特許第6145599号(P6145599)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145599
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】止水構造及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/02 20060101AFI20170607BHJP
   E01D 19/08 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   E01C11/02 Z
   E01D19/08
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-199921(P2012-199921)
(22)【出願日】2012年9月11日
(65)【公開番号】特開2014-55422(P2014-55422A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】516339036
【氏名又は名称】テクノワールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】中村 眞佐子
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−046365(JP,A)
【文献】 特開平11−350428(JP,A)
【文献】 実開昭60−053805(JP,U)
【文献】 特開平08−253906(JP,A)
【文献】 実開昭61−169104(JP,U)
【文献】 特開2008−121374(JP,A)
【文献】 特開2004−244970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00−17/00
E01D 1/00−24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の目地部に設けられて当該目地部からの漏水を防止する止水構造であって、
前記目地部を挟んで相対する一対の橋梁構成体間に液密に配設される弾性シール材と、
前記弾性シール材の下方に配設され、前記一対の橋梁構成体に架け渡されて取付けられることにより上部が開放した樋状に形成されたシート部材と、
前記シート部材の前記樋状をなす部分の空間に配設される止水材と、を備え、
前記止水材は、止水機能を有するスポンジ状の弾性体であり、
前記止水材は、前記目地部に沿って延びる導水路と、前記止水材の上面から前記導水路に貫通する連通路と、を有し、
前記止水材の前記シート部材と対向する面には、前記目地部に沿って延びる溝が形成されていることを特徴とする止水構造。
【請求項2】
前記導水路には導水部材が挿通されている請求項1記載の止水構造。
【請求項3】
前記一対の橋梁構成体は、前記目地部に露出する部分において、それぞれ複数の部材が層状に積層されてなり、
前記シート部材は、その端部が前記層状をなす部材間に挟持されていることにより前記橋梁構成体に取付けられている請求項1又は2記載の止水構造。
【請求項4】
前記一対の橋梁構成体の上部には、前記層状に積層され、前記目地部を挟んで相対する一対のジョイント部材が設けられており、
前記シート部材の端部は、前記ジョイント部材と他の前記層状をなす部材との間に挟持されている請求項3記載の止水構造。
【請求項5】
前記シート部材の端部は、前記橋梁構成体の、前記目地部を形成する壁部に取付けられている請求項1又は2記載の止水構造。
【請求項6】
前記溝には導水部材が配設されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の止水構造。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の止水構造の施工方法であって、
前記一対の橋梁構成体を連結するようにして前記シート部材を架け渡し、前記シート部材を前記一対の橋梁構成体に取付けるシート部材取付工程と、
前記シート部材の前記樋状をなす部分の空間に前記止水材を配設する止水材配設工程と、
前記止水材の上方に前記弾性シール材を配設する弾性シール材配設工程と、を含み、
前記止水材配設工程では、硬化することにより前記止水材となる液状体を前記目地部内に注入することにより前記止水材を配設することを特徴とする止水構造の施工方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の止水構造の施工方法であって、
前記一対の橋梁構成体を連結するようにして前記シート部材を架け渡し、前記シート部材を前記一対の橋梁構成体に取付けるシート部材取付工程と、
前記シート部材の前記樋状をなす部分の空間に前記止水材を配設する止水材配設工程と、
前記止水材の上方に前記弾性シール材を配設する弾性シール材配設工程と、を含み、
前記止水材配設工程では、予め成形された前記止水材を前記目地部の上部から挿入することにより前記止水材を配設することを特徴とする止水構造の施工方法。
【請求項9】
前記弾性シール材配設工程では、硬化することにより前記弾性シール材となる液状体を前記目地部の上部から注入することにより前記弾性シール材を配設する請求項7又は8記載の止水構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水構造及びその施工方法に関する。さらに詳しくは、従来と比較して止水性に優れた止水構造及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高架橋等の橋梁には所定間隔で目地部が設けられている。この目地部は、橋梁の温度変化等に伴う伸長を吸収するための隙間(遊間)として形成されている。また、目地部には、止水構造を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。止水構造は、雨水等の水が遊間に浸入するのを抑制して橋梁下方への漏水を防止する機能の他、橋梁上面で発生した騒音が遊間を介して橋梁下方に伝わるのを防止したり、地震等により変位した橋梁端部同士が直接衝突するのを防止して衝撃を緩和し、破損を防いだり、などの機能を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−248686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の止水構造では、目地部の空隙にゴム状物質を充塞するように配設するとともに、その下方にゴム弾性を有する止水用シール部材を張設するようにしている。このため、ゴム状物質及び止水用シール部材が共に劣化した際には漏水が発生してしまう。また、止水用シール部材のU字状の内部には弾性体が充填されているが、弾性体同士の間には隙間が生じているためゴム状物質からの漏水が発生した際には浸水してしまい、止水用シール部材に到達してしまう。このように、従来の止水構造では十分な止水効果があるとは言い難く、さらに止水性に優れた止水構造が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、従来と比較して止水性に優れた止水構造及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の通りである。
1.橋梁の目地部に設けられて当該目地部からの漏水を防止する止水構造であって、
前記目地部を挟んで相対する一対の橋梁構成体間に液密に配設される弾性シール材と、
前記弾性シール材の下方に配設され、前記一対の橋梁構成体に架け渡されて取付けられることにより上部が開放した樋状に形成されたシート部材と、
前記シート部材の前記樋状をなす部分の空間に配設される止水材と、を備え、
前記止水材は、止水機能を有するスポンジ状の弾性体であり、
前記止水材は、前記目地部に沿って延びる導水路と、前記止水材の上面から前記導水路に貫通する連通路と、を有し、
前記止水材の前記シート部材と対向する面には、前記目地部に沿って延びる溝が形成されていることを特徴とする止水構造。
2.前記導水路には導水部材が挿通されている前記1.記載の止水構造。
3.前記一対の橋梁構成体は、前記目地部に露出する部分において、それぞれ複数の部材が層状に積層されてなり、
前記シート部材は、その端部が前記層状をなす部材間に挟持されていることにより前記橋梁構成体に取付けられている前記1.又は前記2.記載の止水構造。
4.前記一対の橋梁構成体の上部には、前記層状に積層され、前記目地部を挟んで相対する一対のジョイント部材が設けられており、
前記シート部材の端部は、前記ジョイント部材と他の前記層状をなす部材との間に挟持されている前記3.記載の止水構造。
5.前記シート部材の端部は、前記橋梁構成体の、前記目地部を形成する壁部に取付けられている前記1.又は前記2.記載の止水構造。
6.前記溝には導水部材が配設されている前記1.乃至5.のいずれか一項に記載の止水構造。
7.前記1.乃至前記6.のいずれか一項に記載の止水構造の施工方法であって、
前記一対の橋梁構成体を連結するようにして前記シート部材を架け渡し、前記シート部材を前記一対の橋梁構成体に取付けるシート部材取付工程と、
前記シート部材の前記樋状をなす部分の空間に前記止水材を配設する止水材配設工程と、
前記止水材の上方に前記弾性シール材を配設する弾性シール材配設工程と、を含み、
前記止水材配設工程では、硬化することにより前記止水材となる液状体を前記目地部の上部から注入することにより前記止水材を配設することを特徴とする止水構造の施工方法。
8.前記1.乃至6.のいずれか一項に記載の止水構造の施工方法であって、
前記一対の橋梁構成体を連結するようにして前記シート部材を架け渡し、前記シート部材を前記一対の橋梁構成体に取付けるシート部材取付工程と、
前記シート部材の前記樋状をなす部分の空間に前記止水材を配設する止水材配設工程と、
前記止水材の上方に前記弾性シール材を配設する弾性シール材配設工程と、を含み、
前記止水材配設工程では、予め成形された前記止水材を前記目地部に挿入することにより前記止水材を配設することを特徴とする止水構造の施工方法。
9.前記弾性シール材配設工程では、硬化することにより前記弾性シール材となる液状体を前記目地部の上部から注入することにより前記弾性シール材を配設する前記7.又は8.記載の止水構造の施工方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の止水構造によると、目地部を挟んで相対する一対の橋梁構成体間に液密に配設される弾性シール材と、弾性シール材の下方に配設され、一対の橋梁構成体に架け渡されて取付けられることにより上部が開放した樋状に形成されたシート部材と、シート部材の樋状をなす部分の空間に配設される止水材と、を備えている。これにより、弾性シール材が劣化した際の弾性シール材からの漏水は止水材によって受けられ、止水材が劣化した際の止水材からの漏水はシート部材によって受けられる。このため、従来と比較して止水性に優れた止水構造となっている。また、止水材は、止水機能を有するスポンジ状の弾性体であり、目地部に沿って延びる導水路と、止水材の上面から導水路に貫通する連通路と、を有している。このため、万一弾性シール材からの漏水が発生し、その水を止水材で受ける場合であっても、止水材で受けた水を好適に排出することができ、止水構造内に水が溜まるのを抑制することができる。
【0008】
また、前記導水路に導水部材が挿通されている場合は、止水材で受けた水をより好適に排出することができる。また、橋梁の伸縮が発生して止水材が変形した場合でも、導水路の閉塞を防止することができ、好適に水を排出することができる。
【0009】
また、前記一対の橋梁構成体は、前記目地部に露出する部分において、それぞれ複数の部材が層状に積層されてなり、前記シート部材は、その端部が前記層状をなす部材間に挟持されていることにより前記橋梁構成体に取付けられている場合には、シート部材を容易かつ確実に橋梁構成体に取付けることができる。
【0010】
また、前記一対の橋梁構成体の上部には、前記層状に積層され、前記目地部を挟んで相対する一対のジョイント部材が設けられており、前記シート部材の端部は、前記ジョイント部材と他の前記層状をなす部材との間に挟持されている場合には、シート部材をより容易かつ確実に橋梁構成体に取付けることができる。
【0011】
また、前記シート部材の端部が、前記橋梁構成体の、前記目地部を形成する壁部に取付けられている場合は、シート部材を容易に橋梁構成体に取付けることができる。
【0012】
本発明の止水構造によると、前記止水材の前記シート部材と対向する面には、前記目地部に沿って延びる溝が形成されているため、止水材とシート部材との間に浸入した水を容易に排出することができる。
【0013】
また、前記溝に導水部材が配設されている場合は、橋梁の伸縮が発生して止水材が変形した場合でも、溝の閉塞を防止することができ、好適に水を排出することができる。
【0014】
本発明の止水構造の施工方法によると、一対の橋梁構成体を連結するようにしてシート部材を架け渡し、シート部材を一対の橋梁構成体に取付けるシート部材取付工程と、シート部材の樋状をなす部分の空間に止水材を配設する止水材配設工程と、止水材の上方に弾性シール材を配設する弾性シール材配設工程と、を含んでいる。これにより、止水性に優れた止水構造を容易に施工することができる。
【0015】
本発明の止水構造の施工方法によると、前記止水材配設工程において、予め成形された前記止水材を前記目地部に挿入することにより前記止水材を配設するため、施工現場における迅速な施工を実現することができる。
【0016】
本発明の止水構造の施工方法によると、前記止水材配設工程において、硬化することにより前記止水材となる液状体を前記目地部の上部から注入することにより前記止水材を配設するため、シート部材のU字状の形状に沿った止水材を施工現場で容易に形成して配設することができる。
【0017】
また、前記弾性シール材配設工程では、硬化することにより前記弾性シール材となる液状体を前記目地部の上部から注入することにより前記弾性シール材を配設する場合には、目地部の形状に沿った弾性シール材を施工現場で容易に形成して配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にてさらに説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】実施例に係る橋梁の概略を示す側面図である。
図2】実施例に係る止水構造を示す縦断面図である。
図3】実施例に係る止水構造を示す部分断面斜視図である。
図4】実施例に係るジョイント部材を示す平面図である。
図5】実施例に係る止水材を示す斜視図である。
図6】実施例に係る止水構造の施工方法を説明するための説明図である。
図7】実施例に係る止水構造の施工方法を説明するための説明図である。
図8】実施例に係る止水構造の施工方法を説明するための説明図である。
図9】実施例に係る止水構造の施工方法を説明するための説明図である。
図10】他の実施形態に係る止水構造を説明するための説明図である。
図11】他の実施形態に係る止水構造を説明するための説明図である。
図12】他の実施形態に係る止水構造を説明するための説明図である。
図13】他の実施形態に係る止水構造を説明するための説明図である。
図14】他の実施形態に係る止水構造を説明するための説明図である。
図15】他の実施形態に係る止水構造の施工方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.止水構造
本実施形態に係る止水構造(1)は、橋梁(100)の目地部(101)に設けられて当該目地部からの漏水を防止する止水構造であって、目地部を挟んで相対する一対の橋梁構成体(102,103)間に液密に配設される弾性シール材(2)と、弾性シール材の下方に配設され、一対の橋梁構成体に架け渡されて取付けられることにより上部が開放した樋状に形成されたシート部材(3)と、シート部材の樋状をなす部分の空間に配設される止水材(4)と、を備え、止水材は、止水機能を有するスポンジ状の弾性体であり、止水材は、目地部に沿って延びる導水路(41)と、止水材の上面から導水路に貫通する連通路(42)と、を有することを特徴とする(例えば、図2図3等参照)。
【0020】
上記「橋梁」の種類、構造等は特に限定されない。橋梁の種類としては、例えば、陸上に架けられる高架橋等や、河川、海等に架けられるいわゆる橋等を挙げることができる。橋梁は、例えば、橋台(102)、橋脚(104)等の橋梁の下部構造や、これら下部構造に支持され、主桁、床版等から構成される橋桁(103)等の橋梁の上部構造等の橋梁構成体により構成されていることができる(例えば、図1等参照)。
上記橋桁の構成は特に問わない。また、上記主桁及び上記床版の形態は特に問わないが、例えば、鉄鋼、コンクリート、鉄筋コンクリート等からなる形態であることができる。また、主桁と床版とが一体に形成されていてもよい。この場合、主桁及び床版は、プレストレストコンクリート造として一体に形成されていてもよい。
【0021】
上記「目地部」の大きさ、個数等は特に問わない。この目地部は、相対する一対の橋梁構成体の間に形成されている。これら一対の橋梁構成体としては、例えば、下部構造である上記橋台と上部構造であってもよいし、2つの上部構造であってもよい。すなわち、上記目地部は、下部構造と上部構造との間や、上部構造同士の間に形成されていることができる。また、目地部には、例えば、その上部に伸縮装置(10)が設けられていることができる。
【0022】
上記伸縮装置の構成、形状、大きさ、材質、個数等は特に問わない。伸縮装置は、橋梁が伸縮して目地部の幅が変化した場合に、その幅の大きさによって目地部上を通行する車両等が受ける衝撃等を緩和するために設けられる。伸縮装置は、例えば、上記目地部を挟んで相対して設けられる一対のジョイント部材(11,12)を備えることができる(例えば、図2図3等参照)。一対のジョイント部材は、例えば、互いの相対する面が波形のフィンガージョイントである形態(例えば、図4等参照)、一方の部材だけが波形のフィンガージョイントと平板との組み合わせである形態、両部材が平板である形態等であることができる。
【0023】
上記「弾性シール材」の構成、形状、大きさ、個数等は特に問わない。弾性シール材の材質は弾性を有する限り特に問わないが、例えば、ポリブタジエン系、シリコン系、ウレタン系の単一又は2液混合等の樹脂や、エチレン/プロピピレン共重合ゴム、エチレン/プロピピレン/ジエン共重合ゴム、ポリイソプレンゴム等の各種のゴムであることができる。ゴムを用いる場合、未架橋品を成形した後、加熱する等の常法によって架橋させて成形することができる。また、弾性シール材は、施工時に成形してもよいし、予め成形しておいて施工時に接着してもよい。
【0024】
上記「シート部材」の構成、形状、大きさ、個数、橋梁構成体への取付形態等は特に問わない。シート部材の材質としては、例えば、上記ゴムや、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の汎用の樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等のエラストマー等であることができる。
【0025】
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、水添スチレン/ブタジエンランダム共重合体、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレンブロック共重合体等を挙げることができる。
また、熱可塑性エラストマーは1種のみ用いてもよく。2種以上を併用してもよい。
また、シート部材は、ポリエステル等の繊維や、それらの織布、不織布、編布等の繊維シートを上記材質で挟んで成形したものを用いるようにしてもよい。このような繊維で補強されたシート部材は、引張強度に優れるので、止水構造の耐久性を高めることができる。
【0026】
上記「止水材」の構成、形状、大きさ、個数等は特に問わない。止水材の材質としては、例えば、ポリウレタンフォーム等の発泡樹脂であることができる。また、止水材の材質は、上記ゴム、上記樹脂、上記エラストマー等であってもよい。止水材が止水機能を有する形態は特に問わないが、例えば、スポンジ状の弾性体である止水材の、内部の気泡を独立気泡としたり、気泡径を小さくしたりなどして通気性を下げる形態や、表面に防水被膜を形成する形態、撥水効果のある薬剤を添加、含浸又は塗布する形態、疎水性を有する原料を使用して製造し、止水剤が疎水性を有する形態等を挙げることができる。
上記止水材は、通常、圧縮された状態で配設されている。これは、橋梁の目地部の幅が温度変化等に伴って変化した場合であっても、上記弾性シール材や上記シート部材と密着した状態にして、空間に水が浸入することを防止するためである。止水材は、想定される最大の目地部の幅のときにおいても、シート部材の樋状をなす部分の空間に圧縮された状態で配設されるように、圧縮率を考慮して設けられている。
【0027】
上記「導水路」の断面形状、大きさ、個数、配設位置等は特に問わない。また、上記「連通路」の形状、大きさ、個数等も特に問わない。
上記連通路の形態としては、例えば、(i)導水路の延伸方向に沿って延びるスリット状に形成されている形態(例えば、図3図5等参照)、(ii)導水路の延伸方向に沿って複数の貫通孔が並んで形成されている形態(例えば、図11等参照)等であることができる。また、連通路の上部に集水溝(44)を設けるようにしてもよい(例えば、図12等参照)。
上記導水路には、例えば、導水部材(5)が挿通されていることができる(例えば、図10等参照)。この導水部材は、圧縮状態にある止水材において、上記導水路や後述する溝などの閉塞を防止して、排水経路を確実に確保するために設けられる。導水部材の構造、形状、大きさ、材質、個数等は特に問わない。導通部材は、例えば、グラスファイバーや上述の樹脂からなる繊維等の繊維を束ねた形態や、上述の樹脂や金属等からなる管壁を網状、螺旋状等に形成した透水性を有する管である形態等であることができる。
【0028】
ここで、本実施形態に係る止水構造は、例えば、上記一対の橋梁構成体が、目地部に露出する部分において、それぞれ複数の部材が層状に積層されてなり、上記シート部材は、その端部が橋梁構成体の層状をなす部材間に挟持されていることにより橋梁構成体に取付けられている形態であることができる(例えば、図2図3等参照)。この場合、上記「層状をなす部材」の一方は、例えば、上記ジョイント部材であることができる。ジョイント部材とともにシート部材を挟持する部材(他の層状をなす部材)は特に限定されないが、例えば、橋梁構成体を構成するコンクリートや鋼材等の部材であることができる。
【0029】
ジョイント部材と他の層状をなす部材との係合形態は特に問わないが、例えば、ボルト(13)とナット(14)による締結等であることができる。この場合、シート部材には、ボルトを貫通させるための孔が形成されていることができる(例えば、図2図3等参照)。
【0030】
また、本実施形態に係る止水構造は、例えば、上記シート部材の端部が、上記橋梁構成体の、上記目地部を形成する壁部に取付けられていることができる(例えば、図13等参照)。
また、本実施形態に係る止水構造は、上記止水材の上記シート部材と対向する面には、目地部に沿って延びる溝(43)が形成されている(例えば、図2図3図5等参照)。
上記溝の断面形状、大きさ、個数、配設位置等は特に問わない。この溝には、例えば、上記導水部材が配設されていることができる。
【0031】
2.止水構造の施工方法
本実施形態に係る止水構造の施工方法は、上記止水構造の施工方法であって、上記一対の橋梁構成体を連結するようにして上記シート部材を架け渡し、上記シート部材を上記一対の橋梁構成体に取付けるシート部材取付工程と、上記シート部材の上記樋状をなす部分の空間に上記止水材を配設する止水材配設工程と、上記止水材の上方に上記弾性シール材を配設する弾性シール材配設工程と、を含むことを特徴とする。
【0032】
ここで、本実施形態に係る止水構造の施工方法は、例えば、上記止水材配設工程では、予めスポンジ状に形成された上記止水材を上記目地部の上部から挿入することにより止水材を配設する(例えば、図7図8等参照)。
【0033】
ここで、本実施形態に係る止水構造の施工方法は、上記止水材配設工程では、硬化することにより上記止水材となる液状体(4’)を上記目地部に注入することにより上記止水材を配設する(例えば、図15等参照)。この場合、導水路及び連通路は、液状体を注入する前に型部材(41’,42’,43’)を配置しておくことにより容易に形成することができる。なお、上記導水部材を備える止水構造の場合には、上記液状体を注入する前に、導水路や溝に相当する部分に、予め上記導水部材を配置しておくようにしてもよい。これにより、型部材を必要とせずに、導水路や溝を形成することができる。
【0034】
ここで、本実施形態に係る止水構造の施工方法は、例えば、上記弾性シール材配設工程では、硬化することにより上記弾性シール材となる液状体(2’)を上記目地部の上部から注入することにより上記弾性シール材を配設することができる(例えば、図9等参照)。
【0035】
ここで、本実施形態に係る止水構造の施工方法は、例えば、既存の橋梁に設けられた既存のジョイント部材を取り外す既存ジョイント部材取外し工程と、新規のジョイント部材を取付けるために切り欠き形状を形成する切り欠き形状形成工程と、をさらに含み、上記シート部材取付工程は、新規のジョイント部材と上記層をなす部材との間に上記シート部材を挟持する工程であることができる。この場合、切り欠き形状形成工程は、例えば、切り欠き形状を越える範囲で橋梁構成体の目地部に露出する部分の上部を削り、その後、切り欠き形状に設けた型枠内にコンクリート等の構造資材を流し込んで上記切り欠き形状を形成する工程や、橋梁構成体自体を削り取って切り欠き形状を形成する工程等であることができる。
【実施例】
【0036】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
(1)橋梁の構成
本実施例に係る止水構造1が設けられる橋梁100は、図1に示すように、桁橋であり、その端部には下部構造としての橋台102(本発明に係る一対の橋梁構成体の一方として例示する)が配置されている。また、橋梁100は、橋台102の上部に対向するようにして上部構造としての橋桁103(本発明に係る一対の橋梁構成体の他方として例示する)が配置されている。また、橋梁100は、橋台102から水平方向に所定の間隔を空けて橋脚104が配置されている。橋桁103は、その一端が支承105を介して橋台102に支持されているとともに、その他端が支承105を介して橋脚104に支持されている。そして、橋台102と橋桁103との間は目地部101とされており、この目地部101には橋桁103の温度変化等による伸長を吸収するための隙間が形成されている。止水構造1は、この目地部101に設けられおり、当該目地部101からの漏水を防止するための構造である。
【0037】
なお、図1において、橋桁103は複数(図中2つ)配置されている。そして、橋桁103,103同士の間にも目地部101は形成されており、この目地部101にも同様に止水構造1が設けられている。本実施例では、橋台102及び橋桁103の間の目地部101に設けられる止水構造を例示して説明する。
【0038】
図2及び図3に示すように、橋梁100には伸縮装置10が備えられている。伸縮装置10は、一対のジョイント部材11,12を有している。本実施例に係る橋台102及び橋桁103は、目地部101に露出する部分において、ジョイント部材11,12を含む複数の部材が層状に積層されて構成されている。具体的には、橋台102は、鉄筋が配筋されたコンクリート層106が設けられているとともに、その上部には板状のジョイント部材11が取付けられており、これらにより、目地部101に露出する部分において、コンクリート層106とジョイント部材11とが層状に積層された形態となっている。また、橋桁103は、主桁107と、床版108と、路面層109と、が積層されているとともに、路面層109の上部にはジョイント部材11と対をなすジョイント部材12が取付けられている。従って、橋桁103は、目地部101に露出する部分において、主桁107、床版108、路面層109及びジョイント部材12の順に層状に積層された形態となっている。また、ジョイント部材11,12は、目地部101を挟んで相対するように設けられている。
【0039】
ジョイント部材11,12は、図4に示すように、互いの相対する面が波形のフィンガージョイントである。ジョイント部材11,12には取付孔11A,12Aが形成されている。ジョイント部材11,12は、これら取付孔11A,12Aに、橋台102のコンクリート層106及び橋桁103の路面層109に埋め込まれたボルト13が挿通されてナット14で締結することにより、橋台102及び橋桁103に取付けられる。
【0040】
(2)止水構造の構成
止水構造1は、図2及び図3に示すように、弾性シール材2と、シート部材3と、止水材4と、を備えている。
弾性シール材2は、目地部101を挟んで相対する橋台102及び橋桁103の間に液密に配設されている。弾性シール材2は樹脂製であり、目地部101の上部に充填されている。弾性シール材2は弾性体であり、橋梁100の伸縮が発生した場合には、弾性変形してその伸縮を吸収可能となっている。
【0041】
シート部材3は弾性シール材2の下方に配設されている。シート部材3は、橋台102及び橋桁103に架け渡されて取付けられることにより、上部が開放した樋状に形成されている。本実施例では、シート部材3は繊維シートとゴムの複合成形体であり、ジョイント部材11,12と、橋台102のコンクリート層106及び橋桁103の路面層109と、の間に両端が挟持されていることにより橋台102及び橋桁103に取付けられている。橋梁100の伸縮が発生した場合、シート部材3は撓み変形してその伸縮を吸収可能となっている。
【0042】
また、図2に示すように、シート部材3には水抜きパイプ31が設けられている。水抜きパイプ31は、シート部材3の長手方向に沿って所定間隔で、又は長手方向の勾配の低い側の端部に設けられており、シート部材3の樋状をなす空間に水が溜まった場合にそれを抜くことができる。なお、水抜きパイプ31により抜いた水はそのまま下方に落下させてもよいし、水抜きパイプ31の下部に排水管をさらに接続することによって、水抜きパイプ31により抜いた水を下水設備等に導くようにしてもよい。
【0043】
止水材4は、止水機能を有するスポンジ状の弾性体であり、シート部材3の樋状をなす部分の空間に配設されている。本実施例において、止水材4は、ウレタン製で、その内部に多数の独立気泡が形成されたスポンジ状に形成されている。独立気泡体とは、内部に気泡が存在するが、気泡同士が繋がっていない、気泡同士が壁で仕切られている気泡体である。このため、止水材4は、それ自体が水を吸収しにくくなっているとともに、水の透過率が従来の連泡スポンジよりも小さいので、止水機能を発揮することができるものである。また、止水材4は圧縮変形と復元が可能であり、橋梁100の伸縮が発生した場合には、それを吸収することができるとともに、それに伴って弾性変形した弾性シール材2の下方への膨出も吸収可能となっている。
【0044】
また、図5に示すように、止水材4には、目地部101に沿って延びる導水路41と、上面から導水路41に貫通し、導水路41の延伸方向に沿って延びるスリット状の連通路42と、が形成されている。これにより、止水材4の上方に水が溜まった場合には、それを連通路42と導水路41を介して排出することができる。導水路41により導かれた水は、導水路41の長手方向端部にて開放されて排出される。なお、この導水路41を水抜きパイプ31と連通するように延ばして形成することにより、導水路41の水が水抜きパイプ31を介して排出されるようにしてもよい。
【0045】
また、本実施例では、止水材4には、溝43,43が形成されている。溝43は、止水材4のシート部材3と対向する面に、目地部101に沿って延びるように形成されている。これにより、止水材4とシート部材3との間に浸入した水を排出することができる。溝43,43により導かれた水は、溝43の長手方向端部にて開放されて排出されるが、この溝43と水抜きパイプ31とを連通する溝を更に形成することにより、溝43の水が水抜きパイプ31を介して排出されるようにすることもできる。
更に、本実施例では、導水路41及び溝43,43には、導水部材5,5,5が配設されている。導水部材5はグラスファイバーを束ねて構成されており、水はその繊維間を通って流通する。
【0046】
(3)止水構造の施工方法
次に、上記構成の止水構造1の施工方法について説明する。
最初に、図6に示すように、橋梁構成体としての橋台102及び橋桁103の目地部101に露出する部分の上部を切り欠き状に設けておくとともにジョイント部材11,12を取付けるためのボルトを設けておく。本実施例において、この切り欠きは、橋台102のコンクリート層106の打設及び橋桁103の路面層109の敷設の際に、切り欠き形状に設けた型枠を用いて形成される。また、橋台102側のボルトは、コンクリートの打設前に予めコンクリートアンカーボルトを配置することにより設けられている。なお、このボルトは、コンクリートの打設後に打ち込む様式のボルトであってもよい。橋桁103側のボルトは、路面層109の敷設前に、溶接により床版108に予め取付けられており、これにより、床版108上に敷設された路面層109を貫通して突出するように設けられる。なお、このボルトは、床版108を貫通するように配設してもよい。さらに、これらのボルトの締結方法は、コンクリート層106や床版108側にナットを設けておき、ジョイント部材11,12の上方からボルトを差し込む形態など、如何様な形態であってもよい。
【0047】
そして、一対の橋梁構成体としての橋台102及び橋桁103を連結するようにしてシート部材3を架け渡し、シート部材3を取付ける(シート部材取付工程)。このとき、シート部材3に形成された孔にボルト13を挿通するようにして取付ける。
【0048】
次に、図7に示すように、シート部材3の樋状をなす部分の空間に、予めスポンジ状に形成された止水材4を配設する(止水材配設工程)。このとき、止水材4は、樋状をなす空間の大きさよりも大きく形成されたものを用い、これを圧縮して配設する。また、本実施例では、導水部材5を導水路41及び溝43に予め挿通、配設しておいてから止水材4を配設するようにしている。
【0049】
そして、図8に示すように、ジョイント部材11,12をボルト13に挿通してナット14にて締結する。これにより、シート部材3がジョイント部材11,12と、橋台102のコンクリート層106及び橋桁103の路面層109と、の間に挟持される。
【0050】
最後に、図9に示すように、ゴムの液状体2’をジョイント部材11,12の隙間から流し込む。この液状体2’が硬化することにより弾性シール材2となり、止水材4の上方に配設される(弾性シール材配設工程)。液状体2’は、止水材4の上方及びジョイント部材11,12の隙間に充填され、硬化して弾性シール材2となって目地部101に液密に配置される。
【0051】
なお、既存の橋梁に上記構成の止水構造1を設ける場合には、最初に、既存のジョイント部材を取り外す。このとき、必要であれは、目地部101に露出する部分の上部のコンクリートを削っておく。その後、上述の方法で切り欠き及びボルトを設けて上記構成の止水構造1に用いられるジョイント部材11,12を取付け可能に設ける。また、既存のジョイント部材の取り外しのときに、目地部101に露出する部分の上部のコンクリートを削り取ることにより上述の切り欠きを形成し、その後、ジョイント部材取付用のアンカーボルトを打ち込むようにしてもよい。
これらの方法により、既存の橋梁にも本実施例の止水構造1を取付けることができる。
【0052】
(4)実施例の作用及び効果
本実施例の止水構造1は、目地部101を挟んで相対する橋台102と橋桁103との間に液密に配設される弾性シール材2と、弾性シール材2の下方に配設され、橋台102と橋桁103に架け渡されて取付けられることにより上部が開放した樋状に形成されたシート部材3と、シート部材3の樋状をなす部分の空間に配設される止水材4と、を備えている。これにより、弾性シール材2が劣化した際の弾性シール材2からの漏水は止水材4によって受けられ、止水材4が劣化した際の止水材4からの漏水はシート部材3によって受けられる。このため、従来と比較して止水性に優れた止水構造となっている。
【0053】
また、止水材4は、止水機能を有するスポンジ状の弾性体であり、目地部101に沿って延びる導水路41と、止水材4の上面から導水路41に貫通する連通路42と、を有している。このため、万一弾性シール材2からの漏水が発生し、その水を止水材4で受ける場合であっても、止水材4で受けた水を好適に排出することができ、止水構造1内に水が溜まるのを抑制することができる。
【0054】
また、本実施例に係る止水構造1は、弾性シール材2は弾性変形可能であり、シート部材3は撓み変形可能であり、止水材4は圧縮変形と復元が可能である。これにより、橋梁100の伸縮が発生した場合にこれを好適に吸収することができる。また、止水構造1が目地部101に設けられていることにより、橋梁100の上方で発生した騒音が目地部101を介して橋梁100の下方に伝播するのを防止することができる。さらに、止水構造1は、地震等の外力による橋梁100の揺れに対する防振効果や、揺れにより変位した橋梁端部同士が直接衝突するのを防止して衝撃を緩和し、破損を防止する効果等も奏する。
【0055】
また、本実施例では、一対の橋梁構成体としての橋台102及び橋桁103は、目地部101に露出する部分において、それぞれ複数の部材が層状に積層されてなり、シート部材3は、その端部がそれら層状をなす部材間に挟持されていることにより橋台102及び橋桁103に取付けられているので、シート部材3を容易かつ確実に橋台102及び橋桁103に取付けることができる。
【0056】
また、本実施例では、橋台102及び橋桁103の上部には、層状に積層され、目地部を挟んで相対する一対のジョイント部材11,12が設けられており、シート部材3の端部は、ジョイント部材11,12と他の層状をなす部材との間に挟持されているので、シート部材3をより容易かつ確実に橋台102及び橋桁103に取付けることができる。
【0057】
また、本実施例の止水構造1の施工方法によると、一対の橋梁構成体としての橋台102及び橋桁103を連結するようにしてシート部材3を架け渡し、シート部材3を取付けるシート部材取付工程と、シート部材3の樋状をなす部分の空間に止水材4を配設する止水材配設工程と、止水材4の上方に弾性シール材2を配設する弾性シール材配設工程と、を含んでいる。これにより、止水性に優れた止水構造を容易に施工することができる。
【0058】
また、本実施例では、弾性シール材配設工程において、硬化することにより弾性シール材2となる液状体2’を目地部101の上部であるジョイント部材11,12の隙間から注入することにより弾性シール材2を配設するようにしたので、目地部101の形状に沿った弾性シール材2を施工現場で容易に形成して配設することができる。
【0059】
なお、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、止水材4に、目地部101に沿って延びる1つの導水路41を形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、複数(図10中2つ)の導水路41を形成するようにしてもよい。
また、上記実施例では、導水路41及び溝43に導水部材5を挿通、配設するようにしたが、これに限定されず、例えば、導水路及び溝の少なくとも一方に導水部材を設けない形態としてもよい。また、複数の導水路又は溝が形成されている場合には、それぞれの導水路又は溝について、導水部材を設けたり、設けなかったりなど、適宜設定してもよい。
【0060】
また、上記実施例では、止水材4に形成される連通路42として、導水路41の延伸方向に沿って延びるスリット状の連通路42を例示したが、これに限定されず、例えば、図11に示すように、導水路41の延伸方向に沿って複数の貫通孔が並んで形成されている形態の連通路42としてもよい。また、図12に示すように、連通路42の上部に集水溝44が設けられているようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施例では、シート部材3を、目地部101に露出する部分において層状に形成された橋梁構成体(橋台102、橋桁103)の層状をなす部分に挟持させて取付けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図13に示すように、目地部101の隙間空間を形成する橋梁構成体102,103の側壁部に取付けるようにしてもよい。この場合、シート部材3の取付け方法としては、例えば、押さえ板110でシート部材3の端部を押さえるようにして取付けたり、接着して取付けたり、これらを組み合わせて取付けたりする方法などが挙げられる。
【0062】
また、図14に示すように、目地部101の隙間空間を形成する橋梁構成体102,103の側壁部に、溶接、ボルト止め等によりブラケット111を取付け、このブラケット111を介して、橋梁構成体102,103の側壁部にシート部材3を取付けるようにしてもよい。図14において、橋梁構成体102,103の側壁部の目地部101に露出する部分には鋼板112が配設されており、この鋼板112にブラケット111が取付けられている。このような構成により、シート部材3の取付け箇所が腐食等により補修を要する場合であっても、ブラケット111を交換するという方法で、容易に補修することができる。なお、この場合のシート部材3の取付け方法としては、上述の押さえ板110をボルト止めする方法や、接着、これらの組合せた方法等を採用することができる。更に、図14に示すようなシート部材の取付形態は、既存のシート部材が図13に示すような方法で取付けられている場合、その取付箇所が補修を要する場合にも適用することができる。
【0063】
また、上記実施例では、止水材配設工程において、止水部材4を配設したのち、ジョイント部材11,12を取付けるようにしたが、これに限定されず、例えば、ジョイント部材11,12を取付けた後に、ジョイント部材11,12の隙間から止水材4を挿入することにより止水材4を配設するようしてもよい。
また、上記実施例では、止水部材配設工程において、予めスポンジ状に形成された止水材4を配設するようにしたが、これに限定されず、例えば、図15に示すように、硬化することにより止水材4となる液状体4’を目地部101に注入することにより止水材4を配設するようにしてもよい。この場合、液状体を注入する前に型部材41’,42’,43’を配置しておくことにより、導水路41及び連通路42を容易に形成することができる。また、型部材41’,43’の代わりに、導水部材5を配置しておくことにより、導水部材5が挿通された導水路41や溝43を容易に形成することができる。なお、この注入は、図15に示すように、目地部101の上方からであってもよいし、目地部101の下方から(水抜きパイプ31から)であってもよい。
【0064】
また、上記実施例では、弾性シール材配設工程において、硬化することにより弾性シール材2となる樹脂の液状体2’をジョイント部材11,12の隙間から流し込むようにして弾性シール材2を配設するようにしたが、これに限定されず、例えば、予め成形された弾性シール材2を配設するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
高架橋等の橋梁全般の目地部における止水構造として広く利用される。
【符号の説明】
【0066】
1;止水構造、2;弾性シール材、3;シート部材、31;水抜きパイプ、4;止水材、41;導水路、42;連通路、43;溝、44;集水溝、5;導水部材、10;伸縮装置、11,12;ジョイント部材、11A,12A;取付孔、13;ボルト、14;ナット、100;橋梁、101;目地部、102;橋台(橋梁構成体)、103;橋桁(橋梁構成体)、104;橋脚、105;支承、106;コンクリート層、107;主桁、108;床版、109;路面層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15