(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145455
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】弧状パンチおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
B26F 1/44 20060101AFI20170607BHJP
B26F 1/00 20060101ALI20170607BHJP
B26F 1/40 20060101ALI20170607BHJP
B26D 7/02 20060101ALI20170607BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20170607BHJP
B44C 3/10 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
B26F1/44 J
B26F1/00 A
B26F1/40 Z
B26F1/44 H
B26F1/44 F
B26D7/02 D
B26D7/06 Z
B44C3/10
【請求項の数】25
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-537169(P2014-537169)
(86)(22)【出願日】2012年10月17日
(65)【公表番号】特表2014-534081(P2014-534081A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】US2012060566
(87)【国際公開番号】WO2013059284
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2015年9月24日
(31)【優先権主張番号】61/548,116
(32)【優先日】2011年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502282135
【氏名又は名称】イー・ケー・サクセス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロス エクスレイ
(72)【発明者】
【氏名】マーク シャインワルド
(72)【発明者】
【氏名】マット スウィーニー
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュ ピエサス
【審査官】
塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
仏国特許出願公開第02642342(FR,A1)
【文献】
再公表特許第2006/087892(JP,A1)
【文献】
特開2007−021709(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0248740(US,A1)
【文献】
実開昭50−023780(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/00−1/46
B26D 7/01−7/06
B44C 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースへのパンチの適用を案内するためのパンチガイドであって、
基部と、
前記基部に連結された回転部材であって、回転軸周りに回転可能な回転部材と、
前記基部に沿って、前記回転軸に向かう方向におよび離れる方向に移動可能なパンチキャリッジであって、前記基部と前記パンチキャリッジの少なくとも一方は、前記回転軸と前記パンチキャリッジとの間の選択された距離を特定するための第1アライメント印を含むパンチキャリッジと、
前記基部に対する前記回転部材の角回転の割出量を調整するための調整可能な割出アセンブリであって、前記調整可能な割出アセンブリは、該調整可能な割出アセンブリをセットすべく第1アライメント印に対応する第2アライメント印を含み、この第2アライメント印は、前記回転軸と前記パンチキャリッジとの間の選択された距離に対応する、角回転の選択された割出量を提供する、割出アセンブリと、
を備えたことを特徴するパンチガイド。
【請求項2】
前記調整可能な割出アセンブリは、前記基部に対する前記回転軸の位置を変えることなく、前記回転部材の角回転の割出量を調整することを特徴とする請求項1に記載のパンチガイド。
【請求項3】
前記パンチキャリッジは、前記基部に沿った複数のデテント位置の間での選択的調整のために、前記基部に沿ってデテント状にスライド可能であることを特徴とする請求項1に記載のパンチガイド。
【請求項4】
前記回転部材は、複数のデテント回転位置の間での前記回転軸周りのデテント回転のため、前記基部にデテント状に回転可能に連結され、各デテント回転位置は、前記角回転の選択された割出量に対応する角度Aだけ分離されていることを特徴する請求項1に記載のパンチガイド。
【請求項5】
前記調整可能な割出アセンブリは、前記回転部材の各デテント回転位置の間の前記角度(A)を変更するために調整可能であることを特徴とする請求項4に記載のパンチガイド。
【請求項6】
前記調整可能な割出アセンブリは、前記基部に移動可能に連結され且つ前記回転部材と係合する調整アームを含み、前記調整アームの動きは、角回転の前記選択された割出量を変更することを特徴とする請求項1に記載のパンチガイド。
【請求項7】
前記第2アライメント印は、前記基部に対する前記調整アームの選択された相対的位置を特定するため、前記基部および前記調整アームに設けられることを特徴とする請求項6に記載のパンチガイド。
【請求項8】
連結部材をさらに備え、該連結部材は、前記ワークピースを前記回転部材に連結し、前記回転部材と共に回転させることを特徴とする請求項1に記載のパンチガイド。
【請求項9】
前記連結部材と前記回転部材の少なくとも一方は、前記連結部材を前記回転部材に磁性連結するための磁石を含み、前記連結部材が前記回転部材に磁性連結されるとき、前記連結部材は、前記回転部材に対して、実質的に回転可能に固定されることを特徴とする請求項8に記載のパンチガイド。
【請求項10】
ワークピースへのパンチの適用を案内するためのパンチガイドであって、
中心部分を含む基部と、
前記中心部分に向かう向きおよび離れる向きの移動のために、前記基部に移動可能に連結されるパンチキャリッジと、
前記中心部分に回転可能に連結された回転部材と、
前記基部に対する前記回転部材の角回転の割出量を調整するための、調整可能な割出アセンブリと、
前記基部と前記パンチキャリッジの少なくとも一方に設けられ、前記中心部分と前記パンチキャリッジとの間の選択された距離を特定するための第1アライメント印と、
前記基部と前記調整可能な割出アセンブリの少なくとも一方に設けられる第2アライメント印と、を備え、
前記中心部分と前記パンチキャリッジとの間の選択された距離に対応する角回転の選択された割出量を設けるべく、前記調整可能な割出アセンブリをセットするために、前記第2アライメント印は、前記第1アライメント印に対応することを特徴とするパンチガイド。
【請求項11】
前記調整可能な割出アセンブリは、前記回転部材の実質的な移動無しに、該回転部材の角回転の前記割出量を調整するために動作可能であることを特徴とする請求項1に記載のパンチガイド。
【請求項12】
前記パンチキャリッジは、前記基部に沿った複数のデテント位置の間の選択的調整のために、前記基部に沿ってデテント状にスライド可能である請求項10に記載のパンチガイド。
【請求項13】
前記回転部材は、複数のデテント回転位置の間のデテント回転のため、前記基部にデテント状に回転可能に連結され、各デテント回転位置は、前記角回転の選択された割出量に対応する角度Aだけ分離されていることを特徴する請求項10に記載のパンチガイド。
【請求項14】
前記調整可能な割出アセンブリは、前記回転部材の各デテント回転位置の間の前記角度Aを変更するために調整可能であることを特徴とする請求項13に記載のパンチガイド。
【請求項15】
前記調整可能な割出アセンブリは、前記基部に移動可能に連結され且つ前記回転部材と係合する調整アームを含み、前記調整アームの動きは、前記基部に対して前記回転部材の角回転の前記割出量を調整することを特徴とする請求項10に記載のパンチガイド。
【請求項16】
ワークピースへのパンチの適用を案内するためのパンチガイドであって、
中心部分と、該中心部分から離れる向きに伸びるアームであって溝を画成するアームとを含む基部と、
回転軸周りのデテント回転のために、前記基部にデテント状に回転可能に連結される回転部材であって、複数のデテント回転位置の間でデテント状に回転可能であり、隣接するデテント回転位置は、角度(A)だけ互いに分離されている回転部材と、
前記溝に受け入れられ、前記アームに沿った複数のデテント位置の間での選択的調整のために前記溝に沿ってデテント状にスライド可能であるパンチキャリッジと、
前記ワークピースを前記回転部材に連結し、前記回転部材と共に回転させる連結部材と、
前記回転部材と係合する調整可能な割出アセンブリであって、前記回転部材の各デテント回転位置の間の角度(A)を変更するために移動可能な移動可能部材を含む調整可能な割出アセンブリと
を含むことを特徴とするパンチガイド。
【請求項17】
前記パンチキャリッジは、前記パンチの少なくとも一部を含むことを特徴とする請求項16に記載のパンチガイド。
【請求項18】
前記移動可能部材は、前記基部に旋回可能に連結され、前記回転部材の下面に係合することを特徴とする請求項16に記載のパンチガイド。
【請求項19】
前記回転部材の下面は、実質的に同心円状に配列されたデテントくぼみの複数の輪を含み、各デテントくぼみは前記回転部材のデテント回転位置の一つに対応するものであることを特徴とする請求項18に記載のパンチガイド。
【請求項20】
前記アームと前記パンチキャリッジの少なくとも一方に設けられ、前記アームに沿った前記パンチキャリッジの選択されたデテント位置を特定するための第1アライメント印を備えることを特徴とする請求項16に記載のパンチガイド。
【請求項21】
前記中心部分と前記移動可能部材の少なくとも一方に設けられた第2アライメント印を更に備え、該第2アライメント印は、前記アームに沿った前記パンチキャリッジの選択されたデテント位置に対応する値に角度Aを調整する位置に、前記移動可能部材をセットするため、前記第1アライメント印に対応することを特徴とする請求項20に記載のパンチガイド。
【請求項22】
ワークピースに弧状パターンをパンチする方法であって、パンチガイドを提供するステップを備え、該パンチガイドが、
前記ワークピースを回転部材に連結するステップであって、前記回転部材が回転軸の周りを複数の割出回転位置の間で回転し、前記割出回転位置は調整可能な角度(A)だけ互いに分離されている、ステップと、
パンチキャリッジと前記回転軸との間の距離を調整するステップと、
前記パンチキャリッジと前記回転軸との間の距離に対応するよう前記角度(A)を調整するために、調整可能な割出アセンブリを設定するステップと、
前記ワークピースに1つ目の開口を形成するために、前記ワークピースに1回目のパンチをするステップと、
前記回転部材を、一つの割出回転位置から次の割出回転位置に回転させるステップであって、それによって前記回転部材と前記ワークピースとを、前記角度(A)だけ回転させるステップと、
前記ワークピースに2つ目の開口を形成するために、前記ワークピースに2回目のパンチをするステップであって、前記2つ目の開口は、少なくとも部分的に前記1つ目の開口と重なっているものであるステップと、
によって動作可能であることを特徴とする方法。
【請求項23】
前記パンチキャリッジと前記回転軸との間の前記距離を調整するステップは、前記パンチキャリッジを、基部に形成された溝に沿ってスライドさせることを含み、前記基部は、前記回転部材と回転可能に連結されたものであることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記パンチキャリッジと前記回転軸との間の前記距離を調整するステップは、前記パンチキャリッジと基部とに設けられた第1アライメント印を整列させることを含み、前記基部は、前記回転部材と回転可能に連結されたものであることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記調整可能な割出アセンブリを設定するステップは、前記調整可能な割出アセンブリの移動可能部材と、前記基部とに設けられた第2アライメント印を整列させることを含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、米国仮特許出願第61/548,116号(2011年10月17日出願)の利益および優先権を主張し、その全ての内容は、参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、パンチするシート状媒体に使用されるパンチシステムに関する。とりわけ、弧状パンチが、円配列で、さまざまな直径の装飾的カットを作るために提供される。
【背景技術】
【0003】
紙製品に、装飾的穿孔、または、装飾的縁飾りを形成するための紙パンチが知られている。そのようなパンチは、サイズ、形、形態がとても幅広くなってきている。いくつかの適用において、必要なパンチのサイズは、しばしば、パンチまたは、結果として生じるワークピースの形態の制限要素となり得る。例えば、もし、それが、比較的大きな紙のシート、例えば、10インチ×10インチといった紙のシートの周りに縁飾りをパンチするために設計されたのであれば、そのようなパターンを形成するのに適した単一のパンチは、過度に大きくなるであろうし、そのパンチを動作するための十分な機械的利点を提供するための複雑な機構を必要とするであろう。
【0004】
過度に大きなパンチを提供するよりもむしろ、シート媒体の周囲に装飾的縁飾りを形成する方法において、繰り返し使用されるよう構成された装飾的パンチが開発されている。均等に離間されたパンチの列を形成することによって、パンチは、最終的に、所望の形を「切り抜く」。それらのパンチは、紙の比較的大きなシートの周囲にパンチされたパターンを形成するという問題を解決する一方、隣接するパンチは、高品質の結果を生み出すために、互いに正確に整列されなければならない。所望の結果として得られる形が円であるとき、これはとりわけ難しい。各パンチは、お互いに隣接して正確に配置される必要があるだけでなく、各パンチはまた、所望の円の中心から、同じ距離だけ一定に離間されなければならない。
【発明の概要】
【0005】
ワークピースへのパンチの適用を案内するためのパンチガイドが提供される。このパンチガイドは、基部、前記基部に連結された回転部材、前記基部に沿って移動可能なパンチキャリッジ、および、前記回転部材の前記基部に対する角回転の割出量を調整するための調整可能な割出アセンブリとを含む。前記基部と前記パンチキャリッジの少なくとも一方は、回転軸とパンチキャリッジとの間の選択された距離を特定するための第1アライメント印を含む。前記調整可能な割出アセンブリは、該調整可能な割出アセンブリをセットすべく、前記第1アライメント印に対応する第2アライメント印を含み、この第2アライメント印は、前記中心軸と前記パンチキャリッジとの間の選択された距離に対応する角回転の選択された割出量を提供するものである。
【0006】
他の実施形態において、パンチのワークピースへの前記適用を案内するためのパンチガイドが提供される。前記パンチガイドは、中心部分を有する基部と、前記中心部分に向かう方向に、および中心部分から離れる方向に移動するために、前記基部に移動可能に連結されたパンチキャリッジと、前記中心部分に回転可能に連結された回転部材とを含む。前記パンチガイドはまた、前記基部に対して前記回転部材の角回転の割出量を調整するための、調整可能な割出アセンブリを有する。
【0007】
他の実施形態によれば、ワークピースへのパンチの前記適用を案内するためのパンチガイドは、中心部分を含む基部と、前記中心部分から離れる方向に延在するアームとを含む。前記アームは、溝を定義する。回転部材は、回転軸周りのデテント回転のため、前記基部にデテント状に回転可能に連結される。前記回転部材は、複数のデテント回転位置間でデテント状に回転可能である。そして、隣接するデテント回転位置は角度(A)だけ分離される。パンチキャリッジは、受け入れられ、前記アームに沿った複数のデテント位置の間での選択的調整のため、前記溝に沿って、デテント状にスライド可能である。連結部材は、前記回転部材の回転のために、前記ワークピースを前記回転部材に連結するように形成される。調整可能な割出アセンブリは、前記回転部材と係合し、移動可能部材を含む。この移動可能部材は、前記回転部材の各デテント回転位置の間の角度(A)を変更するために移動可能である。
【0008】
ワークピースに弧状パターンをパンチする方法がまた、提供される。前記方法は、前記ワークピースを回転部材に連結することによって動作可能であるパンチガイドを提供することを含む。前記回転部材は、複数の割出回転位置の間の回転軸周りに回転し、割出回転位置は、調整可能な角度(A)だけ、互いに分離される。パンチキャリッジと前記回転軸との間の距離は調整され、そして、調整可能な割出アセンブリは、前記パンチキャリッジと前記中心軸との間の前記距離に対する前記角度Aを調整するために、セットされる。前記ワークピースは1回目、ワークピースに一つ目の開口を形成するためにパンチされる。前記回転部材は第1の割出回転位置から、次の割出回転位置に回転され、それによって、前記回転部材と前記ワークピースを角度(A)だけ回転している。前記ワークピースは、ワークピース上に二つ目の開口を形成するために、二回目のパンチがなされる。二つ目の開口は、少なくとも部分的に一つ目の開口と重なる。
【0009】
本開示は、概して、パンチされるシート状媒体での使用のためのパンチシステムに関する。とりわけ、弧状パンチは、さまざまな半径で、円形の配列で装飾用切り抜きを作るために提供される。弧状パンチの特徴、利点および実施形態は、以下の記述の考慮から、超えるものであるかもしれない。また、識別できるものであるかもしれない。さらに、以下の記述は、典型的なものであり、請求の範囲に記された発明の範囲を限定することなく、更なる説明の提供を意図されるものであることは、理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示を理解するため、本開示の実施形態が図示された添付図面と以下の説明とを参照して、例示による説明が以下になされ、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【
図1】一実施形態による弧状パンチの斜視図である。
【
図3】
図1の弧状パンチにおける調整可能なインデックスアセンブリの分解斜視図である。
【
図4】
図3の調整可能なインデックスアセンブリのインデックス板の底面図である。
【
図5】第1の位置における、
図3の調整可能なインデックスアセンブリの上面図である。
【
図6】第2の位置における
図3の調整可能なインデックスアセンブリの上面図である。
【
図7】
図1の弧状パンチの上面図であって、進行中の弧状パンチ動作を図示したものである。
【
図8】代替実施形態による弧状パンチの斜視断面図である。
【
図9】
図8の弧状パンチのためのインデックス板の下面斜視図である。
【
図10】
図8の弧状パンチの使用方法の概略図を提供する。
【
図11】
図8の弧状パンチの使用方法の概略図を提供する。
【
図12】
図8の弧状パンチの使用方法の概略図を提供する。
【
図13】
図8の弧状パンチの使用方法の概略図を提供する。
【0011】
図の構成要素は、必ずしも縮尺通りでなく、その代わりに、本開示の原理を明らかに図示する際に強調されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここに述べる弧状パンチは、さまざまな異なる形での実施形態であるが、次の理解とともに好適実施形態が図示され、以下に詳細に説明される。すなわち、本説明は、弧状パンチの原理の例示として考えられるものであり、本開示の広範な態様を、図示された実施形態に限定するのを意図するものではない。
【0013】
図1および2は、弧状パンチ10を図示し、この弧状パンチ10は、ワークピースに、湾曲されたパターン、弓状にカーブされたパターン、および円形のパターンをパンチ(穿孔)するためのものである。ワークピースは、例えば、1つまたは複数の紙または厚紙でもよい。弧状パンチ10は、基部14と、基部14に対して移動可能なパンチキャリッジ18と、パンチキャリッジ18と連結可能で、パンチキャリッジ18とともに移動可能なパンチアセンブリ22と、基部14に回転可能に連結された回転部材26(
図2)であって、回転軸30の回りに回転する回転部材26と、該回転部材26に対して、ワークピースを固定するための連結部材34とを含んでいる。
【0014】
基部14は、中心部38を含み、該中心部38は、回転軸30を規定し、回転部材26を支持する。回転部材26は、回転軸30の回りを、複数のデテント回転位置(detent rotatable positions)の間でデテント状に(detently)回転可能である。調整アーム(全)40は、以下に述べられるように、回転部材26の基部14に対する角回転の割出量を調整するために移動可能である。基部14はまた、アーム(全)42を含み、アーム42は、回転軸30を軸とする半径方向において、中心部38から離れるように伸びる。アーム42は、溝46を画成し、溝46はパンチキャリッジ18を収容する。アーム42は、一対の側壁50を含み、側壁50は、パンチキャリッジ18の基部14に対する移動を案内するためのものである。各側壁50は、少なくとも1つの保持スロット54とのこぎり歯状の部分58(
図2)を含み、該保持スロット54は、アーム42の長さに概ね沿って伸び、のこぎり歯状の部分58は、図示された形態では、各側壁50の末端部分に沿って伸びる。しかしながら、他の形態は、のこぎり歯状の部分を全く含まないものであってもよく、あるいはアーム42全体にわたって伸びるのこぎり歯状の部分58を含むものであってもよく、もしくは、アーム42の異なる部分に沿って伸びるのこぎり歯状の部分58を含むものであってもよい。のこぎり歯状の部分58は、以下に述べるように、複数の割出位置の間で、基部14に対するパンチキャリッジ18のデテント状のスライド移動をもたらすように、パンチキャリッジ18と協働する。
【0015】
図2に示されるように、パンチキャリッジ18は、パンチアセンブリ22の少なくとも一部を含むことが可能である。特に、図示された形態において、パンチカートリッジ18の上壁62は、パンチアセンブリ22の下型70を収容するための凹部66を画定する。当業者に理解されるように、パンチアセンブリ22の下型70は、概して1または複数の開口72を含む。該開口は、パンチされる形状のメスの輪郭を提供する。また、図示された実施形態において、移動可能で且つばね付勢されたラッチ部材74が、凹部66内に下型70を固定し、そして、前記ラッチ部材74は、パンチキャリッジ18から下型70を解放するために、手動で移動可能である。他の実施形態において、下型70は、パンチキャリッジ18に対して取り外しできないように連結されていてもよいし、パンチキャリッジ18と共に形成されていてもよい。
【0016】
下型70に加えて、パンチアセンブリ22はまた、パンチ本体78を含み、パンチ本体78は、以下に述べるように、パンチキャリッジ18に取り外し可能に連結する下側部分82と、該下側部分82に対して移動可能な上側部分86を具えている。下側部分82は、上型90を含み、上型90は、下型70の1または複数の開口72と対応する、1または複数の開口94を画定する。上側部分86は、オスのパンチ98を含み、オスのパンチ98は、下型70および上型90における1または複数の開口72、94に嵌るような寸法及び形状とされた1または複数の突起を含む。パンチ動作中、下型70は、ワークピースの下に配置され、上型90は、ワークピースの上に配置され、そして、パンチアセンブリ22の上側部分86は、パンチアセンブリ22の下側部分82に向かって下方に押される。上側部分86が押されると、上側部分86はオスのパンチ98を、上型90を通り、ワークピースを通り、下型70を通って、ワークピースに開口を形成するように、動かす。ワークピースの開口は、下型70および上型90における開口72,94とおおむね一致する。リンク、歯車および/またはそれらの類のものの機構(図示しない)が、パンチアセンブリ22の中に組み込まれていてもよい。例えば、この機構は、上側部分86とオスのパンチ98の間に組み込まれ、パンチ動作中にユーザーによって加えられる力の量を減らす機械的優位性を提供するものであってもよい。概して、
図2に示すような開口72、94およびオスのパンチ98の台形形状は、パンチアセンブリ22によって打ち抜かれるであろう形状の一般的な例である次の点が認識されるべきである。すなわち、事実上、無制限の数の装飾的なパンチ形状が、型70、90及びオスのパンチ98の形状を変えることによって得られることが可能であり、これら型70、90とオスのパンチ98はセットとして提供されてもよいものである。
【0017】
図示された実施形態において、パンチ本体78は、パンチカートリッジ18に磁気的に連結されている。この点に関して、パンチカートリッジ18は、少なくとも1つの、例えば図示されるように4つの、第1強磁性体部材102を含み、この第1強磁性体部材102は、パンチキャリッジ18の上壁62に配置される。そして、パンチ本体78は、少なくとも1つの、例えば図示されるように4つの、第2強磁性体部材106を含み、この第2強磁性体部材106は、下側部分82の下面110に協働的に配置される。他の構成も可能であるけれども、図示された構成において、第1及び第2強磁性体部材102、106は、円筒形の磁石であって、パンチカートリッジ18とパンチ本体78の下側部分82とに設けられた穴の中に挿入され固定されたものを具えている。強磁性体部材102、106は、レアアース磁石、通常の磁石、もしくは、それ自体は磁気を帯びていないが磁石によって励磁されることができる強磁性物質(例えば鉄)であってよいし、またはそれらを含むものであってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1及び第2強磁性体部材102、106は、次のように構成および配置されている。すなわち、パンチ本体78が、パンチキャリッジ18に連結されるときに、下型70と上型90とが、適切に整列することを、各磁性部材102、106のN極およびS極が概ね確実化するように、各強磁性部材が構成および配置されている。例えば、パンチ本体78が図示されるように指向された状態において、各第1強磁性体部材102は、それと対応する第2強磁性体部材106に引き寄せられる。しかしながら、もし、パンチキャリッジ18が180度回転されると、それによって、上型90と下型70が非整列となり、少なくとも一つの第1強磁性体部材106が、これと整列されている第2の強磁性体部材102から反発されるであろう。この方法では、下型70がワークピースによって覆われているので、ユーザーが下型70の向きを見ることができなくても、ユーザーがいつ、パンチ本体78をパンチキャリッジ18に適切に整列させたかを、ユーザーに概ね明らかにするであろう。図示された実施形態は、パンチキャリッジ18及びパンチ本体78それぞれに4つの強磁性体部材102、106を含んでいるけれども、強磁性体部材が、いくつ用いられてもよく、パンチ本体78をパンチキャリッジ18に連結するように、また、パンチ本体78のパンチキャリッジ18との適切な整列を促進するように、適切に構成および配置されていてもよいことが、意図されている。
【0019】
パンチ本体78をパンチキャリッジ18に磁気的に連結することによって、ワークピースがパンチキャリッジ18の上に位置しつづける間に、パンチ本体78は、すばやくパンチキャリッジ18から取り外され、再度パンチキャリッジ18に取り付けられることができる。パンチ本体78が、ワークピースを挟んだ状態でパンチキャリッジ18に取り付けられたとき、パンチ本体78とパンチキャリッジ18との間の磁気的連結は、パンチ動作のため、ワークピースを少なくとも部分的に固定する。パンチ本体78が、パンチキャリッジ18から取り外されたとき、ワークピースは、例えば、以下に述べるような回転によって、向きを変えられることができる。
【0020】
図示された実施形態を含むいくつかの実施形態において、上型90及びオスのパンチ98は、パンチ本体78に取り外し不能に連結されている。これにより、新しいパンチ形状を提供することは、新しいパンチ本体78と、パンチキャリッジ18の凹部66の中に嵌るように形成された適合する下型70とを提供することを伴う。
【0021】
他の実施形態において、1つまたは複数の上型90とオスのパンチ98が、パンチ本体78に取り外し可能に連結されていてもよい。これにより、新しいパンチ形状を提供することは、凹部66に嵌る下型70と、上型90と、パンチ本体78の中に装着可能な適合するオスのパンチ98とのセットを提供することを伴う。
【0022】
代替実施形態において、上述した磁気連結装置というよりもむしろ、パンチ本体78は、第1延長アームの端部に取り外し可能にもしくは取り外し不能に取り付けられることができ、前記第1延長アームは第2延長アームに連結され、第2延長アームはその端部にパンチキャリッジ18アームを有する。この代替実施形態において、パンチキャリッジ18とパンチ本体78は、従来のステープラーに似た形態で互いに連結される。これによって、ワークピースは、2つの延長アームの間に位置されることができ、パンチ本体78は、パンチ動作中、下方に移動され、ワークピースとパンチキャリッジ18に係合されることができる。パンチ本体78、及び/または、それが接続される延長アームは、上昇位置にばね付勢され、パンチ動作の間にワークピースが再配置されるのを許容してもよい。
【0023】
図1、
図2に図示された実施形態に戻り、パンチキャリッジ18は、アーム42に沿った複数のデテント位置の間の選択的調整のために、溝46に受け入れられ、溝46に沿ってデテント状にスライド可能である。パンチキャリッジ18は、磁石によって結合されたパンチ本体78を伴っていようが、いまいが、アーム42に沿って調整移動され得る。パンチキャリッジ18は、一対の側壁114を含み、この側壁114は、上壁62から下方向に延在する。各側壁114は、外方向に突き出るリブ118を含み、このリブ118は、側壁114の下端縁に沿って延在し、アーム42の対応する側壁50の保持スロット54によって受け入れられる。デテントタブ126は、各側壁114の両端に形成され、保持スロット54の中にも嵌る下部案内突起130と、のこぎり歯部分58と係合する上部デテント歯134とを含む。パンチキャリッジ18が、アームに沿って移動されるとき、デテントタブ126のデテント歯134は、アーム42の側壁50にあるのこぎり歯部分58と、デテント状に係合し、アーム42に沿った複数のデテント位置の間で、触覚的および聴覚的に検知可能なパンチキャリッジ18のデテントスライドを提供する。代替実施形態において、パンチキャリッジ18のデテントスライドは省かれてもよく、パンチキャリッジ18及び/またはアーム42に、付加的にあるいは代替的に、ラッチまたはロックアセンブリが設けられてもよい。ラッチまたはロックアセンブリは、アーム42に沿った実質的にあらゆる所望の位置で、パンチキャリッジ18が解放可能に固定されることを許容する。
【0024】
パンチキャリッジ18とアーム42は、第1アライメント印138a、138bを設けられることが可能である。この第1アライメント印138a、138bは、アーム42に沿ったパンチキャリッジ18の選択された位置を特定するように協働するものである。図示された実施形態において、第1アライメント印138aは、矢じり形状を有し、第1アライメント印138bは、一般的な定規に似て、数値的スケールを有し、数値的スケールは、数値的増分の1/4と1/2の位置にスケールラインを含む。定規の形態は次の理由により都合がよい。なぜならば、定規の形態は、測定の標準的な単位に対応しているからである。一方、文字、記号等のより任意裁量の印もまた、あるいは、代替的に使用されてもよい。図示された数値的スケールは、数値6から数値12までの範囲に及ぶ。6から12までの数値と、それらの間の1/4、1/2スケール増分とは、円形のパンチされる切り抜き品の結果としてのインチ直径に対応している。切り抜き品は、第1のアライメント印138aが特定の数値またはその1/4もしくは1/2スケール増分と整列された時に、形成される。パンチは、以下に示す方法によって動作される。したがって、例えば、8インチの直径を有する円形のパンチされる切り抜き品を形成するために、パンチキャリッジ18は、アーム42に沿って、第1アライメント印138bの数字8のところに第1アライメント印138aを整列するように、動かされる。この図示された実施形態において、のこぎり歯状の部分58とデテント歯134の形は、アーム42に添った各デテント位置が、円形のパンチされる切り抜き品の直径における1/4インチ調節に対応し、第1アライメント印138aを、第1アライメント印138bの複数の数値のうちの一つまたは1/4もしくは1/2スケール増分の一つに整列させるようなものである。
【0025】
図2にもっともよく示されているように、回転部材26に対してワークピースを固定するために、連結部材34は、回転部材26に取り外し可能に連結可能である。この図示された形態において、パンチ本体78がパンチキャリッジ18に、磁力によって連結される方法と類似の方法によって、連結部材34は、回転部材26に磁力によって連結される。とりわけ、連結部材34と回転部材26はそれぞれ、強磁性体部材142を含み、これらは、連結部材34の強磁性体部材142が、回転部材26の強磁性体部材に引き寄せられるように構成および配置されている。いくつかの実施形態において、強磁性体部材142は、レアアースマグネットであってもよいが、他の種類の磁石、及び/または、磁性体でないが鉄材料もまた、使用可能である。連結部材34が回転部材26に磁気的に連結される時、強磁性体部材142間の磁石の引き寄せは、十分に強く、これにより連結部材34の回転が、回転部材26を回転させる。回転部材26はまた、一対のグリッパーパッド146を含む。一対のグリッパーパッド146は、回転部材に固定されると共に、弾性的かつ/または高い摩擦性の材料で形成されている。これは、後述するように、連結部材34が、ワークピースと回転部材を回転するために使用されるとき、ワークピースを回転部材26及び連結部材34に対して固定し続けることを助ける。図示したように、連結部材34は、中空であってもよく、そして、回転軸30に対してワークピースの所望の中心を整列させる上での助けとなるように形成された十字線を有する、透明な円形の挿入物148を含んでもよい。
【0026】
図3及び
図4も参照すると、基部14は、下部分150と上部分154とを含み、それらは、調整可能な割出(インデックス)アセンブリ158を収容するよう協働する。調整可能な割出アセンブリ158は、回転部材26と係合すると共に、基部14に対する回転部材26の角回転の割出量を調整するように動作可能とされる。
【0027】
図2および
図4にもっともよく示されるように、回転部材26の下面160は、複数のデテントくぼみ(凹部)162を含む。それぞれのデテントくぼみ162は、回転部材26の複数のデテント回転位置の一つと対応する。中空の円筒形のボス(突起)166が、回転部材26の下面160から伸びており、基部14の下部分150に設けられ回転部材26を回転可能に支持する上方向に伸びるピン170を受け入れる。基部14の下部分150は、複数の上方に伸びる固定ピン174を含み、これらは、下部分150を上部分154に連結するため、基部14の上部154に設けられた対応する固定スリーブ175の中に嵌合する。基部14の下部分150はまた、複数の隆起されたカム突起176を含み、これらは、以下に述べられるように、調整アーム40と協働して、複数のデテントアーム位置の間での調整アーム40のデテント調整を提供する。
【0028】
調整アーム40は、基部14の下部分150に旋回可能に連結された旋回端178と、反対側の調整端182とを含む。調整端182は、ハウジング14から伸び、調整アーム40を動かすために使用者にアクセス可能である。調整アーム40は、湾曲されると共に、ピボット端178に隣接するU字形の部分186を含み、このU字形の部分186は、調整アーム40が動かされるとき、ピン170の周りに嵌るように適合されているものである。調整アーム40はまた、デテント突起190を含み、これは、調整端182に隣接して配置されており、そして、基部14の下部分150上に設けられた、隆起されたカム突起176との係合のために、下方向に延在している。調整アーム40が動かされると、デテント突起190は、隆起されたカム突起176に乗り上げ、それを乗り越えて、隣接するカム突起176の間の空間の中にパチンとはまる(snap back)。それによって、複数のデテントアーム位置の間での、調整アーム40の触知検知可能なデテント移動が提供される。調整アーム40はまた、係合部材192を含み、これは、回転部材26の下面160と係合するように構成され、図示された形態において、U字形部分186に沿って配置されている。さまざまな形態が可能であるけれども、図示された構成における係合部材192は、円筒形の支持部材193によって支持されたスチールボールの形態を有している。スチールボール状の係合部材192は、支持部材193の中に位置されたばね(不図示)によって、回転部材26の下面160に向かって付勢されている。係合部材192は、回転部材26の下面160に向かって付勢されており、回転部材26が回転軸30の周りを回転している間、デテントくぼみ162と係合したり外れたりするようにデテント状に動く。
【0029】
図1及び
図2に示すように、基部14の上部分154と調整アーム40の調整端182には、第2アライメント印194a、194bが設けられ、これらは、調整アーム40の相対的位置に関する視覚的表示を使用者に与える。図示した実施形態において、第2アライメント印194aは三角形を有し、三角形は第2アライメント印194bと整列可能である。第2アライメント印194bは、6から12までの範囲に及ぶ数値スケールを備える。以下に示す理由によって、第2アライメント印194bの数値スケールは、第1アライメント印138bの数値スケールと対応している。第2アライメント印194bの各数値は、概して、デテント突起190とカム突起176の係合によって定められる複数のデテントアーム位置のうちの一つに対応する。
【0030】
図4を参照すると、回転部材26の下面160に設けられたデテントくぼみ162は、実質的に同軸の複数の輪200a、200b、200c上に配列されている。図示された非限定的な例において、回転部材26は、デテントくぼみ162の7つの輪を含むが、しかしながら、分かりやすさのために、7つの輪のうちの3つのみが
図4において符号を付され、調整可能な割出アセンブリ158の動作に関連して後に説明される。デテントくぼみ162の内側の輪200aは、12個のデテントくぼみ162を含み、それぞれは、角度A1だけ間隔があけられている。デテントくぼみ162の中間の輪200bは、18個のデテントくぼみ162を含み、それぞれは角度A1よりも小さい角度A2だけ間隔があけられている。デテントくぼみ162の外側の輪200cは24個のデテントくぼみ162を含み、それぞれは角度A1よりも小さい角度A3だけ間隔があけられている。他のデテント形態が、異なる数のデテントくぼみと異なる角度を有するものとして使用可能であることは、理解されるであろう。さらに、回転部材26はまた、
図3及び
図4にて示されたほぼ円形のくぼみと異なる形状を有するデテントくぼみ162を含み得る。例えば、回転部材26は、溝、波形、ピン、ラチェット歯(例えば、
図9に示される代替実施形態を参照)の装置を含むことができる。
【0031】
湾曲された、あるいは弧状の、あるいは円形の切り抜き品を弧状パンチ10でパンチするとき、例えばパンチキャリッジ18を回転軸30から離れるように動かすことによって、湾曲、弧、あるいは円の半径が増加されるほど、所望の弧の長さを得るため、あるいは完全円を完成するため、より多くの個々のパンチ動作が必要とされる。その結果、隣接するパンチの間の回転の角度はまた、減らされる。デテントくぼみ162の同心の輪200a、200b、200c(これらは、各輪において異なる数のデテントくぼみ162を含み、各輪のデテントくぼみ162の間に異なる角度A1、A2、A3を含む)の形態は、弧状パンチの操作中、回転部材26の各デテント回転位置間の角度の調整を許容し、異なる半径および直径を有する切り抜き品のパンチに適応する。
【0032】
図5及び
図6も参照して、基部14の下部分のカム突起176によって提供されるデテントアーム位置間で調整アーム40を移動させることによって、調整アーム40の係合部材192(例えばボール)は、デテントくぼみ162の異なる輪に円周方向に整列したり非整列になったりするよう動かされる。
図5に示されるように、調整アーム40が右いっぱいに移動されると(
図5において示される)、係合部材192は、外側の輪200cのデテントくぼみ162との係合のために整列される。したがって、回転部材26が回転されると、回転部材26の各デテント回転位置は、輪200cに関する角度A3だけ分離されるであろう。そして、回転部材26の1回転は、輪200cの24個のデテントくぼみ162によって定められる24個全てのデテント回転位置を通る回転を伴うであろう。
図6に示されるように、調整アーム40が左いっぱいに移動されると(
図6において示される)、係合部材192は、内側の輪200a上のデテントくぼみ162との係合のために整列される。したがって、回転部材26が回転されると、回転部材26の各デテント回転位置は、輪200cに対応つけられた角度A1だけ分離されるであろう。そして、回転部材26の1回転は、輪200cの24個のデテントくぼみ162によって定められる24個全てのデテント回転位置を通る回転を伴うであろう。調整アーム40が、カム突起176によって提供されるデテントアーム位置のいずれか一つに調整され、回転部材26の下面160のデテント窪み162の輪のいずれか一つに係合部材192を整列させることができること、
および、調整アーム40の各デテントアーム位置が、異なる数のデテント回転位置と、回転部材26のデテント回転位置間の異なる角度Aとを提供すること、が認識されるべきである。
【0033】
図7も参照して、湾曲された、あるいは弧状の、あるいは円形の切り抜き品をパンチするために、使用者は、パンチキャリッジの第1アライメント印138aを、例えば、約8インチのパンチ直径に対し数字「8」といったように、アーム42の第1アライメント印138bによって提供される対応する数字の目盛りに整列させることによって、完成された切り抜き品の所望の直径を選択する。そして、使用者が、調整アーム40の第2アライメント印194aを、基部14に設けられた第2アライメント印194bでの同じ数字(例えば「8」)に整列することによって、調整可能な割出アセンブリ158をセットする。そして、使用者は、完成される切り抜き品の所望の中心が回転軸30に実質的に整列されるよう、ワークピースWを配置する。ワークピースの整列は、中空の連結部材34を通して見て、そして、透明な円形のインサート148に設けられた十文字にワークピースの所望の中心を整列させることによって補助され得る。ワークピースWが配置された状態で、連結部材34は、強磁性体部材142を整列させることにより、回転部材26に磁気的に連結される。強磁性体部材142とグリッパーパッド146は、回転部材26と連結部材34との間にワークピースWを固定するために協働する。これにより、連結部材34が回転されたとき、ワークピースWと回転部材26もまた回転する。
【0034】
ワークピースWが連結部材34と回転部材26との間に固定された状態で、パンチ本体78を、パンチキャリッジ18ときわめて近い場所に配置することによって、パンチ本体78が、パンチキャリッジ18に連結されることが可能である。パンチ本体78の整列不良は、パンチキャリッジ18とパンチ本体78に設けられた強磁性体部材102、106の上述した構成によって回避可能である。これらは、整列が正しくない時に、パンチ本体78をパンチキャリッジ18から跳ね返す傾向にあり、整列が正しいときにパンチ本体78をパンチキャリッジ18と係合するように引き寄せる傾向にある。パンチ本体78がパンチキャリッジ18に正しく連結された状態で、使用者は、パンチ本体78の上側部分86を押し下げることによって、ワークピースに第1パンチ開口204aを形成する。パンチ本体78の上側部分86を押し下げることは、オスのパンチ部材98に、上型90と下型70を貫通させ、ワークピースWを貫通させる。
【0035】
第1パンチ開口204を形成した後、パンチ本体78は、パンチキャリッジ18から取り外され、そして、連結部材34は、回転される(例えば、
図7に示す時計回りに)。連結部材34の回転は、ワークピースWと回転部材26を回転させる。この回転によって、回転部材26は、係合部材192とデテントくぼみ162の一つとの係合によって確立されている、現在の割り出し回転位置から外れるように移動し、そして、係合部材192と、デテントくぼみ162の選択された輪における次のデテントくぼみ162との係合によって定められる次の割出回転位置に移動する。
【0036】
連結部材34とワークピースWと回転部材26とを同時に回転させた後、パンチ本体78は、再び、パンチキャリッジ18に連結され、使用者は第2のパンチ開口204bを形成する。回転部材26がその次の割出回転位置へ回転された状態で、第2パンチ開口204bは、少なくとも部分的に第1開口204aと重なりあうよう適切に配置されており、それによって、パンチ、回転、パンチというパターンの動作の繰り返しは、結果として、隣接し且つ部分的に重なりあうパンチ204a、204b、204c、204dなどの整列された並びをもたらす。その整列した並びは、最終的には、パンチ動作のはじめに選択された直径をおおよそ有するほぼ円形の切り抜き品を提供するであろう。
【0037】
したがって、ワークピースWに、湾曲したパターンをパンチするための方法が提供され、この方法は、弧状パンチ10を提供することを含む。これにおいて、弧状パンチ10は、ワークピースWを回転部材26に連結することによって動作可能であり、回転部材26は、複数の割出回転位置の間で、回転軸30周りに回転するものである。各割出回転位置は、調整可能な角度Aだけ互いに分離されている。パンチキャリッジ18と回転軸30との間の距離は調整され、調整可能な割出アセンブリ158は、パンチキャリッジ18と中心軸30との間の距離に対応して、角度Aを調整するようにセットされる。ワークピースWは、1回目に、ワークピースに第1開口204aを形成するためにパンチされ、そして、回転部材26は、一つの割出回転位置から次の割出回転位置に回転される。それによって、回転部材26とワークピースWを、角度Aだけ回転させる。ワークピースWは、2回目に、ワークピースWに第2開口204bを形成するためにパンチされる。そして、第2開口204bは、少なくとも部分的に第1開口204aと重なり合っている。
【0038】
アーム42に沿ってパンチキャリッジ18を配置することにより選択された直径に対応するよう、調整可能な割出アセンブリ158をセットすることによって、調整可能な割出アセンブリ158は、隣接するパンチの間の角度と、選択された直径に合う円を完成させる上で必要とされるパンチの総数とを、適切に調整する。この方法において、基部14、回転部材26、パンチキャリッジ18、及び調整可能な割出アセンブリ158は、パンチアセンブリ22のワークピースWへの適用を誘導するために協働する。第1アライメント印138a、138b及び第2アライメント印194a、194は、選択された直径を、調整可能な割出アセンブリ158の適切なセッティングに、合わせることを容易にする。調整アーム40の追加のデテントアーム位置が、設けられてもよいけれども、調整アーム40を例えば「6」のセッティングにセットすることは、6インチと、6と1/2インチとの間の範囲におよぶ選択された直径に適した回転角度を提供すること、一方、「7」のセッティングは、6と3/4インチと、7と1/2インチとの間の範囲におよぶ選択された直径に適した回転角度を提供すること、そして、その他、12インチの選択された直径まで同様であることが、理解される。特定の適した範囲は、上型90および下型70と、対応するオスのパンチ98との特定のセットの特定の構成によって決まるであろう。
【0039】
図8−13は、ここに述べた弧状パンチの代替の実施形態を図示する。
図8に示すように、弧状パンチ310は、中心軸314を有する略円形の基部312、下アーム316、および上アーム318を備える。下アーム316は、基部312にスライド可能に連結されており、オスとメスのパンチ部材のいずれか一方を備えるパンチ機構320を含む。
【0040】
上アーム318は、基部312にスライド可能に連結される。上アーム318は、下アーム316の上方に配置され、オスとメスのパンチ部材の他方を含む。この開示によれば、上及び下アーム316、318の少なくとも一方は、中心軸314周りに回転可能である。
【0041】
上アーム318は、第1磁気(全)面を含み、下アーム316は、第2磁気面を含む。第1及び第2磁気面は、互いに反対の極性を備える。したがって、アームが第1方向に回転されるとき、上アームと下アームとそれらに対応するパンチ構成要素とは、回転的な整列状態にのみなることができる。本開示の一実施形態では次のように考えられる。すなわち、上及び下アーム316、318の両方は、中心軸314周りに回転可能である。このような実施形態において、回転するアーム316、318は、磁気面によって連結され、それゆえに、それらが中心軸周りに回転されるとき、整列状態を維持する。
【0042】
オスとメスのパンチ部材を含むパンチ機構320は、はさみ動作/レバーシステム(scissor action/lever system)であってもよいと考えられる。このはさみ動作/レバーシステムは、パンチプレートの紙またはシート状媒体にパンチヘッドを押し通すために必要な力を減らすものである。例えば、パンチ機構は、米国特許第7,690,121号公報に開示されたタイプを含んでもよく、これの全体の内容は、参照によってここに取り入れられる。代替的に、本開示のパンチ機構320は、紙または他のシート状媒体との使用に適した、いかなるパンチ機構も使用することができ、これは、引き続き本開示の思想の範囲内に入る。本発明によって次の点も考えられる。すなわち、治具システムが用いられ、それによって、代替の切断工具が、円形の動きにおいて用いられてもよい。
【0043】
弧状パンチ310の一つの開示された実施形態によれば、弧状パンチはさらに、ラチェットシステム322の形態での調整可能な割出アセンブリを含む。
図8及び9に示されるように、ラチェットシステムは、円板324と爪326を備える。ラチェットシステム322の円板324は、基部312に配置される。円板324は、複数の軌道(全)328を備える上面を有する。軌道328は、隣接の軌道328に対して半径方向に配置される。したがって、複数の軌道328は、半径方向外側に向かって一方から他方へと配置されるに従って、周長を増加させる経路を形成する。軌道328のそれぞれは、その軌道328によって定められた周長を変える円板324の少なくとも一部を横切る。各軌道328はまた、複数の傾斜が付けられた面330を含む。この面は、軌道328に、予め定められた距離だけ離れて配置される。爪326は、円板324に向かって付勢されており、そして、区画328を横切ることを許されている。そして、爪326は、単一の方向で係合されており、反対の方向で軌道328を横切ることを妨げられている。さらに、傾斜面330は、軌道328のそれぞれに沿った所定の増分で配置され、所望のパンチパターンの直径によって決まるさまざまなパンチポジショニング地点に適応するものである。
【0044】
溝332は、円板324の上面に沿って半径方向に延在し、かつ、複数の区画にほぼ垂直に延在する。上アーム318が、所定点に回転されるとき、爪326が溝332内で、半径方向に移動することが許される。その結果、上アーム318は、中心軸314に垂直な軸に沿ってスライド可能に動くことが許され、それによって、中心軸314からパンチ機構320までの距離を変更する。この方法において、弧状パンチ310のパンチ機構320は、さまざまな直径の軌道に沿った弧状パンチを提供するように調整可能である。弧状パンチ310のハウジングは、次のようなアライメント印を含むであろうことが、意図されている。そのアライメント印とは、溝が、上アーム316のスライド可能な移動に適応した位置に配置されていることを使用者に表示するものである。
【0045】
図10−13は弧状パンチ310を用いる少なくとも一つの方法を図示する。この方法は:
シート状媒体を上アームと下アームとの間に配置すること;
上アームと下アームの間にシート状媒体を配置した状態で、上アームを下アームに磁気的に連結し、これにより、上アームと下アームとが第1のパンチ位置に位置されること;
上アームを、第1の方向に所定の回転角度だけ回転させること;および
上アームを、下アームに整列するよう回転させて戻し、これにより、上アームと下アームが第2のパンチ位置に位置されること;を備えている。
【0046】
特定の実施形態が図示され述べられてきた一方、数々の変更は、本開示の趣旨から著しく逸脱することなしに、想起される。そして保護の範囲は、添付する特許請求の範囲によって限定されるのみである。