(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145710
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】フードの構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/10 20060101AFI20170607BHJP
B60R 21/34 20110101ALI20170607BHJP
【FI】
B62D25/10 E
B60R21/34
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-235697(P2013-235697)
(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公開番号】特開2015-93639(P2015-93639A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 篤史
(72)【発明者】
【氏名】田中 良樹
(72)【発明者】
【氏名】林下 裕志
(72)【発明者】
【氏名】開米 和裕
【審査官】
林 政道
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−079386(JP,A)
【文献】
特開平11−198858(JP,A)
【文献】
特開2013−123959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/10−25/13
B60R 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の外観意匠を構成するフードアウタパネルの裏側に該フードアウタパネルを支えるフードインナパネルが固定されており、該フードインナパネルの後端がヒンジ構造を介して上下回動可能にボディに連結されたフードの構造であって、
前記フードインナパネルは、側部前端が湾曲形状をなし、この湾曲形状部を介して側部と前部とがなめらかに連続する外形であり、
前記フードインナパネルの縁には、前記フードを閉じた状態で上面側から見て谷折りとなっている第1の谷折り曲げ線と、該第1の谷折り曲げ線よりも内側に位置する第1の山折り曲げ線とが、前記フードインナパネルの外形に沿う方向に延びて側部から前記湾曲形状部を経由して前部に亘って形成されており、
前記湾曲形状部には、前記第1の谷折り曲げ線と前記第1の山折り曲げ線との間に棚部を形成する第2の山折り曲げ線と第2の谷折り曲げ線とが、前記第1の山折り曲げ線と前記第1の谷折り曲げ線に沿う方向に延びて形成されており、
前記湾曲形状部には、前記棚部よりも外方に位置する前記第1の谷折り曲げ線と前記第2の山折り曲げ線とに交差して前記第1の谷折り曲げ線と前記第2の山折り曲げ線とをそれぞれ延び方向に分断するスリットが形成されていることを特徴とするフードの構造。
【請求項2】
請求項1に記載のフードの構造であって、
前記フードインナパネルは、後端の両側部が前記ヒンジ構造を介して前記ボディに連結されており、
前端中央に前記ボディと係合してフードを閉止するための係合部を備え、
前記第1の谷折り曲げ線と前記第1の山折り曲げ線は、前記ヒンジ構造による前記ボディに対する連結部位付近から、前部中央の前記係合部に亘って形成されていることを特徴とするフードの構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のフードの構成であって、
前記スリットは、前記第1の谷折り曲げ線と前記第2の山折り曲げ線の湾曲形状の内外方向に延びる長穴であり、前記第1の谷折り曲げ線と前記第2の山折り曲げ線の延び方向に間隔をおいて複数形成されていることを特徴とするフードの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフードの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のエンジンルームを覆うフードの構成として、自動車の外観意匠を構成するフードアウタパネルの裏側に該フードアウタパネルを支えるフードインナパネルが固定されており、該フードインナパネルの後端がヒンジ構造を介して上下回動可能にボディに連結されているものがある。このようなフードは、閉じる際には、開放端縁がエンジンルームの開口端縁に受け止められるため、開放端側の前部に対してより大きな衝撃が加わる。そのため、その閉じる際の衝撃に耐えることのできる耐久強度が要求される。その一方で、車両の前部に歩行者が衝突した場合には、フードが潰れることで衝撃を吸収することが望まれる。
【0003】
これに関連し、フードを閉じる際の衝撃に対する補強と、歩行者保護とを目的としたフードが特許文献1に開示されている。特許文献1のフードは、フードを閉じた状態でロックするためにフードの前端中央に設けられたストライカの位置にて、フードアウタパネルとフードインナパネルとの間に補強部材が配されており、この補強部材がフードアウタパネルの裏面に沿って後方に延設されている。このフードの構造によれば、閉じる際により大きな衝撃が加わるストライカの位置を補強することができる。また、歩行者保護の観点でみると、補強部材が後方に延びて形成されていることで、歩行者が車両の前部中央に衝突したとき、フードが変形する場合には、局所でなくより広範囲が変形することで、変形開始後まもなく底付きになるのを免れ、効率よく衝撃を吸収することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−212510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1のフードは、歩行者が衝突してフードが潰れた場合に、その潰れ方をコントロールして衝撃吸収効率を向上させることはできるが、フードアウタパネルが補強部材により裏面側から補強され、全体として潰れにくくなっているため、必ずしも歩行者が受ける衝撃荷重を小さくすることができるものではなかった。歩行者保護の観点では、フードを潰れやすくすることで、歩行者が受ける衝突荷重を小さくすることがより有効である。しかし、上記特許文献1のフードの構造は、閉じる際の衝撃に対する耐久性と、潰れやすさという背反する性能を両立するものではなかった。
【0006】
ところで、自動車に歩行者が衝突する場合、車両の斜め前方に衝突することも大いに想定される。しかし、上記従来のフードの構造は、車両の斜め前方に歩行者が衝突することには着眼されていない。
【0007】
そこで、本発明は、特に車両の斜め前方位置に歩行者が衝突する場合を想定し、フードを閉じる際の衝撃に対する耐久性を確保しながらも、歩行者が衝突した際にフードを潰れやすくすることで歩行者保護性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、自動車の外観意匠を構成するフードアウタパネルの裏側に該フードアウタパネルを支えるフードインナパネルが固定されており、該フードインナパネルの後端がヒンジ構造を介して上下回動可能にボディに連結されたフードの構造であって、前記フードインナパネルは、側部前端が湾曲形状をなし、この湾曲形状部を介して側部と前部とがなめらかに連続する外形であり、前記フードインナパネルの縁には、前記フードを閉じた状態で上面側から見て谷折りとなっている第1の谷折り曲げ線と、該第1の谷折り曲げ線よりも内側に位置する第1の山折り曲げ線とが、前記フードインナパネルの外形に沿う方向に延びて側部から前記湾曲形状部を経由して前部に亘って形成されており、前記湾曲形状部には、前記第1の谷折り曲げ線と前記第1の山折り曲げ線との間に棚部を形成する第2の山折り曲げ線と第2の谷折り曲げ線とが、前記第1の山折り曲げ線と前記第1の谷折り曲げ線に沿う方向に延びて形成されており、前記湾曲形状部には、前記棚部よりも外方に位置する前記第1の谷折り曲げ線と前記第2の山折り曲げ線とに交差
して前記第1の谷折り曲げ線と前記第2の山折り曲げ線とをそれぞれ延び方向に分断するスリットが形成されていることを特徴とする。
【0009】
このフードの構造では、フードインナパネルの縁に、側部から湾曲形状部を経由して前部に亘って第1の谷折り曲げ線と第1の山折り曲げ線とが形成されており、湾曲形状部においては、これらの折り曲げ線の間において棚部が形成される位置関係で、これらの折り曲げ線に沿う方向に延びる第2の山折り曲げ線と第2の谷折り曲げ線とが形成されている。そして、この湾曲形状部では、スリットが、より外方に位置する二条の折り曲げ線(第1の谷折り曲げ線と第2の山折り曲げ線)に交差するように形成され、これら二条の折り曲げ線が延び方向に分断されている。それにより、湾曲形状部においては、より外方の折り曲げ線形成箇所が脆弱化して変形しやすくなっており、車両の斜め前に歩行者が衝突した際、その衝突荷重がフードに対して斜め上方から加わったときにより外側に位置する第1の谷折り曲げ線と第2の山折り曲げ線が曲げ線が伸びるように大きく変形することで、衝突荷重を吸収することができる。しかしながら、湾曲形状部には、その脆弱化した部分のすぐ内側に、第1の山折り曲げ線と第2の谷折り曲げ線との二条の折り曲げ線が分断されずに連続して形成され、フードを閉じる衝撃に対して板面形状を保持するのに足る剛性が確保され、開閉耐久性に優れる。すなわち、第1の山折り曲げ線は、側部から湾曲形状部を経由して前部に亘って連続して延びており、剛性を向上させている。そして、湾曲形状部では分断されているが側部から湾曲形状部を経由して前部に亘って形成されている第1の谷折り曲げ線に対し、第2の谷折り曲げ線が湾曲形状部での連続性を補う。つまり、側部及び前部の第1の谷折り曲げ線と湾曲形状部の第2の谷折り曲げ線とで、一連の折り曲げ線のような補強効果を発揮し、これによっても剛性が向上している。したがって、通常使用時にフードを閉じる際の衝撃に対する耐久性を確保しながらも、車両の斜め前に歩行者が衝突した場合における歩行者保護性能を向上ることができる。
【0010】
このフードの構造では、フードインナパネルは、後端の両側部がヒンジ構造を介してボディに連結されており、前端中央にボディと係合してフードを閉止するための係合部を備え、第1の谷折り曲げ線と第1の山折り曲げ線は、ヒンジ構造によるボディに対する連結部位付近から、前部中央の前記係合部に亘って形成されているのが好ましい。
【0011】
この場合、第1の山折り曲げ線、及び連続しているかのように機能する第1の谷折り曲げ線と第2の谷折り曲げ線とによって、より確実に開閉耐久性が向上する。
【0012】
また、スリットとしては、第1の谷折り曲げ線と第2の山折り曲げ線の湾曲形状の内外方向に延びる長穴を、第1の谷折り曲げ線と第2の山折り曲げ線の延び方向に間隔をおいて複数形成することができる。
【0013】
この場合、スリットの幅、数及び間隔を調整することで、フードインナパネルの凹みやすさを容易に調整して、歩行者保護性能を的確に向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フードを閉じる際の衝撃に対する耐久性を確保しながらも、車両の斜め前方に歩行者が衝突したときの歩行者保護性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るフードの構造を備える自動車の前部斜視図である。
【
図2】
図1に示されるフードの内側に配されたフードインナパネルの平面図であり、フードを閉じた状態にて下面側から見た状態として示した図である。
【
図3】
図1に示されるフードの斜め前方位置の部分断面を、
図2に示されるフードのIII−III断面に対応して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜
図3を参照しながら、本発明のフードの構造について、具体的な実施形態を示して説明する。この実施形態は、本発明をいわゆるミニバンタイプの自動車Cに適用した一実施形態である。なお、図中の前後左右及び上下は、自動車Cにおける前後左右及び上下を表している。
【0017】
図1に示されるように、自動車Cの前部には、エンジンルームERが設けられている。そして、エンジンルームERの上部開口が、フード11によって開閉可能とされている。このフード11は、前端側がゆるやかに下方向に湾曲するように形成されている。フード11は、後部がヒンジ機構(図示省略)を介して自動車Cのボディに連結されており、そのヒンジ機構によって後部を中心として上下回動して開閉する構成とされている。そして、フード11の前端中央が、自動車Cのボディと係合するすることで、フード11が閉じた状態で保持されるようになっている。
【0018】
フード11は、
図3に示されるように、自動車Cの外観意匠を構成するフードアウタパネル13と、フードアウタパネル13を裏側から支えるフードインナパネル21とを備える。フードアウタパネル13の端縁が裏側に折り返され、フードインナパネル21がヘミング接合されている。
【0019】
フードインナパネル21は、フードアウタパネル13を裏側(エンジンルームER側)から支え、フードアウタパネル13を補強している。
図2に示されるように、フードインナパネル21の外形形状は、左右両側部21sは前後方向に延び、前部21fは中央がわずかに膨らむ円弧状となっている。そして、側部21sと前部21fとが湾曲形状を介して繋がっている。本明細書では、フードインナパネル21の外形が湾曲形状である側部前端部分、言い換えれば前部側端部分を、湾曲形状部23と称する。フードインナパネル21の後端の左右両側部には、ヒンジ取付穴25hが形成されており、フード11を回動可能に自動車Cのボディ連結するヒンジ機構のアーム25aが連結されている。一方、フードインナパネル21の前端には、中央にストライカ27が設けられている。ストライカ27は、エンジンルームER側に突出する略U字状であり、エンジンルームERの開口端縁に設けられたフードロックと係合する。それにより、フード11が閉じた状態で保持される。このストライカ27が本発明の係合部に相当する。また、フードインナパネル21の前端の比較的側方の湾曲形状部23に差し掛かる直近の位置の縁には、クッションゴム取付穴29,29が形成されており、クッションゴム(図示省略)がエンジンルームER側に突出するように取り付けられている。クッションゴムは、フード11を閉じた際にフード11とエンジンルームERの開口端縁に介装され、フード11を閉じる際の衝撃を緩和する。
【0020】
フードインナパネル21の中央部には、比較的大きな穴31が複数形成されている。そして、この比較的大きな穴31の周りには、これらの穴31よりは小さな穴33が複数形成されている。このようにフードインナパネル21の中央部にこれらの穴31、33が形成されていることにより、フード11が軽量化されるとともに、自動車Cの前部に衝突した歩行者がフード11に乗り上げた場合にはフード11が凹んで衝撃を吸収し、歩行者を保護することができる。
【0021】
フードインナパネル21には、その縁、すなわち中央部の軽量化及び歩行者保護に寄与する穴31、33が形成された領域よりも外側に、第1の山折り曲げ線41、第1の谷折り曲げ線43、第2の山折り曲げ線45、および第2の谷折り曲げ線47がフードインナパネル21の外形形状に沿って延びて形成されている(
図2及び
図3参照)。なお、本明細書では、フード11を閉じた状態において、自動車Cの上から見て谷折りとなっている折り曲げ線を谷折り曲げ線、山折りとなっている折り曲げ線を山折り曲げ線と称す。
【0022】
図2に示されるように、第1の山折り曲げ線41は、側部21s、湾曲形状部23、及び前部21fを廻るように形成されており、フードインナパネル21の後端の左右一側部に形成されたヒンジ取付穴25hのすぐ外側の位置から湾曲形状部23を経由して前部21fに亘り、前部21fでは、ストライカ27の外側を通って左右他側部側に連続し、左右他側部側の湾曲形状部23を経由し、左右他側部に形成されたヒンジ取付穴25hのすぐ外側の位置に至っている。第1の谷折り曲げ線43は、第1の山折り曲げ線41よりも外側において、第1の山折り曲げ線41と同様に後端の左右一側部に形成されたヒンジ取付穴25hの外側の位置から、湾曲形状部23、前部21f、左右他側部側の湾曲形状部23、そして左右他側部の後端に形成されたヒンジ取付穴25hに至るように形成されている。
【0023】
第2の山折り曲げ線45と第2の谷折り曲げ線47は、第1の山折り曲げ線41と第1の谷折り曲げ線43の間において、棚部49を形成する位置関係で形成されている。すなわち、
図3によく示されるように、折り曲げ線の位置関係は、内側から外側に、第1の山折り曲げ線41、第2の谷折り曲げ線47、第2の山折り曲げ線45、第1の谷折り曲げ線43の順で配置されている。
図2に示されるように、第2の山折り曲げ線45と第2の谷折り曲げ線47とは、それぞれ、ヒンジ取付穴25hの外側の位置から側部21sと湾曲形状部23とに亘って形成されており、湾曲形状部23全体を通って前部21fの側方位置に設けられたクッション取付穴29の近傍まで延び、互いに近づいて収束している。
【0024】
フードインナパネル21の湾曲形状部23には、スリット51が形成されている。スリット51は、湾曲形状部23の円弧形状の内外方向に細長い長穴として打ち抜いて形成されている。スリット51は、より外側に位置する第1の谷折り曲げ線43と第2の山折り曲げ線45と交差し、これらの折り曲げ線の延び方向に間隔をおいて複数形成されている。
【0025】
以上の構成のフード11によれば、以下の作用効果を奏する。
まず、フードインナパネル21の縁には、第1の山折り曲げ線41が、側部21s、湾曲形状部23、及び前部21fを廻って途切れなく連続して形成されており、フード11を閉じる衝撃に対して板面形状を保持することができるように補強されている。加えて、第1の谷折り曲げ線43は、湾曲形状部23でスリット51によって延び方向に断続しているが、湾曲形状部23には、第2の谷折り曲げ線47が連続して形成されており、第1の谷折り曲げ線43と第2の谷折り曲げ線47とで、一連の折り曲げ線のような補強効果を発揮することができる。これにより、フード11を閉じる際の衝撃に対する耐久性を確保することができる。そして、補強を担う第1の山折り曲げ線41と第1の谷折り曲げ線43とが、後端のヒンジ取付穴25hの近傍位置から前端中央のストライカ27の近傍位置に至って形成されていることで、その閉じる際の衝撃に対する補強効果が一層確実となっている。しかも、第1の山折り曲げ線41と第1の谷折り曲げ線43は、それぞれ後端の左右一側部から、その側部21s、湾曲形状部23及び前部21fを廻って左右他側部まで一続きとなっており、よりその補強効果はより一層確実となっている。
【0026】
一方、このフード11は、
図1に示されるように、自動車Cの斜め前方に位置に歩行者が衝突し、斜め上方から衝突荷重Fが加わった場合には潰れやすく、優れた歩行者保護性能を発揮することができる。すなわち、
図2に示されるように、自動車Cの斜め前方に位置するフードインナパネル21の湾曲形状部23は、補強を担う第1の山折り曲げ線41と、第2の谷折り曲げ線47よりも外側のより末端に近い位置にスリット51が設けられている。これにより第1の谷折り曲げ線43と第2の山折り曲げ線45が延び方向に分断され、これらの折り曲げ線による補強効果は発揮されず、脆弱化している。そのため、湾曲形状部23に対して斜め上方から衝突荷重Fが加わると、
図3に二点鎖線で示されるように、第1の谷折り曲げ線43と第2の山折り曲げ線45の曲げが伸びるように大きく変形することで、衝突荷重Fを吸収して歩行者を保護することができる。また、スリット51は、打ち抜いて形成されているため、フード11の軽量化にも寄与している。
【符号の説明】
【0027】
11 フード
13 フードアウタパネル
21 フードインナパネル
23 湾曲形状部
25a アーム
25h ヒンジ取付穴
27 ストライカ
41 第1の山折り曲げ線
43 第1の谷折り曲げ線
45 第2の山折り曲げ線
47 第2の谷折り曲げ線
49 棚部
51 スリット