(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の給湯機器を連結したマルチ給湯機器による給湯の熱効率を高めることを前記給湯機器の寿命を調整することよりも優先するように前記複数の給湯機器を制御する熱効率優先モードと、前記給湯機器の寿命を調整することを前記熱効率を高めることよりも優先するように前記複数の給湯機器を制御する寿命調整モードと、のうち何れかの制御モードを設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された制御モードで前記マルチ給湯機器を制御する制御手段と、
を含み、
前記マルチ給湯機器は、複数のガスバーナーを備えた前記給湯機器の負荷率が、前記熱効率が最大となる負荷率よりも大きい第1の閾値より大きい場合は、前記給湯機器を1台増加して運転し、前記給湯機器の負荷率が、前記熱効率が最大となる負荷率よりも小さい第2の閾値未満の場合は、前記給湯機器を1台減らして運転するように制御され、
前記制御手段は、前記設定手段により前記熱効率優先モードが設定された場合、運転中の前記給湯機器の負荷率に対応する第1の熱効率を取得すると共に、運転中の前記給湯機器を1台減らした場合における前記給湯機器の負荷率に対応する第2の熱効率を取得し、前記第2の熱効率が前記第1の熱効率よりも高い場合には、前記第1の閾値に予め定めた第1の定数を加算すると共に前記第2の閾値に予め定めた第2の定数を加算することで、前記第2の熱効率で運転されるように前記マルチ給湯機器を制御する
給湯機器管理装置。
前記制御手段は、前記給湯機器の運転状態を表す運転状態値を取得し、取得した運転状態値に対応する前記給湯機器の消耗率が予め定めた閾値以上の前記給湯機器を注視対象機器として設定し、設定した前記注視対象機器の消耗率が予め定めた出動指令条件を満たす場合は、前記給湯機器の交換を指示する出動指令情報を出力する
請求項1又は請求項2記載の給湯機器管理装置。
前記制御手段は、前記出動指令到来時期が予め定めた期間内に到来する複数の前記給湯機器が存在し、且つ、当該複数の前記給湯機器が異なるエリアに存在する場合、当該複数の前記給湯機器の少なくとも1つの前記給湯機器の前記出動指令到来時期が前記期間外となるように前記少なくとも1つの前記給湯機器の前記出動指令到来時期を調整する
請求項4記載の給湯機器管理装置。
前記制御手段は、前記給湯機器の運転状態を表す運転状態値として前記給湯機器の燃焼ファン回転数を取得し、取得した燃焼ファン回転数が、予め定めた閾値以上の場合に報知する
請求項1〜5の何れか1項に記載の給湯機器管理装置。
前記制御手段は、前記給湯機器の運転状態を表す運転状態値として、前記給湯機器の燃焼時間、発停回数、給湯流量、及び給湯熱量の積算値の少なくとも1つを取得し、取得した前記運転状態値が、前記給湯機器の予防保全時期に対応した閾値以上の場合に報知する
請求項1〜7の何れか1項に記載の給湯機器管理装置。
前記制御手段は、前記給湯機器の運転状態を表す運転状態値として、前記給湯機器の燃焼時間、発停回数、給湯流量、及び給湯熱量の積算値の少なくとも1つを取得し、取得した前記運転状態値が、前記給湯機器の中和器の予防保全時期に対応した閾値以上の場合に報知する
請求項1〜8の何れか1項に記載の給湯機器管理装置。
前記制御手段は、前記給湯機器の運転状態を表す運転状態値として、前記給湯機器の燃焼時間、発停回数、給湯流量、及び給湯熱量の積算値の少なくとも1つを取得し、取得した前記運転状態値が、前記給湯機器のCOセンサの予防保全時期に対応した閾値以上の場合に報知する
請求項1〜9の何れか1項に記載の給湯機器管理装置。
複数の給湯機器を連結したマルチ給湯機器による給湯の熱効率を高めることを前記給湯機器の寿命を調整することよりも優先するように前記複数の給湯機器を制御する熱効率優先モードと、前記給湯機器の寿命を調整することを前記熱効率を高めることよりも優先するように前記複数の給湯機器を制御する寿命調整モードと、のうち何れかの制御モードを設定する設定ステップと、
設定された制御モードで前記マルチ給湯機器を制御する制御ステップと、
を含み、
前記マルチ給湯機器は、複数のガスバーナーを備えた前記給湯機器の負荷率が、前記熱効率が最大となる負荷率よりも大きい第1の閾値より大きい場合は、前記給湯機器を1台増加して運転し、前記給湯機器の負荷率が、前記熱効率が最大となる負荷率よりも小さい第2の閾値未満の場合は、前記給湯機器を1台減らして運転するように制御され、
前記制御ステップは、前記設定ステップにより前記熱効率優先モードが設定された場合、運転中の前記給湯機器の負荷率に対応する第1の熱効率を取得すると共に、運転中の前記給湯機器を1台減らした場合における前記給湯機器の負荷率に対応する第2の熱効率を取得し、前記第2の熱効率が前記第1の熱効率よりも高い場合には、前記第1の閾値に予め定めた第1の定数を加算すると共に前記第2の閾値に予め定めた第2の定数を加算することで、前記第2の熱効率で運転されるように前記マルチ給湯機器を制御する
給湯機器管理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マルチ給湯機器は、設備投資に係る費用負担を軽減するためにレンタル契約が行われることが多い。この場合、レンタル契約の期間に応じて各給湯機器の寿命を調整したい場合がある一方で、給湯機器の寿命の調整よりも燃料の無駄な消費を抑えるために熱効率が高くなるように各給湯機器を運転させたい場合もあり、状況に応じて給湯機器の制御を切り替えたい場合がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の技術は、単に給湯機器の必要能力に基づいて算出した適正台数で給湯機器を制御するだけであり、状況に応じて給湯機器の制御を切り替えることができない、という問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、状況に応じて給湯機器の制御を切り替えることができる給湯機器管理装置、給湯機器管理方法、給湯機器管理プログラム、及び給湯機器管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の給湯機器管理装置は、複数の給湯機器を連結したマルチ給湯機器による給湯の熱効率を高めることを前記給湯機器の寿命を調整することよりも優先するように前記複数の給湯機器を制御する熱効率優先モードと、前記給湯機器の寿命を調整することを前記熱効率を高めることよりも優先するように前記複数の給湯機器を制御する寿命調整モードと、のうち何れかの制御モードを設定する設定手段と、前記設定手段により設定された制御モードで前記マルチ給湯機器を制御する制御手段と、を含
み、前記マルチ給湯機器は、複数のガスバーナーを備えた前記給湯機器の負荷率が、前記熱効率が最大となる負荷率よりも大きい第1の閾値より大きい場合は、前記給湯機器を1台増加して運転し、前記給湯機器の負荷率が、前記熱効率が最大となる負荷率よりも小さい第2の閾値未満の場合は、前記給湯機器を1台減らして運転するように制御され、前記制御手段は、前記設定手段により前記熱効率優先モードが設定された場合、運転中の前記給湯機器の負荷率に対応する第1の熱効率を取得すると共に、運転中の前記給湯機器を1台減らした場合における前記給湯機器の負荷率に対応する第2の熱効率を取得し、前記第2の熱効率が前記第1の熱効率よりも高い場合には、前記第1の閾値に予め定めた第1の定数を加算すると共に前記第2の閾値に予め定めた第2の定数を加算することで、前記第2の熱効率で運転されるように前記マルチ給湯機器を制御する。
【0010】
請求項
2記載の発明は、前記寿命調整モードは、第1の寿命調整モード及び第2の寿命調整モードを含み、前記制御手段は、前記設定手段により前記第1の寿命調整モードが設定された場合、前記複数の給湯機器の消耗率の差が予め定めた範囲内となるように前記マルチ給湯機器を制御し、前記設定手段により前記第
2の寿命調整モードが設定された場合、前記複数の給湯機器のうち一部の給湯機器の消耗率が予め定めた閾値以下となるように前記マルチ給湯機器を制御す
る。
【0011】
請求項
3記載の発明は、前記制御手段は、前記給湯機器の運転状態を表す運転状態値を取得し、取得した運転状態値に対応する前記給湯機器の消耗率が予め定めた閾値以上の前記給湯機器を注視対象機器として設定し、設定した前記注視対象機器の消耗率が予め定めた出動指令条件を満たす場合は、前記給湯機器の交換を指示する出動指令情報を出力する。
【0012】
請求項
4記載の発明は、前記制御手段は、前記給湯機器の運転状態を表す運転状態値を取得し、今回取得した運転状態値に対応する前記給湯機器の消耗率と前回取得した運転状態値に対応する前記給湯機器の消耗率とに基づいて、前記給湯機器の消耗率の増加率を算出する増加率算出手段と、算出した前記給湯機器の消耗率の増加率に基づいて、前記給湯機器の出動指令到来時期を算出する出動指令到来時期算出手段と、を含む。
【0013】
請求項
5記載の発明は、前記制御手段は、前記出動指令到来時期が予め定めた期間内に到来する複数の前記給湯機器が存在し、且つ、当該複数の前記給湯機器が異なるエリアに存在する場合、当該複数の前記給湯機器の少なくとも1つの前記給湯機器の前記出動指令到来時期が前記期間外となるように前記少なくとも1つの前記給湯機器の前記出動指令到来時期を調整する。
【0014】
請求項
6記載の発明は、前記制御手段は、前記給湯機器の運転状態を表す運転状態値として前記給湯機器のCO濃度を取得し、取得したCO濃度が予め定めた閾値以上の場合に報知する。
【0015】
請求項
7記載の発明は、前記制御手段は、前記給湯機器の運転状態を表す運転状態値として前記給湯機器の燃焼ファン回転数を取得し、取得した燃焼ファン回転数が、予め定めた閾値以上の場合に報知する。
【0016】
請求項
8記載の発明は、前記制御手段は、前記給湯機器の運転状態を表す運転状態値として、前記給湯機器の燃焼時間、発停回数、給湯流量、及び給湯熱量の積算値の少なくとも1つを取得し、取得した前記運転状態値が、前記給湯機器の予防保全時期に対応した閾値以上の場合に報知する。
【0017】
請求項
9記載の発明は、前記制御手段は、前記給湯機器の運転状態を表す運転状態値として、前記給湯機器の燃焼時間、発停回数、給湯流量、及び給湯熱量の積算値の少なくとも1つを取得し、取得した前記運転状態値が、前記給湯機器の中和器の予防保全時期に対応した閾値以上の場合に報知する。
【0018】
請求項
10記載の発明は、前記制御手段は、前記給湯機器の運転状態を表す運転状態値として、前記給湯機器の燃焼時間、発停回数、給湯流量、及び給湯熱量の積算値の少なくとも1つを取得し、取得した前記運転状態値が、前記給湯機器のCOセンサの予防保全時期に対応した閾値以上の場合に報知する。
【0019】
請求項
11記載の発明は、前記マルチ給湯機器は、外部機器からの外部信号を入力するための外部信号入力端子を備え、前記制御手段は、前記外部信号を取得し、取得した外部信号が前記外部機器の異常を示す信号である場合に報知する。
【0020】
請求項
12記載の発明の給湯機器管理方法は、複数の給湯機器を連結したマルチ給湯機器による給湯の熱効率を高めることを前記給湯機器の寿命を調整することよりも優先するように前記複数の給湯機器を制御する熱効率優先モードと、前記給湯機器の寿命を調整することを前記熱効率を高めることよりも優先するように前記複数の給湯機器を制御する寿命調整モードと、のうち何れかの制御モードを設定
する設定ステップと、設定された制御モードで前記マルチ給湯機器を制御する
制御ステップと、を含み、前記マルチ給湯機器は、複数のガスバーナーを備えた前記給湯機器の負荷率が、前記熱効率が最大となる負荷率よりも大きい第1の閾値より大きい場合は、前記給湯機器を1台増加して運転し、前記給湯機器の負荷率が、前記熱効率が最大となる負荷率よりも小さい第2の閾値未満の場合は、前記給湯機器を1台減らして運転するように制御され、前記制御ステップは、前記設定ステップにより前記熱効率優先モードが設定された場合、運転中の前記給湯機器の負荷率に対応する第1の熱効率を取得すると共に、運転中の前記給湯機器を1台減らした場合における前記給湯機器の負荷率に対応する第2の熱効率を取得し、前記第2の熱効率が前記第1の熱効率よりも高い場合には、前記第1の閾値に予め定めた第1の定数を加算すると共に前記第2の閾値に予め定めた第2の定数を加算することで、前記第2の熱効率で運転されるように前記マルチ給湯機器を制御する。
【0021】
請求項
13記載の発明の給湯機器管理プログラムは、コンピュータを、請求項1〜
11の何れか1項に記載の給湯機器管理装置の各手段として機能させるための給湯機器管理プログラムである。
【0022】
請求項
14記載の発明の給湯機器管理システムは、複数の給湯機器を連結したマルチ給湯機器と、前記マルチ給湯機器とネットワークを介して接続された請求項1〜
11の何れか1項に記載の給湯機器管理装置と、を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、状況に応じて給湯機器の制御を切り替えることができる、という効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る給湯機器管理システム10の概略構成図である。給湯機器管理システム10は、複数のマルチ給湯機器12と給湯機器管理サーバ14とがネットワーク16を介して接続され相互に通信可能となっている。給湯機器管理サーバ14は、例えばマルチ給湯機器12の運転状態を監視すると共に給湯機器の交換作業等の各種サービスについて管理する管理センターに設けられる。
【0027】
ネットワーク16は、例えばインターネット、専用回線等のネットワークであり、有線・無線を問わない。
【0028】
マルチ給湯機器12は、複数の給湯機器20及びシステムコントローラ22を備えている。複数の給湯機器20は連結されて、架台等であるベース24上に設置される。システムコントローラ22が給湯機器20の運転台数を制御することにより、給湯能力を調整することができる。
【0029】
マルチ給湯機器12は、例えばレンタル契約によってホテルやレストラン等の施設に設置され、水道管から供給された水を設定された温度に昇温し、施設に設けられた給湯設備(厨房、風呂、トイレ等)に給湯する。
【0030】
給湯機器20は、例えばガスを燃料として、ガスを燃焼させることにより水を昇温する熱源ユニットを含んで構成される。本実施形態では、一例として潜熱回収型の熱源ユニットを用いた場合について説明する。潜熱回収型の熱源ユニットは、ガスを燃焼させるガスバーナー、ガスバーナーによって燃焼されたガスによって水を昇温する一次熱交換器、一次熱交換器からの排気ガスによって水を昇温する二次熱交換器、及び二次熱交換器からの排気ガス中に含まれる水蒸気によって生成された凝縮水を中和する中和器等を含んで構成される。
【0031】
水道管から供給された水は、まず二次熱交換器によって昇温され、その後一次熱交換器によって更に昇温される。潜熱回収型の熱源ユニットは、一次熱交換器に加えて二次熱交換器を搭載し、従来では捨てていた排気ガスからエネルギーを回収する。一次熱交換器は、ガスバーナーからの排気ガスを例えば約1500℃から約200℃に下げる。二次熱交換器は、一次熱交換器からの排気ガスを例えば約200℃から約80℃に下げることによる熱回収と同時に、排気ガス中に含まれる水蒸気を水に戻す潜熱回収を行う。潜熱回収型の熱源ユニットは、このような構成により熱効率を高めている。
【0032】
また、給湯機器20は、コントローラ25及びCOセンサ26を備えている。コントローラ25は、後述する運転実績情報をシステムコントローラ22に送信する。COセンサ26は、一酸化炭素の濃度を測定する。
【0033】
システムコントローラ22は、複数の給湯機器20の運転を統括制御する。また、各給湯機器20の運転状態を監視し、各給湯機器20のコントローラ25から運転実績情報を収集して給湯機器管理サーバ14へ送信する。
【0034】
また、システムコントローラ22には、外部信号入力端子が設けられており、外部機器からの外部信号を入力することができる。外部信号は、例えば外部機器の異常の有無を示す信号である。これにより、例えば外部機器を厨房内の冷蔵庫とした場合、システムコントローラ22に入力された冷蔵庫からの外部信号によって、冷蔵庫に異常が発生しているか否かを把握することが可能となる。なお、外部機器としては冷蔵庫に限らず、厨房機器、空調機器、換気設備等でもよい。
【0035】
給湯機器管理サーバ14は、制御部30及び記憶部32を備えている。制御部30は、例えばCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、を備えたコンピュータにより構成される。なお、ROMに代えて不揮発性メモリを用いてもよい。
【0036】
記憶部32は、例えばハードディスク等の二次記憶装置で構成される。記憶部32には、データベース34及び後述する給湯機器管理プログラム36が記憶される。
【0037】
データベース34は、対応情報38、設備情報40、及び運転実績情報42を含む。
【0038】
対応情報38は、マルチ給湯機器12を識別するためのマルチ給湯機器IDと、マルチ給湯機器12を構成する複数の給湯機器20の各々を識別するための給湯機器IDと、の対応関係を表す情報である。
【0039】
設備情報40は、ユーザ側の設備に関する情報を含み、例えばマルチ給湯機器ID、マルチ給湯機器12の制御モード、エリアID、コントローラアドレス、レンタル契約期間、支払状況、ユーザ名、及び所在地等の情報を含む。
【0040】
制御モードは、マルチ給湯機器12の最適化台数制御を行う際の制御方法であり、詳細は後述するが、熱効率優先モード、第1の寿命調整モード、第2の寿命調整モードがある。システムコントローラ22は、給湯機器管理サーバ14から指示された制御モードでマルチ給湯機器12を制御する。
【0041】
エリアIDは、マルチ給湯機器12が設置されるエリアを識別するためのIDである。
図1は、エリアA、Bに複数のマルチ給湯機器12が設置された状態を示している。エリアIDが同一のマルチ給湯機器12は、同一のエリアに設置されていることを示す。すなわち、
図1においてエリアAに設置されたマルチ給湯機器12には同一のエリアIDが付与される。エリアは、例えば市町村単位で分割して定義してもよいし、地域メッシュ単位で分割してもよい。
【0042】
コントローラアドレスは、システムコントローラ22のネットワーク上の位置を特定するものであり、例えば、IP(Internet Protocol)アドレスである。給湯機器管理サーバ14は、このコントローラアドレスを参照して、目的のマルチ給湯機器12が接続されたシステムコントローラ22に各種指示信号を送信する。
【0043】
レンタル契約期間は、マルチ給湯機器12のレンタル契約における契約期間である。支払状況は、レンタル料金の支払に関する情報を含み、例えば、何年何月までレンタル料金を支払い済みであるかを示す情報等を含む。ユーザ名は、ユーザの名称等を示す。所在地は、ユーザの所在地、すなわち、マルチ給湯機器12の設置場所等を示す。
【0044】
運転実績情報42は、給湯機器20の運転実績に関する情報であり、給湯機器ID、給湯機器20の動作状況情報、給湯機器20の運転状態を表す運転状態情報、負荷率情報、消耗率情報、出動指令到来時期情報、中和器情報、COセンサ情報、外部信号情報、及び運転実績情報42の取得日時の対応関係を表す情報である。
【0045】
動作状況情報は、給湯機器20の現在の状況を表す情報であり、例えば「正常動作中」、「停止中」、「異常発生」、及び「センター在庫」の何れかを表す。なお、「センター在庫」は、センターが在庫として保有する交換用の給湯機器であることを示す。「センター在庫」の給湯機器は、未使用新品の給湯機器のみならず、レンタル契約終了その他の理由(レンタル料金未払等)によりセンターがユーザ側の設備から回収した給湯機器であって、交換用の給湯機器としての再利用が可能である給湯機器も含む。
【0046】
運転状態情報は、給湯機器の運転状態を表す情報であり、ガスの燃焼時間、発停回数、給湯流量、及び給湯熱量の少なくとも1つの情報の積算値を含む。なお、発停回数は、給湯を開始して停止するまでを1回として数える。これらの運転状態情報の積算値は給湯機器20の寿命と相関がある。このため、詳細は後述するが、本実施形態では、運転状態情報のうち何れかの運転状態情報の積算値を運転状態値とし、この運転状態値に基づいて各給湯機器20の予防保全処理を行う。
【0047】
負荷率情報は、給湯機器20の負荷率に関する情報であるが、負荷率についての詳細は後述する。
【0048】
消耗率情報は、給湯機器20の消耗率に関する情報であるが、消耗率についての詳細は後述する。
【0049】
出動指令到来時期情報は、給湯機器20の出動指令到来時期を表す情報であるが、出動指令到来時期についての詳細は後述する。
【0050】
中和器情報は、各給湯機器20が備える中和器に関する情報であり、給湯機器IDと、中和剤を補充又は中和器を交換した日時と、の対応関係を表す情報である。
【0051】
COセンサ情報は、各給湯機器20が備えるCOセンサ26に関する情報であり、給湯機器ID、COセンサ26により測定された一酸化炭素濃度の測定値、測定日時、及びCOセンサの交換日時の対応関係を表す情報である。
【0052】
外部信号情報は、各給湯機器20のシステムコントローラ22の外部信号入力端子に入力された外部信号に関する情報であり、給湯機器ID、外部信号の取得日時、及び外部信号が表す外部信号情報の対応関係を表す情報である。
【0053】
次に、給湯機器管理サーバ14の制御部30で実行される給湯管理処理について説明する。制御部30は、記憶部32に記憶された給湯機器管理プログラム36を読み込んで
図2のフローチャートで示す給湯機器管理処理を実行する。なお、
図2に示す処理は、例えば予め定めた所定時間毎に実行される。
【0054】
まず、
図2のステップS100では、複数のマルチ給湯機器12の中から選択したマルチ給湯機器12に対して運転実績情報を送信するよう要求する。
【0055】
ステップS102では、運転実績情報の送信を要求したマルチ給湯機器12から運転実績情報を受信する。
【0056】
ステップS104では、
図3に示す予防保全処理を実行する。
【0057】
ステップS106では、
図4に示す出動指令処理を実行する。
【0058】
ステップS108では、
図5に示す出動時期予測処理を実行する。
【0059】
ステップS110では、
図6に示す最適化台数制御処理を実行する。
【0060】
ステップS112では、全てのマルチ給湯機器12に対して上記の処理を実行したか否かを判断し、全てのマルチ給湯機器12に対して上記の処理を実行した場合は本ルーチンを終了し、未処理のマルチ給湯機器12が存在する場合はステップS100へ戻って上記と同様の処理を繰り返す。
【0061】
次に、
図3の予防保全処理について説明する。
【0062】
まず、ステップS200では、マルチ給湯機器12から送信された運転実績情報に含まれる各給湯機器20のCO濃度を参照し、CO濃度が予め定めた閾値TH1以上である給湯機器20が存在するか否かを判断する。そして、CO濃度が閾値TH1以上である給湯機器20が存在しない場合はステップS202へ移行し、CO濃度が閾値TH1以上である給湯機器20が存在する場合はステップS204へ移行する。なお、閾値TH1は、CO濃度が閾値TH1以上の場合は一酸化炭素中毒又は給湯機器20が故障する虞があると判断できる値に設定される。
【0063】
ステップS204では、CO濃度が閾値TH1以上である給湯機器20を点検又は交換すべきであることを給湯機器管理サーバ14に報知する。これにより、管理センターでは、CO濃度が閾値TH1以上である給湯機器20を点検又は交換すべきであることを把握することができ、給湯機器20の点検又は交換作業を行うよう従業員に指示することができる。
【0064】
このように、CO濃度が閾値TH1以上の場合には、CO中毒(一酸化炭素中毒)又は給湯機器20が故障する虞があるものとして、給湯機器20の点検又は交換を促すことができるので、CO中毒の発生を給湯機器20の故障を未然に防ぐことができる。
【0065】
一方、ステップS202では、マルチ給湯機器12から送信された運転実績情報に含まれる各給湯機器20の燃焼ファン回転数を参照し、燃焼ファン回転数が予め定めた閾値TH2以上である給湯機器20が存在するか否かを判断する。そして、燃焼ファン回転数が閾値TH2以上である給湯機器20が存在する場合はステップS204へ移行し、燃焼ファン回転数が閾値TH2以上である給湯機器20が存在しない場合はステップS206へ移行する。なお、閾値TH2は、燃焼ファン回転数が閾値TH2以上の場合は一酸化炭素中毒又は給湯機器20が故障する虞があると判断できる値に設定される。
【0066】
ステップS204では、燃焼ファン回転数が閾値TH2以上である給湯機器20を点検又は交換すべきであること給湯機器管理サーバ14に報知する。これにより、管理センターでは、燃焼ファン回転数が閾値TH2以上である給湯機器20を点検又は交換すべきであることを把握することができ、給湯機器20の点検又は交換作業を行うよう従業員に指示することができる。
【0067】
通常、給湯機器20は、一酸化炭素中毒や給湯機器20の故障を未然に防ぐために、風量センサによって測定した空気量から燃焼状態を表す空気比を推定し、推定した空気比が閾値未満になった場合は、燃焼ファン回転数を上げて空気比が閾値以上となるように燃焼改善動作を実行する。また、燃焼ファン回転数を上げ続けて限界に達した場合は、最大燃焼量、すなわち給湯能力を定格値の所定割合(通常1/2)まで低下させた状態(インプットダウン状態)で運転し、インプットダウン状態が所定時間継続すると安全確保のために点火動作が禁止される。
【0068】
これに対し、本実施形態では、燃焼ファン回転数が閾値TH2以上の場合には、給湯機器20がインプットダウン状態となる虞があるものとして、給湯機器20の点検又は交換を促すことができるので、給湯機器20がインプットダウン状態となって動作を停止してしまうのを未然に防ぐことができる。
【0069】
ステップS206では、マルチ給湯機器12から送信された運転実績情報に含まれる各給湯機器20の運転状態値を参照し、運転状態値が予め定めた閾値TH3以上である給湯機器20が存在するか否かを判断する。ここで、運転状態値は、前述した運転状態情報、すなわち給湯機器20の燃焼時間、発停回数、給湯流量、及び給湯熱量のうち何れかの運転状態情報の積算値であり、何れの積算値を用いても良い。
【0070】
そして、運転状態値が閾値TH3以上の給湯機器20が存在する場合はステップS208へ移行し、運転状態値が閾値TH3以上の給湯機器20が存在しない場合はステップS10へ移行する。なお、閾値TH3は、運転状態値が閾値TH3以上の場合は給湯機器20の寿命が近く、予防保全時期であると判断できる値に設定される。
【0071】
ステップS208では、運転状態値が閾値TH3以上である給湯機器20を点検又は交換すべきであることを給湯機器管理サーバ14に報知する。これにより、管理センターでは、運転状態値が閾値TH3以上である給湯機器20を点検又は交換すべきであることを把握することができ、給湯機器20の点検又は交換作業を行うよう従業員に指示することができる。
【0072】
このように、運転状態値が閾値TH3以上の場合には、給湯機器20の寿命が近いものとして、給湯機器20の点検又は交換を促すことができるので、給湯能力の低下を未然に防ぐことができる。
【0073】
ステップS210では、マルチ給湯機器12から送信された運転実績情報に含まれる各給湯機器20の運転状態値を参照し、運転状態値が予め定めた閾値TH4以上である給湯機器20が存在するか否かを判断し、運転状態値が閾値TH4以上の給湯機器20が存在する場合はステップS212へ移行し、運転状態値が閾値TH4以上の給湯機器20が存在しない場合はステップS214へ移行する。なお、閾値TH4は、運転状態値が閾値TH4以上の場合は中和剤の補充又は中和器の交換が必要であり、予防保全時期であると判断できる値に設定される。中和剤の消費量は、運転状態値のうち例えば燃焼時間又は発停回数と比例すると考えられるため、中和剤の消耗寿命に相当する燃焼時間又は発停回数より少し小さい値を閾値TH4とすればよい。
【0074】
ステップS212では、運転状態値が閾値TH4以上である給湯機器20の中和剤の補充又は中和器の交換が必要であることを給湯機器管理サーバ14に報知する。これにより、管理センターでは、運転状態値が閾値TH4以上である給湯機器20の中和剤の補充又は中和器の交換が必要であることを把握することができ、給湯機器20の中和剤の補充又は中和器の交換作業を行うよう従業員に指示することができる。
【0075】
このように、運転状態値が閾値TH4以上の場合には、給湯機器20の中和剤の補充又は中和器の交換が必要であるとして、中和剤の補充又は中和器の交換を促すことができるので、中和器の故障等を未然に防ぐことができる。
【0076】
ステップS214では、マルチ給湯機器12から送信された運転実績情報に含まれる各給湯機器20の運転状態値を参照し、運転状態値が予め定めた閾値TH5以上であるか否かを判断し、運転状態値が閾値TH5以上の給湯機器20が存在する場合はステップS216へ移行し、運転状態値が閾値TH5以上の給湯機器20が存在しない場合はステップS218へ移行する。なお、閾値TH5は、運転状態値が閾値TH5以上の場合はCOセンサ26の交換が必要であり、予防保全時期であると判断できる値に設定される。COセンサ26の寿命は、運転状態値に比例すると考えられるため、COセンサ26の寿命に相当する運転状態値より少し小さい値を閾値TH5とすればよい。
【0077】
ステップS216では、運転状態値が閾値TH5以上である給湯機器20のCOセンサ26の交換が必要であることを給湯機器管理サーバ14に報知する。これにより、管理センターでは、運転状態値が閾値TH5以上である給湯機器20のCOセンサ26の交換が必要であることを把握することができ、給湯機器20のCOセンサ26の交換作業を行うよう従業員に指示することができる。
【0078】
このように、運転状態値が閾値TH5以上の場合には、給湯機器20のCOセンサ26の寿命が近く交換が必要であるとして、COセンサ26の交換を促すことができるので、COセンサ26の故障により一酸化炭素中毒が発生するのを未然に防ぐことができる。
【0079】
ステップS218では、マルチ給湯機器12から送信された運転実績情報に含まれる外部信号情報を参照し、外部信号情報が外部機器の異常を示しているか否かを判断し、外部信号情報が外部機器の異常を示している場合はステップS220へ移行し、外部信号情報が外部機器の異常を示していない場合は本ルーチンを終了する。
【0080】
ステップS220では、外部機器が異常であることを給湯機器管理サーバ14に報知する。これにより、管理センターでは、外部機器が異常であることを把握することができ、外部機器の点検等を行うよう従業員に指示することができる。
【0081】
次に、
図4の出動指令処理について説明する。
【0082】
まず、ステップS300では、マルチ給湯機器12から送信された運転実績情報に含まれる各給湯機器20の運転状態値を参照し、各運転状態値に対応する消耗率を各々取得する。ここで、消耗率は給湯機器20の消耗の度合いを表すものであり、運転状態値と相関がある。すなわち、運転状態値が高いほど消耗率も高くなる。従って、消耗率を参照することにより、給湯機器20の寿命が近いか否かを把握することができる。消耗率は、例えば消耗率と運転状態値との対応関係を表すテーブルデータ又は演算式を用いて取得することができる。また、取得した消耗率は消耗率情報として記憶部32に記憶させる
【0083】
ステップS302では、ステップS300で取得した消耗率が予め定めた閾値TH6以上の給湯機器20が存在するか否かを判断し、閾値TH6以上の給湯機器20が存在する場合はステップS304へ移行し、閾値TH6以上の給湯機器20が存在しない場合は本ルーチンを終了する。なお、閾値TH6は、本実施形態では一例として70%に設定されるが、これに限られるものではない。
【0084】
ステップS304では、消耗率が閾値TH6以上の給湯機器20を寿命が近い注視対象機器として設定する。
【0085】
ステップS306では、予め定めた出動指令条件を満たすか否かを判断し、出動指令条件を満たす場合はステップS308へ移行し、出動指令条件を満たさない場合は本ルーチンを終了する。
【0086】
出動指令条件としては、例えば以下の条件が挙げられる。まず、第1の出動指令条件は、例えば注視対象機器のうち消耗率が予め定めた閾値TH7以上の給湯機器20が存在する場合である。閾値TH7は、本実施形態では一例として95%とするが、これに限られるものではない。また、第2の出動指令条件は、例えば同一エリアに存在する、すなわちエリアIDが同一のマルチ給湯機器12の全ての注視対象機器のうち消耗率が高い順に2つの注視対象機器の消耗率の合計が予め定めた範囲内となる場合である。なお、予め定めた範囲は、本実施形態では一例として180%以上で且つ190%未満であるが、これに限られるものではない。
【0087】
ステップS308では、出動指令条件を満たす給湯機器20を交換するよう出動指令する出動指令情報を給湯機器管理サーバ14に送信する。これにより、管理センターでは、給湯機器20の交換時期が到来したことを把握することができ、給湯機器20の交換作業を行うよう従業員に指示することができる。
【0088】
次に、
図5の出動時期予測処理について説明する。
【0089】
まずステップS400では、マルチ給湯機器12に含まれる給湯機器20のうち1つの給湯機器20について、今回取得した運転状態値に対応する消耗率と前回取得した運転状態値に対応する消耗率とに基づいて、消耗率の増加率を算出する。
【0090】
ステップS402では、ステップS400で算出した消耗率の増加率に基づいて出動指令到来時期を算出する。具体的には、例えば前回取得した消耗率をS1、前回の消耗率S1を取得した時間をt1、今回取得した消耗率をS2、前回の消耗率S2を取得した時間をt2、消耗率の増加率をaとし、消耗率Sとなる時間tを算出する次式のような一次式を導出する。なお、時間tとは、給湯機器20の総運転時間を示す。従って新品の給湯機器20を設置した状態がt=0である。
【0092】
なお、bは定数である。そして、出動指令が必要となる消耗率Sx(例えば95%)を上記一次式に代入して消耗率Sxとなる時点txを算出し、記憶部32に記憶させる。なお、一次式ではなく、過去の消耗率の履歴データから二次式以上の多項式を導出して出動指令到来時期を算出するようにしてもよい。
【0093】
ステップS404では、全ての給湯機器20について出動指令到来時期を算出したか否かを判断し、全ての給湯機器20について上記の処理を実行した場合はステップS406へ移行し、未処理の給湯機器20が存在する場合はステップS400へ戻って上記と同様の処理を繰り返す。
【0094】
ステップS406では、他のエリアに存在するマルチ給湯機器12の各給湯機器20の出動指令到来時期を参照し、出動指令到来時期が予め定めた期間内で重複するエリアが存在するか否かを判断する。そして、出動指令到来時期が重複するエリアが存在する場合はステップS408へ移行し、出動指令到来時期が重複しない場合はステップS410へ移行する。
【0095】
ステップS408では、出動指令到来時期が重複するエリアの少なくとも1つのエリアの出動指令到来時期を遅らせる又は早めることにより、出動指令到来時期が重複しないように調整する。
【0096】
ステップS410では、ステップS402で算出した出動指令到来時期又はステップS408で調整した出動指令到来時期を出動指令到来時期情報として記憶部32に記憶させる。
【0097】
このように、出動指令到来時期が予め定めた期間内で重複するエリアが存在する場合は、出動指令到来時期が重複しないように出動指令到来時期を調整するので、給湯機器20の交換作業等のスケジューリングを効率よく行うことができる。
【0098】
次に、
図6の最適化台数制御について説明する。
【0099】
まずステップS500では、データベースに記憶された制御モードを設定する。制御モードは、詳細は後述するが熱効率優先モード、第1の寿命調整モード、第2の寿命調整モードがある。本実施形態では、一例としてレンタル契約した当初は熱効率優先モードに設定し、その後第1の寿命調整モード、第2の寿命調整モードの順に制御モードを切り替えるようにする。なお、切り替え方法はこれに限られるものではなく任意に設定できる。
【0100】
制御モードの設定は、例えばレンタル契約が終了するまでの期間を3分割して、各期間に熱効率優先モード、第1の寿命調整モード、第2の寿命調整モードをそれぞれ自動で設備情報40に設定する。なお、管理者が各マルチ給湯機器12の制御モードを設備情報40に各々設定するようにしてもよい。また、ユーザーの希望に応じて制御モードを設定するようにしてもよい。
【0101】
ステップS500では、設定された制御モードが熱効率優先モードか否かを判断し、熱効率優先モードの場合はステップS502へ移行し、熱効率優先モードでない場合はステップS506へ移行する。ステップS506では、設定された制御モードが第1の寿命調整モードか否かを判断し、第1の寿命調整モードの場合はステップS508へ移行し、第1の寿命調整モードでない場合、すなわち第2の寿命調整モードが設定された場合はステップS510へ移行する。
【0102】
ステップS504では、
図7に示す熱効率優先モード処理を実行する。
【0103】
ステップS508では、
図8に示す第1の寿命調整モード処理を実行する。
【0104】
ステップS510は、
図9に示す第2の寿命調整モードを実行する。
【0105】
次に、
図7に示す熱効率優先モード処理について説明するが、その前に、各マルチ給湯機器12が実行する給湯機器20の台数制御について
図10に示すフローチャートを参照して説明する。なお、システムコントローラ22は、給湯する際には、給湯機器20を1台運転させ、負荷率が予め定めた閾値以上になった場合に給湯機器20を1台増加させて運転するといったように、1台ずつ運転する給湯機器20を増加させる。また、複数の給湯機器20を運転させる場合、各給湯機器20は略同じ負荷率で運転される。
図10の制御は、所定時間毎に実行され、N台(N=1、2、3・・・)の給湯機器20が略同じ負荷率で平衡運転している状態で実行されるものとする。
【0106】
まず、ステップS600では、負荷率が予め定めた閾値Q1より大きいか否かを判断し、Q1より大きい場合はステップS602へ移行し、負荷率が閾値Q1以下の場合はステップS604へ移行する。なお、閾値Q1は、熱効率が最大となる負荷率よりも大きい負荷率に設定される。
【0107】
ここで、
図11に示すように負荷率と熱効率との関係は線形関係にあるわけではない。給湯機器20の熱源は複数のガスバーナーで構成されるためである。
図11は、給湯機器20の熱源が3つのガスバーナーから構成された場合の負荷率と熱効率との関係を示した。
図11に示すように、熱効率特性は、各ガスバーナーの熱効率特性T1〜T3を合わせた特性となる。従って、閾値Q1は、例えば
図11の熱効率が最大となる負荷率Qcよりも少し大きいQd付近の値に設定される。
【0108】
ステップS602では、給湯機器20を1台増加して運転させる。なお、既に全ての給湯機器20が運転している場合は、そのまま全ての給湯機器20を運転させた状態を維持する。このように、給湯機器20を増加させるので、給湯機器1台当たりの負荷率は低くなるため、熱効率が最大となる負荷率に近づくこととなる。
【0109】
ステップS604では、負荷率が予め定めた閾値Q2未満であるか否かを判断し、負荷率が閾値Q2未満であればステップS606へ移行し、負荷率が閾値Q2以上の場合は本ルーチンを終了する。なお、閾値Q2は、熱効率が最大となる負荷率よりも小さい負荷率に設定され、例えば
図11の熱効率が最大となる負荷率Qcより少し小さい値に設定される。
【0110】
ステップS606では、給湯機器20を1台減少して運転する。なお、1台の給湯機器20で運転していた場合は、そのまま1台の給湯機器20を運転させた状態を維持する。このように、給湯機器20を減少させるので、給湯機器1台当たりの負荷率は高くなるため、熱効率が最大となる負荷率に近づくこととなる。
【0111】
次に、
図7に示す熱効率優先モード処理について説明する。熱効率優先モードでは、給湯機器20の寿命を調整するよりも熱効率を高くすることを優先した制御を実行する。
【0112】
まずステップS700では、マルチ給湯機器12から送信された運転実績情報に含まれる給湯機器20の負荷率Q0を参照し、負荷率Q0に対応する熱効率η0を取得する。具体的には、例えば負荷率と熱効率との対応関係をあらわすテーブルデータ又は演算式を用いることにより、負荷率Q0に対応する熱効率η0を取得することができる。なお、各給湯機器20の負荷率は略平衡しているので、何れか1つの給湯機器20の負荷率を負荷率Q0としても良いし、全給湯機器20の負荷率の平均値を算出して負荷率Q0としてもよい。
【0113】
ステップS702では、給湯機器20を1台減らした場合の負荷率Q1を次式により算出する。
【0114】
Q1=(Q0×N)/(N−1) ・・・(2)
【0115】
ステップS704では、ステップS700と同様に、ステップS702で算出した負荷率Q1に対応する熱効率η1を取得する。
【0116】
ステップS706では、熱効率η1が熱効率η0より大きいか否かを判断し、熱効率η1が熱効率η0より大きい場合、すなわち給湯機器20を1台減らした方が熱効率が高くなる場合は、ステップS708へ移行し、熱効率η1が熱効率η0以下の場合、すなわち給湯機器20を減らさない方が熱効率が高い場合は、本ルーチンを終了する。
【0117】
ステップS708では、閾値Q1に予め定めた定数αを加算すると共に閾値Q2に予め定めた定数βを加算することにより、閾値Q1、Q2を更新する。すなわち、給湯機器20の台数を減らすので給湯機器1台当たりの負荷率は高くなるため、これに併せて閾値Q1、Q2も大きくする。
【0118】
ステップS710では、閾値Q1、Q2をマルチ給湯機器12に出力する。これにより、マルチ給湯機器12では更新された閾値Q1、Q2を用いて
図11に示す台数制御を行う。
【0119】
次に、第1の寿命調整モードについて
図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0120】
ステップS800では、運転実績情報に含まれる消耗率情報から各給湯機器20の消耗率を取得する。
【0121】
ステップS802では、ステップS800で取得した各給湯機器20の消耗率から標準偏差を算出する。
【0122】
ステップS804ではステップS802で算出した標準偏差が予め定めた閾値TH8より大きいか否かを算出し、標準偏差が閾値TH8より大きい場合はステップS806へ移行し、標準偏差が閾値TH8以下の場合は本ルーチンを終了する。なお、閾値TH8は、標準偏差がこの値未満の場合は各給湯機器20の寿命が略同じ時期に到来すると判断できる値に設定される。
【0123】
ステップS806では、標準偏差が閾値TH8以下となるように各給湯機器20の運転調整を行う。具体的には、相対的に消耗率が高い給湯機器20の運転順位を下げて相対的に消耗率が低い給湯機器20の運転順位を上げるようマルチ給湯機器12に指示する。または、相対的に消耗率が低い給湯機器20が運転しており、かつ相対的に消耗率が高い給湯機器20が停止中の場合、給湯機器20の運転台数を増加させる際の閾値Q1を高くするようマルチ給湯機器12に指示する。これにより、運転台数を増加させるタイミングが遅くなる。このため、運転中の相対的に消耗率が低い給湯機器20の消耗率を上げ、停止中の相対的に消耗率が高い給湯機器20の消耗率が上がるのを抑制することができるため、各給湯機器20の消耗率を近づけることができる。
【0124】
次に、第2の寿命調整モードについて
図9に示すフローチャートを参照して説明する。
【0125】
ステップS900では、運転実績情報に含まれる消耗率情報から各給湯機器20の消耗率を取得する。
【0126】
ステップS902では、マルチ給湯機器12のレンタル契約終了時における各給湯機器20の消耗率を算出する。レンタル契約終了時における消耗率は、レンタル契約開始からレンタル契約終了までの時間を上記(1)式のtに代入することで算出することができる。
【0127】
ステップS904では、レンタル契約終了時の消耗率が予め定めた閾値TH9より高い給湯機器20が存在するか否かを判断し、レンタル契約終了時の消耗率が閾値TH9より高い給湯機器20が存在する場合はステップS906へ移行し、レンタル契約終了時の消耗率が閾値TH9より高い給湯機器20が存在しない場合は本ルーチンを終了する。なお、閾値TH9は、消耗率が閾値TH9より高い場合、レンタル契約終了後は他のレンタル契約に使用できないと判断できる値に設定される。
【0128】
ステップS906では、レンタル契約終了時の消耗率が閾値TH9以下の給湯機器20が存在するように各給湯機器20の運転調整を行う。具体的には、例えば一部の給湯機器20の運転順位を下げたままにすると共に、他の給湯機器20の運転順位を上げたままにする。これにより、一部の給湯機器20の消耗率が上がるのを抑制することができる。または、給湯機器20の運転台数を増加させる際の閾値Q1を高くするようマルチ給湯機器12に指示する。これにより、運転台数を増加させるタイミングが遅くなる。このため、運転中の一部の給湯機器20の消耗率が上がるのを抑制することができ、レンタル契約終了時に消耗率が閾値TH9以下となる給湯機器20が存在する確率を高めることができる。
【0129】
このように、本実施形態では、マルチ給湯機器12の制御が単一の制御モードで実行されるのではなく、複数の制御モードの中から状況に応じて制御モードを切り替えて実行することができる。これにより、利便性を向上させることができる。
【0130】
なお、本実施形態では、
図2〜9の制御を給湯機器管理サーバ14が実行する場合について説明したが、これらの少なくとも一部の処理をマルチ給湯機器12のシステムコントローラ22が実行するようにしてもよい。例えば、
図7の熱効率優先モードの処理は、給湯機器管理サーバ14からの指示を受けてマルチ給湯機器12のシステムコントローラ22が実行するようにしてもよい。その他の処理についても、給湯機器管理サーバ14からの指示を受けてマルチ給湯機器12のシステムコントローラ22が実行するようにしてもよい。
【0131】
また、本実施形態で説明した給湯機器管理プログラムはあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。また、本実施形態で説明した給湯機器管理プログラムに含まれる各処理は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やプログラマブルロジックデバイス等のハードウェア構成で実現されてもよい。また、本実施形態で説明した給湯機器管理プログラムに含まれる各処理は、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現してもよい。