特許第6145521号(P6145521)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145521
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】カラー超音波針
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20170607BHJP
   A61B 90/11 20160101ALI20170607BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   A61M5/32 540
   A61B90/11
   A61M5/32 520
   A61B8/14
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-559036(P2015-559036)
(86)(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公表番号】特表2016-508797(P2016-508797A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】US2014017921
(87)【国際公開番号】WO2014133936
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2015年10月27日
(31)【優先権主張番号】14/178,984
(32)【優先日】2014年2月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/769,300
(32)【優先日】2013年2月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515232365
【氏名又は名称】メーズ, アレン
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】メーズ, アレン
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−089840(JP,A)
【文献】 特表2006−520220(JP,A)
【文献】 特開平08−206118(JP,A)
【文献】 特開2011−125632(JP,A)
【文献】 米国特許第06018676(US,A)
【文献】 国際公開第2011/077837(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/042621(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00− 5/32
A61B 8/14
A61B 90/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波機械との併用のための針であって、前記超音波機械は、前記針の場所を可視化し、前記針は、
近位端および遠位開放端を有する中空体であって、前記中空体は、それを通して媒体流路を画定する、中空体と、
前記遠位開放端において画定された先端と、
前記流路内に位置付けられ、前記中空体内に常駐する媒体乱流誘発部材と
を備え、
それによって、前記中空体を通して、かつ前記先端を通して外へ流動する媒体は、超音波機械上で可視である、針。
【請求項2】
前記中空体を通して、かつ前記先端を通して外へ流動する前記媒体は、カラードップラー特徴において動作する超音波機械上で可視である、請求項1に記載の針。
【請求項3】
前記媒体乱流誘発部材は、リーマである、請求項1に記載の針。
【請求項4】
前記先端上に形成された斜角をさらに備え、前記斜角は、30°−45°の範囲内で斜角角度を有する、請求項1に記載の針。
【請求項5】
前記中空体は、略円筒状外側外形を有し、前記先端は、前記中空体の縦軸に垂直である平面内にある円周を有する、外側縁部を有する、請求項1に記載の針。
【請求項6】
前記針はさらに、絶縁された外側表面を備える、請求項1に記載の針。
【請求項7】
前記中空体は、プラスチックおよび金属の群から選択される材料を備える、請求項1に記載の針。
【請求項8】
生体内に針を位置付けるためのシステムであって、前記システムは、
超音波機械と、
針と
を備え、
前記針は、
近位端および遠位端を有する中空体であって、前記中空体は、それを通して流路を画定する、中空体と、
記遠位端に位置する先端と、
前記流路内に位置付けられ、かつ前記中空体内に位置する媒体乱流誘発部材と
を含む、システム。
【請求項9】
前記媒体乱流誘発部材は、リーマである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記先端上に形成された斜角をさらに備え、前記斜角は、30°−45°の範囲内で斜角角度を有する、請求項8に記載のシステム
【請求項11】
前記中空体は、略円筒状外側外形を有し、前記先端は、前記中空体の縦軸に垂直である平面内にある円周を有する、縁部を有する、請求項8に記載のシステム
【請求項12】
前記針はさらに、絶縁された外側表面を備える、請求項8に記載のシステム
【請求項13】
針の先端を特定するためのシステムであって、前記システムは、
超音波機械であって、前記超音波機械は、前記超音波機械の出力を視認するためのカラーディスプレイを有する、超音波機械と、
針であって、前記針は、近位端および遠位端を有する中空体を有し、前記中空体は、流路を画定し、前記針はさらに、前記遠位端に位置する先端を有前記針は、前記流路内に位置付けられた媒体乱流誘発部材を有する、針と
を備え、
媒体は、前記流路を通して、かつ前記針の先端を通して外へ送られ
前記針の先端を通して前記針から流出する媒体の乱流を示す、前記超音波機械のカラーディスプレイ部は、前記針の先端の場所を識別するために使用されるシステム
【請求項14】
前記超音波機械は、カラードップラー特徴を使用して、動作している、請求項13に記載のシステム
【請求項15】
前記媒体乱流誘発部材は、リーマである、請求項13に記載のシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2013年2月26日に出願された「COLOR ULTRASOUND NEEDLE」という題目の先願仮特許出願第61/769,300号に関連し、それに対して優先権を主張する。上記文献の全部の内容は、参照することによって本明細書において援用される。
【0002】
本発明は、概して、組織の中への針の挿入に関する。概して、医師は、医療用超音波機械を使用し、針を組織の中に留置すべき場所を可視化する。針は、実施例として、血管中、神経近傍、羊水中、または絨毛膜標本採取のためのいずれかに、留置されてもよい。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
組織の中へのその挿入の間、針の場所を把握し、所望の場所に針を適切に位置させ、不要な損傷をもたらし得る針の留置を回避することが、医療において必要とされる。
【0004】
針が、超音波を使用して、可視化することが困難であり得る、またはそうとは限らない、既知の問題が先行技術に存在する。例えば、患者の肥満の程度、患者の多様な解剖学的構造、および異なる開業医の技能レベルが、針の可視化に影響を及ぼす。超音波は、白黒または灰色スケールである、写真を与える。
【0005】
局所麻酔の使用は、より少ない血液損失、より少ない血栓、外科手術に対して生成されるより少ないストレスホルモン、回復時間の減少、より少ない手術後の痛み、およびより少ない吐き気と関連付けられるため、ますます一般的となりつつある。しかしながら、局所麻酔の投与は、特に、超音波デバイスにあまり熟知していないより古い世代の医師にとって技能を習得することが困難である可能性がある。
【0006】
白黒においてそれをより可視にするために針をエッチングするレーザ等、針をより可視にするための試みが先行技術においてなされている。しかしながら、さらなる可視化が、所望される。
【0007】
より正確な針の留置を達成するためのより良好な針の可視化、近接構造への傷害を回避すること、針留置をより成功させるための必要性が存在する。
【0008】
標準的な針に匹敵する改善された針のコストの必要性も存在する。
【0009】
単回の患者の使用、すなわち、使い捨てであることが意図される改善された針の必要性も存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要約)
本発明は、先行技術超音波針の利点を保存する。加えて、現在利用可能である超音波針において見出されない新しい利点を提供し、そのような現在利用可能である超音波針の多くの不利点を克服する。
【0011】
本発明の例示的実施形態は、B.Braunによって製造されたStimuplex A Insulated needle等の修正された針を含む。針は、針内の機械的乱流誘発構造を使用して、かつそれを視認するための超音波機械上のカラードップラー(Doppler)特徴を使用して、針を通して乱流を引き起こすことによって、カラーで可視にされる。先行技術の針は、超音波機械のカラードップラー特徴を使用して見られ得る、乱流を誘発しないため、カラーで可視可能ではない。
【0012】
針を通した流動は、変化されることが可能であり、それによって、針の先端/流体流出がカラーで見られることを可能にする。結果として、本発明は、先端の場所等、超音波針の留置が、さらに困難である患者の解剖学的構造において、かつ最低限訓練された開業医によって成功することを可能にする。流体流出の着色噴流が、現在の針を用いて可能であるものより容易な可視化を可能にするであろう。
【0013】
製造業者が、ユーザ(麻酔専門医等)に、本発明のエコー源性針を提供する。好ましい実施形態では、本発明の針は、略円筒状外側外形、近位端、および遠位端を有する、中空体を有する絶縁された針である。針の中空体は、流体が針の近位端から針の遠位端に位置する針の先端まで指向され得るように、針を通して流路を画定する。針の近位端は、医療用チューブまたは注射器に係合するように構成される。例示的実施形態では、針の遠位端は、ユーザの皮膚を穿刺するための針の能力を改善する斜角先端を有する。他の実施形態では、先端は、鈍角端として形成される。
【0014】
ユーザがまた、カラードップラー特徴を使用する超音波機械の出力を示し、患者の体内の適切な針の場所を補助するために、カラーディスプレイを伴う超音波機械が提供される。水、生理食塩水、または同等物の形態の流体等の媒体が、近位端から遠位端に向かって、かつ次いで針の先端から外へ流動することが針を通してもたらされると、針の中空体の流路内に位置付けられた乱流誘発部材を通してまたはそれにわたって、通過する。例示的実施形態では、乱流誘発部材は、針の先端に近接して位置する。
【0015】
乱流誘発部材は、種々の形態をとり得る。好ましい実施形態では、乱流誘発部材は、リーマである。リーマの溝付き表面は、針の中空体内に流体のための螺旋状経路を作る。流体が針から流出すると、注入される患者の体の領域(または他の組織)内において実質的乱流をもたらすであろう。この実質的乱流は、カラー超音波機械のドップラー特徴を使用することによって、360°球面として可視である。
【0016】
製造業者が、超音波機械とともに、または超音波機械と別個に、針または針のセットをユーザに提供してもよい。
【0017】
ユーザは、超音波機械をアクティブ化し、すなわち、カラードップラー特徴が有効にされ、患者の体上の着目領域にわたって変換器を位置付ける。変換器は、カラーディスプレイを伴うドップラー超音波機械との併用のために構成される。変換器は、音波を送信かつ受信することが可能である。患者の組織内の流体の移動は、ドップラー超音波機械によって検出され、カラーディスプレイ上に表示される。
【0018】
ユーザは、針を領域中に挿入し、流体を針の中空体内の流路に通過させる。乱流誘発部材は、針から流出した直後に、流体に乱流を生じさせる。ユーザは、超音波機械の出力ディスプレイ上に明るいカラー領域としてこの乱流を観察する。ユーザは、患者の解剖学的構造(実質的に、白黒または灰色スケールで)と針の先端に隣接する乱流の明るい面積(実質的に、カラーで)との両方を確認することができる。ユーザは、超音波機械の出力ディスプレイを見ながら、患者の体に対する針の角度を調節し、患者の体内への針の挿入の深度を調節することによって、針の先端を患者内の所望の標的場所に移動する。
【0019】
したがって、針の先端において乱流を誘発し、ドップラー特徴を使用する超音波機械によりこれを視認することによって、より正確な針の留置を達成するために、針のより良好な可視化を提供することが、本発明の目的である。
【0020】
本発明の別の目的は、近接構造への傷害を回避し、針留置をより成功させることである。
【0021】
標準的な針に匹敵する改善された針のコストを保つことも、本発明の目的である。
【0022】
単回の患者の使用および使い捨てのための針を提供することも、本発明のさらなる目的である。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
超音波機械との併用のための針であって、前記超音波機械は、前記針の場所を可視化し、前記針は、
近位端および遠位開放端を有する中空体であって、前記中空体は、それを通して媒体流路を画定する、中空体と、
前記遠位開放端が画定する、先端と、
前記流路内に位置付けられ、前記中空体内に常駐する媒体乱流誘発部材と
を備え、
それによって、前記中空体を通して、かつ前記先端を通して外へ流動する媒体は、超音波機械上で可視である、針。
(項目2)
前記中空体を通して、かつ前記先端を通して外へ流動する前記媒体は、カラードップラー特徴において動作する超音波機械上で可視である、項目1に記載の針。
(項目3)
前記媒体乱流誘発部材は、リーマである、項目1に記載の針。
(項目4)
前記先端上に形成された斜角をさらに備え、前記斜角は、30°−45°の範囲内で斜角角度を有する、項目1に記載の針。
(項目5)
前記中空体は、略円筒状外側外形を有し、前記先端は、前記中空体の縦軸に垂直である平面内にある円周を有する、外側縁部を有する、項目1に記載の針。
(項目6)
前記針はさらに、絶縁された外側表面を備える、項目1に記載の針。
(項目7)
前記中空体は、プラスチックおよび金属の群から選択される材料を備える、項目1に記載の針。
(項目8)
生体内に針を位置付けるためのシステムであって、前記システムは、
超音波機械と、
針と
を備え、
前記針は、
近位端および遠位端を有する中空体であって、前記中空体は、それを通して流路を画定する、中空体と、
前記針が画定する、前記遠位端に位置する先端と、
前記流路内に位置付けられ、かつ前記中空体内に位置する媒体乱流誘発部材と
を含む、システム。
(項目9)
前記媒体乱流誘発部材は、リーマである、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記先端上に形成された斜角をさらに備え、前記斜角は、30°−45°の範囲内で斜角角度を有する、項目8に記載の針。
(項目11)
前記中空体は、略円筒状外側外形を有し、前記先端は、前記中空体の縦軸に垂直である平面内にある円周を有する、縁部を有する、項目8に記載の針。
(項目12)
前記針はさらに、絶縁された外側表面を備える、項目8に記載の針。
(項目13)
針の先端を特定する方法であって、前記方法は、
超音波機械を提供するステップであって、前記超音波機械は、前記超音波機械の出力を視認するためのカラーディスプレイを有する、ステップと、
針を提供するステップであって、前記針は、近位端および遠位端を有する中空体を有し、前記中空体は、流路を画定し、前記針はさらに、前記遠位端に位置する先端を有する、ステップと、
前記流路内に媒体乱流誘発部材を位置付けるステップと、
前記針の先端を身体部位の中に挿入するステップと、
前記超音波機械をアクティブ化するステップと、
着目領域にわたって前記超音波機械の変換器を位置付けるステップと、
前記流路を通して、かつ前記針の先端を通して外へ媒体を送るステップと、
前記針の先端を通して前記針から流出する媒体の乱流を示す、前記超音波機械のカラーディスプレイ部を観察し、それによって、前記針の先端の場所を識別するステップと
を含む、方法。
(項目14)
前記超音波機械は、カラードップラー特徴を使用して、動作している、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記媒体乱流誘発部材は、リーマである、項目13に記載の方法。
【0023】
本発明の特徴である新規特徴は、添付の請求項に記載される。しかしながら、本発明の好ましい実施形態は、さらなる目的および付随する利点とともに、付随の図面に関連して検討される以下の詳細な説明を参照することによって、最良に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、乱気流を作る内部リーマを伴う、針アセンブリの斜視図である。
図2図2は、その中に常駐するリーマを伴う、針の端面図である。
図3図3は、破線で示される内部構造を伴う、針アセンブリの側面図である。
図4図4は、リーマの側面図である。
図5図5は、図4のリーマの端面図である。
図6図6は、リーマの代替実施形態の側面図である。
図7図7は、超音波変換器を動作し、針を患者の腕の中に挿入する準備をする、ユーザの斜視図である。
図8A図8Aは、針の先端から流出する乱流体を伴わない、媒体の注入に先立って、患者の組織中に挿入される針の超音波画像を示す。
図8B図8Bは、その先端からの流体媒体の乱流を伴う針の先端を通して注入される流体を伴い、それによって、針の先端の場所を識別する、針の超音波画像を示す。
図8C図8Cは、針の先端を通して注入されるより多量の流体を伴い、付加的乱流を呈する、針のさらなる超音波画像を示す。
図8D図8Dは、針の先端を通して注入されるさらに多量の流体を伴い、さらに付加的乱流を呈する、針のさらなる超音波画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
ここで、図面を参照すると、本発明のカラー超音波針が、例証され、概して、10において示される。以下により完全に説明されるであろうように、本発明のカラー超音波針10は、薬剤または生理食塩水等の乱流体を患者に送達する、エコー源性医療針を提供し、それによって、患者に針を使用する、医者または他の個人が、カラードップラー超音波ディスプレイ上の乱流体の場所を見出すことによって、患者内の針の先端の場所を判定することができる。
【0026】
例示的実施形態の本発明の針10アセンブリは、異なる整流装置またはねじ先端設計を用いた実験の後に達成され、それらが針の先端の中に楔合された。これは、針の先端において異なる流量割合および乱流につながる。図の例示的実施形態は、好ましい実施形態であり、超音波機械上の良好なカラーディスプレイを可能にする、ある乱流のための幾何学形状を伴う。
【0027】
本発明は、肥満患者の体内等を確認することがはるかにより容易であるため、先行技術の問題を克服する。また、技能または訓練のどのレベルにおける開業医にとっても確認することが容易である。白黒または灰色スケールにおける超音波可視化の代わりに、本発明の可視化は、超音波機械のドップラー特徴を使用するカラーである。
【0028】
本発明は、標準的な神経ブロック針を修正し、針から流出する流体内に乱流を誘発することができる。標準的な針は、針から流出する第1の流体分子が十分な速さおよび乱流を有するように、修正されることができ、したがって、針の先端から流動する第1の流体は、超音波機械の中に内蔵されたドップラー特徴によってカラーで見られるであろう。針を通して指向される流体は、薬剤、麻酔剤、0.9%生理食塩水、または別の流体であることができる。
【0029】
図1−3は、本発明の針10の例示的実施形態を示す。針は、近位端14および遠位端16を有する、中空体12を有する。流体が患者に指向されると、近位端14から遠位端16まで、中空体12内の流路18を通過し、そこで、針の先端20は、画定され、かつ位置付けられる。
【0030】
図1−3の実施形態の針10の先端20は、好ましくは、斜角であり、これは、最小限の力を用いて、ユーザの皮膚を穿刺するために有益となる。先端上に形成された斜角面22と、斜角角度とは、ユーザのニーズまたは選好に従って設計されることができる。好ましくは、斜角角度は、針10の縦軸に対して30°〜45°の範囲である。
【0031】
本発明は、針の先端における乱流の産出によって、カラーで一意に可視であることができ、したがって、容易に見られることができる。これは、異なる構造を使用して、多くの異なる方法で実行されることができる。乱流誘発部材24が、流路内または流路の遠位端に隣接して、位置付けられる。
【0032】
例示的実施形態では、乱流誘発部材24は、中空体12の遠位端16に向かって位置する、リーマである。リーマ24は、近位端26および遠位端28を有し、これは、それぞれ、中空体12の近位端14および遠位端16と同軸上に整合される。例示的実施形態では、リーマ24は、針10の先端20に隣接して位置する。リーマは、機械加工用ツールとして通常使用されるが、ここでは、リーマの螺旋状溝は、乱流が、超音波デバイスを用いて視認されると、針の先端の周囲に、かつそれを中心に可視であるように、それにわたって、かつその周囲を通過する流体の乱流を誘発するために使用される。
【0033】
図2は、中空体12とリーマ24との両方が可視である、針10の先端の図を示す。この図は、リーマ24のランド30が、針10の流路18を画定する中空体12の内径に略等しいリーマ24の外径を画定することを示す。したがって、中空体12の近位端14から遠位端16まで移動する流体は、リーマ24の溝32に沿って、略螺旋状経路内に指向される。
【0034】
ともに、図1−3は、例示的実施形態の針10の中空体12が、R1の半径を有する略円筒状外側外形と、R2の半径を有する略円筒状内側外形とを有することを示す。例示的実施形態では、R1は、0.018インチであり、R2は、0.012インチである。この構成は、使用され得る、乱流誘発部材24の一実施例にすぎない。
【0035】
図3は、例示的実施形態の完全に組み立てられた針10の側面図を示す。中空体の内部表面は、破線で示される。この内部表面は、中空体12の流路18を画定する。流体は、矢印Aに沿ってそれを中空体12を通して移動することによって、患者に指向されることができる。例示的実施形態では、乱流誘発部材24が、中空体内に常駐していないとき、流路18は、中空体12の縦軸と略平行である方向Aにおける、中空体12内の流体の実質的層流を提供することができるように構成される。
【0036】
例示的実施形態が斜角先端を有するため、かつリーマ24がその遠位端28において平坦面29を有するため、リーマは、部分的に、縦方向のBの距離だけ、図3の斜角先端面22を越えて延在する。距離Bは、リーマの遠位端の平坦面29から、中空体12の近位端14に最も近い斜角先端面22上の点まで測定される。例示的実施形態では、距離Bは、0.024インチに等しい。針10の中空体12の近位端14により近接してリーマ24を位置付けることが可能である。また、リーマの遠位端の幾何学形状を修正することも可能である。リーマ24は、先端20の外側に延在してもよい、または中空体12内に完全に含有されてもよい。
【0037】
針の斜角先端20はさらに、ランセット先端を含んでもよく、患者の皮膚または他の組織を穿刺するためのより鋭利な先端20をともに形成するランセット表面21を伴う。
【0038】
図4−6は、針の中空体から取り外された例示的実施形態のリーマを示す。図4は、リーマが3つの溝32と、3つのランド30とを有することを示す。図4は、リーマが遠位端から近位端までの長さLを有することを示す。図5は、リーマの遠位端28から視認されると、リーマがランド30によって画定される外径Dを有することを示す。
【0039】
特に、4FL.REAMERの60度螺旋、0.0240×0.250インチの長さ、0.008インチの深さが、この乱流を作るための好適な構造であることが見出されている。このリーマに関して、長さLは、0.250インチであり、直径Dは、0.024インチである。これは、本発明において使用されることができる、リーマのタイプおよび構成の一実施例にすぎないことを理解されたい。例えば、マイクロノズル挿入リーマ24の形状および構成は、乱流の異なるレベルおよびタイプを作り、ドップラー特徴を使用する超音波機械上で可視化されるとき異なるカラーシグネチャを提供するために、異なるねじ山ピッチを有する図6のように、変化されることができる。
【0040】
例示的実施形態は、中空体12上に斜角先端20を含むが、他の先端幾何学形状も可能である。例えば、針は、正方形の先端を有し得る。先端は、次いで、針の中空体の縦軸に垂直である平面内に位置する先端面を画定する円形外側外形を有する、先端縁部を有するであろう。
【0041】
針は、プラスチックおよび金属を含む、種々の材料から作製されてもよい。例示的実施形態の針は、超音波デバイスとの併用のための絶縁された針であるが、また、非絶縁の針を使用することも可能である。
【0042】
ユーザは、事前に購入された超音波機械との併用のための針が提供されてもよい、または本発明の針は、超音波機械とカラーディスプレイとともに、ユーザに提供されてもよい。針は、単回の使用のために構成されることができる。
【0043】
さらには、乱流誘発部材24は、そのような流体が、針を通して、かつ針の先端20を通して外へ注入されるとき、それにわたって、かつそれを中心に通過すると、流体の乱流を誘発する任意の構成であってもよい。螺旋状溝付きリーマ24が好ましいが、他の外形表面も、採用されてもよい、または他の構造(図示せず)も、採用されてもよい。例えば、球面が、流体内の要求される乱流を誘発するために、針内に位置付けられてもよい。
【0044】
図7は、超音波変換器100を動作し、かつ針10を患者の腕200の中に挿入する準備をする、ユーザの斜視図を示す。本発明の針10は、注射器300に固着され、かつそれから延在する。注射器は、患者の腕に送達される流体を含有する、チャンバ310を有する。本発明の方法は、ユーザが、患者への流体(麻酔剤等)の適切な投与のために、本発明の針10を位置付けることを可能にする。
【0045】
ユーザは、まず、針を挿入する、体内の着目領域または他の生体組織を識別する。着目領域内において、ユーザは、針の先端が位置するべきである、標的場所を識別する。例えば、麻酔専門医または物理療法医学の医者が、組織が麻痺される必要がある、患者の体の面積内の神経集網を識別することができ、そこで、患者が外科手術のために準備される必要がある、痛みが手術後に減少される必要がある、または、痛みが日常生活において減少される必要がある。患者の体面積は、腹部、腕、脚、肩、膝、肘、または別の体の一部等の面積であってもよい。先端留置の成功は、流体の適切な用量が標的場所に指向されるように、かつユーザが針の先端を用いて患者内の囲繞組織を損傷しないように回避するように、標的場所の略近傍に先端を留置するであろう。
【0046】
ユーザは、超音波機械の出力を視認するために、カラーディスプレイおよびカラードップラー特徴を有する、超音波デバイスをアクティブ化する。ハンドヘルド変換器を有する超音波デバイスの場合、ユーザは、着目領域にわたって変換器を位置付け、カラーディスプレイを視認する。
【0047】
次いで、ユーザは、本発明の針を患者の中に挿入し、着目領域内の標的場所に隣接して針の先端を留置することを試みる。ユーザが流体を針の中空体および乱流誘発部材を通して流動させると、結果として生じる流体の乱流は、カラードップラー特徴が有効にされるとき、超音波機械のカラーディスプレイ上にカラーで可視である。ユーザは、流体のこの乱流の場所を観察し、それによって、少なくとも、針の先端の場所を実質的に判定することができる。特に、視認されるカラー部分の流動の方向は、針の先端の場所のさらなるインジケータである。また、ユーザは、針の斜角先端の回転を判定することも可能であることができる。ユーザはまた、針近傍の患者の解剖学的構造を観察する。ユーザは、患者内の針の角度および針の深度を調節し、適切に、患者の体内の、乱流、ひいては、針の先端を特定することができる。
【0048】
図8A−8Dは、本発明による、超音波機械のカラーディスプレイからの連続画面捕捉を示し、そこからの出力を示す。流体が、針を通して、かつ先端から外へ指向されるにつれて、超音波機械のカラーディスプレイは、薬、水、生理食塩水、および同等物等の流体が、針の先端から流出した直後に向かう場所を示す、「雲影」または噴流状炎を示す。麻酔専門医にとって、薬剤が向かう場所を把握することは重大であり、本発明のカラーディスプレイおよび針を使用することは、したがって、ユーザが、針の先端および注入される薬剤の流動を識別することを可能にする。
【0049】
図8Aは、患者の組織400中に挿入される針10の先端を示し、針の先端10から流出する乱流体を伴わない。いくつかのカラーがわずかに可視に現れるが、画面捕捉は、ほとんど白黒および灰色領域として現れる。
【0050】
図8Bは、流体が本発明の針から流出させられた直後に捕捉された画像を示す。乱流500の小さな面積が、針の先端に隣接してカラーで可視である。図8Bでは、例えば、乱流の赤色の面積510が、先端20に隣接して現れる。乱流の青色の面積が、さらに、先端から現れ、先端に隣接するより明るい青色の面積520と、さらに先端から前進された流体内のより暗い青色の面積530とを伴う。患者の組織および針が、灰色、白色、および黒色で実質的に現れる。したがって、流体の乱流は、カラーでユーザに即座に可視であり、白色で現れる針の先端は、患者体内の他の略白色の面積とより容易に区別されることができる。
【0051】
乱流が経時的に継続するにつれて、カラー面積はさらに、展開する。図8Cは、赤色の面積510、黄色の面積540、青色の面積530、および白色の面積550等のカラー面積で乱流を示す。乱流の白色の面積は、それを囲繞する乱流のカラフルに表示された領域によるディスプレイ上の他の白色の面積と区別可能である。図8Dは、時間シーケンスにおける第3のフレームを示し、赤色は、乱流の表示画像内でより顕著である。
【0052】
画面捕捉が、先端場所を示すために有用であるが、リアルタイムビデオは、針のユーザにとって、さらにより有用である。カラー面積が進行するにつれて、ユーザは、それが形成する、かつそれが生じる、点を確認することができ、これは、針の先端20に隣接する。したがって、針12の先端20は、正確に判定されることができる。
【0053】
これらの画面捕捉等の図は、超音波が使用され、薬剤が所望の面積内に注入されたことを保険会社に証明するために使用されることができる。
【0054】
針自体は、エコー源性である必要ではないが、針の中空体上にエコー源性特徴を含むことが可能である。それにもかかわらず、先端場所を判定するための主要なエコー源性の利点は、針の先端から流出する乱流から生じるであろう。
【0055】
螺旋状経路は、リーマによって形成される必要はない。螺旋状溝を有する他の構造を針の中空体の中に挿入することによって、螺旋状経路を形成することが可能である。代替として、乱流誘発部材および針の中空体は、一体型部分として製造されてもよい。
【0056】
さらには、任意のタイプの構造が、針が超音波上にカラーで見られることができるように、先端において必要とされる乱流を作るために、針の先端において使用され得ることを理解されたい。例えば、リーマ構成の代わりに、針内のマイクロボールおよび他の構造も、使用されることができる。マイクロボールは、針の流路内に含有され、針の中空体を通して層流を中断するであろう。したがって、図に示され、本明細書に説明されるもの等、針を介して乱流を誘発する任意の手段が、含まれることができる。
【0057】
したがって、本発明の針アセンブリは、カラーで針の先端および流体注入を示す。これは、より正確な針留置、近接構造への障害を回避すること、薬剤または他の流体の送達のための針留置の成功を可能にする。コストは、標準的な針に匹敵するはずである。
【0058】
本発明の針アセンブリは、好ましくは、プラスチックから作製されるが、医療グレードおよび外科手術のために好適である、任意の材料から作製されてもよい。
【0059】
したがって、本発明は、針の先端において乱流を誘発し、ドップラー特徴を使用する超音波機械によりこれを視認することによって、より正確な針留置を達成するために、針のより良好な可視化を提供することが分かる。本発明は、近接構造への障害を回避することに役立ち、かつ針留置をより成功させることに役立つ。加えて、本発明は、標準的な針に匹敵するコストをもたらす、改善された針を提供する。さらに、本発明は、単回の患者の使用および使い捨てのための針を提供する。これらの理由のため、本発明は、当技術分野で有意な進歩を表すことが考えられ、これは、実質的商業的メリットを有する。
【0060】
本発明を具現化する、ある具体的な構造が本明細書に示され、かつ説明されたが、部品の種々の修正および再配列が、根底にある発明に関する概念の精神および範囲から逸脱せずに行われてもよいことと、それが、添付の請求項の範囲によって示される場合を除いて、本明細書に示され、かつ説明される特定の形態に限定されないこととが、当業者に明示的であるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D