(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、刃部材の交換が容易な調理器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の調理器具は、例えば、刃部材と、前記刃部材を回動可能に保持する保持部とを備える調理器具であって、前記刃部材は、その長手方向の端部に取付突起を有し、前記保持部は、前記取付突起が挿入される突起受部を備える。前記突起受部は、前記保持部の縁の開口部まで続く凹状の溝であるスライド凹溝とつながっており、前記スライド凹溝は、前記突起受部から前記開口部に向かって、
前記突起受部につながる部分において少なくとも前記突起受部の幅を有し、前記開口部に向かって幅が徐々に広がっている。
【0006】
少なくとも前記開口部における溝の深さが、前記保持部の厚さの0.2〜0.6倍であってもよい。
【0007】
前記スライド凹溝は、前記突起受部から前記開口部との間に盛り上がり部分を有してもよい。
【0008】
前記スライド凹溝は、前記突起受部から前記開口部に向かって幅が徐々に広がっていてもよい。
【0009】
前記スライド凹溝の前記開口部は、食材側に向いていてもよい。
【0010】
また、本願発明は、例えば、刃部材と、前記刃部材を回動可能に保持する保持部とを備える調理器具であって、前記刃部材は、その長手方向の端部に取付突起を有し、前記保持部は、前記取付突起が挿入される突起受部を備え、前記突起受部は、前記保持部の縁の開口部まで続く凹状の溝であるスライド凹溝とつながっている。前記スライド凹溝は、少なくとも前記開口部における溝の深さが、前記保持部の厚さの0.2〜0.6倍である。
【0011】
また、本願発明は、例えば、刃部材と、前記刃部材を回動可能に保持する保持部とを備える調理器具であって、前記刃部材は、その長手方向の端部に取付突起を有する。前記保持部は、前記取付突起が挿入される突起受部を備える。前記突起受部は、前記保持部の縁の開口部まで続く凹状の溝であるスライド凹溝とつながっており、前記調理器具は、前記刃部材の両端側の2つの前記保持部をほぼ直線状に結ぶヘッド部と、当該ヘッド部の中央から、前記刃部材の長手方向に対して略垂直な把持部とを有するT字型の調理
器具である。
【0012】
また、本願発明は、例えば、刃部材と、前記刃部材を回動可能に保持する保持部とを備える調理器具であって、前記刃部材は、その長手方向の端部に取付突起を有し、前記保持部は、前記取付突起が挿入される突起受部を備え、前記突起受部は、前記保持部の縁の開口部まで続く凹状の溝であるスライド凹溝とつながっており、前記スライド凹溝は、前記突起受部から前記開口部との間に盛り上がり部分を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、刃部材の交換が容易な調理器具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第一の実施形態に係る調理器具10の(a)平面図、(b)正面図、(c)左側面図、(d)右側面図、(e)背面図、(f)底面図である。
【
図2】第一の実施形態に係る調理器具10の刃部材を外した状態の(a)平面図、(b)正面図、(c)左側面図、(d)右側面図、(e)背面図、(f)底面図である。
【
図3】ヘッド内空間の幅と奥行きを説明するための図である。
【
図6】刃部材を取り付ける過程を説明するための図である。
【
図7】刃部材の取付突起がスライド凹溝に位置している状態を示す図である。
【
図8】刃部材の取付突起が突起受け孔に挿通された状態を示す図である。
【
図9】刃部材を取り付ける過程を説明するための図である。
【
図10】ヘッド部を変形させる補助具を説明するための図である。
【
図11】変形例にかかるY字型調理器具の(a)外観図、(b)保持部の部分拡大図である。
【
図12】変形例にかかるI字型調理器具の(a)外観図、(b)保持部の部分拡大図である。
【
図13】変形例にかかるスライド溝のB−B方向断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、以下、図に基づいて説明する。
【0016】
<第一の実施形態>
図1は、第一の実施形態に係る調理器具10の(a)平面図、(b)正面図、(c)左側面図、(d)右側面図、(e)背面図、(f)底面図である。
【0017】
図2は、第一の実施形態に係る調理器具10の刃部材11を外した状態の(a)平面図、(b)正面図、(c)左側面図、(d)右側面図、(e)背面図、(f)底面図である。
【0018】
図1に示すように、調理器具10は、刃部材11が回動可能に取り付けられるヘッド部12と、ヘッド部12に連結する把持部14とを備える。刃部材11は、ステンレスなどの金属で構成されるが、他の部分はABS樹脂や、ポリプロピレンなどの弾性のあるプラスチックで一体成型されたものである。ただし、素材はこれらに制限されない。
【0019】
把持部14は、ヘッド部12のほぼ中央に垂直に連結している。すなわち、調理器具10は、T字型の調理器具である。
【0020】
また、把持部14は、ヘッド部12に連結するネック部13と、円形の指通し孔15が設けられている。利用者はこの指通し孔15に人差し指等を掛けて把持部14を握る。指を指通し孔15に通すことで、弱い力で把持部14を握っても、滑ることなく全体を引くことができる。また、その両脇には突出した指掛け部が設けられ、指通し孔15と相まって尚一層の引き易さを向上させる。
【0021】
なお、ネック部13は、ある程度の柔軟性を有する素材で形成されていてもよい。利用者が刃部材11を目的物(食材)に押し当てた際にネック部13に撓りが加わる。これにより、無駄な力がネック部13で逃がされるため、均一で美しいピーリング片を得ることが可能となる。
【0022】
刃部材11は、長細い板状の部材であり、中央に、細長い貫通孔(逃げ孔111)が形成されており、逃げ孔111の上側に設けられた面である上段112には、逃げ孔111側にジグザグ形状の刃113が形成されている。また、上段112に対し逃げ孔111を挟んだ下段114は、切削時のガイドとして作用する部分であり、長手方向に延びる凸状部(図示せず)が設けられており、強度を補強している。このようなガイドを備えることで、刃部材11を目的物(食材)に当ててヘッド部12をスライドさせたとき、刃113の動作が安定し目的物を均一に削り取ることができる。
【0023】
刃部材11は、両端に取付突起115を有する。取付突起115は、搖動可能にヘッド部12の保持部121に保持されたとき、回動軸となる。取付突起115は、例えば、刃部材11の両端から伸びる部材を丸めて形成される。
【0024】
ヘッド部は、両端の二つの保持部121と、かかる二つの保持部121を平行に距離を保って連結する連結部128とを有する。
【0025】
保持部121は、刃部材11の両端の取付突起115を搖動可能に挟み込んで保持する部分である。また、保持部121は、ヘッド部12の両端を垂直に折り曲げた形状の2つの部材である。すなわち、保持部121は、刃部材11の長手方向に対して略垂直な板状部材である。そして、刃部材11の取付突起115が挿入される2つの突起受部122を備える。突起受部122は、例えば、円形の貫通孔であり、その大きさは、取付突起115が回動可能なように、所定のクリアランスを有する。
【0026】
刃部材11は、ヘッド部12内で所定の旋回角だけ回動することが可能である。これにより、刃部材11の有する刃113を目的物の表面形状に沿わせることが可能となる。
【0027】
なお、突起受部122は、貫通孔でなくてもよく、くぼみであってもよい。
【0028】
図3は、保持部121と連結部128とで構成されるヘッド部内空間のアスペクト比(幅量と奥行量との比)を説明するための図である。
【0029】
幅量L1は、二つの保持部121の間の空間の幅である。すなわち、二つの保持部121の内側壁の間の距離とすることができる。取付突起115を除いた刃部材11の長手方向の長さに、0.5〜2mm程度のクリアランスを足した長さに相当する。
【0030】
奥行量L2は、連結部128と刃部材11との間の空間の奥行である。すなわち、連結部128の中央位置から、刃部材11の回転軸を通る線に下した垂線の長さとすることができる。
【0031】
図3(a)に示す本実施形態のように、連結部128が直線状で、保持部121が連結部128に対して垂直である場合、幅量L1は、二つの保持部121の間の距離となる。奥行量L2は、突起受部122の位置と、連結部128の内側の壁との距離となる。
【0032】
図3(b)のY字のピーラーのように、連結部128’がU字状の場合などは、幅量L1は、二つの保持部121の間の距離となる。奥行量L2は、連結部128’の内側の中央位置から、刃部材の回転軸(刃部材の突起受部を結んだ線)に下した垂線の長さとなる。
【0033】
L2/L1の値が大きくなるほど、奥行量が大きく、刃部材を保持する部分の腕が長く見えるY字に近いピーラーとなる。本実施形態の調理器具10は、刃部材11の取付け・取り外しが容易な構造を備えるが、かかる特徴の有効性が顕著に表れるのは、腕が短い調理器具であって、連結部128を歪ませて、保持部121の間を広げるために大きな力が必要になる場合である。
【0034】
本実施形態の調理器具10において、L2/L1は、0.05〜0.3であり、好ましくは、0.08〜0.25であり、より好ましくは0.09〜0.2である。
【0035】
図4は、保持部121の突起受部122の周辺である、
図2(f)のA−A方向断面拡大図である。また、
図5は、
図4のB−B方向断面拡大図である。
【0036】
保持部121は、ヘッド部12の両端に存在するが、少なくとも一方において、開口部123を設けたスライド凹溝124を備える。スライド凹溝124は、保持部121の内側(刃部材11の位置する側)に形成されており、突起受部122から保持部121の縁に至る部分(開口部123)までを溝状に薄く形成した部分である。すなわち、突起受部122は、保持部121の縁の開口部123まで続く凹状の溝とつながっている
スライド凹溝124は、突起受部122から開口部123に向かってその幅が徐々に広がっている。また、
図5に示すように、突起受部122から前記開口部123に向かって、刃部材11の取付空間が広がるように、傾斜面125sを有する。すなわち、突起受部122から開口部123に向かって溝の深さが徐々に深くなるように、傾斜面125sを有する。刃部材11の回転軸に対する角度θは、90度未満であり、好ましくは、89〜0度、より好ましくは、88〜85度である。
【0037】
なお、傾斜面125sは、完全な平面であってもよいし、多少、盛り上がりや凹みがあってもよい。
【0038】
開口部123付近の溝の深さT2は、周辺の保持部121の厚さの0.2〜0.6倍であり、0.3〜0.5倍であるのが好ましい。または、開口部123付近の溝の深さT2は、0.3〜3.5mm、好ましくは、0.5〜2.0mmである。
【0039】
また、スライド凹溝124の開口部123は、ヘッド部12の連結部128位置する側と反対方向である食材側に向いている。
【0040】
以上の構成により、
図6および
図7に示すように、交換する新しい刃部材11を取り付ける際は、刃部材11の一方の取付突起115を、突起受部122に挿入し、他方の取付突起115を、刃部材11をやや湾曲させながら、または、保持部121を開きながら、開口部123からスライド凹溝124に滑り込ませることができる。そして、取付突起115を、突起受部122の位置までずらし、最終的に、
図8に示すように、突起受部122に挿入することができる。
【0041】
スライド凹溝124は、開口部123において、溝の深さが最も深く、かつ、幅が広いため、刃部材11を取り付ける際、開口部123に、取付突起115を滑り込ませやすい。
【0042】
また、開口部123には深い溝があるものの、突起受部122付近では溝が浅くなっている。したがって、開口部123付近では、取付突起115を滑り込ませやすくし、一方で、一旦突起受部122に収まった取付突起115が容易に抜け落ちるのを防止している。
【0043】
刃部材11を取り外すときは、刃部材11を、一方の保持部121に、押し付け、刃部材11をやや湾曲させながら、または、保持部121を開きながら、刃部材11の反対側の取付突起115を、突起受部122から外し、スライド凹溝124に移動させる。そして、開口部123までずらし、最終的に保持部121から脱落させる。
【0044】
図9は、刃部材11の取付け方法の他の例を示す。図示するように、連結部128の中央付近を押し上げ、保持部121を押し広げる。そして、刃部材11の取付突起115を、保持部121の開口部123に滑り込ませ、突起受部122まで移動させ、はめ込む。
【0045】
この動作を容易にするため、
図10に示すように、補助具40を用いても良い。
【0046】
補助具40は、例えば、3つ串を備えるE字形状の部材である。補助具40は、ベース部41の両端に垂直に同一方向に2本の押さえ串42が連結しており、中央から中央串43が連結している。中央串43は、2本の串とほぼ同一方向に向いているものの、先端部では、ヘッド部12の連結部128がそのまま挿し込まれ、根本では、連結部128が波状に変形するように、押さえ串42よりも、下方向に先端が向くように連結している。
【0047】
補助具40の断面は、円形(楕円を含む)である。補助具40は、ヘッド部12の連結部128を湾曲させられる程度の硬さを備えている。
【0048】
図9(a)に示すように、かかる補助具40を、ヘッド部12の連結部128に差し込み、徐々に補助具の根本まで連結部128を滑らせると、
図9(b)のように、波状に変形し、二つの保持部121の間が広がり、刃部材11の取付け、取り外しが容易となる。
【0049】
また、スライド凹溝124の開口部123は、食材側に向いている。使用の際は、刃部材11を、食材に向かって押し付けられる動作となるため、刃部材11の取付突起115は、開口部123側と反対方向(ヘッド部12の側)に押し付けられる。したがって、使用中に、刃部材11の取付突起115が、開口部123に向かって移動することはなく、刃部材11が保持部から抜け落ちることを防止することができる。
【0050】
また、刃の種類(例えば、ストレート刃、波刃など)を交換する事により、食材の加工形状を変える事も可能である。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上記の実施形態は、本発明の要旨を例示することを意図し、本発明を限定するものではない。本発明の技術的思想の範囲内でさらなる様々な変形が可能である。
【0052】
図11は、刃部材11の両端側の2つの保持部121を湾曲して結ぶヘッド部12と、当該ヘッド部12の中央から、刃部材11の長手方向に対してほぼ垂直に伸びる把持部14とを有するY字型の調理器具20を示す。
【0053】
本調理器具においても、
図11(b)の保持部121の部分拡大図に示すように、交換容易な構造を備えている。すなわち、刃部材11を挟持する保持部121の一方を、スライド凹溝124、開口部123、傾斜面125s等からなる交換容易構造とすることで、刃部材11の交換が容易な調理器具となる。
【0054】
図12は、刃部材11の両端側の2つの保持部121を結ぶヘッド部12と、ヘッド部12の長手方向(すなわち、刃部材の長手方向)とほぼ同じ方向に伸びる把持部14とを有するI字型の調理器具30を示す。
【0055】
本調理器具においても、
図8(b)の保持部121の部分拡大図に示すように、交換容易な構造を備えている。すなわち、刃部材11を挟持する保持部121の一方(
図8の例では、先端側)を、スライド凹溝124、開口部123、傾斜面125s等からなる交換容易構造とすることで、刃部材11の交換が容易な調理器具となる。
【0056】
図13は、スライド凹溝124の変形例を示す図である。
図4のB−B方向断面拡大図に相当する図である。
【0057】
スライド凹溝124は、突起受部122から開口部123に向かってその幅が徐々に広がっている。また、図に示すように、断面が湾曲形状を描くように、スライド凹溝124は、突起受部122から開口部123の間に盛り上がり部125mを有する。
【0058】
スライド凹溝124は、保持部121の他の部分より肉薄になっているため、刃部材11を嵌め込みやすい反面、抜け落ちのやすくなる場合がある。本実施形態では、保持部121を開き、刃部材11の取付突起115を挿入時、突起受部122から開口部123の間に盛り上がり部125を有するため、開口部123付近では、取付突起115を滑り込ませやすくし、取り外し時には、突起受部122付近では滑り抜けやすく、一方で、突起受部122に収まった取付突起115が容易に抜け落ちるのを防止している。
【0059】
なお、刃部材11の刃113の形状に制限はなく、ジグザグ形状、ストレート刃、波状の刃であってもよい。
【0060】
また、スライド凹溝124、開口部123、傾斜面125s、盛り上がり部125m等からなる交換容易構造は、ヘッド部12の両端の2つの保持部121の両方に設けても良いし、片方だけ設けても良い。
【0061】
また、スライド凹溝124は、上述した傾斜面125s、盛り上がり部125mを備えていなくても良い。かかる場合、
図5における角度θは90度となる。
【0062】
また、各実施形態及び変形例の刃は、自由に組み合わせることが可能である。
【解決手段】調理器具は、刃部材と、刃部材を回動可能に保持する保持部121とを備える調理器具である。刃部材は、その長手方向の端部に取付突起を有する。保持部は、取付突起が挿入される突起受部122を備え、突起受部122は、保持部の縁の開口部123まで続く凹状の溝であるスライド凹溝124とつながっている。突起受部122から開口部123に向かって、刃部材の取付空間が広がるように、傾斜面125sを有する。