(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技機用第一部材における、遊技機用第一部材が前記差込口から差し込まれる際に前記保持部又は前記ガイド部に当接可能である部位には、別途部品が取り付けられていない
請求項2に記載の遊技機用部材の固定構造。
遊技機用第一部材が、正逆回転可能な演出用リールのバックライト用電子基板とされ、遊技機用第二部材が、前記バックライト用電子基板を演出用リール内部に支持するためのベース部材とされた
請求項1〜5いずれかに記載の遊技機用部材の固定構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、係止突起を、遊技機用第一部材の他端側の縁部に係止させるのではなく、遊技機用第一部材に設けられた係止孔に挿通させたうえで、係止孔の周縁部に係止させることが考えられる。仮に、特許文献1に記載されたものと同様の係止突起を、遊技機用第一部材を遊技機用第二部材に対して回動させながら、遊技機用第一部材に設けられた係止孔の周縁部に係止させる構造を採用した場合には、本願図面における
図1の側方断面図に示すような構成となる。
図1においては、遊技機用第一部材100を遊技機用第二部材200に対して回動させる際に、係止孔110の周縁上の点P
1,P
2が通る軌跡を2点鎖線で示している。
図1に示す構成において、係止突起220は、遊技機用第二部材200に直立して設けられた支柱部221と、支柱部221の先端部における一側(
図1における矢印D
1が示す側)に設けられた突起状の係止爪222とを備えたものとなっている。
【0006】
しかし、
図1に示す構造を採用すると、以下の問題が生ずる。すなわち、同構造では、遊技機用第一部材100を遊技機用第二部材200に取り付ける際に、遊技機用第一部材100を矢印α(
図1)の方向に回動させるところ、その途中には、本願図面における
図2に示すように、係止孔110の周縁上の点P
2等が係止爪222等に当接し、支柱部221が他側(
図2における矢印D
2が示す側)に弾性変形した状態となる。しかし、このときに、支柱部221の頂端点P
3等が係止孔110の内周壁等と干渉すると、支柱部221がそれ以上は他側に変位することができず、係止爪222が係止孔110の周縁部に引っ掛かったままとなって遊技機用第一部材100をそれ以上回動させることができなくなる。このため、遊技機用第一部材100を
図1の破線で示す状態まで回動させて遊技機用第二部材200に取り付けることができなくなってしまう。これを回避するためには、係止孔110を一側又は他側に広げることが考えられるが、この場合には、遊技機用第一部材100の強度が低下する虞があることに加え、遊技機用第一部材100に課される設計上の制約が増えてしまう。加えて、係止孔110等、遊技機用部材に設けられた開口部は、その場所によっては不正行為の手掛かりとしても利用されるところ、係止孔110を広げた場合には、このような不正行為を招きやすくなる虞もある。さらに、係止孔110を一側に広げた場合には、係止爪222による遊技機用第一部材100への係止力が弱くなるため、遊技機用第一部材100を遊技機用第二部材200に取り付けた際に、遊技機用第一部材100が遊技機用第二部材200に対してガタつきやすくなってしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、遊技機用第一部材が設置される箇所の周辺に空間的余裕がない場合でも、遊技機用第二部材に対して遊技機用第一部材を固定することができる遊技機用部材の固定構造を提供するものである。また、この遊技機用部材の固定構造を備えた遊技機を提供することも、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、
遊技機用第一部材を遊技機用第二部材に対して固定するための遊技機用部材の固定構造であって、
遊技機用第一部材が係止孔を有する一方、
遊技機用第二部材が、これに遊技機用第一部材が取り付けられる面である取付面に、遊技機用第一部材の一端側を保持させるための保持部と、前記係止孔に挿通させて係止させるための係止突起とを有し、
前記係止突起が、前記取付面から突出する支柱部と、当該支柱部の先端部に形成された係止爪とで構成されて、
前記支柱部が、前記保持部を中心として湾曲又は屈曲した形状とされ
、
前記係止爪が、前記支柱部の先端部から前記取付面に近接する方向に突出して形成され、前記支柱部と前記係止爪との接合部位を中心として弾性的に揺動変位可能とされるとともに、
前記係止爪が、その先端部に、
遊技機用第一部材が遊技機用第二部材に固定された際に、遊技機用第一部材における遊技機用第二部材に対向する面とは逆の面に当接する第一当接部と、
その際に、遊技機用第一部材における前記係止孔の内周壁に当接する第二当接部と
を有して、
遊技機用第一部材が遊技機用第二部材に固定された際には、前記係止爪が揺動変位したことによって生じた弾性力により、第二当接部が遊技機用第一部材を前記保持部に向かって押し付けるようにした
ことを特徴とする遊技機用部材の固定構造
を提供することによって解決される。
【0009】
かかる構成にあっては、遊技機用第一部材が設置される箇所の周辺に空間的余裕がない場合でも、遊技機用第二部材に対して遊技機用第一部材を固定することができる。すなわち、遊技機用第一部材の他端よりも外側に係止突起を設ける空間的余裕がなく、遊技機用第一部材に設けられた係止孔に挿通させた係止突起を、係止孔の周縁部に係止させるようにしたとしても、係止突起の支柱部と遊技機用第一部材における係止孔の周縁部とが干渉することなく、遊技機用第一部材を遊技機用第二部材に取り付けることができる。というのも、本発明の遊技機用部材の固定構造においては、係止突起の支柱部を湾曲又は屈曲させたことにより、遊技機用第一部材の一端側を保持部に保持させた状態で遊技機用第一部材を遊技機用第二部材に対して回動させる際に、当該支柱部等が係止孔の周縁部と干渉しにくくなっているからである。なお、「遊技機用第二部材の取付面」という記載における「面」とは、連続的な面に限定されるものではなく、凹凸や開口部を有する面も含むものとする。
【0011】
そして、かかる構成にあっては、遊技機用第一部材を遊技機用第二部材に固定した際に、遊技機用第一部材を遊技機用第二部材に対してガタつきにくくすること
もできる。というのも、遊技機用第一部材を遊技機用第二部材に固定した際には、遊技機用第一部材が、第一当接部によって、技機用第二部材の取付面に対して略垂直な方向に押さえられるとともに、第二当接部を介して伝達される係止爪の弾性力によって、遊技機用第二部材の取付面に対して略平行な方向にも押し付けられて固定されるようになるからである。
【0012】
上記課題は、
遊技機用第一部材を遊技機用第二部材に対して固定するための遊技機用部材の固定構造であって、
遊技機用第一部材が係止孔を有する一方、
遊技機用第二部材が、これに遊技機用第一部材が取り付けられる面である取付面に、遊技機用第一部材の一端側を保持させるための保持部と、前記係止孔に挿通させて係止させるための係止突起とを有し、
前記係止突起が、前記取付面から突出する支柱部と、当該支柱部の先端部に形成された係止爪とで構成されて、
前記支柱部が、前記保持部を中心として湾曲又は屈曲した形状とされ
、
遊技機用第二部材が、遊技機用第一部材を、遊技機用第二部材に対して、前記取付面に非垂直な方向から差し込むための差込口を有するとともに、前記係止突起が、その先端部において、遊技機用第一部材が前記差込口から差し込まれる際に遊技機用第一部材をガイドするためのガイド部を有する
ことを特徴とする遊技機用部材の固定構造
を提供することによって
も解決される。
【0013】
かかる構成にあっては、
遊技機用第一部材が設置される箇所の周辺に空間的余裕がない場合でも、遊技機用第二部材に対して遊技機用第一部材を固定することができることに加えて、遊技機用第一部材の後方に空間的余裕がなく、遊技機用第一部材を遊技機用第二部材の後方から近づけることが難しい場合であっても、遊技機用第一部材を取付面の後方に位置させることが可能になる。加えて、係止突起の先端部にガイド部を設けたことによって、遊技機用第一部材を遊技機用第二部材の差込口から差し込む際に、遊技機用第一部材をスムーズに差し込むことができる。さらに、遊技機用第一部材の一側端を保持部に当接させたままの状態で、遊技機用第一部材を所定の位置(例えば、後述する位置決め部に遊技機用第一部材が当接する位置)まで差し込むと、係止突起が係止孔に自然に重なって、そのまま係止孔に挿通させることができるため、係止孔の位置決めが簡単になる。
【0014】
本発明の遊技機用部材の固定構造において、前記のように差込口とガイド部とを備える場合には、遊技機用第一部材における、遊技機用第一部材が前記差込口から差し込まれる際に前記保持部又は前記ガイド部に当接可能である部位には、別途部品を取り付けないようにすると好ましい。
【0015】
かかる構成にあっては、遊技機用第一部材に取り付けられた部品が保持部やガイド部等にぶつかって破損又は脱落することを防ぐことができるとともに、遊技機用第一部材をよりスムーズに差し込むことができる。なお、ここで言う部品とは、遊技機用第一部材に取り付けられた際に遊技機用第一部材の表面に凹凸を生じさせるようなもののことを言い、殆ど凹凸を生じさせない基板配線等は含まないものとする。
【0016】
上記課題は、
遊技機用第一部材を遊技機用第二部材に対して固定するための遊技機用部材の固定構造であって、
遊技機用第一部材が係止孔を有する一方、
遊技機用第二部材が、これに遊技機用第一部材が取り付けられる面である取付面に、遊技機用第一部材の一端側を保持させるための保持部と、前記係止孔に挿通させて係止させるための係止突起とを有し、
前記係止突起が、前記取付面から突出する支柱部と、当該支柱部の先端部に形成された係止爪とで構成されて、
前記支柱部が、前記保持部を中心として湾曲又は屈曲した形状とされ
、
遊技機用第二部材が、遊技機用第一部材を、遊技機用第二部材に対して、前記取付面に非垂直な方向から差し込むための差込口を有するとともに、遊技機用第二部材における前記差込口とは反対側に、前記差込口から挿し込まれた遊技機用第一部材に当接させて位置決めをするための位置決め部を有する
ことを特徴とする遊技機用部材の固定構造
を提供することによって
も解決される。
【0017】
かかる構成にあっては、
遊技機用第一部材が設置される箇所の周辺に空間的余裕がない場合でも、遊技機用第二部材に対して遊技機用第一部材を固定することができることに加えて、遊技機用第二部材に対する遊技機用第一部材の位置決めを容易にすることができる。また、遊技機用第一部材に別途部品が取り付けられている場合には、当該部品が破損又は脱落することを防ぐこともできる。というのも、位置決め部を設けたことにより、遊技機用第一部材を遊技機用第二部材に対して一方向からしか差し込むことができなくなるため、遊技機用第一部材が差込口から差し込まれる際に、遊技機用第一部材における遊技機用第二部材に当接する部位を限定することができ、その部位には破損しやすい部品等を設けないようにすることができるからである。
【0018】
本発明の遊技機用部材の固定構造においては、前記支柱部を、一対の柱部と、当該一対の柱部の先端部を繋ぐ梁部とを備えたものとし、前記係止爪を、前記梁部を介して前記支柱部に接続するようにすると好ましい。
【0019】
かかる構成にあっては、係止突起の支柱部と遊技機用第一部材における係止孔の周縁部等とを、より干渉しにくくすることができる。というのも、
図1に示すように、支柱部221に対して係止爪222を直接的に設けていると、
図2に示すように、係止孔110の周縁上の点P
2等が係止爪222に当接し、係止爪222が他側へ変位する際に、支柱部221も係止爪222につられて他側へと変位しやすくなるため、例え支柱部221を湾曲又は屈曲させて形成していたとしても、支柱部221が係止孔110の周縁部等と干渉する虞があるところ、前記のように、梁部を介して係止爪を支柱部に接続することによって、係止爪に加えられた外力が支柱部へと伝わりにくくし、係止爪が係止孔の周縁部等から外力を受けて他側に変位したとしても、支柱部が他側に殆ど変位しないようにすることができるからである。
【0020】
本発明の遊技機用部材の固定構造を遊技機に備える場合には、遊技機用第一部材を、正逆回転可能な演出用リールのバックライト用電子基板とし、遊技機用第二部材を、前記バックライト用電子基板を演出用リール内部に支持するためのベース部材とすることもできる。
【0021】
かかる構成にあっては、本発明の遊技機用部材の固定構造を採用する意義をより高めることができる。というのも、正逆回転可能な演出用リールの内部には、バックライト用電子基板(遊技機用第一部材)やベース部材(遊技機用第二部材)に加えて、演出用リールを回転駆動するためのモータや、演出用リールの基準位置を検出するためのセンサや、演出用リールの回転角度を検出するためのセンサや、これらのセンサに検知させるための遮光片を有するロータリーエンコーダ等の多数の部材が配されるため、バックライト用電子基板が設置される箇所の周辺に空間的余裕がなく、バックライト用電子基板をベース部材に固定することは必ずしも容易ではないところ、本発明の遊技機用部材の固定構造を採用することによって、バックライト用電子基板をベース部材に対して容易に固定することが可能になるからである。
【0022】
ここで、「演出用リール」とは、演出装置として設けられるリールのことを言い、回胴式遊技機に通常3本設けられる遊技用のメインリールとは異なるものである。ここで言う演出用リールは、回胴式遊技機だけではなく、パチンコ遊技機等、他の種類の遊技機においても採用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の遊技機用部材の固定構造について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、説明の便宜上、本発明の遊技機用部材の固定構造を、回胴式遊技機において採用する場合を例に挙げて説明する。しかし、本発明の遊技機用部材の固定構造は、回胴式遊技機において採用する場合に限定されず、パチンコ遊技機等も含む各種の遊技機において採用することができる。以下においては、遊技機を操作する遊技者から見て手前側を「前」、奥側を「後」として説明するが、これら「前」や「後」等、方向を表す語句は、特に断りのない限り、各部の相対的な位置関係を表すために便宜的に用いるものであり、本発明の遊技機用部材の固定構造を使用する向きを限定するものではない。
【0025】
1. 回胴式遊技機
図3は、回胴式遊技機10の正面図である。本実施態様における回胴式遊技機10は、
図3に示すように、メダルを投入するためのメダル投入口11と、メダルを払い出すためのメダル払出口12と、その外周面に図柄が描かれた3本のメインリール13,14,15と、メインリールに並んで設けられた演出用リール16と、映像演出を行うための液晶ディスプレイ17と、照明演出を行うための発光ランプ(図示省略)と、音声演出を行うためのスピ−カー(図示省略)等を備えたものとなっており、操作部として、1遊技当たりの最大枚数(通常3枚)のメダルをベットするためのマックスベットボタン18と、ベットするメダルを1枚ずつ増加するためのシングルベットボタン19と、メインリール13,14,15の回転を開始するためのスタートレバー20と、メインリール13,14,15の回転をそれぞれ停止するための3個のストップボタン21,22,23等を有するものとなっている。
【0026】
回胴式遊技機10では、メダルのクレジット枚数が所定枚数以上となった状態でスタートレバー20が操作されると、役抽選が実行されるとともにメインリール13,14,15が一斉に回転を開始し、ストップボタン21,22,23がそれぞれ操作されると、操作されたストップボタン21,22,23に対応するメインリール13,14,15の回転が停止していき、全てのメインリール13,14,15が停止したときにメインリール窓10aの有効ライン上に表示される図柄の組み合わせが役抽選で当選した役に対応したものとなっていた場合(入賞した場合)に、その役に応じた枚数のメダルが払い出され、メダルのクレジット枚数が上限値に達しているときには、筺体内のホッパーユニット36(
図4を参照)から送出されたメダルがメダル払出口12を通じて払い出されるようになっている。メダルのクレジット枚数は、メダルのクレジット枚数が上限値に達していないときに、メダル投入口11にメダルが投入される、又は、入賞によってメダルが払い出されると増加するようになっている。
【0027】
ところで、演出用リール16は、メインリール13,14,15とは異なり、専ら演出のために用いられるものとなっている。すなわち、回胴式遊技機10においては、前述のような遊技を行っている最中に、「演出」と呼ばれる動作が実行されることがある。演出は、ボーナス等の特定の役への当選若しくは入賞、又はボーナス等の特定の役への当選期待度等、何らかの情報を遊技者に告知するために行われることもあるが、これらとは無関係に、単に遊技者を楽しませるため行われることもある。本実施態様における演出用リール16は、このような演出を行うために設けられている。したがって、演出用リール16は、メインリール13,14,15よりも多彩な動作を行うことができるようになっている。具体的には、演出内容に応じて、逆方向に回転したり、小刻みに往復振動したりすることができるようになっている。
【0028】
図4は、前扉10bを開いた状態の回胴式遊技機10を示した斜視図である。回胴式遊技機10の筺体内には、
図4に示すように、メイン制御基板ユニット30、サブ制御基板ユニット31、液晶ユニット32、電源ユニット33、コネクタユニット34、リールユニット35及びホッパーユニット36等の各種機器が納められている。メイン制御基板ユニット30は、役抽選や入賞判定等、遊技における基本的な制御を行うためのユニットである。サブ制御基板ユニット31は、発光ランプや音声による演出等、遊技における演出に関する制御を行うためのユニットである。液晶ユニット32は、液晶ディスプレイ17(
図3を参照)に表示される映像による演出に関する制御を行うためのユニットである。電源ユニット33は、回胴式遊技機10における各機器に電力を供給するためのユニットである。コネクタユニット34は、特定の機器に接続されたケーブルを仲介するためのユニットである。リールユニット35は、メインリール13,14,15及び演出用リール16を、それぞれ独立して回転駆動するためのユニットである。ホッパーユニット36は、メダル投入口11(
図3を参照)に投入されたメダルを回収するとともに、メイン制御基板ユニット30からの信号に基づいてメダル払出口12(
図3を参照)へメダルを送出するためのユニットである。
【0029】
このように、回胴式遊技機10の前扉10b前面や筐体内には様々な種類の装置や部材が設けられており、これらの装置や部材においては、一の部材が他の部材に対して取り付けられることがある。しかし、これらの装置や部材等の配置関係によっては、空間的な余裕がない箇所が生じることがあり、一の部材を他の部材に対して取り付けることが必ずしも容易ではない場合がある。本発明の遊技機用部材の固定構造は、このような箇所において、一の遊技機用部材(遊技機用第一部材)を他の遊技機用部材(遊技機用第二部材)に対して固定する場合に好適に採用することができるものとなっている。
【0030】
以下においては、本発明の遊技機用部材の固定構造を、演出用リール16の内側に設けられるバックライト基板100(遊技機用第一部材)と、これを固定するためのベース部材200(遊技機用第二部材)とにおいて採用する場合を例に挙げて説明する。しかし、本発明の遊技機用部材の固定構造は、演出用リール16のバックライト基板100とそのベース部材200とにおいて採用する場合に限定されず、遊技機に設けられる各種の装置や部材において採用することができる。
【0031】
2. 演出用リール
図5は、
図4における演出用リール16の前方斜視図である。
図6は、
図4における演出用リール16の後方斜視図である。
図5においては、便宜上、演出用リール16の表示面16aの一部を破断して示している。また、
図5及び
図6においては、バックライト基板100を網掛けハッチングで示している。本実施態様における演出用リール16は、
図6に示すように、図柄(図示省略)を表示するための表示面16aと、表示面16aの一側(
図6におけるx軸方向正側)に放射状に取り付けられた複数のスポーク16bと、スポーク16bの放射中心に設けられたハブ16cと、ハブ16cに接続されて、表示面16aを回転駆動するためのモータ16dと、表示面16aを内側から照らすためのバックライト基板100と、バックライト基板100を表示面16aの内側に支持するためのベース部材200とを備えたものとなっている。バックライト基板100の前面側には、
図5に示すように、発光素子120が設けられている。本実施態様におけるモータ16dには、ステッピングモータを採用している。
【0032】
本実施態様における演出用リール16は、前述したように、正逆いずれの方向にも回転可能なものとなっており、また、小刻みに往復振動させるような動作も行うことができるものとなっているが、このような動作を行う場合には、ステッピングモータであるモータ16dのステップ数の読み取り誤差が生じやすく、当該読み取り誤差が蓄積すると、表示面16aの回転角度が意図した回転角度から大きくずれる虞がある。
【0033】
このため、本実施態様における演出用リール16は、
図6に示すように、表示面16aに伴って回転するロータリーエンコーダ16eと、ロータリーエンコーダ16eに櫛刃状に設けられた遮光片16e
1を検知して表示面16aの回転角度を検出する第一角度センサ16f及び第二角度センサ16gとを備えるとともに、一のスポーク16bの裏側に1箇所だけ設けられた基準位置被検知片16hと、基準位置被検知片16hを検知して表示面16aの基準位置を検出するための基準位置センサ16iとを備えたものとなっている。これにより、表示面16aの回転角度をより正確に検出することができるようになっている。すなわち、第一角度センサ16f及び第二角度センサ16gがロータリーエンコーダ16eの遮光片16e
1を検知することによって、より直接的に表示面16aの回転角度を検出することができるとともに、もし第一角度センサ16f及び第二角度センサ16gによる回転角度検出に誤差が生じた場合であっても、基準位置センサ16iが基準位置被検知片16hを検知する度に表示面16aの正確な基準位置が検出されるため、これらの誤差をすぐに補正することができるようになっている。なお、
図5、
図6及び
図6の拡大図においては、多数の遮光片16e
1のうち1つだけに符号を付している。
図6においては、基準位置被検知片16hにおけるスポーク16bに隠れている部分を破線で示している。
【0034】
加えて、本実施態様における演出用リール16は、ロータリーエンコーダ16eの遮光片16e
1を検知するためのセンサとして第一角度センサ16f及び第二角度センサ16gの2つを備えていることにより、これらのセンサを用いて表示面16aの回転方向も検出することができるものとなっている。すなわち、第一角度センサ16fが遮光片16e
1を検知するタイミングと、第二角度センサ16gが遮光片16e
1を検知するタイミングとがずれるように第一角度センサ16fと第二角度センサ16gとが配置されており、表示面16aが正方向に回転したときと逆方向に回転したときとで第一角度センサ16fと第二角度センサ16gのどちらが先に遮光片16e
1を検知するかが異なるようになっていることで、表示面16aの回転方向を判別することができるようになっている。
【0035】
第一角度センサ16f、第二角度センサ16g及び基準位置センサ16iを設ける位置は、特に限定されず、互いに離れた位置に設けることもできるが、本実施態様においては、センサ用基板16jにまとめて取り付けられている。センサ用基板16jは、後述するように、ベース部材200に取り付けられている。
【0036】
ここで、表示面16aの回転角度をより正確に(間違いが少ない状態で)検出するためには、ロータリーエンコーダ16eに設けられる遮光片16e
1の同士の間隔をある程度広く確保する必要がある。一方、表示面16aの回転角度をより精度良く(高い分解能で)検出するためには、ロータリーエンコーダ16eに設けられる遮光片16e
1の数を多くすると好ましいが、遮光片16e
1の数を多くしすぎると、遮光片16e
1の間隔が狭くなってしまう。そこで、本実施態様においては、ロータリーエンコーダ16eの直径を大きくすることで遮光片16e
1の間隔を確保している。このため、
図6に示すように、遮光片16e
1を検知するための第一角度センサ16f及び第二角度センサ16gを取り付けられたセンサ用基板16jは、バックライト基板100の後方(
図6におけるy軸方向正側)に近接して設けられている。
【0037】
図7は、
図6におけるベース部材200と、これに取り付けられたバックライト基板100及びセンサ用基板16jとを抜き出して示した後方斜視図である。本実施態様においては、
図7に示すように、ベース部材200におけるバックライト基板100が固定される箇所の後方一側に、センサ用基板16jを取り付けるためのセンサ用基板取付部230が設けられている。センサ用基板16jは、前述したように、バックライト基板100の後方に近接して設ける必要があるため、センサ用基板取付部230は、ベース部材200におけるバックライト基板100が固定される箇所の後方に近接して設けられており、バックライト基板100が取り付けられる箇所の後方に空間的余裕がない状態となっている。
【0038】
加えて、
図5に示すように、ベース部材200におけるバックライト基板100よりも前方(
図5におけるy軸方向負側)に位置する部分は、表示面16aの幅よりも外側に出ないように形成する必要があるが、本実施態様におけるバックライト基板100は、
図6に示すように、表示面16aよりも他側(
図6におけるx軸方向負側)にはみ出して設けられるようになっているため、バックライト基板100に係止させるための係止突起を、バックライト基板100の他側端よりも外側に設けることはできないようになっている。そこで、本実施態様においては、ベース部材200とバックライト基板100とに本発明の遊技機用部材の固定構造を採用することで、バックライト基板100の周辺に空間的余裕がなくともバックライト基板100をベース部材200に固定することを可能にしている。以下、本発明の遊技機用部材の固定構造について詳しく説明する。
【0039】
3. 遊技機用部材の固定構造
図8〜10は、バックライト基板100をベース部材200に取り付ける過程を示した斜視図である。
図8は、バックライト基板100をベース部材200の差込口260から差し込む前の状態を示している。
図9は、バックライト基板100をベース部材200の差込口260から差し込んだ後であって、バックライト基板100をベース部材200の取付面240側に向かって回動させる前の状態を示している。
図10は、バックライト基板100の係止孔110にベース部材200の係止突起250を係止させた後の状態を示している。
図8〜10においては、便宜上、ベース部材200におけるセンサ用基板取付部230の周辺部分を破断して示している。また、バックライト基板100の前面(
図8〜10においては、紙面上で裏側となっている面)に設けられた複数の発光素子120を破線で示している。以下においては、
図8に示すバックライト基板100の位置を「差込前位置」と、
図9に示すバックライト基板100の位置を「回動前位置」と、
図10に示すバックライト基板100の位置を「取付位置」と、それぞれ表現することがある。
【0040】
本実施態様におけるバックライト基板100は、
図8に示すように、2箇所の係止孔110と、複数の発光素子120と、ケーブル等を接続するためのコネクタ130とを備えたものとなっている。一方、ベース部材200は、バックライト基板100が取り付けられる面である取付面240に、バックライト基板100の一端側を保持させるための3箇所の保持部210と、係止孔110に挿通させて係止孔110の周縁部に係止させるための2箇所の係止突起250とを備えたものとなっている。係止突起250は、取付面240から後方に突出する支柱部251と、支柱部251の先端から前方に延在する係止爪252と、係止突起250の先端部に設けられたガイド部253とを備えている。バックライト基板100の両面には、図示している発光素子120やコネクタ130等に加えて、図示省略のコンデンサや抵抗素子等の各種の電子部品が取り付けられている。
【0041】
バックライト基板100をベース部材200に取り付ける際には、以下の手順で行う。まず、
図8に示す差込前位置に位置させたバックライト基板100を、矢印βの方向に移動させて、ベース部材200に設けられた差込口260を通じてベース部材200に差し込む。本実施態様において、差込口260の一端側は一の保持部210によって構成されている。このとき、バックライト基板100の前面(
図8においては、紙面上で裏側となっている面)を係止突起250のガイド部253に当接させながらバックライト基板100を移動させることにより、バックライト基板100がベース部材200の他の部位に引っ掛かることを防いで、バックライト基板100をスムーズにベース部材200に差し込むことができるようになっている。
【0042】
バックライト基板100をベース部材200に差し込んでいくと、
図9に示すように、バックライト基板100が回動前位置に達したときに、バックライト基板100が、ベース部材200における差込口260とは反対側に設けられた位置決め部270に当接して止まるようになっている。この状態から、バックライト基板100を、保持部210に保持させたその一端側を中心として
図9における矢印γの方向に回動させる。すると、
図10に示すように、2箇所の係止突起250が2箇所の係止孔110にそれぞれ挿通され、係止爪252が係止孔110の周縁部に係止されて、バックライト基板100がベース部材200に固定される。このとき、後述するように、係止突起250の支柱部251が、保持部210を中心として湾曲して形成されていることで、支柱部251と係止孔110の周縁部とが干渉しにくいようになっている。
【0043】
以上で、ベース部材200へのバックライト基板100の取付が完了する。このように、本実施態様の遊技機用部材の固定構造は、バックライト基板100が固定される箇所の後方及び他側に空間的余裕がなくとも、バックライト基板100をベース部材200に取り付けることができるものとなっている。
【0044】
バックライト基板100は、ベース部材200に対して少なくとも回動前位置と取付位置とに位置することができるようになっていればよく、バックライト基板100を回動前位置に位置させる方法は特に限定されない。しかし、本実施態様のように、バックライト基板100の後方にロータリーエンコーダ16e等が配されていて空間的余裕がない場合には、バックライト基板100をベース部材200の後方から近づけて回動前位置に位置させることが難しい。このため、バックライト基板100は、ベース部材200における取付面240の側方からベース部材200に近づけることで、回動前位置に位置させるようにすると好ましい。具体的には、ベース部材200に、バックライト基板100をベース部材200に対して取付面240の側方から差し込むための差込口260を設けると好ましい。
【0045】
差込口260を設ける箇所は、差込口260から差し込んだバックライト基板100を、ベース部材200の取付面240に略平行に移動させて回動前位置に位置させることができるようになっていれば、特に限定されない。差込口260の周縁部の形状も特に限定されず、連続的なものであっても、断続的なものであってもよい。本実施態様においては、前述したように、差込口260の周縁の一部を保持部210によって構成しており、バックライト基板100の一側端を保持部210に当接させたままの状態でバックライト基板100を移動させることによって、ベース部材200にバックライト基板100を差し込むようになっている。バックライト基板100が設けられる箇所の上側(z軸方向正側)に障害物がある等、ベース部材200に対して上側からバックライト基板100を差し込むことができない場合等には、例えば、差込口260をベース部材200における保持部210の反対側(x軸方向負側)に設けて、保持部210に向かってバックライト基板100を差し込むようにしてもよい。
【0046】
バックライト基板100の両面には、コンデンサや抵抗素子等の各種の部品が取り付けられるが、バックライト基板100における保持部210又はガイド部253等に当接可能な部分には、これらの部品を取り付けないようにすると好ましい。例えば、本実施態様においては、
図8〜10に示すように、バックライト基板100における、バックライト基板100をベース部材200に差し込む際に保持部210やガイド部253等に当接する部分には、発光素子120やコネクタ130を設けないようにしている。これにより、バックライト基板100をベース部材200に差し込む際にこれらの部品の破損や脱落を防ぐことができるとともに、バックライト基板100をよりスムーズにベース部材200に差し込むことができる。
【0047】
ところで、位置決め部270は、前述した通りバックライト基板100をベース部材200に差し込む際にバックライト基板100を位置決めする機能を有しているが、それ以外にも、バックライト基板100をベース部材200に差し込むことができる方向を制限するという機能も有している。すなわち、位置決め部270を設けたことによって、ベース部材200における差込口260とは反対側(位置決め部270がある側)からはバックライト基板100をベース部材200に差し込むことができなくなる。このため、バックライト基板100をベース部材200に差し込む際に、バックライト基板100におけるベース部材200と当接する部位を特定の箇所に限定することができ、当該部位に破損しやすい部品等を設けないようにすることができるようになっている。例えば、本実施態様において、ベース部材200における差込口260とは反対側からバックライト基板100を差し込もうとすると、バックライト基板100に設けられたコネクタ130が、ベース部材200におけるセンサ用基板取付部230の周辺と干渉するため、バックライト基板100をベース部材200に差し込むことができないようになっている。
【0048】
位置決め部270の形状は、バックライト基板100を所望の位置で停止させることができるようになっていれば、特に限定されない。位置決め部270は、バックライト基板100が少なくとも回動前位置にあるときにバックライト基板100の差し込み方向前端側に当接するようになっていればよい。本実施態様における位置決め部270は、
図8に示すように、薄板状に形成している。ただし、バックライト基板100の差し込み方向前端側に位置決め部270が面で当接するようにすると、バックライト基板100が位置決め部270に対してガタつきやすくなる虞がある。このため、本実施態様においては、位置決め部270における、バックライト基板100の差し込み方向前端側の中間部付近に当接する箇所をリブ状に突出させて、位置決め部270が、当該リブ状に突出させた部分において局所的にバックライト基板100に当接するようにしている。なお、前述したように、差込口260をベース部材200における保持部210の反対側に設けて、保持部210に向かってバックライト基板100を差し込むようにする場合等には、保持部210が位置決め部270を兼ねるようにすることもできる。
【0049】
係止爪252の個数は、特に限定されない。係止孔110の個数も特に限定されないが、通常係止爪252の個数と同じとされる。係止爪252及び係止孔110は、それぞれ1つずつ設けるようにしてもよいが、複数個ずつ設けると、バックライト基板100をより安定してベース部材200に固定することができるため好ましい。しかし、係止爪252を設ける数を多くしすぎると、ベース部材200における取付面240の構造が複雑化する虞がある。また、係止孔110を設ける数を多くしすぎると、バックライト基板100の強度が低下する虞がある。このため、係止爪252及び係止孔110を設ける数は、10個ずつ以下とすると好ましく、5個ずつ以下とするとより好ましい。本実施態様においては、2個ずつとしている。
【0050】
係止孔110は、係止突起250を挿通させることが可能であり、その周縁部に係止爪252を係止させることができるものであれば、その大きさや形状を特に限定されない。しかし、係止孔110を大きくしすぎると、バックライト基板100の強度が低下する虞があるだけでなく、バックライト基板100上における部品を設置できる箇所が少なくなってしまう。加えて、バックライト基板100を設ける箇所によっては、前述したように、不正行為を招きやすくなってしまう虞もある。このため、係止孔110は、係止突起250の外周に沿った形状とし、係止突起250との間に大きな隙間を生じない大きさとすると好ましい。本実施態様における係止孔110は、
図8等に示すように、係止突起250の外周に沿った長穴状となっている。既に述べたように、支柱部251を
図1に示すように直立して形成した場合には、支柱部251と係止孔110の周縁部等とが干渉しやすくなってしまうため、係止孔110を広げなければ係止突起250を係止孔110に挿通することができなかったところ、本発明の遊技機用部材の固定構造においては、支柱部251を湾曲又は屈曲させて形成したことにより、支柱部251を係止孔110の周縁部等と干渉しにくくして、係止孔110を小さくすることができるようになっている。
【0051】
取付面240の形状は、バックライト基板100を安定して取り付けることができるものであれば特に限定されない。取付面240は、前述したように、連続的な面とすることもできるが、凹凸や開口部を有する面としてもよい。本実施態様における取付面240は、
図8に示すように、2箇所の橋状部241によって隔てられた3箇所の開口部を有しており、当該開口部の周縁部に当接リブ242を備えたものとなっている。これにより、取付面240が、バックライト基板100の前面に対して面ではなく線で当接するようになるため、ベース部材200やバックライト基板100に成形誤差がある場合や、ベース部材200とバックライト基板100とに組み付け誤差がある場合でも、バックライト基板100が取付面240に取り付けられた際にバックライト基板100に歪みや撓みが生じにくいようになっている。
【0052】
保持部210の形状は、バックライト基板100の一端側を安定に保持することができ、当該一端側を中心としてバックライト基板100を回動させることができるようになっていれば、特に限定されない。保持部210は、取付面240に1箇所だけ設けてもよいが、複数箇所設けると、より安定してバックライト基板100を保持することができる。
【0053】
バックライト基板100の素材は、特に限定されず、一般的に電子基板に採用される各種の素材を採用することができる。本実施態様におけるバックライト基板100は、樹脂製としている。一方、本発明の遊技機用部材の固定構造において、遊技機用第一部材を電子基板以外の部材とする場合には、遊技機用第一部材を形成する素材はその目的に応じて適宜選択可能であり、例えば、樹脂や金属等とすることができる。ベース部材200の素材も特に限定されないが、後述するように、ベース部材200の係止突起250における係止爪252を弾性的に揺動変位可能とする場合には、揺動変位した係止爪252にある程度の弾性力を生じさせる必要があるため、ベース部材200は、ある程度大きい剛性を有する弾性変形可能な素材とすると好ましい。本実施態様におけるベース部材200は、樹脂製としている。
【0054】
3.1 係止突起
以下、本実施態様における係止突起250について、より詳しく説明する。
図11は、本発明における係止突起250の三面図である。
図11(b)は、係止突起250を保持部210側から見た正面図であり、
図11(a)及び
図11(c)は、それぞれ、
図11(b)の正面図に対応する平面図及び側面図である。
図11において、ベース部材200における係止突起250以外の部分は破線で表示している。
【0055】
本実施態様における係止突起250は、
図11に示すように、支柱部251と、係止爪252と、ガイド部253とを備えている。支柱部251は、一対の柱部251aと、一対の柱部251aの先端部を繋ぐ梁部251bとで構成されており、係止爪252は梁部251bに設けられている。一対の柱部251aは、保持部210(
図8を参照。)がある箇所を中心として、保持部210側に向かって略円弧状に湾曲している。係止爪252の先端部は、
図11(c)に示すように、第一当接部252aと第二当接部252bとを備えた段差構造を有している。
【0056】
図12〜14は、バックライト基板をベース部材に取り付ける過程において、係止突起250を係止孔110に挿通させて係止孔110の周縁部に係止させる過程を模式的に示した側方断面図である。
図12は、係止突起250が係止孔110に挿通される前の状態を示している。
図13は、係止突起250が係止孔110に挿通される途中の状態を示している。
図14は、係止突起250が係止孔110の周縁部に係止された状態を示している。
図12〜14においては、
図11における面A−Aに相当する位置の断面図を表示している。本実施態様の遊技機用部材の固定構造における保持部210は面A−Aが通る位置にはないが、説明の便宜上、保持部210も面A−Aが通る位置にあるものとして表示している。また、係止爪252も、面A−Aが通る位置にはないが、紙面奥側に表示しており、支柱部251に隠れている部分は破線で示している。
【0057】
係止突起250を係止孔110に挿通させてから、係止孔110の周縁部に係止させるまでの過程は以下のようになっている。まず、
図12に示す回動前位置にあるバックライト基板100を
図12の矢印δの方向に回動させると、係止突起250が係止孔110に挿通される。このとき、支柱部251が保持部210側に向かって湾曲した形状となっていることで、支柱部251が係止孔110の周縁部等と干渉することを防ぐことができるようになっている。支柱部251は、係止孔110の周縁部等と干渉しないように湾曲していれば、その具体的な湾曲形状を特に限定されない。支柱部251は、その一側(
図1における矢印D
1が示す側)の面又は他側(
図1における矢印D
2が示す側)の面における少なくとも一部が、バックライト基板100を回動させる際に係止孔110の周縁部が通る軌跡(円弧面)と同心の円弧面状となるようにすると、係止孔110をより小さくすることができるため好ましい。本実施態様における支柱部251は、
図12に示すように、その一側の面が、係止孔110の一側の縁部(点P
2を通り紙面に垂直な面)が通る軌跡(円弧面)と同心の円弧面状となっており、その他側の面が、係止孔110の他側の縁部(点P
1を通り紙面に垂直な面)が通る軌跡(円弧面)と同心の円弧面状となっている。
【0058】
バックライト基板100をさらに矢印δの方向に回動させると、
図13に示すように、係止孔110の周縁上の点P
2が係止爪252に当接する。すると、係止爪252が、その根元付近を中心として他側方向(
図13における矢印D
2が示す方向)に弾性的に揺動変位する。係止爪252は、
図11に示すように、支柱部251における梁部251bに設けられているため、点P
2等に押されて揺動変位した際には、一対の柱部251aに挟まれた箇所に収まるようになっている。これにより、係止爪252が揺動変位した際にも、支柱部251が係止爪252につられて他側に変位することを防いで、支柱部251が係止孔110の周縁部等により干渉しにくいようになっている。
【0059】
図13に示す状態から、バックライト基板100を
図13の矢印δの方向にさらに回動させると、
図14に示す取付位置に達する。すると、
図14の拡大図に示すように、係止爪252の先端に設けられた第一当接部252aが、バックライト基板100の後面(ベース部材200に対向する面とは逆の面)に当接するとともに、第二当接部252bが、係止孔110の内周壁110aに当接する。このとき係止爪252は、
図13に示す状態よりは一側(
図14における矢印D
1が示す方向)に復帰しているものの、
図12に示す状態(初期状態)よりは他側に変位した状態となっている。このため、係止爪252には弾性力が生じており、第二当接部252bが係止孔110の内周壁110aを矢印F
1の方向に押し付けるようになっている。すなわち、バックライト基板100が取付位置に達すると、バックライト基板100が、第一当接部252aによって取付面240のある方向に押さえられるとともに、第二当接部252bによって、保持部210のある方向にも押し付けられて固定されるようになる。これにより、バックライト基板100をベース部材200に対してガタつきにくい状態で固定することができるようになっている。以上で、係止突起250の、係止孔110の周縁部への係止が完了する。
【0060】
係止爪252は、その形状を特に限定されず、
図1に示す係止爪222と同様に、短い突起状とすることもできるが、この場合には、係止突起250を係止孔110に挿通して係止させる過程において、係止孔110の周縁上の点P
2が係止爪252に当接した際に、係止爪252と共に支柱部251も他側に変位するようになるため、支柱部251と係止孔110の周縁部等とが干渉しやすくなってしまう。このため、本実施態様において、係止爪252は、
図12に示すように、支柱部251の先端部から取付面240に近接する方向に突出して形成している。これにより、係止孔110の周縁上の点P
2が係止爪252に当接した際に、係止爪252が、支柱部251とは独立して揺動変位しやすくし、支柱部251が係止爪252につられて他側に変位しにくくすることができる。
【0061】
係止爪252における、第一当接部252a及び第二当接部252b(係止孔110の周縁部に係止させる部位)を設ける箇所は、特に限定されず、係止爪252の根元付近(支柱部251との接合部付近)としてもよいが、本実施態様においては係止爪252の先端部としている。これにより、係止爪252に生じた弾性力(反発力)をより効果的に利用することができ、第二当接部252bがバックライト基板100を保持部210のある方向によりしっかりと押し付けることができるようになっている。
【0062】
支柱部251は、湾曲又は屈曲した1本の柱状の部材としてもよいが、この場合には、係止爪252が弾性的に揺動変位した際に、係止爪252を退避させる場所が確保しにくいため、支柱部251もつられて他側に変位しやすくなり、支柱部251が係止孔110の周縁部等と干渉しやすくなる虞がある。このため、支柱部251は、一対の柱部251aを有し、その間に揺動変位した係止爪252が収まるようにすると好ましい。この場合、一対の柱部251aは、支柱部251全体が逆U字状になるようにその先端部を直接的に繋げてもよいが、本実施態様においては、一対の柱部251aの先端部間に直線状の梁部251bを設けて、梁部251bの略中央部分に係止爪252を設けるようにしている。これにより、梁部251bの先端部に設けたガイド部253がバックライト基板100の前面に線状に接触するようにして、バックライト基板100をより安定してガイドすることができるようになっている。
【0063】
4. 係止突起の応用例
以下においては、上で述べた遊技機用部材の固定構造において採用されている係止突起250の構成を係止ピン300に応用する場合について説明する。
図15は、本発明の遊技機用部材の固定構造における係止突起250の構成を応用した係止ピン300を、被係止部材400に係止させた状態を示す側方断面図である。係止ピン300は、
図15に示すように、平板状の頭部310と、頭部310から延在する支柱部320と、支柱部320の先端に設けられた一対の係止爪330とを備えたものとなっており、被係止部材400の係止孔410に矢印εの向きに挿通させて、係止爪330を係止孔410の周縁部に係止させることにより、被係止部材400に固定することができるものとなっている。以下においては、
図15の紙面上で上側となっている方向を上、その逆を下として説明するが、これら「上」や「下」等、方向を表す語句は、特に断りのない限り、各部の相対的な位置関係を表すために便宜的に用いるものであり、係止ピン300を使用する向きを限定するものではない。
【0064】
一対の係止爪330の先端部には、それぞれ、上で述べた遊技機用部材の固定構造における係止爪252と同様に、係止ピン300が被係止部材400に固定された際に被係止部材400の上面に当接させるための第一当接部331と、その際に係止孔410の内周壁411に当接させるための第二当接部332とが設けられている。係止ピン300を係止孔410に挿通させる過程において、一対の係止爪330は、上で述べた遊技機用部材の固定構造における係止爪252と同様に、係止孔410の周縁上の点P
4,P
5等に当接して支柱部320側へ弾性的に揺動変位するようになっている。これにより、一対の係止爪330に弾性力(反発力)が生じ、係止ピン300が被係止部材400に固定された際には、第二当接部332が係止孔410の内周壁411に対して、矢印F
2の方向に押し付けられるようになっている。加えて、係止ピン300が被係止部材400に固定された際には、
図15に示すように、頭部310の裏面と第一当接部331とによって被係止部材400が上下から挟まれるようになる。これにより、係止ピン300を、被係止部材400の上面に対して略垂直な方向にも略平行な方向にもしっかりと固定して、係止孔410から抜けにくい状態とすることができるようになっている。
【0065】
係止ピン300は、その用途を特に限定されず、遊技機に設けられる各種の部材(例えば、基板ケース)に設けられた開口部を塞ぐためや、被係止部材400を上下に重なった2以上の部材として、これらの部材を結合するため等に用いることができる。係止ピン300を用いる箇所が、不正アクセスを防止する必要がある部位である場合等には、
図15に示すように、支柱部320の一部にくびれ部321を設けると好ましい。これにより、係止ピン300を不正に取り外そうとした場合に、支柱部320がくびれ部321で折れやすいようにすることができ、くびれ部321が折れた場合には、係止ピン300における係止爪330部分のみが係止孔410の上面側に残るようにして、不正の痕跡を残しつつ係止孔410を塞がれたままの状態とすることができる。
遊技機用第一部材100を遊技機用第二部材200に対して固定するための遊技機用部材の固定構造において、遊技機用第一部材100に係止孔110を備える一方、遊技機用第二部材200の取付面240に、遊技機用第一部材100の一端側を保持させるための保持部210と、係止孔110に挿通させて係止させるための係止突起250とを備えて、係止突起250を、取付面240から突出する支柱部251と、支柱部251の先端部に形成された係止爪252とで構成し、支柱部251を、保持部210を中心として湾曲又は屈曲した形状とすることによって、係止突起250を係止孔110に挿通させる際に係止突起250の支柱部251と係止孔110の周縁部等とが干渉しないようにした。