(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1溶媒は、m−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトンおよびジエチルアセテートの中から選ばれた少なくとも1種であり、前記第2溶媒は、水、アルコール類、エーテル類およびケトン類の中から選ばれた少なくとも1種である請求項7又は8に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
前記非晶質シリカ分散液は、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子を0.01〜1.0重量%の分散濃度で溶媒に分散させて製造される請求項7〜9のいずれか1つに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
前記芳香族ジカルボニル化合物は、テレフタロイルクロリド(p-Terephthaloyl chloride、TPC)、テレフタル酸(Terephthalic acid)、イソフタロイルジクロリド(Iso-phthaloyl dichloride)及び4,4'−ベンゾイルクロリド(4,4’-benzoyl chloride)よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項7〜11のいずれか1つに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリイミド(PI)フィルムはポリイミドから形成されたものであり、ポリイミドは、芳香族ジアンヒドリドと芳香族ジアミンまたは芳香族ジイソシアネートとを溶液重合してポリアミド酸誘導体を製造した後、高温で閉環脱水させてイミド化して製造される高耐熱性樹脂をいう。
【0003】
このようなポリイミドを製造するために、芳香族ジアンヒドリド成分としてピロメリット酸二無水物(PMDA)またはビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)などを使用し、芳香族ジアミン成分としてはオキシジアニリン(ODA)、p−フェニリンジアミン(p−PDA)、m−フェニレンジアミン(m−PDA)、メチレンジアニリン(MDA)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(HFDA)などを使用する。
【0004】
このようなポリイミドは、不溶、不融の超高耐熱性樹脂であって、耐熱酸化性や耐熱特性、耐放射線性、低温特性、耐薬品性などに優れた特性を有しており、例えば、自動車材料、航空素材、宇宙船素材などの耐熱先端素材および、例えば、絶縁コーティング剤、絶縁膜、半導体、TFT−LCDの電極保護膜などの電子材料に広範囲に用いられている。
【0005】
しかし、ポリイミドは、高い芳香族環密度により褐色または黄色に着色されており、可視光線領域における透過度が低いため、透明性が要求される分野への使用には向いていない。
【0006】
一般に、濃い褐色および黄色を有すポリイミドに透明性を与えるために、連結基(linkage group)(−O−、−SO
2−、−CO−、−CF
3CCF
3−など)または相対的に自由体積の大きい側鎖を主鎖に導入して分子間、分子内電荷移動錯体を最小化して透明性を実現している。
【0007】
このような透明ポリイミドフィルムの場合、前記導入された官能基により耐熱性が減少するが、これは、電荷移動錯体により色相が減少するとともに、同時に耐熱性の減少を生じさせるためである。ところが、低い耐熱性を有するポリイミドは、高い工程温度を要求するディスプレイや半導体などの先端素材分野への適用に限界がある。
【0008】
ディスプレイや半導体などの先端素材分野へ適用される場合および光学用コーティングフィルムとして使用される場合、既存のポリイミドは、熱膨張係数が高いため、反りまたはもつれが発生し易いという欠点があり、使用されるポリイミドフィルムの熱膨張係数が低いことが望まれる。
【0009】
フィラーは、フィルムに様々な目的で使用されるが、フィルム生産の際に走行性を高めるために又は必要に応じて光学物性を変形させたり耐熱性を強化させたりするために使用されることがある。
【0010】
フィラーをよく分散させるために、ミル又はミキサー、高速攪拌機ホモジナイザー、超音波分散機などによって物理的に分散させることがあり、分散したフィラーの凝集を防ぎ且つ混合性を高めるために表面処理を施して分散させることもある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
別途定義されない限り、本発明で使用された全ての技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に通常的に理解されるのと同様の意味を有する。一般に、本明細書で使用された命名法は、当該技術分野でよく知られており、通常的に使用されるものである。
【0029】
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」または「含有する」とするとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0031】
本発明の一実施態様は、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子を含むポリイミドに関するものである。
【0032】
本発明の他の実施態様は、前記ポリイミドを含むポリイミドフィルムに関するものである。
【0033】
従来、ポリイミドフィルム生産時の走行性の向上または耐熱性の強化の目的でシリカフィラーを使用したが、シリカ自体の非常に強い凝集性により超音波或いは様々な種類のミルでポリイミド樹脂上に分散させるとしても、再凝集する現象が発生する(
図1)。したがって、本発明では、
図2に示すように、シリカ粒子の表面にヒドロキシ(−OH)基が結合された形態の非晶質シリカ粒子を使用することにより、フィラー表面の自由体積を増加させ、相互間の反駁力によりシリカ粒子間の凝集を防止してポリイミド樹脂との混合性および分散性を向上させることができる。
【0034】
また、本発明では、ポリイミドの透明な光学特性を保つために非晶質構造のシリカ粒子を使用することにより、規則配列の結晶質シリカに比べて相対的に熱伝導性および熱膨張係数が低いと同時に、水分および不純物の含量が低くて光学特性に優れたポリイミドフィルムを提供することができる。
【0035】
前記OH基を有する非晶質シリカ粒子は、ポリイミド100重量部に対して、0.01〜0.1重量部とすることができる。前記シリカ粒子の含量がポリイミド100重量部に対して、0.01重量部未満である場合にはフィルム生産時の走行性の向上および耐熱性の向上を期待することができず、0.1重量部超過である場合にはシリカ粒子の凝集により光学特性が低下するおそれがある。
【0036】
本発明に係る表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子は、天然シリカを高温で熱処理し、前記熱処理されたシリカを常温に冷却した後、不純物を除去し且つイオン交換によって表面処理して製造することができる。この際、前記結晶質シリカの熱処理温度は800〜1,000℃であり、800℃未満の場合には有機物および水分が残るおそれがあり、1,000℃超過の場合にはシリカの分解が起こるおそれがある。
【0037】
また、不純物は、100〜120℃で塩酸などの酸による精製によって除去することができる。イオン交換は、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムなどの水酸化イオンを提供することが可能なイオン交換剤を用いて行うことができる。これらにより、表面にOH基を有する非晶質シリカを製造することができる。
【0038】
前記表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子の粒径は、製造すべきポリイミドフィルムの特性に応じて調節できるもので、特に限定されないが、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子は、0.001〜50μmの平均粒径を有することができ、好ましくは0.005〜25μm、さらに好ましくは0.01〜10μmの平均粒径を有する。この場合、ポリイミドフィルムの透明特性を示しやすく、耐熱性および機械的物性を向上させることができる。さらに、表面特性を改善して摩擦係数、導電性などの特性を改善することができる。
【0039】
このような表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子は、溶媒に分散した状態でポリイミド製造工程に投入することができる。この際、溶媒に対するシリカ粒子の分散濃度が0.01重量%未満である場合には、固形分含量が低く、フィルム製造を困難とし、1.0重量%を超える場合には、分散した溶液の色が不透明になってフィルム製膜時に光学特性が低下するおそれがある。
【0040】
表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子が分散できる溶媒は、作業性および費用の面で後述のポリアミド酸の重合反応に使用される第1溶媒とすることができる。その例としては、m−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトンおよびジエチルアセテートの中から選ばれた少なくとも1種の極性溶媒を使用することができ、その他にもテトラヒドロフラン(THF)、クロロホルムなどの低沸点溶液、またはγ−ブチロラクトンなどの低吸収性溶媒を使用することができる。
【0041】
本発明に係るポリイミドは、ジアンヒドリド、芳香族ジカルボニル化合物およびジアミンが共重合されたポリアミド酸溶液を得、得られたポリアミド酸溶液を部分イミド化した後、第2溶媒に投入し、沈殿、濾過および乾燥させてポリイミド固形分を得る。こうして得られたポリイミド固形分に、溶媒に分散したOH基含有非晶質シリカ粒子を混合し、イミド化して製造することができる。
【0042】
また、本発明に係るポリイミドフィルムは、前記製造されたポリイミドをステンレス板に塗布した後、キャスティングし、イミド化して最終的に熱処理工程を介して製造することができる。
【0043】
本発明で使用できるジアンヒドリドとしては、分子間、分子内電荷移動錯体を最小化して透明性を実現し且つ耐熱性を向上させる観点から、例えば、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸二無水物(TDA)、ピロメリット酸二無水物(1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ビスカルボキシフェニルジメチルシラン二無水物(SiDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィド二無水物(BDSDA)、スルホニルジフタル酸無水物(SO
2DPA)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、イソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸無水物(6HDBA)の中から選ばれた単独或いは2種以上の組み合わせを例示することができるが、これに限定されない。
【0044】
本発明で使用できる芳香族ジカルボニル化合物としては、耐熱性および機械的物性の観点から、テレフタロイルクロリド(p-Terephthaloyl chloride、TPC)、テレフタル酸(Terephthalic acid)、イソフタロイルジクロリド(Iso-phthaloyl dichloride)、および4,4’−ベンゾイルクロリド(4,4’-benzoyl chloride)などの単独または2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0045】
本発明で使用できるジアミンとしては、分子間、分子内電荷移動錯体を最小化して透明性を実現し且つ耐熱性を向上させる観点から、例えば、オキシジアニリン(ODA)、p−フェニレンジアミン(pPDA)、m−フェニレンジアミン(mPDA)、p−メチレンジアミン(pMDA)、m−メチレンジアミン(mMDA)、ビストリフルオロメチルベンジジン(TFDB)、シクロヘキサンジアミン(13CHD、14CHD)、ビスアミノヒドロキシフェニルヘキサフルオロプロパン(DBOH)、ビスアミノフェノキシベンゼン(133APB、134APB、144APB)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(33−6F、44−6F)、ビスアミノフェニルスルホン(4DDS、3DDS)、ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(4BDAF)、ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(6HMDA)、およびビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(DBSDA)などから選ばれた単独或いは2種以上の組み合わせを例示することができるが、これに限定されない。
【0046】
前記ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物のモル量とジアミンのモル量は、同モル量となるようにすることが好ましく、これらを第1溶媒に溶解して重合反応させてポリアミド酸溶液を製造することができる。前記重合反応の条件は特に限定されないが、反応温度は−20〜80℃、反応時間は2〜48時間であることが好ましい。また、反応の際にアルゴンや窒素などの不活性雰囲気であることがより好ましい。
【0047】
本発明のポリイミドは、ジアンヒドリド、芳香族ジカルボニル化合物およびジアミンを使用することにより、無色透明であり、これにより耐熱性が向上した効果を得ることができる。
【0048】
前述したモノマー成分の溶液重合反応のための第1溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であれば特に限定されない。公知の反応溶媒としてm−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトンおよびジエチルアセテートの中から選ばれた少なくとも1種の極性溶媒を使用する。この他にも、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルムなどの低沸点溶液、またはγ−ブチロラクトンなどの低吸収性溶媒を使用することができる。
【0049】
ポリアミド酸溶液の製造の際に、第1溶媒の含量は特に限定されないが、適切なポリアミド酸溶液の分子量および粘度を得るために、溶媒の含量は全体ポリアミド酸溶液に対して、50〜95重量%が好ましく、さらに好ましくは70〜90重量%である。
【0050】
ポリイミドフィルムの摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性などの様々な特性を改善させる目的で、前述したポリアミド酸溶液に、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子以外のフィラーをさらに添加することもできる。
【0051】
前記フィラーの種類は、特に限定されないが、具体的には、酸化チタン、層状シリカ、カーボンナノチューブ、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などを挙げることができる。
【0052】
前記フィラーの粒径は、改質すべきフィルムの特性および添加するフィラーの種類に応じて変動できるもので、特に限定されないが、一般には平均粒直径が0.001〜50μmであり、好ましくは0.005〜25μm、さらに好ましくは0.01〜10μmである。この場合、透明ポリイミドフィルムの優れた改質効果を示しやすく、耐熱性および機械的物性を向上させることができる。さらに、表面特性を改善して摩擦係数、導電性などの特性を改善することができる。
【0053】
前記フィラーの含量は、高分子樹脂の結合構造を妨げることなく改質しようとする特性を示すために、ポリアミド酸溶液100重量部に対して0.001〜20重量部であり、好ましくは0.01〜1重量部である。
【0054】
フィラーの分散の際、溶媒の総重量に対して、フィラーは、0.001〜1重量%であり、好ましくは0.01〜1重量%である。分散濃度が1重量%を超える場合は、分散した溶液の色が不透明になってフィルム製膜時の光学特性が低下するおそれがあり、0.01重量%以下の場合は、固形分の含量が少なくて耐熱性および機械的物性の向上を期待することが難しく、フィルムの製造にも困難さがある。
【0055】
前記フィラーをよく分散させるために、ミルやミキサー、高速攪拌機ホモジナイザー、超音波分散機などを用いて物理的に分散させることができ、分散したフィラーの凝集を防ぎ且つ混合性を高めるために表面処理を施して分散させることもできる。
【0056】
本発明では、フィラーを均一に分散させ且つ分散したフィラーの凝集を防ぐために、溶媒にフィラーを混合した後、超音波分散機を用いて物理的に分散させ、さらに高速攪拌機によって製造した。
【0057】
フィラーの添加方法は、特に限定されないが、例えば、重合前または重合後にポリアミド酸溶液に添加する方法、ポリアミド酸重合完了の後に3本ロール、高速攪拌機、回転型ミキサーなどを用いてフィラーを混練する方法、フィラーを含む分散液を準備してこれをポリアミド酸溶液に混合する方法などを挙げることができる。
【0058】
前述したように製造されたポリアミド酸溶液は、部分イミド化した後、第2溶媒に投入し、沈殿、濾過および乾燥過程を経てポリイミド固形分を得ることができる。
【0059】
適用されるポリアミド酸溶液の部分イミド化法としては、熱イミド化法、化学イミド化法または熱イミド化法と化学イミド化法の組み合わせを適用することができる。前記化学イミド化法は、ポリアミド酸溶液に、酢酸無水物などの酸無水物で代表される脱水剤およびイソキノリン、β−ピコリン、ピリジンなどの第3級アミン類などで代表されるイミド化触媒を投入する方法である。前記熱イミド化法または熱イミド化法と化学イミド化法を併用して適用する場合のポリアミド酸溶液の加熱条件は、ポリアミド酸溶液の種類、製造されるポリイミドフィルムの厚さなどによって変動することができる。
【0060】
前記熱イミド化法と化学イミド化法との組み合わせを適用する場合をより具体的に説明すると、ポリアミド酸溶液に脱水剤およびイミド化触媒を投入し、20〜180℃、好ましくは50〜150℃で加熱して脱水剤およびイミド化触媒を活性化することにより、ポリイミド固形分を得ることができる。
【0061】
前記第2溶媒は、ポリイミド樹脂の固形分を得るために、第1溶媒より極性が低いものを使用することができ、具体的には、水、アルコール類、エーテル類およびケトン類の中から選ばれた少なくとも1種とすることができる。前記第2溶媒の含量は、特に限定されないが、ポリアミド酸溶液の重量に対して5〜20重量倍であることが好ましい。得られたポリイミド固形分を濾過した後、乾燥させる条件は、第2溶媒の沸点を考慮して、温度が50〜120℃、時間が3〜24時間であることが好ましい。
【0062】
前述したように得られたポリイミド樹脂の固形分は、第1溶媒上に均一に分散したOH基含有非晶質シリカ粒子と混合させ、イミド化させてポリイミドまたはポリイミドフィルムを製造することができる。
【0063】
適用されるイミド化方法は、熱イミド化法、化学イミド化法または熱イミド化法と化学イミド化法との組み合わせを適用することができる。特に、フィルムの製造では、支持体上にキャスティングした後、80〜200℃、好ましくは100〜180℃で加熱して硬化および乾燥させた後、ゲル状のフィルムを支持体から剥離して得、前記ゲル状のフィルムを支持台に固定させて40〜400℃で1分〜8時間加熱することによりポリイミドフィルムを得ることができる。
【0064】
前記ゲル状のフィルムは、ピンまたはクリップを用いてフレーム上に固定することができる。前記支持体としてはガラス板、アルミニウム箔、循環ステンレスベルト、ステンレスドラムなどを使用することができる。
【0065】
また、本発明では、上述したように得られたポリイミドフィルムにさらに1回熱処理工程を施すことができる。前記追加熱処理工程の温度は300〜500℃であることが好ましく、熱処理時間は1分〜3時間であることが好ましい。この際、熱処理を済ませたフィルムの残留揮発成分は5%以下であり、好ましくは3%以下である。
【0066】
前述したように得られたポリイミドフィルムにさらに1回熱処理工程を施して、フィルム内に残っている熱履歴および残留応力を解消することにより、安定的な熱安定性を得ることができる。
【0067】
本発明では、第1溶媒上に均一に分散したOH基含有非晶質シリカ粒子を、精製されたポリイミド固形分と混合させてポリイミドフィルムを製造することにより、ポリイミド上に非晶質シリカ粒子の再凝集なしで均一に分散して相対的にポリイミドフィルムの熱膨張係数を低減させるとともに、光学特性を向上させることができる。
【0068】
また、本発明の別の実施態様は、前記ポリイミドフィルムを含む表示素子用基板に関するものである。
【0069】
本発明に係るポリイミドフィルムの厚さは、特に限定されないが、10〜250μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは25〜150μmである。
【0070】
本発明に係るポリイミドフィルムは、ヘイズが2.0以下であり、550nmの波長で光学透過度が88%以上であり、50〜250℃での熱膨張係数(CTE)が15ppm/℃以下であり、黄色度が7以下であるので、透明で耐熱性が改善されて表示素子用基板などの広範囲な分野に使用できる。
【0071】
以下、本発明を下記の実施例に基づいて詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0072】
<製造例1>
天然非晶質シリカ粒子(SEAHOSTAR、(株)日本触媒製)100gを800℃で2時間熱処理した後、常温で冷却させ、テフロン(登録商標)攪拌機、窒素注入装置、温度調節器およびコンデンサーが取り付けられた0.5Lの反応器に塩酸400gと前記熱処理された非晶質シリカ粒子60gを充填した。その後、反応器の温度を105℃に調節し、1時間還流攪拌させた。次いで、非晶質シリカ粒子を濾過して蒸留水で洗浄し、80℃の真空オーブンで12時間乾燥させて非晶質シリカ粒子54gを得た。前記乾燥した非晶質シリカ粒子50gと水酸化ナトリウム水溶液(10重量%)150mLを反応器に入れ、100℃で3時間攪拌し、還流させ、常温で冷やして蒸留水で洗浄した後、80℃の真空オーブンで12時間乾燥させることにより、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子(平均粒度:0.1μm)44gを製造した。
【0073】
<実施例1>
1−1:ポリイミド固形分の製造
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)821gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせ、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解し、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA26.655g(0.06mol)とBPDA11.769g(0.04mol)を投入した後、1時間攪拌して溶解および反応させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。ここにTPC20.302g(0.1mol)を添加し、12時間攪拌して固形分濃度13重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0074】
前記ポリアミド酸溶液にピリジン13gおよび無水酢酸17gを投入して30分間攪拌し、さらに70℃で1時間攪拌して常温に冷却した。その後、これをメタノール20Lで沈殿させた。沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃で真空にて6時間乾燥させて100gの粉末状のポリイミド固形分を得た。
【0075】
1−2:ポリイミドフィルムの製造
製造例1で製造された、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子0.03gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)30gに投入し、前記N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が透明になるまで超音波処理して非晶質シリカ粒子分散液(分散濃度:0.1重量%)を得た。その後、前記得られた非結晶シリカ粒子分散液と実施例1−1のポリイミド固形分100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)639g入りの、攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、攪拌して溶解させた。
前記溶解した混合物(固形分濃度13wt%)をステンレス板に塗布した後、400μmにキャスティングし、130℃の熱風で30分間乾燥させた。その後、フィルムをステンレス板から剥離してフレームにピンで固定した。フィルムが固定されたフレームを真空オーブンに入れ、100℃から300℃まで2時間ゆっくり加熱し、徐々に冷却してフレームから分離してポリイミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程としてさらに300℃で30分間熱処理した(厚さ67μm)。
【0076】
<実施例2>
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを製造するが、製造例1で製造された、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子0.05gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)50gに投入し、前記N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が透明になるまで超音波処理して非晶質シリカ粒子分散液(分散濃度:0.1重量%)を得た。その後、前記得られた非晶質シリカ粒子分散液と実施例1−1のポリイミド固形分100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)639g入りの、攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、攪拌し、前記混合物(固形分濃度13wt%)を溶解させ、実施例に1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ67μm)。
【0077】
<実施例3>
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを製造するが、製造例1で製造された、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子0.07gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)70gに投入し、前記N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が透明になるまで超音波処理して非晶質シリカ粒子分散液(分散濃度:0.1重量%)を得た。その後、前記得られた非晶質シリカ粒子分散液と実施例1−1のポリイミド固形分100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)599g入りの、攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、攪拌して前記混合物(固形分濃度13wt%)を溶解させ、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ65μm)。
【0078】
<実施例4>
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを製造するが、製造例1で製造された、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子0.1gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)100gに投入し、前記N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が透明になるまで超音波処理して非晶質シリカ粒子分散液(分散濃度:0.1重量%)を得た。その後、前記得られた非晶質シリカ粒子分散液と実施例1−1のポリイミド固形分100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)569g入りの、攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、攪拌して前記混合物(固形分濃度13wt%)を溶解させ、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ65μm)。
【0079】
<実施例5>
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを製造するが、製造例1で製造された、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子0.03gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)3gに投入し、前記N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が透明になるまで超音波処理して非晶質シリカ粒子分散液(分散濃度:1.0重量%)を得た。その後、前記得られた非晶質シリカ粒子分散液と実施例1−1のポリイミド固形分100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)666g入りの、攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、攪拌して前記混合物(固形分濃度13wt%)を溶解させ、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ65μm)。
【0080】
<実施例6>
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを製造するが、製造例1で製造された、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子0.05gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)5gに投入し、前記N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が透明になるまで超音波処理して非晶質シリカ粒子分散液(分散濃度:1.0重量%)を得た。その後、前記得られた非晶質シリカ粒子分散液と実施例1−1のポリイミド固形分100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)664g入りの、攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、攪拌して前記混合物(固形分濃度13wt%)を溶解させ、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ63μm)。
【0081】
<実施例7>
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを製造するが、製造例1で製造された、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子0.07gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)7gに投入し、前記N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が透明になるまで超音波処理して非晶質シリカ粒子分散液(分散濃度:1.0重量%)を得た。その後、前記得られた非晶質シリカ粒子分散液と実施例1−1のポリイミド固形分100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)662g入りの、攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、攪拌して前記混合物(固形分濃度13wt%)を溶解させ、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ63μm)。
【0082】
<実施例8>
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを製造するが、製造例1で製造された、表面にOH基を有する非晶質シリカ粒子0.1gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)10gに投入し、前記N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が透明になるまで超音波処理して非晶質シリカ粒子分散液(分散濃度:1.0重量%)を得た。その後、前記得られた非晶質シリカ粒子分散液と実施例1−1のポリイミド固形分100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)659g入りの、攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、攪拌して前記混合物(固形分濃度13wt%)を溶解させ、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ63μm)。
【0083】
<比較例1>
1−1:ポリイミドの製造
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながらN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)821gを充填した後、反応器の温度を25℃に合わせ、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解し、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA26.655g(0.06mol)とBPDA11.769g(0.04mol)を投入した後、1時間攪拌して溶解および反応させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。ここにTPC20.302g(0.1mol)を添加し、12時間攪拌して固形分濃度13重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0084】
前記ポリアミド酸溶液にピリジン13gと無水酢酸17gを投入して30分間攪拌し、さらに70℃で1時間攪拌して常温に冷やした後、これをメタノール20Lで沈殿させた。前記沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃で真空にて6時間乾燥させて100gの粉末状のポリイミド固形分を得た。
【0085】
1−2:ポリイミドフィルムの製造
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)670gを充填した後、比較例1−1で得られたポリイミド固形分100gを溶解させて固形濃度13wt%の溶液を得た。その後、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ65μm)。
【0086】
<比較例2>
2−1:ポリイミドの製造
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながらN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)821gを充填した後、反応器の温度を25℃に合わせ、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解し、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA26.655g(0.06mol)とBPDA11.769g(0.04mol)を投入した後、1時間攪拌して溶解および反応させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。ここにTPC20.302g(0.1mol)を添加し、12時間攪拌して固形分濃度13重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0087】
前記ポリアミド酸溶液にピリジン13gおよび無水酢酸17gを投入して30分間攪拌し、さらに70℃で1時間攪拌して常温に冷やした後、これをメタノール20Lで沈殿させた。前記沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃で真空にて6時間乾燥させて100gの粉末状のポリイミド固形分を得た。
【0088】
2−2:ポリイミドフィルムの製造
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを製造するが、OH基を有しない天然非晶質シリカ粒子(SEAHOSTAR、(株)日本触媒製)0.03gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)30gに投入し、前記N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が透明になるまで超音波処理して非晶質シリカ粒子分散液(分散濃度:0.1重量%)を得た。その後、前記得られたシリカ粒子分散液と比較例2−1のポリイミド固形分100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)639g入りの、攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、撹拌して前記混合物(固形分濃度13wt%)を溶解させ、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ55μm)。
【0089】
<比較例3>
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを製造するが、OH基を有しない天然非晶質シリカ粒子(SEAHOSTAR、(株)日本触媒製)0.05gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)50gに投入し、前記N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が透明になるまで超音波処理して非晶質シリカ粒子分散液(分散濃度:0.1重量%)を得た。その後、前記得られたシリカ粒子分散液と比較例2−1のポリイミド固形分100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)619g入りの、攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、撹拌して前記混合物(固形分濃度13wt%)を溶解させ、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ65μm)。
【0090】
<比較例4>
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを製造するが、OH基を有しない天然非晶質シリカ粒子(SEAHOSTAR、(株)日本触媒製)0.1gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)100gに投入し、前記N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が透明になるまで超音波処理して非晶質シリカ粒子分散液(分散濃度:0.1重量%)を得た。その後、前記得られたシリカ粒子分散液と比較例2−1のポリイミド固形分100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)569g入りの、攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、撹拌して前記混合物(固形分濃度13wt%)を溶解させ、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ60μm)。
【0091】
<比較例5>
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを製造するが、Co−op Chemical Japan社の層状シリケートSTN[(C
8-H
17)
3(CH
3)N
+]0.1gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)100gに投入し、前記N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が透明になるまで超音波処理して層状シリケート分散液(分散濃度:0.1重量%)を得た。その後、前記得られた層状シリケート分散液と比較例2−1のポリイミド固形分100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)569g入りの、攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながら投入し、攪拌して前記混合物(固形分濃度13wt%)を溶解させ、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ65μm)。
【0092】
<比較例6>
6−1:ポリイミドの製造
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながらN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)551gを充填した後、反応器の温度を25℃に合わせ、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解し、この溶液を25℃に維持した。ここにBPDA29.422g(0.1mol)を添加し、1時間攪拌してBPDAを完全に溶解させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。そして、ここに6FDA44.425g(0.1mol)を添加し、12時間攪拌して固形分濃度20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0093】
前記得られたポリアミド酸溶液にピリジン19.98gおよび無水酢酸25.76gを投入して30分間攪拌し、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷やした後、これをメタノール20Lで沈殿させた。前記沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空にて6時間乾燥させて128gの粉末状のポリイミド固形分を得た。
【0094】
6−2:ポリイミドフィルムの製造
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器が取り付けられた1Lの反応器に窒素を通過させながらN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)669gを充填した後、比較例6−1で得られたポリイミド固形分100gを溶解させて固形分濃度13wt%の溶液を得た。その後、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した(厚さ60μm)。
【0095】
<物性評価方法>
(1)透過度
実施例および比較例で製造された各フィルムに対してUV分光計(コニカミノルタ社製、CM−3700d)を用いて波長550nmでの透過度を測定した。
【0096】
(2)黄変度(Yellow Index、Y.I.)
UV分光計(コニカミノルタ社製、CM−3700d)を波長550nmでの黄変度をASTM E313規格で測定した。
【0097】
(3)熱膨張係数(CTE)
TMA(Perkin Elmer社製、Diamond TMA)を用いてTMA−Methodに従って10℃/minの昇温速度および100mNの荷重の条件下で2回にわたって50〜250℃での熱膨張係数を測定した。フィルムを製膜し、熱処理によりフィルム内に残留応力が残ることがあるので、一番目の作動(Run)で残留応力を完全に除去した後、2番目の値を実測定値として提示した。
【0098】
(4)厚さ
実施例および比較例で製造された各フィルムの厚さをAnritsu Electronic Micrometerによって測定した。ここで、 前記Anritsu Electronic Micrometerの偏差は0.5%以下である。
【0099】
(5)Haze
Hazemeter(Murakami Color Research Laboratory製、HM150)を用いてD65光源で10×10cmのフィルムを10箇所測定し、最高値と最低値を除いた値の平均を出して求めた。
【0100】
【表1】
実施例1〜8および比較例1〜6で製造されたポリイミドフィルムの物性測定結果、表1に示すように、シリカ粒子を使用せずに製造されたポリイミドフィルム(比較例1)はCTEが高くて耐熱性が良くないことが分かり、表面にOH基を有しない非晶質シリカ粒子(比較例2〜4)または層状シリケートを用いて製造されたポリイミドフィルム(比較例5)はヘイズおよび黄色度が高くて透明性が良くないことが分かる。
【0101】
また、比較例6では、芳香族ジカルボニル化合物を除いてジアンヒドリドとジアミンのみで製造したポリイミドの場合、ヘイズと黄色度が低くて優れた透明性を示すが、CTEが高くて耐熱性が良くないことが分かる。
【0102】
このように、ジアンヒドリド、芳香族ジカルボニル化合物およびジアミンが共重合されて製造されたポリイミドに、OH基を有するシリカ粒子を適正の含量で混合して製造されたポリイミドフィルムの場合(実施例1〜実施例8)、透明性を示しながらも耐熱性に優れることが分かる。
【0103】
以上、本発明の好適な実施態様について説明の目的で開示したが、当業者であれば、添付した請求の範囲に開示された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変形、追加および置換を加え得ることを理解するであろう。