(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145388
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】非接触式通信モジュールおよびカードリーダ
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20170607BHJP
H01Q 7/00 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
G06K19/07 260
H01Q7/00
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-224861(P2013-224861)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-87888(P2015-87888A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】竹内 淳朗
【審査官】
福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−513473(JP,A)
【文献】
特開平11−282993(JP,A)
【文献】
特開2002−335117(JP,A)
【文献】
特開2005−33413(JP,A)
【文献】
特開2006−93842(JP,A)
【文献】
特開2005−303757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
H01Q 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導によって非接触式ICカードと非接触で情報の通信を行う非接触式通信モジュールにおいて、
環状に配置されるアンテナコイルによって構成されるアンテナと接地用の接地パターンとが形成される基板を備え、
前記基板の外面には、前記アンテナに電気的に接続されるアンテナ側ランドと、前記接地パターンに電気的に接続される接地側ランドとが形成され、
前記アンテナ側ランドと前記接地側ランドとの距離は、前記アンテナ側ランドと前記接地側ランドとを半田ブリッジで接続可能な距離となっていることを特徴とする非接触式通信モジュール。
【請求項2】
電磁誘導によって非接触式ICカードと非接触で情報の通信を行う非接触式通信モジュールにおいて、
環状に配置されるアンテナコイルによって構成されるアンテナと前記アンテナを覆うように配置されるシールドパターンと接地用の接地パターンとが形成される基板を備え、
前記基板の外面には、前記シールドパターンに電気的に接続されるシールド側ランドと、前記接地パターンに電気的に接続される接地側ランドとが形成され、
前記シールド側ランドと前記接地側ランドとの距離は、前記シールド側ランドと前記接地側ランドとを半田ブリッジで接続可能な距離となっていることを特徴とする非接触式通信モジュール。
【請求項3】
電磁誘導によって非接触式ICカードと非接触で情報の通信を行う非接触式通信モジュールにおいて、
環状に配置されるアンテナコイルによって構成されるアンテナと前記アンテナを覆うように配置されるシールドパターンと接地用の接地パターンとが形成される基板を備え、
前記基板の外面には、前記アンテナに電気的に接続されるアンテナ側ランドと、前記シールドパターンに電気的に接続されるシールド側ランドと、前記接地パターンに電気的に接続される第1接地側ランドおよび第2接地側ランドとが形成され、
前記アンテナ側ランドと前記第1接地側ランドとの距離は、前記アンテナ側ランドと前記第1接地側ランドとを半田ブリッジで接続可能な距離となっており、
前記シールド側ランドと前記第2接地側ランドとの距離は、前記シールド側ランドと前記第2接地側ランドとを半田ブリッジで接続可能な距離となっていることを特徴とする非接触式通信モジュール。
【請求項4】
前記アンテナ側ランドは、前記アンテナコイルの終端に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または3記載の非接触式通信モジュール。
【請求項5】
前記基板には、前記アンテナとして、前記アンテナコイルとしての第1アンテナコイルによって構成される第1アンテナと、前記アンテナコイルとしての第2アンテナコイルによって構成される第2アンテナとが形成され、
前記第1アンテナコイルの終端と前記第2アンテナコイルの終端とが互いに接続され、
前記アンテナ側ランドは、前記第1アンテナコイルの終端と前記第2アンテナコイルの終端との接続点に電気的に接続されていることを特徴とする請求項4記載の非接触式通信モジュール。
【請求項6】
前記基板は、前記アンテナが形成されるアンテナ層と、前記シールドパターンおよび前記接地パターンが形成されるシールド接地層とを有する多層基板であることを特徴とする請求項2または3記載の非接触式通信モジュール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の非接触式通信モジュールと、前記非接触式通信モジュールが取り付けられる本体部とを備えることを特徴とするカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導によって非接触式ICカードと非接触で情報の通信を行う非接触式通信モジュール、および、この非接触式通信モジュールを備えるカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報が記録される媒体と非接触で情報の通信を行う通信モジュールが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の通信モジュールは、通信処理用のIC(通信処理用IC)とアンテナとを備えている。通信処理用ICとアンテナとは、ローパスフィルタおよび整合回路を介して互いに接続されている。通信処理用IC、ローパスフィルタおよび整合回路は、配線基板に実装されている。整合回路は、アンテナの特性を調整するための回路であり、配線基板に内蔵される電子部品と、配線基板の外面に実装される電子部品とを備えている。特許文献1に記載の通信モジュールでは、所定の定数の電子部品を配線基板の外面に実装することで、アンテナの特性が調整されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−147190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の通信モジュールでは、所定の定数の電子部品を配線基板の外面に実装することでアンテナの特性が調整されているため、通信モジュールの組立が完了した後にアンテナの特性を調整する場合には、配線基板の外面に実装される電子部品を取り換えなければならない。したがって、特許文献1に記載の通信モジュールでは、一旦、通信モジュールの組立が完了すると、その後のアンテナの特性の調整は煩雑である。また、通信モジュールには、電子ボリューム等の可変素子を備える通信モジュールもあり、この通信モジュールでは、完成後に可変素子の調整を行うことで、アンテナの特性を調整することが可能である。しかしながら、この通信モジュールの場合、可変素子の調整をした後に、アンテナが所望の特性に設定されたか否かを確認するための測定機器を使用して、通信モジュールを評価、管理する必要がある。また、この通信モジュールの場合、調整後の可変素子が動かないように接着剤等で可変素子を固定する等の手間が生じる。したがって、この通信モジュールでも、一旦、組立が完了すると、その後のアンテナの特性の調整が煩雑である。
【0005】
そこで、本発明の課題は、組立完了後であっても、アンテナの特性を容易に選択して調整することが可能な非接触式通信モジュールを提供することにある。また、本発明の課題は、かかる非接触式通信モジュールを備えるカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の非接触式通信モジュールは、電磁誘導によって非接触式ICカードと非接触で情報の通信を行う非接触式通信モジュールにおいて、環状に配置されるアンテナコイルによって構成されるアンテナと接地用の接地パターンとが形成される基板を備え、基板の外面には、アンテナに電気的に接続されるアンテナ側ランドと、接地パターンに電気的に接続される接地側ランドとが形成され、アンテナ側ランドと接地側ランドとの距離は、アンテナ側ランドと接地側ランドとを半田ブリッジで接続可能な距離となっていることを特徴とする。
【0007】
本発明の非接触式通信モジュールでは、アンテナに電気的に接続されるアンテナ側ランドと、接地パターンに電気的に接続される接地側ランドとが基板の外面に形成されており、アンテナ側ランドと接地側ランドとの距離は、アンテナ側ランドと接地側ランドとを半田ブリッジで接続可能な距離となっている。そのため、本発明では、非接触式通信モジュールの組立完了後であっても、アンテナ側ランドと接地側ランドとを半田ブリッジによって容易に接続することが可能になる。また、アンテナ側ランドと接地側ランドとを半田ブリッジによって接続することで、アンテナのインピーダンスや寄生容量が変わるため、異なるアンテナの特性を選択することが可能になる。したがって、本発明では、非接触式通信モジュールの組立完了後であっても、アンテナの特性を容易に選択して調整することが可能になる。その結果、非接触式通信モジュールの実際の設置環境や、実際に通信が行われる非接触式ICカードの特性等に応じて、アンテナの特性を容易に調整することが可能になる。
【0008】
また、上記の課題を解決するため、本発明の非接触式通信モジュールは、電磁誘導によって非接触式ICカードと非接触で情報の通信を行う非接触式通信モジュールにおいて、環状に配置されるアンテナコイルによって構成されるアンテナとアンテナを覆うように配置されるシールドパターンと接地用の接地パターンとが形成される基板を備え、基板の外面には、シールドパターンに電気的に接続されるシールド側ランドと、接地パターンに電気的に接続される接地側ランドとが形成され、シールド側ランドと接地側ランドとの距離は、シールド側ランドと接地側ランドとを半田ブリッジで接続可能な距離となっていることを特徴とする。
【0009】
本発明の非接触式通信モジュールでは、アンテナを覆うシールドパターンに電気的に接続されるシールド側ランドと、接地パターンに電気的に接続される接地側ランドとが基板の外面に形成されており、シールド側ランドと接地側ランドとの距離は、シールド側ランドと接地側ランドとを半田ブリッジで接続可能な距離となっている。そのため、本発明では、非接触式通信モジュールの組立完了後であっても、シールド側ランドと接地側ランドとを半田ブリッジによって容易に接続することが可能になる。また、シールド側ランドと接地側ランドとを半田ブリッジによって接続することで、アンテナと非接触式ICカードとの電磁結合の度合いや、シールドパターンを含めたアンテナの寄生容量が変わるため、異なるアンテナの特性を選択することが可能になる。したがって、本発明では、非接触式通信モジュールの組立完了後であっても、アンテナの特性を容易に選択して調整することが可能になる。その結果、非接触式通信モジュールの実際の設置環境や、実際に通信が行われる非接触式ICカードの特性等に応じて、アンテナの特性を容易に調整することが可能になる。
【0010】
さらに、上記の課題を解決するため、本発明の非接触式通信モジュールは、電磁誘導によって非接触式ICカードと非接触で情報の通信を行う非接触式通信モジュールにおいて、環状に配置されるアンテナコイルによって構成されるアンテナとアンテナを覆うように配置されるシールドパターンと接地用の接地パターンとが形成される基板を備え、基板の外面には、アンテナに電気的に接続されるアンテナ側ランドと、シールドパターンに電気的に接続されるシールド側ランドと、接地パターンに電気的に接続される第1接地側ランドおよび第2接地側ランドとが形成され、アンテナ側ランドと第1接地側ランドとの距離は、アンテナ側ランドと第1接地側ランドとを半田ブリッジで接続可能な距離となっており、シールド側ランドと第2接地側ランドとの距離は、シールド側ランドと第2接地側ランドとを半田ブリッジで接続可能な距離となっていることを特徴とする。
【0011】
本発明の非接触式通信モジュールでは、アンテナを覆うシールドパターンに電気的に接続されるシールド側ランドと、アンテナに電気的に接続されるアンテナ側ランドと、接地パターンに電気的に接続される第1接地側ランドおよび第2接地側ランドとが基板の外面に形成されている。また、本発明では、アンテナ側ランドと第1接地側ランドとの距離は、アンテナ側ランドと第1接地側ランドとを半田ブリッジで接続可能な距離となっており、シールド側ランドと第2接地側ランドとの距離は、シールド側ランドと第2接地側ランドとを半田ブリッジで接続可能な距離となっている。そのため、本発明では、非接触式通信モジュールの組立完了後であっても、アンテナ側ランドと第1接地側ランドとを半田ブリッジによって容易に接続すること、および、シールド側ランドと第2接地側ランドとを半田ブリッジによって容易に接続することが可能になる。また、アンテナ側ランドと第1接地側ランドとを半田ブリッジによって接続することで、アンテナのインピーダンスや寄生容量が変わるため、異なるアンテナの特性を選択することが可能になる。また、シールド側ランドと第2接地側ランドとを半田ブリッジによって接続することで、アンテナと非接触式ICカードとの電磁結合の度合いや、シールドパターンを含めたアンテナの寄生容量が変わるため、異なるアンテナの特性を選択することが可能になる。したがって、本発明では、非接触式通信モジュールの組立完了後であっても、アンテナの特性を容易に選択して調整することが可能になる。その結果、非接触式通信モジュールの実際の設置環境や、実際に通信が行われる非接触式ICカードの特性等に応じて、アンテナの特性を容易に調整することが可能になる。
【0012】
本発明において、アンテナ側ランドは、アンテナコイルの終端に電気的に接続されていることが好ましい。このように構成すると、アンテナ側ランドと接地側ランドとが半田ブリッジで接続されても、アンテナコイルの終端まで確実に電流を流すことが可能になる。
【0013】
本発明において、たとえば、基板には、アンテナとして、アンテナコイルとしての第1アンテナコイルによって構成される第1アンテナと、アンテナコイルとしての第2アンテナコイルによって構成される第2アンテナとが形成され、第1アンテナコイルの終端と第2アンテナコイルの終端とが互いに接続され、アンテナ側ランドは、第1アンテナコイルの終端と第2アンテナコイルの終端との接続点に電気的に接続されている。この場合には、アンテナ側ランドと接地側ランドとが半田ブリッジで接続されても、第1アンテナコイルの終端および第2アンテナコイルの終端まで確実に電流を流すことが可能になる。
【0014】
本発明において、たとえば、基板は、アンテナが形成されるアンテナ層と、シールドパターンおよび接地パターンが形成されるシールド接地層とを有する多層基板である。
【0015】
本発明の非接触式通信モジュールは、この非接触式通信モジュールが取り付けられる本体部を備えるカードリーダに用いることができる。このカードリーダでは、非接触式通信モジュールの組立完了後であっても、アンテナの特性を容易に選択して調整することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の非接触式通信モジュールおよびカードリーダでは、非接触式通信モジュールの組立完了後であっても、アンテナの特性を容易に選択して調整することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる非接触式通信モジュールの表側を示す図である。
【
図2】
図1に示す非接触式通信モジュールの構成を説明するための模式図である。
【
図3】
図1に示す非接触式通信モジュールの構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(非接触式通信モジュールの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる非接触式通信モジュール1の表側を示す図である。
図2は、
図1に示す非接触式通信モジュール1の構成を説明するための模式図である。
図3は、
図1に示す非接触式通信モジュール1の構成を説明するためのブロック図である。
【0020】
本形態の非接触式通信モジュール1は、電磁誘導によって非接触式ICカード(図示省略)と非接触で情報の通信を行うためのモジュールである。この非接触式通信モジュール1は、カードリーダ(図示省略)に取り付けられて使用される。このカードリーダは、非接触式通信モジュール1が取り付けられる本体部を備えている。また、このカードリーダは、たとえば、ATM(Automated Teller Machine)等の所定の上位装置に搭載されて使用される。
【0021】
非接触式通信モジュール1は、基板2を備えている。基板2は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、略長方形の平板状に形成されている。非接触式通信モジュール1は、基板2の表側の面(おもて面)2aがカードリーダで処理される非接触式ICカードと対向するように、カードリーダの本体部に取り付けられている。
【0022】
基板2には、非接触式ICカードと情報の通信を行ったり、非接触式ICカードに電力を供給するためのアンテナ4、5と、アンテナ4、5を覆うように配置されるシールドパターン6と、接地用の接地パターンとが形成されている。また、基板2には、信号処理回路部8が実装されている。接地用パターンは、たとえば、基板2の、信号処理回路部8が実装された部分に形成されている。
【0023】
また、基板2は、複数の導体層と絶縁層とが交互に積み重ねられた多層基板である。具体的には、基板2は、シールドパターン6および接地パターンが形成されるシールド接地層と、アンテナ4が形成されるアンテナ層(第1アンテナ層)と、回路パターンが形成されていないダミー層と、アンテナ5が形成されるアンテナ層(第2アンテナ層)と、これらの間に配置される絶縁層とが交互に積み重ねられた4層基板である。シールド接地層と第1アンテナ層とダミー層と第2アンテナ層とは、基板2のおもて面2aから裏面に向かってこの順番に配置されている。
【0024】
アンテナ4は、円環状に配置されるアンテナコイル9によって構成され、アンテナ5は、円環状に配置されるアンテナコイル10によって構成されている。すなわち、アンテナ4、5は円環状に形成されている。アンテナコイル9の終端とアンテナコイル10の終端とは互いに接続されている。本形態のアンテナ4は、第1アンテナであり、アンテナ5は、第2アンテナであり、アンテナコイル9は、第1アンテナコイルであり、アンテナコイル10は、第2アンテナコイルである。
【0025】
シールドパターン6は、基板2のおもて面2a側からアンテナ4、5の略全体を覆う円弧状に形成されている。このシールドパターン6は、たとえば、略半円弧状に形成される2個のシールドパターン部6aによって構成されており、2個のシールドパターン部6aは、その周方向の端部同士の間に隙間をあけた状態で形成されている。すなわち、シールドパターン6には、その周方向における2箇所に切れ目Gが形成されている。そのため、電磁誘導によってシールドパターン6に生じる電流がシールドパターン6を回るように流れることはない。なお、シールドパターン6の周方向における切れ目Gの箇所は、1箇所であっても良いし、3箇所以上であっても良い。
【0026】
信号処理回路部8は、集積回路からなる制御回路12を備えている。制御回路12には、フィルタ回路13および整合回路14を介してアンテナ4、5の一端側が接続され、受信回路15を介してアンテナ4、5の他端側が接続されている。フィルタ回路13は、ローパスフィルタである。整合回路14および受信回路15は、アンテナ4、5の特性を初期設定する機能を果たしている。
【0027】
基板2のおもて面2aあるいは裏面には(すなわち、基板2の外面には)、アンテナ4、5に電気的に接続されるアンテナ側ランド18と、シールドパターン6に電気的に接続されるシールド側ランド19と、接地パターンに電気的に接続される接地側ランド20、21とが形成されている。アンテナ側ランド18は、アンテナコイル9、10の終端に電気的に接続されている。すなわち、アンテナ側ランド18は、アンテナコイル9の終端とアンテナコイル10の終端との接続点CPに電気的に接続されている。また、シールド側ランド19は、たとえば、2個のシールドパターン部6aのうちの一方のシールドパターン部6aの任意の位置に電気的に接続されている。
【0028】
アンテナ側ランド18と接地側ランド20との距離は、アンテナ側ランド18と接地側ランド20とを半田ブリッジSBで接続可能な距離となっている。また、シールド側ランド19と接地側ランド21との距離は、シールド側ランド19と接地側ランド21とを半田ブリッジSBで接続可能な距離となっている。本形態の接地側ランド20は、第1接地側ランドであり、接地側ランド21は、第2接地側ランドである。
【0029】
以上のように構成された非接触式通信モジュール1では、要求されるアンテナ4、5の特性に応じて、アンテナ側ランド18と接地側ランド20とが半田ブリッジSBで接続されたり、接続されなかったりする。また、要求されるアンテナ4、5の特性に応じて、シールド側ランド19と接地側ランド21とが半田ブリッジSBで接続されたり、接続されなかったりする。たとえば、非接触式ICカードとアンテナ4、5との間に一定の隙間が形成された状態で、非接触式ICカードと非接触式通信モジュール1との通信が行われる場合には、シールド側ランド19と接地側ランド21とが接続されない。また、非接触式ICカードとアンテナ4、5とが密着した状態で、非接触式ICカードと非接触式通信モジュール1との通信が行われる場合には、シールド側ランド19と接地側ランド21とが半田ブリッジSBで接続される。
【0030】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、アンテナ4、5に電気的に接続されるアンテナ側ランド18と、シールドパターン6に電気的に接続されるシールド側ランド19と、接地パターンに電気的に接続される接地側ランド20、21とが基板2の外面に形成されている。また、本形態では、アンテナ側ランド18と接地側ランド20との距離は、アンテナ側ランド18と接地側ランド20とを半田ブリッジSBで接続可能な距離となっており、シールド側ランド19と接地側ランド21との距離は、シールド側ランド19と接地側ランド21とを半田ブリッジSBで接続可能な距離となっている。
【0031】
そのため、本形態では、非接触式通信モジュール1の組立完了後であっても、アンテナ側ランド18と接地側ランド20とを半田ブリッジSBによって容易に接続すること、および、シールド側ランド19と接地側ランド21とを半田ブリッジSBによって容易に接続することが可能になる。また、アンテナ側ランド18と接地側ランド20とを半田ブリッジSBで接続することで、アンテナ4、5のインピーダンスや寄生容量が変わるため、異なるアンテナ4、5の特性を選択することが可能になる。また、シールド側ランド19と接地側ランド21とを半田ブリッジSBで接続することで、アンテナ4、5と非接触式ICカードとの電磁結合の度合いや、シールドパターン6を含めたアンテナ4、5の寄生容量が変わるため、異なるアンテナ4、5の特性を選択することが可能になる。したがって、本形態では、非接触式通信モジュール1の組立完了後であっても、アンテナ4、5の特性を容易に選択して調整することが可能になる。その結果、本形態では、非接触式通信モジュール1の実際の設置環境や、カードリーダで処理される実際の非接触式ICカードの特性等に応じて、アンテナ4、5の特性を容易に調整することが可能になる。
【0032】
本形態では、アンテナ側ランド18は、アンテナコイル9の終端とアンテナコイル10の終端との接続点CPに電気的に接続されている。そのため、本形態では、アンテナ側ランド18と接地側ランド20とが半田ブリッジSBで接続されても、アンテナコイル9、10の終端まで確実に電流を流すことが可能になる。
【0033】
なお、アンテナ側ランド18と接地側ランド20とが半田ブリッジSBで接続される場合には、アンテナ4、5で発生する熱を、接地パターンを利用して効率的に放散することが可能になる。また、シールド側ランド19と接地側ランド21とが半田ブリッジSBで接続される場合には、接地用パターンが形成される信号処理回路部8で発生する熱を、シールドパターン6を利用して効率的に放散することが可能になる。
【0034】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0035】
上述した形態では、基板2にシールドパターン6が形成されているが、基板2にシールドパターン6が形成されていなくても良い。この場合には、シールド側ランド19および接地側ランド21が不要になる。この場合であっても、非接触式通信モジュール1の組立完了後に、アンテナ側ランド18と接地側ランド20とを半田ブリッジSBによって容易に接続することが可能になり、アンテナ側ランド18と接地側ランド20とを半田ブリッジSBで接続することで、アンテナ4、5のインピーダンスや寄生容量が変わるため、異なるアンテナ4、5の特性を選択することが可能になる。したがって、非接触式通信モジュール1の組立完了後であっても、アンテナ4、5の特性を容易に選択して調整することが可能になる。
【0036】
上述した形態では、基板2の外面にアンテナ側ランド18が形成されているが、基板2の外面にアンテナ側ランド18が形成されなくても良い。この場合には、接地側ランド20が不要になる。この場合であっても、非接触式通信モジュール1の組立完了後に、シールド側ランド19と接地側ランド21とを半田ブリッジSBによって容易に接続することが可能になり、シールド側ランド19と接地側ランド21とを半田ブリッジSBで接続することで、アンテナ4、5と非接触式ICカードとの電磁結合の度合いや、シールドパターン6を含めたアンテナ4、5の寄生容量が変わるため、異なるアンテナ4、5の特性を選択することが可能になる。したがって、非接触式通信モジュール1の組立完了後であっても、アンテナ4、5の特性を容易に選択して調整することが可能になる。
【0037】
上述した形態では、基板2は4層基板であるが、基板2は両面基板または3層基板であっても良いし、5層以上の多層基板であっても良い。また、上述した形態では、アンテナ4、5は、円環状に形成されているが、アンテナ4、5は、四角環状や六角環状等の多角環状に形成されても良いし、楕円環状等に形成されても良い。この場合であっても、シールドパターン6は、アンテナ4、5を覆うように形成される。ただし、電磁誘導によってシールドパターン6に生じる電流がシールドパターン6を回るように流れることがないように、シールドパターン6の周方向の1箇所以上に切れ目が形成される。
【符号の説明】
【0038】
1 非接触式通信モジュール
2 基板
4 アンテナ(第1アンテナ)
5 アンテナ(第2アンテナ)
6 シールドパターン
9 アンテナコイル(第1アンテナコイル)
10 アンテナコイル(第2アンテナコイル)
18 アンテナ側ランド
19 シールド側ランド
20 接地側ランド(第1接地側ランド)
21 接地側ランド(第2接地側ランド)
CP 接続点
SB 半田ブリッジ