(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145148
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】冷却塔
(51)【国際特許分類】
F28C 1/02 20060101AFI20170529BHJP
F04F 5/20 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
F28C1/02
F04F5/20 E
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-203519(P2015-203519)
(22)【出願日】2015年10月15日
(62)【分割の表示】特願2014-78811(P2014-78811)の分割
【原出願日】2014年4月7日
(65)【公開番号】特開2016-29327(P2016-29327A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2015年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】505372620
【氏名又は名称】トータルエアーサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 毅資
【審査官】
伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−253292(JP,A)
【文献】
特開平09−287451(JP,A)
【文献】
特開2003−139488(JP,A)
【文献】
特開2007−120807(JP,A)
【文献】
実開昭55−060081(JP,U)
【文献】
スイス国特許発明第306141(CH,A)
【文献】
実開昭64−021300(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0051884(US,A1)
【文献】
特開平06−280800(JP,A)
【文献】
特開平08−075393(JP,A)
【文献】
中国実用新案第203190832(CN,U)
【文献】
国際公開第2012/141620(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28C 1/02−1/06
F04F 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷側からの冷却水を塔内の充填材の表面を流下させながら、塔内に吸引され、排気口から排出される外気と直接接触させることにより冷却する冷却塔において、
前記排気口の内側に上向きの噴流を発生させる、各別に形成された環状の噴流発生管を複数個同心状に設け、前記各噴流発生管に加圧空気を供給する加圧空気源を接続したことを特徴とする冷却塔。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却塔において、複数の噴流発生管は同じ高さに同心状に設けられていることを特徴とする冷却塔。
【請求項3】
請求項1に記載の冷却塔において、複数の噴流発生管は異なる高さにおいて同心状に設けられていることを特徴とする冷却塔。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の冷却塔において、前記加圧空気源は前記冷却塔外に設けられ、かつ、前記冷却塔内の上部空間の空気を吸入することを特徴とする冷却塔。
【請求項5】
負荷側からの冷却水を塔内の充填材の表面を流下させながら、塔内に吸引され、排気口から排出される外気と直接接触させることにより冷却するクロスフロー型冷却塔において、
前記排気口は前記充填材が配置されている各熱交換室の天井部に設けられ、
前記各排気口の内側に上向きの噴流を発生させる、各別に形成された環状の噴流発生管を複数個同心状に設け、
前記噴流発生管に加圧空気を供給する加圧空気源を接続したことを特徴とするクロスフロー型冷却塔。
【請求項6】
請求項5に記載のクロスフロー型冷却塔において、複数の噴流発生管は同じ高さに同心状に設けられていることを特徴とする冷却塔。
【請求項7】
請求項5に記載のクロスフロー型冷却塔において、複数の噴流発生管は異なる高さにおいて同心状に設けられていることを特徴とする冷却塔。
【請求項8】
請求項5,6または7に記載のクロスフロー型冷却塔において、前記加圧空気源は前記冷却塔外に設けられ、かつ、前記冷却塔内の上部空間の空気を吸入することを特徴とする冷却塔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却水を使用する設備との間で水を循環して水を冷却する冷却塔に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却水を使用する空調設備や工業設備などにおいては、水の蒸発潜熱を利用して水を冷却する冷却塔が広く用いられている。この冷却塔は、負荷側からの冷却水を塔内の充填材の表面を流下させながら、送風機により塔内に吸引される外気と直接接触させることにより冷却するものである。このような冷却塔には、充填材の表面を流下する冷却水と外気の流れ方向により、カウンターフロー型(向流型とも称される。たとえば、特許文献1〜3参照)とクロスフロー型(直交流型とも称される。たとえば、特許文献4,5参照)がある。カウンターフロー型は、通常、丸型であり、クロスフロー型は、通常、角型である。
【0003】
図12は、従来のカウンターフロー型冷却塔の構成の一例を示す。この冷却塔CT1は、塔体100の下部外周部に、外気を塔体100内に吸引するための外気取込み口101を有し、塔体100の中には上部に散水アーム102が、その直下には熱交換促進用の充填材103が支持部材104により塔体100内の下部に空間が形成されるように、それぞれ配置されている。また、塔体100の中心部に、負荷側から戻ってくる冷却水を散水アーム102に送る送水管105が設けられ、塔体100内の底部には充填材103により冷却された冷却水を受ける水槽106が、さらに、塔体100の上部に設けられた排気口107内にプロペラファン等のブレード108及びモータ109からなる送風機がそれぞれ設置されている(特許文献1参照)。
図12において、細い矢aは冷却水の移動を、太い矢Aは外気の移動を示す。aiは負荷側から戻ってくる冷却水、aoは負荷側に送られる冷却水であり、Aiは塔体100内に吸い込まれる空気、Aoは塔体100外に排出される空気である。
【0004】
図13は、クロスフロー型冷却塔の構成の一例を示す。この冷却塔CT2は、塔体200内の上部に負荷側から戻される冷却水を受ける上部水槽201を設け、その上部水槽201と塔体200内の底部に設けられた下部水槽202との間に充填材203を配設し、塔体200の充填材203に対応する高さの両側部に外気取込み口204を備え、塔体200の上部の排気口205にモータ206と、モータ206により回転されるブレード207とからなる送風機を設け、その送風
機を回転させると、外気取込み口204から外気が吸引され、その外気と上部水槽201から充填材203に散水される冷却水との熱交換が充填材203により促進され、充填材203を通過した空気が排気口205から塔体200の外に排気されるように構成されている(特許文献5参照)。
図13において、細い矢aは冷却水の移動を、太い矢Aは外気の移動を示す。aiは負荷側から戻ってくる冷却水、aoは負荷側に送られる冷却水であり、Aiは塔体200内に吸い込まれる空気、Aoは塔体200外に排出される空気である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−139488号公報
【特許文献2】特開2011−122745号公報
【特許文献3】特開2003−65686号公報
【特許文献4】特開平8−49989号公報
【特許文献5】特開2010−91226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の冷却塔は、カウンターフロー型、クロスフロー型のいずれも、塔体(100,200)の排気口(107,205)に、送風機が設けられている。大型の冷却塔には、カウンターフロー型冷却塔の場合は、排気口の口径が1500〜3800mm、外径寸法が5000〜8500mm程度のものがあり、クロスフロー型冷却塔の場合は、間口幅1700〜12000mm、高さ2800〜3300mm、奥行き3300〜3800mmにもなるものがある。また、クロスフロー型冷却塔の下部水槽(202)の深さは1000mm以上の場合もある。そして、従来の冷却塔では、所期の冷却効果を得るために、送風機に所要の風量が得られるプロペラファン等を用いるブレード付き送風機を用いている。
【0007】
このような所要の風量が得られるブレード付き送風機を用いる冷却塔においては、送風機の振動が空洞の塔体に伝導するため、稼働時の冷却塔から大きな騒音が発生するとともに、電力消費が大きい割には送風効率、したがって、冷却効率が低い。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてされたものであり、稼働時の騒音の発生が抑制されるとともに、冷却効率が向上される冷却塔を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、負荷側からの冷却水を塔内の充填材の表面を流下させながら、塔内に吸引され、排気口から排出される外気と直接接触させることにより冷却するカウンターフロー型冷却塔において、排気口の内側に上向きの噴流を発生させる、各別に形成された環状の噴流発生管を複数個同心状に設け、各噴流発生管に加圧空気を供給する加圧空気源を接続したことを特徴とする。
【0010】
各別に形成された複数個の環状の噴流発生管は、同じ高さにおいて、または異なる高さにおいて同心状に設けられていることが望ましい。
【0011】
また、本発明は、負荷側からの冷却水を塔内の充填材の表面を流下させながら、塔内に吸引され、排気口から排出される外気と直接接触させることにより冷却する冷却塔がクロスフロー型冷却塔である場合、排気口は充填材が配置されている各熱交換室の天井部に設けられ、各排気口の内側に上向きの噴流を発生させる、各別に形成された環状の噴流発生管を複数個同心状に設け、その噴流発生管に加圧空気を供給する加圧空気源を接続したことを特徴とする。
【0012】
また、複数の噴流発生管は同じ高さに、または異なる高さにおいて同心状に設けられていることが望ましい。
【0013】
カウンターフロー型冷却塔とクロスフロー型冷却塔のいずれの場合も、加圧空気源は冷却塔外に設けられ、かつ、冷却塔内の上部空間の空気を吸入するものであることが望ましい。
【0014】
噴流発生管は、環状に連続する内部通路と、その内部通路を外部に連通させる噴出口とを有し、内部通路に加圧空気が供給されたとき、噴出口から噴流発生管の壁面に沿って噴流を生じさせる。加圧空気供給源は噴流発生管の内部通路の一部に接続されてその内部通路に加圧空気を供給する。加圧空気供給源を一次送風機、噴流発生管を二次送風機ということができる。噴流発生管に加圧空気供給源を接続したものをブレードレス送風機ということもできる。
【0015】
ブレードレス送風機は、冷却塔の排気口の内壁面に近接して設置された噴流発生管と、その噴流発生管よりも内側に設置された噴流発生管との少なくとも二つの噴流発生管を同心状に有するものである。
【0016】
加圧空気供給源は、噴流発生管に加圧空気を供給する一次送風機である。一次送風機としては、冷却塔の要求送風量に応じて、プロペラファン、ターボファン、シロッコファンなど、通常のブレード付き送風機を用いることができる。ブレード付き送風機に代えて、エジェクタ送風機やコンプレッサーを用いることも可能である。
【0017】
加圧空気供給源は、冷却塔外の外気を吸引して噴流発生管の内部通路に供給するように設けてもよいが、冷却塔の上部空間内の空気を吸引して内部通路に供給するように設置すると、塔内の熱交換(冷却)用空気流が促進されるので、好ましい。
【0018】
冷却塔がクロスフロー型のように大型の場合は、塔体の外壁の一部に外に開放されたピットを設け、そのピットに一次送風機を設けることが望ましい。これにより、一次送風機の熱や湿気による劣化が軽減され、一次送風機のメンテナンスを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、各別に形成された環状の噴流発生管を複数個同心状に設けるので、排気口の内径が大きい場合でも、排気口内に十分な量の上向きの空気流を発生させることができるため、塔内の熱交換領域の熱交換率が向上し、しかも、稼働時の騒音発生が抑制される。
また、複数の噴流発生管は各別に形成されているので、排気口の内径の大きさに応じて、複数の噴流発生管を同じ高さに同心状に設置することも、異なる高さに同心状に設置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第一の実施の形態に係るカウンターフロー型冷却塔の一部を破断して示す正面図である。
【
図3】
図2のX−X線に沿った噴流発生管のみの断面図である。
【
図5】第一の実施の形態の別の例を示す平面図である。
【
図6】
図5の噴流発生管の配設構造の一例を示す断面図である。
【
図7】
図5の噴流発生管の配設構造の他例を示す断面図である。
【
図8】本発明の第二の実施の形態に係るクロスフロー型冷却塔の一部を破断して示す正面図である。
【
図10】本発明の他の実施の形態を、蓋を取り外して示す平面図である。
【
図12】従来のカウンターフロー型冷却塔の代表例の一部を破断して示す正面図である。
【
図13】従来のクロスフロー型冷却塔の代表例の一部を破断して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明をカウンターフロー型冷却塔に適用した場合の一例を示す。
図12の部材と同一または相当の部材には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0023】
本発明の第一の実施の形態に係る冷却塔CT3においては、従来のブレード付き送風機および送風機駆動用モータに代えて、ブレードレス送風機B1が取り付けられている。
【0024】
ブレードレス送風機B1は、噴流発生管1を有する。その噴流発生管1には、加圧空気供給源2が接続される。塔体100の排気口107の内側には、噴流発生管1のみが取り付けられる。そして、ブレードレス送風機B1が稼働すると、従来のブレード付き送風機が稼働するときと同様に、塔体100内の上部空間の空気Aが排気口107から上方に吸い出され、塔体100内の上部空間が減圧されるため、外気吸い込み口101から外気Aiが吸い込まれ、充填材103の間を通過して、排気口107から上方に排気される。噴流発生管1は、従来のブレード付き送風機と異なり、ブレードを有しないで、排気口107内で上向きの噴流を発生することにより空気の流れを誘導して、塔体100内の上部空間の空気Aを吸い上げ、排気口107から上方に移動させる。その原理については、後に詳述する。
【0025】
噴流発生管1は、
図2および
図3に示すように、環状に形成されて、中央に開口部Oを有する。また、噴流発生管1は、
図4に例示するように、一枚または複数枚の板で形成され、連続する内壁11と外壁12を有して、内壁11と外壁12によって噴流発生管1の開口部Oの中心軸の周囲に連続する内部通路13が形成されている。
【0026】
内壁11の先端部11aと外壁12の先端部12aは、それぞれ内向きに湾曲され、かつ、外壁12の先端部12aが内壁11の先端部11aの外側面に所定の距離を持って近接されている。そして、両先端部11a,12aの間に開口部Oの中心軸の上部方向に開口する噴出口14が形成されている。噴出口14は、内部通路13側から出口まで徐々に狭くされている。そのため、加圧空気供給源2から内部通路13に供給される加圧空気aは、噴出口14においてさらに圧縮される。これによって、
図4(b)に示すように、噴出口14の出口から開口部Oの中心軸の上部方向に噴出する噴流bが発生する。内壁11の先端部11aの湾曲面およびそれに続く平面11bと、噴出口14の幅、すなわち、両先端部11a,12a間の距離は、噴流bが内壁11の平面11bに沿って層流となって上昇する、コアンダ効果が生じるように設計されている。
【0027】
内壁11の先端部11aはコアンダ表面として作用し、噴出口14はノズルの機能を有するため、内部通路13内の加圧空気aは勢いのある空気流(噴流b)となるように誘導される。
【0028】
図4(b)に示すように、噴流発生管1の噴出口14から上向きの噴流bが発生すると、その噴流bはベルヌーイの法則により噴流発生管1の開口部O内に存在する空気cを引き込み、その空気cを同伴して排気口107から上方に排出される。噴流bに引込まれる空気の量は、噴流bの空気量よりも十数倍も多い。そして、開口部O内を移動する風量は、噴流発生管1の噴出口14からの噴流bと、開口部O内で噴流bにより引き込まれる空気cとの総量となる。また、開口部O内の空気cの同伴により塔内上部空間が減圧されるため、外気取込み口101から吸い込まれて、排気口107から排出される空気量が増幅される。したがって、冷却塔CT3の冷却効率が上昇する。
【0029】
ブレードレス送風機B1を噴流発生管1のみで構成する場合は、その噴流発生管1に加圧空気供給源2を接続して用いられるが、冷却塔の要求冷凍トンにより送風量が異なる加圧空気供給源2が用いられる。したがって、噴流発生管1の加圧空気供給源接続部は送風量が異なる加圧空気供給源2を接続可能にしてある。ブレードレス送風機B1は、噴流発生管1に加圧空気供給源2を予め接続したものとすることもできる。そして、噴流発生管1の加圧空気供給源2が接続される部分には、加圧空気供給源2から内部通路13に供給される加圧空気を、噴流発生管1の接続部分から両側に分岐する内部通路13に均等に分配するための分配器(図示せず)を設けることが良い。
【0030】
加圧空気供給源2は、噴流発生管1に噴流を発生させるため、噴流発生管1に加圧空気を供給するものである。このための加圧空気供給源2としては、冷却塔CT3の冷却能力に必要な塔内送風量を、噴流発生管1からの噴流により生じさせるために必要な加圧空気量を供給できるものが使用される。たとえば、プロペラファン、ターボファン、シロッコファンなど、通常のブレード付き送風機を用いることができる。ブレード付き送風機に代えて、エジェクタ送風機やコンプレッサーを用いることも可能である。
【0031】
加圧空気供給源2は、空気を吸い込んで加圧し、噴流発生管1に供給するが、その空気には塔体100の外側の外気を用いてもよい。しかし、
図1に示すように、塔体100内の上部空間の空気を用いることが好ましい。これにより、塔内の熱交換領域の空気流が促進されるので、熱交換率が向上する利点がある。
【0032】
噴流発生管1からの噴流により塔内上部空間から吸引されて開口部Oに生じる空気の流れは、従来のブレード付き送風機を用いる場合よりも乱流が少なく、層流に近い。しかも、噴流発生管1はブレードを有しない。そのため、排気口107から発生する騒音は非常に少ないか、騒音が発生しない。したがって、付随的効果として、低騒音の冷却塔を提供することができる。
【0033】
また、噴流発生管1からの噴流により開口部Oを流れる風量は、従来のブレード付き送風機を用いる場合よりも増量されるので、加圧空気供給源2には、排気口107において従来用いられていたブレード付き送風機よりも送風能力が小さいものを使用することができる。したがって、冷却塔の設備コストおよび運転コストの低減化も可能である。
【0034】
また、ブレードレス送風機B1の噴流発生管1はブレードを有しない環状である。したがって、作業者は噴流発生管1の開口部から塔内に容易に進入して、塔内の散水アーム102や充填材103などのメンテナンスを安全かつ容易に行うことができる。また、可動部を有する加圧空気供給源2は塔外に設けられるから、加圧空気供給源2のメンテナンスも安全かつ容易に行うことができる。したがって、ブレードレス送風機B1のメンテナンスを安全かつ容易に行うことができる。
【0035】
排気口107に設けられる噴流発生管1はブレードを有しないし、ブレードを有する加圧空気供給源2は塔体100の外側に設置され、ブレードは外側に出ない構造である。したがって、塔内でメンテナンス作業中に誤ってブレードレス送風機B1に電源を入れることがあったとしても、作業者が危険にさらされることはないので、安心してメンテナンス作業を行うことができる。
【0036】
排気口107における排気量が少ない場合は、噴流発生管1を一つ設ければ足りる。しかし、排気口107における排気量が多く、排気口107の径が特に大きい場合は、
図5に示すように、排気口107の中に少なくとも2本の噴流発生管1,1’を同心状に設けるとよい。
【0037】
複数の噴流発生管1,1’を同心状に設ける場合、外側の噴流発生管1と内側の噴流発生管1’を
図6に示すように同じ高さに設けることも、
図7に示すように、外側の噴流発生管1と内側の噴流発生管1’の一方を他方よりも低い位置または高い位置に設けることもできる。いずれの場合も、一つの加圧空気供給源2と二つの噴流発生管1,1’の内部通路13をダクト23または23,23’により結合される。
図5において、24は外側の噴流発生管1と内側の噴流発生管1’を結合する支持部材である。より多い風量を必要とする場合は、加圧空気供給源を噴流発生管の数と同数備えて、加圧空気供給源と噴流発生管を1対1で結合してもよい。
【0038】
図8は、本発明をクロスフロー型冷却塔に適用した場合の一例を示す。
図13の部材と同一または相当の部材には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0039】
本発明の第二の実施の形態に係る冷却塔CT4においては、排気口205に、従来のブレード付き送風機および送風機駆動用モータに代えて、ブレードレス送風機B2が取り付けられている。一般的にクロスフロー型冷却塔CT4における排気量はカウンターフロー型冷却塔CT3における排気量よりも多いので、
図5と
図9を照合すると分かるように、冷却塔CT4には、
図5と同様に、同心状に配設された2本の噴流発生管1,1’が取り付けられている。
【0040】
第二の実施の形態においても、低騒音で、安全性の高いクロスフロー型冷却塔を提供することができる。
【0041】
クロスフロー型冷却塔が特に大型の場合には、天井部に複数個の排気口205を設ける場合がある。このような場合は、各排気口205に
図1,2に示された単一の噴流発生管1を有するブレードレス送風機B1または
図8,9に示された複数の噴流発生管1,1’を有するブレードレス送風機B2を取り付けることができる。また、ブレードレス送風機B1とB2を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0042】
噴流発生管1の平面視形状は、上記の円形に限定されるものではなく、楕円形、長円形または矩形などでもよい。また、一次空気流を供給する加圧空気供給源2を一つの冷却塔に設ける数は、1個に限定されるものではなく、複数個でもよい。
図10は、クロスフロー型冷却塔CT5に設けられたブレードレス送風機B3を例示する横断面図である。この例では、充填材が配置されている面積の小さい熱交換室31に対しては円形の噴流発生管1aが用いられ、充填材が配置されている面積の大きい熱交換室32には長円形の噴流発生管1bが用いられている。また、加圧空気供給源2は、塔内の充填材の間の上部空間の一方側に設置されたボックス33内に取り付けられ、その加圧空気供給源2から加圧空気がダクト34を介して各噴流発生管1a,1bに供給される。より多い送風量が必要な場合は、塔内の上部空間の両側に加圧空気供給源2,2を設けてもよい。上記の実施の形態においては、作業者が噴流発生管1の開口部から塔内に進入することができる場合について説明した。しかし、本発明はメンテナンス作業者が噴流発生管1の開口部から塔内に進入することができるものに限定するものではない。
【0043】
上記実施の形態による効果は、次のとおりである。
(1)安全性の向上
a.冷却塔の排気口には、ブレード等の回転部材が露出していないので、メンテナンス作業時に巻き込まれる事故が起きる可能性がない。したがって、事故防止の効果が得られる。
b.また、冷却塔の排気口には、ブレード等の回転部材が露出していないので、冷却塔内の上部に上って、充填材の藻や汚れの清掃等のメンテナンス作業に危険が伴わない。
c.冷却塔の排気口には、駆動部や回転部材などがないので、部品等が劣化破損して飛散する恐れがない。
(2)メンテナンス上の効果
d.加圧空気供給源の駆動用モータは、排気口の上方に設ける必要がないので、冷却塔での高所作業の割合が減る。
e.加圧空気供給源の駆動用モータは、冷却塔の内部に設けることができるので、天候に関係なくメンテナンスを行うことができる。
f.駆動用モータは、冷却塔の側部外面に設けることができるので、冷却塔の運転中も、修理やメンテナンスを行うことができる。
(3)加圧空気供給源の有効活用
充填材を仕切って複数の区間に分割し、区間ごとに排気口を設け、各排気口に設けた噴流発生管に一つの加圧空気供給源からダクトにより加圧空気を供給することができる。
小分けした区間に加圧空気を分散供給し、各空間に上昇気流を発生させることができるので、冷却効率が上がることから、冷却塔の構造を根本から変えることができる。
(4)その他の効果
既設の冷却塔におけるブレード付送風機をブレードレス送風機に置換するだけで、既設の冷却塔を本発明に係る冷却塔にすることができる。既設の冷却塔のファン、ベアリング整備時などに、安価に短期間で改造が可能である。ブレードレス送風機設置の際に、電圧・電流の増加は必要ないので、既設電気設備の改造は不要である。
噴流発生管からの噴流により排気口からの風量が増え、冷却効率が上がるので、冷却塔を従来よりも小さくすることができる。風量が増えるため、加圧空気供給源のモータを従来よりも小さくすることができる。
排気口から吐出される風は直進性に優れ、ある程度力もあるので、風力発電に利用することもできる。
【符号の説明】
【0044】
CT1,CT2,CT3,CT4 冷却塔
100,200 塔体
101,204 外気取込み口
102,202 散水アーム
103,203 充填材
106 水槽
201 上部水槽
202 下部水槽
107,205 排気口
B1,B2,B3 ブレードレス送風機
1,1a,1b 噴流発生管
O 開口部
11 内壁
11a 内壁の先端部
12 外壁
12a 外壁の先端部
13 内部通路
14 噴出口
2 加圧空気供給源
21 送風機(ブレード付き送風機)
22 モータ