(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145275
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】レーザ光のプロファイル測定方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/00 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
H01S5/00
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-13854(P2013-13854)
(22)【出願日】2013年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-146671(P2014-146671A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2016年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】591242209
【氏名又は名称】アルファクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】石塚 靜
(72)【発明者】
【氏名】中山 大一郎
【審査官】
佐藤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−160197(JP,A)
【文献】
特開2004−361347(JP,A)
【文献】
再公表特許第2012/128179(JP,A1)
【文献】
特開昭61−267452(JP,A)
【文献】
特開平03−202750(JP,A)
【文献】
特開2002−013981(JP,A)
【文献】
特開昭49−103687(JP,A)
【文献】
特開平01−124717(JP,A)
【文献】
特表2005−522039(JP,A)
【文献】
特開2006−099129(JP,A)
【文献】
特表2005−519476(JP,A)
【文献】
特開2012−122919(JP,A)
【文献】
米国特許第06295307(US,B1)
【文献】
特開平07−225150(JP,A)
【文献】
特開平07−081137(JP,A)
【文献】
特開平04−093933(JP,A)
【文献】
特開平09−216411(JP,A)
【文献】
特開平04−095748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された、板状のベースに並列搭載された複数のレーザダイオードからの発光を、スリットをスライドさせてスキャンし、受光装置としての積分球で受光し、演算するレーザ光のプロファイル測定方法において、前記したスリットは、位置を特定された第一の板状体(1a)とその第一の板状体(1a)に対して接離可能に可動する第二の板状体(1b)の対向する端縁で形成してあることを特徴とするレーザ光のプロファイル測定方法。
【請求項2】
前記した第二の板状体(1b)はパルスモータ(5)を駆動源として可動し、スリット(2)の幅をアジャストできることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光のプロファイル測定方法。
【請求項3】
前記した第一の板状体(1a)と第二の板状体(1b)のスリット(2)を形成する端面には、対向して山形となり、入射部から出射部にかけて拡開する形状の反射部(8、8)を形成し、入射されたレーザ光を外向きに反射して、前記した積分球に送り込むことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ光のプロファイル測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ光のプロファイル測定方法、特に高出力のレーザダイオードバーでレーザダイオードが一斉に発光する、その光のニアフィールドパターン(NFP)即ち光強度を測定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状のベースにレーザダイオードを並列搭載したレーザダイオードバーにあって、搭載されているレーザダイオードを一斉に光らせ、そのプロファイリング、主としてニアフィールドパターン、即ち光強度を測定するにはCCDカメラが使用されている。
【0003】
しかし、このCCDカメラの使用には、それに加えて、レンズまたは鏡筒を介在させる必要があり、さらに、CCDカメラは感度が非常に高いため、レーザ光のような強烈な光が出射されるものに対してはCCDカメラの飽和があるため、透過率も様々な複数枚の減衰フィルターを入れて測定する必要がある。
【0004】
また、CCDカメラでは光強度のダイナミックレンジが通常8bitの256から1026階調しかないため、すぐにハレーションを起こし、飽和してしまう。そして、最近の半導体レーザはマルチビーム化と高出力が進んでいるので、CCDカメラでは横に長いマルチビーム(10〜50エミッタ)では分解能(解像度)の関係を加味すると、10エミッタ位しか入らないため、CCDカメラ又はレーザ素子を動かし、数回に分けて測定しなければならず、データの一連性に欠け、データ処理が煩雑なものとなってしまう。
【0005】
このデータの取得も画像切り出しによるので、例えば20mm程度だと7枚撮像のため、複数枚にわたり、測定時間も長くかかってしまい、設備にも高額な費用を要することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
出願人は本願発明に関し、先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似していると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする問題点は、従来のCCDカメラを用いての測定方法の欠点を解消し、長いマルチビームで高出力のレーザのプロファイル、ニアフィールドパターンそれも光強度を効率よく短時間で精度よく測定し、対象に対しての調整対応も容易となり、データも一連のものとして取り込め、設備費用も低廉なものとしてできる測定方法が存在していなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した問題点を解決するため、本発明に係るレーザ光のプロファイル測定方法は、固定された、板状のベースに並列搭載された複数のレーザダイオードからの発光を、
スリットをスライドさせてスキャンし、受光装置としての積分球で受光し、演算するレーザ光のプロファイル測定方法において、前記したスリットは、位置を特定された第一の板状体(1a)とその第一の板状体(1a)に対して接離可能に可動する第二の板状体(1b)の対向する端縁で形成してあることを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係るレーザ光のプロファイル測定方法は、
前記した第二の板状体(1b)はパルスモータ(5)を駆動源として可動し、スリット(2)の幅をアジャストできることを特徴とし、前記した第一の板状体(1a)と第二の板状体(1b)のスリット(2)を形成する端面には、対向して山形となり、入射部から出射部にかけて拡開する形状の反射部(8、8)を形成し、入射されたレーザ光を外向きに反射して、前記した積分球に送り込むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るレーザ光のプロファイル測定方法は上記のように構成されている。そのためスリットのスライド距離を長くすることで長いマルチビームの測定はいくらでも対応することができ、スリットの幅と移動ステップを細かくすることで、十分な分解能を得ることができ、レーザ素子(ボード)の一端から他端までスリットをスライドさせることでデータを一連のものとして取り込むことができる。
【0011】
また、受光装置の光センサーは一個でダイナミックレンジが32768階調、または必要に応じてそれ以上の階調も容易に上げることができ、その光センサーの直線感度は10
10倍あるため、スリット幅と受光装置である積分球の組み合せで、フィルターの介在を不要として高出力のレーザ光の光強度を測定することができる。そして測定時間は数10秒と短くて済み、設備費用も低廉なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る測定方法を実施するための機構を示す正面図である。
【
図5】レーザダイオードバーの挟持構成を示す図である。
【
図6】150A、パルスで駆動させた場合の測定画面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。図中1はスリット部材を示し、このスリット部材1は位置を特定された第一の板状体1aとその第一の板状体1aに対して
接離可能に可動する第二の板状体1bを有しており、その第一の板状体1aと第二の板状体1bの対向する端縁で対象となるレーザ素子(レーザダイオードバー)からの光を通過させるスリット2を形成している。
【0015】
このスリット部材1は本実施例にあってはパルスモータ3を駆動源として、架台Tに設けられたガイドレール4に沿って精度1μmピッチでスライド可能となっており、第二の板状体1bはパルスモータ5を駆動源として可動し、スリット2の幅を任意に精度1μmピッチでアジャストできるものとしている。
【0016】
また、図中6は対象となるレーザダイオードバー7をセットし、その発光を前記したスリット2に対して入射させるための開口ポートである。尚、レーザダイオードバー7はその長手方向をスリット2のスライド方向に合わせて、沿うようにセットされる。
【0017】
開口ポート6は下部電極13と上部電極14によって構成されており、この下部電極13と上部電極14の対向面は各々0.01Ω程度の導電ゴムシート15a、15bによって被覆されており、各々の導電ゴムシート15a、15bはそれぞれ、抑え金具16a、16bによって位置決め固定されている。なお、場合によっては少なくして上、下部導電ゴムシート15a、15bの片方のみを備えることとしても良い。レーザダイオードバー7はこの各々の導電ゴムシート15a、15b間に挟持固定されるものであり、導電ゴムシート15a、15bの弾発性によって傷の発生や割れや欠損等の機械的ダメージを未然に防止できる。また、その弾発性によってレーザダイオードバー7は全体が平均して接触でき、かつ、熱伝達も良好となる。これはレーザダイオードバー7の挟持面が金属である場合には平面度が保たれず平均した接触ができないという点の改良である。
【0018】
さらに、スリット部材1を構成する第一の板状体1aと第二の板状体1bのスリット2を形成する端面には、対向して略山形となる、即ち、入射部から出射部にかけて拡開する形状の反射部8、8が形成されており、入射されたレーザ光を外向きに反射して、後述する受光装置に送り込むこととなる。
【0019】
ここで、レーザダイオードバー7の長さに対応して、スリット2のスライドスキャンする距離を長くすることで、レーザダイオードバー7の長さに限定されることなく、一連のデータとして取り込むことができ、スリット2の幅と移動(スライド)ステップを細かく設定することで必要十分な分解能を得ることができる。
【0020】
一方、図中9は受光装置である積分球を示している。この積分球9はフォトダイオード11でフィルター12は使用しても、使用しなくても良い。この積分球9には一側面にレーザダイオードバー7からの発光をスリット2及び反射部8、8を介して広角に受光する受光口10が形成されている。
【0021】
この積分球9は受光のための光センサーが一個でダイナミックレンジは32768階調あり、必要に応じてそれ以上の階調に容易に上げることができる。また、その光センサーの直線感度は10
10位あるため、スリット2の幅とこの積分球9の組み合せによってフィルターを介在させなくても高出力のレーザ光の光強度を測定することができる。さらに、超高出力のレーザの場合、フィルターを1〜2枚入れることにより測定できる。
【0022】
また、本実施例に示した機構を用いて実際に測定した結果を
図6〜
図7として示している。
図6、
図7は150A、パルスの場合を示している。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本願発明に係るレーザ光のプロファイル測定方法の実施例は上記のように構成されている。本実施例では機構の電流駆動としてパルスを想定しているが、これは無変調連続波(CW)を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 スリット部材
1a 第一の板状体
1b 第二の板状体
2 スリット
3 パルスモータ
4 ガイドレール
5 パルスモータ
6 開口ポート
7 レーザダイオードバー
8 反射部
9 積分球
10 受光口
11 フォトダイオード
12 フィルター
13 下部電極
14 上部電極
15a、15b 導電ゴムシート
16a、16b 抑え金具
T 架台