特許第6145615号(P6145615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社北電子の特許一覧

<>
  • 特許6145615-スロットマシン 図000002
  • 特許6145615-スロットマシン 図000003
  • 特許6145615-スロットマシン 図000004
  • 特許6145615-スロットマシン 図000005
  • 特許6145615-スロットマシン 図000006
  • 特許6145615-スロットマシン 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145615
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】スロットマシン
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   A63F5/04 516F
   A63F5/04 512D
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-236755(P2012-236755)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-83374(P2014-83374A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 喜平
(74)【代理人】
【識別番号】100109128
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 功
(74)【代理人】
【識別番号】100152803
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 純平
【審査官】 森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−239072(JP,A)
【文献】 特開2012−090848(JP,A)
【文献】 特開2000−245899(JP,A)
【文献】 特開2014−057620(JP,A)
【文献】 特開2007−125066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ゲームが開始可能となる所定の条件成立後において、所定の始動操作に応じて回転を開始する回動リールと、
前記始動操作に基づいて第1ゲームごとの当選役を抽選にて決定する抽選手段と、
前記第1ゲームにおいて、回動リールが停止したときの回動リールに表された図柄の組合せに基づいて、遊技媒体を払い出すことが可能な遊技媒体払出手段と、
備えるスロットマシンであって、
特定の当選役に当選した後の当該特定の当選役に対応する図柄の組合せで回動リールが停止する権利を保有した状態にある特定第1ゲーム中において、当該特定第1ゲームの進行を中断可能な特定第1ゲーム中断手段と、
前記特定第1ゲーム中において、遊技者が回転中の回動リール停止させることができ第2ゲームを実行可能とする第2ゲーム実行手段と
前記第2ゲーム実行手段により実行される前記第2ゲーム中において、停止した前記回動リールに表された図柄の組合せが前記特定の当選役に対応する図柄の組合せかどうかを判定可能な停止図柄判定手段と、
前記停止図柄判定手段により、停止した前記回動リールに表された図柄の組合せが前記特定の当選役に対応する図柄の組合せであると判定されたことに基づいて、前記第2ゲームを終了させることが可能な第2ゲーム終了手段と、
前記第2ゲーム終了手段により前記第2ゲームが終了されたことに基づいて、前記特定第1ゲーム中断手段により中断された前記特定第1ゲームを再開させることが可能な特定第1ゲーム再開手段と、
を備え、
前記遊技媒体払出手段は、前記第2ゲームにおいて前記特定の当選役に対応する図柄の組合せで停止されても、遊技媒体を払い出さない
ことを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
遊技者と前記回動リールとの間であって回動リールと対向する位置に配置されるとともに、前記回動リールの外観及び動作を模した画像リールを表示可能な表示手段を備え、
前記第2ゲーム実行手段は、前記所定の条件成立前において、画像リールの変動を始動させるとともに、少なくとも変動中の画像リールの停止が遊技者による所定の操作に基づいて可能となる第2ゲームを実行可能とする
ことを特徴とする請求項1記載のスロットマシン。
【請求項3】
遊技者による特定の操作に基づいて、前記第2ゲームにおいて遊技者により停止させることができる回動リールの数を変更可能な停止可能数変更手段を備えた
ことを特徴とする請求項1又は2記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記停止図柄判定手段により、停止した前記回動リールに表された図柄の組合せが前記特定の当選役に対応する図柄の組合せではないと判定されたことに基づいて、前記第2ゲームを継続させることが可能な第2ゲーム継続手段を備えた
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場に設置されるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、通常、遊技媒体となるメダルを投入してスタートレバーを操作することにより、外周面に絵柄や数字,文字等からなる複数の図柄が表された複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが操作されると、スタートレバーの操作タイミングで行われる内部的な抽選処理の抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するように各リールが停止制御され、停止したリール上の図柄の組合せに応じた数の遊技媒体が払い出される遊技機である。
【0003】
このようなスロットマシンでは、各リールは抽選処理の抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するように引き込み制御されるものの、停止ボタンの操作タイミングから引き込み制御可能な図柄数(通常最大4図柄)に制限があることから、その図柄の組合せを構成する各リール上に表された図柄の種類及びその配置間隔によっては、抽選結果に応じた図柄の組合せとならないことが、停止ボタンの操作タイミングにより生じることがある。
例えば、停止によりボーナス遊技に移行する図柄の組合せであるボーナス図柄の組合せを、「7」が3つのリールにそれぞれ停止した組合せとすると、この「7」は、各リールにおいて、通常、1又は2図柄しか存在していないことから、内部的な抽選処理でボーナス役に当選した状態で停止ボタンを操作しても、その操作タイミングで「7」が引き込み制御可能な図柄数内に存在していない限り、ボーナス図柄の組合せで停止することはない。
このようなことから、所望する図柄の組合せでリールを停止させるためには、リールの回転中においてリールの変位に応じてその位置を刻々と変化させる所望する図柄を目で追いながら、その図柄が引き込み制御可能な範囲内にあるタイミングで停止ボタンを操作する、いわゆる目押しと呼ばれる操作が必要となる。
【0004】
ところが、回転中の各リールにおいて特定の図柄を識別する能力には個人差があることから、例えば、初心者の場合、「7」を狙って停止ボタンを操作することは容易ではない。
ボーナス役は、通常、それに当選したとしてもボーナス図柄の組合せでリールが停止しない限り、その権利が次回ゲーム以降に持ち越し可能な当選役であることから、ボーナス図柄の組合せで停止しなくてもボーナス遊技へ移行する権利が消滅することはないものの、ボーナス図柄の組合せで停止するまでゲームを続行しなければならないことから、その分無駄にメダルを費やすこととなり、目押しの技量差により消費するメダル数に格差が生じていた。また、初心者の場合、ボーナス図柄をなかなか揃えられないことから、周りの遊技者に対して引け目を感じることがあった。
【0005】
そこで、初心者などの目押しに不慣れな遊技者を救済すべく、練習ゲームを有するスロットマシンが提案されている。
このスロットマシンでは、店内が混雑していない時間帯など、営業時間中の所定期間に限り、複数回数の練習ゲームを提供可能に構成され、「7」を狙った目押しの練習ができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−245899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、目し可能なスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のスロットマシンは、第1ゲームが開始可能となる所定の条件成立後において、所定の始動操作に応じて回転を開始する回動リールと、前記始動操作に基づいて第1ゲームごとの当選役を抽選にて決定する抽選手段と、前記第1ゲームにおいて、回動リールが停止したときの回動リールに表された図柄の組合せに基づいて、遊技媒体を払い出すことが可能な遊技媒体払出手段と、備えるスロットマシンであって、特定の当選役に当選した後の当該特定の当選役に対応する図柄の組合せで回動リールが停止する権利を保有した状態にある特定第1ゲーム中において、当該特定第1ゲームの進行を中断可能な特定第1ゲーム中断手段と、前記特定第1ゲーム中において、遊技者が回転中の回動リール停止させることができ第2ゲームを実行可能とする第2ゲーム実行手段と、前記第2ゲーム実行手段により実行される前記第2ゲーム中において、停止した前記回動リールに表された図柄の組合せが前記特定の当選役に対応する図柄の組合せかどうかを判定可能な停止図柄判定手段と、前記停止図柄判定手段により、停止した前記回動リールに表された図柄の組合せが前記特定の当選役に対応する図柄の組合せであると判定されたことに基づいて、前記第2ゲームを終了させることが可能な第2ゲーム終了手段と、前記第2ゲーム終了手段により前記第2ゲームが終了されたことに基づいて、前記特定第1ゲーム中断手段により中断された前記特定第1ゲームを再開させることが可能な特定第1ゲーム再開手段と、を備え、前記遊技媒体払出手段は、前記第2ゲームにおいて前記特定の当選役に対応する図柄の組合せで停止されても、遊技媒体を払い出さない構成としてある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す概略正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンで実行される練習ゲーム実行処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンで実行される回動リール練習処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンで実行される画像リール練習処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るスロットマシンの好ましい実施形態について、図1図6を参照して説明する。
本実施形態のスロットマシン1は、外周面に絵柄や数字,文字等からなる複数の図柄の表された回動リール(以下、リール4という)を回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得できる一般的な回胴式遊技機として構成されるとともに、所定の当選役に対応する図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態にある本番ゲーム中に、練習ゲームを実行できるようになっている。
さらに、ゲームが開始可能となる所定の条件成立前においては、リール4の前方に配置された液晶表示器にリール4の外観及び動作を模した画像リールを表示させて、この画像リールを用いた練習ゲームを実行できるようになっている。
以下、本実施形態に係るスロットマシン1について詳述する。
【0013】
図1図3に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、メダル投入口2から実際に投入されるメダルの数(例えば、3枚)、又は内部的に記憶されたクレジットメダルからベットボタン2aの操作によって信号形式で投入されるメダルの数(例えば、3枚)に応じてゲーム開始可能な状態となり、この状態でスタートレバー3が操作(始動操作)されると、複数のリール4a〜4cが回転を開始するとともに、それぞれのリール4a〜4cに対応する停止ボタン5a〜5cが押下操作されると、スタートレバー3の操作タイミングで行われる抽選処理の抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するように各リール4が停止制御され、停止した図柄の組合せに基づいて入賞の有無が判定され、判定結果に応じてメダル払出装置7からメダルが払出されるという、通常のスロットマシン遊技を実現可能な構成を備えている。
【0014】
このようなスロットマシン遊技は、CPUなどの中央演算処理装置、スロットマシン遊技に係るプログラム及びデータを記憶するROM、遊技の進行に係るデータ等を一時的に記憶するRAMなどを備えるコンピュータとして構成されたメイン制御部10によって実現可能に制御され、スタートレバー3の操作に基づいて行われる抽選処理、リール4の制御に係るリール制御処理、及び停止した図柄の組合せから入賞の有無を判定する入賞判定処理もメイン制御部10において行われる。
【0015】
抽選処理は、ゲームごとの当選役を抽選にて決定する抽選手段として動作する処理であり、この処理では、何らかの遊技価値の付与される複数種類の当りと、何ら遊技価値の付与されないハズレとを含む複数の抽選役の中からくじ引きによりゲームごとの当選役を決定する。
ゲームごとの当選役は、それぞれの抽選役ごとに設定された当選値と、スタートレバー3の操作タイミングで取得する乱数値との比較・照合を行い、乱数値と一致する当選値を有する抽選役を今回ゲームの当選役とすることで決定される。
複数の抽選役には、付与される遊技価値として所定数のメダルが払い出される小役、メダルを投入することなく次回ゲーム可能となるリプレイ役、小役に高確率で当選するボーナス遊技へ移行する権利役となるボーナス役、何ら遊技価値の付与されないハズレなどがある。
また、これらの抽選役は、それぞれ各リール4が停止したときの図柄の組合せと対応関係を有しており、例えば、小役は、各リール4が「ベル」図柄で停止するベル図柄の組合せ、リプレイ役は、各リール4が「リプレイ」図柄で停止するリプレイ図柄の組合せに対応している。
また、ボーナス役は、ビッグボーナス役とレギュラーボーナス役の二種類があり、例えば、ビッグボーナス役は、各リール4が「7」図柄で停止するビッグボーナス図柄の組合せ、レギュラーボーナス役は、各リール4が「BAR」図柄で停止するレギュラーボーナス図柄の組合せに対応している。
【0016】
リール制御処理は、スタートレバー3の操作に基づく各リール4の回転始動、停止ボタン5の操作に基づく各リール4の停止制御などを行う。
停止制御では、抽選処理において決定された当選役に対応する図柄の組合せとなるように各リール4の停止制御を行い、例えば、抽選処理において小役に当選したときには、各リール4に表された「ベル」図柄がいずれかの入賞判定ラインL(L1〜L5)上に停止するようにそれぞれのリール4を制御する。
同様に、ビッグボーナス役又はレギュラーボーナス役に当選したときには、各リール4に表された「7」図柄又は「BAR」図柄がいずれかの入賞判定ラインL(L1〜L5)上に停止するようにそれぞれのリール4を制御する。
【0017】
このような停止制御では、当選役に対応する図柄をいずれかの入賞判定ラインL(L1〜L5)上に強制的に引き込む引き込み制御が行われ、この引き込み制御では、停止ボタン5の操作タイミングから、例えば、最大4図柄分までリール4を回転させた後、リール4を停止させることができるようになっている。
このような引き込み制御により、当選役に対応する図柄を入賞判定ラインL上に強制的に引き込むことができるようになっているものの、当選役に対応する図柄が停止ボタン5の操作タイミングにおいて最大4図柄分リール4を回転させる範囲内に存在しないときには、当選役に対応する図柄を強制的に引き込むことはできない。
このような当選役の代表例がボーナス役であり、ボーナス役に対応する「7」図柄又は「BAR」図柄などのボーナス図柄は、通常、リール4上において4図柄を超える間隔で配置されており、このような配置間隔により、ボーナス役に当選しても、停止ボタン5の操作タイミングによっては、ボーナス図柄の組合せでリール4が停止しないこともあり得る。
そうすると、このような当選役に当選したにもかかわらず、対応する図柄の組合せでリール4が停止しないこととなると、例えば、ボーナス役の場合ではボーナス遊技に移行せず、本来獲得されるべきメダルを獲得することができないなど、多大な損失を被ることとなるため、このような当選役は、対応する図柄の組合せでリール4が停止しない限り、その当選権が次回ゲーム以降に持ち越されるようになっている。
本実施形態では、ビッグボーナス役及びレギュラーボーナス役を、当選権を持ち越し可能な当選役とし、ビッグボーナス役及びレギュラーボーナス役に当選したとしても、これらに対応するボーナス図柄の組合せでリール4が停止しない限り、その当選した権利を保有したまま次回ゲーム以降に持ち越すことができるようになっている。
【0018】
入賞判定処理は、リール4が停止したときのリール4に表された図柄の組合せに基づいて入賞の有無を判定する入賞判定手段として動作する処理であり、この処理では、入賞判定ラインL(L1〜L5)上に停止した図柄の組合せを識別し、その図柄の組合せに応じて入賞か否かの判定を行う。
例えば、遊技価値の付与される抽選役に対応する図柄の組合せがいずれかの入賞判定ラインL1〜L5上に停止したときには、入賞と判定し、いずれの入賞判定ラインL1〜L5上にも遊技価値の付与される抽選役に対応する図柄の組合せが停止していないときには、ハズレと判定する。
この判定により、当選役に対応する図柄の組合せでリール4が停止する権利は消滅するものの、当選役がボーナス役である場合は、ボーナス図柄の組合せでリール4が停止しない限り、ボーナス図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態が次回ゲーム以降に持ち越されることになる。
【0019】
このような入賞判定処理による判定結果に応じて、その後の動作が異なることになり、例えば、いずれかの入賞判定ラインL1〜L5上にベル図柄の組合せが停止したときには、メダル払出装置7が駆動制御され、装置内に貯留されたメダルが所定数払い出される。
また、リプレイ図柄の組合せが停止したときには、次回ゲームにおいて改めてメダルを投入することなく、ゲーム開始可能な状態となり、この状態でスタートレバー3が操作されると、リール4が回転を開始することになる。
また、ボーナス図柄の組合せが停止したときには、その次ゲームからの抽選処理において高確率で小役に当選するボーナス遊技に移行する。ビッグボーナス図柄の組合せの停止により移行するビッグボーナス遊技では、レギュラーボーナス図柄の組合せの停止により移行するレギュラーボーナス遊技よりも、より多く小役に当選する機会が与えられ、ビッグボーナス遊技ではレギュラーボーナス遊技よりも多くのメダルが獲得できるようになっている。
【0020】
また、スロットマシン1では、前述したようなスロットマシン遊技の進行を実現しながら、遊技を盛り上げる所定の演出動作が行われる。
演出動作は、所定の画像を表示する液晶表示器8、音声等を出力するスピーカ9などの演出手段を介して行われ、例えば、抽選処理によりボーナス役に当選すると、液晶表示器8の表示領域中の告知表示部8bにボーナス当選を示す告知画像が表示され、その後、ボーナス図柄の組合せでリール4が停止すると、スピーカ9からファンファーレ音が出力される。
これらの液晶表示器8及びスピーカ9は、図3に示すように、メイン制御部10からの指令を受けたサブ制御部20によって制御されるようになっている。
【0021】
サブ制御部20は、メイン制御部10と同様、CPU、ROM、RAMなどを備えるコンピュータとして構成され、液晶表示器8を制御する液晶表示制御回路、スピーカ9を制御する音声制御回路等を備えている。
例えば、液晶表示制御回路は、VDP,VRAM,画像用ROM,液晶ドライバ回路などから構成され、音声制御回路は、音源IC,音声ROM,アンプなどから構成されている。
【0022】
液晶表示器8は、図1に示すように、遊技者とリール4の間であって、リール4に対向する位置に配置され、リール4を視認可能な透過状態と、リール4を視認不能又は視認可能でありながら見づらい状態となる非透過状態とを有し、メイン制御部10からの指令に基づいてサブ制御部20によりいずれかの状態に制御される。
例えば、メダル投入口2からのメダル投入又はベットボタン2a操作によるメダル投入によりゲーム開始可能な条件が成立し(例えば、メダル3枚の投入)、ゲーム開始を示すコマンドをメイン制御部10から受信すると、液晶表示器8は、窓枠8a内が透過状態(例えば、無色透明な状態)となるように制御され、リール4が視認可能となる。
また、リプレイ図柄の組合せが停止することなくすべてのリール4が停止し、メダル投入待ちを示すコマンドをメイン制御部10から受信すると、液晶表示器8は、窓枠8a内が非透過状態となるように制御され、リール4が視認不能(例えば、不透明な状態)又は視認可能でありながら見づらい状態(例えば、有色透明な状態)となる。
この非透過状態では、リール4の外観を模した画像リールが、リール4に注がれる遊技者の視点を変えることのない液晶表示器8の窓枠8a内に表示される。
このように見えるのは、液晶表示器8の窓枠8a内がリール4に対向配置されるとともに、リール4を直視する遊技者の視線上に配置されているからである。
【0023】
以上のように構成されたスロットマシン1では、さらに、回動リールであるリール4と、液晶表示器8に表示される画像リールとをそれぞれ練習用リールとして用いた練習ゲームができるようになっている。
リール4を用いた練習ゲームは、所定の当選役に対応する図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態にあるまさに本番ゲーム中において実行することができ、画像リールを用いた練習ゲームは、ゲームが開始可能となる所定の条件成立前において、実行することができるようになっている。
以下、それぞれの練習ゲームについて説明する。
【0024】
[回動リール練習ゲーム]
リール4を用いた練習ゲームは、所定の当選役として、例えば、ボーナス役に当選し、ボーナス図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態にあるゲーム中に行うことができる。
【0025】
ボーナス図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態にあるゲームとは、ボーナス役当選の抽選処理を行ったゲームのことをいう。さらに、ボーナス役の場合は、その当選を持ち越し可能な当選役であることから、当選に係るゲームに加え、このゲームにおいてボーナス図柄の組合せでリール4が停止しなかったときには、そのゲーム以後のゲームであってボーナス役の当選を持ち越した状態にあるゲームを含めることができる。
また、ゲーム中とは、ボーナス役当選の抽選処理を行ったゲームでは、既にリール4が回転中であることから、このようなリール4回転中からボーナス図柄の組合せでリール4が停止(練習ゲームによる停止を除く)するまでの間をいう。一方、ボーナス役の当選を持ち越した状態にあるゲームでは、例えば、メダル投入に係る操作(少なくともメダル1枚の投入操作)、又は、メダル投入に係る操作によりゲーム開始可能な条件が成立した状態(例えば、スタートレバー操作可能となる3枚のメダル投入が完了した状態)、又は、ゲーム開始可能な条件成立後のスタートレバー操作のうちの、いずれかのタイミングからボーナス図柄の組合せでリール4が停止(練習ゲームによる停止を除く)するまでの間をいう。
【0026】
このような当選役に対応する図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態にある権利保有ゲーム中は、まさに当選役に対応する図柄を目押しにより停止させようとしている、本番ゲーム中であり、このような本番ゲーム中に練習ゲームを提供することができれば、練習ゲームにより習得した技量を即座にそのゲーム中に試すことができ、練習により会得した感覚を維持したまま本番に臨むことができる。
そこで、この本番ゲーム中に練習ゲームを提供可能とすべく、メイン制御部10は、以下のような動作を実行する。
【0027】
まず、メイン制御部10は、ゲーム中断手段として動作することにより、このような権利保有ゲーム中において、ゲームの進行を一時的に中断する。例えば、ゲームの進行を一時的に中断するために、サブ制御部20が行う当該権利保有ゲームに係る演出動作を中断させることに加え、入賞判定処理の実行を行わず、入賞の有無の判定動作を禁止とする。これにより、以下のように奏効する。
【0028】
前述したように入賞判定処理では、リール4が停止したときのリール4に表された図柄の組合せに基づいて入賞の有無を判定するとともに、この判定により、当選役に対応する図柄の組合せでリール4が停止する権利は、当選役がボーナス役でありその当選が持ち越された場合を除きすべて消滅するようになっている。そこで、権利保有ゲーム中の所定期間に亘り、入賞判定処理を実行せずに入賞の有無の判定動作を禁止する。これにより、当選役に対応する図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態が維持されることになる。
つまり、入賞の有無の判定動作を禁止することにより、リール4が停止しても入賞の有無の判定が行われず、当選役に対応する図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態が維持されることから、この禁止状態が続く限り、何度でもリール4を停止させたり、又、停止したリール4の回転を始動させたりでき、このような禁止状態が練習ゲーム期間として提供されることになる。
【0029】
このような入賞判定動作を禁止する禁止状態を含むゲーム中断の始期、すなわち練習ゲーム期間の始期は、当選役に対応する図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態にあるゲーム中であれば、特に限定されるものではない。例えば、権利保有ゲーム中の任意のタイミングを始期とすることもでき、また、権利保有ゲーム中において開始ボタン6aが操作されたときを始期することもできる。また、練習ゲームを実行可能な権利保有ゲームを抽選処理により決定することもできる(例えば、特定の当選値で当選したボーナス役のみなど)。
また、このゲーム中断の始期では、権利保有ゲーム中のどのような状態でゲームを中断したのかが分かる中断情報をRAM等の記憶手段に記憶する。
この中断情報は、ゲーム中断開始時におけるスロットマシン1の状態を示す情報であって、例えば、ゲーム中断開始時における、投入メダル数、スタートレバー3の操作の有無(未/済)、各リール4の状態(回転中/停止位置)、停止ボタン5ごとの操作の有無(未/済)などからなる情報である。
【0030】
また、入賞判定動作を禁止する禁止状態を含むゲーム中断の終期、すなわち練習ゲーム期間の終期は、所定時間の終了、リール4の停止回数、リール4が当選役に対応する図柄の組合せで停止したとき、その図柄の組合せで所定回数停止したとき、及びその図柄の組合せで連続して所定回数停止したとき、キャンセルボタン6bが操作されたときなどを終期とすることができる。特に、目押し練習の趣旨からいうと、その目的の達成したこと、すなわち当選役に対応する図柄の組合せで(所定回数、所定回数連続して)停止したことを終期条件とすることが好ましい。
【0031】
そして、このようなゲーム中断状態では、メイン制御部10が練習ゲーム実行手段として動作することにより、通常のスロットマシン遊技と同様に、回転中のリール4を停止ボタン5の操作により停止させたり、停止しているリール4をスタートレバー3の操作により回転させたりできる、練習ゲームを行うことができる。
この場合の停止ボタン5の操作に基づくリール4の停止制御では、通常のスロットマシン遊技と同様、権利保有状態にある当選役に対応する図柄の組合せとなるように各リール4が停止制御されるようになっており、例えば、当選役がビッグボーナス役であるならば、「7」図柄が入賞判定ラインL上に停止するようにリール4が制御されることから、「7」図柄を狙った実践的な目押しの練習が本番ゲーム中にできるようになっている。
【0032】
さらに、このような練習ゲーム中では、メイン制御部10が練習停止図柄判定手段として動作することにより、入賞判定処理は行われないものの、停止した図柄の組合せの判定を行う。
この練習停止図柄判定手段としての動作により、当選役に対応する図柄の組合せがいずれかの入賞判定ラインL(L1〜L5)上に停止した否かの判定が行われる。
これにより、当選役に対応する図柄の組合せがいずれかの入賞判定ラインL(L1〜L5)上に停止したときには、それを祝福する祝福演出動作が実行され、例えば、液晶表示器8の窓枠8a外に、「Good」などのメッセージが表示され、スピーカ9から「やったね!」などの音声が出力される。
【0033】
また、このような練習ゲームは、主に目押しに不慣れな初心者用に用意されたものであることから、初心者の心情を考慮した初心者用動作を付加することもできる。
さらに、目押しを得意とする熟練遊技者でも練習ゲームを楽しめるように、熟練者用動作も付加することもできる。
【0034】
初心者用動作として、以下のような動作を付加することができる。
例えば、初心者などの目押しに不慣れな遊技者は、練習ゲームを行っていることを周囲の遊技者に悟られたくないことから、前述したような祝福演出動作を、例えば、専用のキャンセルボタンや、既存のベットボタン2a等の操作により、キャンセル(停止)することもできる。このときには、告知表示部8aも告知画像の表示状態から消灯状態に変化することが好ましい。
また、リール上における当選役に対応する図柄の識別能力は、リール4a〜4cごとに異なる場合があることから、遊技者の操作により練習を希望するリール4を選択可能とすることもできる。
この選択は、選択ボタン6cの操作により選択でき、例えば、操作なしで全リール選択、1回の押下操作でリール4aを選択、2回の押下操作でリール4bを選択、3回の押下操作でリール4cを選択、4回の押下操作で全リール選択というように、押下操作数に従って、練習を希望するリールを選択することもできる。
さらにこの場合、選択されたリール4が当選役に対応する図柄で停止する度に、選択リールを1つずつ増加させるステップアップ練習処理を実行することもできる。
【0035】
一方、熟練者用動作として、以下のような動作を付加することができる。
例えば、目押しの技量を高める目的で、当選役に対応する図柄の組合せを停止させる入賞判定ラインLを、L1〜L5のいずれかの入賞判定ラインLに限定させることもできる。
このような入賞判定ラインLの限定は、液晶表示器8の窓枠8a外において、限定する入賞判定ラインLを示唆する表示を行わせることで実現できる。
また、所定時間内又は所定回数内に、何回、当選役に対応する図柄の組合せを停止させることができるかを遊技者にチャレンジさせることもできる。この所定時間又は所定回数、及び達成停止回数は、液晶表示器8の窓枠8a外に表示(所定時間又は所定回数は、秒数又は数字のカウントダウン、達成停止回数は数字のカウントアップなど)させることもできる。
このような熟練者用動作は、例えば、専用の選択ボタンや既存のベットボタン2a等の操作により開始可能とすることもできる。
【0036】
さらに、上記のような入賞判定ラインLの限定、停止回数のチャレンジなどの熟練者用動作において、予め設定された目標を達成したときには、その遊技者に特典を付与することもできる。
目標達成により付与される特典としては、練習ゲーム終了後のスロットマシン遊技における演出動作において、例えば、液晶表示器8に表示される演出内容を変更したり(例えば、プレミアム画面が出現しやすくなる)、ボーナス遊技移行時におけるファンファーレ音を特殊な楽曲に変更させたり、ボーナス役の当選確率に係る6段階設定確率を示唆する演出動作を行うこともできる。
また、他の特典として、目標の達成により、特設サイトのURL情報を含む二次元コードを液晶表示器8に表示させることもできる。この特設サイトは、達成停止回数などのチャレンジ結果、及び遊技者名などを公開可能に構成され、遊技者の所持する携帯電話等の通信端末に備えるカメラにより二次元コードを撮影するとともに特設サイトに通信接続することにより、チャレンジ結果、及び遊技者名を送信して投稿することもできる。
このような特典を付与することにより、目押しを得意とする熟練遊技者でも練習ゲームを楽しむことができる。
【0037】
以上のような練習ゲームは、練習ゲーム実行手段として動作するメイン制御部10が終期条件を監視し、終期条件の成立により、中断した権利保有ゲームを再開する。
メイン制御部10は、例えば、制限時間(例えば、制限時間5分)、リール4の停止回数、リール4が当選役に対応する図柄の組合せで停止したとき、その図柄の組合せで所定回数停止したとき、その図柄の組合せで連続して所定回数停止したとき、キャンセルボタン6bが操作されたときなどの終期条件を監視し、終期条件の成立により中断した権利保有ゲームを再開する。再開にあたり、少なくとも入賞の有無の判定動作を禁止した禁止状態を解除することにより、入賞判定処理を実行可能な状態に復帰させる。
これにより、当選役に対応する図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態にあるゲーム中に再び復帰することになり、練習ゲームで会得した感覚を維持したまま本番ゲームに臨むことができることから、目押しの成功率を飛躍的に高めることができる。
【0038】
そして、再開のタイミングでは、ゲーム中断の始期においてRAM等の記憶手段に記憶した中断情報を参照して、スロットマシン1の状態をゲーム中断開始時の状態に復帰させる。
例えば、ゲーム中断開始時においてリール4が回転中であったならば、権利保有ゲームの再開にあたり、リール4を回転中に復帰させる。その後、回転中のリール4に対応する停止ボタン5が操作されることによりリール4が停止し、その停止図柄の組合せに基づいて入賞の有無が判定されることになる。
判定の結果、ボーナス図柄の組合せで停止すると、ボーナス遊技に移行することになる。
一方、ボーナス図柄の組合せで停止しない場合には、ボーナス役の当選を持ち越した状態でありながらもゲーム中ではなく、ゲームが開始可能となる条件成立前の状態、すなわち、ボーナス当選持ち越し中のメダル投入待ち状態となる。
このメダル投入待ち状態から、メダル投入に係る操作(少なくともメダル1枚の投入操作)、又は、メダル投入に係る操作によりゲーム開始可能な条件が成立した状態、又は、ゲーム開始可能な条件成立後のスタートレバー3が操作されると、そのいずれかのタイミングから再びボーナス図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態にある権利保有ゲーム中に移行することになる。
このような権利保有ゲーム中に移行することにより、無条件に練習ゲームを再開することもできるし、開始ボタン6aが操作されることを条件に、練習ゲームを再開することができる。
【0039】
以上説明したように、リール4を用いた練習ゲームは、所定の当選役に対応する図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態にあるゲーム中に行うことができ、練習ゲーム中に習得した技量を即座にその本番ゲーム中に試すことができ、練習により会得した感覚を維持したまま本番に臨むことができることから、目押しの成功率を飛躍的に高めることができる。
さらに、その本番ゲーム中は、既にメダルが投じられた状態であることから、無駄なメダルを費やさずに練習することもできる。
【0040】
[画像リール練習ゲーム]
画像リールを用いた練習ゲームは、ゲームが開始可能となる所定の条件成立前において、行うことができる。
【0041】
ゲームが開始可能となる所定の条件成立前とは、前述したゲーム中を除いたスロットマシン1の状態をいい、例えば、メダル投入に係る操作が行われる前のメダル投入待ち状態、又は、メダル投入に係る操作が行われたとしても、少なくともスタートレバー3が操作される前まで状態(投入メダルが返却可能な状態)などのことをいう。
このような状態では、例えば、開始ボタン6aが操作されることを開始条件(始期条件)として、画像リールを用いた練習ゲームを開始することができ、メダル投入を練習ゲーム開始条件とはしない。
また、時間(例えば、制限時間5分)、リール4の停止回数、リール4が当選役に対応する図柄の組合せで停止したとき、当選役に対応する図柄の組合せで所定回数停止したとき、当選役に対応する図柄の組合せで連続して所定回数停止したとき、キャンセルボタン6bが操作されたときなどを終期条件とし、その成立により画像リールを用いた練習ゲームを終了させることもできる。
【0042】
前述したリール4を用いた練習ゲームでは、メイン制御部10が、練習ゲーム実行手段、練習停止図柄判定手段として動作したが、画像リールを用いた練習ゲームでは、サブ制御部20がメイン制御部10に代わってこれらの手段として動作する。
また、練習ゲーム中は、液晶表示器8の窓枠8a内が非透過状態となるように制御され、リール4が視認不能又は視認可能でありながら見づらい状態となるとともに、リール4を画像に置き換えた画像リールが表示される。
画像リールは、リール4の外観を模したもので、リール4と同様に三つのリールから構成されるとともに、それぞれのリール上に表示される図柄の種類、その配置、及び配置間隔はすべてリール4と同一のものが好ましい。一方、画像リールに表される個々の図柄の外形、大きさ等を含む形態は、リール4に表される個々の図柄を連想可能な程度に類似しているものでもよいし、同一のものでもよい。
また、画像リールの動作もリール4の動作を模したものとなっており、例えば、スタートレバー3の操作により、リール4と同様な動作により画像リールの変動が開始し、停止ボタン5の操作により、リール4と同様な動作により画像リールが停止制御される。
さらに、前述したスロットマシン遊技の進行を伴って行われる、遊技を盛り上げる所定の演出動作も再現される。
また、スタートレバー3の操作に基づいて、メイン制御部10が行うと同様な抽選処理をサブ制御部20が行い、停止ボタン5の操作により、その当選役に対応する図柄の組合せで停止するように、画像リールを停止制御することもできる。この場合、目押しの練習のためには、抽選処理ごとに当選した当選役に対応する図柄の組合せを液晶表示器8において表示することが好ましい。
また、画像リールを用いた練習ゲームでは、当選役をボーナス役に固定し、ボーナス役に対応するボーナス図柄の組合せで停止するように、画像リールを停止制御することもできる。
このように、画像リールを用いた練習ゲームでは、現物のリールか画像のリールかの違いはあるものの、リール回転・停止に係る操作方法のみならず、リール4の外観及び動作を、画像上で忠実に再現したものとなっている。また、リール4を用いた練習ゲームで採用された祝福演出動作、初心者用動作、及び熟練者用動作等も、画像リールを用いた練習ゲームにおいて採用することもできる。
【0043】
このような画像リールを用いた練習ゲームは、ゲームが開始可能となる所定の条件成立前であれば、メダルを投入することなくいつでも行うことができるものの、練習ゲーム可能な期間を限定することもできる。
例えば、ゲームが開始可能となる所定の条件成立前であって、前述したボーナス役の当選を持ち越した状態、すなわち、ボーナス当選持ち越し中のメダル投入待ち状態においてのみ、画像リールを用いた練習ゲームを可能とすることもできる。
長い時間に亘りメダルを投入することなく練習ゲームが行われることは、遊技場の経営上好ましいとはいえないことから、このような練習ゲーム期間の限定により、メダル投入に基づくスロットマシン1の稼動を確保しながら、初心者にとって本番ゲーム前の最適なタイミングを練習ゲーム期間として提供できる。
【0044】
以上説明したようなリール4を用いた練習ゲーム及び画像リールを用いた練習ゲームは、メイン制御部10において実行される練習ゲーム実行処理に基づいて実現される。
以下、練習ゲーム実行処理、これより呼び出されるサブルーチン処理であって、メイン制御部10において実行される回動リール練習処理、及びサブ制御部20において実行される画像リール練習処理について、図4図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
練習ゲーム実行処理では、図4に示すように、まず、ゲーム中か否かの判定を行い(S1)、ゲーム中でないとき(S1−No)、つまり、ゲームが開始可能となる所定の条件成立前であるときには、開始ボタン6aの操作の有無を監視する(S2)。
開始ボタン6aが操作されない限り(S2−No)、ゲーム中か否かの判定を行い(S1)、開始ボタン6aが操作されると(S2−Yes)、画像リールを用いた練習ゲームを提供可能とする画像リール練習処理を実行し(S3:後述)、処理を終了する。
一方、ゲーム中と判定されたときには(S1−Yes)、さらに所定の当選役として、ボーナス役に当選したか否かの判定を行う(S4)。
ボーナス役に当選していないときには(S4−No)、処理を終了し、一方、ボーナス役に当選しているとき(S4−Yes)、つまり、当該ゲームの抽選処理においてボーナス役に当選、又は、当該ゲーム以前のゲームにおいてボーナス役に当選してボーナス当選を持ち越したゲーム中であるときには、さらに、キャンセルボタン6bの操作の有無を監視する(S5)。
キャンセルボタン6bが操作されない限り(S5−No)、回動リール練習処理を実行して(S6:後述)、処理を終了し、キャンセルボタン6bが操作されると(S5−Yes)、そのまま処理を終了する。
このように練習ゲーム実行処理が実行されることにより、ゲーム中であって所定の当選役に当選した状態か、それとも、メダル投入待ちなどのゲーム中でない状態かが判断され、判断結果に応じた練習ゲームを提供することができるようになっている。
【0046】
回動リール練習処理は、練習ゲーム実行処理(S6)において呼び出され、メイン制御部10において実行されるサブルーチン処理であり、この処理では、図5に示すように、まず、ゲームの進行を中断すべく入賞判定処理が無効化され(S10)、練習ゲームが提供可能な状態となる。
次いで、練習ゲームの終了条件(終期条件)がセット(RAM等に設定)される(S11)。練習ゲームの終了条件は、時間(例えば、制限時間5分)、リール4の停止回数、リール4が当選役に対応する図柄の組合せで停止したとき、当選役に対応する図柄の組合せで所定回数停止したとき、当選役に対応する図柄の組合せで連続して所定回数停止したとき、キャンセルボタン6bが操作されたときなどである。
続いて、選択ボタン6cの操作の有無を監視する(S12)。選択ボタン6cが操作されると(S12−Yes)、押下操作数に従ったリール4が選択リールとしてセット(RAM等に設定)され(S13)、選択ボタン6cが操作されないときには(S12−No)、全てのリール4がセットされ(S14)、セットされたリール4を練習用リールとした練習ゲームが開始可能となり、その後、練習ゲームの終了条件が成立しない限り、練習ゲームが実行可能となる(S15)。
練習ゲーム中は、選択されたリール4の停止ごとに、入賞判定ラインL上にボーナス図柄の組合せが停止するか否かの判定が行われる(S16)。
ボーナス図柄の組合せが停止すると(S16−Yes)、ボーナス図柄停止処理を行う(S17)。ボーナス図柄停止処理では、例えば、前述した祝福演出動作などが実行される。
次いで、練習ゲーム中は、リール4の停止タイミングに限らず(制限時間を練習ゲームの終了条件とする場合があるため)、練習ゲームの終了条件(終期条件)が監視され(S18)、終了条件が成立しない限り(S18−No)、練習ゲームが実行可能となり(S15)、終了条件が成立すると(S18−Yes)、無効化した入賞判定処理を有効化させることにより(S19)、練習ゲームを終了させ、本番ゲームに復帰する。
【0047】
画像リール練習処理は、練習ゲーム実行処理(S3)において呼び出され、サブ制御部20において実行されるサブルーチン処理であり、この処理では、図6に示すように、まず、窓枠8a内に画像リールを表示し(S20)、リール4を視認不能又は視認可能でありながら見づらい状態とする。その後、S21〜S28の各処理を実行する。これらの処理は、回動リール練習処理におけるS11〜S18の各処理と同様な処理となっていることから、ここでの説明を省略する。
そして、終了条件が成立すると(S28−Yes)、窓枠8a内の画像リールを消灯するとともに(S29)、練習ゲームを終了させる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1によれば、所定の当選役に対応する図柄の組合せでリール4が停止する権利を保有した状態にある本番ゲーム中に練習ゲームに行うことができ、この練習ゲーム中に習得した技量を即座にその本番ゲーム中に試すことができ、練習により会得した感覚を維持したまま本番に臨むことができることから、目押しの成功率を飛躍的に高めることができる。
さらに、その本番ゲーム中は、既にメダルが投じられた状態であることから、改めて無駄なメダルを費やさずに練習することもできる。
また、このような本番ゲーム中のみならず、メダル投入待ち状態のようなゲームが開始可能となる所定の条件成立前においては、画像リールを用いながらも、リール4の外観及び動作を忠実に再現した練習ゲームを、メダルを費やすことなく行うことができることから、実際のスロットマシン遊技と同じ感覚で練習ゲームを楽しむことができる。
また、新たに遊技場に導入されたスロットマシン(新台)等に対して、出玉特性、演出動作等の知識を事前に持ち合わせることなく試し打ちを行うことは遊技者にとって不安であるものの、このようにメダルを費やすことなくスロットマシン遊技を再現した練習ゲームを提供可能とすることにより、試し打ちに対する不安を払拭することができる。
すなわち、スロットマシンの目押し練習のための練習ゲームは、本番ゲームにおいて目押しの成功を確実に達成させる目的で行うものであることから、本番ゲーム中に実践的に行えることが好ましい。本番ゲーム中とは、上述したようなボーナス役に当選した状態、すなわち、ボーナス役に当選したそのゲーム中、又は、それ以降のゲーム中であって未だボーナス図柄の組合せでリールが停止していないゲーム中であり、このような本番ゲーム中に目押しの練習を行うことができれば、習得した技量を即座にそのゲーム中に試すことができ、練習により会得した感覚を維持したまま本番に臨むことができることから、目押しの成功率を飛躍的に高めることができる。
さらに、その場合、本番ゲーム中であれば、既にメダルが投じられた状態であることから、無駄なメダルを費やさずに練習することもできる。
このように本番ゲーム中に目押しの練習ができれば、多数のメリットがあるものの、従来は、上述した特許文献1に示されるように、未だ本番ゲーム中に練習ゲームを提供させるスロットマシンは提案されていなかった。
これに対して、本発明のスロットマシンでは、所定の当選役に対応する図柄の組合せでリールが停止する権利を保有した状態にあるまさに本番ゲーム中に、練習ゲームを実行することができるので、練習により会得した感覚を維持したまま本番に臨むことができ、目押しの成功率を飛躍的に高めることができる。
【0049】
以上、本発明のスロットマシンの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るスロットマシンは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0050】
例えば、本実施形態では、ボーナス役を所定の当選役としたが、他の抽選役(ハズレを含む)を、所定の当選役とすることもできる。
また、練習ゲーム中は、停止ボタン5の操作タイミング(当選役に対応する図柄の停止タイミング)を示唆する演出動作(例えば、操作タイミングで入賞判定ラインを点灯、音声で操作タイミングを知らせるなど)を行うこともできる。なお、本番ゲーム中は、停止ボタン5の操作タイミングを示唆する演出動作は行わない。
また、練習ゲーム中は、目押しの練習を行うことが目的なので、停止ボタン5の操作によりリール4及び画像リールが停止すれば足りることから、リール4及び画像リールは、スタートレバーを操作することなく自動的に始動(例えば、停止後、1秒後に始動など)してもよい。
【0051】
また、メダルを遊技媒体とするスロットマシンのみならず、遊技球を遊技媒体とするパロット(パチロット)にも本発明を適用することもできる。
また、現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてスロットマシン遊技を実行可能な、いわゆる封入式スロットマシンにも本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1 スロットマシン
2 メダル投入口
2a ベットボタン
3 スタートレバー
4 (4a,4b,4c) リール(回動リール)
5 (5a,5b,5c) 停止ボタン
6a 開始ボタン
6b キャンセルボタン
6c 選択ボタン
7 メダル払出装置
8 液晶表示器(画像リール)
8a 窓枠
8b 告知表示部
8d スピーカ
10 メイン制御部(抽選手段、入賞判定手段、ゲーム中断手段、練習ゲーム実行手段、練習停止図柄判定手段)
20 サブ制御部(抽選手段、練習ゲーム実行手段、練習停止図柄判定手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6