比色試験)のために後眼窩静脈叢穿刺を介して採取する。誘導期間および化合物投与(90日間)を完了した1日後に、動物を断頭により屠殺する。もう一度、それぞれの動物の血液を生化学的分析のために採取する。その後、肝臓全摘出術による開腹と肝標本作成を、脂質過酸化(LPO)と組織学的分析のために実施する。肝臓組織試料を、既知の方法に従って、チオバルビツール酸反応物質(TBARS)測定を用いて分析し(参照:Lowryら、Protein measurement with the folin phenol reagent.J Biol Chem.1951;193:265−75)、その結果を、マロンジアルデヒドのnmol/タンパク質のmgで表記する。また、肝臓断片を有するスライドを、線維症レベルを評価するためにヘマトキシリン−エオシンおよびピクロシリウスで、そして鉄貯蔵の存在を評価するためにPerlで染色し、動物のデータを知らされていない唯一の病理学者により検査させた。NASH診断のための最小限の組織学的基準は、ゾーン3と小葉炎症性浸潤を伴う肝細胞バルーニング関連脂肪肝の存在である。ゾーン3を取り込むマロリー小体および類洞線維症は、存在するかもしれないし、存在しないかもしれない。壊死性炎症活性および線維症活性の両方の等級付けは、既知の分類に従って実施される(参照:Brunt EM,Janney CG, Di Bisceglie AM,Neuschwander−Tetri BA,Bacon BR.Nonalcoholic steatohepatitis:a proposal for grading and staging the histological lesions.Am J Gastroenterol.1999;94:2467−74)。D2−LAおよびD4−ALAは、肝臓試料中に見られるMDAの量を減少させ、NASHの組織学的徴候を打ち消すことが予測される。
【0198】
実施例21:アルコール性脂肪肝疾患、脂肪性肝炎および肝硬変に対する効力の試験
ドブネズミ(Rattus norvegicus)種およびWistar系統からの50匹の雄のヘテロ接合体ラット(45日齢)を、5匹の動物の群で、12時間の明/暗サイクルおよび制御された温度条件下、ポリプロピレンのケージ中に維持する。アルコール性肝疾患および肝硬変の誘導を、5%エタノールを含む食餌で6週間実施する。D−PUFA(D2−LA、D4−ALA、およびD2−LAとD4−ALA両方の1:1の組み合わせの0.01、0.1、1.0、10.0、および100mg/kg)またはH−PUFA(LA、ALA、およびLAとALA両方の1:1の組み合わせの0.01、0.1、1.0、10.0、および100mg/kg)を、3ヶ月間にわたってラットに毎日投与する。試験期間中、動物を秤量し、薬物の用量は必要に応じて再調整する。試験の最初の日、動物の体重を測定する以外にも、それらの血液を、生化学分析:アラニン−アミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)(Labtestキットを使用する比色試験)のために後眼窩静脈叢穿刺を介して採取する。誘導期間および化合物投与(90日間)を完了した1日後に、動物を断頭により屠殺する。もう一度、それぞれの動物の血液を生化学的分析のために採取する。その後、肝臓全摘出術による開腹と肝標本作成を、脂質過酸化(LPO)と組織学的分析のために実施する。肝臓組織試料を、既知の方法に従って、チオバルビツール酸反応物質(TBARS)測定を用いて分析し(参照:Lowryら、Protein measurement with the folin phenol reagent.J Biol Chem.1951;193:265−75)、その結果を、マロンジアルデヒドのnmol/タンパク質のmgで表記する。また、肝臓断片を有するスライドを、線維症レベルを評価するためにヘマトキシリン−エオシンでおよびピクロシリウスで、そして鉄貯蔵の存在を評価するためにPerlで染色し、動物のデータを知らされていない唯一の病理学者により検査させた。D2−LAおよびD4−ALAは、肝臓試料中に見られるMDAの量を減少させ、脂肪肝疾患の組織学的徴候を打ち消すことが予測される。
【0199】
実施例22:肝臓での酸化ストレスに対する効力を決定するためのインビトロモデル
肝細胞培養物を、実施例16について記載した方法を用いて、酸化ストレスに応じた細胞培養での生存率について試験をすることができる。肝細胞を、D−PUFA(D2−LA、D4−ALA、およびD2−LAとD4−ALA両方の1:1の組み合わせの0.01、0.1、1.0、10.0、および100μM)またはH−PUFA(LA、ALA、およびLAとALA両方の1:1の組み合わせの0.01、0.1、1.0、10.0、および100μM)を含む培地中で72時間維持する。実施例2および7に記載したように、細胞内へのPUFAの取り込みを、GCによって監視する。実施例7に記載したように、また肝細胞を、酸化ストレス生成化合物のパラコート(PQ;500μΜ)で処理する。生存率測定のために、細胞を血球計およびトリパンブルー排除法を用いて計数する。PUFAは、肝細胞によって容易に取り込まれることが予測される。D−PUFAは、対照試料と比較して保護効果を有することが予測される。
【0200】
実施例23.脂肪組織および心臓組織内への取り込みを試験するためのモデル
同位体比質量分析法は、脂肪組織および心臓組織のリン脂質膜へのD−PUFAの取り込みを確認するために使用することができる。食餌補給によりD2−LAおよびD4−ALAを送達する場合、動物組織への取り込みは、脂質膜中の重水素組成の全体的増加を測定することができる同位体比質量分析技術を用いて監視することができ、このようにして、D2−LA、D4−ALA、およびこれらの化合物から誘導される任意の他のPUFAの取り込みについて報告する。この方法を使用して、動物組織へのD−PUFAの実質的な取り込みを検出することができる。例えば、マウスに、唯一のPUFA供給源としてD−PUFA(D2−LA、D4−ALA、およびD2−LAとD4−ALA両方の1:1の組み合わせの0.01、0.1、1.0、10.0、および100mg/kg)またはH−PUFA(LA、ALA、およびLAとALA両方の1:1の組み合わせの0.01、0.1、1.0、10.0、および100mg/kg)を6日間補給し、既知の酸化剤や生理食塩水賦形剤に急激にさらし、さらに6日間、同じ食餌を続けた。脂肪組織および心臓を切除し、対照マウスと試験化合物処置マウスからのホモジネート試料を、上記実施例7で説明したように、重水素含有量について分析する。D2−LAおよびD4−ALAは、分析される脂肪組織および心臓組織中に見い出されることが予測される。
【0201】
実施例24.高血圧に対する効力を試験するためのモデル
以前に記載(McIntyreら、1997 Hypertension 30:1517;Alexanderら、1999 Cardiovasc.Res.43:798;Fennellら、2002 Gene Ther.9:110)された、高血圧の脳卒中易発症高血圧自然発症(SHRSP)ラットモデルを、高血圧症を軽減する化合物の能力を評価するために使用することができる。
【0202】
例えば、8週齢の雄SHRSPラットの群(8〜9匹/群)に、唯一のPUFA供給源としてD−PUFA(D2−LA、D4−ALA、およびD2−LAとD4−ALA両方の1:1の組み合わせの0.01、0.1、1.0、10.0、および100mg/kg)またはH−PUFA(LA、ALA、およびLAとALA両方の1:1の組み合わせの0.01、0.1、1.0、10.0、および100mg/kg)を8週間補給し、収縮期血圧測定を週間隔で記録する。D2−LAおよびD4−ALAで処置した動物は、収縮期血圧の低下を示すことが予測される。
【0203】
実施例25.様々な心臓障害に対する効力を試験するためのモデル
本明細書に開示された試験化合物はまた、Langendorfの摘出心臓灌流モデルを用いて評価することができる。例えば、8週齢の雄ラットの群(8〜9匹/群)に、唯一のPUFA供給源としてD−PUFA(D2−LA、D4−ALA、およびD2−LAとD4−ALA両方の1:1の組み合わせの0.01、0.1、1.0、10.0、および100mg/kg)またはH−PUFA(LA、ALA、およびLAとALA両方の1:1の組み合わせの0.01、0.1、1.0、10.0、および100mg/kg)を8週間補給する。治療期間後、ラット心臓を、左心室、左心房、右心室、および右心房の筋肉の厚みを測定するための心エコー検査および電気的活性を測定するための心電図により分析する。生きたままの評価後、ラットを安楽死させ、それらの心臓を摘出し、Langendorf摘出灌流システムに接続する(参照:Jenningsら、Am.Surg.2004;70(9),797−800)。左心室圧を、その後、左心室バルーンを用いて測定する。冠血流も測定する。心機能を、心臓の収縮と弛緩の速度に対する試験化合物投与の効果を測定することによってさらに評価する。心機能に対して観察された効果が、ミトコンドリア機能に対する試験化合物の効果によるものであるかどうかを決定するために、虚血前および虚血後のミトコンドリア活性を、処置群の各々について評価する。D2−LAおよびD4−ALAは、心臓障害に関連する症状およびマーカーを低減することが予測される。
【0204】
結論
本発明はその具体的な実施形態を参照して説明したが、様々な変更を行うことができ、均等物が本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく置き換えることができることを、当業者は理解すべきである。これは、本明細書に記載された利点と機能のすべてを提供するものではない実施形態を含む。さらに、多くの修正が、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセス工程または複数の工程を本発明の目的、精神および範囲に適合させるためになされることができる。全てのそのような修正は、本明細書に添付の特許請求の範囲に含まれるものである。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ定義される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21