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特許6145215ライフログクラウドシステム、ライフログクラウドシステムの制御方法、ライフログ制御方法、プログラム、記録媒体、クラウドサーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6145215
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】ライフログクラウドシステム、ライフログクラウドシステムの制御方法、ライフログ制御方法、プログラム、記録媒体、クラウドサーバ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20170529BHJP
【FI】
   G06Q50/10ZIT
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-506397(P2016-506397)
(86)(22)【出願日】2015年8月19日
(86)【国際出願番号】JP2015073238
【審査請求日】2016年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 豊久
(72)【発明者】
【氏名】木村 英志
【審査官】 佐藤 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−16216(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/061415(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/032579(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと、サーバシステムからなり、
前記センサは、同一人が使い回すことができる複数のセンサを含み、
前記サーバシステムは、通信装置、記憶装置、処理装置を含み、
前記通信装置は、前記センサとの間でデータ通信を行う通信部を含み、
前記記憶装置は、少なくとも端末・ユーザテーブル、ライフログ、判定ロジックを記憶する記録部を含み、
前記端末・ユーザテーブルは、前記複数のセンサの識別子とユーザの識別子の対応情報を含み、
前記ライフログは、ユーザごとの時系列のセンサ情報を含み、
前記判定ロジックは、前記ライフログに書き込む上書き条件の記述を含み、
前記処理装置は、少なくとも判定部、登録部を含み、
前記複数のセンサを取り換えて装着した場合、
前記判定部は、前記判定ロジックの上書き条件と前記センサから入力したデータを参照し、当該センサデータを前記ライフログに上書きで書き込むか否かを判定し、
前記登録部は、前記判定部にて、前記判定ロジックの上書き条件を満たしたとき、前記センサデータを、前記端末・ユーザテーブルを参照して前記ライフログに1レコードとして時系列に書き込む処理を行うことを特徴とする
ライフログクラウドシステム。
【請求項2】
請求項1記載のライフログクラウドシステムにおいて、
前記判定ロジックは、前記ライフログに書き込む上書き条件としては、ユーザが前記センサを装着していたことを推定するに足りる条件を含み、
前記判定部は、前記センサ情報に含まれる時刻ごとに各時刻に対応する前記センサデータを前記ライフログに上書きで書き込むか否かを判定し、
前記登録部は、前記判定部で、前記判定ロジックの上書き条件を満たし、前記センサデータを、前記端末・ユーザテーブルを参照して前記ライフログに書き込むとき、当該書込み時刻のセンサデータを前記ライフログに上書きで書き込み、
前記判定ロジックの上書き条件を満たしていないときには、当該書込み時刻の前記センサデータの前記ライフログへの上書きでの書き込みを阻止して飛ばす
ことを特徴とするライフログクラウドシステム。
【請求項3】
請求項1又は2記載のライフログクラウドシステムにおいて、
前記登録部は、更に前記センサから得た日時より粗い粒度の時間帯を算出し、当該時間帯のライフログに対して、前記センサデータの書き込み実施を行うことを特徴とするライフログクラウドシステム。
【請求項4】
センサと、サーバシステムからなり、
前記センサは、同一人が使い回すことができる複数のセンサを含み、
前記サーバシステムは、通信装置、記憶装置、処理装置を含み、
前記センサとの間でデータ通信を行う通信部を含み、
前記記憶装置は、少なくとも端末・ユーザテーブル、ライフログ、判定ロジックを記憶する記録部を含み、
前記端末・ユーザテーブルは、前記複数のセンサの識別子とユーザの識別子の対応情報を含み、
前記ライフログは、ユーザごとの時系列のセンサ情報を含み、
前記判定ロジックは、前記ライフログに書き込む上書き条件の記述を含み、
ライフログクラウドシステムの制御方法であって、
前記処理装置は、
前記複数のセンサを取り換えて装着した場合、
前記判定ロジックの上書き条件と前記センサから入力したデータを参照し、当該データを前記ライフログに上書きで書き込むか否かを判定するステップ、
前記判定するステップにて、前記判定ロジックの上書き条件を満たしたとき、前記センサデータを、前記端末・ユーザテーブルを参照して前記ライフログに1レコードとして時系列に書き込むステップ、
を含むことを特徴とするライフログクラウドシステムの制御方法。
【請求項5】
請求項4記載のライフログクラウドシステムの制御方法において、
前記処理装置は、更に前記センサから得た日時より粗い粒度の時間帯を算出するステップ、
前記時間帯のライフログに対して前記センサデータの書き込み実施するステップ、を含む
ことを特徴とするライフログクラウドシステムの制御方法。
【請求項6】
同一人が使い回すことができる複数のウェアラブルセンサにより計測したセンサデータを受信し、当該センサデータをライフログに記憶するライフログ制御方法であって、
複数のセンサを取り換えて装着した場合、
前記ウェアラブルセンサとのセンサの識別子とユーザの識別子の対応情報を含む端末・ユーザテーブルを保持するステップと、
ユーザごとの時系列のセンサデータを含むライフログを保持するステップと、
前記ライフログに上書き条件の記述を含む判定ロジックを保持するステップと、
前記センサデータを、前記判定ロジックの上書き条件を元に前記ライフログに上書きで書き込むか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにて、前記判定ロジックの上書き条件を満たしたとき、前記センサデータを、前記端末・ユーザテーブルを参照して前記ライフログに1レコードとして時系列に書き込むステップと、
を含むことを特徴とするライフログ制御方法。
【請求項7】
請求項6記載のライフログ制御方法において、
前記判定ロジックは、前記ライフログに上書き条件としては、ユーザが前記センサを装着していたことを推定するに足りる条件を含み、
前記判定するステップは、前記センサ情報に含まれる時刻ごとに各時刻に対応する前記センサデータを前記ライフログに上書きで書き込むか否かを判定する判定処理ステップを含み、
前記上書きで書き込むステップは、前記判定するステップで、前記判定ロジックの上書き条件を満たし、前記センサデータを、前記端末・ユーザテーブルを参照して前記ライフログに書き込むとき、当該書込み時刻のセンサデータを前記ライフログに上書きで書き込み、
前記判定ロジックの上書き条件を満たしていないときには、当該書込み時刻の前記センサデータの前記ライフログへの上書きでの書き込みを阻止して飛ばす
ことを特徴とするライフログ制御方法。
【請求項8】
請求項5乃至6記載の何れか1つに記載されたライフログの制御方法において、前記各ステップを実行可能な形式にてコンピュータで実行するプログラム。
【請求項9】
同一人が使い回すことができる複数のウェアラブルセンサにより計測したセンサデータを受信し、当該センサデータをライフログに記憶するライフログシステムに以下のステップを実行させるプログラム。
前記複数のウェアラブルセンサを取り換えて装着した場合、
前記ウェアラブルセンサとのセンサの識別子とユーザの識別子の対応情報を含む端末・ユーザテーブルを保持するステップ、
ユーザごとの時系列のセンサデータを含むライフログを保持するステップ、
前記ライフログに書き込む上書き条件の記述を含む判定ロジックを保持するステップ、
前記センサデータを、前記判定ロジックの書き込む上書き条件を元に前記ライフログに上書きで書き込むか否かを判定するステップ、
前記判定するステップにて、前記判定ロジックの上書き条件を満たしたとき、前記センサデータを、前記端末・ユーザテーブルを参照して前記ライフログに1レコードとして時系列に書き込むステップ。
【請求項10】
同一人が使い回すことができる複数のセンサとサーバシステムからなり、
前記サーバシステムは、通信装置、記憶装置、処理装置を含み、
前記記憶装置は、少なくとも端末・ユーザテーブル、ライフログ、判定ロジックを記憶する記録部を含み、
前記端末・ユーザテーブルは、前記複数のセンサの識別子とユーザの識別子の対応情報を含み、
前記ライフログは、ユーザごとの時系列のセンサ情報を含み、
前記判定ロジックは、前記ライフログに書き込む上書き条件の記述を含み、
前記複数のセンサと前記クラウドサーバとの間において、前記通信装置を介してデータの通信を行うライフログシステムをコンピュータによって実現するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記複数のセンサを取り換えて装着した場合、
前記判定ロジックの上書き条件と前記センサからのデータを参照し、当該データをライフログに上書きで書き込むか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにて、前記判定ロジックの上書き条件を満たしたとき、前記センサからのデータを、前記端末・ユーザテーブルを参照して前記ライフログに1レコードとして時系列に書き込むステップと、
をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
複数のウェアラブルセンサからユーザの生活状態に関するデータを受信するサーバシステムにおいて、
通信装置、記憶装置、処理装置を含み、
前記通信装置は、前記センサとの間でデータ通信を行う通信部を含み、
前記記憶装置は、少なくとも端末・ユーザテーブル、ライフログ、判定ロジックを記憶する記録部を含み、
前記端末・ユーザテーブルは、前記複数のセンサの識別子とユーザの識別子の対応情報を含み、
前記ライフログは、ユーザごとの時系列のセンサ情報を含み、
前記判定ロジックは、前記ライフログに書き込む上書き条件の記述を含み、
前記処理装置は、少なくとも判定部、登録部を含み、
前記複数のウェアラブルセンサを取り換えて装着した場合、
前記判定部は、前記判定ロジックの上書き条件と前記センサから入力したデータを参照し、当該データを前記ライフログに上書きで書き込むか否かを判定し、
前記登録部は、前記判定部にて、前記判定ロジックの上書き条件を満たしたとき、前記センサからのデータを、前記端末・ユーザテーブルを参照して前記ライフログに1レコードとして時系列に書き込む処理を行うことを特徴とする
サーバシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライフログクラウドシステムに関し、更に詳しくは、身体や衣服に装着して使用するウェアラブルセンサにより各個人の生活履歴や運動履歴、また身体計測量、などを含むデータ、例えば、ユーザの生活状態に関するデータを計測し、当該データを個人のライフログデータとして管理、利活用するライフログクラウドシステム、ライフログクラウドシステムの制御方法、ライフログ制御方法、プログラム、記録媒体、クラウドサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
斯様なウェアラブルセンサを用いて、個人の生活履歴、運動履歴や身体計測量を計測し、個人のライフログデータとして管理、利活用するシステムは、市場に出回っている。また、運動状態を示すデータを計測し、日常の生活に密着して生活パターンの改善や、適切な摂取カロリー量を把握可能とするため、特開2005−205167号公報(特許文献1)に記載の技術がある。
この公報には、日常の生活パターンに生活活動適正化のアドバイスを被測定対象者にリアルタイムに自動的提示可能な運動状態センシングシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−205167号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシステムによれば、生活活動適正化のアドバイスにより、「日常の生活に密着して生活パターンの改善や、適切な摂取カロリー量を把握可能」となる効果を奏する。
【0005】
しかし、その反面、以下のような課題がある。
あるユーザが複数の用途別センサを用意し、ある計測値、例えば加速度を計測する場合であって、ユーザが途中でセンサを取り換え、後で複数のセンサのデータをまとめてサーバやクラウドに通信するケースでは、時刻ごとにどのセンサのデータが採用されるべきかが不定となる。
例えば、あるユーザが、普段使用している通常用センサ1、睡眠時にも計測できるセンサ2、水泳時にも計測できる防水用センサ3と、3つのウェアラブルの加速度センサを時間、場所や用途ごとに取り換えながら使いこなし、一日の適当なタイミングでセンサ1、センサ2、センサ3の順にデータをクラウド側にアップロードするケースを考える。
このとき、それぞれの時刻でセンサ1〜3のどのセンサのデータを採用するかは何らかの取り決めが必要である。例えば、最初にアップロードされたセンサ1のデータが採用されて、それ以降のセンサ2やセンサ3からアップロードされたデータが無効とされるという実施の方法や、あるいは、最後にアップロードされたセンサ3のデータが有効でそれより以前にアップロードされていたデータは上書きされるという実施の方法があり得る。
この二つの方法は、もちろん予めそのように設定しておかなければならないし、例えそのように設定したとしても、上記の二つの方法いずれにおいても、「ある部分だけあるセンサのデータを使い、それ以外の部分では別のセンサを使う」ということはできない。また、結果がアップロードの順序に依存してしまうことになる。
センサを衣服や身体に身に着けて使用するウェアラブルセンサが市場に多数出回り、それらを時計のようにTPO(ティーピーオー:Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)に応じたセンサの使い分け)や生活シーンや活動内容に応じて任意に取り換えて、それぞれの該当する時刻のデータを適切にデータとして管理したいというニーズに対して、上述したような従来技術では十分に応えられない。
【0006】
そこで、本発明では、ユーザが複数のセンサを取り換えて使用するとき、どの時間帯ではどのセンサのデータを当該ユーザのデータとして採用するかを管理し、ユーザがどのセンサをどの時刻に使っていたかをいちいち陽に教えなくとも、ライフログとして適切で一貫したデータを利活用できるようにすることを目的とする。
ここで、ユーザがどのセンサをどの時刻に使っていたかをいちいち陽に教えなくともとは、例えば、「何年何月何日の時刻10:46〜11:00まではセンサ1a」である旨をユーザがシステムに教えなくても、システム側にてユーザが使っていたセンサを推定して知り得るようにすることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、代表的な本発明のライフログクラウドシステム、ライフログクラウドシステムの制御方法、ライフログ制御方法、プログラム、記録媒体、クラウドサーバ、の一つは、
センサと、サーバシステムからなり、
前記センサは、同一人が使い回すことができる複数のセンサを含み、
前記サーバシステムは、通信装置、入出力装置、記憶装置、処理装置を含み、
前記記憶装置は、少なくとも端末・ユーザテーブル、ライフログ、判定ロジックを記憶する記録部を含み、
前記端末・ユーザテーブルは、前記複数のセンサの識別子とユーザの識別子の対応情報を含み、
前記ライフログは、ユーザごとの時系列のセンサ情報を含み、
前記判定ロジックは、前記ライフログに書き込む条件の記述を含み、
前記処理装置は、少なくとも判定部、登録部を含み、
前記判定部は、前記判定ロジックと前記センサから入力したデータを参照してこれを前記ライフログに書き込むか否かを判定し、
前記登録部は、前記判定部にて、前記判定ロジックの書き込み条件を満たしたとき、前記端末・ユーザテーブルを参照し、前記ライフログに書き込む処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが複数のウェアラブルセンサを取り換えて装着する場合に、どの時間帯でどのセンサのデータを当該ユーザのデータとして採用するかを管理することができるため、ウェアラブルセンサを時計のようにTPOや生活シーンや活動内容に応じて任意に取り換えた場合でも、ライフログとして適切で一貫したデータとして管理・利活用できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施例を示すライフログクラウドシステムの構成図。
図2図2は、本発明のサーバシステムの処理フローを示すフローチャート。
図3図3は、センサからサーバシステムへ通信されるデータの形式例を示すテーブル。
図4図4は、サーバシステムにおける判定ロジック(判定条件)例を示すテーブル。
図5図5は、複数のセンサから出力されるデータ波形を示し、本発明の効用を説明するユースケースを示す図。
図6図6は、端末・ユーザテーブルの構成例を示すテーブル。
図7図7は、ライフログの構成例を示すテーブル。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例を、図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、「テーブル」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報/データは、テーブル以外のデータ構造で表現されていてもよい。また、データ構造に依存しないことを示すために「テーブル」を「情報」や「データ」と呼ぶことができる。
また、「プログラム」を主語として処理を説明する場合がある。そのプログラムは、プロセッサ、例えば、MP(Micro Processor)やCPU(Central Processing Unit)によって実行されるもので、定められた処理をするものである。なお、プロセッサは、適宜に記憶資源(例えばメモリ)及び通信装置(例えば、通信ポート)を用いながら処理を行うため、処理の主語がプロセッサとされてもよい。プロセッサは、CPUの他に専用ハードウェアを有していてもよい。コンピュータプログラムは、プログラムソースから各コンピュータにインストールされても良い。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバ又は記憶メディアなどで提供されるものであってもよい。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の一実施例を示すライフログクラウドシステムの構成図である。同図において、ライフログクラウドシステム100は、センサとサーバシステム(コンピュータ)114とからなる。
【0012】
センサは、同一人が使い回すことができる複数のセンサ101、102、103(センサ1a、1b、1c)をその構成要素とする。例えば、センサが3つあるとすれば、図1に示すように、センサ101(センサ1a)、センサ102(センサ1b)、センサ103(センサ1c)が構成要素となる。
本例ではセンサは、3つの例を挙げているが、少なくとも2つ以上あればよく、3つである必要はない。また、センサは既存のものを使用する。
各センサは、例えば、図3に示す如く、一つの端末IDごとの時刻ごとの時系列センサデータを出力する。センサデータは、端末ID(000101、000101、000101、・・・)、日時(2015.6.9 15:28.00、2015.6.9 15:30.00、2015.6.9 15:32.00、・・・)、加速度X(87.6、43.2、63.1、・・・)、加速度Y(23.1、14.7、3.2、・・・)、加速度Z(1.2、8.2、12.1、・・・)を有する。
【0013】
サーバシステム114は、通信装置104、入出力装置105、記憶装置106、処理装置(CPU)107を備え、これらの装置は、バス108によって相互接続されている。
【0014】
通信装置104は、各センサとの間のデータ通信を行う通信部/インタフェースを有する装置である。
センサ1a、センサ1b、センサ1cは、それぞれ内部に通信部(図示せず)を含み、当該通信部を介してサーバシステム114の通信装置104と通信を行う。
【0015】
入出力装置105は、記憶装置106のライフログ110をサーバシステム114の外部に出力する際のインタフェースとなる。例えば、データを入力するキーボードやデータを表示するディスプレイ等の実装が可能である。
【0016】
記憶装置106は、少なくとも端末・ユーザテーブル109、ライフログ110、判定ロジック111を記憶し、保持する記憶部を含む。
【0017】
端末・ユーザテーブル109は、例えば、図6に示すように、ユーザを識別するユーザID(0100、0100、0200、・・・)と端末(センサ)を識別する端末ID(000101、000102、000201、・・・)の対応表を有する。
ここで、ユーザID(0100)一つに対して、複数の端末ID(000101、000102)の対応が許されている。ただし、一つの端末IDに対しては一つのユーザIDのみ対応する。
【0018】
ライフログ110は、例えば、図7に示すように、ユーザの計測値の時系列データを含む。計測値の時系列データは、ユーザID(0100、0100、0100、・・・)、端末ID(000101、000101、000101、・・・)、日時(2015.6.9 15:28.00、2015.6.9 15:30.00、2015.6.9 15:32.00、・・・)に対応する加速度X(87.6、43.2、63.1、・・・)、加速度Y(23.1、14.7、3.2、・・・)、加速度Z(1.2、8.2、12.1、・・・)、を有する。
【0019】
判定ロジック111は、例えば、図4に示すように、複数の上書き条件を有する。上書き条件は、例えば、以下のとおりとするが、以下に限定する必要はない。
判定ロジックID 上書き条件(判定条件)
1 指定変数 >0
2 (指定変数) >0
3 Σi(指定変数i >0
4 (指定変数) >C1
5 Σi(指定変数i >C2
C1、C2:定数
【0020】
処理装置107は、各装置の動作制御を司り、内部に格納されたプログラムに従って上記の各装置の動作を制御する。そして、処理装置107は、少なくとも判定部112、登録部113を含む。
【0021】
判定部112は、判定ロジック111の上書き条件とセンサから入力したデータを参照し、当該データをライフログ110に書き込むか否かを判定する機能を有する。
【0022】
登録部113は、端末・ユーザテーブル109の情報を参照し、ライフログ110に書き込む処理を行う機能を有する。
【0023】
図5は、本発明がその効用を発揮するユースケースを説明する図である。以下、ユースケースについて図1の構成図の構成要素も引用しながら説明する。
【0024】
センサ101(通常時に使用するセンサ1a)、センサ102(睡眠時に使用するセンサ1b)、センサ103(水泳時に使用するセンサ1c)は、それぞれ別のセンサであり、これらを使い分けることで、同一人の活動が、それぞれ異なる時間区間で計測されていることを示している。各センサのデータは、ここでは、例えば、加速度とする。
【0025】
図5では、横軸に時刻tを示し、縦軸は加速度を示してある。同図に示すように、一日において、通常時、睡眠時、水泳時と別々のセンサ1a、1b、1cを使っている場合を想定する。
別々のセンサを使う理由は、センサそれぞれに適した(得意不得意)な使用条件があることなどが考えられる。例えば、具体的には、防水性、睡眠時の精度、装飾品としての見映えなどが考えられる。
本ケースで、時と場合によって、同一人がセンサを付け替えて加速度を計測し、さらに、後から順不同で過去のデータをサーバシステム114に通信することを考える。
この場合、一人のユーザに対し一つの時刻でのセンサデータが複数存在することになるので、結果的に、時刻ごとにどのセンサのデータが採用されるべきかが不定となる。
【0026】
センサ1a、センサ1b、センサ1cの順にデータをサーバシステム114に通信するとき、例えば、最初に通信されたセンサ1aのデータが採用されて、それ以降のセンサ1bやセンサ1cから通信されたデータを無視する実装や、あるいは、毎回上書きしていき、常に最後に通信されたセンサ(この場合にはセンサ1cのアップロード時)のデータが有効という実装もあり得る。
【0027】
この二つの方法は、もちろん予めそのように設定しておかなければならないが、例えそのように設定したとしても、上記の二つの方法いずれにおいても、通信の順序に依存して結果が変わってしまうこと、また、ある時刻部分だけあるセンサのデータを使い、それ以外の時刻部分では別のセンサを使うということはできない。
ここでは、例えば、ある時間帯にはセンサ1cのデータを採用し、別のある時間帯にセンサ1bを採用するようなことを実現する。
【0028】
図2は、本発明のサーバシステム114の処理フローを示すフローチャートである。
【0029】
本実施例において、センサ101(センサ1a)、センサ102(センサ1b)、センサ103(センサ1c)のいずれか一つから(ここでは便宜上、センサ101/センサ1aからとする)、過去の一定時間の計測値が通信装置104を介してサーバシステム114に通信された場合、サーバシステム114はセンサ101(センサ1a)から通信されたデータを記憶装置106のライフログ110に書き込むか、あるいは書き込まないかを判定する。書き込むと判定した場合はライフログ110の適切な位置にデータを書き込む。
以下、このデータ書き込み処理について説明する。
【0030】
同図のフローチャートに基づく動作は以下のとおりである。
まず、ステップs201において、サーバシステム114は、センサ101(センサ1a)から通信装置104を介して記憶装置106の一時記憶領域(図示せず)にデータが通信され取り込まれる。
【0031】
通信データの形式は、図3に示すとおりであり、データは、同図に示すように、一つの端末IDごとの時刻ごとの時系列センサデータである。
つまり、1レコードは、端末IDが一意で、時刻が一意になっているセンサの計測値であり、端末ID(000101、000101、000101、・・・)、日時(2015.6.9 15:28.00、2015.6.9 15:30.00、2015.6.9 15:32.00、・・・)、加速度X(87.6、43.2、63.1)、加速度Y(23.1、14.7、3.2、・・・)、加速度Z(1.2、8.2、12.1、・・・)を有する。
図3では、3軸(X,Y,Z)の加速度のデータが時系列に記録されている。
【0032】
次に、ステップs202において、サーバシステム114は、記憶装置106に取り込まれた通信データの中で、未チェックのデータがあるかどうかを判定する。
この判定で、すべての時刻のデータがチェックされたのであれば終了する。未だチェックされていない時刻のデータがある場合には、次のステップs203に移る。
【0033】
ステップs203において、サーバシステム114は、通信データの中で未だチェックされていない時刻から一つを選び、その時刻のデータをデータ入力として処理装置107の判定部112に送る。
【0034】
ステップs204において、サーバシステム114における判定部112は、上述した図4に示す判定ロジック111の上書き条件を参照し、当該上書き条件を満たしているか否かをもってステップs203で入力された通信データ(データ入力)をその時刻のデータとしてライフログ110に書き込むか否かを判定する。
【0035】
ここで、本処理200を実行する前に、判定ロジック111の判定ロジックID(1、2、3,4,5、・・・)のうち一つが既に選ばれているものとする。ここでは、例えば、判定ロジックID=3(Σi(指定変数i >0)が選ばれているものとする。
この上書き条件は、指定した複数の変数すべての二乗和が正であることである。この条件を満たしたとき、次のステップs205に移る。この条件を満たさなかった場合には、ステップs202に戻る。
【0036】
判定ロジックの上書き条件は、上記の他、「指定した一つの変数が正」、「指定した一つの変数の二乗が正」、「指定した一つの変数の二乗がある定数C1より大きい」、「指定した複数の変数すべての二乗和がある定数C2より大きい」などのバリエーションがあり得る。
例えば、センサをつけていないときに加速度は0になると考えられるが、そのような前提でセンサをつけていることを推定して上書き条件としたり、あるいは、何らかの誤差の存在を想定して、ある程度以上の絶対値を観測したときのみセンサをつけていたと推定して上書きする、等の前提の置き方が可能となる。
【0037】
ステップs205において、サーバシステム114における登録部113は、ステップs204にて書き込むと判定されたデータをライフログ110の適切な位置に書き込む。
【0038】
また、登録部113は、端末・ユーザテーブル109を参照し、ステップs204にて判定されたデータの端末IDに対応するユーザIDを抽出する。次に、当該ユーザIDのこの時刻に相当する登録済のレコードをライフログ110から抽出する。
【0039】
ライフログ110は、図7に示すように、ユーザID、端末ID、日時(含年月日時刻)、計測値(加速度X、Y、Z)の並びからなる。
ここで、ライフログ110からレコードを抽出する際には、ユーザIDの一致、また、時刻の一致のみを条件とし、端末IDが一致する必要はない。ユーザIDの一致、また、時刻の一致するライフログ110のレコードに対して、ステップs204で用いた計測値(データ)、端末IDを書き込む。
【0040】
なお、ライフログ110に当該ユーザIDの当該時刻のデータがなかったときには、ステップs204で用いたデータをユーザID、端末ID、日時、計測値を含めてライフログ110に追記する。
以上の処理が終了すれば、ステップs202に移る。
【0041】
上述した本実施例によれば、ユーザが複数のウェアラブルセンサを取り換えて装着する場合に、値を採用すべき条件を予め決めておき、それに従うことで、観測していたセンサを選ぶことができる。これによって、ウェアラブルセンサを時計のようにTPOや生活シーンや活動内容に応じて任意に取り換えた場合でも、ライフログとして適切で一貫したデータとして管理・利活用できる。
【実施例2】
【0042】
上記の実施例1は、次のように変更して実施することも可能である。実施例1から変更があるステップのみ、以下に示す。
【0043】
上記実施例1のステップs205では、登録部113が、ライフログ110からユーザIDと時刻の両方が一致するレコードを抽出してきたが、これを変更し、ユーザIDが一致し、時刻をより粒度の粗い時間帯ととらえ、その時間帯の中のレコードを抽出してもよい。例えば、時刻の秒単位を切り捨てるとか、分単位を5分刻みにする等が考えられる。次に、その時間帯で抽出された当該ユーザIDのレコードを削除する。
【0044】
次に、サーバシステム114は、ステップs204で用いた通信データの端末ID、日時、計測値をライフログ110に追記する。また、ライフログ110のカラムの一つであるユーザIDのカラムには当該のユーザIDを記入する。
【0045】
ここで、記憶装置106のライフログ110からその時間帯で当該ユーザIDのレコードが抽出されなかったときには、当該の通信データをユーザID、端末ID、日時、計測値を含めてライフログ110に追記する。最後に、実施例1のステップs205と同様に、ステップs202に移る。
以上のように変更して実施することも可能である。
【0046】
以上述べた実施例2によれば、日時が秒単位まで細かく全一致しなくても上書き修正が可能になる。例えば、時計や処理系の精度が悪いためにセンサ1a、センサ1b、センサ1cが同じ時刻でデータを生成しなかったがために、データが結果的にすべて取り込まれてしまうということを防げる。また、センサ1a、センサ1b、センサ1cとで、計測の時間間隔や、最初の計測時刻が一致していなくても必要な上書き修正が実施される。
【0047】
また、上記の実施例で示した方法を実行可能な形式にしたプログラム、及び、それを格納した記憶媒体として実施することも可能である。また、これらのプログラムを実行可能にしたサービスとして実施することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、個人の生活履歴や運動履歴や身体計測量の管理に、ウェアラブルセンサを用い、そのデータを個人のライフログデータとして管理し利活用するシステムにおいて利用が可能である。
【符号の説明】
【0049】
100 ライフログクラウドシステム
101 センサ1a
102 センサ1b
103 センサ1c
104 通信装置
105 入出力装置
106 記憶装置
107 処理装置
108 バス
109 端末・ユーザテーブル
110 ライフログ
111 判定ロジック
112 判定部
113 登録部
114 サーバシステム
【要約】
ユーザが複数のウェアラブルセンサを取り換えて装着する場合に、ある時間帯だけはあるセンサのデータを登録し、それ以外の時間帯では別のセンサのデータを登録するということができないことを解消するため、以下の通り構成する。センサ101、102、103と、サーバシステム114からなり、センサ101、102、103は通信部を含み、サーバシステム114は、通信装置104、入出力装置105、記憶装置106、処理装置107を含み、記憶装置106は、少なくとも端末・ユーザテーブル109、ライフログ110、判定ロジック111を含み、処理装置107は、少なくとも判定部112、登録部113を含み、ライフログ110は、ユーザごとの時系列のセンサ情報を含み、判定ロジック111は、ライフログ110に書き込む条件の記述を含み、判定部112は、判定ロジック111とセンサ101、102、103から入力したデータを参照してこれをライフログ110に書き込むか否かを判定し、登録部113は、端末・ユーザテーブル109を参照して、ライフログ110に書き込む処理を行う。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7