特許第6145329号(P6145329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6145329-フェンス用格子金網およびフェンス 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145329
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】フェンス用格子金網およびフェンス
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   E04H17/16 105Z
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-128560(P2013-128560)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-4172(P2015-4172A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】594116334
【氏名又は名称】筑豊金網工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西島 良助
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−005467(JP,A)
【文献】 特許第3899112(JP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0048934(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 − 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
等間隔で一面側にのみ屈曲部が形成された縦線と、等間隔で屈曲部が波形に形成された横線とが格子網状に編まれ、前記縦線の前記屈曲部の上下の直線部は、前記横線の前記屈曲部と交差し、左右端部の前記縦線は、3本、組になって近接して配されているフェンス用格子金網において、
前記3本、組になって配された縦線以外の前記縦線は、2本、組になって近接して配され、上下端部の横線は、3本の横線が近接して組になって配され、前記3本の横線以外の横線は、2本の横線が近接して組になって、前記上下端部の3本の横線の組間に、間隔をあけて複数組、配されていることを特徴とするフェンス用格子金網。
【請求項2】
請求項1に記載のフェンス用格子金網を用いて構築されたことを特徴とするフェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フェンス用格子金網およびフェンス、特に、フェンスを傾斜地に構築する際に、斜めに変形させても縦線と横線が外れ難く、しかも、動物の衝突等によって網目が広がり難い、高い強度を有するフェンス用格子金網、および、この金網を用いたフェンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、山間地に建設された高速道路等においては、道路内への動物の侵入による事故を未然に防止するために、道路に沿って動物侵入防止用フェンスを構築する場合がある。
【0003】
このような動物侵入防止フェンスは、道路の上り下りの傾斜に合わせて構築する必要があるが、フェンス用金網として、縦線と横線とを格子状に溶接した溶接格子金網を用いる場合には、道路の傾斜角度に合わせて傾斜させた格子金網を製作する必要があった。しかも、道路の傾斜角度は、一律ではないので、傾斜角度の異なる複数種類の格子金網(例えば、5°単位で傾斜した格子金網)を製作せざるを得ず、金網の製作は勿論のこと、フェンスの構築に多くの時間と手間を要し、結果的にコストがかかっていた。
【0004】
これに対して、フェンス用金網としてクリンプ金網を用いると、金網を斜めに自在に変形させることができるので、いちいち道路の傾斜に合わせて金網を切断する必要がない。この結果、フェンスを容易に構築することができる。なお、クリンプ金網とは、それぞれ等間隔で屈曲部が形成された縦線と横線とを交互に交差させて格子網状に編んだ金網である。
【0005】
クリンプ金網を用いた動物侵入防止フェンス用金網の一例が特許文献1に開示されている。以下、このフェンス用金網を従来金網Aという。
【0006】
従来金網Aは、図5に示すように、等間隔で一面側にのみ屈曲部Dが形成された縦線11と、等間隔で屈曲部Cが波形に形成された横線12とを格子網状に編んだもので構成されている。
【0007】
従来金網Aによれば、左右端部の縦線11が3本、近接して配されているので、左右端部の横線12に、図5中、a方向とb方向の力が交互に作用する。この結果、左右端部の縦線11が外れ難くい。
【0008】
また、図5に示すように、上段横線12a、中段横線12b、下段横線12cにおいては、縦線11aの上、下部の直線部L1、L2と上、下段横線12a、12cの屈曲部C1、C2とが交差し、縦線11aと隣接する縦線11bの直線部L3と中段の横線12bの屈曲部C3とが交差することによって、上、中、下段の横線12a、12b、12cと縦線11a、11bとの結合力が増す。この結果、上下端部の横線12が外れ難くい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3899112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来金網Aによれば、上下端部の横線および左右端部の縦線が外れ難く、しかも、フェンスを傾斜地に構築する際に、金網を斜めに自在に変形させることができるので、フェンスを容易に構築することができる。
【0011】
しかしながら、従来金網Aを使用した動物侵入防止用フェンスであっても、動物による大きな衝撃力により、図6に示すように、縦線11が左右に、横線12が上下に広げられ、このようにして広げられた網目Mから動物の侵入を許してしまうおそれがあった。
【0012】
従って、この発明の目的は、フェンスを傾斜地に構築する際に、斜めに変形させても縦線と横線が外れ難く、しかも、網目が広がり難い、高い強度を有するフェンス用格子金網、および、この金網を用いたフェンスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とする。
【0014】
請求項1に記載の発明は、等間隔で一面側にのみ屈曲部が形成された縦線と、等間隔で屈曲部が波形に形成された横線とが格子網状に編まれ、前記縦線の前記屈曲部の上下の直線部は、前記横線の前記屈曲部と交差し、左右端部の前記縦線は、3本、組になって近接して配されているフェンス用格子金網において、前記3本、組になって配された縦線以外の前記縦線は、2本、組になって近接して配され、上下端部の横線は、3本の横線が近接して組になって配され、前記3本の横線以外の横線は、2本の横線が近接して組になって、前記上下端部の3本の横線の組間に、間隔をあけて複数組、配されていることに特徴を有するものである。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフェンス用格子金網を用いて構築されたことに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、フェンスを傾斜地に構築する際に、斜めに変形させても縦線と横線が外れ難く、しかも、網目が広がり難い、高い強度を有するフェンス用格子金網、および、この金網を用いたフェンスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明のフェンス用格子金網を示す正面図である。
図2】この発明のフェンス用格子金網を示す部分拡大正面図である。
図3】この発明のフェンス用格子金網を示す部分拡大平面図である。
図4】この発明のフェンス用格子金網を示す部分拡大斜視図である。
図5】従来金網Aを示す部分拡大斜視図である。
図6】網目が広げられた従来金網Aを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明のフェンス用格子金網(以下、本発明金網Bという。)の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明金網Bを示す正面図、図2は、本発明金網Bを示す部分拡大正面図、図3は、本発明金網Bを示す部分拡大平面図、図4は、本発明金網Bを示す部分拡大斜視図である。
【0021】
図1から図4に示すように、本発明金網Bは、等間隔で一面側にのみ屈曲部2が形成された縦線1と、等間隔で屈曲部4が波形に形成された横線3とを格子網状に編んだもので構成されている。
【0022】
縦線1の屈曲部2の上下の直線部5は、従来金網A(図5参照)におけると同様に、横線3の屈曲部4と交差している(図4参照)。左右端部の縦線1は、3本の縦線1a、1b、1cが近接して組になって配されている。縦線1a、1b、1c以外の縦線1は、2本の縦線1d、1eが近接して組になって配されている。
【0023】
上下端部の横線3は、3本の横線3a、3b、3cが近接して組になって配されている。横線3a、3b、3c以外の横線3は、2本の横線3d、3eが近接して組になって配されている。この例では、横線3d、3eの組は、上下端部の3本の横線3a、3b、3cの組間に、間隔をあけて3組配されている。なお、横線3d、3eの組は、3本の組であっても良い。
【0024】
以上のように構成されている、本発明金網Bによれば、従来金網Aにおけると同様に、左右端部の縦線1は、3本の縦線1a、1b、1cが近接して組になって配されているので、左右端部の縦線1が外れ難くい。
【0025】
また、従来金網Aにおけると同様に、縦線1の屈曲部2の上下の直線部5は、横線3の屈曲部4と交差しているので、上下端部の横線2が外れ難くい。
【0026】
しかも、縦線1a、1b、1c以外の縦線1は、2本の縦線1d、1eが近接して組になって配されているので、従来金網Aのように、縦線1a、1b、1c以外の縦線が1本の場合に比べて、網目が広がり難く、高い強度を有する。
【0027】
すなわち、図5に示すように、縦線11a、11bがそれぞれ1本づつ離間して配されている場合には、例えば、縦線11bと横線12bとの交差部(横線2bの屈曲部13C)において、縦線11bの直線部L3に手前側から力が作用した場合、直線部L3は、横線12bの奥側に配され、横線12bにより拘束されていないので変形しやすい。
【0028】
しかし、図4に示すように、縦線1d、1eを組にして近接して配置すると、例えば、縦線1dの直線部5に手前側から力が作用した場合、直線部5は、横線3bの奥側に配され、横線3bにより拘束されていないので変形しやすいが、縦線1dと隣接して配された縦線1eの屈曲部2の奥側には、横線3bが配され、横線3bにより拘束されるので、縦線1dの直線部5の変形は最小限に抑えられる。この結果、網目が広がり難く、高い強度を有する格子金網が得られる。
【0029】
上述した本発明金網Bを用いてフェンスを構築するには、本発明金網Bを支柱(図示せず)間に固定すれば良い。
【0030】
このようにして構築されたフェンスによれば、図6に示すように、動物の衝突等により縦線1が上下に、横線3が左右に広げられ、このようにして広げられた網目Mからの動物の侵入を確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0031】
1、1aから1e:縦線
2:屈曲部
3、3aから3e:横線
4:屈曲部
5:直線部
11、11a、11b:縦線
12:横線
12a:上段横線
12b:中段横線
12c:下段横線
図1
図2
図3
図4
図5
図6