(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145566
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】集積回路を含む電気化学セル
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20170607BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20170607BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
H01M2/10 E
H01M10/42 P
H01M10/48 P
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-506332(P2016-506332)
(86)(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公表番号】特表2016-518682(P2016-518682A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】US2014031858
(87)【国際公開番号】WO2014165371
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2015年10月1日
(31)【優先権主張番号】13/855,828
(32)【優先日】2013年4月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315014051
【氏名又は名称】デュラセル、ユーエス、オペレーションズ、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェフリー スペクト
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン トドロフ ボーリルコフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム フィトラー モリス
(72)【発明者】
【氏名】ファイズ フェイサル シャーマン
【審査官】
田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−124141(JP,A)
【文献】
特開2007−172543(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/070635(WO,A1)
【文献】
特開2006−236806(JP,A)
【文献】
特開2006−139544(JP,A)
【文献】
特開2009−181815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/42
H01M 10/48
G06K 19/07
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルが、少なくとも1つの開放端及び側壁を有するハウジングと、前記ハウジング内の、アノード、カソード、前記アノード及び前記カソードの間に配置されたセパレータ、及び電解質と、を備え、磁気ダイバータが、前記ハウジングの前記側壁の外面に付着されており、前記磁気ダイバータが、凹部と前記凹部内に配置された集積回路とを備え、通信回路、アンテナ、及び電池特性測定回路が、更に設けられており、前記磁気ダイバータが、前記アンテナと前記ハウジングとの間に配置されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
前記ハウジングが円筒状又は角柱状である、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項3】
前記集積回路が、半導体、シリコンチップ、及び印刷電子回路からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記電気化学セルのサイズが、単五、単四、単三、単二、単一及び9Vからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項5】
前記集積回路が、外部電源によって給電されるか、前記電気化学セルによって給電されるか、又は前記電気化学セルによって部分的に給電される、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項6】
前記集積回路が、アナログ−ディジタル変換器及び通信回路を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項7】
前記通信回路が、無線自動周波数識別(RFID)回路、近距離通信(NFC)回路、ブルートゥース回路、及びWiFi回路からなる群から選択される、請求項6に記載の電気化学セル。
【請求項8】
前記集積回路が、前記アノード及び前記カソードと電気的に結合されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項9】
前記磁気ダイバータにラベルが付着されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項10】
前記磁気ダイバータがラベル内に含まれている、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路を含む電気化学セルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学セル又は電池は、一般に、電気エネルギ源として使用される。電池は、通常アノードと称される負極と、通常カソードと称される正極とを含む。アノードは、酸化可能な活性物質を含有する。カソードは、還元可能な活性物質を含有する。アノードの活性物質は、カソードの活性物質を還元することができる。アノードとカソードとの間にはセパレータが配置される。電解質がまた、電池内に含まれている。上述した要素は、一般に、金属缶内に配置されている。
【0003】
電池が装置における電気エネルギ源として使用される場合、電気的接点は、電池のアノード及びカソードに形成され、電子が装置を通って流れるのを可能とし、装置に電力を供給するためにそれぞれ酸化及び還元反応が生じるのを可能とする。アノード及びカソードに接触している電解質は、放電中の電池全体の電荷平衡を維持するために、電極間のセパレータを流れるイオンを含有している。
【0004】
電池テスターは、電池残容量などの電池の特性を判定するために使用されることができる。電池上に配置された一般的な例示的なタイプの電池テスターは、サーモクロミック型テスターとして知られている。サーモクロミック電池テスターにおいて、1つ又は2つのボタンスイッチを手動で押下する消費者によって完結される回路が存在し得る。スイッチが押下されると、消費者は、サーモクロミックテスターに電池を接続する。サーモクロミックテスターは、例えば、電気抵抗もその長さに沿って変化するように可変幅を有する平坦な銀層である銀抵抗を含むことができる。電流が銀抵抗を介して移動するのにともない、消散される電力は、銀抵抗を介してサーモクロミックインクディスプレイの色が変化する熱を発生させる。サーモクロミックインクディスプレイは、電池の相対的能力を示すためのゲージとして配置されている。しかしながら、通常、サーモクロミック電池テスターを使用して電池をテストするために手で電池を保持する及び/又は装置から電池を取り外すことが必要である。他の電池テスターシステムには、消費者と電池との間の手動操作を必要としないことが望まれている。さらに、電池の全体寸法を増大させることなく高度な処理及び通信能力を含む電池テスターシステムが望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はまた、少なくとも1つの開放端及び側壁を有するハウジングを備える電気化学セルに関する。ハウジングは、アノード、カソード、アノードとカソードとの間に配置されるセパレータ及び電解質を含む。磁気ダイバータは、ハウジングの側壁の外面に貼付されている。集積回路は、凹部内に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書は、本発明を構成するとみなされる主題を具体的に指摘し且つ明確に主張する特許請求の範囲を結論とするが、本発明は、添付の図面と関連してなされた以下の説明によってより良好に理解されると考えられる。
【
図3】本発明の集積回路を含む電気化学セルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
電気化学セル又は電池は、一次又は二次とすることができる。一次電池は、例えば一度のみ使い切りまで放電された後に廃棄されるように意図されている。一次電池については、例えば、David Linden、Handbook of Batteries(McGraw−Hill,4
th ed.2011)に記載されている。二次電池は、再充電されるように意図されている。二次電池は、放電された後に、例えば、50回より多く、100回より多く又は1000回より多くなど、何度も再充電されることができる。二次電池は、例えば、David Linden、Handbook of Batteries(McGraw−Hill,4
th ed.2011)に記載されている。電池は、水性又は非水電解質を含むことができる。したがって、電池は、様々な電気化学的結合及び電解質の組み合わせを含むことができる。本明細書において提供された記載及び実施例は一次電池を対象としており、より具体的には、アルカリ一次電池を対象としているが、本発明は、一次及び二次電池の双方に適用され、それらの実施形態にかかわらず、一次及び二次電池は、双方とも本出願の範囲内であることが理解されるべきである。
【0008】
図1を参照すると、例示的な円筒状電気化学セル又は電池10は、カソード12と、アノード14と、セパレータ16と、ハウジング18とを含む。電池10はまた、集電体20と、絶縁体又はグロメットとも称されるシール22と、エンドキャップ24とを含む。エンドキャップ24、集電体20、及びシール22は、エンドキャップ組立体30を形成する。エンドキャップアセンブリ30は、電池10についての負端子として機能することができる。ピップ26がエンドキャップアセンブリ30の反対側の電池10の端部に配置されている。ピップ26は、エンドキャップアセンブリ30が電池10の負端子として機能する場合には電池10の正端子として機能することができる。電解液(図示しない)は、電池10の全体に分散されている。
【0009】
図2を参照すると、例示的な角柱状電気化学セル又は電池10は、ハウジング18内に、カソードと、アノードと、セパレータとを含む(全て図示しない)。ハウジング18は、例えば矩形又は正方形である形状など、少なくとも2つの平行板を備える形状などの角柱状を有することができる。電池10は、集電体と、絶縁体又はグロメットとも称されるシールと、エンドキャップとを含む(全て図示しない)。ピップ26が電池10の端部に配置されている。電解液(図示しない)は、電池10の全体に分散されている。
【0010】
図1及び
図2を参照すると、ハウジング18は、一般に電池に用いられる任意の従来のタイプのものとすることができ、例えば、ニッケルメッキ冷延鋼又はプラスチックなどの任意の適切な材料から構成されることができる。材料は、約1.0mm未満、好ましくは約0.10mmから約0.25mmの全厚を有することができる。ハウジング18は、深絞りなどの打ち抜き工程を介して形成されることができる。絞られたハウジング18は、少なくとも1つの開放端46を含むことができる。ハウジングは、ハウジング18が絞られたときに一体的に形成された閉鎖端34を有することができる。閉鎖端34は、ハウジング18の開放端46の反対側とすることができる。ハウジング18は、ハウジングの開放端46から閉鎖端34まで及ぶ側壁28を含むことができる。側壁28は、長さLを有することができる。ハウジング18は、従来の円筒形を有することができ−又は例えば角柱状などの任意の他の適切な非円筒形を有することができる。ハウジング18の内壁は、電極の低電気接触抵抗を有する材料によって処理されることができる。ハウジング18の内壁は、例えば、ニッケル、金若しくは他の金属を用いてメッキされることができ、又は、炭素充填塗料によって塗装されることができる。
【0011】
電池には、様々なサイズ及び寸法がある。国際電気標準会議(IEC)は、例えば、小売りで消費者に利用可能な電池についての標準的なサイズ及び寸法を確立している。IECは、例えば、単四電池、単三電池、単二電池及び単一電池など、
図1の例示的な電池と同様に、円筒状電池の標準的なサイズ及び寸法を設定している。単三電池は、約49.2mmのピップ端から負接点までの最短距離及び約13.5mmから約14.5mmの範囲の直径とともに約50.5mmの最大長さを有することができる。単四電池は、約43.3mmのピップ端から負接点までの最短距離及び約9.5mmから約10.5mmの範囲の直径とともに約44.5mmの最大長さを有することができる。同様に、標準的なサイズ及び寸法は、非円筒状電池についても設定されている。9Vアルカリ電池は、例えば、約48.5mmの最大高さと、約26.5mmの最大長さと、約17.5mmの最大幅とを有する角柱状又は矩形状を有する。個々の電池又は装置の製造業者は、
図2の例示的な電池と同様に、リチウムイオン角柱電池などの小売りで一般的に利用できないことがある角柱状電池についての寸法を指定することができる。この種の角柱状電池は、約5mm未満の高さ、約42mm未満の長さ及び約34mm未満の幅を有することができる。なお、本発明は、円筒状や角柱状などの様々な大きさ、及び、単三、単四、単二、単一、9Vなどの寸法、並びに、個々の電池又は装置の製造業者によって指定されたものの電池に適用され、電気化学セルは、IECによって設定されたものなど、標準的な電池の寸法を上回らない又は下回らない集積回路を含むことが理解されるべきである。
【0012】
エンドキャップアセンブリ30は、集電体20と、シール22と、エンドキャップ24とを含むことができる。集電体20は、例えば、亜鉛、銅、真鍮、青銅などの金属又は任意の他の適切な材料から構成されることができる。集電体20は、必要に応じて、錫、亜鉛、ビスマス、インジウム、又は、集電体20と例えばアノード14との間に低電気接触抵抗を示す他の適切な材料によってメッキされることができる。シール22は、例えば、ナイロンなどのポリアミド樹脂から構成されることができる。エンドキャップ24は、例えば、鋼、ステンレス鋼、黄銅などの金属又は他の任意の適切な材料から構成されることができる。エンドキャップ24は、必要に応じて、ニッケル、金、真鍮、又は、エンドキャップ24と例えば装置内の電気的接点(図示しない)との間に低電気接触抵抗を示す他の適切な材料によってメッキされることができる。
【0013】
エンドキャップアセンブリ30は、ハウジング18の少なくとも1つの開放端46上に配置されることができる。エンドキャップアセンブリがハウジング18の少なくとも1つの開放端46内に装着された場合に、ハウジング19の側壁28の一部は、エンドキャップアセンブリ30を越えて延在することができる。エンドキャップアセンブリを越えて延在するハウジング18の側壁の一部は、閉鎖された電池10のハウジング18をシールするようにエンドキャップアセンブリ30にわたって圧着されることができる。
【0014】
カソード12は、1つ以上の電気化学的に活性なカソード材料を含む。電気化学的に活性なカソード材料は、酸化マンガン、二酸化マンガン、電解二酸化マンガン(EMD)、化学二酸化マンガン(CMD)、高出力電解二酸化マンガン(HP EMD)、ラムダ二酸化マンガン及びそれらの混合物を含むことができる。他の電気化学的に活性なカソード材料は、これらに限定されるものではないが、酸化銀、酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル、酸化銅、銅ヨウ素酸塩などの銅塩、酸化ビスマス、高原子価ニッケル、酸素、それらの合金及びそれらの混合物を含む。酸化ニッケルは、オキシ水酸化ニッケル、オキシ水酸化コバルトでコーティングされたオキシ水酸化ニッケル、脱リチウム層状リチウムニッケル酸化物及びそれらの組み合わせを含むことができる。オキシ水酸化ニッケルは、β−オキシ水酸化ニッケル、γ−オキシ水酸化ニッケル、及び/又は、β−オキシ水酸化ニッケル及び/又はγ−オキシ水酸化ニッケルの合生を含むことができる。オキシ水酸化コバルトでコーティングされたオキシ水酸化ニッケルは、オキシ水酸化コバルトでコーティングされたβ−オキシ水酸化ニッケル、オキシ水酸化コバルトでコーティングされたγ−オキシ水酸化ニッケル、及び/又は、オキシ水酸化コバルトでコーティングされたβ−オキシ水酸化ニッケル及びγ−オキシ水酸化ニッケルの合生を含むことができる。ニッケル酸化物は、0.1≦x≦0.9及び0.1≦y≦0.9である一般化学式Li
1-xH
yNiO
2を有する部分脱リチウム化層状ニッケル酸化物を含むことができる。高原子価のニッケルは、例えば、四価ニッケルを含むことができる。
【0015】
カソード12はまた、炭素粒子及びバインダーを含んでもよい。カソード中に炭素粒子を含有することにより、電子がカソードを貫流できるようになる。炭素粒子は、膨張黒鉛や天然黒鉛などの黒鉛とすることができる。カソードにおいて使用可能なバインダーの例は、ポリエチレン、ポリアクリル酸又はPVDF若しくはPTFEなどのフッ素樹脂を含む。ポリエチレンバインダーの例は、商品名COATHYLENE HA−1681(ヘキスト又はデュポン社から入手可能)のもとに販売されている。カソード12はまた、他の添加剤を含んでもよい。カソードは、例えば、プレスされたペレットの形態で提供されてもよい。
【0016】
アノード14は、少なくとも1つの電気化学的に活性なアノード材料、ゲル化剤及びガス発生阻害剤などの少量の添加剤から形成されることができる。電気化学的に活性なアノード材料は、亜鉛、カドミウム、鉄、AB
5、AB
2及びA
2B
7などの金属水素化物、それらの合金及びそれらの混合物を含むことができる。ゲル化剤の例は、ポリアクリル酸、グラフトされたデンプン材料、ポリアクリル酸の塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの塩(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム)又はそれらの組み合わせを含むことができる。アノードは、ビスマス、錫又はインジウムなどの無機材料を含むことができるガス発生阻害剤を含むことができる。あるいは、ガス発生阻害剤は、リン酸エステルなどの有機化合物、イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0017】
電解質は、カソード12、アノード14及びセパレータ16の全体に分散されてもよい。電解質は、水性溶液中のイオン伝導性成分を含む。イオン伝導性成分は、水酸化物とすることができる。水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム及びそれらの混合物とすることができる。イオン伝導性成分はまた、塩を含むことができる。塩は、例えば、塩化亜鉛、塩化アンモニウム、過塩素酸マグネシウム、臭化マグネシウム及びそれらの混合物とすることができる。イオン伝導性成分の濃度は、電池設計及びその所望の性能に応じて選択されることができる。例示的な水性アルカリ電解質は、水との溶液中の水酸化カリウムなどのイオン伝導性成分として水酸化物を含むことができる。水性アルカリ電解質はまた、酸化亜鉛(ZnO)を含むことができる。
【0018】
セパレータ16は、織又は不織の紙や布を含むことができる。セパレータ16は、例えば不織材料の層と組み合わせたセロハンの層を含むことができる。セパレータはまた、不織材料の追加層を含むことができる。セパレータ材料は、薄くてもよい。セパレータは、例えば、150マイクロメートル(ミクロン)未満の乾燥厚さを有することができる。セパレータは、0.39Pa(40g/m
2)以下の坪量を有する。セパレータ16は、ISO 2965において定義されたように、約2000cm
3/cm
2分@ 1kPaから約5000cm
3/cm
2分@ 1kPaの通気性値を有することができる。
【0019】
図3を参照すると、電池10は、集積回路(IC)32を含む。ICは、ディスクリートな要素が与えられた機能を実行するように相互接続された半導体ウェハ若しくはチップ又は金属、ポリマー又はセラミック基板などの単一の基板上に構築されたトランジスタ、抵抗器、ダイオード、インダクタ及びコンデンサの回路を含むことができる。IC 32は、任意の適切な形状とすることができる。IC 32は、長さ、幅及び高さを有する矩形又は正方形の形状を有することができる。IC 32は、約3mm未満、好ましくは約0.5mmから約2mmの幅を有することができる。IC 32は、約1.0mm未満、好ましくは約0.02mmから約0.10mmの高さを有することができる。
【0020】
IC 32は、電池10によって給電されてもよく(アクティブ)、電池10によって部分的にのみ給電されてもよく(セミアクティブ又は電池補助パッシブ)、又は、例えば外部電源よる給電など電池10によって給電されなくてもよい(パッシブ)。ICは、アナログ−ディジタル変換器及び通信回路を含むことができる。通信回路は、例えば、ISO/IEC 14443、15961、15962、15963及び18000通信規格内に含まれる無線自動周波数識別(RFID)回路及び近距離通信(NFC)回路、例えばIEEE 802.15.1通信規格内に含まれるブルートゥース回路、例えばIEEE 802.11通信規格内に含まれるWiFi回路、通信IEEE 802通信規格内に含まれるジグビー回路、及び、任意の適切な固定無線通信回路などを任意の適切な通信回路とすることができる。通信回路は、高周波(HF)13.56MHz、極超短波(UHF)(860〜956MHz)又はマイクロ波周波数(2.4〜5.8GHz)などの任意の適切な周波数帯域を利用することができる。他の通信回路は、可聴又は非可聴音として使用可能である。
【0021】
IC 32は、電池に対する任意数の一連の機能を実行することができる。IC 32は、過放電保護;過充電保護;残容量判定;電圧判定;サイクル寿命判定;及び電力管理を提供することができる。電力管理機能は、電池識別;電池健全状態;電池保護;セル平衡;残容量計測;充電制御;電圧変換;負荷規制;電池オン/オフ給電;電力設定調整;再充電許可又は防止;電池バイパス;温度監視;及び充電速度調整を含むことができる。ICは、例えば消費者に対してバッテリについての情報を提供するためにオンセル遠隔表示システムにおいて使用可能である。オンセル遠隔表示システムは、IC;少なくとも1つの抵抗;少なくとも1つのコンデンサ;アンテナを含むことができる。少なくとも1つの抵抗及び少なくとも1つのコンデンサは、オンセル遠隔表示システムの所望の用途に応じてICに組み込まれてもよい。オンセル遠隔表示システムが取り付けられた電池のハウジングが金属である場合には、オンセル遠隔表示はまた、磁気ダイバータを含んでもよい。磁気ダイバータは、例えば、ハウジングに隣接して被覆する薄いフェライト材料であってもよい。磁気ダイバータは、ハウジング18の表面に貼付された又はラベル内に組み込まれたフィルムであってもよい。磁気ダイバータは、ハウジング18の表面に塗装又はコーティングされてもよい。磁気ダイバータは、例えば、約30マイクロメートルから約300マイクロメートルの厚さであってもよい。アンテナは、例えば、磁気ダイバータ上に配置された数ターンの薄いアンテナ導体から構成されてもよい。アンテナ導体は、銅、アルミニウム、銀、金、他の導電性金属、それらの合金及びそれらの混合物などの導電性材料を含むことができる。アンテナは、箔から構成されてもよい。アンテナは、印刷又は塗装されてもよい。オンセル遠隔表示システムのディスクリート要素は、互いに電気的に接続されることができる。電池残容量などのICによって実行される機能から得られた情報は、オンセル遠隔表示システムを介して外部のリーダに対して通信されることができる。
【0022】
ICは、一般に、接着剤又は溶接によって電池10に固定されることができる。適切な接着剤は、のり、エポキシ及び例えば熱伝導性且つ電気絶縁性がある任意の他の適切な接着剤を含む。適切な溶接法は、圧着、超音波溶接及びそれらの組み合わせ又は任意の他の許容可能な溶接プロセスを含む。ICは、エポキシなどの保護材料によってカプセル化されてもよい。材料は、環境条件からICを保護することができ、また、電池又はラベル(後述する)にICを取り付けることができる。
【0023】
ICは、電池のアノード及びカソードと電気的に結合されることができる。ICは、直列、並列又はそれらの組み合わせとすることができる。例えば、導電性トレース又はフレキシブル回路は、ICに電池のアノードを且つICに電池のカソードを接続することができる。導電トレースは、導電性ポリマー、導電性接着剤、グラファイトなどの導電性カーボン、並びに、アルミニウム、ニッケル、銀、銅、金及び錫などの導電性金属などの導電性である任意の適切な材料から形成されることができる。導電性トレースは、電池に直接印刷されてもよく、電池に取り付けられた金属細線であってもよく、電池に取り付けられた絶縁細線であってもよく、又は、アノードからICに対する且つカソードからICに対する電気的接続を提供する任意の他の適切な形態であってもよい。
【0024】
電池10は、側壁28を有するハウジング18を含む。電池10はまた、ハウジング18内に、カソードと、アノードと、セパレータとを含む(全て図示しない)。電解液(図示しない)は、電池10の全体に分散されている。集積回路(IC)32を含む磁気ダイバータ38は、ハウジング18の側壁28の外面に貼付されている。磁気ダイバータ38は、約200マイクロメートル未満の厚さとすることができる。ラベル40は、ハウジング18の側壁28の外面に貼付されている。ラベル40は、ラベル画像及びテキストを有する透明又は半透明層による積層多層フィルムとすることができる。ラベル40は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及び他の同様のポリマー材料から作られることができる。ラベル40は、通信回路を含むことができる。ラベル40はまた、アンテナと、電池特性測定回路とを含むことができる。通信回路、アンテナ及び電池特性測定回路は、代わりに、IC 32内に含めることができる。磁気ダイバータ38は、アンテナ32との干渉を抑制するために、フェライト材料から形成されることができ、アンテナとハウジング18との間に配置されることができる。磁気ダイバータ38は、ラベル40に組み込まれることができる。磁気ダイバータ38は、凹部36を含むことができる。凹部は、磁気ダイバータ38から切り取られることができる。凹部は、代わりに、磁気ダイバータの全体厚さと比較した場合に厚さが実質的に小さい磁気ダイバータの領域としてもよい。IC 32は、凹部36内に配置されることができる。フレキシブル回路42は、IC 32と電気的に通信することができる。ラベル40は、IC 32及びフレキシブル回路42を含む磁気ダイバータ38に貼付されることができる。IC 32、フレキシブル回路42及びラベル40を含む磁気ダイバータ38は、約0.5mm未満、好ましくは約0.05mmから約0.2mmまでの全体厚さを有する。抵抗器、コンデンサ、インダクタ、ダイオード、送信機及びそれらの任意の組み合わせなどのディスクリート要素は、IC 32に加えて凹部36内に配置されてもよい。電池10のハウジング18もまた、凹部を含むことができる(図示しない)。ハウジング18に面した磁気ダイバータ38の面を越えて延在する磁気ダイバータ38の凹部36内に含まれるIC、及び任意の追加の要素は、ハウジング18上の凹部(図示しない)内に配置されることができる。IC 32、フレキシブル回路42、及びラベル40を含む磁気ダイバータ38が電池10に貼付されている場合、電池10の最大寸法は、IEC規格を超えない。
【0025】
本明細書に開示された寸法及び値は、記載された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、特に明記のない限り、そのような各寸法は、記載された値とその値の周辺の機能的に同等の範囲の双方を意味するように意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味するように意図される。
【0026】
任意の相互参照又は特許若しくは出願に関連するものを含む本明細書において引用された全ての文書は、明示的に除外又は限定されない限り、本明細書においてその全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが本明細書において開示された又は特許請求の範囲に記載されたいかなる発明に対する先行技術であると、又は、単独で若しくは任意の他の参照との任意の組み合わせにおいていかなるそのような発明も教示、示唆若しくは開示していると認めるものではない。さらに、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と競合する程度に、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0027】
本発明の特定の実施形態が例示されて説明されたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な他の変形及び変更が行われ得ることは当業者にとって明白であろう。したがって、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるそのような全ての変形及び変更を網羅するように意図される。