(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、本発明をワイパモータに具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のワイパモータの概略構成図である。このワイパモータは、車両のフロントガラス等を払拭する車両用ワイパ(図示略)の駆動源として用いられ、モータ部1と、該モータ部1に連結された減速部2とを含む。
【0011】
モータ部1は、底部11aを有する筒状のヨークハウジング11を含み、該ヨークハウジング11の内周面には、4つの磁極部(2つのN極及び2つのS極)を有する少なくとも1つのマグネット12が固着されている。即ち、モータ部1は2つの磁気回路を含む。マグネット12において、N極とS極とはヨークハウジング11の周方向において交互に配置されている。
【0012】
マグネット12の径方向内側には、電機子21が回転可能に配置されている。電機子21は、回転軸22と電機子コア24と整流子25とを含む。ヨークハウジング11の底部11a側に位置する回転軸22の基端部は、底部11aの中央に設けられた軸受23によって支持されている。また、回転軸22の先端部は、ヨークハウジング11の開口部から減速部2に向かって延びている。
【0013】
前記電機子コア24は、前記マグネット12と径方向に対向する位置に配置され、前記回転軸22に一体回転可能に固定されている。電機子コア24は、回転軸22を中心として径方向外側に向かって放射状に延びる14本のティース24aを備える。電機子コア24の周方向に隣り合うティース24a間の空間には、スロット24bが形成されている(
図3参照)。
【0014】
また、電機子コア24よりも減速部2側の回転軸22の部位には、前記整流子25が一体回転可能に固定されている。
図2に示すように、整流子25は、絶縁性樹脂材料よりなり回転軸22に外嵌される円筒状の絶縁体26と、該絶縁体26の外周面に固着された14個のセグメント27とを含む。各セグメント27は、回転軸22の軸方向に長い長方形の板状を有する(
図1参照)とともに絶縁体26の外周面に沿って湾曲している。14個のセグメント27は全体として略円筒状を呈するように配置される。また、回転軸22の周方向において隣り合うセグメント27同士は回転軸22の周方向において離間する。また、180°間隔に配置されたセグメント27の対(本実施形態では6個置きのセグメント27同士)が7つ存在し、各対のセグメント27同士は、導線等の短絡線28(
図3参照)によって互いに短絡されている。尚、
図3においては、14個のセグメント27に対し、周方向に順にセグメント番号「1」〜「14」を付している。
【0015】
前記ティース24aには、14個のコイル29が重ね巻にて巻装されている。各コイル29は、2つのティース24aを跨ぐように、スロット24bを通って巻回されている。また、各コイル29の巻き始めの端部は前記セグメント27のうちの一つに接続され、各コイル29の巻き終わりの端部は前記巻き始めの端部が接続されたセグメント27と回転軸22の周方向において隣り合う他のセグメント27に接続される。これにより、14個のコイル29は、全体で1つのループを構成するように直列に接続されている。また、180°間隔に配置された各対のセグメント27同士が短絡線28にて短絡される結果、7個ずつのコイル29によって2つの閉ループが形成される(
図6(a)参照)。
【0016】
図1に示すように、前記減速部2は、ヨークハウジング11の開口縁部に連結固定されるギヤハウジング31を備えている。ギヤハウジング31はヨークハウジング11に向かって開口した開口部を有し、その開口部には、整流子25の外周に配置されたブラシホルダ32が螺子33により固定されている。前記ブラシホルダ32は絶縁性樹脂材料から構成され、円環形状を有する。
【0017】
図2に示すように、ブラシホルダ32のモータ部1側の面には、3つの保持部32aが設けられる。各保持部32aは径方向に延びる四角筒形状を有し、各保持部32a内には、四角柱形状を有する給電ブラシ40が挿入されている。各給電ブラシ40は、保持部32a内に収容されたばね等(図示略)によって整流子25に向かって付勢されており、その先端部が、整流子25の外周面(即ちセグメント27の径方向外側の面)に摺接可能に押し付けられている。尚、3つの給電ブラシ40のうち、
図2において右側に配置されたブラシは共通ブラシ41である。また、
図2において左側に配置されたブラシは電機子21を低速で回転させる場合に共通ブラシ41と共に電機子21に電流を供給する低速駆動用ブラシ42であり、
図2において中央に配置されたブラシは電機子21を高速で回転させる場合に共通ブラシ41と共に電機子21に電流を供給する高速駆動用ブラシ43である。これら3つのブラシ41,42,43は、整流子25の回転方向の後側から先行側に向かって、共通ブラシ41、高速駆動用ブラシ43、低速駆動用ブラシ42の順に配置されている。即ち、共通ブラシ41に対し、整流子25の回転方向先行側に高速駆動用ブラシ43が配置され、同高速駆動用ブラシ43に対し、整流子25の回転方向先行側に低速駆動用ブラシ42が配置されている。共通ブラシ41は陰極ブラシとして機能し、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43は陽極ブラシとして機能する。また、各給電ブラシ40には、ピッグテール44が接続されており、これらピッグテール44を介して給電ブラシ40に電流が供給される。
【0018】
また、
図1に示すように、ギヤハウジング31の前記開口部には、回転軸22の軸方向に沿って延びる円筒状の軸受保持部31aが設けられている。この軸受保持部31a内には、回転軸22の略中央部を軸支する円環状の軸受34が収容される。該軸受34は前記軸受23と共に回転軸22を軸支する。また、軸受34を貫通してギヤハウジング31内に延びる回転軸22の部位には、螺子歯状のウォーム51が形成されるとともに、ギヤハウジング31内には、該ウォーム51と噛合する円板状のウォームホイール52が収容されている。このウォーム51とウォームホイール52とは回転軸22の回転を減速する減速機構53を構成している。
【0019】
また、ウォームホイール52の径方向の中央部には、該ウォームホイール52の軸方向に延び該ウォームホイール52と一体回転する略円柱状の出力軸54が設けられている。この出力軸54の先端部は、ギヤハウジング31から外部に突出するとともに、該出力軸54の先端部にはクランクアーム55の基端部が固定されている。そして、クランクアーム55の先端部にはリンク機構(図示略)を介して車両用ワイパ(図示略)が連結される。
【0020】
上記のように構成されたワイパモータでは、共通ブラシ41及び低速駆動用ブラシ42を介して電機子21に電流が供給されると、該電機子21は低速で回転される。また、共通ブラシ41及び高速駆動用ブラシ43を介して電機子21に電流が供給されると、該電機子21は、低速駆動時よりも速い高速で回転される。そして、電機子21が回転されると、回転軸22の回転がウォーム51及びウォームホイール52にて減速されて出力軸54から出力され、リンク機構を介してクランクアーム55に連結された車両用ワイパが往復回動運動される。
【0021】
次に、3つの前記給電ブラシ40(即ち、共通ブラシ41、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43)の回転軸22の周方向における幅及び回転軸22の周方向における配置位置について説明する。
図4(a)に示すように、本実施形態のワイパモータにおいては、共通ブラシ41、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43は、互いに異なるタイミングで1つずつ交互に、周方向において隣り合う2つのセグメント27同士を短絡するように、各ブラシ41〜43の周方向の幅及び周方向の配置位置が設定されている。
【0022】
まず、ワイパモータにおいて、マグネット12が有する磁極部の数PはP≧4を満たす値に設定され、ティース24aの数とセグメント27の数とが同数に設定される。そして、ティース24aの数(即ちセグメント27の数)をSとすると、(2S/P)が奇数となるようにSの値が設定される。本実施形態では、P=4、S=14であることから、(2S/P)は「7」であり奇数となっている。
【0023】
更に、回転軸22の周方向に関して、セグメント27の幅をL1、隣り合うセグメント27間の間隔をL2、共通ブラシ41の幅をB1、低速駆動用ブラシ42の幅をB2、高速駆動用ブラシ43の幅をB3、高速駆動用ブラシ43を中央として配置された3つのブラシ41〜43の配置区域の幅をA、高速駆動用ブラシ43を挟んだ共通ブラシ41と低速駆動用ブラシ42との間の間隔をD1、共通ブラシ41と高速駆動用ブラシ43との間の間隔をD2、高速駆動用ブラシ43と低速駆動用ブラシ42との間の間隔をD3とすると、各値は以下の条件を満たすように設定される。
B1>L2、B2>L2、B3>L2、
A<(n×L1+(n+1)×L2)、
D1>((n−1)×L1+(n−2)×L2)、
D2>((n−2)×L1+(n−3)×L2)、
D3>L1
尚、「n」は、(360°/P)の角度範囲に配置されたセグメント27の数に一致する値である。本実施形態では、P=4、セグメント27の数が「14」であることから、
(360°/14)×(n−1)≦360°/4≦(360°/14)×n
を満たすnの値であり、n=4とされる。
【0024】
そして、上記の条件を満たすように設定されることにより、本実施形態の高速駆動用ブラシ43は、共通ブラシ41及び低速駆動用ブラシ42に比べて回転軸22の周方向における幅が小さく形成されている。
【0025】
次に、上記の条件を満たすように共通ブラシ41、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43が整流子25の周囲に配置された本実施形態のワイパモータにおいて、整流子25が回転されたときの該整流子25とブラシ41〜43との関係について
図4及び
図5を参照して説明する。尚、
図4及び
図5においては、整流子25の回転方向を矢印にて図示している。
【0026】
図4(a)及び
図5(a)では、共通ブラシ41が、周方向において隣り合うセグメント番号「5」,「6」のセグメント27の短絡を開始している。このとき、低速駆動用ブラシ42は、周方向において隣り合うセグメント番号「1」,「2」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子25の回転方向の先行側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「2」のセグメント27にのみ接触しており、セグメント番号「1」のセグメント27には接触していない。また、高速駆動用ブラシ43は、セグメント番号「3」のセグメント27にのみ接触し、その周方向の両端部は、同セグメント27の周方向の両端よりも内側に配置されている。そして、共通ブラシ41による周方向に隣り合う2つのセグメント27の短絡中には、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43はそれぞれ1つのセグメント27のみに接触しており周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡しない。
【0027】
図4(a)及び
図5(a)に示す状態から、
図4(b)及び
図5(b)に示す状態になると、高速駆動用ブラシ43が、周方向に隣り合うセグメント番号「3」,「4」のセグメント27の短絡を開始する。このとき、共通ブラシ41による隣り合う2つのセグメント27の短絡は終了しており、共通ブラシ41は、セグメント番号「5」,「6」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子25の回転方向の先行側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「6」のセグメント27にのみ接触し、セグメント番号「5」のセグメント27には接触していない。また、低速駆動用ブラシ42は、周方向に隣り合うセグメント番号「2」,「3」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子25の回転方向の後側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「2」のセグメント27にのみ接触しており、セグメント番号「3」のセグメント27には接触していない。そして、
図4(c)に示すように、高速駆動用ブラシ43による周方向に隣り合う2つのセグメント27の短絡中には、共通ブラシ41及び低速駆動用ブラシ42はそれぞれ1つのセグメント27のみに接触しており周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡しない。
【0028】
次いで、
図4(d)及び
図5(c)に示す状態になると、低速駆動用ブラシ42が、周方向に隣り合うセグメント番号「2」,「3」のセグメント27の短絡を開始する。このとき、高速駆動用ブラシ43による隣り合う2つのセグメント27の短絡は終了しており、高速駆動用ブラシ43は、セグメント番号「3」,「4」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子25の回転方向の先行側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「4」のセグメント27にのみ接触し、セグメント番号「3」のセグメント27には接触していない。また、共通ブラシ41は、セグメント番号「5」,「6」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子25の回転方向の先行側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「6」のセグメント27にのみ接触し、セグメント番号「5」のセグメント27には接触していない。そして、低速駆動用ブラシ42による周方向に隣り合う2つのセグメント27の短絡中には、共通ブラシ41及び高速駆動用ブラシ43は1つのセグメント27にのみ接触しており、周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡しない。
【0029】
整流子25が更に回転して
図4(e)及び
図5(d)に示す状態となると、
図4(a)及び
図5(a)に示す状態と同様に、低速駆動用ブラシ42による周方向に隣り合う2つのセグメント27の短絡が終了し、共通ブラシ41が、周方向に隣り合う2つのセグメント27の短絡を開始する。以後、整流子25が回転されると、
図4(a)乃至
図4(e)及び
図5(a)乃至
図5(d)に図示した状態と同様の状態が繰り返される。即ち、共通ブラシ41、高速駆動用ブラシ43、低速駆動用ブラシ42の順に交互に1つずつのブラシが周方向に隣り合うセグメント27を短絡する。そして、3つのブラシ41〜43のうち何れか1つのブラシが周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡している間は、残りの2つのブラシは1つのセグメント27にのみ接触する。
【0030】
また、
図6(a)に示すように、3つのブラシ41〜43のうち共通ブラシ41が周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡している場合には、14個のコイル29のうち破線で図示した2つのコイル29が短絡中となり、残りの12個のコイル29が有効コイルとなる。また、
図6(b)に示すように、高速駆動用ブラシ43が周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡している場合も同様に、14個のコイル29のうち破線で図示した2つのコイル29が短絡中となり、残りの12個のコイル29が有効コイルとなる。そして、低速駆動用ブラシ42が周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡する場合も同様に、14個のコイル29のうち2つのコイル29が短絡中となり、残りの12個のコイル29が有効コイルとなる。従って、有効コイル数の変動が抑えられることから、コイル29の抵抗変動が小さく抑えられる。
【0031】
上記したように、本第1の実施形態によれば、以下の利点を有する。
(1)共通ブラシ41、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43の全てのブラシが周方向に隣り合う2つのセグメント27を同時に短絡することがない。具体的には、共通ブラシ41、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43は、1つずつ交互に周方向において隣り合う2つのセグメント27同士を短絡し、同時に2つ以上のブラシが周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡することはない。従って、有効コイル数の変動を小さく抑えることができ、コイル29の抵抗変動を小さく抑えることができる。その結果、供給される電流の値の変動が小さく抑えられてトルクの変動が小さく抑えられ、トルクの変動によるワイパモータの振動の発生が小さく抑えられる。これにより、ワイパモータにおける騒音の発生を小さく抑えることができる。
【0032】
(2)共通ブラシ41、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43の周方向の幅及び周方向の配置位置は、上記した、B1>L2、B2>L2、B3>L2、A<(n×L1+(n+1)×L2)、D1>((n−1)×L1+(n−2)×L2)、D2>((n−2)×L1+(n−3)×L2)、D3>L1の条件に基づいて設定されている。この条件を満たすように各値を設定することにより、共通ブラシ41、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43が1つずつ交互に周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡する構成を容易に実現することができる。
【0033】
(3)共通ブラシ41、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43は、整流子25の回転方向の後側から先行側に向かって、共通ブラシ41、高速駆動用ブラシ43、低速駆動用ブラシ42の順に配置されている。ワイパモータを駆動すると、電機子21の回転により生ずる誘起電圧の影響を受けて、電機子21の磁気中心(コイル29に電流が供給されて生ずる極の周方向の中心)が整流子25の回転方向逆側にわずかにずれる。従って、整流子25の回転方向の後方側から前方側に向かって、共通ブラシ41、高速駆動用ブラシ43、低速駆動用ブラシ42の順に各ブラシ41〜43を配置すると、高速駆動用ブラシ43を用いて給電した場合に電機子21において形成される磁気中心を、低速駆動用ブラシ42を用いて給電した場合に電機子21において形成される磁気中心に近い位置とすることができる。その結果、ワイパモータを低速で駆動する場合と高速で駆動する場合とのそれぞれの場合において、整流子25の回転方向の後側から先行側に向かって低速駆動用ブラシ42、高速駆動用ブラシ43、共通ブラシ41の順に各ブラシ41〜43を配置する場合よりも、ワイパモータの特性を下げることなく同ワイパモータの有効利用ができる。
【0034】
(4)電機子コア24は14個のスロット24bを有するとともに、スロット24bの総数(即ち「14」)を2で割った数(即ち「7」)が奇数となっている。即ち、磁気回路1つあたりのスロット数が奇数となる。このようにすると、4つの磁極部を有するマグネット12を備えた本実施形態のワイパモータにおいて、共通ブラシ41、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43が1つずつ交互に周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡するように構成することがより容易となる。
【0035】
(第2の実施形態)
以下、本発明をワイパモータに具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、本第2の実施形態では、上記第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図7は、本第2の実施形態におけるモータ部及び給電ブラシを平面状に展開した模式図を示す。
図7に示すように、ワイパモータに備えられる本第2の実施形態のモータ部61は、上記第1の実施形態のモータ部1と同様のヨークハウジング11と該ヨークハウジング11の内周面に固着された4つの磁極部(2つのN極及び2つのS極)を有する少なくとも1つのマグネット12とを有する(
図1参照)。マグネット12の径方向内側には電機子62が回転可能に配置されている。電機子62は、回転軸22と、該回転軸22に一体回転可能に固定された電機子コア63と、該電機子コア63よりも減速部2側(
図1参照)となる位置に一体回転可能に固定された整流子64と、同電機子コア63に巻装された複数のコイル65とを備えている。
【0037】
電機子コア63は、前記マグネット12と径方向に対向する位置に配置され、回転軸22に固定されている。この電機子コア63は、回転軸22を中心として径方向外側に向かって放射状に延びる18本のティース63aを備える。電機子コア63の周方向に隣り合うティース63a間の空間には、スロット63bが形成されている。
【0038】
図9(a)に示すように、前記整流子64は、絶縁体26と、該絶縁体26の外周面に固着された18個のセグメント27とを含む。18個のセグメント27は、周方向に等角度間隔に並設されるとともに、回転軸22の周方向に隣り合うセグメント27同士は周方向に離間している。尚、
図7に示すように、18個のセグメント27に対し、周方向に順にセグメント番号「1」〜「18」を付すことにする。
【0039】
図7に示すように、前記ティース63aには、18個のコイル65が重ね巻にて巻装されている。各コイル65は、連続して周方向に並ぶ4つのティース63aをそれぞれ跨ぐように、スロット63bを通って電機子コア63に巻装されている。また、各コイル65の巻き始めの端部は前記セグメント27のうちの一つに接続され、各コイル65の巻き終わりの端部は前記巻き始めの端部が接続されたセグメント27と周方向に隣り合う他のセグメント27に接続されている。
【0040】
上記のように構成されたモータ部61は、上記第1の実施形態のモータ部1と同様に減速部2に連結されている。また、本第2の実施形態では、減速部2に備えられるブラシホルダ32(
図2参照)は、径方向に延びる四角筒状の6個の給電ブラシ70を保持している。6個の給電ブラシ70のうち2つのブラシは共通ブラシ71であり、もう2つのブラシは低速駆動用ブラシ72であり、残りの2つのブラシは高速駆動用ブラシ73である。また、
図9(a)に示すように、6個の給電ブラシ70は、整流子64の回転方向(即ち電機子62の回転方向)の後側から先行側に向かって、共通ブラシ71、高速駆動用ブラシ73、低速駆動用ブラシ72…の順に配置されている。尚、
図9(a)では、整流子64の回転方向を矢印にて図示している。更に、2つの共通ブラシ71は整流子64の中心軸線Lを挟んで対称に配置(言い換えると、周方向に互いに180°間隔配置)されるとともに、2つの低速駆動用ブラシ72及び2つの高速駆動用ブラシ73もそれぞれ中心軸線Lを挟んで対称に配置されている。
【0041】
そして、各給電ブラシ70は、ばね等(図示略)によって整流子64側に付勢されており、その先端部が、整流子64の外周面(即ちセグメント27の径方向外側の側面)に摺接可能に押し付けられている。また、共通ブラシ71は陽極ブラシとして機能し、低速駆動用ブラシ72及び高速駆動用ブラシ73は陰極ブラシとして機能する。また、各給電ブラシ70には、上記第1の実施形態の給電ブラシ40と同様にピッグテール(図示略)が接続されており、これらピッグテールを介して給電ブラシ70に電流が供給される。
【0042】
次に、6つの給電ブラシ70(即ち、2つの共通ブラシ71、2つの低速駆動用ブラシ72及び2つの高速駆動用ブラシ73)の回転軸22の周方向における幅及び回転軸22の周方向における配置位置について詳述する。
図7に示すように、本実施形態のワイパモータにおいては、電機子62の回転に伴って、共通ブラシ71、低速駆動用ブラシ72及び高速駆動用ブラシ73の3種類の給電ブラシ70のうち1種類の給電ブラシ70のみが周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡する1種短絡状態(短絡状態)と、何れの給電ブラシ70も周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡しない無短絡状態とを繰り返すように、各ブラシ71〜73の周方向の幅及び周方向の幅が設定されている。
【0043】
まず、ワイパモータにおいて、マグネット12が有する磁極部の数PはP≧4を満たす値に設定され、ティース63aの数とセグメント27の数とが同数に設定される。そして、ティース63aの数(即ちセグメント27の数)をSとすると、(2S/P)が奇数となるようにSの値が設定される。本実施形態では、P=4、S=18であることから、(2S/P)は「9」であり奇数となっている。
【0044】
また、回転軸22の周方向に関して、セグメント27の幅をL1、隣り合うセグメント27間の間隔をL2、共通ブラシ71の幅をB1、低速駆動用ブラシ72の幅をB2、高速駆動用ブラシ73の幅をB3、高速駆動用ブラシ73を中央として配置された3つのブラシ71〜73を1組と考え、1組のブラシ71〜73の配置領域の幅をA、高速駆動用ブラシ73を挟んだ共通ブラシ71と低速駆動用ブラシ72との間の間隔をD1、共通ブラシ71と高速駆動用ブラシ73との間の間隔をD2、高速駆動用ブラシ73と低速駆動用ブラシ72との間の間隔をD3とすると、各値は以下の条件を満たすように設定される。
B1>L2、B2>L2、B3>L2、
A<(n×L1+(n+1)×n2)、
D1>((n−1)×L1+(n−2)×L2)、
D2>(n1×L1+(n1−1)×L2)、
D3>(n2×L1+(n2−1)×L2)、
n=n1+n2+1
尚、「n」は、(360°/P)の角度範囲に配置されたセグメント27の数に位置する数である。言い換えると、「n」は、モータ部61に備えられるセグメント27の数(即ちティース63aの数Sに同じ)を磁極部の数Pで割って得られた商である。商が整数でない場合には、切り上げた数が「n」とされる。また、「n1」及び「n2」は、前記「n=n1+n2+1」を満たす正の整数である。本実施形態のように、マグネット12の磁極部の数Pが「4」、セグメント27の数が「18」であるときは、例えば、n=5、n1=2、n2=2に設定される。
【0045】
そして、本実施形態では、上記の条件を満たすように共通ブラシ71、低速駆動用ブラシ72及び高速駆動用ブラシ73は周方向の幅及び周方向の配置位置が設定され、各ブラシ71〜73の周方向の幅B1,B2,B3は同じ値であるとともにセグメント27の周方向の幅よりも狭くなっている。また、高速駆動用ブラシ73を挟んで配置された共通ブラシ71と低速駆動用ブラシ72とは、マグネット12の隣り合う磁極部同士の角度間隔と同じ90°間隔に配置されている。
【0046】
次に、上記の条件を満たすように共通ブラシ71、低速駆動用ブラシ72及び高速駆動用ブラシ73が整流子64の周囲に配置された本実施形態のワイパモータにおいて、整流子64が回転されたときの該整流子64とブラシ71〜73との関係について
図8(a)乃至
図9(d)を参照して説明する。
図8(a)乃至
図8(d)は、
図7から説明に必要な部分を抜き出した概略図であり、整流子64の回転方向に約180°分を図示している。また、
図8(a)乃至
図8(d)においては、1組のブラシ71〜73のみを図示しているが、残りの1組の3つのブラシ71〜73も整流子64との関係は同様である。更に、
図8(a)乃至
図9(d)においては、整流子64の回転方向を矢印にて図示している。
【0047】
図8(a)及び
図9(a)では、共通ブラシ71が、周方向に隣り合うセグメント番号「2」,「3」のセグメント27を短絡している。尚、
図8及び
図9では、周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡している給電ブラシ70にハッチングを施している。このとき、高速駆動用ブラシ73は、周方向に隣り合うセグメント番号「5」,「6」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の後側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「6」のセグメント27のみに接触しており、セグメント番号「5」のセグメント27には接触していない。また、低速駆動用ブラシ72は、セグメント番号「7」のセグメント27のみに接触している。このように、
図8(a)及び
図9(a)に図示した状態は、共通ブラシ71のみが周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡する1種短絡状態であり、このため、18個のコイル65のうち、整流中のコイル65は2つのみ(
図8(a)中、破線のコイル65参照)であり、残りの16個のコイル65には電流が供給されている。即ち、この状態では、有効コイルは16個である。
【0048】
図8(a)及び
図9(a)に示す状態から、
図8(b)及び
図9(b)に示す状態になると、高速駆動用ブラシ73が、周方向に隣り合うセグメント番号「5」,「6」のセグメント27を短絡する。このとき、共通ブラシ71による隣り合う2つのセグメント27の短絡は終了しており、共通ブラシ71は、周方向に隣り合うセグメント番号「2」,「3」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の先行側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「2」のセグメント27のみに接触し、セグメント番号「3」のセグメント27には接触していない。また、低速駆動用ブラシ72は、周方向に隣り合うセグメント番号「6」,「7」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の後側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「7」のセグメント27のみに接触し、セグメント番号「6」のセグメント27には接触していない。このように、
図8(b)及び
図9(b)に図示した状態は、高速駆動用ブラシ73のみが周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡する1種短絡状態であり、このため、18個のコイル65のうち、整流中のコイル65は2つのみ(
図8(b)中、破線のコイル65参照)であり、残りの16個のコイル65には電流が供給されている。即ち、この状態では、有効コイルは16個である。
【0049】
次いで、
図8(c)及び
図9(c)に示す状態になると、低速駆動用ブラシ72が、周方向に隣り合うセグメント番号「6」,「7」のセグメント27を短絡する。このとき、高速駆動用ブラシ73による隣り合う2つのセグメント27の短絡は終了しており、高速駆動用ブラシ73は、周方向に隣り合うセグメント番号「5」,「6」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の先行側の端部)が配置された状態でセグメント番号「5」のセグメント27のみに接触し、セグメント番号「6」のセグメント27には接触していない。また、共通ブラシ71は、セグメント番号「2」のセグメント27のみに接触している。このように、
図8(c)及び
図9(c)に図示した状態は、低速駆動用ブラシ72のみが周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡する1種短絡状態であり、このため、18個のコイル65のうち、整流中のコイル65は2つのみ(
図8(b)中、破線のコイル65参照)であり、残りの16個のコイル65には電流が供給されている。即ち、この様態では、有効コイルは16個である。
【0050】
次いで、
図8(d)及び
図9(d)に示す状態になると、低速駆動用ブラシ72による隣り合う2つのセグメント27の短絡は終了し、低速駆動用ブラシ72は、周方向に隣り合うセグメント番号「6」,「7」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の先行側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「6」のセグメント27のみに接触し、セグメント番号「7」のセグメント27には接触していない。また、共通ブラシ71は、周方向に隣り合うセグメント番号「1」,「2」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の後側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「2」のセグメント27のみに接触し、セグメント番号「1」のセグメント27には接触していない。更に、高速駆動用ブラシ73は、セグメント番号「5」のセグメント27のみに接触している。このように、
図8(d)及び
図9(d)に図示した状態は、共通ブラシ71、低速駆動用ブラシ72及び高速駆動用ブラシ73の何れも周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡しない無短絡状態であり、このため、18個の全てのコイル65に電流が供給される。即ち、この状態では有効コイルは18個である。
【0051】
そして、整流子64が更に回転すると、
図8(a)及び
図9(a)に図示した状態と同様の状態となり、電機子62の回転に伴って、
図8(a)乃至
図8(d)及び
図9(a)乃至
図9(d)に示した状態と同様の状態が繰り返される。即ち、電機子62の回転に伴って、2つの共通ブラシ71のみが周方向に隣り合うセグメント27同士を短絡する1種短絡状態、2つの高速駆動用ブラシ73のみが周方向に隣り合うセグメント27同士を短絡する1種短絡状態、2つの低速駆動用ブラシ72のみが周方向に隣り合うセグメント27同士を短絡する1種短絡状態、及び3種類のブラシ71〜73の何れも周方向に隣り合うセグメント27同士を短絡しない無短絡状態が順に繰り返される。そのため、共通ブラシ71、低速駆動用ブラシ72及び高速駆動用ブラシ73の3種類のブラシのうち2種類のブラシが同時に周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡したり、全てのブラシが同時に周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡したりすることがない。また、
図8及び
図9に示すように、本実施形態では、電機子62の回転に伴って周方向に隣り合うセグメント27を短絡する給電ブラシ70(ブラシ71〜73)は、整流子64の回転方向と同方向(回転方向の前方側)に移り変わっていく。
【0052】
上記したように、本第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態の(3)及び(4)と同様の利点に加えて、以下の利点を有する。
(1)共通ブラシ71、低速駆動用ブラシ72及び高速駆動用ブラシ73の全てのブラシが周方向に隣り合う2つのセグメント27を同時に短絡することがない。従って、有効コイル数の変動を抑制することができ、コイル65の抵抗変動を抑制することができる。その結果、供給される電流の値の変動が抑制されてトルクの変動が抑制され、トルクの変動によるワイパモータの振動の発生が抑制される。また、有効コイル数の減少が抑制される。
【0053】
(2)共通ブラシ71、低速駆動用ブラシ72及び高速駆動用ブラシ73は、順次周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡するため、有効コイル数の急激な変動を抑えることができる。従って、ワイパモータにおける振動の発生が抑制される。
【0054】
(3)1種短絡状態と無短絡状態とが繰り返されるため、同時に2種類以上のブラシが周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡することがない。従って、有効コイル数の変動を更に小さく抑えることができ、コイル65の抵抗変動を更に小さく抑えることができる。その結果、供給される電流の値の変動が更に抑制されてトルクの変動が更に抑制され、トルクの変動によるワイパモータの振動の発生が更に抑制される。また、無短絡状態においては、全てのコイル65が有効コイルとなるので、コイル65を有効に利用することができる。
【0055】
(4)共通ブラシ71、低速駆動用ブラシ72及び高速駆動用ブラシ73の周方向の幅及び周方向の配置位置は、上記した、B1>L2、B2>L2、B3>L2、A<(n×L1+(n+1)×L2)、D1>((n−1)×L1+(n−2)×L2)、D2>(n1×L1+(n1−1)×L2)、D3>(n2×L1+(n2−1)×L2)、n=n1+n2+1の条件に基づいて設定されている。この条件を満たすように各値を設定することにより、無短絡状態と1種短絡状態とが繰り返される構成を容易に形成することができる。
【0056】
(第3の実施形態)
以下、本発明をワイパモータに具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、本第3の実施形態では、上記第1の実施形態及び上記第2の実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図10は、本第3の実施形態のワイパモータにおいて、モータ部及び給電ブラシを平面状に展開した模式図を示す。
図10に示すように、本第3の実施形態では、減速部2に備えられるブラシホルダ32(
図2参照)は、径方向に延びる四角筒状の6個の給電ブラシ80を保持している。6個の給電ブラシ80のうち2つのブラシは共通ブラシ81であり、もう2つのブラシは低速駆動用ブラシ82であり、残りの2つのブラシは高速駆動用ブラシ83である。また、
図13(a)に示すように、6個の給電ブラシ80は、整流子64の回転方向(即ち電機子62の回転方向)の後側から先行側に向かって、共通ブラシ81、高速駆動用ブラシ83、低速駆動用ブラシ82の順に配置されている。尚、
図13(a)では、整流子64の回転方向を矢印にて図示している。更に、2つの共通ブラシ81は整流子64の中心軸線Lを挟んで対称に配置(言い換えると、周方向に互いに180°間隔配置)されるとともに、2つの低速駆動用ブラシ82及び2つの高速駆動用ブラシ83もそれぞれ中心軸線Lを挟んで対称に配置されている。
【0058】
そして、各給電ブラシ80は、ばね等(図示略)によって整流子64側に付勢されており、その先端部が、整流子64の外周面(即ちセグメント27の径方向外側の側面)に摺接可能に押し付けられている。また、共通ブラシ81は陽極ブラシとして機能し、低速駆動用ブラシ82及び高速駆動用ブラシ83は陰極ブラシとして機能する。更に、各給電ブラシ80には、上記第1の実施形態の給電ブラシ40と同様にピッグテール(図示略)が接続されており、これらピッグテールを介して給電ブラシ80に電流が供給される。
【0059】
次に、6つの給電ブラシ80(即ち、2つの共通ブラシ81、2つの低速駆動用ブラシ82及び2つの高速駆動用ブラシ83)の回転軸22の周方向における幅及び回転軸22の周方向における配置位置について詳述する。
図10に示すように、本実施形態のワイパモータにおいては、電機子62の回転に伴って、共通ブラシ81、低速駆動用ブラシ82及び高速駆動用ブラシ83の3種類の給電ブラシ80のうち2種類の給電ブラシ80が周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡する2種短絡状態(短絡状態)と、1種類の給電ブラシ80のみが周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡する1種短絡状態(短絡状態)と、何れの給電ブラシ80も周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡しない無短絡状態とを繰り返すように、各ブラシ81〜83の周方向の幅及び周方向の幅が設定されている。
【0060】
まず、ワイパモータにおいて、マグネット12が有する磁極部の数PはP≧4を満たす値に設定され、ティース63aの数とセグメント27の数とが同数に設定される。そして、ティース63aの数(即ちセグメント27の数)をSとすると、(2S/P)が奇数となるようにSの値が設定される。本実施形態では、P=4、S=18であることから、(2S/P)は「9」であり奇数となっている。
【0061】
また、回転軸22の周方向に関して、セグメント27の幅をL1、隣り合うセグメント27間の間隔をL2、共通ブラシ81の幅をB1、低速駆動用ブラシ82の幅をB2、高速駆動用ブラシ83の幅をB3、高速駆動用ブラシ83を中央として配置された3つのブラシ81〜83を1組と考え、1組のブラシ81〜83の配置領域の幅をAとすると、各値は以下の条件を満たすように設定される。
L2<B1<(L1+2×L2)、
L2<B2<(L1+2×L2)、
L2<B3<(L1+2×L2)、
A<(n×L1+(n+1)×L2)
尚、「n」は、(360°/P)の角度範囲に配置されたセグメント27の数に位置する数である。言い換えると、「n」は、モータ部61に備えられるセグメント27の数(即ちティース63aの数Sに同じ)を磁極部の数Pで割って得られた商である。商が整数でない場合には、切り上げた数が「n」とされる。
【0062】
そして、本実施形態では、上記の条件を満たすように共通ブラシ81、低速駆動用ブラシ82及び高速駆動用ブラシ83は周方向の幅及び周方向の配置位置が設定され、各ブラシ81〜83の周方向の幅B1,B2,B3は同じ値であるとともにセグメント27の周方向の幅よりも若干狭くなっている。また、高速駆動用ブラシ83を挟んで配置された共通ブラシ81と低速駆動用ブラシ82とは、マグネット12の隣り合う磁極部同士の角度間隔と同じ90°間隔に配置されている。
【0063】
次に、上記の条件を満たすように共通ブラシ81、低速駆動用ブラシ82及び高速駆動用ブラシ83が整流子64の周囲に配置された本実施形態のワイパモータにおいて、整流子64が回転されたときの該整流子64とブラシ81〜83との関係について
図11(a)乃至
図14(d)を参照して説明する。
図11(a)乃至
図12(d)は、
図10から説明に必要な部分を抜き出した概略図であり、整流子64の回転方向に約180°分を図示している。また、
図11(a)乃至
図12(d)においては、1組のブラシ71〜73のみを図示しているが、残りの1組の3つのブラシ81〜83も整流子64との関係は同様である。更に、
図11(a)乃至
図14(d)においては、整流子64の回転方向を矢印にて図示している。
【0064】
図11(a)及び
図13(a)では、共通ブラシ81が、周方向に隣り合うセグメント番号「3」,「4」のセグメント27を短絡している。尚、
図11(a)乃至
図14(d)では、周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡している給電ブラシ80にハッチングを施している。このとき、高速駆動用ブラシ83は、周方向に隣り合うセグメント番号「6」,「7」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の先行側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「6」のセグメント27のみに接触しており、セグメント番号「7」のセグメント27には接触していない。また、低速駆動用ブラシ82は、セグメント番号「8」のセグメント27のみに接触している。このように、
図11(a)及び
図13(a)に図示した状態は、共通ブラシ81のみが周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡する1種短絡状態であり、このため、18個のコイル65のうち、整流中のコイル65は2つのみ(
図11(a)中、破線のコイル65参照)であり、残りの16個のコイル65には電流が供給されている。即ち、この状態では、有効コイルは16個である。
【0065】
図11(a)及び
図13(a)に示す状態から、整流子64が少し回転した
図11(b)及び
図13(b)に示す状態においても、
図11(a)及び
図13(a)に示す状態と同様に、共通ブラシ81が、周方向に隣り合うセグメント番号「3」,「4」のセグメント27を短絡している。そして、高速駆動用ブラシ83は、セグメント番号「6」のセグメント27のみに接触しており、低速駆動用ブラシ82は、セグメント番号「8」のセグメント27のみに接触している。従って、共通ブラシ81のみが周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡する1種短絡状態が維持されている。
【0066】
そして、整流子64が更に回転して
図11(c)及び
図13(c)に示す状態になると、共通ブラシ81による隣り合う2つのセグメント27の短絡は終了し、共通ブラシ81は、周方向に隣り合うセグメント番号「3」,「4」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の先行側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「3」のセグメント27のみに接触し、セグメント番号「4」のセグメント27には接触していない。また、高速駆動用ブラシ83は、セグメント番号「6」のセグメント27のみに接触している。そして、低速駆動用ブラシ82は、周方向に隣り合うセグメント番号「7」,「8」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の後側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「8」のセグメント27のみに接触し、セグメント番号「7」のセグメント27には接触していない。このように、
図11(c)及び
図13(c)に図示した状態は、共通ブラシ81、低速駆動用ブラシ82及び高速駆動用ブラシ83の何れも周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡しない無短絡状態であり、このため、18個の全てのコイル65に電流が供給される。即ち、この状態では、有効コイルは18個である。
【0067】
次いで、
図11(d)及び
図13(d)に示す状態になると、低速駆動用ブラシ82が、周方向に隣り合うセグメント番号「7」,「8」のセグメント27を短絡する。このとき、共通ブラシ81は、周方向に隣り合うセグメント番号「3」,「4」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の先行側の端部)が配置された状態でセグメント番号「3」のセグメント27のみに接触し、セグメント番号「4」のセグメント27には接触していない。また、高速駆動用ブラシ83は、周方向に隣り合うセグメント番号「5」,「6」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の後側の端部)が配置された状態でセグメント番号「6」のセグメント27のみに接触し、セグメント番号「5」のセグメント27には接触していない。このように、
図11(d)及び
図13(d)に図示した状態は、低速駆動用ブラシ82のみが周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡する1種短絡状態であり、このため、18個のコイル65のうち、整流中のコイル65は2つのみ(
図11(d)中、破線のコイル65参照)であり、残りの16個のコイル65には電流が供給されている。即ち、この状態では、有効コイルは16個である。
【0068】
図11(d)及び
図13(d)に示す状態から、整流子64が少し回転した
図12(a)及び
図14(a)に示す状態においても、
図11(d)及び
図13(d)に示す状態と同様に、低速駆動用ブラシ82が、周方向に隣り合うセグメント番号「7」,「8」のセグメント27を短絡している。そして、共通ブラシ81は、セグメント番号「3」のセグメント27のみに接触しており、高速駆動用ブラシ83は、セグメント番号「6」のセグメント27のみに接触している。従って、低速駆動用ブラシ82のみが周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡する1種短絡状態が維持されている。
【0069】
次いで、
図12(b)及び
図14(b)に示す状態になると、低速駆動用ブラシ82に加えて、高速駆動用ブラシ83が、周方向に隣り合うセグメント番号「5」,「6」のセグメント27を短絡する。このとき、共通ブラシ81は、周方向に隣り合うセグメント番号「2」,「3」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の後側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「3」のセグメント27のみに接触し、セグメント番号「2」のセグメント27には接触していない。このように、
図12(b)及び
図14(b)に図示した状態は、低速駆動用ブラシ82及び高速駆動用ブラシ83の2種類のブラシが周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡する2種短絡状態であり、このため、18個のコイル65のうち、整流中のコイル65は4つのみ(
図12(b)中、破線のコイル65参照)であり、残りの14個のコイル65には電流が供給されている。即ち、この状態では、有効コイルは14個である。
【0070】
次いで、
図12(c)及び
図14(c)に示す状態になると、低速駆動用ブラシ82による隣り合う2つのセグメント27同士の短絡は終了し、低速駆動用ブラシ82は、周方向に隣り合うセグメント番号「7」,「8」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の先行側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「7」のセグメント27のみに接触し、セグメント番号「8」のセグメント27には接触していない。また、高速駆動用ブラシ83は、周方向に隣り合うセグメント番号「5」,「6」のセグメント27を短絡した状態を維持するとともに、共通ブラシ81は、セグメント番号「3」のセグメント27のみに接触した状態を維持している。このように、
図12(c)及び
図14(c)に図示した状態は、高速駆動用ブラシ83のみが周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡する1種短絡状態であり、このため、18個のコイル65のうち、整流中のコイル65は2つのみ(
図11(d)中、破線のコイル65参照)であり、残りの16個のコイル65には電流が供給されている。即ち、この状態では、有効コイルは16個である。
【0071】
次いで、
図12(d)及び
図14(d)に示す状態になると、高速駆動用ブラシ83に加えて、共通ブラシ81が、周方向に隣り合うセグメント番号「2」,「3」のセグメント27を短絡する。このとき、低速駆動用ブラシ82は、周方向に隣り合うセグメント番号「7」,「8」のセグメント27間に周方向の一方の端部(整流子64の回転方向の先行側の端部)が配置された状態で、セグメント番号「7」のセグメント27のみに接触し、セグメント番号「8」のセグメント27には接触していない。このように、
図12(d)及び
図14(d)に図示した状態は、共通ブラシ81及び高速駆動用ブラシ83の2種類のブラシが周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡する2種短絡状態であり、このため、18個のコイル65のうち、整流中のコイル65は4つのみ(
図12(d)中、破線のコイル65参照)であり、残りの14個のコイル65には電流が供給されている。即ち、この状態では、有効コイルは14個である。
【0072】
そして、整流子64が更に回転すると、
図11(a)及び
図13(a)に図示した状態と同様の状態となり、電機子62の回転に伴って、
図11(a)乃至
図11(d)並びに
図12(a)乃至
図12(d)、及び
図13(a)乃至
図13(d)並びに
図14(a)乃至
図14(d)に示した状態と同様の状態が繰り返される。即ち、電機子62の回転に伴って、2つの共通ブラシ81のみが周方向に隣り合うセグメント27同士を短絡する1種短絡状態、3種類のブラシ81〜83の何れも周方向に隣り合うセグメント27同士を短絡しない無短絡状態、2つの低速駆動用ブラシ82のみが周方向に隣り合うセグメント27同士を短絡する1種短絡状態、2つの低速駆動用ブラシ82及び2つの高速駆動用ブラシ83の2種類のブラシが周方向に隣り合うセグメント27同士を短絡する2種短絡状態、2つの高速駆動用ブラシ83のみが周方向に隣り合うセグメント27同士を短絡する1種短絡状態、2つの共通ブラシ81及び2つの高速駆動用ブラシ83の2種類のブラシが周方向に隣り合うセグメント27同士を短絡する2種短絡状態が順に繰り返される。そのため、共通ブラシ81、低速駆動用ブラシ82及び高速駆動用ブラシ83の全てのブラシが同時に周方向に隣り合う2つのセグメント27同士を短絡したりすることがない。また、
図11乃至
図14に示すように、本実施形態では、電機子62の回転に伴って周方向に隣り合うセグメント27を短絡する給電ブラシ80(ブラシ81〜83)、即ちコイル65の整流を行う給電ブラシ80は、整流子64の回転方向と反対方向(回転方向の後方側)に移り変わっていく。
【0073】
上記したように、本第3の実施形態によれば、上記第1の実施形態の(3),(4)、及び上記第2の実施形態の(1),(2)と同様の利点に加えて、以下の利点を有する。
(1)最大で2種類のブラシしか周方向に隣り合う2つのセグメントを同時に短絡しないので、2種短絡状態、1種短絡状態及び無短絡状態が繰り返されることにより、有効コイル数の変動を小さく抑えることができ、コイル65の抵抗変動を小さく抑えることができる。その結果、供給される電流の値の変動が小さく抑えられてトルクの変動が小さく抑えられ、トルクの変動によるワイパモータの振動の発生が小さく抑えられる。また、無短絡状態においては、全てのコイル65が有効コイルとなるので、コイル65を有効に利用することができる。
【0074】
(2)2種短絡状態、1種短絡状態及び無短絡状態は、2種短絡状態の前後に1種短絡状態が存在するように繰り返されるため、無短絡状態から2種短絡状態まで、若しくは2種短絡状態から無短絡状態まで、1種短絡状態を挟んで段階的に変化する。従って、2種短絡状態が存在する構成であっても、急激に有効コイル数が変動することが抑制され、急激なコイル65の抵抗変動をより小さく抑えることができる。その結果、供給される電流の値の急激な変動がより小さく抑えられてトルクの変動がより抑制され、トルクの変動によるワイパモータの振動の発生がより抑制される。
【0075】
(3)共通ブラシ81、低速駆動用ブラシ82及び高速駆動用ブラシ83の周方向の幅及び周方向の配置位置は、上記した、L2<B1<(L1+2×L2)、L2<B2<(L1+2×L2)、L2<B3<(L1+2×L2)、A<(n×L1+(n+1)×L2)の条件に基づいて設定されている。この条件を満たすように各値を設定することにより、最大で2種類のブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡する短絡状態(即ち1種短絡状態及び2種短絡状態)と、3種類のブラシのうち何れも周方向に隣り合う前記セグメントを短絡しない無短絡状態とが繰り返される構成を容易に形成することができる。
【0076】
(4)本実施形態のワイパモータにおいては、電機子62の回転に伴って周方向に隣り合うセグメント27を短絡する給電ブラシ80(ブラシ81〜83)は、整流子64の回転方向と反対方向(回転方向の後方側)に移り変わっていく。このようにすると、磁束の変動が電機子62の回転方向と逆に生じるため、周方向に隣り合うセグメント27を短絡する給電ブラシが整流子64の回転方向と同方向(回転方向の前方側)に移り変わるように構成したワイパモータに比べて、磁束変動による振動を抑制する方向に機能させることができる。
【0077】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
上記各実施形態では、整流子25,64の回転方向の後側から先行側に向かって、共通ブラシ41,71,81、高速駆動用ブラシ43,73,83、低速駆動用ブラシ42,72,82の順に配置されている。しかしながら、整流子25,64の回転方向の後側から先行側に向かって、低速駆動用ブラシ42,72,82、高速駆動用ブラシ43,73,83、共通ブラシ41,71,81の順に配置してもよい。
【0078】
上記第2の実施形態では、n=5、n1=3、n2=1としてもよい。また、上記第2の実施形態において、磁極部の数Pが「4」であり、電機子コア63が有するティース63aの数Sが「14」(即ちセグメント27の数が「14」)である場合には、n=4、n1=2、n2=1と設定される。
【0079】
上記第1の実施形態では、高速駆動用ブラシ43は、共通ブラシ41及び低速駆動用ブラシ42に比べて周方向の幅が狭く形成されている。しかしながら、上記した、B1>L2、B2>L2、B3>L2、A<(n×L1+(n+1)×L2)、D1>((n−1)×L1+(n−2)×L2)、D2>((n−2)×L1+(n−3)×L2)、D3>L1の条件を満たすのであれば、共通ブラシ41、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43の周方向の幅は、適宜変更してもよい。例えば、
図15(a)に示すように、共通ブラシ41、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43の周方向の幅は、等しく設定されてもよい(即ちB1=B2=B3)。このようにしても、
図15(a)乃至
図15(d)に示すように、整流子25が回転すると、低速駆動用ブラシ42、高速駆動用ブラシ43、共通ブラシ41の順に、それらブラシ41〜43が周方向において隣り合う2つのセグメント27同士を交互に短絡する。従って、上記実施形態と同様の利点を得ることができる。また、3つのブラシ41〜43の形状が同じ形状となるため、ブラシの共通化を図ることができ、製造コストを低減させることができる。
【0080】
上記第3の実施形態の共通ブラシ81、低速駆動用ブラシ82及び高速駆動用ブラシ83の周方向の幅及び周方向の配置位置は、上記した、L2<B1<(L1+2×L2)、L2<B2<(L1+2×L2)、L2<B3<(L1+2×L2)、A<(n×L1+(n+1)×L2)の条件を満たすのであれば、変更してもよい。
【0081】
例えば、ブラシ81〜83の周方向の幅及び周方向の配置位置は、
図16(a)乃至
図19(d)に示すように変更してもよい。このようにすると、整流子64の回転に伴って、共通ブラシ81のみが隣り合うセグメント27同士を短絡する1種短絡状態(
図16(a)及び
図18(a)参照)、共通ブラシ81及び高速駆動用ブラシ83の2種類のブラシが隣り合うセグメント27同士を短絡する2種短絡状態(
図16(b)及び
図18(b)参照)、高速駆動用ブラシ83のみが隣り合うセグメント27同士を短絡する1種短絡状態(
図16(c)及び
図18(c)参照)、低速駆動用ブラシ82及び高速駆動用ブラシ83の2種類のブラシが隣り合うセグメント27同士を短絡する2種短絡状態(
図16(d)及び
図18(d)参照)、低速駆動用ブラシ82のみが隣り合うセグメント27同士を短絡する1種短絡状態(
図17(a)及び
図19(a)、
図17(b)及び
図19(b)参照)、3種類のブラシの何れも隣り合うセグメント27同士を短絡しない無短絡状態(
図17(c)及び
図19(c)参照)、共通ブラシ81のみが隣り合うセグメント27同士を短絡する1種短絡状態(
図17(d)及び
図19(d)参照)が順に繰り返される。そして、上記第3の実施形態の(1)乃至(3)と同様の利点を得ることができる。
【0082】
また、ブラシ81〜83の周方向の幅及び周方向の配置位置は、
図20(a)乃至
図23(d)に示すように変更してもよい。
図20(a)に示すように、この例では、共通ブラシ81及び低速駆動用ブラシ82の周方向の幅に比べて、高速駆動用ブラシ83の周方向の幅が広く設定されている。そして、整流子64の回転に伴って、共通ブラシ81及び高速駆動用ブラシ83の2種類のブラシが隣り合うセグメント27同士を短絡する2種短絡状態(
図20(a)及び
図22(a)、
図20(b)及び
図22(b)参照)、3種類のブラシの何れも隣り合うセグメント27同士を短絡しない無短絡状態(
図20(c)及び
図22(c)参照)、低速駆動用ブラシ82及び高速駆動用ブラシ83の2種類のブラシが隣り合うセグメント27同士を短絡する2種短絡状態(
図20(d)及び
図22(d)、
図21(a)及び
図23(a)、
図21(b)及び
図23(b)参照)、高速駆動用ブラシ83のみが隣り合うセグメント27同士を短絡する1種短絡状態(
図21(c)及び
図23(c)参照)、共通ブラシ81及び高速駆動用ブラシ83の2種類のブラシが隣り合うセグメント27同士を短絡する2種短絡状態(
図21(d)及び
図23(d)参照)が順に繰り返される。そして、上記実施形態の(1)及び(3)と同様の利点が得られる。
【0083】
上記第2及び第3の実施形態において、180°間隔に配置された2つずつのセグメント27を短絡線にて短絡した構成としてもよい。この場合、第2の実施形態においては、1組のブラシ71〜73を省略可能となり、第3の実施形態においては、1組のブラシ81〜83を省略可能となる。
【0084】
上記第1の実施形態では、共通ブラシ41が陰極ブラシとして機能し、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43が陽極ブラシとして機能する。しかしながら、共通ブラシ41陽極ブラシとして機能し、低速駆動用ブラシ42及び高速駆動用ブラシ43が陰極ブラシとして機能しもよい。この場合、マグネット12の構造を逆にする(即ち、
図3においてN極とS極とを入れ替える)ことで、電流の入力を逆にしたことに対応できる。上記第2及び第3の実施形態についても同様である。
【0085】
ワイパモータ(モータ部1,61)の構成は、上記各実施形態の構成に限らない。ワイパモータは、マグネット12の磁極部の数Pが「4」以上であり、ティース24a,63aの数Sと同数のセグメント27を備え、(2S/P)が奇数であるとともに、共通ブラシ41,71,81、低速駆動用ブラシ42,72,82及び高速駆動用ブラシ43,73,83の3種類の全てのブラシが同時に周方向に隣り合う2つのセグメント27を短絡することがないように、各ブラシの周方向の幅及び各ブラシの周方向の配置位置が設定された構成であればよい。例えば、ワイパモータは、2種短絡状態と無短絡状態とを繰り返す構成とされてもよい。このようにしても、有効コイル数の変動を抑制して、ワイパモータの振動の発生を抑制することができる。
【0086】
上記各実施形態では、車両用ワイパの駆動源として用いられるワイパモータを例に本発明を詳述したが、ワイパモータ以外のモータに本発明を具体化してもよい。例えば、本発明を減速機構53を備えないモータに具体化してもよい。
【0087】
マグネット12は、4つ以上の磁極部を有する1つのマグネット12から構成されてもよいし、それぞれ磁極を有する複数のマグネット12から構成されてもよい。
磁極部の数がPのとき、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ、高速駆動用ブラシを1セットとする3種類のブラシが、磁極部の位置に対応し、角度(720/P)°間隔で周方向に配置される。
【0088】
また、上記構成からブラシの数を減らすための短絡線は、(720/P)°間隔でP/2個のセグメントを接続する構成であればよい。このとき、ブラシの個数は、3個〜(3P/2)個の範囲で調整可能である。例えば、磁極部の数が6であれば、120°間隔で3個のセグメントを接続する短絡線を備え、ブラシは3〜9個の範囲で調整可能であり、磁極部の数が8であれば90°間隔で4個のセグメントを接続する短絡線を備え、ブラシは3〜12個の範囲で調整可能である。
【0089】
以下、技術思想を記載する。
(付記1)4つ以上の磁極部を有する少なくとも一つのマグネットと、
回転軸と、該回転軸に固定されて複数のティースを有する電機子コアと、前記ティースに巻回されたコイルと、前記回転軸に固定されて前記回転軸の周方向に並設された複数のセグメントを有する整流子と、を含む電機子と、
前記整流子に摺接するように前記回転軸の周方向に間隔を置いて配置され、回転軸の周方向において各々幅を有する共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシと、
を備えたモータであって、
前記ティースの数と前記セグメントの数とが同じであり、
前記マグネットの磁極部の数をP、前記ティースの数をSとすると、(2S/P)が奇数であり、
前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の全ての前記ブラシが同時に前記回転軸の周方向において隣り合う2つの前記セグメントを短絡することがなく、前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシが順次周方向に隣り合う2つの前記セグメント同士を短絡するように、前記各ブラシの前記幅及び前記回転軸の周方向における前記ブラシの配置位置が設定されているモータ。
【0090】
同構成によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの全てのブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを同時に短絡することがない。従って、有効コイル数の変動を抑制することができ、コイルの抵抗変動を抑制することができる。その結果、供給される電流の値の変動が抑制されてトルクの変動が抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生が抑制される。また、有効コイル数の減少が抑制される。
【0091】
また、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシは、順次周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡するため、有効コイル数の急激な変動を抑えることができる。従って、モータにおける振動の発生が抑制される。
【0092】
(付記2)4つ以上の磁極部を有する少なくとも一つのマグネットと、
回転軸と、該回転軸に固定されて複数のティースを有する電機子コアと、前記ティースに巻回されたコイルと、前記回転軸に固定されて前記回転軸の周方向に並設された複数のセグメントを有する整流子と、を含む電機子と、
前記整流子に摺接するように前記回転軸の周方向に間隔を置いて配置され、回転軸の周方向において各々幅を有する共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシと、
を備えたモータであって、
前記ティースの数と前記セグメントの数とが同じであり、
前記マグネットの磁極部の数をP、前記ティースの数をSとすると、(2S/P)が奇数であり、
前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の全ての前記ブラシが同時に前記回転軸の周方向において隣り合う2つの前記セグメントを短絡することがないように、前記各ブラシの前記幅及び前記回転軸の周方向における前記ブラシの配置位置が設定され、
前記電機子の回転に伴って、前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の前記ブラシのうち2種類の前記ブラシが周方向に隣り合う2つの前記セグメント同士を短絡する2種短絡状態と、1種類の前記ブラシが周方向に隣り合う2つの前記セグメント同士を短絡する1種短絡状態と、3種類の前記ブラシのうち何れも周方向に隣り合う前記セグメント同士を短絡しない無短絡状態とが、前記2種短絡状態の前後に前記1種短絡状態が存在するように繰り返されるモータ。
【0093】
同構成によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの全てのブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを同時に短絡することがない。従って、有効コイル数の変動を抑制することができ、コイルの抵抗変動を抑制することができる。その結果、供給される電流の値の変動が抑制されてトルクの変動が抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生が抑制される。また、有効コイル数の減少が抑制される。
【0094】
また、2種短絡状態、1種短絡状態及び無短絡状態は、2種短絡状態の前後に1種短絡状態が存在するように繰り返されるため、無短絡状態から2種短絡状態まで、若しくは2種短絡状態から無短絡状態まで、短絡状態は1種短絡状態を挟んで段階的に変化する。従って、2種短絡状態が存在する構成であっても、急激に有効コイル数が変動することが抑制され、急激なコイルの抵抗変動をより小さく抑えることができる。その結果、供給される電流の値の急激な変動がより小さく抑えられてトルクの変動がより抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生がより抑制される。また、無短絡状態においては、全てのコイルが有効コイルとなるので、コイルを有効に利用することができる。
【0095】
(付記3)4つ以上の磁極部を有する少なくとも一つのマグネットと、
回転軸と、該回転軸に固定されて複数のティースを有する電機子コアと、前記ティースに巻回されたコイルと、前記回転軸に固定されて前記回転軸の周方向に並設された複数のセグメントを有する整流子と、を含む電機子と、
前記整流子に摺接するように前記回転軸の周方向に間隔を置いて配置され、回転軸の周方向において各々幅を有する共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシと、
を備えたモータであって、
前記ティースの数と前記セグメントの数とが同じであり、
前記マグネットの磁極部の数をP、前記ティースの数をSとすると、(2S/P)が奇数であり、
前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の全ての前記ブラシが同時に前記回転軸の周方向において隣り合う2つの前記セグメントを短絡することがないように、前記各ブラシの前記幅及び前記回転軸の周方向における前記ブラシの配置位置が設定され、
前記電機子の回転に伴って、前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の前記ブラシのうち最大で2種類の前記ブラシが周方向に隣り合う2つの前記セグメント同士を短絡する短絡状態と、3種類の前記ブラシのうち何れも周方向に隣り合う前記セグメント同士を短絡しない無短絡状態とが繰り返され、
前記回転軸の周方向に関して、前記セグメントの幅をL1、隣り合う前記セグメント間の間隔をL2、前記共通ブラシの幅をB1、前記低速駆動用ブラシの幅をB2、前記高速駆動用ブラシの幅をB3、3つの前記ブラシが配置される配置区域の幅をAとすると、
L2<B1<(L1+2×L2)、
L2<B2<(L1+2×L2)、
L2<B3<(L1+2×L2)、
A<(n×L1+(n+1)×L2)
(但し、nは前記セグメントの数を前記マグネットの磁極部の数Pで割り切り上げた整数)
を満たすモータ。
【0096】
同構成によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの全てのブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを同時に短絡することがない。従って、有効コイル数の変動を抑制することができ、コイルの抵抗変動を抑制することができる。その結果、供給される電流の値の変動が抑制されてトルクの変動が抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生が抑制される。また、有効コイル数の減少が抑制される。
【0097】
また、短絡状態では、最大で2種類のブラシしか周方向に隣り合う2つのセグメントを同時に短絡しないので、この短絡状態と無短絡状態とが繰り返されることにより、有効コイル数の変動を小さく抑えることができ、コイルの抵抗変動を小さく抑えることができる。その結果、供給される電流の値の変動が小さく抑えられてトルクの変動が小さく抑えられ、トルクの変動によるモータの振動の発生が小さく抑えられる。また、無短絡状態においては、全てのコイルが有効コイルとなるので、コイルを有効に利用することができる。
【0098】
また、上記の条件を満たすように各値を設定することにより、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの3種類のブラシのうち最大で2種類のブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡する短絡状態と、3種類のブラシのうち何れも周方向に隣り合う前記セグメントを短絡しない無短絡状態とが繰り返される構成を容易に形成することができる。
【0099】
(付記4)4つ以上の磁極部を有する少なくとも一つのマグネットと、
回転軸と、該回転軸に固定されて複数のティースを有する電機子コアと、前記ティースに巻回されたコイルと、前記回転軸に固定されて前記回転軸の周方向に並設された複数のセグメントを有する整流子と、を含む電機子と、
前記整流子に摺接するように前記回転軸の周方向に間隔を置いて配置され、回転軸の周方向において各々幅を有する共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシと、
を備えたモータであって、
前記ティースの数と前記セグメントの数とが同じであり、
前記マグネットの磁極部の数をP、前記ティースの数をSとすると、(2S/P)が奇数であり、
前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の全ての前記ブラシが同時に前記回転軸の周方向において隣り合う2つの前記セグメントを短絡することがないように、前記各ブラシの前記幅及び前記回転軸の周方向における前記ブラシの配置位置が設定され、
前記電機子の回転に伴って、前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の前記ブラシのうち1種類の前記ブラシが周方向に隣り合う2つの前記セグメントを短絡する1種短絡状態と、3種類の前記ブラシのうち何れも周方向に隣り合う前記セグメント同士を短絡しない無短絡状態とが繰り返されるモータ。
【0100】
同構成によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの全てのブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを同時に短絡することがない。従って、有効コイル数の変動を抑制することができ、コイルの抵抗変動を抑制することができる。その結果、供給される電流の値の変動が抑制されてトルクの変動が抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生が抑制される。また、有効コイル数の減少が抑制される。
【0101】
また、同時に2種類以上のブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡することがない。従って、有効コイル数の変動を更に小さく抑えることができ、コイルの抵抗変動を更に小さく抑えることができる。その結果、供給される電流の値の変動が更に抑制されてトルクの変動が更に抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生が更に抑制される。また、無短絡状態においては、全てのコイルが有効コイルとなるので、コイルを有効に利用することができる。
【0102】
(付記5)前記回転軸の周方向に関して、前記セグメントの幅をL1、隣り合う前記セグメント間の間隔をL2、前記共通ブラシの幅をB1、前記低速駆動用ブラシの幅をB2、前記高速駆動用ブラシの幅をB3、3つの前記ブラシが配置される配置区域の幅をA、前記高速駆動用ブラシを挟んだ前記共通ブラシと前記低速駆動用ブラシとの間の間隔をD1、前記共通ブラシと前記高速駆動用ブラシとの間の間隔をD2、前記高速駆動用ブラシと前記低速駆動用ブラシとの間の間隔をD3とすると、
B1>L2、B2>L2、B3>L2、
A<(n×L1+(n+1)×L2)、
D1>((n−1)×L1+(n−2)×L2)、
D2>(n1×L1+(n1−1)×L2)、
D3>(n2×L1+(n2−1)×L2)、
n=n1+n2+1
(但し、nは前記セグメントの数を前記マグネットの磁極部の数Pで割り切り上げた整数、n1,n2は正の整数)
を満たす。
【0103】
同構成によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの3種類のブラシのうち何れも周方向に隣り合うセグメントを短絡しない無短絡状態と、1種類のブラシのみが周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡する1種短絡状態とが繰り返される構成を容易に形成することができる。
【0104】
(付記6)前記回転軸の周方向に関して、前記セグメントの幅をL1、隣り合う前記セグメント間の間隔をL2、前記共通ブラシの幅をB1、前記低速駆動用ブラシの幅をB2、前記高速駆動用ブラシの幅をB3、3つの前記ブラシが配置される配置区域の幅をA、前記高速駆動用ブラシを挟んだ前記共通ブラシと前記低速駆動用ブラシとの間の間隔をD1、前記共通ブラシと前記高速駆動用ブラシとの間の間隔をD2、前記高速駆動用ブラシと前記低速駆動用ブラシとの間の間隔をD3とすると、
B1>L2、B2>L2、B3>L2、
A<(n×L1+(n+1)×L2)、
D1>((n−1)×L1+(n−2)×L2)、
D2>((n−2)×L1+(n−3)×L2)、
D3>L1
(但し、nは(360°/P)の範囲に配置された前記セグメントの数に一致する数)
を満たす。
【0105】
同構成によれば、この条件を満たすように各値を設定することにより、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシが1つずつ交互に周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡する構成を容易に形成することができる。
【0106】
(付記7)前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシは、前記整流子の回転方向の後側から先行側に向かって、前記共通ブラシ、前記高速駆動用ブラシ、前記低速駆動用ブラシの順に配置されている。
【0107】
同構成によれば、整流子の回転方向の後側から先行側に向かって、共通ブラシ、高速駆動用ブラシ、低速駆動用ブラシの順に各ブラシが配置されている。モータを駆動すると、電機子の回転により生ずる誘起電圧の影響を受けて、電機子の磁気中心(コイルに電流が供給されて生ずる極の周方向の中心)が整流子の回転方向逆側にわずかにずれる。従って、整流子の回転方向の後側から先行側に向かって、共通ブラシ、高速駆動用ブラシ、低速駆動用ブラシの順に各ブラシを配置することにより、高速駆動用ブラシを用いて給電した場合に形成される磁気中心を、低速駆動用ブラシを用いて給電した場合に形成される磁気中心に近い位置とすることができる。その結果、モータを低速で駆動する場合と高速で駆動する場合とのそれぞれにおいて、モータの特性を下げることなく同モータの有効利用ができる。
【0108】
(付記8)前記回転軸の周方向において隣り合う前記ティース間には前記コイルが通過するスロットが形成され、該スロットの総数を2で割った数が奇数である。
同構成によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシが順次周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡するように構成することがより容易となる。
【0109】
(付記9)モータにおける複数のブラシの幅及び配置を設定するブラシの設定方法であって、前記モータは、4つ以上の磁極部を有する少なくとも1つのマグネットと、電機子とを備え、該電機子は、回転軸と、該回転軸に固定されて複数のティースを有する電機子コアと、前記ティースに巻回されたコイルと、前記回転軸に固定されて前記回転軸の周方向に並設された複数のセグメントを有する整流子と、を含み、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシが前記整流子に摺接するように前記回転軸の周方向に間隔を置いて配置され、各ブラシは回転軸の周方向において幅を有し、前記方法は、
前記ティースの数と前記セグメントの数とを同じに設定することと、
前記マグネットの磁極部の数Pと前記ティースの数Sとを、(2S/P)が奇数になるように設定することと、
前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の全ての前記ブラシが同時に前記回転軸の周方向において隣り合う2つの前記セグメントを短絡することがなく、前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシが順次周方向に隣り合う2つの前記セグメント同士を短絡するように、前記各ブラシの前記幅及び前記回転軸の周方向における前記ブラシの配置位置を設定することと
を備える方法。
【0110】
同方法によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの全てのブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを同時に短絡することがない。従って、有効コイル数の変動を抑制することができ、コイルの抵抗変動を抑制することができる。その結果、供給される電流の値の変動が抑制されてトルクの変動が抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生が抑制される。また、有効コイル数の減少が抑制される。
【0111】
また、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシは、順次周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡するため、有効コイル数の急激な変動を抑えることができる。従って、モータにおける振動の発生が抑制される。
【0112】
(付記10)モータにおける複数のブラシの幅及び配置を設定するブラシの設定方法であって、前記モータは、4つ以上の磁極部を有する少なくとも1つのマグネットと、電機子とを備え、該電機子は、回転軸と、該回転軸に固定されて複数のティースを有する電機子コアと、前記ティースに巻回されたコイルと、前記回転軸に固定されて前記回転軸の周方向に並設された複数のセグメントを有する整流子と、を含み、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシが前記整流子に摺接するように前記回転軸の周方向に間隔を置いて配置され、各ブラシは回転軸の周方向において幅を有し、前記方法は、
前記ティースの数と前記セグメントの数とを同じに設定することと、
前記マグネットの磁極部の数Pと前記ティースの数Sとを、(2S/P)が奇数になるように設定することと、
前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の全ての前記ブラシが同時に前記回転軸の周方向において隣り合う2つの前記セグメントを短絡することがないように、前記各ブラシの前記幅及び前記回転軸の周方向における前記ブラシの配置位置を設定することと、
前記電機子の回転に伴って、前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の前記ブラシのうち2種類の前記ブラシが周方向に隣り合う2つの前記セグメント同士を短絡する2種短絡状態と、1種類の前記ブラシが周方向に隣り合う2つの前記セグメント同士を短絡する1種短絡状態と、3種類の前記ブラシのうち何れも周方向に隣り合う前記セグメント同士を短絡しない無短絡状態とが、前記2種短絡状態の前後に前記1種短絡状態が存在するように繰り返されるように、前記各ブラシの前記幅及び前記回転軸の周方向における前記ブラシの配置位置を設定することと
を備える方法。
【0113】
同方法によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの全てのブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを同時に短絡することがない。従って、有効コイル数の変動を抑制することができ、コイルの抵抗変動を抑制することができる。その結果、供給される電流の値の変動が抑制されてトルクの変動が抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生が抑制される。また、有効コイル数の減少が抑制される。
【0114】
また、2種短絡状態、1種短絡状態及び無短絡状態は、2種短絡状態の前後に1種短絡状態が存在するように繰り返されるため、無短絡状態から2種短絡状態まで、若しくは2種短絡状態から無短絡状態まで、1種短絡状態を挟んで段階的に変化する。従って、2種短絡状態が存在する構成であっても、急激に有効コイル数が変動することが抑制され、急激なコイルの抵抗変動をより小さく抑えることができる。その結果、供給される電流の値の急激な変動がより小さく抑えられてトルクの変動がより抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生がより抑制される。また、無短絡状態においては、全てのコイルが有効コイルとなるので、コイルを有効に利用することができる。
【0115】
(付記11)モータにおける複数のブラシの幅及び配置を設定するブラシの設定方法であって、前記モータは、4つ以上の磁極部を有する少なくとも1つのマグネットと、電機子とを備え、該電機子は、回転軸と、該回転軸に固定されて複数のティースを有する電機子コアと、前記ティースに巻回されたコイルと、前記回転軸に固定されて前記回転軸の周方向に並設された複数のセグメントを有する整流子と、を含み、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシが前記整流子に摺接するように前記回転軸の周方向に間隔を置いて配置され、各ブラシは回転軸の周方向において幅を有し、前記方法は、
前記ティースの数と前記セグメントの数とを同じに設定することと、
前記マグネットの磁極部の数Pと前記ティースの数Sとを、(2S/P)が奇数になるように設定することと、
前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の全ての前記ブラシが同時に前記回転軸の周方向において隣り合う2つの前記セグメントを短絡することがないように、前記各ブラシの前記幅及び前記回転軸の周方向における前記ブラシの配置位置を設定することと、
前記電機子の回転に伴って、前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の前記ブラシのうち最大で2種類の前記ブラシが周方向に隣り合う2つの前記セグメント同士を短絡する短絡状態と、3種類の前記ブラシのうち何れも周方向に隣り合う前記セグメント同士を短絡しない無短絡状態とが繰り返されるように、前記各ブラシの前記幅及び前記回転軸の周方向における前記ブラシの配置位置を設定することと、
前記回転軸の周方向に関して、前記セグメントの幅をL1、隣り合う前記セグメント間の間隔をL2、前記共通ブラシの幅をB1、前記低速駆動用ブラシの幅をB2、前記高速駆動用ブラシの幅をB3、3つの前記ブラシが配置される配置区域の幅をAとすると、
L2<B1<(L1+2×L2)、
L2<B2<(L1+2×L2)、
L2<B3<(L1+2×L2)、
A<(n×L1+(n+1)×L2)
(但し、nは前記セグメントの数を前記マグネットの磁極部の数Pで割り切り上げた整数)
を満たすように各値を設定することと
を備える方法。
【0116】
同方法によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの全てのブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを同時に短絡することがない。従って、有効コイル数の変動を抑制することができ、コイルの抵抗変動を抑制することができる。その結果、供給される電流の値の変動が抑制されてトルクの変動が抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生が抑制される。また、有効コイル数の減少が抑制される。
【0117】
また、短絡状態では、最大で2種類のブラシしか周方向に隣り合う2つのセグメントを同時に短絡しないので、この短絡状態と無短絡状態とが繰り返されることにより、有効コイル数の変動を小さく抑えることができ、コイルの抵抗変動を小さく抑えることができる。その結果、供給される電流の値の変動が小さく抑えられてトルクの変動が小さく抑えられ、トルクの変動によるモータの振動の発生が小さく抑えられる。また、無短絡状態においては、全てのコイルが有効コイルとなるので、コイルを有効に利用することができる。
【0118】
また、上記の条件を満たすように各値を設定することにより、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの3種類のブラシのうち最大で2種類のブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡する短絡状態と、3種類のブラシのうち何れも周方向に隣り合う前記セグメントを短絡しない無短絡状態とが繰り返される構成を容易に形成することができる。
【0119】
(付記12)モータにおける複数のブラシの幅及び配置を設定するブラシの設定方法であって、前記モータは、4つ以上の磁極部を有する少なくとも1つのマグネットと、電機子とを備え、該電機子は、回転軸と、該回転軸に固定されて複数のティースを有する電機子コアと、前記ティースに巻回されたコイルと、前記回転軸に固定されて前記回転軸の周方向に並設された複数のセグメントを有する整流子と、を含み、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシが前記整流子に摺接するように前記回転軸の周方向に間隔を置いて配置され、各ブラシは回転軸の周方向において幅を有し、前記方法は、
前記ティースの数と前記セグメントの数とを同じに設定することと、
前記マグネットの磁極部の数Pと前記ティースの数Sとを、(2S/P)が奇数になるように設定することと、
前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の全ての前記ブラシが同時に前記回転軸の周方向において隣り合う2つの前記セグメントを短絡することがないように、前記各ブラシの前記幅及び前記回転軸の周方向における前記ブラシの配置位置を設定することと、
前記電機子の回転に伴って、前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の前記ブラシのうち1種類の前記ブラシが周方向に隣り合う2つの前記セグメントを短絡する1種短絡状態と、3種類の前記ブラシのうち何れも周方向に隣り合う前記セグメント同士を短絡しない無短絡状態とが繰り返されるように、前記各ブラシの前記幅及び前記回転軸の周方向における前記ブラシの配置位置を設定することと
を備える方法。
【0120】
同方法によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの全てのブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを同時に短絡することがない。従って、有効コイル数の変動を抑制することができ、コイルの抵抗変動を抑制することができる。その結果、供給される電流の値の変動が抑制されてトルクの変動が抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生が抑制される。また、有効コイル数の減少が抑制される。
【0121】
また、同時に2種類以上のブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡することがない。従って、有効コイル数の変動を更に小さく抑えることができ、コイルの抵抗変動を更に小さく抑えることができる。その結果、供給される電流の値の変動が更に抑制されてトルクの変動が更に抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生が更に抑制される。また、無短絡状態においては、全てのコイルが有効コイルとなるので、コイルを有効に利用することができる。
【0122】
(付記13)前記回転軸の周方向に関して、前記セグメントの幅をL1、隣り合う前記セグメント間の間隔をL2、前記共通ブラシの幅をB1、前記低速駆動用ブラシの幅をB2、前記高速駆動用ブラシの幅をB3、3つの前記ブラシが配置される配置区域の幅をA、前記高速駆動用ブラシを挟んだ前記共通ブラシと前記低速駆動用ブラシとの間の間隔をD1、前記共通ブラシと前記高速駆動用ブラシとの間の間隔をD2、前記高速駆動用ブラシと前記低速駆動用ブラシとの間の間隔をD3とすると、
B1>L2、B2>L2、B3>L2、
A<(n×L1+(n+1)×L2)、
D1>((n−1)×L1+(n−2)×L2)、
D2>(n1×L1+(n1−1)×L2)、
D3>(n2×L1+(n2−1)×L2)、
n=n1+n2+1
(但し、nは前記セグメントの数を前記マグネットの磁極部の数Pで割り切り上げた整数、n1,n2は正の整数)
を満たすように各値を設定する。
【0123】
同方法によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの3種類のブラシのうち何れも周方向に隣り合うセグメントを短絡しない無短絡状態と、1種類のブラシのみが周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡する1種短絡状態とが繰り返される構成を容易に形成することができる。
【0124】
(付記14)前記回転軸の周方向に関して、前記セグメントの幅をL1、隣り合う前記セグメント間の間隔をL2、前記共通ブラシの幅をB1、前記低速駆動用ブラシの幅をB2、前記高速駆動用ブラシの幅をB3、3つの前記ブラシが配置される配置区域の幅をA、前記高速駆動用ブラシを挟んだ前記共通ブラシと前記低速駆動用ブラシとの間の間隔をD1、前記共通ブラシと前記高速駆動用ブラシとの間の間隔をD2、前記高速駆動用ブラシと前記低速駆動用ブラシとの間の間隔をD3とすると、
B1>L2、B2>L2、B3>L2、
A<(n×L1+(n+1)×L2)、
D1>((n−1)×L1+(n−2)×L2)、
D2>((n−2)×L1+(n−3)×L2)、D3>L1
(但し、nは(360°/P)の範囲に配置された前記セグメントの数に一致する数)を満たすように各値を設定する。
【0125】
同方法によれば、この条件を満たすように各値を設定することにより、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシが1つずつ交互に周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡する構成を容易に形成することができる。
【0126】
(付記15)前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシを、前記整流子の回転方向の後側から先行側に向かって、前記共通ブラシ、前記高速駆動用ブラシ、前記低速駆動用ブラシの順に配置する。
【0127】
同方法によれば、整流子の回転方向の後側から先行側に向かって、共通ブラシ、高速駆動用ブラシ、低速駆動用ブラシの順に各ブラシが配置されている。モータを駆動すると、電機子の回転により生ずる誘起電圧の影響を受けて、電機子の磁気中心(コイルに電流が供給されて生ずる極の周方向の中心)が整流子の回転方向逆側にわずかにずれる。従って、整流子の回転方向の後側から先行側に向かって、共通ブラシ、高速駆動用ブラシ、低速駆動用ブラシの順に各ブラシを配置することにより、高速駆動用ブラシを用いて給電した場合に形成される磁気中心を、低速駆動用ブラシを用いて給電した場合に形成される磁気中心に近い位置とすることができる。その結果、モータを低速で駆動する場合と高速で駆動する場合とのそれぞれにおいて、モータの特性を下げることなく同モータの有効利用ができる。
【0128】
(付記16)前記回転軸の周方向において隣り合う前記ティース間には前記コイルが通過するスロットが形成され、該スロットの総数を2で割った数が奇数となるように前記ティースの数を設定する。
【0129】
同方法によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシが順次交互に周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡するように構成することがより容易となる。
・ところで、特許文献2に記載されたようなモータでは、各ブラシが回転軸の周方向において隣り合うセグメントを短絡するときと短絡しないときとの有効コイル数(電流が供給されて磁界を発生するコイルの数)の変動が大きくなる。例えば、特許文献2に記載されたモータでは、3つのブラシのうちの何れもが周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡しない場合には、16個のコイル全てが有効なコイルとなる。そして、3つのブラシのうちの何れもが同時に周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡する場合には、6個のコイルが整流中となり、残りの10個のコイルが有効なコイルとなる。従って、特許文献2に記載されたモータでは、有効コイル数は16個若しくは10個となる。
【0130】
また、
図24(a)及び
図24(b)は、モータの別の例を示している。このモータは、4つの磁極部を有するマグネットと、14個のコイルが重ね巻にて巻装された14本のティースを有する電機子コアと、周方向に並設された14個のセグメントを有するとともに180°間隔に配置された各対のセグメント同士が短絡された整流子とを備える。このモータの3つのブラシは、特許文献1に記載された2つの磁極部を有するマグネットを備えるモータのブラシと同様に配置されている。このモータでは、
図24(a)に示すように、共通ブラシ101が回転軸の周方向において隣り合う2つのセグメント111を短絡するときには、破線で図示した2つのコイル112が整流中となり、実線で図示した12個のコイル112が有効となる。そして、
図24(b)に示すように、共通ブラシ101、低速駆動用ブラシ102及び高速駆動用ブラシ103が回転軸の周方向において隣り合う2つのセグメント111をそれぞれ短絡するときには、破線で図示した6個のコイル112が整流中となり、実線で示した8個のコイルが有効となる。即ち、有効コイル数は12個若しくは8個となる。
【0131】
このように有効コイル数の変動が大きくなると、電機子においてコイルの抵抗変動が大きくなる。すると、供給される電流の値が変動するためにトルクが変動し、そのトルクの変動によってモータが振動し、騒音が発生してしまう。
【0132】
下記技術思想の目的は、4つ以上の磁極部を有するマグネット、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシを備えたモータにおいて、コイルの抵抗変動を抑制することにある。
【0133】
上記目的を達成するための技術思想において、少なくとも1つのマグネットと、電機子と、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシとを含むモータが提供される。マグネットは、4つ以上の磁極部を有する。電機子は、回転軸と、該回転軸に固定されて複数のティースを有する電機子コアと、前記ティースに巻回されたコイルと、前記回転軸に固定されて前記回転軸の周方向に並設された複数のセグメントを有する整流子と、を含む。共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシは、前記整流子に摺接するように前記回転軸の周方向に間隔を置いて配置され、回転軸の周方向において各々幅を有する。前記ティースの数と前記セグメントの数とが同じである。前記マグネットの磁極部の数をP、前記ティースの数をSとすると、(2S/P)が奇数である。前記共通ブラシ、前記低速駆動用ブラシ及び前記高速駆動用ブラシの3種類の全ての前記ブラシが同時に前記回転軸の周方向において隣り合う2つの前記セグメントを短絡開始することがないように、前記各ブラシの前記幅及び前記回転軸の周方向における前記ブラシの配置位置が設定されている。
【0134】
同構成によれば、共通ブラシ、低速駆動用ブラシ及び高速駆動用ブラシの全てのブラシが周方向に隣り合う2つのセグメントを同時に短絡開始することがない。従って、有効コイル数の変動を抑制することができ、コイルの抵抗変動を抑制することができる。その結果、供給される電流の値の変動が抑制されてトルクの変動が抑制され、トルクの変動によるモータの振動の発生が抑制される。また、有効コイル数の減少が抑制される。
【0135】
好ましくは、前記電機子の回転に伴って周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡する前記ブラシは、前記整流子の回転方向と同方向に移り変わっていく。
好ましくは、前記電機子の回転に伴って周方向に隣り合う2つのセグメントを短絡する前記ブラシは、前記整流子の回転方向と反対方向に移り変わっていく。