【文献】
菊池、ほか1名,DUA※※ INCH BI-LOKユニオン,データシート,日本,イハラサイエンス株式会社,2017年 1月23日,第4版,A TUBE OD及び、Lの値を参照,URL,http://www.ihara-sc.co.jp/item/cad/bi-lock/pdf/DUA.pdf
【文献】
仲島 ほか1名,DNA※※ BI-LOK<INCH>ナット,データシート,日本,イハラサイエンス株式会社,2017年 1月23日,第2版,A TUBE OD及び、Lの値を参照,URL,http://www.ihara-sc.co.jp/item/cad/bi-lock/pdf/DNA%20xx%20R2.pdf
【文献】
Fujikin V-Series製品統合カタログ,カタログ,日本,株式会社フジキン,2017年 1月23日,CAT:No.726-01-A,第16ページ、17ページ,ストレートユニオン呼び径A、L、及びナットLの値を参照,URL,http://www-ng.fujikin.co.jp/product/pdf/726-01_v_collection.pdf#page=12
【文献】
S-joint製品カタログ(全カタログ一括),カタログ,日本,三興マテリアルサプライ株式会社,2017年 1月23日,第27ページ、第37ページ,ユニオンチューブ外径T、組込長さC及び、ナット全長Bの値を参照,URL,http://www.sankoms.co.jp/pdf/Sjoint-Catalog.pdf
【文献】
チューブ継手、アダプター継手,カタログ,日本,スウェージロック社,2017年 1月23日,第A-12ページ、第A-52ページ,ストレート型ユニオンチューブ外径サイズ、寸法A、及びナット寸法Lの値を参照,URL,http://www.swagelok.co.jp/downloads/webcatalogs/jp/MS-01-140.pdf
【文献】
W FERRULE TUBE FITTING,カタログ,日本,株式会社フジトク,2017年 1月23日,第19ページ、第25ページ,フレヤードユニオンTUBE OD T、A及びナットLの値を参照,URL,http://www.2219.co.jp/ff/new_ff/pdf/a001/W_ferrule.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る管継手について図面を参照しながら説明する。
【0022】
本実施形態に係る管継手は、例えば、冷媒回路を備えた冷凍装置(図示省略)に用いることができる。具体的に、冷凍装置としては、例えばヒートポンプ式の空気調和機、ヒートポンプ式の給湯機などを例示することができるが、これらに限られない。管継手は、冷媒配管などの管と管とを接続するための接続部分に適用したり、弁などの機器(図示省略)に管を接続するための接続部分に適用したりすることができる。
【0023】
管継手としては、
図1に示す第1の実施形態と、
図3に示す第2の実施形態とを例示することができるが、本発明の実施形態に係る管継手は、第1の実施形態及び第2の実施形態に限られない。
図1に示す第1の実施形態に係る管継手1は、継手本体2に対して一対のナット3が螺合されるタイプであり、
図3に示す第2の実施形態に係る管継手1は、継手本体2に対して単一のナット3が螺合されるタイプである。
【0024】
第1の実施形態及び第2の実施形態に係る管継手1は、後述するような締め付けトルクの制御構造を備えているので、締付工具として後述する
図6(A),(B)に示すようなモンキレンチMが使用される場合であっても、管継手1に対して過大な締め付けトルクがかかるのを抑制することができる。なお、使用される工具は、モンキレンチに限られるものではない。段階的に複数の大きさのものが選択可能に用意されていて、ナットの大きさに応じて選択されてナットを締め付けることができる工具であれば、モンキレンチ以外のレンチ等の工具であってもよい。
【0025】
以下では、まず、第1の実施形態に係る管継手1の全体構造と、第2の実施形態に係る管継手1の全体構造とについて説明し、これらの実施形態における締め付けトルクの制御構造についてはその後に説明する。
【0026】
[第1の実施形態に係る管継手の全体構造]
図1は、第1の実施形態に係る管継手1と、これによって互いに接続される管P,Pとを示す部分断面図である。
図2は、第1の実施形態に係る管継手1の断面図である。
【0027】
以下の説明において、「前」、「後」は、ナット3が継手本体2に組み付けられるとき又は継手本体2から取り外されるときに、継手本体2に対してナット3が移動する方向を表している。「前」は、ナット3が継手本体2に組み付けられるときの方向であり、「後」は、ナット3が継手本体2から取り外されるときの方向である。したがって、
図1における右側のナット3が移動するときには、「前」は、
図1において左方向となり、「後」は、
図1において右方向となる。また、
図1における左側のナット3については、「前」は、
図1において右方向となり、「後」は、
図1において左方向のとなる。なお、前方向及び後ろ方向は、ナット3の中心軸Aに平行な方向である。
【0028】
図1及び
図2に示すように、管継手1は、継手本体2と、ナット3と、フロントフェルール4と、バックフェルール5とを備えている。本実施形態では、継手本体2、ナット3、フロントフェルール4及びバックフェルール5は、円筒状の管Pが挿入される貫通孔を有している。これらの貫通孔の中心軸Aと管Pの中心軸Aとは一致する。
【0029】
継手本体2、ナット3、フロントフェルール4及びバックフェルール5は、銅(具体的には黄銅)等の金属によって形成されているが、これに限られない。また、管Pは、冷凍装置の冷媒配管である場合には、例えば銅、アルミニウム等の金属によって形成されているが、これに限られない。
【0030】
<継手本体>
継手本体2は、
図1における左右の2つの管Pのそれぞれの端部を支持するとともにこれらの管Pの流路を連通させる機能を有している。継手本体2は、係合部20と、一対の筒状部21とを備えている。係合部20は、モンキレンチMのつかみ部60を係合させることができる形状、例えば六角ナット形状の外形を有している。
【0031】
継手本体2は、流体の通路となるとともに、管Pが挿入される貫通孔27を有している。貫通孔27は、一方の筒状部21の端部から係合部20を経て他方の筒状部21の端部まで継手本体2を貫通している。貫通孔27を形成する継手本体2の内周面には、2つの管Pのそれぞれの端部が接する2つの段差が形成されており、これらの段差によって管Pの位置が決まる。
【0032】
第1の実施形態では、継手本体2は、2つの管P同士を接続するために一対の筒状部21を備えている。一対の筒状部21は、継手本体2において係合部20の両サイドに設けられている。一対の筒状部21は、係合部20から互いに反対方向に中心軸Aに沿って延びる円筒形状を有している。
【0033】
図2に示すように、筒状部21は、端面22と、内周面23と、テーパ面24と、外周面25とを有する。端面22は、筒状部21の中心軸Aの方向の後端部に位置しており、テーパ面24と外周面25とをつなぐ面である。外周面25には、ナット3を螺合するための雄ネジが形成されている。内周面23は、管Pを支持する面であって、内周面23の内径は、管Pの外径と同程度となるように設計されている。
【0034】
テーパ面24は、内周面23と端面22とをつなぐ面である。テーパ面24は、内周面23から端面22に向かうにつれて内径が大きくなる傾斜面である。このようにテーパ面24が傾斜していることにより、ナット3が継手本体2の筒状部21に螺合されたときに、バックフェルール5によって前側に押されるフロントフェルール4を、径方向内側に押圧する力が発生する。この径方向内側への押圧力は、フロントフェルール4の前側部分が管Pに食い込むようにフロントフェルール4を変形させる。
【0035】
<ナット>
ナット3の貫通孔には、管Pが挿通される。ナット3の貫通孔を規定する内周面は、貫通孔における前側部分を区画する前側内周面31と、貫通孔における中間部分を区画する中間内周面32と、押圧用内周面33(押圧面33)と、貫通孔における後側部分を区画する後側内周面34とを含む。押圧用内周面33は、中間内周面32と後側内周面34との間に設けられている。
【0036】
前側内周面31及び中間内周面32の内径は、後側内周面34の内径よりも大きく、且つ、管Pの外径よりも大きい。前側内周面31には、筒状部21の雄ネジに係合する雌ネジが形成されている。中間内周面32と管Pとの間には、フロントフェルール4とバックフェルール5とが配置される隙間(フェルール配置空間)が形成される。後側内周面34の内径は、管Pの外径と同程度である。したがって、ナット3の貫通孔に挿入された管Pは、継手本体2の内周面23と、ナット3の後側内周面34とによって安定して支持される。
【0037】
押圧面33は、ナット3が筒状部21に螺合されるときにバックフェルール5をフロントフェルール4側(前側)に押す機能を有している。押圧面33は、中間内周面32と後側内周面34とをつなぐ面であり、バックフェルール5側に向いている。本実施形態では、押圧面33は、後側に向かうにつれて(すなわち、中間内周面32から後側内周面34に向かうにつれて)内径が小さくなるように中心軸Aに対して傾斜する傾斜面である。押圧面33がこのような傾斜面であることにより、ナット3が継手本体2の筒状部21に螺合されるときには、バックフェルール5をフロントフェルール4側で、且つ、径方向内側に押圧する力が発生する。この押圧力は、ナット3の螺合動作の前半にはバックフェルール5を前側に移動させてフロントフェルール4の前側部分を管Pに食い込ませ、ナット3の螺合動作の後半には、バックフェルール5の前側部分を管Pに食い込ませる。
【0038】
図1に示すように、ナット3における二面幅N1は、継手本体2の係合部20における二面幅N2よりも大きい。ナット3における二面幅N1は、断面六角形状のナット3の6つの辺のうちの互いに平行な二辺の間の距離である。係合部20における二面幅N2は、軸方向に垂直な断面において六角形状となる係合部20を構成する6つの辺のうちの互いに平行な二辺の間の距離である。
【0039】
一対のナット3は、継手本体2の両サイドに取り付けられた状態において、中心軸Aの方向に互いに対向する前側面35を備えている。前側面35の少なくとも一部は、係合部20よりも径方向外側に位置している。すなわち、前側面35における径方向の長さは、係合部20における二面幅N2よりも大きい。
【0040】
図1に示すように、一対のナット3は、中心軸Aの方向に距離Laをあけて配置されている。この距離Laは、一方のナット3の前側面35と他方のナット3の前側面35との間の距離である。距離Laは、ナット3が継手本体2の筒状部21に対して回転することによって変化する。すなわち、ナット3が継手本体2の筒状部21に螺合されるにつれて距離Laは小さくなる。
【0041】
一対のナット3間の距離Laのうち、初期距離La0は、モンキレンチMを用いてナット3を締め付ける前の状態における一対のナット3の前側面35間の距離Laである。具体的に、初期距離La0は、作業者が一対のナット3を対応する筒状部21に工具を使わない手作業で締め付け可能なところまでねじ込んだときの状態における一対のナット3の前側面35間の距離Laである。
【0042】
<フェルール>
図1に示すように、フロントフェルール4及びバックフェルール5は、継手本体2と、ナット3と、管Pとによって囲まれる空間(上述したフェルール配置空間)に配置されている。
図1及び
図2に示すように、フロントフェルール4及びバックフェルール5のそれぞれは、管Pが挿入される貫通孔を有するリング状の部材である。フロントフェルール4の内径及びバックフェルール5の内径は、ナット3の螺合前の状態においては管Pの外径と同程度である。
【0043】
フロントフェルール4は、筒状部21の後方において筒状部21の隣に配置されている。フロントフェルール4は、筒状部21とバックフェルール5との間に配置されている。本実施形態では、フロントフェルール4は、前側に向かうにつれて厚さが小さくなる先細り形状を有しているが、これに限られない。
【0044】
図2に示すように、フロントフェルール4は、内周面41と、外周面42と、後端面43とを有している。内周面41は、管Pの外周面を囲む面である。本実施形態では、内周面41の内径は管Pの外径と同程度であり、中心軸Aの方向において一定であるが、これに限られず、部分的に内径が異なっていてもよい。
【0045】
フロントフェルール4の外周面42は、後側(バックフェルール5側)に向かうにつれて外径が大きくなるテーパ面である。
【0046】
フロントフェルール4の後端面43は、バックフェルール5に対向する面である。後端面43は、ナット3が筒状部21に螺合されるときに、バックフェルール5が接する部位であり、バックフェルール5の押圧力を受ける部位である。後端面43は、内周面41と外周面42とをつないでいる。後端面43は、内周面41の後端から外周面42の後端側に向かうにつれて中心軸Aからの距離が大きくなるように傾斜するテーパ面である。
【0047】
バックフェルール5は、フロントフェルール4の後方においてフロントフェルール4の隣に配置されている。バックフェルール5は、フロントフェルール4の後端面43と、ナット3の押圧面33との間に配置されている。
【0048】
バックフェルール5は、内周面51と、外周面52と、後端面53とを有している。内周面51は、管Pの外周面を囲む面である。本実施形態では、内周面51の内径は管Pの外径と同程度であり、中心軸Aの方向において一定であるが、これに限られず、部分的に内径が異なっていてもよい。
【0049】
バックフェルール5の外周面52は、後側に向かうにつれて外径が大きくなるテーパ面を含む。本実施形態では、外周面52は、段差を有しているが、これに限られず、テーパ面のみで構成されていてもよい。外周面52が上記のようなテーパ面を含み、且つ、このテーパ面に対向するフロントフェルール4の後端面43が上述したようなテーパ面であることにより、ナット3の螺合動作において、ナット3によって前側に押されるバックフェルール5を径方向内側に押圧する力が発生する。この径方向内側への押圧力は、ナット3の螺合動作の後半において、バックフェルール5の前側部分を管Pに食い込ませるように作用する。
【0050】
バックフェルール5の後端面53は、ナット3が筒状部21に螺合されるときに、ナット3の押圧面33が接する部位であり、ナット3の押圧力を受ける部位である。後端面53は、内周面51と外周面52とをつないでいる。後端面53は、中心軸Aに直交する垂直面であるが、これに限られず、中心軸Aに対して傾斜する傾斜面であってもよい。
【0051】
[第2の実施形態に係る管継手の全体構造]
図3は、本発明の第2の実施形態に係る管継手1と、これに接続される管Pとを示す部分断面図である。
図3に示すように、第2の実施形態に係る管継手1は、ナット3が螺合される筒状部21が継手本体2における係合部20の一方のサイド(
図3では係合部20の右サイド)に設けられている一方で、継手本体2における係合部20の他方のサイド(
図3では係合部20の左サイド)には、ナット3が螺合される筒状部21が設けられていない点で、第1の実施形態とは異なっている。
【0052】
図3に示すように、第2の実施形態では、継手本体2は、単一の管Pを接続するために単一の筒状部21を備えている。筒状部21は、係合部20から中心軸Aに沿って延びる円筒形状を有している。係合部20における筒状部21とは反対側には、壁部7が設けられている。
【0053】
壁部7は、モンキレンチMによる締め付け時において、
図3において二点鎖線で示すモンキレンチMのつかみ部60の一方の側面69が接する。すなわち、壁部7は、モンキレンチMのつかみ部60の一方の側面69が接する側面71を有している。この側面71は、ナット3の前側面35と中心軸Aの方向に対向している。壁部7の側面71の少なくとも一部は、係合部20よりも径方向外側に位置している。また、
図3に示すように、ナット3における前側面35の少なくとも一部は、係合部20よりも径方向外側まで延びている。すなわち、前側面35における径方向の長さは、係合部20における二面幅よりも大きい。
【0054】
図3に示すように、壁部7は、継手本体2の係合部20と環状の接続部29を介して接続されている。壁部7は、継手本体2の一部を構成していてもよいが、これに限られない。壁部7は、切削加工などの成形手段を用いて係合部20とともに一体的に成形されたものであってよく、また、継手本体2とは別体の部材として成形された後に、種々の接続手段を用いて継手本体2と接続されたものであってもよい。接続手段としては、例えばろう付け、溶接、ねじ締結などの種々の手段を挙げることができる。ねじ締結の場合には、例えば継手本体2及び壁部7の一方に雌ネジを形成し、他方に雄ネジを形成し、これらを螺合する方法を挙げることができる。また、ねじ締結の場合には、継手本体2と壁部7とを、ボルトとナットを用いて接続する方法を挙げることもできる。
【0055】
図3に示すように、ナット3と壁部7とは、中心軸Aの方向に距離Lbをあけて配置されている。この距離Lbは、ナット3の前側面35と壁部7の側面71との間の距離である。距離Lbは、ナット3が継手本体2の筒状部21に対して回転することによって変化する。すなわち、ナット3が継手本体2の筒状部21に螺合されるにつれて距離Lbは小さくなる。
【0056】
ナット3と壁部7との距離Lbのうち、初期距離Lb0は、モンキレンチMを用いてナット3を締め付ける前の状態におけるナット3の前側面35と壁部7の側面71との間の距離Lbである。具体的に、初期距離Lb0は、作業者がナット3を筒状部21に工具を使用しない手作業で締め付け可能なところまでねじ込んだ状態におけるナット3の前側面35と壁部7の側面71との間の距離Lbである。
【0057】
[管継手の動作]
次に、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る管継手1の動作について説明する。
図4(A)は、モンキレンチMによってナット3を締め付ける前の状態を示す断面図であり、
図4(B)は、ナット3を締め付けることにより、フロントフェルール4が管Pに食い込んだ状態を示す断面図であり、
図4(C)は、ナット3の締め付けが完了した状態を示す断面図である。
【0058】
図4(A)から
図4(B)までの管継手1の動作は、モンキレンチによるナット3の螺合動作の前半の動きを示している。
図4(B)から
図4(C)までの管継手1の動作は、モンキレンチによるナット3の螺合動作の後半の動きを示している。
【0059】
図4(A)に示す状態から、モンキレンチMによってナット3が筒状部21に螺合されると、フロントフェルール4は、バックフェルール5によって筒状部21側に押され、フロントフェルール4の前側部分が筒状部21と管Pとの間の隙間に入り込みながら管Pに食い込むようにして変形する(
図4(B))。ナット3が筒状部21に対してさらに螺合されると、バックフェルール5が管に食い込み始め、
図4(C)に示すようにモンキレンチによるナット3の締め付けが完了する。
【0060】
[接続対象の管]
第1の実施形態及び第2の実施形態において、管継手1への接続の対象となる管Pの外径は、19.05mm〜38.10mmの範囲である。この範囲に含まれる管のうち、日本工業規格のJISB8607に規定されている管Pとしては、以下の管P1〜P6を挙げることができる。
【0061】
管P1:外径19.05mm
管P2:外径22.23mm
管P3:外径25.40mm
管P4:外径28.58mm
管P5:外径31.75mm
管P6:外径38.10mm
図5は、管Pの外径と、その管Pに適合する継手本体2における係合部20の二面幅N2と、その管P及び管継手1における適正締め付けトルクとの関係を示す表である。
図5に示すように、管Pの外径が大きくなるほど、その管Pに適合する継手本体2における係合部20の二面幅N2、及び適正締め付けトルクが大きくなっている。
図5に示されているように、管Pの外径と係合部20の二面幅とは、ほぼ正比例の関係にあり、また、管Pの外径と適正締め付けトルクとは、ほぼ正比例の関係にある。
【0062】
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態において、管継手1への接続対象の管Pの外径を19.05mm〜38.10mmの範囲としている理由は、次の通りである。
【0063】
フェルールの中心軸A方向の長さとナットの中心軸A方向の長さとが一定である場合、一対のナット3間の距離Laは、継手本体2の長さで決まる。この継手本体2の長さは、係合部20と、筒状部21との長さによって決まる。筒状部21は、管Pが挿入される部分であり、したがって、筒状部21の長さは、管挿入長さと大きく関連している。
【0064】
筒状部21は、そこに挿入される管Pを支持するという重要な役割を担っており、継手本体2や管Pに外力が作用したときに、継手本体2に対する管Pの動きを規制することができる。一般に、筒状部21の長さ(管挿入長さ)は、外径19.05mm〜38.10mmの範囲の管Pにおいては、管Pの外径にほぼ比例した長さに設計される。一方、外径19.05mm未満の管では、上記の考え方で設計すると、管挿入長さが小さくなって信頼性が低下することになる。そのため、外径が小さい管(外径19.05mm未満の管)では、外径19.05mm〜38.10mmの範囲の管Pとは異なる設計思想で設計されている。外径19.05mm〜38.10mmの範囲の管Pでは、管挿入長さと管外径との比がほぼ一定であるのに対し、外径19.05mm未満の管では、信頼性を確保するために、外径が小さくなるにつれて、管挿入長さと管外径との比が増大する傾向にある。
【0065】
したがって、外径19.05mm未満の管は、管Pを安定して支持するという信頼性の観点でナット間の距離が必然的に長めに決められるので、本実施形態における接続対象の外径19.05mm〜38.10mmの範囲の管Pとは設計思想が相違している。すなわち、外径19.05mm未満の管は、距離比Xa,Xbを上記のような範囲設定するという本実施形態の技術的思想には適合しない。よって、第1の実施形態及び第2の実施形態において、管継手1への接続対象の管Pの外径を19.05mm〜38.10mmの範囲としている。
【0066】
[モンキレンチの構造]
図6(A),(B)は、モンキレンチMの一例を示す図である。
図6(A),(B)に示すように、モンキレンチMは、柄部61と、この柄部61の一端に設けられた固定顎部62と、この固定顎部62に対する相対位置が可変である可動顎部63と、この可動顎部63の位置を調整する間隙調整機構64とを備えている。固定顎部62と可動顎部63は、継手本体2の係合部20やナット3に係合するつかみ部60を構成している。
図1及び
図6(A),(B)に示すように、つかみ部60の根元は、一対のナット3の前側面35に対して中心軸Aの方向に対向する部分である。
【0067】
間隙調整機構64は、次のように構成されている。柄部61における固定顎部62側の端部には、スライド溝65が設けられており、このスライド溝65には、可動顎部63の端部(可動顎部63の縁部)がスライド可能に挿入されている。スライド溝65に挿入されている可動顎部63の端部には、ラック66が形成されている。柄部61の端部には、スライド溝65に隣接する位置に開口部が設けられている。この開口部には、可動顎部63のラック66に噛み合うウォーム67が配置されている。ウォーム67は、ピン68を軸として回転自在に柄部61の端部に支持されている。作業者は、指先でウォーム67を回転させて、可動顎部63の位置を調節することができる。これにより、つかみ部60のつかみ幅W(すなわち、固定顎部62と可動顎部63との隙間の大きさW)を調節することができる。
【0068】
日本工業規格のJISB4604に規定されているモンキレンチMとしては、以下のモンキレンチM1〜M8がある。第1の実施形態及び第2の実施形態では、適正締め付けトルク、ナット3間の距離(第1の実施形態)、ナット3と壁部7との距離(第2の実施形態)などを考慮して、下記のモンキレンチM1〜M8のうちから螺合作業(接続作業)に使用するモンキレンチMが選択される。
【0069】
モンキレンチM1:呼び長さ100mm
モンキレンチM2:呼び長さ150mm
モンキレンチM3:呼び長さ200mm
モンキレンチM4:呼び長さ250mm
モンキレンチM5:呼び長さ300mm
モンキレンチM6:呼び長さ375mm
モンキレンチM7:呼び長さ450mm
モンキレンチM8:呼び長さ600mm
図7は、モンキレンチM1〜M8の特徴についてまとめた表である。
図7に示すように、モンキレンチMの呼び長さが大きくなるほど、最大締め付け可能トルク、つかみ部60の最大つかみ幅、及びつかみ部60の根元厚さが大きくなる。
図7に示されているように、最大つかみ幅と最大締め付け可能トルクとは、ほぼ正比例の関係にあり、また、最大つかみ幅と根元厚さとは、ほぼ正比例の関係にある。
【0070】
モンキレンチM1〜M8のうち、ナット3の螺合に用いられるモンキレンチMは、最大締め付け可能トルク、つかみ部60の最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)、及びつかみ部60の根元厚さTに基づいて決めることができる。
【0071】
まず、最大締め付け可能トルクについて説明する。上述した
図5に示すように、管Pの外径と、その管P及び管継手1における適正締め付けトルクとは、相関関係があり、管Pの外径が大きいほど、適正締め付けトルクも大きくなる。したがって、使用可能なモンキレンチMは、最大締め付け可能トルクが実用締め付けトルク以上であることが前提となる。実用締め付けトルクは、適正締め付けトルク以上の値であるのが好ましいが、これに限られない。実用締め付けトルクは、実用上問題のないトルクの下限値であって、設計値の範囲に入る値として、適正締め付けトルクの80%の値とすることができる。
【0072】
次に、つかみ部60の最大つかみ幅について説明する。上述した
図5に示すように、管Pの外径と、その管Pが取り付けられる継手本体2の係合部20における二面幅とは、相関関係があり、管Pの外径が大きいほど、係合部20の二面幅も大きくなる。したがって、使用可能なモンキレンチMは、つかみ部60の最大つかみ幅が係合部20の二面幅以上であることが前提となる。
【0073】
次に、つかみ部60の根元厚さTについて説明する。ナット3を継手本体2の筒状部21に螺合するときに、モンキレンチMのつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させるためには、次のような条件を満たす必要がある。
【0074】
すなわち、第1の実施形態においては、モンキレンチMにおけるつかみ部60の根元の厚さTが、モンキレンチMによる螺合前における一対のナット3の間の初期距離La0以下であることが必要である(
図1参照)。
【0075】
第2の実施形態においては、モンキレンチMにおけるつかみ部60の根元の厚さTが、モンキレンチMによる螺合前におけるナット3と壁部7との間の初期距離Lb0以下であることが必要である(
図3参照)。モンキレンチMによる螺合前におけるナット3と壁部7との間の初期距離Lb0は、作業者が工具を使用しない手作業でナット3を筒状部21に締め付けられるところまで螺合したときのナット3と壁部7との距離である。
【0076】
[締め付けトルクの制御構造の概要]
次に、第1の実施形態及び第2の実施形態における締め付けトルクの制御構造について説明する。
【0077】
第1の実施形態では、距離比Xaが1.1〜1.4の範囲内になるように継手本体2が設定されている。これにより、トルク倍率Yaを0.81〜1.65の範囲内とすることができる。第1の実施形態では、距離比Xaは、管Pの外径に対する、モンキレンチMによる締め付け前における一対のナット3間の初期距離La0の比である。また、トルク倍率Yaは、適正締め付けトルクに対する、モンキレンチMによる締め付け後における締め付けトルクの比である。
【0078】
第2の実施形態では、距離比Xbが1.0〜1.3の範囲内になるように継手本体2が設定されている。これにより、トルク倍率Ybを0.82〜1.65の範囲内とすることができる。第2の実施形態では、距離比Xbは、管Pの外径に対する、モンキレンチMによる締め付け前におけるナット3と壁部7との間の初期距離Lb0の比である。また、トルク倍率Ybは、適正締め付けトルクに対する、モンキレンチMによる締め付け後における締め付けトルクの比である。
【0079】
第1及び第2の実施形態の管継手1では、モンキレンチMを用いてナット3を締め付ける螺合動作において、継手本体2の筒状部21に対するナット3の過剰な回転を抑制することにより、締め付けトルクが過大になるのを抑制することができる。ナット3の回転は、次の2通りの場合に抑制される。
【0080】
一つ目は、モンキレンチMにおけるつかみ部60の側面69がナット3の前側面35に接した場合にナット3の回転が抑制される。具体的に、継手本体2の係合部20に係合されているモンキレンチMにおけるつかみ部60の側面69が、この側面に対して中心軸Aの方向に対面するナット3の前側面35に接触することにより、それ以上のナット3の回転が抑制規制される。
【0081】
二つ目は、モンキレンチMによる締め付けトルクがそのモンキレンチMの最大締め付け可能トルクに達した場合にナット3の回転が抑制される。この二つ目の場合には、ナット3の前側面35がモンキレンチMにおけるつかみ部60の側面69に接していなくても、そのモンキレンチMは、最大締め付け可能トルク以上のトルクを出すことができないので、最大締め付け可能トルクに達したときにナット3の回転が抑制される。
【0082】
そして、第1の実施形態の管継手1では、距離比Xaが上記の範囲内となるように、一対のナット3間の初期距離La0が設定されていることにより、トルク倍率Yaが上記の範囲内になるように、上記した2通りの何れかの回転抑制状態となる。第2の実施形態の管継手1では、距離比Xbが上記の範囲内となるように、ナット3と壁部7との間の初期距離Lb0が設定されていることにより、トルク倍率Ybが上記の範囲内になるように、上記した2通りの何れかの回転抑制状態となる。
【0083】
したがって、第1及び第2の実施形態では、継手本体2の筒状部21に対するナット3の締め付けトルクを、適正締め付けトルクの近傍の値である実用締め付けトルク以上としつつ、しかも、継手本体2の筒状部21に対するナット3の締め付けトルクが過大になるのを抑制することができる。
【0084】
以上が締め付けトルクの制御構造の概要であるが、以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態のそれぞれの締め付けトルクの制御構造について、より具体的に説明する。
【0085】
[第1の実施形態における締め付けトルクの制御構造]
第1の実施形態において、ナット3を継手本体2の筒状部21に螺合する際には、
図1に示すように、作業者は、継手本体2の係合部20にモンキレンチMのつかみ部60を係合させるとともに、ナット3にも別のモンキレンチMのつかみ部60を係合させる。そして、作業者は、例えば、ナット3側のモンキレンチMを主に回転させ、その際に継手本体2が回転するのを抑制するために継手本体2側のモンキレンチMを支持する。このとき、継手本体2側のモンキレンチMは、
図1に示すように、軸方向における中心が継手本体2の係合部20の中心にほぼ一致するように配置されるのが好ましい。そして、螺合動作中においても、そのモンキレンチMの中心が継手本体2の係合部20の中心に配置された状態を維持するのが好ましい。また、左右のナット3は、交互に少しずつ螺合させてもよい。
【0086】
図1に示すように、モンキレンチMを用いてナット3を締め付ける前の状態(初期状態)においては、ナット3の前側面35と、継手本体2側のモンキレンチMの側面との間には、隙間Gが形成されている。この隙間Gは、一対のナット3間の距離LaからモンキレンチMのつかみ部60における根元厚さTを引いて2で割った値である(G=(La−T)/2)。すなわち、この隙間Gは、各ナット3の締め付け時にモンキレンチMのつかみ部60側に移動可能な距離に相当する幅の隙間である。
【0087】
図1において、例えば右側のナット3が締め付けられると、そのナット3は左側に移動し、それに伴って隙間Gが次第に小さくなる。第1の実施形態では、
図1に示すように、ナット3の前側面35は、係合部20よりも径方向外側まで位置している。すなわち、前側面35における径方向の長さは、係合部20における二面幅N2よりも大きい。したがって、右側のナット3がさらに締め付けられると、そのナット3の前側面35は、継手本体2側のモンキレンチMのつかみ部60の側面69に接する。このとき、ナット3は、初期状態における隙間G(初期隙間)の分だけ左側に移動したことになる。ナット3の前側面35がモンキレンチMのつかみ部60の側面69に接すると、継手本体2の筒状部21に対してナット3がそれ以上回転するのが防止される。
【0088】
また、一対のナット3間の初期距離La0が大きい場合には、ナット3の前側面35がモンキレンチMのつかみ部60の側面69に接する前に、モンキレンチMによる締め付けトルクがそのモンキレンチMの最大締め付け可能トルクに達する場合もある。この場合には、ナット3の前側面35と、継手本体2側のモンキレンチMの側面との間の隙間Gが残っていたとしても、モンキレンチMによる締め付けトルクがそのモンキレンチMの最大締め付け可能トルクに達した時点で、継手本体2の筒状部21に対してナット3がそれ以上回転するのが防止される。
【0089】
しかし、一対のナット3間の初期距離La0を大きくし過ぎると、つかみ幅Wの大きなモンキレンチM(想定されたモンキレンチよりも大きなレンチであって、最大締め付け可能トルクが過大なモンキレンチM)を一対のナット3間に挿入することが可能になってしまう。この場合、継手本体2側のモンキレンチMの側面とナット3の前側面35とが接触するまでに、過大な締め付けトルクとなってしまう場合がある。
【0090】
一方、一対のナット3間の初期距離La0を小さくし過ぎると、つかみ部60のつかみ幅Wの小さなモンキレンチM(最大締め付け可能トルクが過小なモンキレンチM)しか使用することができない。この場合には、ナット3を上述した実用締め付けトルクまで締め付けることができず、締め付け不足となる。したがって、本実施形態の管継手1では、ナット3間の初期距離La0が所定範囲になるように設定されている。
【0091】
図8は、第1の実施形態の管継手1における距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示すグラフである。
図8には、管P1〜P6(外径19.05mm〜38.10mm)に対応する6つの管継手1に関する6つのデータが記載されている。これに対して、
図9〜
図14では、
図8に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータが、別々に記載されている。
【0092】
すなわち、
図9は、管P1(外径19.05mm)に対応する管継手1に関するデータを示すグラフであり、
図10は、管P2(外径22.23mm)に対応する管継手1に関するデータを示すグラフであり、
図11は、管P3(外径25.40mm)に対応する管継手1に関するデータを示すグラフであり、
図12は、管P4(外径28.58mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフであり、
図13は、管P5(外径31.75mm)に対応する管継手1に関するデータを示すグラフであり、
図14は、管P6(外径38.10mm)に対応する管継手1に関するデータを示すグラフである。
【0093】
図8〜
図14では、第1の実施形態において、距離比Xaが1.1〜1.4の範囲内に設定された管継手1で生ずるトルク倍率Yaが0.81〜1.65の範囲内にあることが示されている。
【0094】
以下、
図8〜
図14の内容について具体的に説明するが、まず、管Pとして外径25.40mmの管P3を用いる場合を例に挙げて、管P3に対応する管継手1に関するデータを示す
図11の内容について説明する。
【0095】
<外径25.40mmの管の場合>
外径がφ25.40mmである管P3に使用される管継手1では、
図5に示すように、継手本体2における係合部20の二面幅N2が36.0mmであり、適正締め付けトルクが110N・mである。この場合、モンキレンチMにおける最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)は、二面幅N2の大きさである36.0mm以上であることが必要になる。したがって、この場合には、継手本体2側のモンキレンチMとしては、
図7に示すように、モンキレンチM6(呼び長さ375mm)、モンキレンチM7(呼び長さ450mm)、モンキレンチM8(呼び長さ600mm)の3つが選択の対象となる。また、
図7に示すように、これらのモンキレンチM6,M7,M8は、最大締め付け可能トルクがそれぞれ135N・m、162N・m、216N・mであり、適正締め付けトルク110N・m以上であるので、この点でも許容される。
【0096】
図15〜
図17は、第1の実施形態の管継手1における、一対のナット3間の距離La及び締め付けトルクの関係を示すグラフである。
図15〜
図17のグラフにおいて、横軸は、ナット距離Laを2で割ったもの(すなわち、「距離La/2」、単位:mm)である。また、縦軸は、締め付けトルク(単位:N・m)である。なお、横軸として、距離Laを2で割ったものを用いている理由は、一対のナット3が用いられる第1の実施形態において、一つのナット3の動作を解析するのに都合がよいためである。
【0097】
図15〜
図17のそれぞれのグラフには8つの破線が描かれているが、これらの破線は、モンキレンチM1〜M8にそれぞれ対応している。
【0098】
破線における縦軸方向に延びる部分は、つかみ部60の根元厚さに相当する位置に引かれている。つまり、破線の縦線は、つかみ部60の根元厚さTを2で割った値のところ(すなわち、「根元厚さT/2」、単位:mm)に位置している。例えばモンキレンチM6は、
図7に示すようにつかみ部60の根元厚さTが23.5mmであるので、横軸における[(23.5/2)=11.75mm]の位置に、モンキレンチM6に対応する破線(縦破線)が引いてある。
【0099】
また、モンキレンチM6は、
図7に示すように最大締め付け可能トルクが135N・mであるので、縦軸における[締め付けトルク=135N・m]の位置に、モンキレンチM6に対応する破線(横破線)が引いてある。
【0100】
モンキレンチM6を使用した場合には、ナット3を締め付けていくときに、「ナット間の距離La/2」を縦破線に対応する値(11.75mm)よりも小さくすることはできない。すなわち、「ナット間の距離La/2」が縦破線に一致したときに、ナット3の前側面35がモンキレンチM6の側面に接して、それ以上のナット3の回転が防止される。また、モンキレンチM6を使用した場合には、締め付けトルクを横破線に対応する値(135N・m)よりも大きくすることはできない。
【0101】
なお、
図15〜
図17におけるモンキレンチM1〜M5,M7,M8に対応する破線については、上述したモンキレンチM6の破線と数値は異なるが、考え方は同様である。
【0102】
以下では、
図15〜
図17についてより具体的に説明する。
【0103】
まず、
図15について説明する。
図15中の実線は、呼び長さ375mmのモンキレンチM6を使用した場合の締め付けトルクの変化を示している。
【0104】
図15における斜めの実線C1,C2,C3は、モンキレンチM6を用いてナット3を締め付けていくにつれて、「距離La/2」が小さくなりながら、締め付けトルクが大きくなるという特性を示している。
【0105】
実線C1,C2,C3のそれぞれが横軸に交わる点は、初期距離La0の半値である。実線C1,C2,C3は、初期距離La0が互いに異なっている。初期距離La0は、上述したように、モンキレンチM6を用いてナット3を締め付ける前の初期状態(作業者が一対のナット3を対応する筒状部21に工具を使わない手作業で締め付けた状態)における一対のナット3間の距離Laである。実線C1,C2,C3の傾きは、ナット3が筒状部21に螺合されるにつれて増加する締め付けトルクの増加度合いを意味している。
【0106】
図15における実線C1は、初期距離La0を29.16mm([距離La0/2]=14.58mm)に設定した場合の締め付けトルクの変化を例示するものである。
【0107】
この実線C1は、締め付けトルクが135N・mのときにモンキレンチM6の破線と交わっている。言い換えると、実線C1は、モンキレンチM6に対応する破線の角部分(縦破線と横破線の交点)を通っている。すなわち、この実線C1は、締め付けトルクがモンキレンチM6の最大締め付け可能トルク(135N・m、
図7参照)に達するときと、ナット3の前側面35がモンキレンチM6のつかみ部60の側面69に接するときとが一致する場合である。
【0108】
上述したように、モンキレンチM6のつかみ部60の根元厚さTは23.5mmであるので、[根元厚さT/2]は11.75mmである。そして、初期距離La0を29.16mm([距離La0/2]=14.58mm)に設定すれば、[距離La/2]が11.75mmとなったときに、ナット3の前側面35がモンキレンチM6のつかみ部60の側面69に接し、そのときの締め付けトルクが135N・mとなる。
【0109】
実線C1の場合、モンキレンチM6による締め付け前における一対のナット3間の初期距離La0(29.16mm)と、管P3の外径(25.40mm)との比である距離比Xaは、1.15であり(
図11の点D3)、1.1〜1.4の範囲内である。また、実線C1の場合、モンキレンチM6による締め付け後における締め付けトルク(135N・m)と、適正締め付けトルク(110N・m)との比であるトルク倍率Yaは、1.23であり(
図11の点D3)、0.81〜1.65の範囲内である。
【0110】
図15における実線C2は、初期距離La0を29.16mm([距離La0/2]=14.58mm)より小さい値に設定した場合の締め付けトルクの変化を例示するものである。具体的に、この実線C2では、初期距離La0が28.20mm([距離La0/2]=14.10mm)に設定されている。
【0111】
この実線C2の場合、モンキレンチM6を用いてナット3を締め付けることにより、ナット3の前側面35がモンキレンチM6のつかみ部60の側面69に接するときには、締め付けトルクは108N・mとなる。このように初期距離La0を29.16mm([距離La0/2]=14.58mm)より小さい値に設定した場合には、締め付けトルクは、モンキレンチM6の最大締め付け可能トルク(135N・m)には達しない。しかし、このような場合であっても、締め付けトルクは、適正締め付けトルクの110N・mに近い値まで達しており、適正締め付けトルクの80%の値である実用締め付けトルクを下回っていない。したがって、実線C2の場合であっても、モンキレンチM6によってナット3が螺合された後の締め付けトルクは、実用上問題なく、設計値の範囲内となる。
【0112】
実線C2の場合、モンキレンチM6による締め付け前における一対のナット3間の初期距離La0(28.20mm)と、管P3の外径(25.40mm)との比である距離比Xaは、1.11であり(
図11の点D2)、1.1〜1.4の範囲内である。また、実線C2の場合、モンキレンチM6による締め付け後における締め付けトルク(108N・m)と、適正締め付けトルク(110N・m)との比であるトルク倍率Yaは、1.00であり(
図11の点D2)、0.81〜1.65の範囲内である。
【0113】
また、例えば、初期距離La0をさらに小さい値である23.50mm([距離La0/2]=11.75mm)に設定した場合、初期距離La0がモンキレンチM6のつかみ部60の根元厚さTに一致する(
図7参照)。したがって、この場合には、モンキレンチM6のつかみ部60を継手本体2の係合部20に係合させることはできるが、初期距離La0の時点で既に、ナット3の前側面35がモンキレンチM6のつかみ部60の側面69に接しているので、ナット3を回転させることはできない。この場合、モンキレンチM6による締め付け前における一対のナット3間の初期距離La0(23.50mm)と、管P3の外径(25.40mm)との比である距離比Xaは、0.93であり(
図11の点D1)、1.1〜1.4の範囲外である。また、この場合、モンキレンチM6による締め付け後における締め付けトルク(0N・m)と、適正締め付けトルク(110N・m)との比であるトルク倍率Yaは、ゼロであり(
図11の点D1)、0.81〜1.65の範囲外である。
【0114】
図15における実線C3は、初期距離La0を29.16mm([距離La0/2]=14.58mm)より大きい値に設定した場合の締め付けトルクの変化を例示するものである。
【0115】
この実線C3の場合、モンキレンチM6を用いてナット3を締め付けることにより、締め付けトルクがモンキレンチM6の最大締め付け可能トルクである135N・mに達したときに、ナット3の前側面35は、モンキレンチM6のつかみ部60の側面69に接していない。しかし、モンキレンチM6を用いる場合には、締め付けトルクは、最大締め付け可能トルク135N・m以上にはならない。したがって、モンキレンチM6を用いる場合には、初期距離La0を29.16mm([距離La0/2]=14.58mm)より大きくしても、締め付けトルクは一定値(135N・m)となる。
【0116】
実線C3の場合、モンキレンチM6による締め付け後における締め付けトルク(135N・m)と、適正締め付けトルク(110N・m)との比であるトルク倍率Yaは、1.23であり(
図11の点D3から点D4の間)、0.81〜1.65の範囲内である。
【0117】
実線C3の場合、締め付けトルクが一定値(135N・m)になるので、締め付けトルクの観点では初期距離La0の上限は限定されない。しかし、実線C3の場合において、初期距離La0を必要以上に大きくすると、継手本体2のサイズ(中心軸A方向のサイズ)が過度に大きくなって、材料コストが増大することになる。したがって、本実施形態では、初期距離La0の上限は、距離比Xaが大き過ぎないのが好ましい。
【0118】
次に、
図16について説明する。
図16中の実線は、呼び長さ450mmのモンキレンチM7を使用した場合の締め付けトルクの変化を示している。
【0119】
図16における斜めの実線C4,C5,C6のそれぞれは、上述したのと同様に、モンキレンチM7を用いてナット3を締め付けていくにつれて、「距離La/2」が小さくなりながら、締め付けトルクが大きくなるという特性を示している。
【0120】
図16における実線C4は、初期距離La0を33.80mm([距離La0/2]=16.90mm)に設定した場合の締め付けトルクの変化を例示するものである。
【0121】
この実線C4は、締め付けトルクが162N・mのときにモンキレンチM7の破線と交わっている。言い換えると、実線C4は、モンキレンチM7に対応する破線の角部分(縦破線と横破線の交点)を通っている。すなわち、この実線C4は、締め付けトルクがモンキレンチM7の最大締め付け可能トルク(162N・m、
図7参照)に達するときと、ナット3の前側面35がモンキレンチM7のつかみ部60の側面69に接するときとが一致する場合である。
【0122】
モンキレンチM7のつかみ部60の根元厚さTは27.0mm(
図7参照)であるので、[根元厚さT/2]は13.5mmである。そして、初期距離La0を33.80mm([距離La0/2]=16.90mm)に設定すれば、[距離La/2]が13.50mmになったときに、ナット3の前側面35がモンキレンチM7のつかみ部60の側面69に接し、そのときの締め付けトルクが162N・mとなる。
【0123】
実線C4の場合、モンキレンチM7による締め付け前における一対のナット3間の初期距離La0(33.80mm)と、管P3の外径(25.40mm)との比である距離比Xaは、1.33であり(
図11の点D5)、1.1〜1.4の範囲内である。また、実線C4の場合、モンキレンチM7による締め付け後における締め付けトルク(162N・m)と、適正締め付けトルク(110N・m)との比であるトルク倍率Yaは、1.47であり(
図11の点D5)、0.81〜1.65の範囲内である。
【0124】
図16における実線C5は、初期距離La0を33.80mm([距離La0/2]=16.90mm)よりも小さい値に設定した場合の締め付けトルクの変化を例示するものである。具体的に、この実線C5では、初期距離La0が32.66mm([距離La0/2]=16.33mm)に設定されている。
【0125】
この実線C5の場合、モンキレンチM7を用いてナット3を締め付けることにより、ナット3の前側面35がモンキレンチM7のつかみ部60の側面69に接するときには、締め付けトルクは135N・mとなる。このように初期距離La0を33.80mm([距離La0/2]=16.90mm)よりも小さい値に設定した場合には、締め付けトルクは、モンキレンチM7の最大締め付け可能トルク(162N・m)には達しない。しかし、この実線C5のような場合であっても、締め付けトルクは、適正締め付けトルク(110N・m)以上の135N・mである。
【0126】
実線C5の場合、モンキレンチM7による締め付け前における一対のナット3間の初期距離La0(32.66mm)と、管P3の外径(25.40mm)との比である距離比Xaは、1.29であり(
図11の点D4)、1.1〜1.4の範囲内である。また、実線C5の場合、モンキレンチM7による締め付け後における締め付けトルク(135N・m)と、適正締め付けトルク(110N・m)との比であるトルク倍率Yaは、1.23であり(
図11の点D4)、0.81〜1.65の範囲内である。
【0127】
図16における実線C6は、初期距離La0を33.80mm([距離La0/2]=16.90mm)よりも大きい値に設定した場合の締め付けトルクの変化を例示するものである。
【0128】
この実線C6の場合、モンキレンチM7を用いてナット3を締め付けることにより、締め付けトルクがモンキレンチM7の最大締め付け可能トルクである162N・mに達したときに、ナット3の前側面35は、モンキレンチM6のつかみ部60の側面69に接していない。しかし、モンキレンチM7を用いる場合には、締め付けトルクは、最大締め付け可能トルク162N・m以上にはならない。したがって、モンキレンチM7を用いる場合には、初期距離La0を33.80mm([距離La0/2]=16.90mm)より大きくしても、締め付けトルクは一定値(162N・m)となる。
【0129】
実線C6の場合、モンキレンチM7による締め付け後における締め付けトルク(162N・m)と、適正締め付けトルク(110N・m)との比であるトルク倍率Yaは、1.47であり(
図11の点D5〜点D6の間)、0.81〜1.65の範囲内である。
【0130】
実線C6の場合、締め付けトルクが一定値(162N・m)になるので、締め付けトルクの観点では初期距離La0の上限は限定されない。しかし、実線C6の場合において、初期距離La0を必要以上に大きくすると、継手本体2のサイズ(中心軸A方向のサイズ)が過度に大きくなって、材料コストが増大することになる。したがって、本実施形態では、初期距離La0の上限は、距離比Xaが大き過ぎないのが好ましい。
【0131】
次に、
図17について説明する。
図17は、参考までに示すものであり、
図17中の実線は、呼び長さ600mmのモンキレンチM8を使用した場合の締め付けトルクの変化を示している。
【0132】
図17における斜めの実線C7,C8は、上述したのと同様に、モンキレンチM8を用いてナット3を締め付けていくにつれて、「距離La/2」が小さくなりながら、締め付けトルクが大きくなるという特性を示している。
【0133】
図17における実線C7は、初期距離La0を40.80mm([距離La0/2]=20.40mm)に設定した場合の締め付けトルクの変化を例示するものである。
【0134】
この実線C7は、締め付けトルクが216N・mのときにモンキレンチM8の破線と交わっている。言い換えると、実線C7は、モンキレンチM8に対応する破線の角部分(縦破線と横破線の交点)を通っている。すなわち、この実線C7は、締め付けトルクがモンキレンチM8の最大締め付け可能トルク(216N・m、
図7参照)に達するときと、ナット3の前側面35がモンキレンチM8のつかみ部60の側面69に接するときとが一致する場合である。
【0135】
モンキレンチM8のつかみ部60の根元厚さTは32.0mm(
図7参照)であるので、[根元厚さT/2]は16.0mmである。そして、初期距離La0を40.80mm([距離La0/2]=20.40mm)に設定すれば、[距離La/2]が16.00mmになったときに、ナット3の前側面35がモンキレンチM8のつかみ部60の側面69に接し、そのときの締め付けトルクが216N・mとなる。実線C7の場合、モンキレンチM8による締め付け後における締め付けトルク(216N・m)と、適正締め付けトルク(110N・m)との比であるトルク倍率Yaは、1.96である(
図11の点D7)。このため、実線C7の場合には、許容されるトルク倍率Ya(0.81〜1.65)の範囲外となる。このようにトルク倍率Yaが1.65を超える場合には、モンキレンチM8による締め付け後における締め付けトルクが適正締め付けトルクに対して過大となる。
【0136】
しかしながら、実線C7の場合、モンキレンチM8による締め付け前における一対のナット3間の初期距離La0(40.80mm)と、管P3の外径(25.40mm)との比である距離比Xaは、1.61であり(
図11の点D7)、1.1〜1.4の範囲外となっている。このため、距離比Xaが1.1〜1.4の範囲になるように継手本体2が設定されている第1の実施形態の管継手では、モンキレンチM8を用いた場合であっても、過大な締め付けトルクまで締め付けることはできない。
【0137】
なお、
図17における実線C8は、初期距離La0を40.80mm([距離La0/2]=20.40mm)よりも小さい値に設定した場合の締め付けトルクの変化を例示するものである。具体的に、この実線C8では、初期距離La0が38.60mm([距離La0/2]=19.30mm)に設定されている。
【0138】
この実線C8の場合、モンキレンチM8を用いてナット3を締め付けることにより、ナット3の前側面35がモンキレンチM8のつかみ部60の側面69に接するときには、締め付けトルクは162N・mとなる。このように初期距離La0を40.80mm([距離La0/2]=20.40mm)より小さい値に設定した場合には、締め付けトルクは、モンキレンチM8の最大締め付け可能トルク(216N・m)には達しない。
【0139】
実線C8の場合、モンキレンチM8による締め付け前における一対のナット3間の初期距離La0(38.60mm)と、管P3の外径(25.40mm)との比である距離比Xaは、1.52であり(
図11の点D6)、1.1〜1.4の範囲外となっている。一方で、実線C8の場合、モンキレンチM8による締め付け後における締め付けトルク(162N・m)と、適正締め付けトルク(110N・m)との比であるトルク倍率Yaは、1.47であり(
図11の点D6)、0.81〜1.65の範囲内となる。このため、距離比Xaが1.1〜1.4の範囲内であれば、トルク倍率Yaが1.65未満になることが分かる。
【0140】
以上のように、
図11は、管P3(外径25.40mm)を使用する場合における上述の結果をまとめたグラフであり、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係、及びモンキレンチM8を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示している。
【0141】
図11における点D1〜点D7の距離比Xa及びトルク倍率Yaは、次の通りである。
【0142】
点D1:距離比Xa=0.93、トルク倍率Ya=0
点D2:距離比Xa=1.11、トルク倍率Ya=1.00
点D3:距離比Xa=1.15、トルク倍率Ya=1.23
点D4:距離比Xa=1.29、トルク倍率Ya=1.23
点D5:距離比Xa=1.33、トルク倍率Ya=1.47
点D6:距離比Xa=1.52、トルク倍率Ya=1.47
点D7:距離比Xa=1.61、トルク倍率Ya=1.96
図11において、点D1から点D3までの斜線と、点D3から点D4までの水平線とは、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M6は、モンキレンチM6のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D4から点D5までの斜線と、点D5から点D6までの水平線とは、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M7は、モンキレンチM7のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D6から点D7までの斜線と、点D7より大きな領域の水平線とは、モンキレンチM8を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M8は、モンキレンチM8のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。
【0143】
そして、第1の実施形態では、外径25.40mmの管P3を管継手1に接続する場合、
図11に示すように、距離比Xaを1.1〜1.52の範囲(1.1〜1.4の範囲)内に設定すれば、トルク倍率Yaを0.81〜1.65の範囲内とすることができる。しかも、距離比Xa及びトルク倍率Yaを上記の範囲内とするときに、
図11に示すように2つのモンキレンチM6,M7の何れかを使用可能であるので、1つのモンキレンチMを使用することしかできない場合に比べてモンキレンチMの選択の幅が広がる。
【0144】
なお、
図11では、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示す折れ線(点D1から点D3までの斜線及び点D3から点D4までの水平線)は、点D4までしか図示されていないが、上述したように、モンキレンチM6は、矢印M6の範囲(すなわち、距離比Xaが点D1以上の範囲)において係合部20に係合可能であるので、モンキレンチM6は、距離比Xaが点D4の1.29より大きく、且つ、距離比Xaが1.4以下の範囲においても使用可能である。
【0145】
第1の実施形態の管継手1では、外径25.40mmの管P3を管継手1に接続する場合、作業現場での作業性を考慮して、2つのサイズのモンキレンチMを選択することができる。そして、小さい方のモンキレンチM6の最大締め付け可能トルクでナット3を締め付けても締め付け不足とはならず、しかも、大きい方のモンキレンチM7でナット3を締め付けても過大な締め付けトルクとはならない。
【0146】
<外径19.05mmの管の場合>
次に、外径19.05mmの管P1に対応する管継手1に関するデータを示す
図9の内容について説明する。
図9は、
図8に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータのうち、管P1(外径19.05mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフである。
【0147】
この
図9に示すデータの見方は、基本的に、上述した
図11と同様であるので、
図9に関する詳細な説明は省略するが、以下では、
図9に示すデータの要点のみを簡単に説明する。
【0148】
外径がφ19.05mmである管P1を使用した場合、
図5に示すように、継手本体2における係合部20の二面幅N2は27.0mmであり、適正締め付けトルクは75N・mである。モンキレンチMにおける最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)は、二面幅N2の大きさである27.0mm以上であることが必要になる。したがって、この場合には、継手本体2側のモンキレンチMとしては、
図7に示すように、モンキレンチM4(呼び長さ250mm)、モンキレンチM5(呼び長さ300mm)、モンキレンチM6(呼び長さ375mm)、モンキレンチM7(呼び長さ450mm)、モンキレンチM8(呼び長さ600mm)の5つが選択の対象となる。また、
図7に示すように、これらのモンキレンチM4,M5,M6,M7,M8は、最大締め付け可能トルクがそれぞれ90N・m、108N・m、135N・m、162N・m、216N・mであり、適正締め付けトルク75N・m以上であるので、この点でも許容される。
【0149】
図9は、管P1(外径19.05mm)を使用した場合のデータであり、上述した管P3(外径25.40mm)を使用した場合の
図11、
図15〜
図17と同様の考え方に基づいて得られたものである。
図9は、モンキレンチM4〜M8のそれぞれを使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示している。
【0150】
すなわち、
図9において、点D1から点D2までの斜線と、点D2から点D3までの水平線とは、モンキレンチM4を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M4は、モンキレンチM4のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D3から点D4までの斜線と、点D4から点D5までの水平線とは、モンキレンチM5を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M5は、モンキレンチM5のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D5から点D6までの斜線と、点D6から点D7までの水平線とは、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M6は、モンキレンチM6のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D7から点D8までの斜線と、点D8から点D9までの水平線とは、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M7は、モンキレンチM7のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D9から点D10までの斜線と、点D10より大きな領域の水平線とは、モンキレンチM8を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M8は、モンキレンチM8のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。
【0151】
図9における点D1〜点D10の距離比Xa及びトルク倍率Yaは、次の通りである。
【0152】
点D1:距離比Xa=0.81、トルク倍率Ya=0
点D2:距離比Xa=1.11、トルク倍率Ya=1.20
点D3:距離比Xa=1.27、トルク倍率Ya=1.20
点D4:距離比Xa=1.32、トルク倍率Ya=1.44
点D5:距離比Xa=1.59、トルク倍率Ya=1.44
点D6:距離比Xa=1.71、トルク倍率Ya=1.81
点D7:距離比Xa=1.85、トルク倍率Ya=1.81
点D8:距離比Xa=1.98、トルク倍率Ya=2.16
点D9:距離比Xa=2.20、トルク倍率Ya=2.16
点D10:距離比Xa=2.38、トルク倍率Ya=2.88
そして、第1の実施形態では、外径19.05mmの管P1を管継手1に接続する場合、
図9に示すように、距離比Xaを1.1〜1.6の範囲(1.1〜1.4の範囲)内に設定すれば、トルク倍率Yaを0.81〜1.65の範囲内とすることができる。しかも、距離比Xa及びトルク倍率Yaを上記の範囲内とするときに、
図9に示すように2つのモンキレンチM4,M5の何れかを使用可能であるので、1つのモンキレンチMを使用することしかできない場合に比べてモンキレンチMの選択の幅が広がる。
【0153】
なお、
図9では、モンキレンチM4を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示す折れ線(点D1から点D2までの斜線及び点D2から点D3までの水平線)は、点D3までしか図示されていないが、上述したように、モンキレンチM4は、矢印M4の範囲(すなわち、距離比Xaが点D1以上の範囲)において係合部20に係合可能であるので、モンキレンチM4は、距離比Xaが点D3の1.27より大きく、且つ、距離比Xaが1.4以下の範囲においても使用可能である。
【0154】
<外径22.23mmの管の場合>
次に、外径22.23mmの管P2に対応する管継手1に関するデータを示す
図10の内容について説明する。
図10は、
図8に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータのうち、管P2(外径22.23mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフである。
【0155】
この
図10に示すデータの見方は、基本的に、上述した
図11と同様であるので、
図10に関する詳細な説明は省略するが、以下では、
図10に示すデータの要点のみを簡単に説明する。
【0156】
外径がφ22.23mmである管P2を使用した場合、
図5に示すように、継手本体2における係合部20の二面幅N2は30.0mmであり、適正締め付けトルクは94N・mである。モンキレンチMにおける最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)は、二面幅N2の大きさである30.0mm以上であることが必要になる。したがって、この場合には、継手本体2側のモンキレンチMとしては、
図7に示すように、モンキレンチM5(呼び長さ300mm)、モンキレンチM6(呼び長さ375mm)、モンキレンチM7(呼び長さ450mm)、モンキレンチM8(呼び長さ600mm)の4つが選択の対象となる。また、
図7に示すように、これらのモンキレンチM5,M6,M7,M8は、最大締め付け可能トルクがそれぞれ108N・m、135N・m、162N・m、216N・mであり、適正締め付けトルク94N・m以上であるので、この点でも許容される。
【0157】
図10は、管P2(外径22.23mm)を使用した場合のデータであり、上述した管P3(外径25.40mm)を使用した場合の
図11、
図15〜
図17と同様の考え方に基づいて得られたものである。
図10は、モンキレンチM5〜M8のそれぞれを使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示している。
【0158】
すなわち、
図10において、点D1から点D2までの斜線と、点D2から点D3までの水平線とは、モンキレンチM5を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M5は、モンキレンチM5のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D3から点D4までの斜線と、点D4から点D5までの水平線とは、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M6は、モンキレンチM6のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D5から点D6までの斜線と、点D6から点D7までの水平線とは、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M7は、モンキレンチM7のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D7から点D8までの斜線と、点D8より大きな領域の水平線とは、モンキレンチM8を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M8は、モンキレンチM8のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。
【0159】
図10における点D1〜点D8の距離比Xa及びトルク倍率Yaは、次の通りである。
【0160】
点D1:距離比Xa=0.83、トルク倍率Ya=0
点D2:距離比Xa=1.09、トルク倍率Ya=1.15
点D3:距離比Xa=1.31、トルク倍率Ya=1.15
点D4:距離比Xa=1.37、トルク倍率Ya=1.45
点D5:距離比Xa=1.51、トルク倍率Ya=1.45
点D6:距離比Xa=1.57、トルク倍率Ya=1.72
点D7:距離比Xa=1.80、トルク倍率Ya=1.72
点D8:距離比Xa=1.92、トルク倍率Ya=2.30
そして、第1の実施形態では、外径22.23mmの管P2を管継手1に接続する場合、
図10に示すように、距離比Xaを1.1〜1.5(1.1〜1.4)の範囲内に設定すれば、トルク倍率Yaを0.81〜1.65の範囲内とすることができる。しかも、距離比Xa及びトルク倍率Yaを上記の範囲内とするときに、
図10に示すように2つのモンキレンチM5,M6の何れかを使用可能であるので、1つのモンキレンチMを使用することしかできない場合に比べてモンキレンチMの選択の幅が広がる。
【0161】
なお、
図10では、モンキレンチM5を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示す折れ線(点D1から点D2までの斜線及び点D2から点D3までの水平線)は、点D3までしか図示されていないが、上述したように、モンキレンチM5は、矢印M5の範囲(すなわち、距離比Xaが点D1以上の範囲)において係合部20に係合可能であるので、モンキレンチM5は、距離比Xaが点D3の1.31より大きく、且つ、距離比Xaが1.4以下の範囲においても使用可能である。
【0162】
<外径28.58mmの管の場合>
次に、外径28.58mmの管P4に対応する管継手1に関するデータを示す
図12の内容について説明する。
図12は、
図8に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータのうち、管P4(外径28.58mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフである。
【0163】
この
図12に示すデータの見方は、基本的に、上述した
図11と同様であるので、
図12に関する詳細な説明は省略するが、以下では、
図12に示すデータの要点のみを簡単に説明する。
【0164】
外径がφ28.58mmである管P4を使用した場合、
図5に示すように、継手本体2における係合部20の二面幅N2は41.0mmであり、適正締め付けトルクは131N・mである。モンキレンチMにおける最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)は、二面幅N2の大きさである41.0mm以上であることが必要になる。したがって、この場合には、継手本体2側のモンキレンチMとしては、
図7に示すように、モンキレンチM6(呼び長さ375mm)、モンキレンチM7(呼び長さ450mm)、モンキレンチM8(呼び長さ600mm)の3つが選択の対象となる。また、
図7に示すように、これらのモンキレンチM6,M7,M8は、最大締め付け可能トルクがそれぞれ135N・m、162N・m、216N・mであり、適正締め付けトルク131N・m以上であるので、この点でも許容される。
【0165】
図12は、管P4(外径28.58mm)を使用した場合のデータであり、上述した管P3(外径25.40mm)を使用した場合の
図11、
図15〜
図17と同様の考え方に基づいて得られたものである。
図12は、モンキレンチM6〜M8のそれぞれを使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示している。
【0166】
すなわち、
図12において、点D1から点D2までの斜線と、点D2から点D3までの水平線とは、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M6は、モンキレンチM6のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D3から点D4までの斜線と、点D4から点D5までの水平線とは、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M7は、モンキレンチM7のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D5から点D6までの斜線と、点D6より大きな領域の水平線とは、モンキレンチM8を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M8は、モンキレンチM8のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。
【0167】
図12における点D1〜点D6の距離比Xa及びトルク倍率Yaは、次の通りである。
【0168】
点D1:距離比Xa=0.82、トルク倍率Ya=0
点D2:距離比Xa=0.99、トルク倍率Ya=1.03
点D3:距離比Xa=1.11、トルク倍率Ya=1.03
点D4:距離比Xa=1.14、トルク倍率Ya=1.24
点D5:距離比Xa=1.32、トルク倍率Ya=1.24
点D6:距離比Xa=1.39、トルク倍率Ya=1.65
そして、第1の実施形態では、外径28.58mmの管P4を管継手1に接続する場合、
図12に示すように、距離比Xaを1.0〜1.4(1.1〜1.4)の範囲内に設定すれば、トルク倍率Yaを0.81〜1.65の範囲内とすることができる。しかも、距離比Xa及びトルク倍率Yaを上記の範囲内とするときに、
図12に示すように3つのモンキレンチM6,M7,M8の何れかを使用可能であるので、1つのモンキレンチMを使用することしかできない場合に比べてモンキレンチMの選択の幅が広がる。
【0169】
なお、
図12では、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示す折れ線(点D1から点D2までの斜線及び点D2から点D3までの水平線)は、点D3までしか図示されていないが、上述したように、モンキレンチM6は、矢印M6の範囲(すなわち、距離比Xaが点D1以上の範囲)において係合部20に係合可能であるので、モンキレンチM6は、距離比Xaが点D3の1.11より大きく、且つ、距離比Xaが1.4以下の範囲においても使用可能である。
【0170】
<外径31.75mmの管の場合>
次に、外径31.75mmの管P5に対応する管継手1に関するデータを示す
図13の内容について説明する。
図13は、
図8に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータのうち、管P5(外径31.75mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフである。
【0171】
この
図13に示すデータの見方は、基本的に、上述した
図11と同様であるので、
図13に関する詳細な説明は省略するが、以下では、
図13に示すデータの要点のみを簡単に説明する。
【0172】
外径がφ31.75mmである管P5を使用した場合、
図5に示すように、継手本体2における係合部20の二面幅N2は46.0mmであり、適正締め付けトルクは155N・mである。モンキレンチMにおける最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)は、二面幅N2の大きさである46.0mm以上であることが必要になる。したがって、この場合には、継手本体2側のモンキレンチMとしては、
図7に示すように、モンキレンチM7(呼び長さ450mm)、モンキレンチM8(呼び長さ600mm)の2つが選択の対象となる。また、
図7に示すように、これらのモンキレンチM7,M8は、最大締め付け可能トルクがそれぞれ162N・m、216N・mであり、適正締め付けトルク155N・m以上であるので、この点でも許容される。
【0173】
図13は、管P5(外径31.75mm)を使用した場合のデータであり、上述した管P3(外径25.40mm)を使用した場合の
図11、
図15〜
図17と同様の考え方に基づいて得られたものである。
図13は、モンキレンチM7,M8のそれぞれを使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示している。
【0174】
すなわち、
図13において、点D1から点D2までの斜線と、点D2から点D3までの水平線とは、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M7は、モンキレンチM7のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D3から点D4までの斜線と、点D4より大きな領域の水平線とは、モンキレンチM8を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M8は、モンキレンチM8のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。
【0175】
図13における点D1〜点D4の距離比Xa及びトルク倍率Yaは、次の通りである。
【0176】
点D1:距離比Xa=0.85、トルク倍率Ya=0
点D2:距離比Xa=1.00、トルク倍率Ya=1.05
点D3:距離比Xa=1.19、トルク倍率Ya=1.05
点D4:距離比Xa=1.21、トルク倍率Ya=1.39
そして、第1の実施形態では、外径31.75mmの管P5を管継手1に接続する場合、
図13に示すように、距離比Xaを1.0〜1.4(1.1〜1.4)の範囲内に設定すれば、トルク倍率Yaを0.81〜1.65の範囲内とすることができる。しかも、距離比Xa及びトルク倍率Yaを上記の範囲内とするときに、
図13に示すように2つのモンキレンチM7,M8の何れかを使用可能であるので、1つのモンキレンチMを使用することしかできない場合に比べてモンキレンチMの選択の幅が広がる。
【0177】
なお、
図13では、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示す折れ線(点D1から点D2までの斜線及び点D2から点D3までの水平線)は、点D3までしか図示されていないが、上述したように、モンキレンチM7は、矢印M7の範囲(すなわち、距離比Xaが点D1以上の範囲)において係合部20に係合可能であるので、モンキレンチM7は、距離比Xaが点D3の1.19より大きく、且つ、距離比Xaが1.4以下の範囲においても使用可能である。
【0178】
<外径38.10mmの管の場合>
次に、外径38.10mmの管P6に対応する管継手1に関するデータを示す
図14の内容について説明する。
図14は、
図8に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータのうち、管P6(外径38.10mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフである。
【0179】
この
図14に示すデータの見方は、基本的に、上述した
図11と同様であるので、
図14に関する詳細な説明は省略するが、以下では、
図14に示すデータの要点のみを簡単に説明する。
【0180】
外径がφ38.10mmである管P6を使用した場合、
図5に示すように、継手本体2における係合部20の二面幅N2は50.0mmであり、適正締め付けトルクは200N・mである。モンキレンチMにおける最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)は、二面幅N2の大きさである50.0mm以上であることが必要になる。したがって、この場合には、継手本体2側のモンキレンチMとしては、
図7に示すように、モンキレンチM7(呼び長さ450mm)、モンキレンチM8(呼び長さ600mm)の2つが選択の対象となる。
【0181】
図7に示すように、モンキレンチM8は、最大締め付け可能トルクが216N・mであり、適正締め付けトルク200N・m以上であるので、この点でモンキレンチM7よりも好ましい。一方、モンキレンチM7は、最大締め付け可能トルクが162N・mであり、適正締め付けトルク200N・m未満であるが、実用締め付けトルク(適正締め付けトルクの80%の値)の150N・m以上であるので、実用上問題なく使用可能である。
【0182】
図14は、管P6(外径38.10mm)を使用した場合のデータであり、上述した管P3(外径25.40mm)を使用した場合の
図11、
図15〜
図17と同様の考え方に基づいて得られたものである。
図14は、モンキレンチM7,M8のそれぞれを使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示している。
【0183】
すなわち、
図14において、点D1から点D2までの斜線と、点D2から点D3までの水平線とは、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M7は、モンキレンチM7のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D3から点D4までの斜線と、点D4より大きな領域の水平線とは、モンキレンチM8を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示しており、矢印M8は、モンキレンチM8のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。
【0184】
図14における点D1〜点D4の距離比Xa及びトルク倍率Yaは、次の通りである。
【0185】
点D1:距離比Xa=0.71、トルク倍率Ya=0
点D2:距離比Xa=0.80、トルク倍率Ya=0.81
点D3:距離比Xa=0.94、トルク倍率Ya=0.81
点D4:距離比Xa=0.97、トルク倍率Ya=1.08
そして、第1の実施形態では、外径38.10mmの管P6を管継手1に接続する場合、
図14に示すように、距離比Xaを1.1〜1.4の範囲内に設定すれば、トルク倍率Yaを0.81〜1.65の範囲内とすることができる。しかも、距離比Xa及びトルク倍率Yaを上記の範囲内とするときに、
図14に示すように2つのモンキレンチM7,M8の何れかを使用可能であるので、1つのモンキレンチMを使用することしかできない場合に比べてモンキレンチMの選択の幅が広がる。
【0186】
なお、
図14では、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xaとトルク倍率Yaとの関係を示す折れ線(点D1から点D2までの斜線及び点D2から点D3までの水平線)は、点D3までしか図示されていないが、上述したように、モンキレンチM7は、矢印M7の範囲(すなわち、距離比Xaが点D1以上の範囲)において係合部20に係合可能であるので、モンキレンチM7は、距離比Xaが点D3の0.94より大きく、且つ、距離比Xaが1.4以下の範囲においても使用可能である。
【0187】
[第2の実施形態における締め付けトルクの制御構造]
第2の実施形態において、ナット3を継手本体2の筒状部21に螺合する際には、
図3に示すように、作業者は、継手本体2の係合部20にモンキレンチMのつかみ部60を係合させるとともに、ナット3にも別のモンキレンチMのつかみ部60を係合させる。そして、作業者は、例えば、ナット3側のモンキレンチMを主に回転させ、その際に継手本体2が回転するのを抑制するために継手本体2側のモンキレンチMを支持する。このとき、継手本体2側のモンキレンチMは、
図3に示すように、つかみ部60における一方の側面69(
図3では左側面69)が壁部7の側面71に接するように配置されるのが好ましい。そして、螺合動作中においても、そのモンキレンチMのつかみ部60における一方の側面69が壁部7の側面71に接するように配置された状態を維持するのが好ましい。
【0188】
図3に示すように、モンキレンチMを用いてナット3を締め付ける前の状態(初期状態)においては、ナット3の前側面35と、継手本体2側のモンキレンチMの側面との間には、隙間Gが形成されている。この隙間Gは、ナット3と壁部7との間の距離LbからモンキレンチMのつかみ部60における根元厚さTを引いた値である(隙間G=Lb−T)。すなわち、この隙間Gは、ナット3が螺合時にモンキレンチMのつかみ部60側に移動可能な距離に相当する幅を有する隙間である。
【0189】
図3において、ナット3が締め付けられると、ナット3は左側に移動し、それに伴って隙間Gが次第に小さくなる。
図3に示すように、ナット3の前側面35は、係合部20よりも径方向外側にまで位置している。すなわち、前側面35における径方向の長さは、係合部20における二面幅N2よりも大きい。したがって、ナット3がさらに締め付けられると、ナット3の前側面35は、継手本体2側のモンキレンチMのつかみ部60の側面69に接する。このとき、ナット3は、初期状態における隙間G(初期隙間)の分だけ左側に移動したことになる。ナット3の前側面35がモンキレンチMのつかみ部60の側面69に接すると、継手本体2の筒状部21に対してナット3がそれ以上回転するのが防止される。
【0190】
また、ナット3と壁部7との間の初期距離Lb0が大きい場合には、ナット3の前側面35がモンキレンチMのつかみ部60の側面69に接する前に、モンキレンチMによる締め付けトルクがそのモンキレンチMの最大締め付け可能トルクに達する場合もある。この場合には、ナット3の前側面35と、継手本体2側のモンキレンチMの側面との間の隙間Gが残っていたとしても、モンキレンチMによる締め付けトルクがそのモンキレンチMの最大締め付け可能トルクに達した時点で、継手本体2の筒状部21に対してナット3がそれ以上回転するのが抑制される。
【0191】
しかし、ナット3と壁部7との間の初期距離Lb0を大きくし過ぎると、つかみ幅Wの大きなモンキレンチM(最大締め付け可能トルクが過大なモンキレンチM)をナット3と壁部7との間に挿入することが可能になってしまう。この場合、継手本体2側のモンキレンチMの側面とナット3の前側面35とが接触するまでに過大な締め付けトルクとなってしまう場合がある。
【0192】
一方、ナット3と壁部7との間の初期距離Lb0を小さくし過ぎると、つかみ部60のつかみ幅Wの小さなモンキレンチM(最大締め付け可能トルクが過小なモンキレンチM)しか使用することができない。この場合には、ナット3を上述した実用締め付けトルクまで締め付けることができず、締め付け不足となる。以上の観点から、第2実施形態の管継手1では、ナット3間の初期距離Lb0が所定範囲になるように設定されている。
【0193】
図18は、第2の実施形態の管継手1における距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示すグラフである。
図18には、管P1〜P6(外径19.05mm〜38.10mm)に対応する6つの管継手1に関する6つのデータが記載されている。
図19〜
図24には、
図18に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータが、別々に記載されている。
【0194】
すなわち、
図19は、管P1(外径19.05mm)に対応する管継手1に関するデータを示すグラフであり、
図20は、管P2(外径22.23mm)に対応する管継手1に関するデータを示すグラフであり、
図21は、管P3(外径25.40mm)に対応する管継手1に関するデータを示すグラフであり、
図22は、管P4(外径28.58mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフであり、
図23は、管P5(外径31.75mm)に対応する管継手1に関するデータを示すグラフであり、
図24は、管P6(外径38.10mm)に対応する管継手1に関するデータを示すグラフである。
【0195】
図18〜
図24には、第2の実施形態において、距離比Xbを1.0〜1.3の範囲内に設定された管継手1で生ずるトルク倍率Ybが0.82〜1.65の範囲内にあることが示されている。以下、
図18〜
図24の内容について具体的に説明する。
【0196】
<外径19.05mmの管の場合>
まず、外径19.05mmの管P1に対応する管継手1に関するデータを示す
図19の内容について説明する。
図19は、
図18に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータのうち、管P1(外径19.05mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフである。
【0197】
この第2の実施形態に関する
図19に示すデータの見方は、基本的に、上述した第1の実施形態に関する
図11と同様であるので、
図19に関する詳細な説明は省略するが、以下では、
図19に示すデータの要点のみを簡単に説明する。
【0198】
外径がφ19.05mmである管P1を使用した場合、
図5に示すように、継手本体2における係合部20の二面幅N2は27.0mmであり、適正締め付けトルクは75N・mである。モンキレンチMにおける最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)は、二面幅N2の大きさである27.0mm以上であることが必要になる。したがって、この場合には、継手本体2側のモンキレンチMとしては、
図7に示すように、モンキレンチM4(呼び長さ250mm)、モンキレンチM5(呼び長さ300mm)、モンキレンチM6(呼び長さ375mm)、モンキレンチM7(呼び長さ450mm)、モンキレンチM8(呼び長さ600mm)の5つが選択の対象となる。また、
図7に示すように、これらのモンキレンチM4,M5,M6,M7,M8は、最大締め付け可能トルクがそれぞれ90N・m、108N・m、135N・m、162N・m、216N・mであり、適正締め付けトルク75N・m以上であるので、この点でも許容される。
【0199】
図19は、第2の実施形態において管P1(外径19.05mm)を使用した場合のデータであり、上述した第1の実施形態において管P3(外径25.40mm)を使用した場合の
図11、
図15〜
図17と同様の考え方に基づいて得られたものである。
図19は、モンキレンチM4〜M8のそれぞれを使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示している。
【0200】
すなわち、
図19において、点D1から点D2までの斜線と、点D2から点D3までの水平線とは、モンキレンチM4を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M4は、モンキレンチM4のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D3から点D4までの斜線と、点D4から点D5までの水平線とは、モンキレンチM5を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M5は、モンキレンチM5のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D5から点D6までの斜線と、点D6から点D7までの水平線とは、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M6は、モンキレンチM6のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D7から点D8までの斜線と、点D8から点D9までの水平線とは、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M7は、モンキレンチM7のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D9から点D10までの斜線と、点D10より大きな領域の水平線とは、モンキレンチM8を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M8は、モンキレンチM8のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。
【0201】
図19における点D1〜点D10の距離比Xb及びトルク倍率Ybは、次の通りである。
【0202】
点D1:距離比Xb=0.81、トルク倍率Yb=0
点D2:距離比Xb=0.96、トルク倍率Yb=1.20
点D3:距離比Xb=1.12、トルク倍率Yb=1.20
点D4:距離比Xb=1.15、トルク倍率Yb=1.44
点D5:距離比Xb=1.41、トルク倍率Yb=1.44
点D6:距離比Xb=1.47、トルク倍率Yb=1.81
点D7:距離比Xb=1.63、トルク倍率Yb=1.81
点D8:距離比Xb=1.70、トルク倍率Yb=2.16
点D9:距離比Xb=1.94、トルク倍率Yb=2.16
点D10:距離比Xb=2.03、トルク倍率Yb=2.88
そして、第2の実施形態では、外径19.05mmの管P1を管継手1に接続する場合、
図19に示すように、距離比Xbを1.0〜1.4(1.0〜1.3)の範囲内に設定すれば、トルク倍率Ybを0.82〜1.65の範囲内とすることができる。しかも、距離比Xb及びトルク倍率Ybを上記の範囲内とするときに、
図19に示すように2つのモンキレンチM4,M5の何れかを使用可能であるので、1つのモンキレンチMを使用することしかできない場合に比べてモンキレンチMの選択の幅が広がる。
【0203】
なお、
図19では、モンキレンチM4を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示す折れ線(点D1から点D2までの斜線及び点D2から点D3までの水平線)は、点D3までしか図示されていないが、上述したように、モンキレンチM4は、矢印M4の範囲(すなわち、距離比Xbが点D1以上の範囲)において係合部20に係合可能であるので、モンキレンチM4は、距離比Xbが点D3の1.12より大きく、且つ、距離比Xbが1.3以下の範囲においても使用可能である。
【0204】
<外径22.23mmの管の場合>
次に、外径22.23mmの管P2に対応する管継手1に関するデータを示す
図20の内容について説明する。
図20は、
図18に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータのうち、管P2(外径22.23mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフである。
【0205】
この第2の実施形態に関する
図20に示すデータの見方は、基本的に、上述した第1の実施形態に関する
図11と同様であるので、
図20に関する詳細な説明は省略するが、以下では、
図20に示すデータの要点のみを簡単に説明する。
【0206】
外径がφ22.23mmである管P2を使用した場合、
図5に示すように、継手本体2における係合部20の二面幅N2は30.0mmであり、適正締め付けトルクは94N・mである。モンキレンチMにおける最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)は、二面幅N2の大きさである30.0mm以上であることが必要になる。したがって、この場合には、継手本体2側のモンキレンチMとしては、
図7に示すように、モンキレンチM5(呼び長さ300mm)、モンキレンチM6(呼び長さ375mm)、モンキレンチM7(呼び長さ450mm)、モンキレンチM8(呼び長さ600mm)の4つが選択の対象となる。また、
図7に示すように、これらのモンキレンチM5,M6,M7,M8は、最大締め付け可能トルクがそれぞれ108N・m、135N・m、162N・m、216N・mであり、適正締め付けトルク94N・m以上であるので、この点でも許容される。
【0207】
図20は、第2の実施形態において管P2(外径22.23mm)を使用した場合のデータであり、上述した第1の実施形態において管P3(外径25.40mm)を使用した場合の
図11、
図15〜
図17と同様の考え方に基づいて得られたものである。
図20は、モンキレンチM5〜M8のそれぞれを使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示している。
【0208】
すなわち、
図20において、点D1から点D2までの斜線と、点D2から点D3までの水平線とは、モンキレンチM5を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M5は、モンキレンチM5のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D3から点D4までの斜線と、点D4から点D5までの水平線とは、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M6は、モンキレンチM6のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D5から点D6までの斜線と、点D6から点D7までの水平線とは、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M7は、モンキレンチM7のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D7から点D8までの斜線と、点D8より大きな領域の水平線とは、モンキレンチM8を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M8は、モンキレンチM8のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。
【0209】
図20における点D1〜点D8の距離比Xb及びトルク倍率Ybは、次の通りである。
【0210】
点D1:距離比Xb=0.83、トルク倍率Yb=0
点D2:距離比Xb=0.96、トルク倍率Yb=1.15
点D3:距離比Xb=1.18、トルク倍率Yb=1.15
点D4:距離比Xb=1.21、トルク倍率Yb=1.45
点D5:距離比Xb=1.36、トルク倍率Yb=1.45
点D6:距離比Xb=1.39、トルク倍率Yb=1.72
点D7:距離比Xb=1.62、トルク倍率Yb=1.72
点D8:距離比Xb=1.68、トルク倍率Yb=2.30
そして、第2の実施形態では、外径22.23mmの管P2を管継手1に接続する場合、
図20に示すように、距離比Xbを1.0〜1.4(1.0〜1.3)の範囲内に設定すれば、トルク倍率Ybを0.82〜1.65の範囲内とすることができる。しかも、距離比Xb及びトルク倍率Ybを上記の範囲内とするときに、
図20に示すように2つのモンキレンチM5,M6の何れかを使用可能であるので、1つのモンキレンチMを使用することしかできない場合に比べてモンキレンチMの選択の幅が広がる。
【0211】
なお、
図20では、モンキレンチM5を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示す折れ線(点D1から点D2までの斜線及び点D2から点D3までの水平線)は、点D3までしか図示されていないが、上述したように、モンキレンチM5は、矢印M5の範囲(すなわち、距離比Xbが点D1以上の範囲)において係合部20に係合可能であるので、モンキレンチM5は、距離比Xbが点D3の1.18より大きく、且つ、距離比Xbが1.3以下の範囲においても使用可能である。
【0212】
<外径25.40mmの管の場合>
次に、外径25.40mmの管P3に対応する管継手1に関するデータを示す
図21の内容について説明する。
図21は、
図18に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータのうち、管P3(外径25.40mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフである。
【0213】
この第2の実施形態に関する
図21に示すデータの見方は、基本的に、上述した第1の実施形態に関する
図11と同様であるので、
図21に関する詳細な説明は省略するが、以下では、
図21に示すデータの要点のみを簡単に説明する。
【0214】
外径がφ25.40mmである管P3を使用した場合、
図5に示すように、継手本体2における係合部20の二面幅N2は36.0mmであり、適正締め付けトルクは110N・mである。モンキレンチMにおける最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)は、二面幅N2の大きさである36.0mm以上であることが必要になる。したがって、この場合には、継手本体2側のモンキレンチMとしては、
図7に示すように、モンキレンチM6(呼び長さ375mm)、モンキレンチM7(呼び長さ450mm)、モンキレンチM8(呼び長さ600mm)の3つが選択の対象となる。また、
図7に示すように、これらのモンキレンチM6,M7,M8は、最大締め付け可能トルクがそれぞれ135N・m、162N・m、216N・mであり、適正締め付けトルク110N・m以上であるので、この点でも許容される。
【0215】
図21は、第2の実施形態において管P3(外径25.40mm)を使用した場合のデータであり、上述した第1の実施形態において管P3(外径25.40mm)を使用した場合の
図11、
図15〜
図17と同様の考え方に基づいて得られたものである。
図21は、モンキレンチM6〜M8のそれぞれを使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示している。
【0216】
すなわち、
図21において、点D1から点D3までの斜線と、点D3から点D4までの水平線とは、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M6は、モンキレンチM6のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D4から点D5までの斜線と、点D5から点D6までの水平線とは、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M7は、モンキレンチM7のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D6から点D7までの斜線と、点D7より大きな領域の水平線とは、モンキレンチM8を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M8は、モンキレンチM8のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。
【0217】
図21における点D1〜点D7の距離比Xb及びトルク倍率Ybは、次の通りである。
【0218】
点D1:距離比Xb=0.93、トルク倍率Yb=0
点D2:距離比Xb=1.02、トルク倍率Yb=1.00
点D3:距離比Xb=1.04、トルク倍率Yb=1.23
点D4:距離比Xb=1.17、トルク倍率Yb=1.23
点D5:距離比Xb=1.20、トルク倍率Yb=1.47
点D6:距離比Xb=1.39、トルク倍率Yb=1.47
点D7:距離比Xb=1.43、トルク倍率Yb=1.96
そして、第2の実施形態では、外径25.40mmの管P3を管継手1に接続する場合、
図21に示すように、距離比Xbを1.0〜1.4(1.0〜1.3)の範囲内に設定すれば、トルク倍率Ybを0.82〜1.65の範囲内とすることができる。しかも、距離比Xb及びトルク倍率Ybを上記の範囲内とするときに、
図21に示すように2つのモンキレンチM6,M7の何れかを使用可能であるので、1つのモンキレンチMを使用することしかできない場合に比べてモンキレンチMの選択の幅が広がる。
【0219】
なお、
図21では、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示す折れ線(点D1から点D3までの斜線及び点D3から点D4までの水平線)は、点D4までしか図示されていないが、上述したように、モンキレンチM6は、矢印M6の範囲(すなわち、距離比Xbが点D1以上の範囲)において係合部20に係合可能であるので、モンキレンチM6は、距離比Xbが点D4の1.17より大きく、且つ、距離比Xbが1.3以下の範囲においても使用可能である。
【0220】
<外径28.58mmの管の場合>
次に、外径28.58mmの管P4に対応する管継手1に関するデータを示す
図22の内容について説明する。
図22は、
図18に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータのうち、管P4(外径28.58mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフである。
【0221】
この第2の実施形態に関する
図22に示すデータの見方は、基本的に、上述した第1の実施形態に関する
図11と同様であるので、
図22に関する詳細な説明は省略するが、以下では、
図22に示すデータの要点のみを簡単に説明する。
【0222】
外径がφ28.58mmである管P4を使用した場合、
図5に示すように、継手本体2における係合部20の二面幅N2は41.0mmであり、適正締め付けトルクは131N・mである。モンキレンチMにおける最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)は、二面幅N2の大きさである41.0mm以上であることが必要になる。したがって、この場合には、継手本体2側のモンキレンチMとしては、
図7に示すように、モンキレンチM6(呼び長さ375mm)、モンキレンチM7(呼び長さ450mm)、モンキレンチM8(呼び長さ600mm)の3つが選択の対象となる。また、
図7に示すように、これらのモンキレンチM6,M7,M8は、最大締め付け可能トルクがそれぞれ135N・m、162N・m、216N・mであり、適正締め付けトルク131N・m以上であるので、この点でも許容される。
【0223】
図22は、第2の実施形態において管P4(外径28.58mm)を使用した場合のデータであり、上述した第1の実施形態において管P3(外径25.40mm)を使用した場合の
図11、
図15〜
図17と同様の考え方に基づいて得られたものである。
図22は、モンキレンチM6〜M8のそれぞれを使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示している。
【0224】
すなわち、
図22において、点D1から点D2までの斜線と、点D2から点D3までの水平線とは、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M6は、モンキレンチM6のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D3から点D4までの斜線と、点D4から点D5までの水平線とは、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M7は、モンキレンチM7のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D5から点D6までの斜線と、点D6より大きな領域の水平線とは、モンキレンチM8を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M8は、モンキレンチM8のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。
【0225】
図22における点D1〜点D6の距離比Xb及びトルク倍率Ybは、次の通りである。
【0226】
点D1:距離比Xb=0.82、トルク倍率Yb=0
点D2:距離比Xb=0.90、トルク倍率Yb=1.03
点D3:距離比Xb=1.03、トルク倍率Yb=1.03
点D4:距離比Xb=1.04、トルク倍率Yb=1.24
点D5:距離比Xb=1.22、トルク倍率Yb=1.24
点D6:距離比Xb=1.26、トルク倍率Yb=1.65
そして、第2の実施形態では、外径28.58mmの管P4を管継手1に接続する場合、
図22に示すように、距離比Xbを0.9〜1.3(1.0〜1.3)の範囲内に設定すれば、トルク倍率Ybを0.82〜1.65の範囲内とすることができる。しかも、距離比Xb及びトルク倍率Ybを上記の範囲内とするときに、
図22に示すように3つのモンキレンチM6,M7,M8の何れかを使用可能であるので、1つのモンキレンチMを使用することしかできない場合に比べてモンキレンチMの選択の幅が広がる。
【0227】
なお、
図22では、モンキレンチM6を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示す折れ線(点D1から点D2までの斜線及び点D2から点D3までの水平線)は、点D3までしか図示されていないが、上述したように、モンキレンチM6は、矢印M6の範囲(すなわち、距離比Xbが点D1以上の範囲)において係合部20に係合可能であるので、モンキレンチM6は、距離比Xbが点D3の1.03より大きく、且つ、距離比Xbが1.3以下の範囲においても使用可能である。
【0228】
<外径31.75mmの管の場合>
次に、外径31.75mmの管P5に対応する管継手1に関するデータを示す
図23の内容について説明する。
図23は、
図18に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータのうち、管P5(外径31.75mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフである。
【0229】
この第2の実施形態に関する
図13に示すデータの見方は、基本的に、上述した第1の実施形態に関する
図11と同様であるので、
図23に関する詳細な説明は省略するが、以下では、
図23に示すデータの要点のみを簡単に説明する。
【0230】
外径がφ31.75mmである管P5を使用した場合、
図5に示すように、継手本体2における係合部20の二面幅N2は46.0mmであり、適正締め付けトルクは155N・mである。モンキレンチMにおける最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)は、二面幅N2の大きさである46.0mm以上であることが必要になる。したがって、この場合には、継手本体2側のモンキレンチMとしては、
図7に示すように、モンキレンチM7(呼び長さ450mm)、モンキレンチM8(呼び長さ600mm)の2つが選択の対象となる。また、
図7に示すように、これらのモンキレンチM7,M8は、最大締め付け可能トルクがそれぞれ162N・m、216N・mであり、適正締め付けトルク155N・m以上であるので、この点でも許容される。
【0231】
図23は、第2の実施形態において管P5(外径31.75mm)を使用した場合のデータであり、上述した第1の実施形態において管P3(外径25.40mm)を使用した場合の
図11、
図15〜
図17と同様の考え方に基づいて得られたものである。
図23は、モンキレンチM7,M8のそれぞれを使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示している。
【0232】
すなわち、
図23において、点D1から点D2までの斜線と、点D2から点D3までの水平線とは、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M7は、モンキレンチM7のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D3から点D4までの斜線と、点D4より大きな領域の水平線とは、モンキレンチM8を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M8は、モンキレンチM8のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。
【0233】
図23における点D1〜点D4の距離比Xb及びトルク倍率Ybは、次の通りである。
【0234】
点D1:距離比Xb=0.85、トルク倍率Yb=0
点D2:距離比Xb=0.93、トルク倍率Yb=1.05
点D3:距離比Xb=1.10、トルク倍率Yb=1.05
点D4:距離比Xb=1.11、トルク倍率Yb=1.39
そして、第1の実施形態では、外径31.75mmの管P5を管継手1に接続する場合、
図23に示すように、距離比Xbを0.9〜1.3(1.0〜1.3)の範囲内に設定すれば、トルク倍率Ybを0.82〜1.65の範囲内とすることができる。しかも、距離比Xb及びトルク倍率Ybを上記の範囲内とするときに、
図23に示すように2つのモンキレンチM7,M8の何れかを使用可能であるので、1つのモンキレンチMを使用することしかできない場合に比べてモンキレンチMの選択の幅が広がる。
【0235】
なお、
図23では、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示す折れ線(点D1から点D2までの斜線及び点D2から点D3までの水平線)は、点D3までしか図示されていないが、上述したように、モンキレンチM7は、矢印M7の範囲(すなわち、距離比Xbが点D1以上の範囲)において係合部20に係合可能であるので、モンキレンチM7は、距離比Xbが点D3の1.10より大きく、且つ、距離比Xbが1.3以下の範囲においても使用可能である。
【0236】
<外径38.10mmの管の場合>
次に、外径38.10mmの管P6に対応する管継手1に関するデータを示す
図24の内容について説明する。
図24は、
図18に記載している管P1〜P6に対応する管継手1に関する6つのデータのうち、管P6(外径38.10mm)に対応する管継手1に関するデータのみを示すグラフである。
【0237】
この第2の実施形態に関する
図24に示すデータの見方は、基本的に、上述した第1の実施形態に関する
図11と同様であるので、
図24に関する詳細な説明は省略するが、以下では、
図24に示すデータの要点のみを簡単に説明する。
【0238】
外径がφ38.10mmである管P6を使用した場合、
図5に示すように、継手本体2における係合部20の二面幅N2は50.0mmであり、適正締め付けトルクは200N・mである。モンキレンチMにおける最大つかみ幅(つかみ幅Wの最大値)は、二面幅N2の大きさである50.0mm以上であることが必要になる。したがって、この場合には、継手本体2側のモンキレンチMとしては、
図7に示すように、モンキレンチM7(呼び長さ450mm)、モンキレンチM8(呼び長さ600mm)の2つが選択の対象となる。
【0239】
図7に示すように、モンキレンチM8は、最大締め付け可能トルクが216N・mであり、適正締め付けトルク200N・m以上であるので、この点でモンキレンチM7よりも好ましい。一方、モンキレンチM7は、最大締め付け可能トルクが162N・mであり、適正締め付けトルク200N・m未満であるが、実用締め付けトルク(適正締め付けトルクの80%の値)の150N・m以上であるので、実用上問題なく使用可能である。
【0240】
図24は、第2の実施形態において管P6(外径38.10mm)を使用した場合のデータであり、上述した第1の実施形態において管P3(外径25.40mm)を使用した場合の
図11、
図15〜
図17と同様の考え方に基づいて得られたものである。
図24は、モンキレンチM7,M8のそれぞれを使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示している。
【0241】
すなわち、
図24において、点D1から点D2までの斜線と、点D2から点D3までの水平線とは、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M7は、モンキレンチM7のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。また、点D3から点D4までの斜線と、点D4より大きな領域の水平線とは、モンキレンチM8を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示しており、矢印M8は、モンキレンチM8のつかみ部60を継手本体2における係合部20に係合させることができる範囲を示している。
【0242】
図24における点D1〜点D4の距離比Xb及びトルク倍率Ybは、次の通りである。
【0243】
点D1:距離比Xb=0.71、トルク倍率Yb=0
点D2:距離比Xb=0.76、トルク倍率Yb=0.81
点D3:距離比Xb=0.89、トルク倍率Yb=0.81
点D4:距離比Xb=0.91、トルク倍率Yb=1.08
そして、第2の実施形態では、外径38.10mmの管P6を管継手1に接続する場合、
図24に示すように、距離比Xbを0.8〜1.3(1.0〜1.3)の範囲内に設定すれば、トルク倍率Ybを0.82〜1.65の範囲内とすることができる。しかも、距離比Xb及びトルク倍率Ybを上記の範囲内とするときに、
図24に示すように2つのモンキレンチM7,M8の何れかを使用可能であるので、1つのモンキレンチMを使用することしかできない場合に比べてモンキレンチMの選択の幅が広がる。
【0244】
なお、
図24では、モンキレンチM7を使用したときの距離比Xbとトルク倍率Ybとの関係を示す折れ線(点D1から点D2までの斜線及び点D2から点D3までの水平線)は、点D3までしか図示されていないが、上述したように、モンキレンチM7は、矢印M7の範囲(すなわち、距離比Xbが点D1以上の範囲)において係合部20に係合可能であるので、モンキレンチM7は、距離比Xbが点D3の0.89より大きく、且つ、距離比Xbが1.3以下の範囲においても使用可能である。
【0245】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0246】
実施形態では、管Pとして、銅等の金属材料を使用し、継手本体、ナット及びフェルールとして、黄銅等の金属材料を使用しているが、これに限定されるものではない。例えば、配管や継手本体、ナット及びフェルールとして、アルミニウム、ステンレス鋼、樹脂、鉄等を使用してもよい。