(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る分包装置を、粉粒体として散剤を扱う分包装置を例として、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す分包装置の要部を抽出した概略平面構成図である。
【0016】
−構成概要−
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る分包装置1は、縦軸2回りに正・逆方向のいずれにも回転自在な回転テーブル3(
図5に示す)と、この回転テーブル3の上面に形成された環状載置部としての環状凹溝4に沿って均等に供給された散剤5を、環状凹溝4の周方向所定領域分ずつ回転テーブル3の径方向外方に向けて均等量ずつ切出すための切出機構6と、を備えている。前記各部は、分包装置1に設けられた不図示の制御部によって制御される。
【0017】
この実施形態における分包装置1は、駆動装置によって回転テーブル3を縦軸2回りに正方向(
図1に実線の矢印で示した時計方向R1)へと間欠的に回転させつつ、切出部切替機構12(
図5(a)参照)によって切出機構6を環状凹溝4の溝底面10に接触させて切出姿勢Aとして、散剤5を環状凹溝4から回転テーブル3の径方向外方に切出して分包するものである。
【0018】
また、この実施形態の分包装置1は、連続して分包する複数包のうちの1包目として分包される散剤5について、最初の切出しが行われるに先立ち、最終包として分包される散剤5を仕切板30から引き離すため、前記駆動装置によって回転テーブル3を一旦、縦軸2回りに逆方向(
図1に破線の矢印で示した反時計方向R2)へと回転させることができるように構成されている。そして、前記逆方向への回転後、前記駆動装置によって回転テーブル3を前記逆方向への回転と同じ周方向長さ分正方向に戻すことで、前記逆方向への回転で押し出された散剤5が仕切板30から引き離される。その後最初の切出しが行われる。ただし、この回転テーブル3の正方向への戻しを逆方向への回転と同じ周方向長さ分とすることは必須ではなく、異なる周方向長さ分とすることも可能である。
【0019】
−回転テーブル−
回転テーブル3は、不図示の回動駆動モータのパルス入力等による駆動によって縦軸2回りに均等な周方向長さごとに間欠的に回転するように構成されている。つまり、例えば77包の分包を行う場合、回転テーブル3は全周長さの1/77の長さごとに間欠的に回転する。これにより、分包装置1で分包された各分包体(前記では77包の分包体)にて均等な量の散剤5が包まれる。
【0020】
この回転テーブル3は、環状凹溝4に散剤5が供給される場合、及び、切出機構6により散剤5が切出される場合には正方向(
図1に実線の矢印で示した時計方向R1)に回転する。一方、この回転テーブル3は、制御部が指示した場合においては、後述のように逆方向(
図1に破線の矢印で示した反時計方向R2)に、所定の周方向長さ分回転し、続けて前記逆方向の回転と同じ周方向長さ分だけ正方向に回転する。
【0021】
図1に示すように、この回転テーブル3は環状に形成されている。回転テーブル3の内径側に転動ローラ17(
図5参照)が転動自在に設けられ、この転動ローラ17が回転テーブル3の内径部に接触しており、回転テーブル3の径方向外方には、不図示の前記回動駆動モータが設けられている。回転テーブル3には回転板22が一体に取付けられている。
図3に示すように、回転板22は内径側の平板部23と平板部23の外径側に一体的に形成されて下方に凸とされた断面円弧状の溝部24とから構成されており、溝部24の上面に前記環状凹溝4が形成されている。この環状凹溝4における溝底面10は、曲率中心を中心として下方に凸となる断面円弧状に形成されている。ただし、回転板22はこの実施形態のように断面円弧状の環状凹溝4を備えるものに限らず、散剤5の載置面が平面であったり、楕円形等、他の断面形状の溝を備えたものであったりしてもよい。
【0022】
ここで、回転テーブル3の上面に形成された環状凹溝4とは、回転テーブル3の上面に載置固定された回転板22の上面にある環状凹溝4を意味しており、回転テーブル3と回転板22とは一体物として構成してもよいし、図のように別体物を互いに固定するよう構成してもよい。なお、この実施形態における環状凹溝4の溝底面10における中心での径寸法は直径400mmとされている。
【0023】
−切出機構−
図5に示すように、切出機構6は環状凹溝4の溝底面10に接触する切出姿勢A(
図5(b)参照)と溝底面10から離間した離間姿勢B(
図5(a)参照)とに切替え自在に構成されている。環状凹溝4の溝底面10は、一定曲率の曲率中心を中心として下方に凸となる断面円弧状に形成されている。分包装置1には、切出機構6を前記切出姿勢Aと離間姿勢Bとの間で切替える切替装置が設けられている。
【0024】
図2は切出機構6を示す詳細図で、(a)は駆動伝達機構69を示す平面断面図、(b)は切出板31の平面図、(c)は切出機構6の正面図である。図示のように、前記切出機構6は、散剤5の切出しが行われる際に、環状凹溝4上の散剤5を堰止める堰止部として機能する円板状の仕切板30と、切出部として機能する切出板31と、カバー体31Aとを有する。これら仕切板30、切出板31、及びカバー体31Aはそれぞれ別体に設けられており、回転テーブル3(回転板22)の回転方向上流側から、カバー体31A、切出板31、仕切板30の順に接触して並設するよう配置されている。これにより、仕切板30、切出板31、及びカバー体31Aは一体とされている。
【0025】
−仕切板−
仕切板30は、正面視して環状に形成された仕切板本体33と、この仕切板本体33の外周辺部に径方向外方に突出するよう仕切板本体33に一体形成されたリング体34とを有する。リング体34は軟質材料で形成されている。この実施形態ではリング体34がシリコンゴムから形成されており、その外周辺部43が、溝底面10に接触可能とされている。外周辺部43の曲率は環状凹溝4の溝底面10の曲率と略一致している。
【0026】
リング体34は、仕切板本体33に固着するために仕切板本体33の外周部に環状の肉盛部59を有し、しかも肉盛部59の径方向外方には、仕切板本体33の径方向外方端面を仕切板本体33の片側面から巻込むようにして包んで仕切板本体33の径方向外方端面からさらに径方向外方に突出する環状の巻込部89が一体的に形成されている。このような巻込部89の外周辺部43が、仕切板本体33の径方向外方端面からさらに径方向外方に突出している。肉盛部59の径方向内方には、仕切板本体33に向けて傾斜する内方側傾斜面が形成されている。巻込部89の片側の側面には、隅切面としての環状の外方側傾斜面99(
図4参照)が形成されている。
【0027】
図4に示すように、仕切板本体33には、その中心部に中心穴33aが形成されている。中心穴33aの外周部には挿入穴36が形成されている。仕切板本体33の下流側には回転体35が隣接され、上流側には取付支持体54が隣接されている。回転体35および取付支持体54の対向平面上の挿入穴36に対応する部位に、挿入穴36と同径のピン穴35a,54aがそれぞれ形成されている。挿入穴36、ピン穴35a,54aにピン40が挿通されて仕切板本体33、回転体35、および取付支持体54は横軸、すなわち後述の回転伝達軸60回りに一体となっている。
【0028】
−切出板−
切出板31は、散剤5の切出しが行われる際に、仕切板30で堰き止められた散剤5を溝底面10から掻取って回転テーブル3の側方(径方向外方)に配置されているホッパー44(
図1、
図3参照)に切出しするためのものである。この切出板31は、切出板本体29と弾性ブレード45とスペーサ46,47とを有する。
【0029】
切出板本体29は、先端板部48と基端板部50とから一体に形成されており、先端板部48は基端板部50に比べて広幅に形成されている。切出板本体29は、先端板部48の基端板部50側から直角に落ち込む段付面51を有している。
【0030】
先端板部48には、さらに前方に向けて突出する前記弾性ブレード45が設けられている。弾性ブレード45は、溝底面10に接触して散剤5を掻取り(切出し)可能なように先端が鋭角に切断された板状に形成されており、弾性ブレード45は、先端板部48の幅B1に比べてわずかに大きく形成されるよう、先端板部48の幅方向両側に突出している。さらに、弾性ブレード45は、先端板部48の一方の側面を被覆する均一な厚みの被覆部53を形成するようにして、先端板部48に熱融着されて該先端板部48に固着されている。
【0031】
このような弾性ブレード45に連続して前記スペーサ46,47が一体的に形成されている。スペーサ46,47は、切出板本体29の両端面に、これに沿って均一な幅で延長されている。すなわちこの延長された幅方向の厚みB2は、弾性ブレード45における先端板部48の幅方向両側に突出している部分の厚みに実質的に等しいものである。
【0032】
基端板部50の板面には、複数の丸穴50aが形成されている。また、基端板部50の板面には、互いに所定距離だけ離間した平行な抜止突部52が固着(例えば熱融着による)されている。抜止突部52の厚みは被覆部53の厚みに等しく形成されている。なお、抜止突部52の断面形状は半球状に形成されており、被覆部53に比べて極めて薄い厚みのシート部31aを介して被覆部53に連続するよう形成されている。
【0033】
取付支持体54は切出板31を取付けるための部材でもあって、下流側を開放して上流側を封止した略円筒状に形成されている。取付支持体54の上流側壁54bに、切出板31の基端板部50をその幅方向で挿入支持するための支持凹部56が、取付支持体54の中心に対して所定距離L2だけ位置ずれして形成されている。
【0034】
この支持凹部56は切出板31の基端板部50の厚みに比べてわずかに厚く形成されるとともに、抜止突部52が挿入される半球状の抜止凹部57が支持凹部56に連続して形成されている。支持凹部56の深さは基端板部50の幅に実質的に等しく形成され、支持凹部56に切出板31の基端板部50を装着した際に、一方のスペーサ46が支持凹部56から上流側に突出するよう構成されている。また、基端板部50を装着した際に他方のスペーサ47が取付支持体54の下流側端面からさらに下流側に突出するよう構成されている。支持凹部56に基端板部50を装着すると、先端板部48が取付支持体54の径方向に沿うよう取付支持体54から突出するようになっている。
【0035】
−カバー体等−
カバー体31Aは正面視して略楕円形に形成されている。その径方向両側の湾曲部の曲率は溝底面10の曲率に実質的に一致するよう設定されており、基端側をピン41がカバー体31Aの板面に形成されたピン穴58に挿通することで、取付支持体54の上流側壁54bに重ねて取付けられている。
【0036】
回転体35、取付支持体54、カバー体31Aの中心には前記回転伝達軸60が挿通される回転伝達用穴部61a,61b,61cがそれぞれ形成されており、回転伝達用穴部61a,61b,61cに回転伝達軸60が内嵌嵌着されている。
【0037】
この回転伝達軸60の先端部はカバー体31Aの回転伝達用穴部61cから突出しており、中心にこの先端部に螺着する螺着穴部62を有するエンドキャップ63が取付けられている。エンドキャップ63は下流側を開放し、上流側を閉塞した断面円筒状に形成されており、回転伝達軸60の先端部に螺着穴部62を強固に螺着することで、エンドキャップ63の下流側外周縁部84はカバー体31Aの板面に圧接されている。これによって、回転体35、取付支持体54、切出板31及びカバー体31Aが回転伝達軸60の軸心方向の押圧力を受けて一体化されている。
【0038】
−駆動伝達機構・駆動装置−
回転伝達軸60の下流側端部に、回転伝達軸60に軸心回りの回転力を付与するための駆動伝達機構69が設けられている。また駆動伝達機構69に回転駆動力を付与するための駆動装置15が設けられている。
図1に示すように、この駆動装置15は、切出機構6に対して回転テーブル3の中心側に配置されている。この駆動装置15は、不図示の制御部により制御される。
【0039】
駆動伝達機構69及び駆動装置15は、双方に渡された伝達アーム部材70によって覆われている。伝達アーム部材70は、回転板22の中心側から回転板22の径方向に沿うようその径方向外方に延長されている。また、伝達アーム部材70は、基部側をその下部で回動自在に支持すべく基台18(
図5(a)参照)側に支持された後述の支軸部材183回りに回動自在に設けられている。
【0040】
駆動伝達機構69は、回転伝達軸60の下流側に外嵌固定された従動プーリー72等から構成されてなり、回転伝達軸60はその下流側の部分が、軸受73を介して伝達アーム部材70の両側板74の先部に挿通されている。
【0041】
図1及び
図3に示すように、駆動装置15は、回転駆動部75と、この回転駆動部75の動作を駆動伝達機構69側(すなわち切出機構6側)に伝達する伝達ベルト76とを有する。回転駆動部75は、伝達アーム部材70における回転テーブル3の中心側である基部の上面に載置するよう取付けられた回転駆動用モータ77と、回転駆動用モータ77から下方に突出するモータ軸78に取付けられたウオームギヤ80と、回転駆動用モータ77の下側方に配置されて回転伝達軸60と平行な回転中心軸81と、回転中心軸81の途中部分に外嵌されてウオームギヤ80と噛合する回転用ギヤ82と、回転中心軸81上の下流側に外嵌固定された駆動プーリー83とを有する。伝達ベルト76は、従動プーリー72と駆動プーリー83とに巻回されている。
【0042】
このような駆動伝達機構69及び駆動装置15の構成によれば、回転駆動用モータ77を回転駆動することにより、ウオームギヤ80がモータ軸78とともに回転してその回転が回転用ギヤ82に伝達され、回転用ギヤ82とともに回転中心軸81がその軸心回りに回転し、回転中心軸81に外嵌固定されている駆動プーリー83が共に回転し、その回転力が伝達ベルト76を介して従動プーリー72に伝達され、従動プーリー72とともに回転伝達軸60が回転して、回転伝達軸60に固定されている切出機構6の掻取り部が回転伝達軸60の軸心回りに回転し、切出板31によって溝底面10にある散剤5を回転テーブル3の径方向外方に掻取るようにして切出すことができる。
【0043】
−切出機構(その他の構成)−
前記構成の切出機構6において、回転伝達軸60の先端部にエンドキャップ63の螺着穴部62を強固に螺着することで、エンドキャップ63の下流側外周縁部84はカバー体31Aの板面に上流側から圧接されて、仕切板30、回転体35、取付支持体54、切出板31及びカバー体31Aが回転伝達軸60の軸心方向の押圧力を受けて一体化されるものであることは、前記の通りである。
【0044】
そして、切出板31の基端板部50を取付支持体54の支持凹部56に装着した際に、一方のスペーサ46が支持凹部56から上流側に突出するよう構成され、基端板部50を装着した際に他方のスペーサ47が取付支持体54の下流側端面からさらに下流側に突出するよう構成されているから、回転伝達軸60の先端部にエンドキャップ63の螺着穴部62を強固に螺着することで、一方のスペーサ46はカバー体31Aに上流側から圧接され、他方のスペーサ47は仕切板本体33の板面に下流側から圧接されることになる。
【0045】
スペーサ46,47は弾性体からなっているから、圧縮された分に相当するだけの弾性反発力が発生して、一方のスペーサ46はカバー体31Aを押圧し、他方のスペーサ47は仕切板本体33を押圧するから、切出板31と仕切板本体33、切出板31とカバー体31Aとの間に隙間が発生する余地はなくなる。
【0046】
このため、散剤5をホッパー44に切出すべく切出機構6を回転駆動させたとしても、切出板31と仕切板本体33、切出板31とカバー体31Aとの間に散剤5が噛込んでしまうという不都合を防止することができる。このように散剤5を分包する際に切出機構6の部材間に散剤5が残留することがないから、散剤5を少量分包させる場合であっても、必要な分包精度を確保することができる。
【0047】
また、仕切板30及び切出板31はそれぞれ別部材として組付けられているから、例えば使用によって(溝底面10を摺動することによって)リング体34や弾性ブレード45が損傷等した場合に、それぞれの部材は別々にメンテナンス(交換)をすることができることから、ランニングコストの上昇を抑えることができる。
【0048】
−切出部切替機構−
図5は切出部切替機構12を主とした正面図で、(a)は切出機構6を離間姿勢Bとした際の切出部切替機構12の正面図、(b)は切出機構6を切出姿勢Aとした際の切出部切替機構12の正面図である。
【0049】
この切出部切替機構12について説明する。
図5の各図に示すように、切出部切替機構12は、切出機構6における切出板31及び仕切板30の姿勢を切替えるための操作部であり、切出板31及び仕切板30が溝底面10に接触して散剤5を切出し可能な切出姿勢Aと、切出板31及び仕切板30が溝底面10から上方に離間して散剤5を切出し不可能な離間姿勢Bとに切替えるものである。この切出部切替機構12は、不図示の制御部により制御される。
【0050】
切出部切替機構12は、回転テーブル3の下方の基台18上で回転テーブル3の中心側に設けた駆動手段としての昇降用モータ85と、昇降用モータ85の駆動により回転伝達軸60と平行な昇降用横軸86回りに回転する昇降用カム87と、昇降用モータ85の駆動を昇降用カム87の昇降用横軸86回りの回転に変換する不図示の変換機構とから構成されている。
【0051】
昇降用カム87は、伝達アーム部材70の下方であってその長手方向途中に相当する領域に配置されており、その外周面が、平面部88と、曲率の大きい大曲率部90と、大曲率部90に比べて曲率の小さい小曲率部91とを有しており、平面部88の両側に大曲率部90が連続して形成されている。大曲率部90及び小曲率部91は、伝達アーム部材70の内部に設けられたカムローラ94の外周面に摺接可能であり、平面部88はカムローラ94には、接触不可能なように、大曲率部90及び大曲率部90の曲率、昇降用横軸86からカムローラ94までの距離等の関係が設定されている。
【0052】
すなわち、昇降用カム87の大曲率部90または小曲率部91がカムローラ94に接触している状態では、
図5(a)に示すように切出板31は離間姿勢Bであって溝底面10から離間している。一方、昇降用カム87の平面部88がカムローラ94にその下方で対向する状態では、
図5(b)に示すように仕切板30及び切出板31は切出姿勢Aであって溝底面10に接触している。
【0053】
−分包装置の動作−
次に、
図7(フロー図)とともに、前記構成の分包装置1の動作を説明する。この分包装置1では、制御部(不図示)の制御によって、切出機構6による散剤5の切出し動作がなされる。この切出し動作の他に、切出機構6及び溝底面10の清掃がなされるが、この清掃については構成及び動作の説明を省略する。
【0054】
切出機構6による散剤5の切出し動作について説明する。不図示の回動駆動モータを駆動して、回転テーブル3及び回転板22を縦軸2回りに正回転(
図1において時計方向R1)させつつ(ステップS1)、不図示のフィーダ等の供給手段によって散剤5を回転板22の環状凹溝4の全周に均等に振り撒くようにして供給する(ステップS2)。散剤5の供給終了(ステップS3)の後、回転テーブル3及び回転板22の回転を停止する(ステップS4)。
【0055】
この段階では、
図3に二点鎖線で示すように、切出機構6は離間姿勢Bとなっている。特に、切出機構6の離間姿勢Bは、
図5(a)に示すように、昇降用カム87の大曲率部90または小曲率部91がカムローラ94の外周面に当接していることで、伝達アーム部材70が支軸部材183回りに上方に回動してその姿勢が保持されている。
【0056】
そして、散剤5の供給を終え、回転テーブル3及び回転板22の回転を停止した後には、
図3に破線で示すように、切出機構6を切出姿勢Aとする(ステップS5)。切出機構6を切出姿勢Aとするには、切出部切替機構12を駆動することで行う。すなわち
図5に示すように、昇降用モータ85を駆動することで、昇降用カム87を昇降用横軸86回りに回転させてその平面部88をカムローラ94に下方で対向させて、昇降用カム87をカムローラ94に非接触とすることで可能となる。切出機構6の仕切板30及び切出板31は、離間姿勢Bから切出姿勢Aに至るまで横軸(回転伝達軸60)回りの回転をせず静止している。
【0057】
このようにして切出機構6を切出姿勢Aとした後、
図6(a)に示すように、回転テーブル3及び回転板22を方向R2に所定量逆回転させる(ステップS6)。なお、
図6(a)〜(c)は説明用の概略図であって、仕切板30の図示右方に実際には存在する散剤5の図示を省略している。前記所定量の逆回転は最後の分包等、分包終了近くの分包に影響を与えない程度に、仕切板30が環状凹溝4上の散剤5を押し出せる回転量であればよく、具体的には、環状凹溝4における溝底面10中央での周方向に沿う長さで表した場合、好ましくは1.5mm〜8mm、より好ましくは3mm〜7mmとする。この実施形態では5mm分、回転テーブル3及び回転板22が逆回転するように設定されている。この段階でも、切出機構6の仕切板30及び切出板31は横軸(回転伝達軸60)回りの回転をせず静止したままである。前記逆回転により、仕切板30の(回転テーブルの回転方向基準での)下流側面に位置する散剤5が、仕切板30により押し出されて下流側に移動する。
【0058】
前記のようにこの段階では、仕切板30のリング体34は環状凹溝4の溝底面10に接触しつつも横軸60回りに回転しない。このため、前記のように散剤5を仕切板30により押し出して下流側に移動させる際、仕切板30の下流側面に接触している散剤5が仕切板30の回転に導かれて環状凹溝から飛び出てしまうことを防止できる。なお、逆回転の回転量は、環状凹溝4の全周寸法に比べて僅か(1.5mm〜8mm)であるから、リング体34が環状凹溝4の溝底面10に接触しつつも横軸60回りに回転しない構成とした場合であっても、振動(ビビリ)及び騒音が発生し難い。
【0059】
前記逆回転は、薬剤師等のオペレータの指示(この実施形態では、分包装置1の操作パネル上で顆粒状散剤の分包を行う旨の指示を、操作パネルのタッチ操作等によりオペレータが行う(例えば操作パネル上の「顆粒分包」ボタンを押すこと))があった場合、分包指示に係る分包数が多い場合(この実施形態では77包以上の分包数がオペレータによって指示された場合)、環状凹溝4上に供給された散剤5の山の高さが規定高さよりも大きい場合(散剤5の山の高さは、例えば
図3に示すセンサSeにより検知される)、の3条件を全て満たした場合にのみなされる。なお、前記「オペレータの指示」の条件に関しては、これに代え、分包装置1の制御部等がオペレータにより入力された処方データを受信し、この処方データに薬剤が顆粒状散剤であることが含まれていることを条件としてもよい。
【0060】
前記逆回転がなされた場合は、逆回転の後、
図6(b)に示すように、回転テーブル3及び回転板22を前記と同一の所定長さ分、方向R1に正回転させる(ステップS7)。つまり、回転テーブル3及び回転板22と切出機構6との位置関係は前記逆回転がされる以前の位置関係に戻る。
【0061】
この正回転により、前記逆回転によって下流側に移動させられた散剤5の回転テーブルの正回転方向基準での上流側端部(つまり、散剤5の最終包側における「山」の端)5aと仕切板30との間が引き離されて隙間ができる。または、隙間ができるに至らなくても、散剤5の仕切板30に対する接触量が前記逆回転を行う以前と比べて減少する。
【0062】
前記の後、
図6(c)に示すように、通常の分包動作が開始される。つまり、切出機構6を横軸である回転伝達軸60回りに回転させることで、周方向所定領域にある散剤5を回転テーブル3の径方向外方に切出してホッパー44(
図1、
図3参照)に投入して不図示の分包機構で分包する(ステップS8〜S10)。この実施形態の切出機構6は、1分包ごとに1回転する(切出板31が環状凹溝4をひと掻きする)。なお、切出機構6を切出姿勢Aとした際には、回転伝達軸60の中心は、環状凹溝4の溝底面10の曲率中心よりもやや下方に位置するよう設定されている。また、前述のように仕切板30と切出板31とは一体化されているため、切出板31の回転に伴い仕切板30も回転する。仕切板30が回転していると、リング体34の環状凹溝4との当接位置は刻々変化することになる。このため、環状凹溝4の回転にリング体34が引きずられ、リング体34に細かな振動(ビビリ)及びこれに伴う騒音が発生することを抑制できる。なお、
図7にはステップS8とステップS10の両方で「切出機構回転」と記載されているが、ステップS8では切出板31が環状凹溝4(環状凹溝4上の散剤5)を掻かない角度範囲で切出機構6の回転がなされ、ステップS10では切出板31が環状凹溝4(環状凹溝4上の散剤5)を掻く角度範囲で切出機構6の回転がなされる。なお、ステップS10の時点で回転テーブル3の回転は停止している(ステップS9)。よって、散剤5の切出しはステップS10でなされる。
【0063】
切出機構6を回転伝達軸60回りに回転させるには、前述したように、回転駆動用モータ77を駆動すると、ウオームギヤ80及びモータ軸78が回転してその回転が回転用ギヤ82に伝達され、回転用ギヤ82とともに回転中心軸81が軸心回りに回転し、駆動プーリー83が回転し、その回転力が伝達ベルト76を介して従動プーリー72に伝達され、従動プーリー72とともに回転伝達軸60が回転して、回転伝達軸60に固定されている切出機構6が回転伝達軸60の軸心回りに回転する。
【0064】
前述のように、前記逆回転がなされた場合では、散剤5の上流側端部5aと仕切板30との間に隙間ができている状態か、または、散剤5の仕切板30に対する接触量が減少している状態とできる。このため、切出機構6により散剤5を切出した際、従来のように仕切板30の下流側面に接触していた散剤5が仕切板30の回転に導かれて環状凹溝から飛び出てしまうことを抑制できる。よって、最初に分包された分包体にて規定通りの量の散剤5を包むことができる。かつ、最後に分包された分包体等、分包終了近くの分包体でも、規定通りの量の散剤5を包むことができる。
【0065】
前記1包目に続いて、駆動装置を間欠的に駆動して回転テーブル3及び回転板22を縦軸2回りに間欠的に(均等な回転量で)回転させつつ(ステップS9)、回転テーブル3及び回転板22の回転が停止したタイミングで切出機構6を回転伝達軸60回りに回転させて、切出板31により散剤5を回転テーブル3の径方向外方に切出して分包する(ステップS10)、という動作を、環状凹溝4における周方向の全範囲で散剤5の切出しがされるまで順次繰返す(ステップS8〜S11)。回転テーブル3及び回転板22の前記間欠的な回転に応じ、切出機構6による切出し位置が順次変わっていく。
【0066】
散剤5を回転テーブル3の径方向外方に切出す際には、散剤5は仕切板30とカバー体31Aとで切出し範囲を規制された状態で、切出板31の回転によって切出される。このとき弾性ブレード45の先端部が環状凹溝4の溝底面10に摺動することで、散剤5が掬われるようになる。
【0067】
最後に、切出機構6が切出姿勢Aから離間姿勢Bに移動して分包動作を終了する(ステップS12)。
【0068】
−実施形態の変形例−
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0069】
前記実施形態では、切出部として機能するものとして切出板31を取り上げたが、これに限定されない。例えば、シリンダーにより散剤5を押し出すような構成、また、エアによる散剤5を吹き飛ばすような構成も採用し得る。また、切出板31が回転する構成ではなく、直線方向に往復動するように構成されていてもよい。
【0070】
また、前記実施形態では、仕切板30と切出板31とは一体化されているが、これに限定されず、仕切板30と切出板31とが別個独立で回転するように構成されていてもよい。また、場合によっては、仕切板30が回転せず(固定状態とされ)切出板31のみが回転するように構成されていてもよい。
【0071】
また、前記実施形態では、切出板31によって散剤5を回転テーブル3の径方向外方に掻取るようにして切出すように構成されているが、径方向内方に切出すように構成されていてもよい。
【0072】
また、前記実施形態は、縦軸回りに回転しない切出機構6に対して回転テーブル3及び回転板22を回転させる構成であったが、切出機構6と回転テーブル3及び回転板22との一方が他方に対して相対的に回転すればよい。よって、縦軸回りに回転しない回転板22の周方向に沿うように切出機構6が移動するよう構成されていてもよい。
【0073】
また、前記実施形態では、環状凹溝4における周方向の全範囲で回転テーブル3及び回転板22を縦軸2回りに均等な回転量で間欠的に回転させ、切出機構6により散剤5を回転テーブル3の径方向外方に切出して分包するよう構成されている。しかし、供給される散剤5の量や、その粒径や、オペレータにより指示される分包数等の諸条件によっては、環状凹溝4上の散剤5の「山崩れ」が生じ、周方向で「山」の高さが異なってしまうことがある。この場合、回転テーブル3及び回転板22を均等な回転量で間欠的に回転させたとしても、切出板31による、前記間欠回転ごとの各切出し範囲から切出される実際の散剤5の量が規定量とは異なる場合がある。この場合、事前に得ていた実験的データに基づいて、各切出し範囲から切出される散剤5が規定量となるよう、各切出し範囲において、回転テーブル3及び回転板22の縦軸2回りの回転量を、制御部が例えば演算することにより個別に設定(調整)するように構成されてもよい。
【0074】
また、前記実施形態では、回転テーブル3及び回転板22の正回転時の回転速度と逆回転時の回転速度は同じである。しかしこれに限らず、逆回転時の回転速度を、正回転時の回転速度より遅くするよう構成されていてもよい。このように構成することにより、仕切板30の下流側に位置する散剤5を仕切板30により押し出して下流側に移動させる際、リング体34を回転させなくても、振動(ビビリ)及び騒音を発生し難くできる。
【0075】
−前記実施形態の構成及び作用(まとめ)−
最後に、前記実施形態の構成及び当該構成により奏する作用についてまとめておく。前記実施形態は、供給した散剤5を切出すことで所定量ずつ複数包の分包を行う分包装置1において、散剤5を配置可能な環状凹溝4を有する回転テーブル3と、前記環状凹溝4に全周に亘って供給された散剤5を、前記回転テーブル3の周方向に沿う所定領域分ずつ、前記回転テーブル3の径方向に向けて切出す切出機構6と、前記回転テーブル3及び前記切出機構6の動作を制御する制御部と、を備え、前記回転テーブル3と前記切出機構6とは、一方が他方に対して縦軸2回りの相対回転をし、前記切出機構6は、前記環状凹溝4を径方向に横切ることで散剤5を移動させて切出すための切出板31と、切出しの際の前記相対回転に伴う、前記切出機構6から見た前記回転テーブル3の移動方向を基準とした前記切出板31の下流側に位置する仕切板30とを有し、前記制御部は、前記仕切板30を前記環状凹溝4に接触させた上で、前記回転テーブル3と前記切出機構6のうち一方を他方に対して間欠的に一方向へ相対回転させつつ、前記切出板31の前記径方向への移動を行うことで前記環状凹溝4から散剤5を切出し、更に、前記制御部は、散剤5が前記環状凹溝4の全周に亘って供給された後、最初の切出しがされるに先立ち、前記仕切板30を前記環状凹溝4に接触させた上で、前記回転テーブル3と前記切出機構6のうち一方を他方に対して前記切出しの際とは逆方向へと相対回転させることで、最後に切出される分の散剤5のうち一部を、前記仕切板30により前記環状凹溝4上で前記下流側に移動させる分包装置である。
【0076】
この構成によると、前記逆方向への相対回転により、最後に切出される分の散剤5の、前記仕切板30寄りの端部(「山」の端)5aと前記仕切板30との間に隙間ができている状態か、または、散剤5の前記仕切板30に対する接触量が減少している状態とできる。
【0077】
このため、切出機構6により散剤5を切出した際、前記仕切板30の下流側面に接触していた散剤5が、前記仕切板30が回転した場合に当該回転に導かれて環状凹部4から飛び出てしまうことを抑制できる。よって、最初に分包された分包体にて規定通りの量の散剤5を包むことができる。かつ、最後に分包された分包体等、分包終了近くの分包体でも、規定通りの量の散剤5を包むことができる。これにより、仕切板30の下流側面に接触していた散剤5が仕切板30の回転に導かれて環状凹部4から飛び出ることを抑制して、正確な量で分包可能である。
【0078】
また、前記環状凹溝4は、曲率中心を中心として下方に凸となる断面円弧状に形成された溝底面10を有し、前記仕切板30は外周辺部43の曲率が前記溝底面10の曲率と略一致する円板状であって、前記環状凹溝4の周方向に沿う横軸60回りに回転可能であり、外周辺部に軟質材料から形成されたリング体34を備え、この仕切板30は、前記回転テーブル3と前記切出機構6のうち一方を他方に対して前記逆方向へ相対回転させる際には、前記リング体34が前記環状凹溝4の溝底面10に接触しつつも前記横軸60回りに回転せず、前記切出しの際には、前記リング体34が前記環状凹溝4の溝底面10に接触しつつ前記横軸60回りに回転するように構成されている。
【0079】
この構成によると、前記仕切板30が前記横軸60回りに回転しつつ前記環状凹溝4の溝底面10に接触することから、環状凹溝4に対する仕切板30の当接位置が刻々変化する。よって、軟質材料から形成されたリング体34が前記回転テーブル3と切出機構6との相対回転によって一方向に引きずられることによる振動(ビビリ)及びこれに伴う騒音の発生を抑制できる。
【0080】
また、回転テーブル3と切出機構6のうち一方を他方に対して回転(正・逆回転)させる際には、リング体34が横軸60回りに回転するように構成して、振動(ビビリ)及び騒音の発生を抑制することが望ましいが、回転テーブル3と切出機構6のうち一方を他方に対して逆方向へ相対回転させる際には、リング体34が環状凹溝4の溝底面10に接触しつつも横軸60回りに回転しない構成としたことで、仕切板30の下流側に位置する散剤5を仕切板30により押し出して下流側に移動させる際、仕切板30の下流側面に接触している散剤5が仕切板30の回転に導かれて環状凹溝から飛び出てしまうことを防止できる。なお、逆回転の回転量は、最後の分包等、分包終了近くの分包に影響を与えない程度(具体的には、溝底面10中央での周方向に沿う長さで表した場合に1.5mm〜8mm)で、最後に切出される分の散剤5の仕切板30寄りの端部(「山」の端)5aと、仕切板30との間に隙間ができる状態か、または、散剤5の仕切板30に対する接触量が減少している状態になれば良く、その回転量は僅かであるから、リング体34が環状凹溝4の溝底面10に接触しつつも横軸60回りに回転しない構成とした場合であっても、振動(ビビリ)及び騒音が発生し難い。また、仕切板30の下流側に位置する散剤5を仕切板30により押し出して下流側に移動させる際の回転テーブル3と切出し機構6との相対回転の速度を、切出しの際の回転テーブル3と切出し機構6との相対回転の速度より遅くするように構成することが望ましい。この望ましい構成では、仕切板30の下流側に位置する散剤5を仕切板30により押し出して下流側に移動させる際、リング体34を回転させなくても、振動(ビビリ)及び騒音が発生し難い。