(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145282
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】空気弁と空気弁の連結機構、および副弁付き空気弁
(51)【国際特許分類】
F16K 24/00 20060101AFI20170529BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20170529BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20170529BHJP
F16K 5/06 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
F16K24/00 M
F16K27/00 C
F16K27/02
F16K5/06 F
F16K5/06 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-29804(P2013-29804)
(22)【出願日】2013年2月19日
(65)【公開番号】特開2014-159820(P2014-159820A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2016年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】須永 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】海老沼 実
【審査官】
正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−320709(JP,A)
【文献】
実開平01−140084(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/06
F16K 24/00
F16K 27/00
F16K 27/02
F16K 31/18
F16L 23/00−25/14
F16L 51/00−55/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁箱に設けられていて他の部材の開口に連通する下部開口を備えた空気弁の連結機構であって、
前記空気弁の下部開口と前記他の部材の開口とのいずれか一方の開口に設けられていて他方の開口内に進入して嵌合可能な突起部を備え、
前記突起部は、所定間隔を開けて形成された複数の爪部であることを特徴とする空気弁の連結機構。
【請求項2】
弁箱に設けられていて他の部材の開口に連通する下部開口と、該下部開口に設けられていて前記他の部材の開口内に進入して係合可能な突起部とを備え、
前記突起部は、所定間隔を開けて形成された複数の爪部であることを特徴とする空気弁。
【請求項3】
前記他の部材は、流体が流通する管路に設けた立ち上がり管または流体の連通路を開閉可能な副弁体を有する副弁である請求項2に記載された空気弁。
【請求項4】
弁箱の下部に設けられた下部開口を備えた空気弁と、
前記下部開口に連通する流体の連通路を開閉可能な副弁体を有する副弁と、を備え、
前記空気弁の下部開口と前記副弁の連通路の上部開口とのいずれか一方の開口に設けられていて他方の開口内に進入して嵌合可能な突起部を備え、
前記突起部は、所定間隔を開けて形成された複数の爪部であることを特徴とする副弁付き空気弁。
【請求項5】
前記副弁の下部開口に、流体が流通する管路の立ち上がり管に進入して嵌合可能な前記突起部が設けられている請求項4に記載された副弁付き空気弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水等の流体が流れる管路等に設けられていて流体中の空気を排出したり吸入したりする空気弁と空気弁の連結機構、副弁付き空気弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上水道等の液体が流れる管路に直交して設けた立ち上がり管に空気弁が連結されている。この空気弁は、管路内を流れる液体中に混入している空気等を排出したり、管路内の液体を排出する際に圧力調整のために管路内に空気を吸入したりするための空気弁や副弁付き空気弁が設けられている。
【0003】
また、空気弁を管路の立ち上がり管に接続する構造として、例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。この空気弁は、管路に設けた立ち上がり管のフランジ部と空気弁に設けたフランジ部とをボルトとナットで締結することで連結していた。
なお、公知の空気弁は、管路に水を満たす場合には、弁箱内の遊動弁体とフロート弁体が降下した開弁状態で管路中の大量の空気を大空気孔から排出し、空気弁内に水が満たされるとフロート弁体と遊動弁体が浮力で上昇して大小の空気孔が閉弁する。水の中に含まれる空気が浮上して空気弁内に溜まると水面と共にフロート弁体が降下して小空気孔が開弁し、小空気孔を通して排気される。そして、管路内の水を抜く場合には、空気弁の遊動弁体とフロート弁体が降下して大小の空気孔が開弁するため多量の空気が管路に吸入され、管路内の負圧を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−52566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した空気弁と立ち上がり管のフランジ部同士をボルトで連結する構造では、フランジ部に形成したボルト穴とボルトとの間に遊びや公差を有している。そのため、地震が発生した際、振動によってボルトが緩んでしまい、フランジ面同士がずれてしまうためにフランジ部から漏水することがあった。特に空気弁は管路の上側に設置するため、管路よりも地震による振動が大きくフランジ部がずれ易いため、上述したようなズレや漏水が発生し易いという欠点があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、地震等で振動しても空気弁と管路や副弁等の他の部材とがずれたり外れたりせず、漏液を抑制できるようにした空気弁とその連結機構及び副弁付き空気弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による空気弁の連結機構は、弁箱に設けられていて他の部材の開口に連通する下部開口を備えた空気弁の連結機構であって、空気弁の下部開口と他の部材の開口とのいずれか一方の開口に設けられていて他方の開口内に進入して嵌合可能な突起部を備え
、
突起部は、所定間隔を開けて形成された複数の爪部であることを特徴とする。
本発明による空気弁の連結機構によれば、空気弁の下部開口と他の部材の開口との一方に突起部を設けて他方の開口に嵌合させたので、地震等で空気弁が振動しても空気弁と他の部材とがずれたり外れたりすることを防止でき、空気弁と他の部材との連結部から漏液することを抑制できる。
しかも、突起部を爪部としたことで、他方の開口内の爪部以外の部分での流体の流通を抑制しないため、流体の流れに対する抵抗が小さい。
【0008】
本発明による空気弁は、弁箱に設けられていて他の部材の開口に連通する下部開口と、該下部開口に設けられていて他の部材の開口内に進入して嵌合可能な突起部とを備え
、
突起部は、所定間隔を開けて形成された複数の爪部であることを特徴とする。
本発明による空気弁によれば、空気弁の下部開口から他の部材の開口に突出して嵌合する突起部を設けたので、地震等で空気弁が振動しても空気弁と他の部材とがずれたり外れたりすることを防止でき、空気弁と他の部材との連結部から漏液することを抑制できる。
しかも、空気弁の下部開口に爪部を突出して形成して他の部材の開口に嵌合させることで、下部開口内の爪部以外の部分での流体の流通を抑制しないため、流体の流れに対する抵抗が小さい。
【0011】
また、他の部材は、流体が流通する管路に設けた立ち上がり管または流体の連通路を開閉可能な副弁であってもよい。
空気弁は管路の上部に設置されるため地震等が発生すると管路より振れが大きいが、空気弁と立ち上がり管とがずれたり外れたりすることを突起部によって防止して漏液を抑制できる。
【0012】
本発明による副弁付き空気弁は、弁箱の下部に設けられた下部開口を備えた空気弁と、下部開口に連通する流体の連通路を開閉可能な副弁体を有する副弁と、を備え、空気弁の下部開口と副弁の連通路の上部開口とのいずれか一方の開口に設けられていて他方の開口内に進入して嵌合可能な突起部を備え、
突起部は、所定間隔を開けて形成された複数の爪部であることを特徴とする。
本発明によれば、副弁の副弁体で連通路を閉弁することで、空気弁内のフロート弁体等を調整することができ、しかも、地震等の際に、空気弁と副弁とがずれたり外れたりすることを突起部によって防止して漏液を抑制できる。
しかも、突起部を爪部としたことで、他方の開口内の爪部以外の部分での流体の流通を抑制しないため、流体の流れに対する抵抗が小さい。
【0013】
また、副弁の下部開口に、流体が流通する管路の立ち上がり管に進入して嵌合可能な突起部が設けられていることが好ましい。
本発明による副弁付き空気弁は管路の端末に設置されるため、地震等が発生すると振れが大きいが、空気弁と副弁、そして副弁と管路をそれぞれ突起部によって嵌合して係止したから、空気弁や副弁が管路からずれたり外れたりすることを防止でき、フランジ部のボルト止め部が緩んだりずれたりすることを抑制して漏液を防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による空気弁とその連結機構、そして副弁付き空気弁によれば、地震等で振動したとしても、突起部によって互いに嵌合して係止しているために、空気弁と他の部材または空気弁と副弁とが互いにずれたり外れたりしないように係止することができる。そのため、漏水等が発生することを確実に防止できる。
しかも、突起部を爪部としたことで、他方の開口内の爪部以外の部分での流体の流通を抑制しないため、流体の流れに対する抵抗が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第一実施形態による空気弁と立ち上がり管との連結機構を示す要部縦断面図である。
【
図2】
図1に示す空気弁を下方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第二実施形態による空気弁と立ち上がり管との連結機構を示す要部縦断面図である。
【
図4】
図3に示す空気弁を下方から見た斜視図である。
【
図5】本発明の第三実施形態による副弁付き空気弁と立ち上がり弁との連結機構を示す要部縦断面図である。
【
図7】本発明の第三実施形態による副弁付き空気弁の副弁と立ち上がり管の間に縦管を連結した要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第一実施形態による空気弁の連結機構について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1に示す空気弁1は、液体、例えば上水道等の水を流す管路2に直交させて設けた立ち上がり管3の上端部に連結されている。空気弁1は、略カップ形状を有している弁箱5の上端の開口に大空気孔6が形成された蓋体7が設置されて覆われ、弁箱5の下部には管路2に連通する下部開口8が形成されている。弁箱5内には、上端の開口部が大空気孔6に連通し、周囲の壁面には水の通過孔が形成された略有底筒状のフロート弁体ガイド10が配設されている。フロート弁体ガイド10の上端部は蓋体7に液密に連結されている。
【0017】
フロート弁体ガイド10内には例えば略球体状のフロート弁体11が浮力によって昇降可能に配設されている。フロート弁体11の上側には、中央に小空気孔12が形成されていて浮力で昇降して大空気孔6を開閉可能な遊動弁体13が配設されている。遊動弁体13は中央が隆起する略山形に形成されており、その中央頂部に上下面を連通する小空気孔12が形成されている。フロート弁体11には、自身の浮力と空気弁1内の圧力と大気圧の差によって生じる押し上げ力が作用している。フロート弁体11が昇降することで小空気孔12を開閉可能である。
また、蓋体7には大空気孔6の周囲の裏面に遊動弁体13の表面が当接して液密に封止するための大空気孔弁座14がリング状に形成されている。
【0018】
蓋体7の上部には例えばナットを介して凸曲面状のカバー16が設置されており、空気弁1内に異物が入らないようになっている。また、空気弁1から水が噴出した場合には、飛散することを防止できるようになっている。カバー16と蓋体7は周縁部の挿通孔を通してボルト17とナット18で連結されている。
【0019】
小空気孔12は遊動弁体13の中央下部に嵌装された小空気孔弁座20に形成され、その上部には弁座押さえ部材21が装着されている。また、弁箱5の下部中央は縮径されており、縮径部に形成された下部開口8は小径の円筒面状に形成され、その内面には所定間隔(図では90度間隔)で下方に突出する複数(図では4個)の爪部23が突起部として形成されている。なお、下部開口8から突出する爪部23の数は任意であるが、地震の振動の発生方向と水の流通量の阻害を抑制することを考慮すると、振動によるズレを防ぐためには少なくとも120度間隔で3個或いは90度間隔で4個形成することが好ましい。他の例として、例えば6個、8個等の爪部23を等間隔で形成するようにしてもよい。
下部開口8の周囲には例えば円板型のフランジ部24が形成されており、フランジ部24には周縁部にボルト17とナット18で締結するための挿通孔が所定間隔で形成されている。
【0020】
また、管路2に一体形成されていて管路2から起立する立ち上がり管3の上端部には所定間隔で挿通孔を有するフランジ部25が形成されている。立ち上がり管3のフランジ部25と空気弁1のフランジ部24とはガスケット26を介して対向して当接されており、両フランジ部24,25はボルト17を各挿通孔に挿入してナット18で締結されている。しかも、空気弁1の下部開口8の内径と立ち上がり管3の内面3aの内径とは同一寸法とされ、空気弁1の下部開口8に形成された複数の爪部23は立ち上がり管3の内面3a内に延びて嵌合されている。この爪部23の延出部分の外径は、立ち上がり管3の内径より例えば1〜5mm程度少し小さく形成されており、寸法誤差があっても空気弁1の設置を容易にすると共に、横ずれを防止できる範囲に形成されている。また、爪部23の延出部分の長さは、例えば10〜20mm程度で、ガスケット26の厚みやボルト17が緩んで多少浮き上がっても爪部23が係止した状態を維持できる長さに設定されている。
【0021】
本実施形態による空気弁1は上述の構成を備えているため、地震等で振動が発生したとしても、空気弁1と立ち上がり管3は爪部23によって嵌合されているため、空気弁1の振れが抑制される。そのため、立ち上がり管3のフランジ部25とボルト・ナット結合された空気弁1のフランジ部24はフランジ面がずれたりせず、立ち上がり管3からの
漏水を抑制できる。
しかも、空気弁1の下部開口8に爪部23を設けた構成であるから、既存または既設の管路2の立ち上がり管3に空気弁1を取り付けできる。
また、空気弁1の下部開口8は立ち上がり管3の内面3aと同一内径を有しており、爪部23以外の部分では水の通過流量を阻害しないため、爪部23による水の流通の阻害を最小限に抑えることができる。
【0022】
なお、本発明は上述の第一実施形態による空気弁1に限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。以下に、本発明の他の実施形態や変形例について説明するが、上述の実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
例えば、
図3及び
図4は本発明の第二実施形態による空気弁30を示すものであり、本第二実施形態による空気弁30では、弁箱5の下部開口8には円筒状の円筒突起31が突起部として形成され、この円筒突起31は立ち上がり管3の内面3a内に延びて嵌合されている。この円筒突起31の延出部分の外径は、立ち上がり管3の内径より例えば1〜5mm程度小さく形成されており、寸法誤差があっても空気弁30の設置を容易にすると共に、横ずれを防止できる範囲に設定されている。また、円筒突起31の延出部分の長さは例えば10〜20mm程度であり、ガスケット26の厚みがあっても、或いは図示しないボルトが緩んで多少浮き上がったとしても、円筒突起31が係止した状態が保てる長さに設定されている。その余の構成は第一実施形態による空気弁1と同一である。
【0023】
本第二実施形態によれば、空気弁30の下部開口8の円筒突起31は全周に亘って立ち上がり管3の内面3aに嵌合しているため、地震による振動がどの方向に生じてもフランジ部24のズレを確実に抑制して漏水を防止できる。
【0024】
次に
図5及び
図6により、本発明の第三実施形態による副弁付き空気弁35について説明する。
本第三実施形態による副弁付き空気弁35は、管路2の立ち上がり管3と空気弁35との間に副弁37を取り付けた構成を備えており、副弁37は例えば空気弁35の交換や空気弁35内のフロート弁体11や遊動弁体13等の点検等を行うために設けている。本第三実施形態における空気弁35は第一実施形態における空気弁1の下部開口8に爪部23を設けない構成である。
【0025】
副弁37は、弁箱39内に副弁体40として略球形のボール弁体を設けており、副弁体40の略球形のボール弁体の上下方向に対向する面部分には水を流通させるための開口40a、40bが形成されている。そして、弁箱39において水の挿通路を構成する内面の上部には略リング状の上部弁座41が設置され、内面の下部には略リング状の下部弁座42が設置されている。そして、弁箱39の側部には挿通孔部43が水平方向に形成され、この挿通孔部43内には副弁体40の側部に固定された弁軸44が水平方向の軸線回りに回転可能に嵌挿されている。
【0026】
弁箱39の挿通孔部43と弁軸44との間にはパッキンが嵌挿され、挿通孔部43は弁軸44を液密に回転可能に支持している。弁軸44の他端は弁箱39の外部に突出してレバー46が取り付けられている。そのため、レバー46を回転させることで弁軸44を介して副弁体40を水平軸線回りに回転させ、上下部弁座41,42に対して副弁体40の開弁と閉弁を切り替えることができる。
【0027】
そして、副弁37の弁箱39において、上部弁座41の上側には空気弁35の下部開口8に対向する上部開口47が形成され、この上部開口47には所定間隔で複数(図では4個)の爪部48が突起部として上方に突出して形成されていて、空気弁35の下部開口8に嵌合されている。同様に、下部弁座42の下側には立ち上がり管3の内面3aに対向する下部開口49が形成され、この下部開口49には所定間隔で複数(図では4個)の爪部50が下方に突出して形成されていて、立ち上がり管3の内面3aに嵌合されている。
また、副弁37の弁箱39において、上部開口47の外周には、空気弁35のフランジ部24に対向する上部フランジ部52が形成され、下部開口49の外周には立ち上がり管3のフランジ部25に対向する下部フランジ部53が形成されている。そして、これら上部フランジ部52と空気弁35のフランジ部24、下部フランジ部53と立ち上がり管3のフランジ部25とはそれぞれガスケット26を介して図示しないボルトとナットによって連結されている。爪部48、50は第一実施形態の爪部23と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0028】
本第三実施形態による副弁付き空気弁35は上述の構成を備えているため、副弁付き空気弁35と立ち上がり管3は副弁37の上下部に設けた爪部48、50によって互いに嵌合されているため、地震等で振動が発生したとしても空気弁35と副弁37の振れが抑制される。そのため、立ち上がり管3のフランジ部25と副弁37の下部フランジ部53、そして、空気弁35のフランジ部24と副弁37の上部フランジ部52はいずれもフランジ面がずれたりせず、漏水事故を抑制できる。
しかも、副弁37の上部開口47と下部開口49に爪部48、50をそれぞれ設けた構成であるから、既設の立ち上がり管3と空気弁35との間に副弁37を取り付けできる。また、副弁37の上部開口47と下部開口49は爪部48、50以外の部分で水の通過流量を阻害しない。
【0029】
なお、上述の説明では、副弁37の上下部開口47,49にそれぞれ爪部48,50を設けたが、これに代えて、副弁37の下部開口49にのみ爪部50を設け、空気弁35の下部開口8に副弁37の上部開口47に嵌合する爪部23を設けてもよい。
【0030】
次に
図7及び
図8により、本発明の第四実施形態による副弁付き空気弁55について説明する。
図7に示す第四実施形態による副弁付き空気弁55は、上述した第三実施形態による副弁付き空気弁35とほぼ同様な構成を有しており、同一の部分には同一の符号を用いて説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
図7に示す副弁付き空気弁55は、副弁56の上部開口47と下部開口49には爪部48、50に代えて円筒突起31と同様な円筒突起57,58がそれぞれ設けられている。そして、立ち上がり管3と副弁56との間には縦管60が連結されている。縦管60は、例えば埋設位置が深い管路2に空気弁55を接続すると、空気弁55などのメンテナンスが難しいため、縦管60を連結することによってメンテナンスできる程度の地表面近くの地中まで立ち上げるようにしたものである。
【0031】
縦管60は、
図8に示すように、筒状の管体61の上端と下端にそれぞれ上部フランジ部62と下部フランジ部63を形成したものであり、管体61の内面61aの下部には所定間隔で複数(例えば4個)の爪部64が形成され、この爪部64は立ち上がり管3の内面3a内に突出して嵌合されている。爪部64は第一実施形態の爪部23と同様のものであるため、詳細な説明を省略する。
また、副弁56の下部開口49に設けた円筒突起58は縦管60の管体61の内面61aの上部に突出して嵌合され、上部開口47に設けた円筒突起57は空気弁55の下部開口8内に突出して嵌合されている。円筒突起57、58は第二実施形態の円筒突起31と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0032】
次に、縦管60の変形例について
図9及び
図10により説明する。
図9に示す縦管66は管体61の内面61aの下部だけでなく、上部にも爪部67が所定間隔で複数(図では4個)形成されて、上方に突出している。この場合、副弁56の下部開口49には円筒突起58は設けられておらず、爪部67が副弁56の下部開口49に嵌合している。この爪部67は第一実施形態の爪部23と同様のものであるため、詳細な説明を省略する。
また、
図10に示す縦管69は管体61の内面61aの上部と下部にそれぞれ円筒突起70,71が突出して形成されているため、下部の円筒突起71は立ち上がり管3の内面3aに嵌合され、上部の円筒突起70は副弁56の下部開口49に嵌合している。この円筒突起70,71は第二実施形態の円筒突起31と同様のため、詳細な説明を省略する。
なお、空気弁1,30を縦管60,66,69を介して立ち上がり管3に連結する場合、または副弁付き空気弁35、55を縦管60,66,69を介してまたは直接、立ち上がり管3に連結する場合、各連結部の突起部として爪部23、48、50、67と円筒突起31,57,58を任意に組み合わせて形成し、嵌合するようにしてもよい。
【0033】
なお、上述した各実施形態では、管路2の立ち上がり管3は既設のものであるから、爪部や円筒突起等は形成されないものとしたが、新設の配管であれば立ち上がり管3に爪部や円筒突起等の突起部を設けることができる。
また、上述した実施形態では、縦管60、66、69は副弁37、56と立ち上がり管3との間に連結するようにしたが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、空気弁1、30、35、55に縦管60,66、69を直接連結してもよく、その場合、いずれか一方に爪部23、67、または円筒突起31、70を形成すればよい。
さらに、上述した実施形態による空気弁1,30,35,55は、遊動弁体13を備えているが、遊動弁体13を設けずにフロート弁体11によって大空気孔6を開閉する空気弁に構成してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1、30、35、55 空気弁
2 管路
3 立ち上がり管
5、39 弁箱
6 大空気孔
8 下部開口
11 フロート弁体
12 小空気孔
13 遊動弁体
14 大空気孔弁座
23、48,50、64 爪部
24、25、52、53、62、63 フランジ部
31、57,58 円筒突起
37 副弁
40 副弁本体
47 上部開口
49 下部開口
60 縦管
61,66、69 管体