(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗浄ポンプの吸込口は、洗浄タンク内に貯留された洗浄水を満遍なく循環させたり、いわゆるエア噛みを防いだりするために、洗浄タンクの底面付近に設けられることが多い。このような場合に、ポンプガードが洗浄タンクの側壁に固定ネジ等により固定されていると、ポンプガードと洗浄タンクの底面との隙間が小さいため、ポンプガード(特にポンプガードの下面)の清掃作業が困難となる。また、固定ネジを外してポンプガードを取り外せば、ポンプガードの清掃を行うことはできるが、洗浄タンクの底面付近にポンプガードを取り付けている場合には、ポンプガードの着脱作業が非常に困難である。また、清掃作業の際に外した固定ネジ等の部材を紛失するおそれもある。
【0005】
一方、例えば上記特許文献1には、ポンプガードを洗浄タンクの側壁に固定ネジ等で固定せず、洗浄ポンプの吸込側に係合片を設け、ポンプガードに設けた係止片を当該係合片に係止する構成の食器洗浄機が記載されている。しかしながら、このような食器洗浄機であっても、ポンプガード(特にポンプガードの下面)を清掃するためには、やはりポンプガードを洗浄タンクの側壁から取り外す必要があるため手間がかかる。
【0006】
そこで、本発明は、ポンプガードの清掃作業の負担を軽減することができる食器洗浄機用のポンプガードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、洗浄タンクの側面に設けられた洗浄ポンプ吸込口を内側から覆う食器洗浄機用のポンプガードであって、洗浄タンクの側面に対して配置され、吸込口に対応する吸込開口を有する環状の取付板と、取付板に対して吸込開口を覆うように固定され、複数のフィルタ孔を有するポンプガード本体と、を備え、取付板は、洗浄タンクの側面に対して固定された複数のネジによって、吸込口の周りで回転可能に係止されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る食器洗浄機用のポンプガードによれば、取付板が吸込口の周りで回転可能とされていることにより、通常時におけるポンプガード本体の下面を上方に回転移動させることができる。これにより、通常時において清掃しにくいポンプガード本体の下面を、ポンプガードの着脱を行うことなく清掃することができる。しかも、ポンプガード本体を清掃する際に、ネジを完全に外してポンプガードを洗浄タンクの側面から取り外す必要がなく、清掃の際にネジ等の部材が紛失するおそれがない。従って、この食器洗浄機用のポンプガードによれば、ポンプガードの清掃作業の負担を軽減することができる。
【0009】
本発明に係る食器洗浄機用のポンプガードでは、ポンプガード本体の上面側には、フィルタ孔が設けられていない非フィルタ領域が形成され、取付板は、取付板の回転方向に沿って延在する少なくとも一対の長孔を有しており、ポンプガード本体は、取付板の少なくとも一対の長孔にネジがそれぞれ挿通されることで、非フィルタ領域が上方を向く範囲内に回転範囲が規制されていてもよい。
非フィルタ領域を上方に向けることにより、通常時においてポンプガード本体の上面に配置されるフィルタ孔の数を少なくでき、洗浄タンク内の異物をポンプガード内に吸い込みにくくすることができる。本発明に係る食器洗浄機用のポンプガードによれば、ポンプガード本体の回転可能な範囲が、非フィルタ領域が上方を向く範囲内に規制される。これにより、ポンプガード本体を回転させてポンプガード本体の側面全周の清掃を行った後に、非フィルタ領域が上方を向くようにポンプガード本体の位置決めを行うといった作業者の手間を省くことができる。
【0010】
本発明に係る食器洗浄機用のポンプガードでは、上記一対の長孔は、取付板の回転方向及び上下方向に沿うように延在しており、ポンプガード本体は、複数のネジにより、取付板の長孔に沿って上下方向にスライド可能に係止されていてもよい。
本発明に係る食器洗浄機用のポンプガードによれば、一対の長孔が、取付板の回転方向に沿うと共に上下方向にも沿うように延在しているため、ポンプガード本体を上下方向にスライドさせることができる。これにより、ポンプガードを清掃する際には、ポンプガード本体を上方にスライドさせることで、ポンプガード本体の下面及びポンプガード下方の洗浄タンク底面の清掃を容易に行うことができる。
【0011】
本発明に係る食器洗浄機用のポンプガードでは、ポンプガード本体の上面側には、フィルタ孔が設けられていない非フィルタ領域が形成され、取付板は、ネジを挿通させるための丸孔及び長孔を有し、長孔は、丸孔に挿通されたネジを中心とする円に沿って延在しており、ポンプガード本体は、丸孔及び長孔にネジがそれぞれ挿通されることで、非フィルタ領域が上方を向く範囲内に回転範囲が規制されていてもよい。
本発明に係る食器洗浄機用のポンプガードによれば、ポンプガード本体を、丸孔に挿通されたネジを中心軸として、回転させることができる。これにより、ポンプガードを清掃する際には、ポンプガードを回転させることで、ポンプガード本体の下面の清掃を容易に行うことができる。また、ポンプガード本体の回転可能な範囲が、非フィルタ領域が上方を向く範囲内に規制されるので、ポンプガードの清掃後に、非フィルタ領域が上方を向くようにポンプガード本体の位置決めを行うといった作業者の手間を省くことができる。
【0012】
本発明に係る食器洗浄機用のポンプガードでは、吸込開口は円形状の開口であり、取付板は、取付板の回転方向に沿って延在する長孔と、吸込開口の一部を外側に切り欠いて形成された切り欠き溝と、を有し、ポンプガードは、長孔にネジが挿通されると共に切り欠き溝に他のネジの軸部が掛けられることで、他のネジを中心として回転可能に係止されていてもよい。
本発明に係る食器洗浄機用のポンプガードによれば、ポンプガード本体は、切り欠き溝に掛けられた他のネジを中心として回転可能であるため、ポンプガード本体の下面及びポンプガード下方の洗浄タンク底面の清掃を容易に行うことができる。また、取付板の吸込開口にネジを掛けるための切り欠き溝を設けたことで、吸込開口以外に長孔を一つだけ設ける構成となっている。このため、吸込開口以外に一対の孔部を設ける場合と比較して、取付板における吸込開口の高さ位置を下げることができる。これにより、洗浄タンクの側面に対するポンプガードの位置を高くすることが可能となり、ポンプガード本体の下面と洗浄タンク底面との隙間を大きくすることができる。従って、この食器洗浄機用のポンプガードによれば、ポンプガードの清掃作業の負担を軽減することができる。
【0013】
本発明に係る食器洗浄機用のポンプガードでは、ネジの軸部には、円筒状のカラー部材が通されており、カラー部材の先端側には、洗浄タンクの側面に当接する先端面と、先端面の周囲に形成され、上記側面から離間する段差部と、が形成され、取付板の一部は、カラー部材の段差部と上記側面との間の隙間に入り込んでいてもよい。
本発明に係る食器洗浄機用のポンプガードによれば、カラー部材を用いることで、取付板を洗浄タンクの側面に対して完全に固定せずに取り付けることが容易となる。すなわち、取付板が吸込口の周りで回転可能なように、取付板を洗浄タンクの側面に対して取り付けることが容易となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、食器洗浄機用のポンプガードの清掃作業の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
[食器洗浄機について]
図1に示す食器洗浄機1は、いわゆるドア型食器洗浄機である。この食器洗浄機1は、ステンレス製の本体ケース2を有する。この本体ケース2の内部は、食器Dを収容して食器の洗浄を行うための洗浄室Rとして機能する。本体ケース2の左側方には、使用者が運転モードや設定を入力するための操作パネル3が設けられている。
【0018】
本体ケース2には、洗浄室R内に食器Dを出し入れするためのドア4が取り付けられている。洗浄室R内には、ラックレール(図示せず)が設けられ、このラックレール上に、食器Dが並べられた食器ラック(図示せず)が載置される。
【0019】
洗浄室R内の上部には、放射状に延びる3本のアームからなる上側洗浄ノズル5と、2本のアームからなる上側濯ぎノズル6とがそれぞれ回転自在に配置されている。同様に、洗浄室R内の下部には、例えば放射状に延びる3本のアームからなる下側洗浄ノズル7と、2本のアームからなる下側濯ぎノズル8とがそれぞれ回転自在に配置されている。これにより、食器ラックに並べられた食器Dには、洗浄工程において洗浄ノズル5,7によって上下から洗浄水が噴射され、濯ぎ工程において濯ぎノズル6,8によって上下から濯ぎ水が噴射されるため、食器Dの洗浄及び濯ぎが効率良く行われる。
【0020】
このように構成された洗浄室Rの下方には、洗浄水を貯留するための洗浄タンク9が形成されている。この洗浄タンク9には、洗浄水の水位を検知するための水位検知スイッチ10が設けられている。水位検知スイッチ10は、洗浄タンク9内の水位が所定水位Hを超えている場合にONとなり、所定水位H以下の場合にOFFとなるスイッチである。
【0021】
また、洗浄タンク9には、上下方向に延びるオーバーフローパイプ11が設けられている。オーバーフローパイプ11の上端は、洗浄タンク9の上縁を僅かに超えて洗浄室R内に位置しており、下端は洗浄タンク9の底面9aから外へ突出している。洗浄タンク9内の余剰な洗浄水は、オーバーフローパイプ11上端の流入孔から管内に流れ込んで外部に排出される。このオーバーフローパイプ11は、洗浄タンク9に対して取り外し可能に構成されている。使用者がオーバーフローパイプ11を取り外すことで、オーバーフローパイプ11が差し込まれていた排水口が洗浄タンク9の底面9aに露出し、洗浄タンク9内の洗浄水を完全に排水することができる。
【0022】
この洗浄タンク9の側面には、洗浄水吸込管13を介して洗浄ポンプ14が接続されている。洗浄タンク9の洗浄水吸込管13が取り付けられた吸込口9cには、ポンプガード12が設けられている(詳しくは後述する)。
【0023】
洗浄ポンプ14の吐出口には洗浄水吐出管15が接続され、この洗浄水吐出管15は、第1の洗浄水吐出管16と第2の洗浄水吐出管17とに分岐して、第1の洗浄水吐出管16は上側洗浄ノズル5に接続され、第2の洗浄水吐出管17は下側洗浄ノズル7に接続されている。
【0024】
また、食器洗浄機1は、濯ぎ水が貯留される貯湯タンク18を有している。この貯湯タンク18には、外部の給湯器(図示せず)から給湯管21を介して濯ぎ水が供給される。給湯管21には、ストレーナ19及びウォータバルブ20が設けられている。貯湯タンク18内には、温水である濯ぎ水を所定温度に維持するための濯ぎ水ヒータ22と、この濯ぎ水の温度を検知するための水温センサ23とが設置されている。
【0025】
また、貯湯タンク18には、濯ぎ水吸込管24を介して濯ぎポンプ25が接続されている。この濯ぎポンプ25の吐出口には濯ぎ水吐出管26が接続されている。濯ぎ水吐出管26は、第1の濯ぎ水吐出管27と第2の濯ぎ水吐出管28とに分岐して、第1の濯ぎ水吐出管27は上側濯ぎノズル6に接続され、第2の濯ぎ水吐出管28は下側濯ぎノズル8に接続されている。
【0026】
食器洗浄機1には、動作全般を制御するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)30が内蔵された電装ボックス31が設けられている。
【0027】
また、食器洗浄機1には、外付け用の洗剤供給ポンプ32が取り付けられている。洗剤供給ポンプ32は、洗剤タンク33内に貯留された洗剤を洗浄室Rに供給するためのベローズポンプである。洗剤供給ポンプ32は、洗浄室Rの側壁に接続された洗剤吐出管34と接続され、信号線によりマイコン30に接続されている。洗剤供給ポンプ32は、マイコン30から出力される信号に応じて動作し、接続された洗剤吸込管35から洗剤タンク33内の洗剤を吸い込み、洗剤吐出管34へ所定量の洗剤を吐出する。この洗剤は、洗剤吐出管34の先端に設けられ、洗浄室Rと洗剤吐出管34とを接続する洗剤吐出口36から洗浄室R内に吐出される。洗浄室R内に吐出された洗剤は、洗浄室Rの下方の洗浄タンク9内に流れ込み洗浄水と混入される。
【0028】
さらに、食器洗浄機1には、外付け用のリンス剤供給ポンプ37が取り付けられている。リンス剤供給ポンプ37は、リンス剤タンク38内に貯留されたリンス剤を濯ぎ水路に供給するためのものである。リンス剤供給ポンプ37は、濯ぎ水吐出管26と連通するリンス剤吐出管39に接続され、信号線によりマイコン30に接続されている。リンス剤供給ポンプ37は、マイコン30から出力される信号に応じて動作し、接続されたリンス剤吸込管40からリンス剤タンク38内の洗剤を吸い込み、リンス剤吐出管39へリンス剤を吐出する。リンス剤は、リンス剤供給ポンプ37によってリンス剤吐出管39から濯ぎ水吐出管26内の濯ぎ水路へ吐出され、濯ぎ水に混入される。
【0029】
[第1実施形態]
図2〜
図5を用いて、第1実施形態に係るポンプガード12の構成及び取付構造について説明する。
図2及び
図3に示されるように、第1実施形態に係るポンプガード12は、洗浄タンク9の側面9bに設けられた洗浄ポンプ14の吸込口9cを洗浄タンク9の内側から覆うように、吸込口9cの周縁部に取り付けられている。
【0030】
吸込口9cの周縁部には、同一円周上に等間隔に3つのネジ孔9dが設けられており、各ネジ孔9dに対して、ネジ41が締め込まれている。ネジ41の軸部41aには、円筒状のカラー部材42が通されている。詳しくは後述するが、ポンプガード12の取付板43は、洗浄タンク9の側面9bに対して固定された複数(ここでは3つ)のネジ41及びカラー部材42によって、吸込口9cの周りで回転可能に係止されている。
【0031】
図4(a)は、ポンプガード12の側面図であり、
図4(b)及び
図4(c)は、
図4(a)のポンプガード12を図示右側から見た場合(ポンプガード12を蓋部45側から見た場合)の取付板43及び蓋部45を示した図である。
図4(a)においては、ポンプガード12が洗浄タンク9の側面9bに係止された場合のネジ41及びカラー部材42の位置を破線で示している。また、
図4(b)においては、ポンプガード12が洗浄タンク9の側面9bに係止された場合のカラー部材42の位置を破線で示している。具体的には、カラー部材42の先端面42aの外縁と段差部42bの外縁とを破線で示している(
図5参照)。
【0032】
図4に示されるように、ポンプガード12は、取付板43、筒状部44、及び蓋部45を備え、外観略円柱状に形成されている。本実施形態では、筒状部44と蓋部45とを併せた部分が、ポンプガード本体Bを構成する。
【0033】
取付板43は、洗浄タンク9の側面9bと平行な取付面部43bと、取付面部43bの縁部に立設される側面部43cとを有する。取付面部43bは、吸込口9cに対応する吸込開口43aを有し、円環状に形成されている。
【0034】
筒状部44は、一端側の開口部44aと他端側の開口部44bとの間に側面部44cを有して円筒状に設けられている。側面部44cには、洗浄タンク9内の洗浄水を吸い込むための複数のフィルタ孔44dが設けられている。本実施形態では、取付板43の側面部43cの内側に筒状部44の一端側の開口部44aが嵌め込まれることで、取付板43は、筒状部44に接続されている。
【0035】
蓋部45は、取付面部43bと平行な蓋面部45aと、蓋面部45aの縁部に立設される側面部45bとを有する蓋状部材である。側面部45bの内側に筒状部44の他端側の開口部44bが嵌め込まれることで、蓋部45は、筒状部44に接続されている。蓋部45には、ネジ41及びカラー部材42を通すためのネジ通し孔45cが、ネジ孔9dの各位置に対応して3つ設けられている。
【0036】
図5は、取付板43がカラー部材42により係止された状態を示す断面図である。
図5に示されるように、カラー部材42の先端側には、洗浄タンク9の側面9bに当接する先端面42aと、先端面42aの周囲に形成され、側面9bから離間する段差部42bとが形成されている。取付面部43bの吸込開口43aに沿った縁部分は、カラー部材42の段差部42bと側面9bとの間の隙間に入り込んでおり、当該縁部分と段差部42bとの間には、さらに隙間d(d>0)が生じている。これにより、取付面部43bは、洗浄タンク9の側面9bに対して完全に固定されずに係止される。一方、
図4(b)及び
図5に示すように、カラー部材42の先端面42aと段差部42bとを接続する側面42cは、吸込開口43aに沿っている。これにより、取付板43は、当該側面42cをガイドとして、吸込口9cの周りをスムーズに回転することが可能とされている。
【0037】
第1実施形態に係るポンプガード12によれば、取付板43が吸込口9cの周りで回転可能とされていることにより、通常時におけるポンプガード本体Bの下面(側面部44c,側面部45b)を上方に回転移動させることができる。これにより、通常時において清掃しにくいポンプガード本体Bの下面を、ポンプガード12の着脱を行うことなく清掃することが容易となる。しかも、ポンプガード本体Bを清掃する際に、ネジ41を完全に外してポンプガード12を洗浄タンク9の側面9bから取り外す必要がなく、清掃の際にネジ41等の部材が紛失するおそれがない。従って、このポンプガード12によれば、ポンプガード12の清掃作業の負担を軽減することができる。
【0038】
[第2実施形態]
図6〜
図8を用いて、第2実施形態に係るポンプガード50について説明する。既に説明した他の実施形態と同様の構成部分については、詳細な説明を省略する。
図6(a)は、ポンプガード50の側面図であり、
図6(b)及び
図6(c)は、
図6(a)のポンプガード50を図示右側から見た場合(ポンプガード50を蓋部53側から見た場合)の取付板51及び蓋部53を示した図である。
【0039】
図6に示されるように、ポンプガード50は、取付板51、筒状部52、及び蓋部53を備え、外観略円柱状に形成されている。筒状部52と蓋部53とを併せた部分は、ポンプガード本体B1を構成する。筒状部52の各部(一端側の開口部52a、他端側の開口部52b、側面部52c、フィルタ孔52d)の構成は、ポンプガード12の筒状部44と同様である。ただし、筒状部52の側面部52cの上面側には、フィルタ孔52dが設けられていない非フィルタ領域Sが、ポンプガード50の回転方向に沿った一定の範囲において形成されている。また、蓋部53は、ネジ孔9dの各位置に対応して設けられたネジ通し孔53cの位置が異なるだけでその他の構成については、ポンプガード12の蓋部45と同様である。
【0040】
取付板51では、取付面部51bは、吸込口9cに対応する吸込開口51aを有すると共に、吸込開口51aを挟んで一対の長孔54,55を有している。長孔54は、ポンプガード50を蓋部53側から見た場合に吸込開口51aの左側に設けられた長孔であり、長孔55は、ポンプガード50を蓋部53側から見た場合に吸込開口51aの右側に設けられた長孔である。長孔54,55は、取付板51の回転方向に沿って延在している。長孔54,55は、長孔54,55の中央位置にネジ41及びカラー部材42が挿通されている状態において、非フィルタ領域Sが筒状部52の上部中央位置に配置されるように設けられている。なお、本実施形態では、洗浄タンク9の側面9bの吸込口9cを挟んで同じ水平高さの位置にネジ孔9d,9dが設けられており、各ネジ孔9dに対して、ネジ41がカラー部材42を介して締め込まれている。
【0041】
このように、一対の長孔54,55のそれぞれにネジ41及びカラー部材42が挿通される構成としたことにより、取付板51の時計回り・反時計回りの回転範囲が制限される。より具体的には、取付板51は、長孔54に挿通されたカラー部材42の側面42cが長孔54の上端部54aに接触するか、長孔55に挿通されたカラー部材42の側面42cが長孔55の下端部55bに接触するまで反時計周りに回転可能とされており、それ以上は回転できないようになっている。そして、取付板51を反時計回りに最大限回転させても、非フィルタ領域Sが上方を向くようにされている(
図7参照)。
【0042】
同様に、取付板51は、長孔54に挿通されたカラー部材42の側面42cが長孔54の下端部54bに接触するか、あるいは、長孔55に挿通されたカラー部材42の側面42cが長孔55の上端部55aに接触するまで、時計周りに回転可能とされており、それ以上は回転できないようになっている。そして、取付板51を時計回りに最大限回転させても、非フィルタ領域Sが上方を向くようにされている(
図8参照)。
【0043】
非フィルタ領域Sを上方に向けることにより、通常時において筒状部52の上面に配置されるフィルタ孔52dの数を少なくでき、洗浄タンク9内の異物をポンプガード50内に吸い込みにくくすることができる。従って、第2実施形態に係る食器洗浄機用のポンプガード50によれば、ポンプガード本体B1の回転可能な範囲が、非フィルタ領域Sが上方を向く範囲内に規制される。これにより、ポンプガード本体B1を回転させてポンプガード本体B1の側面全周の清掃を行った後に、非フィルタ領域Sが上方を向くようにポンプガード本体B1の位置決めを行うといった作業者の手間を省くことができる。
【0044】
[第3実施形態]
図9及び
図10を用いて、第3実施形態に係るポンプガード60について説明する。既に説明した他の実施形態と同様の構成部分については、詳細な説明を省略する。
図9(a)は、ポンプガード60の側面図であり、
図9(b)及び
図9(c)は、
図9(a)のポンプガード60を図示右側から見た場合(ポンプガード60を蓋部63側から見た場合)の取付板61及び蓋部63を示した図である。
【0045】
図9に示されるように、ポンプガード60は、取付板61、筒状部62、及び蓋部63を備え、外観略円柱状に形成されている。筒状部62と蓋部63とを併せた部分は、ポンプガード本体B2を構成する。ポンプガード本体B2の構成は、ポンプガード本体B1と同様である。
【0046】
取付板61の取付面部61bは、吸込口9cに対応する吸込開口61aを有すると共に、吸込開口61aを挟んで一対の長孔64,65を有している。長孔64は、ポンプガード60を蓋部63側から見た場合に吸込開口61aの左側に設けられた長孔であり、長孔65は、ポンプガード60を蓋部63側から見た場合に吸込開口61aの右側に設けられた長孔である。長孔64,65は、取付板61の回転方向及び上下方向に沿うように延在している。長孔64,65には、ネジ41及びカラー部材42がそれぞれ挿通されている。長孔64,65には、ネジ41及びカラー部材42が挿通されている。通常時には重力によって、長孔64,65の上端部64a,65bが、それぞれ長孔64,65に挿通されたカラー部材42の側面42cに接触した状態で安定する。長孔64,65は、この状態において筒状部62に形成された非フィルタ領域Sが上方を向くように設けられている。なお、本実施形態では、第2実施形態と同様に、洗浄タンク9の側面9bの吸込口9cを挟んだ同じ水平高さの2つの位置にそれぞれネジ孔9dが設けられており、各ネジ孔9dに対して、ネジ41がカラー部材42を介して締め込まれている。
【0047】
第3実施形態に係る食器洗浄機用のポンプガード60によれば、一対の長孔64,65が、取付板61の回転方向に沿うと共に上下方向にも沿うように延在しているため、ポンプガード本体B2を上下方向にスライドさせることができる。すなわち、長孔64,65の下端部64b,65bが、それぞれ長孔64,65に挿通されたカラー部材42の側面42cに接触する位置まで、ポンプガード本体B2を上方にスライドさせることができる(
図10参照)。これにより、ポンプガード60を清掃する際には、ポンプガード本体B2を上方にスライドさせることで、ポンプガード本体の下面(側面部62c,側面部63b)及びポンプガード下方の洗浄タンク9の底面9aの清掃を容易に行うことができる。
【0048】
また、ポンプガード60では、第2実施形態に係るポンプガード50と同様に、取付板61が吸込口9cの周りで回転可能とされている。また、取付板61の回転範囲は、取付板51と同様に、非フィルタ領域Sが上方を向く範囲内に制限されている。このように取付板61が回転可能かつ上下スライド可能な構成は、例えば、横方向(長孔64,65の延在方向に直交する方向)において、長孔64,65とカラー部材42の側面42cとの間に若干のあそびが設けられることで実現されてもよい。すなわち、長孔64,65の横幅がカラー部材42の側面42cの径よりも大きくされていることで、取付板61は、上下スライド可能とされると共に、吸込口9cの周りで一定範囲内において回転可能となる。このポンプガード60によれば、第2実施形態に係るポンプガード50と同様に、ポンプガード本体B2を回転させてポンプガード本体B2の側面全周の清掃を行うことができると共に清掃後に非フィルタ領域Sが上方を向くようにポンプガード本体B2の位置決めを行うといった作業者の手間を省くことができる。
【0049】
[第4実施形態]
図11及び
図12を用いて、第4実施形態に係るポンプガード70について説明する。既に説明した他の実施形態と同様の構成部分については、詳細な説明を省略する。
図11(a)は、ポンプガード70の側面図であり、
図11(b)及び
図11(c)は、
図11(a)のポンプガード70を図示右側から見た場合(ポンプガード70を蓋部73側から見た場合)の取付板71及び蓋部73を示した図である。
【0050】
図11に示されるように、ポンプガード70は、取付板71、筒状部72、及び蓋部73を備え、外観略円柱状に形成されている。筒状部72と蓋部73とを併せた部分は、ポンプガード本体B3を構成する。ポンプガード本体B3の構成は、ポンプガード本体B1と同様である。
【0051】
取付板71の取付面部71bは、吸込口9cに対応する吸込開口71aを有すると共に、吸込開口71aを挟んで丸孔74及び長孔75を有している。丸孔74は、ポンプガード70を蓋部73側から見た場合に吸込開口71aの左側に設けられており、長孔75は、ポンプガード70を蓋部73側から見た場合に吸込開口71aの右側に設けられている。長孔75は、丸孔74を中心とする円に沿って延在するように形成されている。
図11(a)及び
図11(b)に示されるように、丸孔74及び長孔75には、ネジ41及びカラー部材42が挿通されている。通常時には重力によって、長孔75の上端部75aが、長孔75に挿通されたカラー部材42の側面42cに接触した状態で安定する。長孔75は、この状態において筒状部72に形成された非フィルタ領域Sが上方を向くように設けられている。なお、本実施形態では、第2実施形態及び第3実施形態と同様に、洗浄タンク9の側面9bの吸込口9cを挟んだ同じ水平高さの2つの位置にそれぞれネジ孔9dが設けられており、各ネジ孔9dに対して、ネジ41がカラー部材42を介して締め込まれている。
【0052】
ポンプガード本体B3は、丸孔74に挿通されたネジ41を中心軸として、長孔75の下端部75bが長孔75に挿通されたカラー部材42の側面42cに接触する位置まで、回転可能とされている。
図11に示すように丸孔74の位置が取付板71の取付面部71bの中心位置から偏心している場合には、ポンプガード本体B3は、回転しながら上方に移動する(
図12参照)。また、ポンプガード本体は、いずれの状態においても非フィルタ領域Sが上方を向くように移動範囲が制限されている。このような制限をかけることは、例えば長孔75の長さを調整することで可能である。
【0053】
第4実施形態に係る食器洗浄機用のポンプガード70によれば、ポンプガード本体B3を、丸孔74に挿通されたネジ41を中心軸として、回転させることができる。これにより、ポンプガード70を清掃する際には、ポンプガード70を回転させることで、ポンプガード本体B3の下面(側面部72c,側面部73b)の清掃を容易に行うことができる。また、上述したとおり、丸孔74の位置が取付板71の取付面部71bの中心位置から偏心している場合には、ポンプガード本体B3は、回転しながら上方に移動可能となる。この場合には、ポンプガード本体B3の下面と共にポンプガード下方の洗浄タンク9の底面9aの清掃を容易に行うことができる。また、ポンプガード本体の回転可能な範囲が、非フィルタ領域Sが上方を向く範囲内に規制されるので、ポンプガード70の清掃後に、非フィルタ領域Sが上方を向くようにポンプガード本体の位置決めを行うといった作業者の手間を省くことができる。
【0054】
なお、本実施形態における丸孔74は、完全な丸状(円形)でなくともよい。例えば、丸孔74は、ネジ41の形状に合わせて多角形状に形成されていてもよい。
【0055】
[第5実施形態]
図13〜
図15を用いて、第5実施形態に係るポンプガード80について説明する。既に説明した他の実施形態と同様の構成部分については、詳細な説明を省略する。
【0056】
まず、
図15を用いて、比較例に係るポンプガード90の取付板91について説明する。
図15に示されるように、比較例に係るポンプガード90では、一対のダルマ孔(孔部91b,91c)の小穴部分同士の中間位置P1に円形状の吸込開口91aの中心が位置するように、一対の孔部91b,91cを設けられている。これは、取付板91の洗浄タンク9の側面9bに対する密着性を高めるためである。一方、ポンプガード90の下面及びポンプガード90の下方の洗浄タンク9の底面9aの清掃を容易にするという観点からは、洗浄タンク9の側面9bに対するポンプガード90の固定位置を高くすることが好ましい。ここで、ポンプガード90の固定位置を高くするためには、取付板91における吸込開口91aの位置をできるだけ低くする必要がある。そして、取付板91の洗浄タンク9の側面9bに対する密着性を考慮して吸込開口91a及び一対の孔部91b,91cを配置しようとすると、取付板91における吸込開口91aの位置だけでなく、吸込開口91aの両側に位置する一対の孔部91b,91cの位置も同時に下げる必要がある。しかし、取付板91が円形の場合には、取付板91の横幅は、取付板91の中心高さ位置から下側に向かうにつれて短くなるため、取付板91における吸込開口91aの下げ幅には限界がある。
図15に示す例では、吸込開口91a及び一対の孔部91b,91cの高さ位置をこれ以上下げることは困難である。
【0057】
続いて、ポンプガード80の構成について詳細に説明する。
図13(a)は、ポンプガード80の側面図であり、
図13(b)及び
図13(c)は、
図13(a)のポンプガード80を図示右側から見た場合(ポンプガード80を蓋部83側から見た場合)の取付板81及び蓋部83を示した図である。
【0058】
図13に示されるように、ポンプガード80は、取付板81、筒状部82、及び蓋部83を備え、外観略円柱状に形成されている。筒状部82と蓋部83とを併せた部分は、ポンプガード本体B4を構成する。ポンプガード本体B4の構成は、ポンプガード本体B1と同様である。
【0059】
取付板81の取付面部81bは、吸込口9cに対応する円形の吸込開口81aを有すると共に、吸込開口81aの左側に取付板81の回転方向に沿って延在する長孔84を有する。吸込開口81aには、吸込開口81aに対して長孔84が位置する側とは反対側において、吸込開口81aの一部を外側に切り欠いて形成された切り欠き溝85が設けられている。長孔84は、ダルマ孔とされている。長孔84において通常時にネジ41が挿通される小穴部分84aと切り欠き溝85との中間位置P2に吸込開口81aの中心が位置している。長孔84の小穴部分84a及び切り欠き溝85には、ネジ41及びカラー部材42がそれぞれ挿通されている。なお、本実施形態では、第2〜第4実施形態と同様に、洗浄タンク9の側面9bの吸込口9cを挟んだ同じ水平高さの2つの位置にそれぞれネジ孔9dが設けられており、各ネジ孔9dに対して、ネジ41がカラー部材42を介して締め込まれている。
【0060】
ポンプガード本体B4は、切り欠き溝85に掛けられたネジ(他のネジ)41を中心軸として、長孔84の下端部84bが長孔84に挿通されたカラー部材42の側面42cに接触する位置まで、回転しながら上方に移動可能とされている(
図14参照)。
【0061】
第5実施形態に係る食器洗浄機用のポンプガード80によれば、ポンプガード本体B4は、切り欠き溝85に掛けられたネジ(他のネジ)を中心として回転可能であるため、ポンプガード本体B4の下面(側面部82c,側面部83b)及びポンプガード下方の洗浄タンク9の底面9aの清掃を容易に行うことができる。また、ポンプガード80では、取付板81の吸込開口81aにネジ41を掛けるための切り欠き溝85を設けたことで、吸込開口81a以外に長孔84を一つだけ設ける構成となっている。このため、吸込開口91a以外に一対の孔部91b,91cを設ける必要がある比較例に係る取付板91と比較して、取付板81における吸込開口81aの高さ位置を下げることができる。これにより、洗浄タンク9の側面9bに対するポンプガード80の取付位置を高くすることが可能となり、ポンプガード本体B4の下面と洗浄タンク9の底面9aとの隙間を大きくすることができる。従って、この食器洗浄機用のポンプガード80によれば、ポンプガード80の清掃作業の負担を軽減することができ。
【0062】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0063】
例えば、第1〜第5実施形態において、取付板、筒状部、及び蓋部の2以上の部材が一体的に形成されていてもよい。また、必ずしもカラー部材42は必須ではない。例えば、取付板が洗浄タンク9の側面9bに対して完全に固定されないように、ネジ41の頭部を少し浮かせて止めてもよい。また、通常時には、ネジ41によって取付板を洗浄タンク9の側面9bに対して固定しておき、清掃時にネジ41を少し緩めることで取付板を吸込口9cの周りで回転可能に係止するようにしてもよい。このようにしても、清掃時においてネジ41を外したり、ポンプガードを取り外したりすることが不要となるため、清掃作業の負担を軽減することができる。また、第4実施形態において、丸孔74の位置と長孔84の位置とを左右逆にしてもよい。同様に、第5実施形態において、長孔84と切り欠き溝85を設ける位置とを左右逆にしてもよい。