(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された玩具のように、情報保持媒体との間の非接触通信によって情報保持媒体から電子情報を取得し、取得した電子情報に応じて演出を出力するように構成された玩具において、二つの情報保持媒体から電子情報をそれぞれ取得し、取得した二つの電子情報の組み合わせに応じて演出を変化させることにより、演出を多様化して玩具の興趣性を高めることが可能となる。
【0005】
例えばアンテナコイル、及びアンテナコイルを介して情報保持媒体との間で伝達される信号を処理する信号処理回路を二組用いることにより、二つの情報保持媒体から電子情報をそれぞれ取得することが可能である。また、二つのアンテナコイルを一つの信号処理回路に高周波スイッチを介して逐次切り替えて接続することによっても、二つの情報保持媒体から電子情報をそれぞれ取得することが可能である。
【0006】
しかし、アンテナコイル及び信号処理回路を二組用いる場合、及び二つのアンテナコイルを一つの信号処理回路に高周波スイッチを介して逐次切り替えて接続する場合のいずれも消費電力及び製造コストの増加が懸念され、電力及びコストの制約が比較的厳しい玩具には不向きである。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、簡潔な構成によって二つの情報保持媒体から電子情報をそれぞれ取得でき、電力及びコストを抑制可能な非接触通信装置及び玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る非接触通信装置は、電子情報を保持する情報保持媒体との間で無線通信する非接触通信装置であって、アンテナコイルと、前記アンテナコイルを介して前記情報保持媒体との間で伝達される信号を処理する回路が実装された回路基板と、前記アンテナコイル及び前記回路基板を収容した筐体と、電磁遮蔽体と、を備え、前記アンテナコイルは、前記筐体の第1面近傍に配置された第1コイルループ部と、前記筐体の前記第1面とは反対側の第2面近傍に配置された第2コイルループ部と、を有し、前記電磁遮蔽体は、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部を貫く直線上で、かつ、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部の間に配置され、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、前記直線まわりに同じ方向に巻かれ且つ、互いに直列に前記回路に接続されていることを特徴とする。また、本発明に係る非接触通信装置は、電子情報を保持する情報保持媒体との間で無線通信する非接触通信装置であって、アンテナコイルと、前記アンテナコイルを介して前記情報保持媒体との間で伝達される信号を処理する信号処理回路が実装された回路基板と、前記アンテナコイル及び前記回路基板を収容した筐体と、電磁遮蔽体と、を備え、前記アンテナコイルは、前記筐体の第1面近傍に配置され前記信号処理回路に接続された第1コイルループ部と、前記筐体の前記第1面とは反対側の第2面近傍に配置され前記信号処理回路に接続された第2コイルループ部と、を有し、前記信号処理回路は、前記第1コイルループ部を介して前記情報保持体との間で伝達される信号を送受信可能であって、かつ、前記第2コイルループを介して前記情報保持体との間で伝達される信号を送受信可能であって、前記電磁遮蔽体は、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部を貫く直線上で、かつ、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部の間に配置され、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、前記直線まわりに同じ方向に巻かれ且つ、互いに直列に前記信号処理回路に接続されている非接触通信装置。
また、本発明に係る玩具は、通信部、動作部、記憶部、及び制御部を備え、前記通信部は、電子情報を保持する情報保持媒体との間で無線通信する非接触通信装置によって構成され、当該非接触通信装置は、アンテナコイルと、前記アンテナコイルを介して前記情報保持媒体との間で伝達される信号を処理する信号処理回路が実装された回路基板と、前記アンテナコイル及び前記回路基板を収容した筐体と、電磁遮蔽体と、を備え、前記アンテナコイルは、前記筐体の第1面近傍に配置され前記信号処理回路に接続された第1コイルループ部と、前記筐体の前記第1面とは反対側の第2面近傍に配置され前記信号処理回路に接続された第2コイルループ部と、を有し、前記信号処理回路は、前記第1コイルループ部を介して前記情報保持体との間で伝達される信号を送受信可能であって、かつ、前記第2コイルループを介して前記情報保持体との間で伝達される信号を送受信可能であって、前記電磁遮蔽体は、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部を貫く直線上で、かつ、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部の間に配置され、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、前記直線まわりに同じ方向に巻かれ且つ、互いに直列に前記信号処理回路に接続されており、前記記憶部は、前記動作部を動作させるための複数の動作データを前記電子情報に関連付けて記憶しており、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記複数の動作データのうち前記通信部によって取得された前記電子情報に対応する動作データに基づいて前記動作部を動作させ、前記複数の動作データのうち一部の動作データは、二つの前記電子情報の組み合わせに関連付けられており、前記通信部は、二つの前記情報保持媒体が前記筐体の前記第1面及び前記第2面にそれぞれ配置された場合に、二つの前記情報保持媒体それぞれの前記電子情報を取得し、前記制御部は、前記通信部によって二つの前記電子情報が取得された場合に、前記通信部によって取得された二つの前記電子情報の組み合わせに対応する動作データに基づいて前記動作部を動作させるものである。
【0009】
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記電磁遮蔽体は、前記回路基板であってもよい。
【0010】
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、互いに相似なループ形状を有してもよい。
【0011】
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、互いに同一なループ形状を有してもよい。
【0012】
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記第1コイルループ部がその上にある第1平面と、前記第2コイルループ部がその上にある第2平面とは、互いに平行に配置されてもよい。
【0013】
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記第1コイルループ部の中心及び前記第2コイルループ部の中心は、互いに同一軸上に配置されてもよい。
【0014】
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記直線の延長方向視において、前記電磁遮蔽体は、前記第1コイルループ部の内径及び前記第2コイルループ部の内径の内側に配置されてもよい。
【0015】
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記第1コイルループ部の巻き数は、前記第2コイルループ部の巻き数より少なくてもよい。
【0016】
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記筐体の前記第1面には、前記情報保持媒体が装着される装着部が設けられてもよい。
【0017】
また、本発明に係る玩具は、上記非接触通信装置によって構成される通信部と、前記非接触通信装置の前記筐体に収容された、動作部、記憶部、及び制御部と、を備え、前記記憶部は、前記動作部を動作させるための複数の動作データを前記電子情報に関連付けて記憶しており、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記複数の動作データのうち前記通信部によって取得された前記電子情報に対応する動作データに基づいて前記動作部を動作させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る玩具においては、前記複数の動作データのうち一部の動作データは、二つの前記電子情報の組み合わせに関連付けられており、前記通信部は、二つの前記情報保持媒体が前記筐体の前記第1面及び前記第2面にそれぞれ配置された場合に、二つの前記情報保持媒体それぞれの前記電子情報を取得し、前記制御部は、前記通信部によって二つの前記電子情報が取得された場合に、前記通信部によって取得された二つの前記電子情報の組み合わせに対応する動作データに基づいて前記動作部を動作させてもよい。
【0019】
また、本発明に係る玩具においては、前記通信部は、前記情報保持媒体に書き込み可能に構成されており、前記制御部は、前記通信部によって取得された前記電子情報に基づいて前記情報保持媒体に書き込む書き込み情報を生成し、前記通信部によって二つの前記電子情報が取得された場合に、取得された二つの前記電子情報の組み合せに応じて前記書き込み情報を変化させてもよい。
【0020】
また、本発明に係る玩具においては、前記動作部は、音、光、表示、動きの少なくとも一つを含む演出を出力してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡潔な構成によって二つの情報保持媒体から電子情報をそれぞれ取得でき、電力及びコストを抑制可能な非接触通信装置及び玩具を提供することができる。また、本発明によれば、簡潔な構成によって異なる面でも良好に情報保持媒体の電子情報を取得でき、電力及びコストを抑制可能な非接触通信装置及び玩具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。また、図面は、符号の向きに見るものとする。
【0024】
図1及び
図2は、本発明の実施形態を説明するための、非接触通信装置及び玩具の一例を示す。
【0025】
玩具10は、電子情報を保持する情報保持媒体との間で電子情報を授受し、情報保持媒体から取得した電子情報に基づいて動作するものである。
【0026】
玩具10は、筐体11を備えている。筐体11は、例えば箱状をした筐体本体12と、筐体本体12の上側(
図1において上側)を覆う上蓋(第1面)13と、筐体本体12における上蓋13の反対側に設けられた下蓋(第2面)14とを有する。上蓋13の上面は、カバー15で覆われている。上蓋13、下蓋14、及びカバー15は、例えば樹脂などの電磁波透過材料からなる。
【0027】
玩具10は、情報保持媒体との間で無線通信する非接触通信装置20をさらに備える。非接触通信装置20は、アンテナコイル21と、アンテナコイル21を介して情報保持媒体との間で伝達される信号を処理する信号処理回路が実装された回路基板22とを有し、筐体11に収容されている。
【0028】
アンテナコイル21は、第1コイルループ部211と第2コイルループ部212とを有する。第1コイルループ部211は、上蓋13に沿って配置され、第2コイルループ部212は、下蓋14に沿って配置されている。また、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212を貫く直線CL上に設けられた電磁遮蔽体としての回路基板22を間に挟んで配置されている。別言すれば、電磁遮蔽体としての回路基板22は、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212を貫く直線CL上で、かつ、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212の間に配置されている。
【0029】
第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、直線CLまわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に回路基板22の信号処理回路23に接続されている。本例では、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、互いに同一のループ形状を有し、略円形状に形成されている。また、本例では、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は互いに同一軸上に配置され、且つ、第1コイルループ部211がその上にある第1平面と、第2コイルループ部212がその上にある第2平面とは互いに平行に配置されている。
【0030】
図3は、玩具10の機能ブロックを示す。
【0031】
玩具10は、通信部31、動作部32、記憶部33、制御部34、電源部35、及び操作部36を有する。
【0032】
通信部31は、アンテナコイル21及び回路基板22に実装された信号処理回路23を有する非接触通信装置20によって構成され、情報保持媒体100との間で信号を伝達する。動作部32は、スピーカ等の発音体やLED等の発光素子を含み、音及び光の少なくとも一方を含む演出を出力可能に構成されている。記憶部33は、ROM等を含み、動作部32を動作させるための複数の動作データを、情報保持媒体100に保持される電子情報に関連付けて記憶している。なお、動作部32はほかに、表示媒体等による表示体やモータ等による動作機構等も含むことができる。
【0033】
制御部34は、CPUを主体として構成され、通信部31、動作部32、記憶部33を統括して制御する。制御部34は、記憶部33に記憶された複数の動作データのうち、通信部31によって情報保持媒体100から取得される電子情報に対応する動作データに基づいて動作部32を動作させる。
【0034】
電源部35は、通信部31、動作部32、記憶部33、及び制御部34に動作電力を供給する。操作部36は、電源スイッチや、通信部31による通信開始を制御部34に指示するスイッチを含む。
【0035】
玩具10との間で通信する情報保持媒体100は、アンテナコイル101及びIC102を有しており、IC102には電子情報が保持されている。
【0036】
玩具10と情報保持媒体100との間の通信は、以下のようにして行われる。
【0037】
操作部36のスイッチ操作によって通信開始の指示がなされると、玩具10のアンテナコイル21に交流電流が供給され、アンテナコイル21の周囲に交流磁界が形成される。交流磁界に配置された情報保持媒体100のアンテナコイル101には誘導起電力が発生して電流が流れ、アンテナコイル101が接続されたIC102が駆動される。そして、IC102に保持された電子情報に基づいて変調された信号が交流磁界に乗せられて情報保持媒体100のアンテナコイル101から玩具10のアンテナコイル21に送信され、アンテナコイル21にて受信された信号が信号処理回路23によって復調され、電子情報が取り出される。
【0038】
アンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界は、第1コイルループ部211によって形成される交流磁界と、第2コイルループ部212によって形成される交流磁界とが合成されたものである。第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、上記のとおりに、直線CLまわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に回路基板22の信号処理回路23に接続されていることから、第1コイルループ部211によって形成される交流磁界と第2コイルループ部212によって形成される交流磁界との位相は同じであり、互いに増強し合う。
【0039】
ただし、
図2に示したように、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212の間には電磁遮蔽体としての回路基板22が配置されており、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212それぞれの交流磁界の磁束が回路基板22を貫くことにより、回路パターンなどの回路基板22の導体部分に渦電流が生じる。渦電流は回路基板22を貫く磁束と相反する磁束を生じさせ、この渦電流に起因する磁束によってアンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界の強度低下が生じ得る。
【0040】
しかしながら、回路基板22を間に挟んで第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212が配置されていることにより、第1コイルループ部211側及び第2コイルループ部212側のいずれの側でも情報保持媒体100との間の通信に必要な磁界強度を保つことができる。仮に、筐体11の上蓋13近傍に配置される(本実施形態においては、上蓋13に沿って配置される)第1コイルループ部211のみによってアンテナコイル21が構成された場合には、筐体11の下蓋14側では交流磁界の強度が著しく低下して通信不能となる。
【0041】
次に、
図4から
図6を参照して、アンテナコイル21の好ましい構成例について説明する。
【0042】
アンテナコイル21の周囲の交流磁界の磁界強度及び対称性を高める観点から、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、好ましくは、互いに相似なループ形状を有し、さらに好ましくは、
図2に示したように同一のループ形状を有する。
【0043】
例えば、
図4に示す例では、第1コイルループ部211のループ形状は略矩形状であり、第2コイルループ部212のループ形状は略円形状であり、このように第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212のループ形状が互いに異なっていると、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212の重なり合いにおいて、非重畳領域Rが生じる。この非重畳領域Rでは、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212それぞれ交流磁界の相殺が生じ、アンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界の強度低下、つまりは通信感度の低下が生じ得る。また、非重畳領域Rは、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212それぞれの中心軸に関して円対称とはなっておらず、アンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界の対称性の乱れ、つまりは通信感度分布の乱れが生じ得る。
【0044】
第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212を、互いに相似なループ形状とし、さらには同一のループ形状とすることにより、非重畳領域Rを縮小してアンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界の磁界強度及び対称性を高めることができる。
【0045】
また、アンテナコイル21の周囲の交流磁界の磁界強度及び対称性を高める観点から、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、好ましくは互いに平行且つ同一軸上に配置される。
【0046】
例えば、
図5に示す例では、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212それぞれの中心軸が互いに平行を保ってずれており、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212の重なり合いにおいて非重畳領域Rが生じ、上記のとおりアンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界の強度低下及び対称性の乱れが生じ得る。第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212それぞれの中心軸が互いに傾いている場合にも、同様にアンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界の強度低下及び対称性の乱れが生じ得る。
【0047】
第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212を、互いに同一軸上且つ平行に配置することにより、非重畳領域Rを縮小してアンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界の磁界強度及び対称性を高めることができる。
【0048】
また、
図6に示すように、アンテナコイル21の周囲の交流磁界の磁界強度を高める観点から、回路基板22は、好ましくは、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212を貫く直線CL(
図2参照)の延長方向視において、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212の内側に配置される。回路基板22が第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212の内側に配置されることにより、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212の交流磁界の一部の磁束は、回路基板22を貫くことなく、回路基板22の脇を通過でき、アンテナコイル21の周囲の交流磁界の磁界強度を高めることができる。
【0049】
次に、
図7から
図10を参照して、玩具10の使用例について説明する。
【0051】
図7に示す情報保持媒体は略円盤状に形成されたメダル100Aであり、メダル100Aには、アンテナコイル101(
図3参照)及びIC102(
図3参照)が一体とされたタグ103が埋め込まれている。
【0052】
玩具10の上蓋13には、メダル100Aが装着される装着部16が設けられている。装着部16は、並行して延びる一対のガイドレール161を含み、メダル100Aの下面には、一対のガイドレール161に対応した溝104が設けられている。メダル100Aは一対のガイドレール161に導かれて上蓋13の所定位置に配置され、メダル100Aのタグ103は上蓋13近傍に配置されている(本実施例では上蓋13に沿って配置されている)第1コイルループ部211に対して一定の位置関係に配置される。
【0053】
図8(A)に示すように、メダル100Aが装着部16に装着された状態で、玩具10の操作部36(
図3参照)のスイッチ操作によって通信開始の指示がなされると、玩具10の制御部34(
図3参照)は通信部31(
図3参照)を動作させる。通信部31は、アンテナコイル21とメダル100Aのタグ103との間で信号を授受し、タグ103に保持された電子情報を取得する。
【0054】
そして、制御部34は、通信部31によって取得された電子情報に対応する動作データを記憶部33(
図3参照)から読み出し、読み出した動作データに基づいて動作部32(
図3参照)を動作させる。これにより、動作部32から音及び光の少なくとも一方を含む演出が出力される。演出の一例として、メダル100Aにはメダル毎に異なるキャラクタの絵柄が付されており、キャラクタの名称「メダル怪獣」を含む音声が出力される。
【0055】
図8(A)に示す例では、アンテナコイル21の第1コイルループ部211が隣設されている玩具10の上蓋13側にメダル100Aのタグ103が配置されているが、上記のとおり、第2コイルループ部212が隣設されている玩具10の下蓋14側でも通信に必要な磁界強度が保たれていることから、
図8(B)に示すように、下蓋14側にメダル100Aのタグ103が配置された場合にも、通信部31は、アンテナコイル21とメダル100Aのタグ103との間で信号を授受して電子情報を取得可能である。
【0056】
なお、メダル100Aが装着部16に装着されることによって上蓋13側に配置されたメダル100Aのタグ103は、上蓋13に隣設された第1コイルループ部211に対して一定の位置関係に配置される。これに対して、下蓋14にはメダル100Aが装着される装着部が設けられておらず、下蓋14側にはメダル100A以外の種々の形状をした情報保持媒体が配置されることも想定され、下蓋14側に配置された情報保持媒体と下蓋14に隣設された第2コイルループ部212との位置関係は一定しない。このため、下蓋14側の磁界強度を上蓋13側の磁界強度に比べて高くすることが好ましく、第2コイルループ部212の巻き数を相対的に多くすることが好ましい。また、第1コイルループ部211の巻き数を相対的に少なくすることも許される。
【0057】
図9に示す玩具10の使用例は、上記のメダル100Aと、情報保持媒体としての銃を模した副玩具100Bとを共に用いるものである。副玩具100Bには、メダル100Aのタグ103と同様、アンテナコイル及びICが一体とされたタグ105が埋め込まれている。
【0058】
メダル100Aのタグ103が玩具10の上蓋13側に配置され、また副玩具100Bのタグ105が玩具10の下蓋14側に配置された状態で、玩具10の操作部36(
図3参照)のスイッチ操作によって通信開始の指示がなされると、玩具10の制御部34(
図3参照)は通信部31(
図3参照)を動作させる。通信部31は、アンテナコイル21とメダル100Aのタグ103及び副玩具100Bのタグ105との間で信号を授受し、タグ103及びタグ105に保持された電子情報を取得する。具体的には、メダル100A及びタグ103は、玩具10の上蓋13側に隣接された(上蓋13近傍に配置された)第1コイルループ部211に対して一定の位置関係に配置されており、第1コイルループ部211によって通信部31との間でタグ103の信号の授受がされる。また、副玩具100B及びタグ105は、玩具10の下蓋14側に隣接された(下蓋14近傍に配置された)第2コイルループ部212によって通信部31との間でタグ105の信号の授受がされる。なお、RFID(Radio Frequency Identifier)の読み取りにおいて公知のアンチコリジョン技術を適用することにより、タグ103及びタグ105から衝突なく電子情報を取得することができる
【0059】
そして、制御部34は、通信部31によって取得されたタグ103の電子情報及びタグ105の電子情報との組み合わせに対応する動作データを記憶部33(
図3参照)から読み出し、読み出した動作データに基づいて動作部32(
図3参照)を動作させる。これにより、動作部32から音及び光の少なくとも一方を含む演出が出力される。演出の一例として、タグ105を有する副玩具100Bが銃を模したものであるので、メダル100Aに付されたキャラクタの名称「メダル怪獣」に副玩具100Bによる属性「銃使い」が付加されて、「銃使いメダル怪獣」を含む音声が出力される。
【0060】
図10に示す玩具10の使用例は、上記のメダル100Aと、情報保持媒体としての地
図100Cとを共に用いるものである。地
図100Cには、メダル100Aのタグ103と同様、アンテナコイル及びICが一体とされたタグ106が複数埋め込まれている。地
図100Cは図示の例では日本地図であり、タグ106は例えば都道府県毎に設けられている。地
図100Cは平面状であるためメダル100Aが装着される際のような装着部は玩具10に設けられていないことが想定される。したがって、玩具10と地
図100Cのタグ106との位置関係は一定しない。
【0061】
メダル100Aのタグ103が玩具10の上蓋13側に配置され、また地
図100Cのいずれか一つのタグ106が玩具10の下蓋14側に配置された状態で、玩具10の操作部36(
図3参照)のスイッチ操作によって通信開始の指示がなされると、玩具10の制御部34(
図3参照)は通信部31(
図3参照)を動作させる。通信部31は、アンテナコイル21とメダル100Aのタグ103及び地
図100Cのタグ106との間で信号を授受し、タグ103及びタグ106に保持された電子情報を取得する。具体的には、メダル100A及びタグ103は、玩具10の上蓋13側に隣接された(上蓋13近傍に配置された)第1コイルループ部211に対して一定の位置関係に配置されており、第1コイルループ部211によって通信部31との間でタグ103の信号の授受がされる。また、副玩具100B及びタグ106は、玩具10との位置関係が一定しないが、上蓋13側のコイル211に比べて巻き数を多くすることで磁界強度を高くした下蓋14近傍の第2コイルループ部212によって通信部31との間でタグ106の信号の授受がされる。
【0062】
そして、制御部34は、通信部31によって取得されたタグ103の電子情報及びタグ106の電子情報との組み合わせに対応する動作データを記憶部33(
図3参照)から読み出し、読み出した動作データに基づいて動作部32(
図3参照)を動作させる。これにより、動作部32から音及び光の少なくとも一方を含む演出が出力される。演出の一例として、メダル100Aに付されたキャラクタの名称「メダル怪獣」に、地
図100Cのタグ106が配置された都道府県「北海道」のご当地フレーズが付加されて、たとえば「北海道メダル怪獣」を含む音声が出力される。
【0063】
以上、説明したとおり、非接触通信装置20を備える玩具10によれば、一組のアンテナコイル21及び信号処理回路23によって、筐体11の上蓋13側及び下蓋14側に配置された二つの情報保持媒体から電子情報をそれぞれ取得でき、電力及びコストを抑制することができる。そして、取得した二つの電子情報の組み合わせに応じて演出を変化させることにより、演出を多様化して玩具の興趣性を高めることが可能である。
【0064】
ここまで、玩具10が情報保持媒体100のIC102に保持された電子情報を取得する例について説明したが、IC102が書き換え可能に構成され、玩具10がIC102に電子情報を書き込むように構成することもでき、この場合に、玩具10の制御部34が、通信部31によって取得された電子情報に基づいて、IC102に書き込む書き込み情報を生成する。そして、通信部31によって二つの電子情報が取得された場合に、取得された二つの電子情報の組み合せに応じて書き込み情報が変化するようにしてもよい。
【0065】
例えば、
図9に示した玩具10の使用例において、メダル100Aと共に用いられた副玩具100Bの履歴をメダル100Aのタグ103に書き込み、後に玩具10や玩具10以外の外部機器(例えばゲーム筐体や入館システム等)でメダル100Aを使う場合に、メダル100Aの使用履歴に応じて特典を発生させることができる。あるいは、履歴に応じてキャラクタが表示されたり、ゲームの勝率に影響したり、特定の副玩具と通信した履歴が書き込まれたメダル100Aがイベント会場の入場パスとなったり、等が可能になる。そのほか、書き込む電子情報としては、遊んだ回数、キャラクタのプロパティ、ゲーム結果、等を例示することができる。
【解決手段】アンテナコイル21は、筐体11の第1面13に沿って配置された第1コイルループ部211と、筐体11の第2面14に沿って配置された第2コイルループ部212とを有する。そして、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、アンテナコイル21を貫く直線CL上に設けられた電磁遮蔽体22を間に挟んで配置されるとともに、直線CLまわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に回路に接続されている。このため、簡潔な構成によって二つの情報保持媒体100から電子情報をそれぞれ取得でき、電力及びコストを抑制することができる。