(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示される容器には、次のような問題がある。封入物が少なくなるに伴い容器内の袋体が収縮して小さくなると、袋体が容器の内壁から離れるため、窓を通じて袋体の大きさを目視で確認することが困難になる。このため、封入物の残量が推測困難になる。また、袋体を容器で覆っているため、封入物が少なくなったときに、袋体の内部から強制的に封入物を外部に排出することができず、封入物を残したまま容器ごと廃棄せざるを得ない。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、封入物の残量を目視で確認でき、封入物が少なくなった際に外部から力を及ぼして強制的に排出可能な噴射容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一形態は、少なくとも気体もしくは液体を含む封入物を外圧より高圧で充填し、バルブを開けることにより、充填されていた封入物を外部に噴射できる噴射容器であって、封入物を充填可能であって外部に露出している伸縮袋体と、伸縮袋体の開口側に固定される蓋部材とを備え、伸縮袋体を、弾性的に伸縮すると共に透明若しくは半透明な袋体とした噴射容器である。
【0008】
本発明の別の形態は、さらに、伸縮袋体には、封入物を最大5メガパスカルの噴射圧にて外部に噴射可能に封入物を充填している噴射容器である。
【0009】
本発明の別の形態は、さらに、伸縮袋体の外面の一部に、容器を載置する場所に保持するための保持部を備える噴射容器である。
【0010】
本発明の別の形態は、さらに、保持部を伸縮袋体から着脱自在に構成した噴射容器である。
【0011】
本発明の別の形態は、さらに、保持部が蓋部材側を覆うキャップを兼ねる噴射容器である。
【0012】
本発明の別の形態は、さらに、キャップを複数備え、複数のキャップの少なくとも1つを保持部とする噴射容器である。
【0013】
本発明の別の形態は、また、保持部を、伸縮袋体の底部に備える台座とする噴射容器である。
【0014】
本発明の別の形態は、また、保持部を、容器の側面から突出する突出部とする噴射容器である。
【0015】
本発明の別の形態は、また、伸縮袋体にその伸縮の程度に応じて視認容易性を互いに補完し合う複数の表示部を備える噴射容器である。
【0016】
本発明の別の形態は、また、伸縮袋体の内部に芯材を備える噴射容器である。
【0017】
本発明の別の形態は、さらに、芯材には、伸縮袋体から視認可能な内方表示部を備える噴射容器である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、封入物の残量を目視で確認でき、封入物が少なくなった際に外部から力を及ぼして強制的に排出可能な噴射容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る噴射容器の斜視図(1A)およびその噴射容器を面Sによって高さ方向に切断した際の同噴射容器の縦断面斜視図(1B)を、それぞれ示す。
【
図2】
図2は、
図1の噴射容器に封入物を充填した状態の斜視図(2A)、および封入物を充填した状態と噴射し終えた状態の噴射容器の変化を表す
図1と同様の縦断面斜視図(2B)を、それぞれ示す。
【
図3】
図3は、本発明の第二実施形態に係る噴射容器の斜視図(3A)およびその噴射容器のキャップを外して底部に取り付けた状態の噴射容器の斜視図(3B)を、それぞれ示す。
【
図4】
図4は、
図3の噴射容器の変形例の斜視図(4A)および当該変形例のキャップを外して底部に取り付けた状態の噴射容器の斜視図(4B)を、それぞれ示す。
【
図5】
図5は、本発明の第三実施形態に係る噴射容器の斜視図(5A)、その噴射容器をテーブル等に載置した状態の斜視図(5B)、噴射容器に封入物を充填した状態の斜視図(5C)およびその封入物を充填した噴射容器をテーブル等に載置した状態の斜視図(5D)を、それぞれ示す。
【
図6】
図6は、
図5に示す噴射容器の変形例の斜視図(6A)、その変形例をテーブル等に載置した状態の斜視図(6B)、当該変形例の噴射容器に封入物を充填した状態の斜視図(6C)およびその封入物を充填した変形例の噴射容器をテーブル等に載置した状態の斜視図(6D)を、それぞれ示す。
【
図7】
図7は、本発明の第四実施形態に係る噴射容器の斜視図(7A)およびその噴射容器に封入物を充填した状態の斜視図(7B)を、それぞれ示す。
【
図8】
図8は、本発明の第五実施形態に係る噴射容器を
図1の面Sと同様の面で縦に切断したときの縦断面斜視図(8A)、8Aに示す噴射容器の変形例を上記面で縦に切断したときの縦断面斜視図(8B)および8Aに示す噴射容器のさらなる変形例を上記面で縦に切断したときの縦断面斜視図(8C)を、それぞれ示す。
【
図9】
図9は、本発明の第六実施形態に係る噴射容器の斜視図(9A)およびその噴射容器に封入物を充填した状態の斜視図(9B)を、それぞれ示す。
【
図10】
図10は、
図9の噴射容器の変形例を
図1の面Sと同様の面によって縦に切断したときの一部縦断面斜視図を示す。
【
図11】
図11は、本発明の第七実施形態に係る噴射容器の外部に商品やメーカー等の情報を付与する各種形態(11A〜D)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る噴射容器の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る噴射容器の斜視図(1A)およびその噴射容器を面Sによって高さ方向に切断した際の同噴射容器の縦断面斜視図(1B)を、それぞれ示す。
図2は、
図1の噴射容器に封入物を充填した状態の斜視図(2A)、および封入物を充填した状態と噴射し終えた状態の噴射容器の変化を表す
図1と同様の縦断面斜視図(2B)を、それぞれ示す。
【0022】
この実施形態に係る噴射容器1は、少なくとも気体もしくは液体を含む封入物30を外圧より高圧で充填し、後述のアクチュエーター5につながるバルブ6を開けることにより、充填されていた封入物30を外部に噴射できる容器である。封入物30としては、気体のみ、液体のみ、気体と液体の混合物、気体と固体の混合物、液体と固体の混合物、気体と液体と固体の混合物のいずれかであれば特に制限無く、消火剤、防虫剤、殺虫剤、塗料、消臭剤、潤滑剤(例えば、防錆用のもの)、人体用消臭剤、制汗剤、医薬品、シェービングクリーム、ボディソープ、化粧料、食用油、液体調味料、頭髪用品、香水などを例示できる。噴射容器1は、封入物30を充填可能であって外部に露出している伸縮袋体2と、伸縮袋体2の開口側に固定される蓋部材3と、を備える。伸縮袋体2は、弾性的に伸縮すると共に透明若しくは半透明な袋体である。伸縮袋体2は、好適には、封入物30を最大5メガパスカルの噴射圧にて外部に噴射可能に、封入物30を充填できる袋体である。ただし、伸縮袋体2からの封入物30の噴射圧は、上記圧力に必ずしも限定されるものではない。
【0023】
蓋部材3は、好適に、伸縮袋体2側に窪む凹部を有し、その凹部の略中央部に、上方に向かって突出する突出部4を有する。突出部4は、その上方に、伸縮袋体2側に向かって押し込み可能なアクチュエーター5を備える。アクチュエーター5は、その底部にバルブ6を有しており、そのバルブ6が突出部4の天面に形成された開口部を開閉できるように、突出部4の内部に挿入する形態にて突出部4の上部に配置されている。アクチュエーター5は、その上方の側面に形成される噴射口7を備える。噴射口7は、アクチュエーター5の内部に形成される経路8から突出部4の内部を経て、伸縮袋体2の内部空間20へとつながっている。蓋部材3は、その裏側に、環状の固定部材9を備える。伸縮袋体2は、その開口部21を蓋部材3の内壁と固定部材9との間で挟持し、バルブ6を閉じている限り内部空間20と外部とを連通しないように、蓋部材3に固定されている。蓋部材3は、伸縮袋体2に充填される封入物30を外部に漏らさないように開口部21を閉塞する必要から、金属である方が好ましい。ただし、蓋部材3は、その構成材料に限定は無く、樹脂、セラミックスなどの金属以外の材料で構成されていても良い。
【0024】
伸縮袋体2は、開口部21から中央部22を経て、略半球状に閉塞する閉塞部23へと細長く形成された袋体である。開口部21は、平均厚さt1の肉厚を持つ漏斗形状の部位である。中央部22は、開口部21の端部25に連通し、平均厚さt2(>t1)の肉厚を持つ略円筒形状の部位である。閉塞部23は、端部25と反対側にある中央部22の段部26に連通し、平均厚さt3(<t2)の肉厚を持つ断面略U字形状の部位である。中央部22の肉厚t2を開口部21および閉塞部23の各肉厚t1,t3より大きくするのは、中央部22の径方向への膨張を抑制し、伸縮袋体2が全体として球状に膨張しにくくするためである。伸縮袋体2の中央部22が長さ方向に優先的に膨張することにより、伸縮袋体2が縦長に膨張し、その結果、噴射容器1を転がらないようにすることができる。伸縮袋体2の長さ方向中央部分の膨張を抑制するためには、少なくとも、伸縮袋体2における長さ方向の膨張可能な長さの中央の肉厚を、当該中央の両端側の肉厚より厚くすれば良い。この実施形態では、上記の「膨張可能な長さの中央」は、中央部22に存在する。中央部22の肉厚t2は、伸縮袋体2の開口部21の肉厚t1や閉塞部23の肉厚t3をはじめ、伸縮袋体2の全ての肉厚の中で最も大きい。なお、伸縮袋体2の長さ方向中央部分の過度の膨張を防ぐ別の手段がある場合、例えば、ベルトやリングにより当該中央部分を囲む等の手段を講じた場合、あるいは伸縮袋体2の当該中央部分の膨張を抑制する必要のない場合には、上記各肉厚t1,t2,t3の関係を採用しなくても良い。そのような場合、例えば、肉厚t1,t2,t3をほぼ等しくするように伸縮袋体2を形成しても良い。
【0025】
伸縮袋体2は、封入物30を充填可能であって弾性的に伸縮する透明若しくは半透明な袋体であれば、特にその構成材料に制約は無く、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴムあるいはスチレンブタジエンゴム等の熱硬化性エラストマー、ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系あるいはフッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等などから好適に構成される。また、伸縮袋体2は、封入物30と接触しても容易に変性しないように、耐酸性若しくは耐アルカリ性、耐油性、耐溶剤性等の高い樹脂材料にて構成されるのが好ましく、例えば、フッ素系のゴムから好適に構成される。ただし、伸縮袋体2の内部表面に、フッ素コーティングを施し、伸縮袋体2自体の主材には、フッ素系のゴムよりも耐変性の低い材料、例えば、シリコーンゴムを用いても良い。また、封入物30の化学的作用が弱いなどの場合には、弾力性に富むシリコーンゴムを伸縮袋体2の材料に用いるのが好ましい。本明細書において、「樹脂」は、ゴムも含むように広義に解釈される。また、「透明」および「半透明」の両文言は、透明度について両者間に特別な境界を持つものではなく、単に「半透明」の方が「透明」よりも透明度が低いという意味で異なるに過ぎず、両文言とも「不透明」を排除する意味で用いられている。よって、伸縮袋体2の内部空間20に封入物30あるいはそれ以外の物(封入物30等)を入れたときに、伸縮袋体2の外部から封入物30等をヒトの肉眼にて視認出来る限り、その伸縮袋体2は透明若しくは半透明な袋体であると解釈される。
【0026】
噴射容器1は、伸縮袋体2の閉塞部23側(すなわち、底部)に、台座10を備える。台座10は、伸縮袋体2の外面の一部に備えられ、噴射容器1を、それを載置する箇所に保持するための保持部の一例である。この実施形態では、台座10は、金属あるいは硬質の樹脂材料から成り、伸縮袋体2側から載置する場所に接する側に向かって拡径する部材である。ただし、台座10は、伸縮性に富むゴムなどから形成される吸盤であっても良い。台座10は、その閉塞部23側(すなわち、下方)を凹ませた凹部11を備える。凹部11は、その略中央に、下方に貫通する貫通孔12を備える。伸縮袋体2の閉塞部23は、その底部中央に、下方に突出形成される凸部24を備える。凸部24は、貫通孔12より少し大きく形成されている。このため、凸部24は、貫通孔12に押し込むことにより貫通孔12を容易に通過でき、貫通孔12から簡単に外れないようにすることができる。凹部11と閉塞部23とは、接着剤を介在させて固定することもできる。かかる固定により、閉塞部23をその径方向に膨張しにくくすることができ、その結果、伸縮袋体2が径方向に過度に膨張するのを抑制できる。なお、凹部11、貫通孔12および凸部24は、必須の構成ではなく、台座11および伸縮袋体2にそれぞれ形成しなくても良い。
【0027】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係る噴射容器について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0028】
図3は、本発明の第二実施形態に係る噴射容器の斜視図(3A)およびその噴射容器のキャップを外して底部に取り付けた状態の噴射容器の斜視図(3B)を、それぞれ示す。
【0029】
第二実施形態に係る噴射容器1aは、伸縮袋体2の底部に相当する閉塞部23に、保持部としてのキャップ40を着脱自在に備える点で、第一実施形態に係る噴射容器1aと大きく異なる。閉塞部23は、第一実施形態で説明した凸部24と類似の構造を持つ凸部24aを備える。キャップ40は、蓋部材3側(アクチュエーター5の上方)を覆う蓋としての役割も兼ね備える。キャップ40は、その天面に、内側に窪む凹部41を備える。凹部41は、その略中央に、下方に貫通する貫通孔42を備える。凸部24aは、貫通孔42より少し大きく形成されている。このため、凸部24aは、貫通孔42に押し込むことにより貫通孔42を容易に通過でき、貫通孔42から簡単に外れないようにすることができる。なお、凹部41、貫通孔42および凸部24aは、必須の構成ではなく、キャップ40および伸縮袋体2にそれぞれ形成しなくても良い。その場合、例えば、キャップ40の天面に突出部を形成し、閉塞部23に内方に窪む凹部を形成し、それらを結合可能にしても良い。
【0030】
図4は、
図3の噴射容器の変形例の斜視図(4A)および当該変形例のキャップを外して底部に取り付けた状態の噴射容器の斜視図(4B)を、それぞれ示す。
【0031】
図4に示す噴射容器1bは、アクチュエーター5の上方に着脱自在に被せるキャップ40のさらに上方から別のキャップである第二キャップ50を被せ、当該第二キャップ50を、噴射容器1bを載置場所に保持するための保持部として利用する容器である。すなわち、蓋部材3側を覆う二重のキャップの内の一方のキャップを保持具として利用している点で、前述の噴射容器1aと異なる。第二キャップ50は、その天面に、内側に窪む凹部51を備える。凹部51は、その略中央に、下方に貫通する貫通孔52を備える。凸部24aは、貫通孔52より少し大きく形成されている。このため、凸部24aは、貫通孔52に押し込むことにより貫通孔52を容易に通過でき、貫通孔52から簡単に外れないようにすることができる。なお、凹部51、貫通孔52および凸部24aは、必須の構成ではなく、第二キャップ50および伸縮袋体2にそれぞれ形成しなくても良い。その場合、例えば、第二キャップ50の天面に突出部を形成し、閉塞部23に内方に窪む凹部を形成し、それらを結合可能にしても良い。また、内側のキャップであるキャップ40を保持部として利用し、第二キャップ50を、蓋部材3側を覆うだけのキャップとして用いても良い。その場合、キャップ40の構造を、前述の噴射容器1aのキャップ40と同様の構造とするのが好ましい。
【0032】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態に係る噴射容器について説明する。第三実施形態において、前述の各実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0033】
図5は、本発明の第三実施形態に係る噴射容器の斜視図(5A)、その噴射容器をテーブル等に載置した状態の斜視図(5B)、噴射容器に封入物を充填した状態の斜視図(5C)およびその封入物を充填した噴射容器をテーブル等に載置した状態の斜視図(5D)を、それぞれ示す。
【0034】
この実施形態に係る噴射容器1cは、伸縮袋体2の側面から突出する複数の突出部60,61を備える。この実施形態では、3個の突出部60を伸縮袋体2の中央部22の表面に形成し、1個の突出部61を伸縮袋体2の閉塞部23の表面に形成している。突出部60は、(5D)に示すように、主に、封入物30を充填した噴射容器1cをテーブルGに載置したときに、噴射容器1cが転がらないようにするための構成である。突出部60は、伸縮袋体2の周に沿って、完全なる環状ではなく、一部を欠いたU字あるいはC字形状で構成される方が好ましい。突出部60の周方向の長さは、伸縮袋体2の伸縮設計に応じて適宜選択可能である。封入物30を充填した状態の伸縮袋体2が蓋部材3よりもその径方向に膨張している場合、噴射容器1cを横向きにテーブルGに載置すると、転がって、テーブルGから落ちる可能性がある。しかし、突出部60を形成すると、少なくとも2個の突出部60の端部と、伸縮袋体2の中央部22の側面の任意の点との3点で平面を形成できる。この結果、噴射容器1cの転がりを防止することが可能になる。なお、突出部60は、伸縮袋体2の周方向に沿って完全に環状に形成し、その外周に平面を形成するようにしても良い。当該平面によって噴射容器1cの転がりを防止できるからである。また、突出部60は、1個だけを設けても良い。その場合、突出部60の端部と、中央部22の側面の任意の2点とで平面を形成できる。
【0035】
一方、突出部61は、(5B)に示すように、主に、封入物30を充填していない状態若しくは噴射し終えた状態の噴射容器1cをテーブルGに載置したときに、噴射容器1cが転がらないようにするための構成である。突出部61は、伸縮袋体2の周に沿って、完全なる環状ではなく、一部を欠いたU字あるいはC字形状で構成される方が好ましい。また、突出部61の周方向の長さは、伸縮袋体2の伸縮設計に応じて適宜選択可能である。伸縮袋体2が蓋部材3よりも小径の状態の場合でも、噴射容器1cを横向きにテーブルGに載置すると、転がって、テーブルGから落ちる可能性がある。この場合、中央部22に形成された突出部60は、テーブルGに接触せず、噴射容器1cの転がりを防止する機能を発揮し得ない場合がある。閉塞部23の表面に突出部61を形成すると、少なくとも1個の突出部61の端部と、伸縮袋体2の閉塞部23の側面の任意の点と、蓋部材3の任意の点との3点で平面を形成できる。この結果、噴射容器1cの転がりを防止することが可能になる。なお、突出部61は、伸縮袋体2の周方向に沿って完全に環状に形成し、その外周に平面を形成するようにしても良い。当該平面によって噴射容器1cの転がりを防止できるからである。
【0036】
このように、伸縮袋体2は、その外面に突出部60,61を形成することにより、伸縮袋体2が収縮している状態でも、あるいは膨張している状態でも、噴射容器1cがテーブルGから転がり落ちないようにすることができる。突出部60,61は、伸縮袋体2の構成材料と同じ材料で形成し、あるいは異なる材料で形成しても良い。例えば、伸縮袋体2をシリコーンゴムで構成する場合、突出部60,61もシリコーンゴムで形成しても良い。その場合、突出部60,61を伸縮袋体2の製造時に一体成形で形成することもでき、あるいは伸縮袋体2とは別の工程で成形して、伸縮袋体2に接着しても良い。また、伸縮袋体2をシリコーンゴムで構成する場合、突出部60,61をポリカーボネート等のより硬質な樹脂で形成しても良い。その場合、先の例と同様、突出部60,61を一体成形し、あるいは別に成形して伸縮袋体2に接着することもできる。さらに、突出部60,61は、噴射容器1cを載置する場所(この実施形態では、テーブルG)に保持するための保持部の一例に過ぎず、他の形態に代用可能である。
【0037】
図6は、
図5に示す噴射容器の変形例の斜視図(6A)、その変形例をテーブル等に載置した状態の斜視図(6B)、当該変形例の噴射容器に封入物を充填した状態の斜視図(6C)およびその封入物を充填した変形例の噴射容器をテーブル等に載置した状態の斜視図(6D)を、それぞれ示す。
【0038】
この変形例に係る噴射容器1dは、伸縮袋体2の側面においてその長さ方向に細長く形成される1本の突出部65を備える。この実施形態では、突出部65は、伸縮袋体2の中央部22から閉塞部23にかけて、伸縮袋体2の径方向外側に突出するように形成されている。突出部65における中央部22に存在する部位は、(6D)に示すように、主に、封入物30を充填した噴射容器1dをテーブルGに載置したときに、噴射容器1dが転がらないようにするための構成である。突出部65は、中央部22において、1つの成形体であっても、分離配置される2以上の成形体から成るものであっても良い。また、突出部65の長さ、幅および厚さは、伸縮袋体2の伸縮設計に応じて適宜選択可能である。封入物30を充填した状態の伸縮袋体2が蓋部材3よりもその径方向に膨張している場合、噴射容器1dを横向きにテーブルGに載置すると、転がって、テーブルGから落ちる可能性がある。しかし、中央部22に突出部65を形成すると、突出部65の辺と、伸縮袋体2の中央部22の側面上の辺とから平面を形成できる。この結果、噴射容器1dの転がりを防止することが可能になる。なお、突出部65は、伸縮袋体2の周方向に複数本形成されていても良い。その方が噴射容器1dの転がりをより防止できる。
【0039】
一方、突出部65における閉塞部23に存在する部位は、(6B)に示すように、主に、封入物30を充填していない状態若しくは噴射し終えた状態の噴射容器1dをテーブルGに載置したときに、噴射容器1dが転がらないようにするための構成である。突出部65は、閉塞部23において、1つの成形体であっても、分離配置される2以上の成形体から成るものであっても良い。また、突出部65の長さ、幅および厚さは、伸縮袋体2の伸縮設計に応じて適宜選択可能である。伸縮袋体2が蓋部材3よりも小径の状態のときでも、噴射容器1dを横向きにテーブルGに載置すると、転がって、テーブルGから落ちる可能性がある。この場合、中央部22に存在する突出部65は、テーブルGにほとんど接触せず、噴射容器1dの転がりを防止する機能を発揮し得ない場合がある。そこで、閉塞部23の表面に突出部65を形成すると、突出部65の辺と、伸縮袋体2の閉塞部23の側面上の辺若しくは点と、蓋部材3の任意の点とから平面を形成できる。この結果、噴射容器1dの転がりを防止することが可能になる。
【0040】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態に係る噴射容器について説明する。第四実施形態において、前述の各実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0041】
図7は、本発明の第四実施形態に係る噴射容器の斜視図(7A)およびその噴射容器に封入物を充填した状態の斜視図(7B)を、それぞれ示す。
【0042】
この実施形態に係る噴射容器1eは、噴射容器1eを載置する場所に保持するための保持部として、伸縮可能な三脚70を備える。三脚70は、好適には、蓋部材3の側面から伸縮袋体2の外側を囲み、その径方向外側に拡がるように形成されている。(7A)に示すように、伸縮袋体2が収縮している状況では、三脚70の各脚の下方に存在する可動部位71は各脚の筒内に一部を収納した状態になっている。一方、(7B)に示すように、伸縮袋体2が膨張している状況では、三脚70の可動部位71は各脚から突出した状態になっている。すなわち、三脚70の可動部位71は、伸縮袋体2の膨張度合いに応じて、その突出長さを可変自在である。この実施形態では、可動部位71は、筒状の各脚の内部に単に収納可能に構成されているが、バネ等の弾性部品を各脚に配置して、可動部位71が弾性部品の弾性に抗して縮むように設計しても良い。三脚70で形成される空間は、伸縮袋体2の最大限に膨張したときの体積を考慮し、伸縮袋体2の膨張を阻害しないように十分な大きさとするのが好ましい。また、三脚70は、伸縮袋体2の中央部22あるいは閉塞部23に取り付けても良い。その場合、伸縮袋体2の周に沿って伸縮自在なゴム製のベルトに三脚70を取り付けるのが好ましい。
【0043】
<第五実施形態>
次に、本発明の第五実施形態に係る噴射容器について説明する。第五実施形態において、前述の各実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0044】
図8は、本発明の第五実施形態に係る噴射容器を
図1の面Sと同様の面で縦に切断したときの縦断面斜視図(8A)、8Aに示す噴射容器の変形例を上記面で縦に切断したときの縦断面斜視図(8B)および8Aに示す噴射容器のさらなる変形例を上記面で縦に切断したときの縦断面斜視図(8C)を、それぞれ示す。
【0045】
(8A)に示す噴射容器1fは、伸縮袋体2の内部に、芯材80を備える。芯材80は、その構成材料に限定なく、好適には、伸縮袋体2より硬質で伸縮性の低い材料から構成される。例えば、伸縮袋体2をゴムで形成する場合には、芯材80をゴムより硬質な樹脂、金属あるいはセラミックスなどから構成するのが好ましい。芯材80は、好適には、蓋部材3の裏側に固定され、その固定方法については何らの制約も無い。例えば、芯材80の上部を蓋部材3の裏面に接着しても良い。また、芯材80は、その一部を、蓋部材3の裏側にあるバルブ6の直下部位にねじ込む方法により、蓋部材3に固定しても良い。芯材80を伸縮袋体2の内部に配置すると、伸縮袋体2が収縮したときの空間を、芯材80の体積分だけ減らすことができるので、封入物30の残量を減らすことができる。また、封入物30が残り少なくなり、内圧と伸縮袋体2の弾性復帰力のみでは封入物30を外部に噴射困難な場合には、伸縮袋体2の外側から芯材80を握り、蓋部材3側に向かって伸縮袋体3を絞ることにより、残った封入物30を外部に出すことができる。芯材80が存在しない場合でも、そのような操作は可能であるが、伸縮袋体2の内部にそれより硬質な芯材80が存在すれば、伸縮袋体2を折り畳むようなことをしなくても、封入物30を外部に出しやすい。
【0046】
芯材80は、その上面から側面までを貫く貫通路81を有する。貫通路81は、外部と伸縮袋体2の内部との間をつなぐ経路である。外部からの封入物30の充填および伸縮袋体2の内部から外部に封入物30を噴射する際、貫通路81は、封入物30の通過する経路として機能する。貫通路81は、芯材80の上面から側面以外に、当該上面から底面まで貫く経路でも良い。ただし、芯材80を伸縮袋体2の外部から握って封入物30を蓋部材3側に強制的に送る場合、貫通路81の開口部は、芯材80の可能な限り上方の側面であるのが好ましい。封入物30を強制的に送る川下側に近い部位に貫通路81の入口を存在させる方が、外部に封入物30を出しやすいからである。
【0047】
(8B)に示す噴射容器1gは、その径方向内側に向かって環状若しくはスパイラル状に窪む1または複数の溝86を持つ芯材85を備えることもできる。芯材85における溝86以外の構成は、先に述べた芯材80の構成と同一である。溝86を芯材85に形成すると、伸縮袋体2の外側から芯材85を握りやすいというメリットがある。
【0048】
(8C)に示す噴射容器1hは、伸縮袋体2の外側面に、環状若しくはスパイラル状の凸部88を備える。凸部88以外の噴射容器1hの構成は、先に述べた噴射容器1gと同一である。伸縮袋体2の外側面に凸部88を形成すると、伸縮袋体2の外側から芯材85をより握りやすくなるというメリットがある。
【0049】
<第六実施形態>
次に、本発明の第六実施形態に係る噴射容器について説明する。第六実施形態において、前述の各実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0050】
図9は、本発明の第六実施形態に係る噴射容器の斜視図(9A)およびその噴射容器に封入物を充填した状態の斜視図(9B)を、それぞれ示す。
【0051】
この実施形態に係る噴射容器1iは、伸縮袋体2の表面に2種類の表示部91,92を備える。それら表示部91,92の1つは、伸縮袋体2の膨張時に視認容易な第一表示部91であり、表示部91,92のもう1つは、伸縮袋体2の収縮時に第一表示部91よりも視認容易な第二表示部92である。第一表示部91は、伸縮袋体2の収縮時にヒトの目で視認できても、あるいはできなくても良いが、第二表示部92との相対評価において視認困難な表示部である。一方、第二表示部92は、伸縮袋体2の膨張時にヒトの目で視認できても、あるいはできなくても良いが、第一表示部91との相対評価において視認困難な表示部である。第一表示部91と第二表示部92は、伸縮袋体2の伸縮の程度に応じて視認容易性を互いに補完し合う複数の表示部に相当する。ただし、第一表示部91と第二表示部92は、伸縮袋体2の所定の膨張度において、両方視認できても良い。また、第一表示部91および第二表示部92の双方とも視認困難となる形態は、可能な限り避ける方が好ましい。
【0052】
かかる2種類の表示部91,92を伸縮袋体2に備えるのは、商品や企業の情報を掲載するラベルを伸縮自在な容器に印刷あるいは貼付した場合、その伸縮の度合いにより、上記情報の視認性も変化するからである。上記のような2種類の表示部91,92を伸縮袋体2に備えると、封入物30の充填量が変化して伸縮袋体2の大きさが変化しても、第一表示部91または第二表示部92の少なくともいずれか一方はヒトの目で視認容易となる。
【0053】
図10は、
図9の噴射容器の変形例を
図1の面Sと同様の面によって縦に切断したときの一部縦断面斜視図を示す。
図10では、芯材のみを切断せずに、その側面を表示している。
【0054】
この変形例に係る噴射容器1jは、第五実施形態に係る噴射容器1fと同様の芯材80を備える。噴射容器1jに備える芯材80は、伸縮袋体2の外側から視認可能な内方表示部95を備える。これによって、伸縮袋体2の表面に表示部を備えなくても、商品や企業の情報を、伸縮袋体2を通して確認可能となる。なお、芯材80は、内方表示部95を備える対象の一例に過ぎず、伸縮袋体2の内部に芯材80を備えなくても良い。例えば、伸縮袋体2の内部に、商品等の情報を表した短冊を吊るし、当該短冊を、内方表示部95を付す対象としても良い。
【0055】
<第七実施形態>
次に、本発明の第七実施形態に係る噴射容器について説明する。第七実施形態において、前述の各実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0056】
図11は、本発明の第七実施形態に係る噴射容器の外部に商品やメーカー等の情報を付与する各種形態(11A〜D)を示す。
【0057】
この実施形態に係る噴射容器1kは、蓋部材3の上部にアクチュエーター5を備え、蓋部材の下方に伸縮袋体2を固定した容器である。伸縮袋体2は、その径方向にも長さ方向にも伸縮可能であるが、第一実施形態に係る伸縮袋体2と同様、伸縮袋体2の長さ方向の略中央部分の肉厚を大きく構成しており、主に、その長さ方向に伸縮容易に構成されている。
【0058】
(11A)に示す噴射容器1kは、開放系のボックス100に入れられている。ボックス100は、紙、薄い樹脂板などから好適に構成されている。ボックス100は、背面板の下方に、上方に開口する開口部102を備えた収納領域103を有する。噴射容器1kは、収納領域103に挿入される状態でボックス100に入れられている。収納領域103は、その前面に、表示部(この実施形態では「ABC」とする)105を有する。
【0059】
(11B)に示す噴射容器1kは、蓋部材3にクランク型の薄板110を取り付けて成る。薄板110は、紙、薄い樹脂板などから好適に構成されている。薄板110は、それを構成する略水平板に、貫通孔111を有する。噴射容器1kは、蓋部材3から上の部分を貫通孔111から露出するように、薄板110を取り付けている。薄板110は、噴射容器1kの伸縮袋体2の前面に位置する表板112を有する。表板112の前面には、表示部105を有する。
【0060】
(11C)に示す噴射容器1kは、前方に開口部を有する収納領域121を備えたボックス120に入れられている。ボックス120は、紙、薄い樹脂板などから好適に構成されている。ボックス120は、収納領域121の上方に、表示部105を有する。
【0061】
(11D)に示す噴射容器1kは、蓋部材3に取り付けられるリング131と、そのリング131に固定されるチェーン132と、チェーン132の先に取り付けられる札130とを備える。札130は、表示部105を有する。
【0062】
このように、伸縮袋体2は、その中の封入物30の充填量に応じて大きさを変えるが、表示部105は、伸縮袋体2自体に表示されていない。このため、伸縮袋体2の伸縮状態に関わらず、表示部105を容易に視認可能である。
【0063】
<その他の実施形態>
以上、本発明の噴射容器の各実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態に限定されず、種々の変形を施すことができる。
【0064】
例えば、第二実施形態に係る噴射容器1a,1bは、キャップ40のみ、あるいはキャップ40と第二キャップ50をそれぞれ備えるが、キャップを3つ以上備え、その一部を保持部として利用可能にしても良い。また、第六実施形態に係る噴射容器1iは、2種類の表示部91,92を備えるが、3種以上の視認性の異なる表示部を備え、伸縮袋体2の伸縮の程度に合わせて、それら表示部の情報の視認性を補完するようにしても良い。また、複数の表示部に表した情報は、必ずしも同一であることを要しない、第六実施形態を例に挙げると、第一表示部91に表示される情報と、第二表示部92に表示される情報とを完全に異なるように、あるいは一部異なるようにしても良い。
【0065】
本発明の各実施形態は、互いに組み合わせることのできる範囲で、各構成部を組み合わせても良い。例えば、第五実施形態と第六実施形態とを組み合わせて、伸縮袋体2の表面に表示部91,92を備え、伸縮袋体2の内部に芯材80あるいは芯材86を備えても良い。また、第二実施形態と第五実施形態とを組み合わせて、キャップ40を保持部として利用できるようにし、かつ伸縮袋体2の表面に表示部91,92を備えるようにしても良い。さらには、第二キャップ50を保持部として利用できるようにし、かつ伸縮袋体2の表面に表示部91,92を備えるようにしても良い。また、第二実施形態と第三実施形態とを組み合わせて、伸縮袋体2の表面に突出部60,61を備え、かつ蓋部材3側にキャップ40あるいは第二キャップ50を備えても良い。これらは一例に過ぎず、各実施形態中の構成のあらゆる組み合わせが可能である。