(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145089
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】ストロマ細胞由来因子−1のプロテアーゼ耐性変異体を用いた、組織損傷を修復するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/00 20060101AFI20170529BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20170529BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20170529BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20170529BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20170529BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20170529BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20170529BHJP
【FI】
A61K37/02ZNA
A61P9/00ZMD
A61P9/10
A61P17/02
A61P9/04
A61P3/10
!C07K14/47
【請求項の数】27
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-514581(P2014-514581)
(86)(22)【出願日】2012年6月6日
(65)【公表番号】特表2014-519514(P2014-519514A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】US2012041054
(87)【国際公開番号】WO2012170495
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年2月5日
(31)【優先権主張番号】61/494,079
(32)【優先日】2011年6月7日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514043056
【氏名又は名称】メソブラスト インターナショナル エスエイアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100170221
【弁理士】
【氏名又は名称】小瀬村 暁子
(74)【代理人】
【識別番号】100188271
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 優子
(72)【発明者】
【氏名】サンドラサグラ アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ウー ウェイタオ
【審査官】
上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−507391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00−58
C07K 14/47
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変異体SDF-1(mSDF-1)、mSDF-1-Y
z、X
p-mSDF-1、またはX
p-mSDF-1-Y
zの式を含む単離したストロマ細胞由来因子-1(SDF-1)ペプチドの変異型を含む、静脈内に投与されることを特徴とする、疾患または病状によって生じる組織損傷を治療するまたは改善するための薬学的組成物であって、該SDF-1は、SEQ ID NO:53
のアミノ酸配列を含
むペプチドであり、該SEQ ID NO:53はアミノ酸配列:
を含み、式中、
X3がバリン、ヒスチジン、またはシステインであり、X4がセリンまたはバリンであり、X5がロイシン、プロリン、トレオニン、またはバリンであり、X6がセリン、システイン、またはグリシンであり、
a)X
pはタンパク質構成アミノ酸またはプロテアーゼ保護有機基であり、かつpは1〜4の任意の整数であり;
b)Y
zはタンパク質構成アミノ酸またはプロテアーゼ保護有機基であり、かつzは1〜4の任意の整数であり;
c)該mSDF-1または該mSDF-1-Y
zは、T細胞に対する化学誘引物質活性を維持し、かつ天然SDF-1の不活性化の割合の少なくとも50%未満である割合でマトリックスメタロプロテイナーゼ-2(MMP-2)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP-9)、白血球エラスターゼ、および/またはカテプシンGによって不活性化され;ならびに
d)該X
p-mSDF-1または該X
p-mSDF-1-Y
zは、T細胞に対する化学誘引物質活性を維持し、天然SDF-1が不活性化される割合の少なくとも50%未満である割合でジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)によって不活性化され、かつ天然SDF-1の不活性化の割合の少なくとも50%未満である割合でMMP-2、MMP-9、白血球エラスターゼ、および/またはカテプシンGによって不活性化される、
薬学的組成物。
【請求項2】
前記単離したSDF-1ペプチドの変異型が、SEQ ID NO:52の少なくともアミノ酸1〜8のアミノ酸配列を含まない、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記ペプチドがXp-mSDF-1ペプチドまたはXp-mSDF-1-Yzペプチドであって、式中、Xはセリンであり、かつpは1である、請求項1または2記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記ペプチドがmSDF-1-YzペプチドまたはXp-mSDF-1-Yzペプチドであって、式中、Yはセリンであり、かつzは1である、請求項1または2記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記単離したSDF-1の変異型が、式A-(L)n-Fcを含む融合タンパク質であって、式中、Aは単離したSDF-1の変異型であり;nは0〜3の整数であり;Lは3〜9個のアミノ酸のリンカー配列であり;かつFcは免疫グロブリンのFc領域由来のFcペプチドである、請求項1〜4のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項6】
n=1かつLがGGGGS(SEQ ID NO:66)である、請求項5記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記疾患または病状が、脳卒中、肢虚血、外傷による組織損傷、心筋梗塞、末梢血管疾患、慢性心不全、糖尿病、および糖尿病性創傷治癒からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記疾患または病状が心筋梗塞である、請求項7記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記疾患または病状が末梢血管疾患である、請求項7記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記疾患または病状が糖尿病である、請求項7記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記疾患または病状が糖尿病性創傷治癒である、請求項7記載の薬学的組成物。
【請求項12】
末梢静脈または中心静脈に投与されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記疾患、病状、または組織損傷の発症後数分間以内に投与されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記疾患、病状、または組織損傷の発症または診断の24時間後またはそれを上回る時間の後の時点で投与されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記疾患、病状、または組織損傷の発症または診断の48時間後またはそれを上回る時間の後に投与されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記疾患、病状、または組織損傷の発症または診断の7日後またはそれを上回る時間の後に投与されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記疾患、病状、または組織損傷の発症または診断の1ヶ月後またはそれを上回る時間の後に投与されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記疾患、病状、または組織損傷の発症または診断の6ヶ月後またはそれを上回る時間の後に投与されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項19】
SDF-1または変異体SDF-1ペプチドの動脈内投与と組み合わされることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記疾患または病状が、外傷による組織損傷、心筋梗塞、または末梢血管疾患である、請求項13〜19のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記疾患または病状が心血管疾患である、請求項13〜19のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記組織損傷が軽減される、修復される、または新しい血管形成が生じるまで、1回または複数回投与されることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記疾患または病状の1つまたは複数の症状を改善するために、1回または複数回投与されることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項24】
前記組織が心臓組織である、請求項1〜23のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項25】
前記組織が血管組織である、請求項1〜23のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記単離したSDF-1の変異型がSEQ ID NO:67の配列を含む、請求項1〜25のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項27】
前記SDF-1がSEQ ID NO:69の配列を含む、請求項1〜25のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年6月7日に提出された米国仮出願第61/494,079号の恩典を主張するものであって、その内容は参照によりそれらの全体として本明細書によって組み入れられている。
【0002】
概して、本発明は、ストロマ細胞由来因子-1(SDF-1)またはSDF-1のプロテアーゼ耐性変異体を用いた、組織損傷を修復する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
SDF-1(CXCL12としても知られる)は、休止Tリンパ球、単球、およびCD34
+幹細胞に対する化学誘引物質であるケモカインファミリーの68アミノ酸のメンバーである。SDF-1は、示差的mRNAスプライシングの結果である、複数の形態:SDF-1α(CXCL12a)、SDF-1β(CXCL12b)、およびSDF-1γで産生される。SDF-1αおよびSDF-1βの配列は、SDF-1βがC末端において4個のアミノ酸(Arg-Phe-Lys-Met)伸長しているという点を除いて本質的に同じである。SDF-1γの最初の3個のエクソンは、SDF-1αおよびSDF-1βのものと同一である。SDF-1γの第4のエクソンは、SDF-1遺伝子座の第3のエクソンから3200塩基対下流に位置し、SDF-1βの第3のエクソンと第4のエクソンとの間にある。SDF-1は、切断されて活性ペプチドを作るシグナルペプチド(長さが21個のアミノ酸)を有して最初に作られる。
【0004】
SDF-1は、胚発生の間および幹細胞移植の後の、骨髄への造血幹細胞のホーミングにおいて主要な役割を果たす。幹細胞のホーミングにおけるその役割に加えて、SDF-1は、心臓発生および脈管形成においても重要である。SDF-1欠失マウスは周産期に死亡し、心室中隔形成、骨髄造血、および臓器特異的脈管形成の欠陥を有する。異常に低レベルなSDF-1は、糖尿病患者に関連した創傷治癒の障害に少なくとも部分的に関与すること、および組織損傷の部位におけるSDF-1の投与によって障害は反転し得ることも報告されている。
【0005】
正常な成人の心臓において、SDF-1は構成的に発現しているが、心筋梗塞後の数日間以内に発現は上方調節される。G-CSF療法と組み合わせた、SDF-1を過剰発現する安定的にトランスフェクトされた心臓線維芽細胞の心筋内移植によって、SDF-1発現は心筋梗塞の8週間後に増加したことが以前に示されている。この過程は、心臓におけるより多数の骨髄幹細胞(c-KitまたはCD34
+)および内皮細胞に関連しており、血管密度の増加および左心室機能の向上をもたらした。これらの調査は、天然に存在する心筋修復過程の不足が、部分的には不十分なSDF-1利用可能性によるものであり得ることを示唆している。ゆえに、心筋梗塞後の制御された様式でのSDF-1の送達は、より多くの前駆細胞を誘引し得、それによって組織修復を促進し得る。
【0006】
当技術分野において、創傷治癒および組織修復を促進する方法の改良に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
SDF-1は、造血幹細胞のホーミング、ならびに心臓発生および脈管形成に関与する。その幹細胞動員および創傷治癒効果を促進するために、SDF-1の局所勾配が、前駆体を誘引するためならびに血管再生および修復を促進するために必要であると考えられる。本発明者らは、SDF-1およびプロテアーゼ耐性SDF-1変異体の全身送達および特異的静脈内(「IV」)送達が組織損傷の治療に非常に有効であることを発見しており、これはSDF-1の局所勾配の必要条件を考えると驚くべき結果である。IV送達は、送達の容易さを含むがこれに限定されない、他の投与経路と比較して多くの臨床的利点を有する。加えて、本発明者らは、組織損傷事象(例えば、心筋梗塞)の数分間後から、組織損傷(例えば、心臓組織の損傷、血管組織の損傷、または創傷による組織損傷)の発生の数時間後、数日後、数週間後、または数ヶ月後までの範囲での、SDF-1または変異体SDF-1ペプチドの静脈内投与の投薬の遅延も、血管再生および修復を促進するのに有効であることを発見している。これもまた、遅延期間後の組成物の有効性についての本発明者らの発見は、一部の病状および疾患における組織損傷の急性的性質を考えると予想外の発見である。
【0008】
したがって、本発明は、SDF-1ペプチド、ならびに化学誘引物質として機能し得るそれらの能力を保存しているが、プロテアーゼ、とくにマトリックスメタロプロテイナーゼ-2(MMP-2)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP-9)、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV/CD26)、白血球エラスターゼ、カテプシンG、カルボキシペプチダーゼM、およびカルボキシペプチダーゼNによる不活性化に対してそれらを耐性にする様式で変異している変異体SDF-1ペプチドを含む組成物の静脈内投与を特色とする。本発明の方法は、例えば末梢血管疾患(PVD;末梢動脈疾患(PAD)または末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)としても知られる);消化管もしくは他の場所における潰瘍;事故、手術、もしくは疾患によって生じる創傷;慢性心不全;組織損傷;または心筋梗塞もしくは他の心血管系事象の結果として損傷した心臓組織の治療に有用であり得る。本発明の方法は、糖尿病患者における創傷、潰瘍、または病変によって引き起こされた組織損傷を治療するまたはその可能性を低下させるのにも有用であり得る。
【0009】
一局面において、本発明は、単離したSDF-1ペプチド、または変異体SDF-1(mSDF-1)、mSDF-1-Y
z、X
p-mSDF-1、もしくはX
p-mSDF-1-Y
zの式を有するSDF-1ペプチドの変異型を含む組成物を静脈内に投与することによって、それを必要としている対象における組織損傷(例えば、疾患または病状によって生じる組織損傷)を治療するまたは改善する方法を特色とする。SDF-1は、SEQ ID NO:53の少なくともアミノ酸1〜8のアミノ酸配列を有し、かつ任意でC末端においてSEQ ID NO:53の残りの配列のすべてまたは任意の部分伸長していてもよいペプチドであり、SEQ ID NO:53はアミノ酸配列:
を含み、式中、X
3、X
4、X
5、およびX
6は任意のアミノ酸であり、かつ
a)X
pはタンパク質構成(proteinogenic)アミノ酸またはプロテアーゼ保護有機基であり、かつpは1〜4の任意の整数であり;
b)Y
zはタンパク質構成アミノ酸またはプロテアーゼ保護有機基であり、かつzは1〜4の任意の整数であり;
c)mSDF-1またはmSDF-1-Y
zは、T細胞に対する化学誘引物質活性を維持し、かつ天然SDF-1の不活性化の割合の少なくとも50%未満である割合でマトリックスメタロプロテイナーゼ-2(MMP-2)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP-9)、白血球エラスターゼ、および/またはカテプシンGによって不活性化され;ならびに
d)X
p-mSDF-1またはX
p-mSDF-1-Y
zは、T細胞に対する化学誘引物質活性を維持し、天然SDF-1が不活性化される割合の少なくとも50%未満である割合でジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)によって不活性化され、かつ天然SDF-1の不活性化の割合の少なくとも50%未満である割合でMMP-2、MMP-9、白血球エラスターゼ、および/またはカテプシンGによって不活性化され;
単離したSDF-1の変異型を、対象における組織損傷を治療するまたは改善するのに十分な量で静脈内に投与する。
【0010】
ある特定の態様において、単離したSDF-1の変異型ペプチドは、SEQ ID NO:52の少なくともアミノ酸1〜8のアミノ酸配列を含まない。
【0011】
一態様において、X
3はバリン、ヒスチジン、またはシステインである。別の態様において、X
4はセリンまたはバリンである。別の態様において、X
5はロイシン、プロリン、トレオニン、またはバリンである。別の態様において、X
6はセリン、システイン、またはグリシンである。
【0012】
本発明の方法のある態様において、ペプチドはX
p-mSDF-1ペプチドまたはX
p-mSDF-1-Y
zペプチドであって、式中、Xはセリンであり、かつpは1である。他の態様において、ペプチドはmSDF-1-Y
zペプチドまたはX
p-mSDF-1-Y
zペプチドであって、式中、Yはセリンであり、かつzは1である。
【0013】
ある態様において、野生型SDF-1を含むがこれに限定されない本明細書において記載されるSDF-1ペプチドのいずれかに対して、Fcペプチドの付加を含むC末修飾を行ってよい。
【0014】
ある態様において、単離したSDF-1の変異型は、SEQ ID NO:63、67、または69に明示される配列を含む。
【0015】
本発明の方法は、単離したSDF-1の変異型も特色とし得るものであって、SDF-1は式A-(L)
n-Fcを有する融合タンパク質であって、式中、Aは単離したSDF-1の変異型であり;nは0〜3(例えば、1)の整数であり;Lは3〜9個のアミノ酸のリンカー配列であり;かつFcは免疫グロブリンのFc領域由来のFcペプチドである。ある態様において、LはGGGGS(SEQ ID NO:66)である。ある態様において、融合タンパク質は、生物学的に適合したペプチド膜(peptide membrane)を形成し得る。
【0016】
本発明の任意の態様において、治療される疾患または病状は、脳卒中、肢虚血、外傷による組織損傷、心筋梗塞、末梢血管疾患、慢性心不全、または糖尿病であってよい。
【0017】
本発明の任意の態様において、損傷した組織は、心臓組織または血管組織である。
【0018】
本発明の任意の態様において、SDF-1または変異体SDF-1タンパク質組成物を、末梢静脈(例えば、腕の静脈、脚の静脈、手の甲、または肘正中皮静脈)または中心静脈を含むがこれらに限定されない、哺乳類の身体における任意の静脈に、例えば大静脈(例えば、上大静脈もしくは下大静脈、または右心房内)への中心静脈ラインを通して投与する。
【0019】
本発明の任意の態様において、SDF-1または変異体SDF-1タンパク質組成物を、組織損傷の初期発生後、または疾患もしくは病状の発症、認識、もしくは診断の後、数分間以内、または1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、12時間、24時間、少なくとも48時間、少なくとも3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、もしくはそれを上回る期間内に投与する。
【0020】
本発明のさらなる態様において、SDF-1または変異体SDF-1タンパク質組成物を、SDF-1または変異体SDF-1ペプチドの動脈内投与と組み合わせて投与する。静脈内投与は、動脈内投与の前または後であってよい。一例において、SDF-1または変異体SDF-1タンパク質組成物をまず動脈内に投与し、次いで、数分間から1時間、数時間、1日間、1週間、1ヶ月間、1年間に及ぶ期間の後、SDF-1または変異体SDF-1タンパク質組成物を静脈内に投与する。静脈内投与の前または静脈内投与の後の期間の間、動脈内投与を繰り返してよい。
【0021】
疾患または病状の1つまたは複数の症状を改善するために、SDF-1または変異体SDF-1タンパク質組成物を1回または複数回投与してよい。組織損傷が軽減される、組織が修復される、または新しい血管形成が生じるまで、SDF-1または変異体SDF-1組成物を1回または複数回投与してよい。
【0022】
種々の態様において、疾患または病状は、外傷による組織損傷、心筋梗塞、または末梢血管疾患である。さらなる態様において、疾患または病状は心血管疾患である。
【0023】
本発明の任意の態様において、損傷した組織は、心臓組織または血管組織である。
【0024】
「十分な量」とは、臨床的に関連する様式で障害または病状を治療するまたは改善するために必要とされる、単独でのまたは別の治療レジメンと組み合わせた、治療剤(例えば、mSDF-1ペプチド)の量を意味する。一例において、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドの十分量は、創傷治癒および組織修復または新しい血管形成(例えば、脈管形成)を促進する量である。例えば組織損傷の治療的処置のために本発明を実践するのに用いられる治療剤の十分量は、投与の様式、対象の年齢および全体的健康に依存して変わる。最終的には、そのような治療を処方する医師が適切な量および投薬レジメンを決める。
【0025】
「フラグメント」とは、核酸またはポリペプチドの長さ全体の少なくとも、例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれを上回る割合を含有している核酸またはポリペプチドの一部を意味する。核酸フラグメントは、例えば10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、もしくは200個、またはそれを上回る該核酸の全長までの個数のヌクレオチドを含有し得る。ポリペプチドフラグメントは、例えば10、20、30、40、50、もしくは60個、またはそれを上回る該ポリペプチドの全長までの個数のアミノ酸を含有し得る。本明細書において記載されるようにおよび当技術分野において公知のように、フラグメントを修飾することができる。
【0026】
「静脈内投与」、「静脈内療法」、「IV投与」、または「IV療法」とは、静脈(例えば、末梢または中心)への物質の投与を意味する。静脈内投与には、シリンジに直接つながれたまたはある長さのチューブおよび容器(例えば、投与されるべき薬学的組成物を収容している滅菌容器)につながれた針を通した、静脈への直接的注入が含まれてよい。
【0027】
「薬学的に許容されるキャリア」は、それが一緒に投与される組成物の治療特性を保持しながら、治療される対象に生理学的に許容されるキャリアを意味する。一つの例示的な薬学的に許容されるキャリア物質は、生理食塩水である。他の薬学的に許容されるキャリアおよびそれらの調合は、当業者に公知であり、かつ例えばRemington's Pharmaceutical Sciences(20
th edition, ed. A. Gennaro, 2000, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA)に記載されている。
【0028】
「創傷治癒を促進する」または「組織修復を促進する」とは、創傷または損傷した組織の閉鎖、治癒、または修復を増強する、向上させる、増大させる、または誘導することを意味する。創傷または組織損傷は、任意の障害または病状(例えば、疾患、負傷、または手術)の結果であってよく、かつ対象における任意の位置(例えば、内部または外部の創傷)に見出されてよい。例えば、創傷または組織損傷は、例えば心筋梗塞等の心血管系の病状の結果であってよく、損傷した組織は心臓組織であってよい。あるいは、創傷または組織損傷は、末梢血管疾患または糖尿病の結果であってよい。
【0029】
「タンパク質」、「ポリペプチド」、「ポリペプチドフラグメント」、または「ペプチド」とは、翻訳後修飾(例えば、グルコシル化またはリン酸化)にかかわらず、天然に存在するポリペプチドもしくはペプチドのすべてもしくは一部を構成する、または天然に存在しないポリペプチドもしくはペプチドを構成する2個またはそれを上回る個数のアミノ酸残基の任意の鎖を意味する。物理的、機械的、または化学的方法を採用して細胞構成要素からポリペプチドを取り出している場合、ポリペプチドまたはペプチドを「単離した」または「実質的に混じりけがない」と言ってよい。「単離したペプチド」、「実質的に混じりけがないポリペプチド」、または「実質的に混じりけがなくかつ単離したポリペプチド」は、典型的には、それが、それが天然に関連しているタンパク質および天然に存在する有機分子を含まず少なくとも60重量%である場合に、細胞構成要素から取り出されかつ実質的に混じりけがないと見なされる。ポリペプチドは、少なくとも75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、または99重量%混じりけがないものであってよい。実質的に混じりけがないポリペプチドは、標準的技術によって、例えば天然の供給源(例えば、細胞株または生物学的流体)からの抽出によって、該ポリペプチドをコードする組換え核酸の発現によって、または該ポリペプチドを化学的に合成することによって獲得され得る。任意の適切な方法によって、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、または高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって、純度を測定することができる。あるいは、ポリペプチドは、それがヒトの介入によって変更され、その天然の部位ではない位置に置かれている場合、またはそれが1個もしくは複数個の細胞内に導入された場合、単離されたと見なされる。
【0030】
上記に定義されるように、本発明のペプチドおよびポリペプチドは、すべての「模倣体」および「ペプチド模倣体」の形態を含む。「模倣体」および「ペプチド模倣体」という用語は、本発明のペプチドまたはポリペプチドと実質的に同じ構造的および/または機能的特徴を有する合成化合物を表す。模倣体は、合成した非天然のアミノ酸類似体から全体的に構成され得、または天然アミノ酸と非天然のアミノ酸類似体とのキメラ分子であってよい。模倣体は、任意の量の保存的置換を、そのような置換が模倣体の構造または活性を実質的に変更しない限り、取り入れることもできる。
【0031】
「予防する」または「可能性を低下させる」とは、疾患もしくは障害(例えば、心筋梗塞または末梢血管疾患)、またはそれらの症状の重症度、頻度、および/または継続期間を低下させることを意味する。
【0032】
「プロテアーゼ保護有機基」とは、SDF-1またはSDF-1の変異した形態(mSDF-1)のN末端アミノ酸に付加された場合に、修飾されていないSDF-1の化学誘引物質活性(例えば、Jurkat T細胞遊走のアッセイまたは走化性を測定するための当技術分野において公知の他のアッセイによって決定される)の少なくとも、例えば10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、95、99、または100%を維持する修飾されたペプチドをもたらし、かつ修飾されていないSDF-1の不活性化の割合の例えば50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、または1%未満の割合で酵素(例えば、DPPIV)によって不活性化される、タンパク質構成アミノ酸以外の有機基を意味する。
【0033】
「プロテアーゼ耐性」とは、天然または野生型のペプチドまたはポリペプチド(例えば、天然または野生型SDF-1)と比較して、そのアミノ酸の一次配列に1個または複数個の修飾を含有しており、かつ該1個または複数個のアミノ酸修飾のない天然または野生型のペプチドまたはポリペプチドと比較して、タンパク質分解に対する耐性の増大を呈するペプチドまたはポリペプチドを意味する。「プロテアーゼ耐性の増大」とは、アミノ酸配列の変化がないペプチドまたはポリペプチドと比較して、インビトロまたはインビボのアッセイによって査定される増大を意味する。特定のプロテアーゼ(例えば、MMP-2、MMP-9、DPPIV、白血球エラスターゼ、カテプシンG、カルボキシペプチダーゼM、またはカルボキシペプチダーゼN)への曝露後の活性または発現について、例えばJurkat Tリンパ球遊走アッセイ、CXCR-4-cAMP受容体活性化アッセイ、およびCXCR4-またはCXCR7-βアレスチンアッセイ等のアッセイを用いて試験することによって、プロテアーゼに対する耐性の増大を査定することができる。典型的には、プロテアーゼ耐性の増大は、耐性を付与するアミノ酸配列の変化がない、同じペプチドまたはポリペプチドと比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれを上回る。
【0034】
「タンパク質構成の」とは、ポリペプチドまたはペプチドのアミノ酸が、L型異性体のアラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスバラギン酸(D)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、またはバリン(V)であることを意味する。
【0035】
「SDF」または「SDF-1」とは、SEQ ID NO:52の配列を含み得るストロマ細胞由来因子ペプチド、またはSDFの複数の形態(例えば、同じ遺伝子の選択的スプライシングによって産生されるSDF-1α(CXCL12a)、SDF-1β(CXCL12b)、およびSDF-γ)のうちのいずれかを意味する。SDF-1βは、SDF-1αのC末端にさらなる4個のアミノ酸残基、Arg-Phe-Lys-Metを含む。SDF-1γの最初の3個のエクソンは、SDF-1αおよびSDF-1βのものと同一である。SDF-1γの第4のエクソンは、SDF-1遺伝子座の第3のエクソンから3200塩基対下流に位置し、SDF-1βの第3のエクソンと第4のエクソンとの間にある。SEQ ID NO:52はSDF-1αの配列を示しているが、この配列はC末端において伸長して、さらなるアミノ酸残基を含んでよい。本発明は、SDF-1α、SDF-1β、およびSDF-γの変異を含む。本発明の目的のために、「SDF」または「SDF-1」という用語は、該ペプチドの活性型、すなわちシグナルペプチドの切断後のものを表す。
【0036】
「mSDF-1」、「mSDF」、または「SDF(NqN')」(式中、Nはもともと存在するアミノ酸の一文字表記であり、qは該ペプチドのN末端からのその場所であり、かつN'はNを置換しているアミノ酸である)とは、変異体SDF-1ペプチドを意味する。N末端におけるアミノ酸の付加(例えば、1個または複数個のアミノ酸)によって変異しているペプチドは、「X
p-R」と省略され、式中、Xはタンパク質構成アミノ酸またはプロテアーゼ保護有機基であり、pは整数であり、かつRは伸長前のペプチド(例えば、SDF-1またはmSDF-1)である。例えば、「S-SDF-1」または「S-mSDF-1」は、N末端に付加されたセリン残基を有する、それぞれSDF-1またはmSDF-1分子である。C末端におけるアミノ酸の付加(例えば、1個または複数個のアミノ酸)によって変異しているペプチドは、「R-Y
z」と省略され、式中、Yはタンパク質構成アミノ酸またはプロテアーゼ保護有機基であり、zは整数であり、かつRは伸長前のペプチド(例えば、SDF-1、mSDF-1、またはX
p-mSDF-1)である。別様に指示されていない限り、すべての薬学的に許容される塩を含む、ペプチドのすべての薬学的に許容される形態を用いてよい。
【0037】
「本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチド」とは、本明細書において記載される任意の野生型SDF-1(アイソフォームを含む)または変異体SDF-1ペプチドを意味する。該用語には、本明細書において記載される野生型SDF-1または変異体SDF-1ペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)も含まれる。
【0038】
「対象」とは、ヒト、またはウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、もしくはネコ等のヒト以外の哺乳類を含むがこれらに限定されない哺乳類を意味する。
【0039】
「持続放出」または「制御放出」とは、治療上有益なレベルの(しかしながら、毒性レベルを下回る)成分が、例えば約12時間〜約4週間に及ぶ長期間(例えば、12時間、24時間、48時間、1週間、2週間、3週間、または4週間)にわたって維持され、ゆえに例えば12時間〜4週間の投薬形態を提供するような制御された割合で、治療的活性成分が調合物から放出されることを意味する。
【0040】
「治療する」または「改善する」とは、障害にすでに罹患している対象に、治療目的で薬学的組成物を投与してまたは処置を施して、対象の病状を向上させることを意味する。「障害を治療する」または「障害を改善する」とは、障害および障害に関連した症状を、例えば緩和する、軽減する、癒す、または寛解の状態に置くことを意味する。そのような改善または治療の程度は、同等の治療を受けていない対象と比較して、任意の標準的技術によって測定して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%である。
【0041】
[本発明1001]
それを必要とする対象において組織損傷を治療するまたは改善する方法であって、該組織損傷は疾患または病状によって生じ、該方法は、変異体SDF-1(mSDF-1)、mSDF-1-Yz、Xp-mSDF-1、またはXp-mSDF-1-Yzの式を含む単離したストロマ細胞由来因子-1(SDF-1)ペプチドの変異型を含む組成物を静脈内に投与することを含み、該SDF-1は、SEQ ID NO:53の少なくともアミノ酸1〜8のアミノ酸配列を含み、かつ任意でC末端においてSEQ ID NO:53の残りの配列のすべてまたは任意の部分伸長しているペプチドであり、該SEQ ID NO:53はアミノ酸配列:
を含み、式中、X3、X4、X5、およびX6は任意のアミノ酸であり、かつ式中、
a)Xpはタンパク質構成アミノ酸またはプロテアーゼ保護有機基であり、かつpは1〜4の任意の整数であり;
b)Yzはタンパク質構成アミノ酸またはプロテアーゼ保護有機基であり、かつzは1〜4の任意の整数であり;
c)該mSDF-1または該mSDF-1-Yzは、T細胞に対する化学誘引物質活性を維持し、かつ天然SDF-1の不活性化の割合の少なくとも50%未満である割合でマトリックスメタロプロテイナーゼ-2(MMP-2)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP-9)、白血球エラスターゼ、および/またはカテプシンGによって不活性化され;ならびに
d)該Xp-mSDF-1または該Xp-mSDF-1-Yzは、T細胞に対する化学誘引物質活性を維持し、天然SDF-1が不活性化される割合の少なくとも50%未満である割合でジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)によって不活性化され、かつ天然SDF-1の不活性化の割合の少なくとも50%未満である割合でMMP-2、MMP-9、白血球エラスターゼ、および/またはカテプシンGによって不活性化され;
該単離したSDF-1の変異型を、該対象における該組織損傷を治療するまたは改善するのに十分な量で静脈内に投与する、方法。
[本発明1002]
前記単離したSDF-1ペプチドの変異型が、SEQ ID NO:52の少なくともアミノ酸1〜8のアミノ酸配列を含まない、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記X3がバリン、ヒスチジン、またはシステインである、本発明1001または1002の方法。
[本発明1004]
前記X4がセリンまたはバリンである、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
前記X5がロイシン、プロリン、トレオニン、またはバリンである、本発明1001〜1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記X6がセリン、システイン、またはグリシンである、本発明1001〜1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記ペプチドがXp-mSDF-1ペプチドまたはXp-mSDF-1-Yzペプチドであって、式中、Xはセリンであり、かつpは1である、本発明1001〜1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記ペプチドがmSDF-1-YzペプチドまたはXp-mSDF-1-Yzペプチドであって、式中、Yはセリンであり、かつzは1である、本発明1001〜1006のいずれかの方法。
[本発明1009]
前記単離したSDF-1の変異型が、式A-(L)n-Fcを含む融合タンパク質であって、式中、Aは単離したSDF-1の変異型であり;nは0〜3の整数であり;Lは3〜9個のアミノ酸のリンカー配列であり;かつFcは免疫グロブリンのFc領域由来のFcペプチドである、本発明1001〜1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
n=1かつLがGGGGS(SEQ ID NO:66)である、本発明1009の方法。
[本発明1011]
前記疾患または病状が、脳卒中、肢虚血、外傷による組織損傷、心筋梗塞、末梢血管疾患、慢性心不全、糖尿病、および糖尿病性創傷治癒からなる群より選択される、本発明1001〜1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記疾患または病状が心筋梗塞である、本発明1011の方法。
[本発明1013]
前記疾患または病状が末梢血管疾患である、本発明1011の方法。
[本発明1014]
前記疾患または病状が糖尿病である、本発明1011の方法。
[本発明1015]
前記疾患または病状が糖尿病性創傷治癒である、本発明1011の方法。
[本発明1016]
前記組成物を末梢静脈または中心静脈に投与する、本発明1001〜1015のいずれかの方法。
[本発明1017]
前記組成物を、前記疾患、病状、または組織損傷の発症後数分間以内に投与する、本発明1001〜1016のいずれかの方法。
[本発明1018]
前記組成物を、前記疾患、病状、または組織損傷の発症または診断の24時間後またはそれを上回る時間の後の時点で投与する、本発明1001〜1016のいずれかの方法。
[本発明1019]
前記組成物を、前記疾患、病状、または組織損傷の発症または診断の48時間後またはそれを上回る時間の後に投与する、本発明1001〜1016のいずれかの方法。
[本発明1020]
前記組成物を、前記疾患、病状、または組織損傷の発症または診断の7日後またはそれを上回る時間の後に投与する、本発明1001〜1016のいずれかの方法。
[本発明1021]
前記組成物を、前記疾患、病状、または組織損傷の発症または診断の1ヶ月後またはそれを上回る時間の後に投与する、本発明1001〜1016のいずれかの方法。
[本発明1022]
前記組成物を、前記疾患、病状、または組織損傷の発症または診断の6ヶ月後またはそれを上回る時間の後に投与する、本発明1001〜1016のいずれかの方法。
[本発明1023]
前記方法を、SDF-1または変異体SDF-1ペプチドの動脈内投与と組み合わせる、本発明1001〜1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
前記疾患または病状が、外傷による組織損傷、心筋梗塞、または末梢血管疾患である、本発明1017〜1023のいずれかの方法。
[本発明1025]
前記疾患または病状が心血管疾患である、本発明1017〜1023のいずれかの方法。
[本発明1026]
前記組織損傷が軽減される、修復される、または新しい血管形成が生じるまで、前記組成物を1回または複数回投与する、本発明1001〜1025のいずれかの方法。
[本発明1027]
前記疾患または病状の1つまたは複数の症状を改善するために、前記組成物を1回または複数回投与する、本発明1001〜1025のいずれかの方法。
[本発明1028]
前記組織が心臓組織である、本発明1001〜1027のいずれかの方法。
[本発明1029]
前記組織が血管組織である、本発明1001〜1027のいずれかの方法。
[本発明1030]
前記単離したSDF-1の変異型がSEQ ID NO:67の配列を含む、本発明1001〜1029のいずれかの方法。
[本発明1031]
前記SDF-1がSEQ ID NO:69の配列を含む、本発明1001〜1029のいずれかの方法。
本発明の他の特色および利点は、詳細な説明からおよび特許請求の範囲から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、虚血再灌流傷害後7日後にIV送達されたSSDF-1(S4V)がPBS対照と比較して、駆出分画を10%ポイント向上させることを示している棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
詳細な説明
本発明は、野生型SDF-1、または酵素的切断(例えば、MMP-2、MMP-9、DPPIV、白血球エラスターゼ、カテプシンG、カルボキシペプチダーゼM、またはカルボキシペプチダーゼNのうちの1つまたは複数による切断)に対する耐性を増大させるように変異しているSDF-1の静脈内投与によって、損傷した組織、例えば損傷した心臓組織の回復が促進されるという発見に基づく。そのようなペプチドを、薬学的に許容されるキャリアの有無にかかわらず、単離したペプチドとして投与してよい。加えて、本発明者らは、組織損傷の初期発生後、または疾患もしくは病状の発症、認識、もしくは診断の後の数分間以内から、組織損傷の初期発生後、または疾患もしくは病状の発症、認識、もしくは診断の後の1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、12時間、24時間、少なくとも48時間、少なくとも3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、もしくはそれを上回る期間内までの遅延投与も、損傷した組織の回復を促進するのに有用であるということを驚くべきことに発見している。
【0044】
静脈内投与
本発明の方法に用いられるSDF-1または変異体SDF-1ペプチド含有組成物を、例えば静脈内(IV)注入によってまたは埋め込み式デバイス(例えば、カテーテル)を用いて静脈内に投与する。静脈内投与は、一般的に、末梢静脈(例えば、腕の静脈、脚の静脈、手の甲、または肘正中皮静脈)を含むがこれに限定されない、哺乳類の身体における任意の利用可能な静脈内への注入、または大静脈(例えば、上大静脈もしくは下大静脈、または右心房内)への中心ラインによる注入を伴う。静脈内投与には、末梢挿入中心カテーテル、中心静脈ライン、または埋め込み式ポートによる投与も含まれてよい。
【0045】
末梢IVラインは、例えば柔軟性のあるプラスチック製カニューレが金属製トロカール上に取り付けられた状態になっているカニューレ被覆針(cannula-over-needle)デバイスを用いて、末梢静脈(例えば、胸部または腹部の内側でない任意の静脈)内に皮膚を通して挿入された短いカテーテル(数センチメートルの長さ)からなる。皮膚の外側に残るカテーテルの部分は接続ハブと呼ばれ、それをシリンジまたは静注ラインに接続することができる。移植された(ported)カニューレは、本発明のSDF-1変異体SDF-1ペプチドを投与するのに用いられ得る、最上部に注入ポートを有する。
【0046】
長期間にわたってIVアクセスが必要とされる場合、または注入されるべき物質が末梢IVの急速な損傷および早期不全を引き起こし得る場合、かつ従来の中心ラインが試みるにはあまりにも危険であり得る場合、末梢挿入中心カテーテル(PICC)ラインを用いる。
【0047】
本発明のIV送達方法には、例えばカテーテルが鎖骨下内頸静脈または大腿静脈内に挿入され、それが上大静脈または右心房に到達するまで心臓へ向けて進められている中心静脈ラインも含まれる。
【0048】
別の中心IV送達方法は、大静脈内に、通常、上大静脈もしくは下大静脈、または右心房内にその先端を有するカテーテルを流れる中心IVラインの使用によるものである。
【0049】
本発明のIV送達方法に有用な別のタイプの中心ラインは、標的静脈内に挿入され、次いで皮下に「トンネルを掘って進められ」て、少し離れて出現する、HickmanラインまたはBroviacカテーテルである。
【0050】
本発明のSDF-1および変異体SDF-1ペプチド化合物のIV送達には、埋め込み式ポートも用いられる。埋め込み式ポートは、外部コネクタを有しない中心静脈ラインであり、その代わりに、それは、シリコンゴムで被覆され、皮下に埋め込まれる貯留層を有する。皮膚を通して小さい針を入れ、シリコンに突き刺すことによって、ペプチド化合物を貯留層内に間欠的に投与する。ポートは、数週間、数ヶ月間、数年間でさえ対象の身体に放置され得る。間欠的注入は、対象が本発明のSDF-1およびmSDF-1ペプチド化合物の投与を必要とする場合に、ある時期においてのみ用いられ得る別のタイプの静脈内投与である。
【0051】
SDF-1またはmSDF-1ペプチド含有組成物を、1本の静脈または数本の静脈内に投与してよい。SDF-1またはmSDF-1ペプチド含有組成物を、約1分間、1〜5分間、10〜20分間、20〜30分間の期間、または臨床医によって決定される例えば1本もしくは複数本の静脈内への十分な時間、静脈内に投与することができる。投与を間欠的に繰り返して、予期される有益性を達成するまたは持続させることができる。反復投与のタイミングは、例えば組織損傷に関連した症状をモニタリングすることによる、対象の応答に基づく。与えられ得る治療上有効な用量または有効な量のSDF-1またはmSDF-1ペプチド含有組成物を、2回またはそれを上回る回数の用量に分割することができ、1箇所の穿刺または複数箇所の穿刺で2本またはそれを上回る本数の静脈内に用量を投与してよい。
【0052】
SDF-1およびプロテアーゼ耐性変異体
SDF-1は、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド12(CXCL12)と公式に指定されている、ケモカインファミリーに属する小さなサイトカインである。SDF-1は、同じ遺伝子の選択的スプライシングによって、SDF-1α(CXCL12a)、SDF-1β(CXCL12b)、およびSDF-1γという複数の形態で産生される。
【0053】
変異していないSDF-1αは、以下の配列:
を有する。
【0054】
本明細書において記載されるSDF-1ペプチドには、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ-2(MMP-2)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP-9)、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、白血球エラスターゼ、カテプシンG、カルボキシペプチダーゼM、またはカルボキシペプチダーゼNに対して該ペプチドを耐性にする変異を有するSDF-1ペプチドが含まれる。本発明の方法において、組織損傷の治療または改善のために、変異していないSDF-1も静脈内送達によって投与してよい。
【0055】
本発明の方法は、変異していないSDF-1のN末端から3番目、4番目、5番目、および/または6番目のアミノ酸残基における変化によって特徴付けされるSDF-1の変異型(mSDF-1)を特色とする。本発明のmSDF-1ペプチドは、以下の配列:
を有し、式中、X
3、X
4、X
5、およびX
6は任意のアミノ酸残基である、SEQ ID NO:53の少なくともアミノ酸1〜8を有し、かつC末端においてSEQ ID NO:53の残りの配列のすべてまたは任意の部分伸長していてよい。
【0056】
ある態様において、X
3はバリン、ヒスチジン、またはシステインである。
【0057】
ある態様において、X
4はセリンまたはバリンである。
【0058】
ある態様において、X
5はロイシン、プロリン、トレオニン、またはバリンである。
【0059】
ある態様において、X
6はセリン、システイン、またはグリシンである。
【0060】
例えば、mSDF-1ペプチドは、4番目(例えば、Ser→Val)および/または5番目(例えば、Leu→Pro)のアミノ酸の場所において変異を含んでよい。
【0061】
別の例において、mSDF-1ペプチドは、3番目のアミノ酸の場所において、Val→His(SEQ ID NO:54)またはVal→Cys(SEQ ID NO:55)の変異を含んでよい。
【0062】
他の態様において、mSDF-1ペプチドは、5番目のアミノ酸の場所において、Leu→Thr(SEQ ID NO:56)またはLeu→Val(SEQ ID NO:60)の変異を含んでよい。
【0063】
他の態様において、mSDF-1ペプチドは、6番目のアミノ酸の場所において、Ser→Cys(SEQ ID NO:61)またはSer→Gly(SEQ ID NO:62)の変異を含んでよい。
【0064】
本発明の方法は、本明細書において記載される変異の任意の組み合わせを包含するペプチドも含んでよい。例えば、mSDF-1ペプチドは、SEQ ID NO:53の3番目のアミノ酸の場所におけるVal→Cysの変異、およびSEQ ID NO:53の6番目のアミノ酸の場所におけるSer→Cysの変異を含んでよい。
【0065】
プロテアーゼ耐性を付与するためにSDF-1ペプチドになされる変異は、X
p-mSDF-1をもたらす、例えばmSDF-1ペプチド(上記)のN末端への、例えば構成成分(例えば、タンパク質構成アミノ酸またはプロテアーゼ保護有機基)の付加も含んでよい。例えば、XはR
1-(CH
2)
d-であってよく、式中、dは0〜3の整数であり、かつR
1は、水素(R
1が水素である場合、dは少なくとも1でなければならないという注意付きで);分岐または直線状C
1-C
3アルキル;直線状または分岐C
2-C
3アルケニル;ハロゲン、CF
3;-CONR
5R
4;-COOR
5;-COR
5;-(CH
2)
qNR
5R
4;-(CH
2)
qSOR
5;-(CH
2)
qSO
2R
5、-(CH
2)
qSO
2NR
5R
4;およびOR
5より選択され、式中、R
4およびR
5は、それぞれ独立して水素、または直線状もしくは分岐C
1-C
3アルキルである。有機基がXに用いられる場合、pは1であるべきである。Xは、例えば、1〜10個(例えば、1〜9、1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、または1個)のアミノ酸がSDF-1(例えば、mSDF-1)のN末端に付加され、これらの付加されたアミノ酸のうちの1個または複数個がプロテアーゼ保護有機基に置換されていてよいタンパク質構成アミノ酸も表し得る。例えば、タンパク質構成アミノ酸(例えば、セリン)またはプロテアーゼ保護有機基をSDF-1(例えば、mSDF-1)のN末端に付加して、化学誘引物質活性または他のプロテアーゼ(例えば、MMP-2)に対する耐性を実質的に変化させることなく、例えばDPPIV切断に対する耐性を付与し得る。下記の配列は、N末端に付加された1個のセリンアミノ酸を有する例示的なSDF-1変異体を表す。
式中、X
3、X
4、X
5、およびX
6は任意のアミノ酸残基である。
【0066】
ある態様において、X
3はバリン、ヒスチジン、またはシステインである。
【0067】
ある態様において、X
4はセリンまたはバリンである。
【0068】
ある態様において、X
5はロイシン、プロリン、トレオニン、またはバリンである。
【0069】
ある態様において、X
6はセリン、システイン、またはグリシンである。
【0071】
プロテアーゼ耐性を付与するためにSDF-1ペプチドになされる変異は、mSDF-1-Y
zまたはX
p-mSDF-1-Y
zをもたらす、例えばmSDF-1ペプチド(上記)のC末端への、例えば構成成分(例えば、タンパク質構成アミノ酸)の付加も含んでよい。Yは、例えば、1〜10個(例えば、1〜9、1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、または1個)のアミノ酸がSDF-1(例えば、mSDF-1またはX
p-mSDF-1)のC末端に付加されているタンパク質構成アミノ酸を表し得る。例えば、タンパク質構成アミノ酸(例えば、セリン)をSDF-1、mSDF-1、またはX
p-mSDF-1のC末端に付加して、化学誘引物質活性または他のプロテアーゼ(例えば、MMP-2)に対する耐性を実質的に変化させることなく、例えばカルボキシペプチダーゼMまたはカルボキシペプチダーゼN切断に対する耐性を付与し得る。一態様において、本発明は、SDF-1がSEQ ID NO:53のアミノ酸配列を含む、単離したmSDF-1-Y
zまたはX
p-mSDF-1-Y
zペプチドを特色とする。しかしながら、SDF-1および本明細書において記載されるSDF-1ペプチドのいずれかにC末修飾を行ってよい。本明細書において記載される変異したSDF-1ペプチドは、化学誘引物質として作用し得るそれらの能力を保持しているが、酵素(例えば、タンパク質分解性)消化に耐性である。mSDF-1ペプチドは、変異していないSDF-1の感度の例えば少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、95、99、または100%(例えばJurkat T細胞遊走または当技術分野において公知の他の任意の走化性アッセイというアッセイにおける最大反応の50%を得るのに必要とされる、例えば有効濃度によって決定される)の感度を有する化学誘引物質活性を維持する。化学誘引物質活性の喪失は、例えばMMP-2、MMP-9、白血球エラスターゼ、DPPIV、カテプシンG、カルボキシペプチダーゼM、またはカルボキシペプチダーゼNによる切断によるものであり得る。mSDF-1の不活性化の割合は、SDF-1の不活性化の割合の例えば50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、または1%未満であってよい。
【0072】
変異したSDF-1ペプチドは、例えばMMP-2、MMP-9、DPPIV、白血球エラスターゼ、カテプシンG、カルボキシペプチダーゼM、またはカルボキシペプチダーゼNによる切断に対して耐性であり得る。ゆえに、それらは、理想的には、タンパク質分解酵素が高濃度で存在している例えば損傷した組織(例えば、損傷した心臓組織)等の部位における使用、または血液もしくは血漿による該部位への送達に適している。したがって、変異したSDF-1ペプチドは、そのようなペプチドの安定性の向上のために静脈内投与に適している。
【0073】
本明細書において記載されるプロテアーゼ耐性SDF-1ペプチドは、翻訳後プロセシング等の自然過程によって、または当技術分野において公知の技術を用いた化学修飾によって修飾されたアミノ酸または配列を含んでよい。ポリペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノ末端またはカルボキシ末端を含む、ポリペプチドにおける任意の場所で起こり得る。同じタイプの修飾は、所与のポリペプチドにおけるいくつかの部位で同じまたは異なる程度に存在してよく、ポリペプチドは1つのタイプを上回る修飾を含有していてよい。修飾には、例えば、PEG化、アセチル化、アシル化、アセトアミドメチル(acetomidomethyl)(Acm)基の付加、ADPリボシル化、アルキル化、アミド化、ビオチン化、カルバモイル化、カルボキシエチル化、エステル化、フィアビン(fiavin)への共有結合性接着、ヘム部分への共有結合性接着、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合性接着、薬物の共有結合性接着、マーカー(例えば、蛍光性または放射性マーカー)の共有結合性接着、脂質または脂質誘導体の共有結合性接着、ホスファチジルイノシトールの共有結合性接着、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合性架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、タンパク質への転移RNAを介したアミノ酸の付加(例えば、アルギニン化(arginylation))、およびユビキチン化が含まれる。翻訳後修飾には、ペプチドを安定させるまたは薬物動態もしくは薬物力学を向上させるためのポリマーの付加も含まれる。例示的なポリマーには、例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、 ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリグルタミン酸(PGA)、およびポリオルトエステルが含まれる。
【0074】
融合タンパク質
本発明の方法は、本明細書において記載されるSDF-1、mSDF-1、X
p-mSDF-1、mSDF-1-Y
z、またはX
p-mSDF-1-Y
zペプチド配列のいずれかがIgG(例えば、ヒトIgG1)のFc領域に連結されている融合タンパク質も利用してよい。あるいは、Fc領域は、ヒト、またはブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ヤギ、ラット、およびモルモットを含む他の動物のIgA、IgM、IgE、またはIgDに由来してよい。IgGのFc領域には、IgG重鎖のCH2およびCH3ドメイン、ならびにヒンジ領域が含まれる。ヒンジは、Fc融合タンパク質の2つの部分間の柔軟性のあるスペーサーとして働き、分子のそれぞれの部分が独立して機能するのを可能にする。本発明に用いられるFc領域を、例えば単量体型および二量体型に調製することができる。
【0075】
例示的なFc融合ペプチドは、以下のアミノ酸配列を有するS-SDF-1(S4V)-Fcである。GGGGSリンカー(SEQ ID NO:66)は太字で示され、Fcペプチドには下線が引かれている。
【0076】
Fc融合ペプチドの他の非限定的な例には、例えばSDF-1(S4V)-Fc、SDF-1(L5P)-Fc、SDF-1(S6C)-Fc、SDF-1(V3H)-Fc、SDF-1-Fc、S-SDF-1-Fc、およびSDF-1-Fcが含まれる。
【0077】
上記タンパク質のすべては、「本発明のSDF-1およびmSDF-1タンパク質」または「本発明のペプチド」という用語に含まれる。
【0078】
ペプチド合成
本発明の方法に用いられるSDF-1またはプロテアーゼ耐性変異体SDF-1ペプチドを、例えば標準的N-tert-ブトキシカルボニル(butyoxycarbonyl)(t-Boc)化学反応を用いた固相ペプチド合成、およびn-メチルピロリドン(methylpyrolidone)化学反応を用いたサイクルによって作製することができる。ペプチドを合成するための例示的な方法は、参照により本明細書によって組み入れられる、例えば米国特許第4,192,798号;第4,507,230号;第4,749,742号;第4,879,371号;第4,965,343号;第5,175,254号;第5,373,053号;第5,763,284号;および第5,849,954号において見出される。これらのペプチドを、組換えDNA技術を用いて作製してもよい。
【0079】
いったんペプチドが合成されたら、例えばHPLCまたは逆相カラム等の手順を用いて、それらを精製することができる。HPLCによって純度を査定してもよく、アミノ酸分析によって正確な組成物の存在を決定することができる。mSDF-1ペプチドに適した精製手順は、参照により本明細書によって組み入れられる、例えば米国特許出願公報第2008/0095758号に記載されている。
【0080】
融合タンパク質を、化学的に合成または組換えDNA技術を用いて作製してよい。Fc融合ペプチドの他の非限定的な例には、例えばSDF-1(S4V)-Fc、SDF-1(L5P)-Fc、SDF-1(S6C)-Fc、SDF-1(V3H)-Fc、SDF-1-Fc、S-SDF-1-Fc、およびSDF-1-Fcが含まれる。
【0081】
薬学的組成物および投薬量
本発明の方法に採用されるペプチドのいずれかは、任意の適したキャリア物質中に任意の適切な量で含有されてよく、プロテアーゼ耐性ペプチドまたは融合タンパク質は、概して、組成物の総重量の1〜95重量%、例えば5%、10%、20%、または50%の量で存在している。本明細書において記載されるプロテアーゼ耐性SDF-1ペプチドまたは融合タンパク質を、例えば食塩水、水、リンガー溶液等のキャリア、および他の作用物質または賦形剤を含有している薬学的組成物中に組み入れてよい。組成物を静脈内送達(例えば、注入または埋め込み式ポートによる)用に設計する。ゆえに、組成物は、懸濁液、乳濁液、溶液、または注入物質の形態であってよい。当技術分野において標準的である方法を用いて、すべての組成物を調製してよい(例えば、
Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th ed., A. Oslo. ed., Easton, PA (1980)を参照されたい)。
【0082】
本発明のペプチドを、制御放出または持続放出システムで送達することができる。例えば、ポリマー材料を用いて、ペプチドの制御放出または持続放出を達成することができる(参照により本明細書によって組み入れられる、例えばMedical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, Fla. (1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, N.Y. (1984);米国特許第5,679,377号;第5,916,597号;第5,912,015号;第5,989,463号;および第5,128,326号;PCT公報WO 99/15154およびWO 99/20253を参照されたい)。持続放出の調合物に用いられるポリマーの例には、例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、 ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリグルタミン酸(PGA)、およびポリオルトエステルが含まれる。
【0083】
熟練した医師であれば、臨床医学において十分に確立された方法を用いて、ケースバイケースでペプチドの投薬量を調整することができると予想される。最適な投薬量は、当技術分野における公知の方法によって決定され得、治療される対象の年齢、疾患状態、および他の臨床的に関連する因子等の因子によって影響を受け得る。一般的に、ヒトに投与される場合、本明細書において記載される治療剤(例えば、SDF-1またはプロテアーゼ耐性変異体SDF-1ペプチド)のいずれかの投薬量は、該剤の性質に依存すると考えられ、当業者によって容易に決定され得る。典型的には、そのような投薬量は、通常1日あたり約0.001μg〜2000mg、望ましくは1日あたり約1mg〜1000mg、より望ましくは1日あたり約5mg〜500mgである。一態様において、投薬量は、1日あたり0.01mg/kg〜100mg/kg、または望ましくは1mg/kg〜10mg/kgである。
【0084】
本発明のペプチドを、毎日1回、2回、3回、4回、もしくは5回;1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、もしくは1週間に6回;1ヶ月に1回、2ヶ月おきに1回、3ヶ月おきに1回、もしくは6ヶ月おきに1回;または1年に1回静脈内に投与してよい。あるいは、本発明のペプチドを1回または2回投与してよく、反復投与は必要とされないかもしれない。組織損傷(例えば、心筋梗塞または末梢血管疾患によって生じる組織損傷)が治癒するまたは改善されるまで、本明細書において記載されるペプチドの投与を続けることができる。治療の継続期間は、例えば1日間〜1週間、1週間〜1ヶ月間、1週間〜1年間、または1週間〜1年間を上回る期間であってよく、あるいは、より短いまたはより長い継続期間、本発明のペプチドを投与することができる。ペプチドを用いた連続的な毎日の投薬は必要とされないかもしれない。治療レジメンは、その期間組成物を投与しないサイクルを必要としてよく、または必要に応じて治療を提供してよい。
【0085】
組織損傷時に直ちに、あるいは組織損傷の初期発生後または疾患もしくは病状の発症、認識、もしくは診断の後(例えば、心筋梗塞後)の数分間以内に、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドを送達してよい。初期組織損傷に続く短いまたは長い遅延の後に、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドを送達することもできる。例えば、組織損傷の初期発生後、または疾患もしくは病状の発症、認識、もしくは診断の後の数分間から、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、12時間、24時間、少なくとも48時間、少なくとも3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、もしくはそれを上回る期間内に及ぶ、初期損傷が起こった後の任意の時期において、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドを送達することができる。PVDまたは糖尿病性創傷を含むがこれらに限定されない、本質的により慢性的でありかつ時間をかけて起こる組織損傷に対して、損傷の発症の直後に、あるいは損傷(例えば、PVDまたは糖尿病性創傷)の診断または初期もしくは後続の兆候の直後に、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドを送達してよい。そのような場合、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドの送達は、組織損傷が起こった後、または組織損傷もしくは疾患もしくは病状の発症、認識、もしくは診断の後、3日間、7日間、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、または1年間もしくはそれを上回る期間の後でさえあってよい。
【0086】
本明細書において記載される任意のタイプの組織損傷、疾患、または障害に対して、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドの初期IV投与は、組織損傷の初期発生、認識、もしくは診断の数分後から2年後、または組織損傷の初期発生、認識、もしくは診断の1時間後から2年後、組織損傷の初期発生、認識、もしくは診断の1日後から1年後、組織損傷の初期発生、認識、もしくは診断の1日後から6ヶ月後、組織損傷の初期発生、認識、もしくは診断の1ヶ月後から6ヶ月後、組織損傷の初期発生、認識、もしくは診断の1日後から1ヶ月後、組織損傷の初期発生、認識、もしくは診断の1週間後から1ヶ月後、組織損傷の初期発生、認識、もしくは診断の1週間後から2週間後、組織損傷の初期発生、認識、もしくは診断の1時間後から1週間後、組織損傷の初期発生、認識、もしくは診断の1時間後から3日後、または組織損傷の初期発生、認識、もしくは診断の数分後から1時間後に及ぶ時点におけるものであってよい。
【0087】
治療の継続期間にわたって1回または治療の継続期間にわたって複数回、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドを送達してよい。損傷した組織の修復または回復を確実にするために、組織損傷の重症度に依存して、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドを経時的に繰り返し送達してよい。
【0088】
加えて、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドの静脈内送達を、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドの送達のさらなる形態と組み合わせてよい。一例において、心筋梗塞後、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドを、初めに冠動脈内または動脈内法によって送達し、次いで初期送達の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、2週間後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、1年後、またはそれを上回る期間の後に開始する静脈内法による後続送達が続いてよい。ここで再度、損傷した組織の修復または回復を確実にするために、組織損傷の重症度に依存して、本発明のSDF-1または変異体SDF-1ペプチドを経時的に繰り返し送達してよい。
【0089】
本発明の方法に用いられるペプチドの適切な投薬量は、投薬方法、障害の重症度、ならびに治療される対象の年齢、重量、および健康を含むいくつかの因子に依存する。加えて、特定の対象についての薬理ゲノム学的情報(例えば、治療法の薬物動態、薬物力学、または有効性プロファイルに対する遺伝子型の影響)は、用いられる投薬量に影響を及ぼし得る。
【0090】
診断および治療
本発明の方法は、組織損傷(例えば、心筋梗塞による心臓組織への損傷、または末梢血管疾患によって生じる組織損傷)または創傷(例えば、糖尿病性創傷)を有すると診断されているまたはそれらに罹患している任意の対象を治療するのに有用である。組織損傷は、例えば心血管系の病状(例えば、心筋梗塞);末梢血管疾患(PVD);末梢動脈疾患(PAD);潰瘍(例えば、皮膚創傷潰瘍);手術;または糖尿病の結果であってよい。本発明の方法を用いて、創傷治癒または組織修復を促進し得る。当業者であれば、本発明の対象は標準的試験に供されてよく、または検査なしで1つもしくは複数の危険因子の存在によって危険性が高い人として同定されてよいと理解するであろう。当技術分野における公知の任意の標準的方法を用いて、これらの障害の診断を実施してよい。
【0091】
プロテアーゼ耐性SDF-1ペプチドの投与による幹細胞の誘引が再生または治癒を誘導し得る、本明細書において記載される方法を用いて、高濃度のプロテアーゼ(例えば、MMP-2、MMP-9、DPPIV、白血球エラスターゼ、カテプシンG、カルボキシペプチダーゼM、および/またはカルボキシペプチダーゼN)によって特徴付けされる任意の疾患または病状も治療し得る。本発明の組成物によって治療される例示的な障害には、炎症性疾患および虚血性疾患(例えば、心筋梗塞、脳卒中、または肢虚血)、創傷治癒、ならびに糖尿病性潰瘍が含まれる。
【0092】
例えば、疾患または障害の症状を査定すること、身体検査、組織病理学検査、血液化学分析、コンピューター断層撮影法、細胞学的検査、および磁気共鳴画像法を含む当業者に公知の方法を用いて、治療の有効性をモニタリングすることができる。ある態様において、血流力学データを収集して、治療の有効性を決定する。血流力学試験には、例えば駆出分画(例えば、心拍ごとに心室から拍出される血液の分画)を決定すること、拡張終期圧を決定すること、および収縮終期圧(例えば、左心室に存在する血液の容量)を決定することが含まれてよい。一例において、血流力学を用いて、心筋梗塞または他の形態の心虚血によって生じる組織損傷に罹患している対象における心機能をモニタリングしてよい。
【0093】
本発明の方法をさらなる療法と組み合わせて用いて、創傷治癒または組織修復を促進し得る。本発明の方法と組み合わせて用いられ得る治療法には、ヘパリン、β遮断薬(例えば、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、またはチモロール)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えば、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、またはベナゼプリル)、アンジオテンシンII受容体遮断薬(例えば、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、またはバルサルタン)、利尿薬、アスピリン、コレステロール降下薬(例えば、HMG-CoA還元酵素阻害剤(例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチン))、細胞療法、抗血小板薬(例えば、クロピドグレル、プラスグレル、チクロピジン、シロスタゾール、アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、またはジピリダモール)、抗高血圧薬、抗不整脈薬(例えば、キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、リドカイン、メキシレチン、トカイニド、フェニトイン、モリシジン、フレカイニド、ソタロール、イブチリド、アミオダロン、ブレチリウム、ドフェチリド、ジルチアゼム、またはベラパミル)、血管新生薬、創傷包帯、PDGF、ならびに/または陰圧デバイスおよび療法が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【実施例】
【0094】
本発明の限定であることを決して意図するものではない以下の実施例によって、本発明を例証する。
【0095】
実施例1.プロテアーゼ耐性SDF-1変種の遅延およびIV投薬は、虚血再灌流げっ歯類モデルにおける心機能を向上させる
以下の実施例において、本発明者らは、mSDF-1ペプチド含有組成物の静脈内送達および長期遅延投薬が、虚血再灌流モデルにおける心機能を向上させることを実証している実験を記載する。
【0096】
0.05mg/kgのブプレノルフィンおよび2〜3%のイソフルランを用いて、ラットに麻酔をかけた。挿管後、胸部を第4および第5肋骨の間で開き、左冠動脈前下行枝(LAD)を90分間結紮した。90分後、LADから縫合糸を除去して、梗塞域における再灌流を始めた。次いで、ラットの胸部および皮膚を閉じた。梗塞の7日後に、mSDF-1ペプチドを静脈内注入によって投与した(1群あたり>15匹のラット)。静脈内注入のために、PBS中100μlのS-SDF-1(S4V)(0、0.1、および1.0mg/kgの用量で)をラットの尾静脈内に注入した。
【0097】
上記の実験のそれぞれにおいて、静脈内投薬の4週間後(虚血再灌流傷害の5週間後)に、ラットにおける血流力学的機能を無作為かつ二重盲の調査で分析した。0.05mg/kgのブプレノルフィンおよび2〜3%のイソフルランを用いて、ラットに麻酔をかけた。16Gの気管内チューブをラットに挿入し、機械的換気法を開始した。PE 10を用いて左頸静脈にカニューレを挿入して、高浸透圧食塩水(水中50μlの25%NaCl)を送達した。高浸透圧食塩水を用いて、容量測定についての並列コンダクタンスを測定した。
【0098】
駆出分画および心室内圧を決定するために、右頸動脈にカニューレを挿入した。圧力−容量カテーテルを挿入し、左心室内に通した。ベースラインの圧力−容量測定結果を得た。高浸透圧食塩溶液(上記)を頸静脈内に注入し、次いで圧力−容量測定結果を得た。
【0099】
本発明者らの結果は、虚血再灌流傷害の7日後に送達されたS-SDF-1(S4V)の静脈内注入が、PBS対照と比較して、ラットにおける測定した駆出分画の10%の向上をもたらすことを示した(
図1)。
【0100】
他の態様
前述の記載から、本明細書において記載される発明に変動および修飾を行って、それを様々な用法および条件に採用してよいことは明白である。そのような態様も、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
【0101】
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許出願、および特許は、あたかもそれぞれ個々の刊行物または特許出願が参照により組み入れられることを具体的かつ個々に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]