特許第6145807号(P6145807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マーケテックの特許一覧

<>
  • 特許6145807-電子機器内蔵装着物 図000002
  • 特許6145807-電子機器内蔵装着物 図000003
  • 特許6145807-電子機器内蔵装着物 図000004
  • 特許6145807-電子機器内蔵装着物 図000005
  • 特許6145807-電子機器内蔵装着物 図000006
  • 特許6145807-電子機器内蔵装着物 図000007
  • 特許6145807-電子機器内蔵装着物 図000008
  • 特許6145807-電子機器内蔵装着物 図000009
  • 特許6145807-電子機器内蔵装着物 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6145807
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】電子機器内蔵装着物
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/00 20060101AFI20170607BHJP
   A41D 1/00 20060101ALI20170607BHJP
   G06K 19/02 20060101ALI20170607BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20170607BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   H05K5/00 A
   A41D1/00 H
   G06K19/02 070
   G06K19/07 230
   G06K19/077 228
   G06K19/077 140
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-146963(P2016-146963)
(22)【出願日】2016年7月27日
【審査請求日】2016年7月27日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】393031966
【氏名又は名称】株式会社マーケテック
(74)【代理人】
【識別番号】230117444
【弁護士】
【氏名又は名称】安井 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】水本 哲平
(72)【発明者】
【氏名】小沢 達郎
【審査官】 月野 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−352207(JP,A)
【文献】 特開2014−081828(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0025195(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0002557(US,A1)
【文献】 特開平08−090966(JP,A)
【文献】 特開平11−034550(JP,A)
【文献】 特開平04−303695(JP,A)
【文献】 実開昭55−042080(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00
A41D 1/00
G06K 19/07
G06K 19/077
H05K 5/00
A41D 1/00
G06K 19/02
G06K 19/07
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身の回り品に装着される電子機器内蔵装着物であって、
表面に電子部品が実装されたフレキシブルプリント基板と、
シリコン樹脂製の薄板材であって、前記フレキシブルプリント基板の電子部品の凸形状を雄型とし、当該雄型に対応した凹部の雌型を裏面に有し、前記雌型を前記フレキシブルプリント基板の雄型に合わせた表側シリコンカバーと、
シリコン樹脂製の面材であって、前記フレキシブルプリント基板の裏面に対応した平坦面を表面に有し、前記平坦面を前記フレキシブルプリント基板の裏面に合わせた状態で、周端部を前記表側シリコンカバーの周端部に接合した裏側シリコンカバーと、
前記表側シリコンカバーを覆う表側面材と、
前記裏側シリコンカバーを覆い、前記表側面材に貼り付けられた裏側面材と、
前記表側面材と前記裏側面材との間に設けられた表側磁石と、
表面に、前記表側磁石に付着する裏側磁石が設けられた補助面材と、
を備え、
前記補助面材を、ユーザの身の回り品のうち、衣服の裏面に配置し、前記衣服の表面であって、前記補助面材と対向する位置に本電子機器内蔵装着物を配置し、本電子機器内蔵装着物の表側磁石を前記補助面材の裏側磁石に付着させることで、本電子機器内蔵装着物が前記衣服に装着される
電子機器内蔵装着物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器内蔵装着物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックケースに、通信モジュール、CPU、センサー等の電子部品を内蔵した薄型電子機器が存在する。薄型電子機器では、ユーザに装着させることで、電子機器がユーザの位置情報や活動状況等を測定することが出来る。
【0003】
薄型電子機器として、例えば、万歩計(登録商標)を挙げることが出来る。万歩計(登録商標)は、ユーザの首にぶら下げたり、ベルトに付けたり、ポケットに入れたりすることで、ユーザに装着される。
【0004】
薄型電子機器の技術として、例えば、特開2010−277186号公報(特許文献1)には、表面側に識別体を有する表面被覆体と、表面被覆体の裏面側に貼設された非接触ICインレットとを備えたワッペンが開示されている。これにより、専用の読取装置を必要とせずに、真贋判定を容易に行うことができ、専用の読取装置を用いれば十分な情報が得られるとしている。又、特開2016−91261号公報(特許文献2)には、アンテナコイルが形成されるコイル形成領域から突出したICチップへの2つの接続線部分の突出量を小さく若しくはその突出部分を無くした非接触通信媒体及びエンブレムが開示されている。これにより、非接触通信媒体への経時的な繰り返し折り曲げに対して耐久性を向上することが出来るとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−277186号公報
【特許文献2】特開2016−91261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
薄型電子機器の外装にプラスチックケースが用いられる場合、プラスチックケースは剛性を有し、嵩高いことから、ユーザが装着時に違和感を覚え、ユーザにとって装着が負担になるという課題がある。又、ユーザによる薄型電子機器の付け忘れやポケットへの入れ忘れが生じ、薄型電子機器の装着率が低くなるという課題がある。
【0007】
ところで、現在の高齢化社会において、高齢者の徘徊は社会的問題となっており、徘徊する高齢者の位置を特定するための徘徊高齢者向けのアプリケーションが開発されている。徘徊高齢者向けのアプリケーションでは、無線通信可能な薄型電子機器を高齢者に装着させて、薄型電子機器の位置を無線通信で特定することにより、高齢者の位置を特定する。そのため、徘徊高齢者向けのアプリケーションを利用する場合は、高齢者による薄型電子機器の装着率の低さは大きな課題となる。
【0008】
又、警察官、守衛官、警備員等、制服を常時着用しているユーザには、セキュリティーの観点から、制服に、位置を特定するための電子機器を装備させることがあるが、制服への装備品は、通常多く、装備品を一つでも減らしたいという意向がある。
【0009】
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、ユーザに違和感無く、ユーザの身の回り品に装着させることが可能な電子機器内蔵装着物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子機器内蔵装着物は、ユーザの身の回り品に装着される電子機器内蔵装着物であって、フレキシブルプリント基板と、表側シリコンカバーと、裏側シリコンカバーと、表側面材と、裏側面材と、表側磁石と、補助面材と、を備える。フレキシブルプリント基板は、表面に複数の電子部品が実装されている。表側シリコンカバーは、シリコン樹脂製の薄板材であって、前記フレキシブルプリント基板の電子部品の凸形状を雄型とし、当該雄型に対応した凹部の雌型を裏面に有し、前記雌型を前記フレキシブルプリント基板の雄型に合わせている。裏側シリコンカバーは、シリコン樹脂製の面材であって、前記フレキシブルプリント基板の裏面に対応した平坦面を表面に有し、前記平坦面を前記フレキシブルプリント基板の裏面に合わせた状態で、周端部を前記表側シリコンカバーの周端部に接合している。表側面材は、前記表側シリコンカバーを覆う。裏側面材は、前記裏側シリコンカバーを覆い、前記表側面材に貼り付けられている。表側磁石は、前記表側面材と前記裏側面材との間に設けられ、補助面材は、表面に、前記表側磁石に付着する裏側磁石が設けられている。本電子機器内蔵装着物は、前記補助面材を、ユーザの身の回り品のうち、衣服の裏面に配置し、前記衣服の表面であって、前記補助面材と対向する位置に本電子機器内蔵装着物を配置し、本電子機器内蔵装着物の表側磁石を前記補助面材の裏側磁石に付着させることで、前記衣服に装着される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザに違和感無く、ユーザの身の回り品に装着させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る薄型電子機器の構成の一例を示す平面図及び右側面図(図1A)と、本発明の実施形態に係る薄型電子機器の作製工程の一例を示す側面図(図1B)とである。
図2】本発明の実施形態に係る電子機器内蔵装着物の構成の一例を示す平面図及び右側面図(図2A)と、本発明の実施形態に係る電子機器内蔵装着物の作製工程の一例を示す側面図(図2B)とである。
図3】本発明の実施形態に係る電子機器内蔵装着物に磁石を設ける場合の構成の一例を示す平面図及び右側面図(図3A)と、本発明の実施形態に係る電子機器内蔵装着物及び補助面材の構成の一例を示す側面図(図3B)とである。
図4】本発明の実施形態に係る電子機器内蔵装着物及び補助面材の装着形態の一例を示す側面図である。
図5】本発明の実施形態に係る電子機器内蔵装着物から配線を外部に出す場合の構成の一例を示す平面図及び右側面図(図5A)と、本発明の実施形態に係る電子機器内蔵装着物から配線を外部に出す場合の電子機器内蔵装着物の作製工程の一例を示す側面図(図5B)とである。
図6】本発明の実施形態に係る電子機器内蔵装着物の電池が外付方式の場合の構成の一例を示す平面図及び右側面図(図6A)と、本発明の実施形態に係る電子機器内蔵装着物の電池ポケットの構成の一例を示す平面図(図6B)とである。
図7】本発明の実施例に係る薄型電子機器の構成要素の一例を示す図(図7A)と、本発明の実施例に係る封止後の薄型電子機器の一例を示す図(図7B)とである。
図8】本発明の実施例に係る薄型電子機器の湾曲状態の一例を示す図(図8A)と、本発明の実施例に係る薄型電子機器が湾曲状態であっても無線通信している場合の一例を示す図(図8B)とである。
図9】本発明の比較例に係る薄型電子機器の構成要素と封止後の薄型電子機器の一例を示す図(図9A)と、本発明の比較例に係る薄型電子機器の湾曲状態と割れ状態の一例を示す図(図9B)とである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、本発明の実施形態では、平面図の上面が表面に対応し、下面が裏面に対応し、他の図面であっても同様である。
【0014】
電子機器内蔵装着物は、薄型電子機器1を内蔵している。この薄型電子機器1は、図1Aに示すように、フレキシブルプリント基板10と、表側シリコンカバー11と、裏側シリコンカバー12とを備えている。フレキシブルプリント基板10の表面には、電子部品10aが実装されている。又、図示しないが、フレキシブルプリント基板10の表面には、電子部品10a同士を電気的に接続する配線が設けられている。
【0015】
表側シリコンカバー11は、シリコン樹脂製の薄板材であって、フレキシブルプリント基板10の電子部品10aの凸形状を雄型とし、当該雄型10aに対応した凹部の雌型11aを裏面に有し、図1Bに示すように、前記雌型11aを前記フレキシブルプリント基板10の雄型10aに合わせている。
【0016】
又、裏側シリコンカバー12は、シリコン樹脂製の面材であって、フレキシブルプリント基板10の裏面10bに対応した平坦面12aを表面に有し、図1Bに示すように、前記平坦面12aをフレキシブルプリント基板10の裏面に合わせた状態で、周端部12bを表側シリコンカバー11の周端部11bに接合している。これにより、フレキシブルプリント基板10が表側シリコンカバー11と裏側シリコンカバー12との間で挟まれて封止され、薄型電子機器1が作製される。
【0017】
ここで、接合方法に特に限定は無く、例えば、接着剤、粘着剤等を利用して表側シリコンカバー11の周端部と裏側シリコンカバー12の周端部とを接合することで、シリコン樹脂製のカバーでフレキシブルプリント基板10の全面が封止される。このように、フレキシブルプリント基板10の全面をシリコン樹脂製のカバーで封止することで、薄型電子機器1の全体に柔軟性、耐久性を付与することが出来る。
【0018】
即ち、従来のプリント基板では、電子部品を保護するために、エポキシ樹脂を電子部品の表面に塗布して電子部品をエポキシ樹脂で覆うことが一般的な方法であるが、エポキシ樹脂は、電子部品を被覆した後、非常に硬くなり、プリント基板の全体に柔軟性を付与することが出来ない。エポキシ樹脂の他に、ウレタン樹脂やポリエステル樹脂が存在するが、いずれも熱伝導率が悪く、電子部品10aの熱を奪う放熱効果を期待することが出来ず、プリント基板を覆う素材として適切でない。
【0019】
一方、柔軟性を有するフレキシブルプリント基板10が開発されてきたが、エポキシ樹脂の塗布の簡便性やエポキシ樹脂の硬化による耐久性の点から、フレキシブルプリント基板10の柔軟性を落としても、その電子部品10aの保護材としてエポキシ樹脂が一般的であった。しかしながら、エポキシ樹脂を保護材とすると、フレキシブルプリント基板の全体が硬くなり、最終的に作製される装着物は硬くなり、装着時に違和感が生じる。
【0020】
本発明では、硬い保護材を柔らかい保護材とするという逆転の発想から、フレキシブルプリント基板10の電子部品10aの保護材として柔軟性を有するシリコン樹脂を採用する。ここで、シリコン樹脂は、ケイ素を含む樹脂を意味し、シリコンゴムを含み、ケイ素を含む樹脂であれば、シリコン樹脂単体であっても他の素材と混合した混合物であっても良い。シリコン樹脂は、柔軟性と、電気絶縁性と、耐熱性とのいずれも高く、熱伝導率も良好である。更に、熱に対する収縮が無く、寸法安定性に優れる。従って、シリコン樹脂製の保護材は、フレキシブルプリント基板10の電子部品10aの保護に最適である。
【0021】
ここで、シリコン樹脂は、エポキシ樹脂と比較して強度面で劣るが、成型性が良く、多様な形状に構成することが出来る。そこで、本発明では、エポキシ樹脂と比較して製造の手間が掛かるものの、フレキシブルプリント基板10の電子部品10aの雄型に対応する凹部11aの雌型を表側シリコンカバー11の裏面に成形し、フレキシブルプリント基板10を表から表側シリコンカバー11で被せることで、フレキシブルプリント基板10の雄型10aを表側シリコンカバー11の雌型11aに合致させ、フレキシブルプリント基板10の表面と表側シリコンカバー11の裏面との間に凹凸を無くす。更に、フレキシブルプリント基板10を裏から裏側シリコンカバー12で被せることで、フレキシブルプリント基板10の平坦な裏面10bを裏側シリコンカバー12の平坦な表面12aに合致させる。
【0022】
更に、本発明では、フレキシブルプリント基板10の表面に表側シリコンカバー11の裏面を密着させず、フレキシブルプリント基板10の裏面に裏側シリコンカバー11の表面を密着させずに、表側シリコンカバー11の周端部と裏側シリコンカバー12の周端部とを接合している。
【0023】
これにより、薄型電子機器1の全体を多少湾曲させても、表側シリコンカバー11及び裏側シリコンカバー12がフレキシブルプリント基板10に追従し、全体として柔軟性を付与することが出来る。又、表側シリコンカバー11及び裏側シリコンカバー12がフレキシブルプリント基板10に追従することで、フレキシブルプリント基板10の電子部品10aと表側シリコンカバー11との間に凹凸が生じず、電子部品10aに負荷が掛からない。そのため、フレキシブルプリント基板10が湾曲状態であっても、シリコンカバーで保護しつつ、電子部品10aを正常に駆動させることが出来る。
【0024】
更に、前記凹凸を無くすことで、薄型電子機器1に外力が加わっても、電子部品10aに外力が集中することなく、外力を分散させることが出来る(外力の面圧化)。これにより、電子機器内蔵装着物が何かにぶつかったとしても、外力の分散により、電子部品10aの破壊を防止出来る。このように、本発明では、フレキシブルプリント基板10の保護材として柔軟性を有するシリコン樹脂を敢えて採用し、製造の手間の掛かる表側シリコンカバー11の雌型を敢えて成形することで、シリコン樹脂の強度の弱さを雄型及び雌型の構造面で補い、フレキシブルプリント基板10の全面に表側シリコンカバー11及び裏側シリコンカバー12を密着させずに、表側シリコンカバー11の周端部を裏側シリコンカバー12の周端部で止めるようにした。これにより、薄型電子機器1の全体の柔軟性及び耐久性の両方を高め、最終的に作製される電子機器内蔵装着物2の装着感を高めることが出来るのである。
【0025】
尚、凹部が設けられていない単なるシリコン樹脂製の面材で、フレキシブルプリント基板の表面を覆った場合、シリコン樹脂の面材に外力が掛かると、表面から最も高い電子部品に集中し(外力の点圧)、電子部品の破壊に至る可能性がある。
【0026】
又、フレキシブルプリント基板10を封止するとともに、前記凹凸を無くすことで、内部への水の入り込みを防止し、耐水性を向上させる。例えば、薄型電子機器1が雨に濡れたり、お茶等の飲料に触れたりしても、電子部品10aの動作不良を防止することが出来る。
【0027】
更に、電子部品10aが駆動している状態で、フレキシブルプリント基板10上にある配線に表側シリコンカバー11が接触しても、シリコン樹脂の電気絶縁性から、漏電を確実に防止出来る。又、電子部品10aが発熱しても、シリコン樹脂の耐熱性から、シリコン樹脂が溶けることは無く、電子部品10aとの接触により熱を奪うため、電子部品10aの放熱効果が期待出来るとともに、電子部品10aの誤動作を確実に防止出来る。
【0028】
ここで、図1Aに示す薄型電子機器1では、フレキシブルプリント基板10の表面に、無線通信用のアンテナ線10c(アンテナコイル)が実装され、電子部品10aがアンテナ線10cを用いて無線通信可能とすることが出来る。
【0029】
又、アンテナ線10cは、無線通信を可能とするために、所定のサイズを必要とすることから、フレキシブルプリント基板10の表面の周端近傍に設けられている。ここで、フレキシブルプリント基板10の表面の中央部にスペースが生じることから、当該中央部に、電子部品10aが実装される。これにより、フレキシブルプリント基板10全体を小型化出来るとともに、電子部品10aが中央部に集まることから、薄型電子機器1を湾曲し易くすることが出来る。
【0030】
又、電子部品10aの実装形態に特に限定は無いが、上述のように、フレキシブル基板10の表面の中央部にスペースが広く生じるため、電子部品10a間に距離を置く実装形態とすることが出来る。これにより、薄型電子機器1を更に湾曲し易くすることが出来る。
【0031】
又、図1A図1Bに示すように、裏側シリコンカバー12は、表面12aの内底面が、フレキシブルプリント基板10の裏面10bに対応し、フレキシブルプリント基板10と表側シリコンカバー11とをこの順番で重ねて収納出来る箱型の容器の形状とすることが出来る。これにより、裏側シリコンカバー12の内底面12aにフレキシブルプリント基板10の裏面10bを設置し、フレキシブルプリント基板10の表面に表側シリコンカバー11の裏面を設置し、裏側シリコンカバー12の周端部12bを表側シリコンカバー11の周端部11bに貼り付けすれば、フレキシブルプリント基板10をシリコン樹脂製のカバーで簡単に封止することが出来るため、薄型電子機器1の組立及び作製が容易となる。
【0032】
ここで、表側シリコンカバー11の厚みは、耐久性を考慮すると、厚い方が好ましいが、装着感を高めるためには、薄い方が好ましい。本発明では、フレキシブルプリント基板10の全面をシリコン樹脂で覆い、且つ、雄型及び雌型の構造を採用することで、薄型電子機器1に耐久性を持たせ、表側シリコンカバー11の厚みを可能な限り薄くすることが出来る。これにより、電子機器内蔵装着物2の装着感を高めることが出来る。
【0033】
本発明に係る電子機器内蔵装着物は、表側面材と、裏側面材とを更に備え、表側面材は、表側シリコンカバー11を覆い、裏側面材は、裏側シリコンカバー12を覆い、表側面材に貼り付けられる。ここで、表側面材及び裏側面材は、装着物の外形を保つために設けられるが、薄型電子機器1を保護する補強材としての機能を有する。
【0034】
裏側面材の構成に特に限定は無く、例えば、図2Aに示すように、裏側面材21の表面には、電子機器内蔵装着物2の組立を容易とするために、裏側シリコンカバー12の外底面が貼り付けられている。そして、図2Bに示すように、裏側面材21の裏側シリコンカバー12の表面にフレキシブルプリント基板10の裏面を設置し、フレキシブルプリント基板10の表面に表側シリコンカバー11の裏面を設置し、表側シリコンカバー11の周端部11bを裏側シリコンカバー12の周端部12aに接着することで、薄型電子機器1を作製する。更に、作製後の薄型電子機器1を表側面材20で覆って、表側面材20の裏面の周端部20aを裏側面材21の表面の周端部21aに貼り付けることで、電子機器内蔵装着物2が完成する。これにより、装着時に、電子機器内蔵装着物2の全体を外観上違和感が無い構成とすることが可能となり、どのような衣服でも装着させることが出来る。又、電子機器内蔵装着物2の全体が湾曲しても、薄型電子機器1自体に柔軟性があるため、薄型電子機器1の電子部品10aは問題無く駆動を継続することが出来る。
【0035】
又、電子機器内蔵装着物2の種類に特に限定は無いが、例えば、ワッペン(エンブレム)を採用することが出来る。ワッペンは、各種の文字、模様、数字、それらの組み合わせにより、装飾性・意匠性・識別性を有する。又、電子機器内蔵装着物2が装着される身の回り品に特に限定は無いが、例えば、衣服、衣料品、バッグ、靴、帽子、スポーツ用品を採用することが出来る。衣服には、制服、洋服、下着が含まれる。
【0036】
更に、表側面材20及び裏側面材21の材質に特に限定は無いが、例えば、ポリエステル繊維、ポリウレタン樹脂、アクリル繊維等の人工皮革、ポリ塩化ビニルシート、ポリウレタンシート等の合成樹脂シート等を採用することが出来る。特に、電子機器内蔵装着物2の電子部品10aがアンテナ線10cを用いて無線通信する場合には、表側面材20及び裏側面材21の材質は、無線通信の電磁波を妨害しない非金属素材を採用すると好ましい。
【0037】
ここで、電子機器内蔵装着物2がワッペンである場合、表側面材20の表面には、所望の意匠が施され、外部に露出される。表側面材20の意匠の構成方法に特に限定は無いが、例えば、図2A図2Bに示すように、シリコン樹脂で凸部22を形成することで意匠を具現化している。凸部22をシリコン樹脂とすることで、薄型電子機器1が無線通信する場合に、当該無線通信に影響を与えない。又、凸部22のうち、長方形状の凸部22aに、シリアル番号(例えば、「1234567890」)を識別情報として刻印することで、エンブレムの管理を容易にする。特に、電子機器内蔵装着物2は、複数のユーザに繰り返し装着され、使い回しされる場合もあるため、ワッペンのシリアル番号を視認することで、紛失の有無を確認することが出来る。
【0038】
又、ワッペンの管理について、上述したシリアル番号の他に薄型電子機器1の製造年月日等のメンテナンス情報をフレキシブルプリント基板10内のメモリに格納し、外部の無線通信装置で読み取り可能にしても良い。これにより、シリアル番号が不明なワッペンが紛失して出てきた場合やワッペンの薄型電子機器1が故障した場合に、メモリからシリアル番号やメンテナンス情報を読み取って対処することが出来る。
【0039】
又、薄型電子機器1は所定の厚みを有し、表側面材20は外側に露出し、裏側面材21は内側に隠れることから、例えば、図2Bに示すように、表側面材20は平坦状とし、裏側面材21を薄型電子機器1に被せて、薄型電子機器1の周端部1aに沿って折り曲げて、裏側面材21の周端部21aを表側面材20の周端部20aに寄せて接合し、表側面材20の表面の形状を平坦状に維持させるようにしても良い。
【0040】
又、電子機器内蔵装着物2の装着方法に特に限定は無く、身の回り品に縫い付けたり貼り付けたりしても良いが、例えば、着脱を容易にするために磁石を用いても良い。電子機器内蔵装着物2は、図3Aに示すように、前記表側面材20と前記裏側面材21との間に設けられた表側磁石30と、表面に、前記表側磁石30に付着する裏側磁石31が設けられた補助面材32とを更に備える。
【0041】
ここで、表側磁石30の構成に特に限定は無いが、例えば、表側磁石30は、板状に構成され、薄型電子機器1の裏側シリコンカバー12を左右方向で挟むように2つ設けられ、裏側磁石31は、表側磁石30の位置に対応した補助面材32の位置に2つ設けられる。更に、表側磁石30及び裏側磁石31は、例えば、シリコン樹脂製の表側磁石カバー33と、シリコン樹脂製の裏側磁石カバー34とで挟まれて、表側磁石カバー33と裏側磁石カバー34とが貼り付けられることで、表側磁石30又は裏側磁石31は全面を保護される。
【0042】
ここで、表側磁石30及び裏側磁石31のそれぞれを表側磁石カバー33及び裏側磁石カバー34で覆うことで、表側磁石カバー33及び裏側磁石カバー34の厚みにより、表側磁石30と裏側磁石31との間に所定の距離を設けて、磁力を弱め、電子機器内蔵装着物2と補助面材32との付着力を調整することが出来る。
【0043】
そして、図3Bに示すように、裏側面材21の裏側シリコンカバー12の表面にフレキシブルプリント基板10の裏面を配置し、フレキシブルプリント基板10の表面に表側シリコンカバー11の裏面を配置し、表側シリコンカバー11の周端部を裏側シリコンカバー12の周端部に貼り付ける。又、裏側面材21の裏側磁石カバー34に表側磁石30を入れて表側磁石カバー33を裏側磁石カバー34に貼り付ける。これにより、裏側面材21に薄型電子機器1と表側磁石30とを固定する。次に、薄型電子機器1と表側磁石30とを表側面材20で覆って、表側面材20の周端部20aを裏側面材21の周端部21aに張り付けることで、電子機器内蔵装着物2の内部に、薄型電子機器1と表側磁石30とを内蔵することが出来る。
【0044】
ここで、補助面材32は、そのままでも良いが、例えば、補助面材32の表面に予め設けられた裏側磁石カバー34に、裏側磁石31を入れて、表側磁石カバー33の周端部を裏側磁石カバー34の周端部に貼り付けることで、補助面材32に裏側磁石31を固定する。そして、裏側磁石31を保護面材35で覆って、保護面材35を補助面材32に貼り付ける。保護面材35は、柔軟性を有し、表側磁石カバー33の外形と裏側磁石カバー34の外形に沿って追従し、補助面材32に貼り付けられる。これにより、装着補助材3が構成される。
【0045】
そして、図4に示すように、前記補助面材32(又は装着補助材3)を、ユーザの身の回り品のうち、衣服4の裏面に配置し、前記衣服4の表面であって、前記補助面材32と対向する位置に電子機器内蔵装着物2を配置し、電子機器内蔵装着物2の表側磁石30を前記補助面材32の裏側磁石31に付着させることで、電子機器内蔵装着物2が前記衣服4に取り付けられる。
【0046】
これにより、衣服4に対する電子機器内蔵装着物2の着脱を容易にすることが出来る。更に、強力な磁石を用いれば、衣服4から電子機器内蔵装着物2を外れ難くすることが可能である。電子機器内蔵装着物2は、例えば、ユーザの衣服4の胸ポケットに装着補助材3を入れ、装着補助材3と対向する位置に電子機器内蔵装着物2を近接させれば、胸ポケットに電子機器内蔵装着物2を装着することが出来る。電子機器内蔵装着物2がワッペンである場合、衣服4の外観に違和感が生じない。
【0047】
尚、上述では、補助面材32に裏側磁石カバー34を直接設けたが、裏側磁石カバー34は、磁石の保護材であることから、補助面材32に、磁石を位置決めするガイド部材を更に設け、ガイド部材に、磁石を保護した表側磁石カバー33及び裏側磁石カバー34を設置しても構わない。
【0048】
ところで、薄型電子機器1の駆動には、電池が必要であるが、薄型電子機器1への電池の取付方法として、内蔵方法と外付方法とを採用することが出来る。電池の内蔵方法では、図5Aに示すように、フレキシブルプリント基板10に充電式電池(図示せず)を実装し、充電式電池に電気的に接続された充電用配線50(正極配線及び負極配線)をフレキシブルプリント基板10の裏面から延出させる。次に、裏側シリコンカバー12には、内底面又は側面に、フレキシブルプリント基板10の裏面の充電用配線50が挿通されて外部に出る第一の開口部51が設けられる。又、裏側シリコンカバー12が設けられた裏側面材21には、裏側シリコンカバー12の第一の開口部51から出た充電用配線50が挿通されて外部に出る第二の開口部52が設けられる。
【0049】
ここで、裏側シリコンカバー12の第一の開口部51と裏面補強面材21の第二の開口部52との間には、第一の開口部51から第二の開口部52までの傾斜面を有する傾斜材53を設けても良い。これにより、第一の開口部51から出た充電用配線50が傾斜材53の傾斜面に沿って第二の開口部52へ挿通するため、充電用配線50を外部に出し易くすることが出来る。
【0050】
そして、図5Bに示すように、裏側面材21の裏側シリコンカバー12にフレキシブルプリント基板10を入れた際に、フレキシブルプリント基板10の充電用配線50を裏側シリコンカバー12の第一の開口部51に挿通させて、表側シリコンカバー11を裏側シリコンカバー12に貼り付ける。次に、第一の開口部51から出た充電用配線50を裏側面材21の第二の開口部52に挿通させて外部に出す。この状態で、表側面材20を表側シリコンカバー11に被せて、裏側面材21と貼り付けることで、電子機器内蔵装着物2が得られる。ここで、裏側面材21から外部に露出した充電用配線50に電源を電気的に接続することで、外部から、フレキシブルプリント基板10の充電式電池を充電することが出来る。
【0051】
尚、配線50の配置に特に限定は無く、例えば、フレキシブルプリント基板10の表面から延出させても良い。この場合、配線50が通る管は、表側シリコンカバー11の雌型11aに設けられる。又、配線50の延出方向は、フレキシブルプリント基板10の長手方向でも短手方向でも構わないが、フレキシブルプリント基板10が湾曲され易い方向に対して直角方向であると好ましい。例えば、フレキシブルプリント基板10が長手方向に配置される場合は、配線50の延出方向は、フレキシブルプリント基板10の短手方向であると、フレキシブルプリント基板10が長手方向に沿って湾曲した場合に、配線50は湾曲しないため、配線50に負荷を掛けずに済む。
【0052】
又、電池の外付方法では、図6Aに示すように、薄型電子機器1のフレキシブルプリント基板10から、電子部品10a等へ電力を供給する受電用配線60を延出させる。受電用配線60の先端には、受電用コネクタ61が設けられ、外付の電池62の電池用コネクタ63と電気的に接続可能である。薄型電子機器1は、既に、フレキシブルプリント基板10を表側シリコンカバー11と裏側シリコンカバー12とで挟んで封止している状態である。又、薄型電子機器1の左右方向の両端には、装着用の表面磁石30がそれぞれ設けられる。
【0053】
表側面材20には、薄型電子機器1が収納される箱型の容器の形状の表側保護カバー64が設けられ、表側保護カバー64には、受電用配線60が挿通される第一の開口部65が設けられている。又、表側磁石30が装着される表側磁石カバー33が設けられる。裏側面材21には、薄型電子機器1を収納した表側保護カバー64が収納される箱型の容器の形状の裏側保護カバー66が設けられ、裏側保護カバー66には、受電用配線60が挿通される第二の開口部67が設けられる。更に、表側磁石30が装着される裏側磁石カバー34が設けられる。表側保護カバー64及び裏側保護カバー66の材質は、例えば、シリコン樹脂である。
【0054】
そして、薄型電子機器1を表側面材20の表側保護カバー64に装着し、表側保護カバー64の第一の開口部65に受電用配線60を挿通し、次に、裏側面材21の裏側保護カバー66を表側保護カバー64に被せ、裏側保護カバー66の第二の開口部67に受電用配線60を挿通し、表側保護カバー64を裏側保護カバー66に貼り付ければ、受電用配線60を介して外部の電池62から薄型電子機器1に電力を供給することが出来る。
【0055】
又、電池62を薄型電子機器1の近傍に着脱可能に設ける場合には、図6Bに示すように、裏側面材21の裏面で、裏側保護カバー66の直下に電池ポケット68を設け、電池ポケット68に電池62を収納して、電子機器内蔵装着物2に電池62を設けても良い。
【0056】
尚、薄型電子機器1から配線を外部に出さない構成として、フレキシブルプリント基板10に無線充電用電子部品を実装し、無線充電によりフレキシブルプリント基板10の充電式電池を充電する構成を採用しても良い。
【0057】
ところで、電子部品10aの種類に特に限定は無いが、例えば、電子部品10aとして、CPUの他に、Bluetooth(登録商標) Low Energy (BLE)を使用するBLEモジュールと、近距離無線通信技術(NFC:Near Field Communication)を使用するNFCモジュールとの組み合わせを採用することが出来る。これにより、複数のBLEビーコン検出器が配置された場所では、電子部品10aのBLEモジュールを用いることで、電子機器内蔵装着物2を装着したユーザの位置を特定することが出来る。又、ユーザが、無線通信器を備えたゲート等の出入口を通過した場合に、電子部品10aのNFCモジュールを用いることで、通過のためのキーに利用することが出来る。
【0058】
又、GPS位置情報を受信するGPSセンサーと、携帯電話網等のWANへの通信を可能とする3Gモジュールと、BLEモジュールとの組み合わせを採用することが出来る。これにより、BLEビーコン検出器が配置されていない場所では、電子部品10aのGPSセンサーと3GモジュールとBLEモジュールとの組み合わせにより、電子機器内蔵装着物2を装着したユーザの位置を特定することが可能となる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例、比較例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0060】
先ず、図7Aに示すように、電子部品10aとアンテナ線10cとを表面に実装したフレキシブルプリント基板10を用意し、この表面の電子部品10aの凸形状の雄型を型に取って、当該型を用いて、雌型11aを裏面に有する表側シリコンカバー11を成形した。又、裏側シリコンカバー12は、フレキシブルプリント基板10と表側シリコンカバー11とを収納する箱型の容器の形状で成形した。
【0061】
フレキシブルプリント基板10の表面に延出された配線50をフレキシブルプリント基板10の短手方向に出し、表側シリコンカバー11の雌型11aには、配線50に対応した凹部11a1を形成させた。裏側シリコンカバー12の側面には、配線50が外部へ出る第一の開口部51を形成させた。
【0062】
フレキシブルプリント基板10の表面に表側シリコンカバー11の裏面を合わせて、両者に凹凸が無い状態とし、この状態のフレキシブルプリント基板10と表側シリコンカバー11とを裏側シリコンカバー12の内底面に配置し、裏側シリコンカバー12の周端部を表側シリコンカバー11の周端部に貼り付ければ、図7Bに示すように、薄型電子機器1が作製される。フレキシブルプリント基板10の配線50はボタン電池62に電気的に接続される。この薄型電子機器1を実施例とした。
【0063】
図7Bに示すように、フレキシブルプリント基板10の雄型10aが表側シリコンカバー11の雌型11aに合わさり、封止後の薄型電子機器1の厚みが一定になっていることが理解される。
【0064】
そして、薄型電子機器1を長手方向に湾曲させた場合、図8Aに示すように、難なく折り曲げることが出来る。ここで、薄型電子部品1を表側シリコンカバー11側に湾曲させても、裏側シリコンカバー12側に湾曲させても、問題無く折り曲がることが理解される。
【0065】
更に、図8Bに示すように、薄型電子機器1を駆動させ、電子部品10aにアンテナ線10cを用いて無線通信させる。図8Bでは、薄型電子機器1が携帯端末装置8と無線通信し、携帯端末装置8に薄型電子機器1の情報を表示させている。この状態では、薄型電子機器1に負荷が掛かっていないが、この状態において、薄型電子機器1を湾曲させても、表側シリコンカバー11及び裏側シリコンカバー12がフレキシブルプリント基板10に追従し、電子部品10aに負荷が掛からず、携帯端末装置8の表示が継続している。これは、電子部品10aが正常に無線通信を継続していることを示している。つまり、薄型電子機器1に外力が加わっても、電子部品10aに外力が集中することなく、外力を分散させ、薄型電子機器1の全体の耐久性を高めている。又、表側シリコンカバー11及び裏側シリコンカバー12でフレキシブルプリント基板10の全面を覆っているため、防水効果を発揮する。更に、シリコン樹脂の電気絶縁性が機能し、シリコン樹脂の放熱効果が発揮され、薄型電子機器1を数時間駆動させても問題無い。
【0066】
次に、実施例で用いたフレキシブルプリント基板10を用意し、実施例で用いた型を利用し、図9Aに示すように、エポキシ樹脂製の表側エポキシカバー91と、エポキシ樹脂製の裏側エポキシカバー92とを成形した。そして、フレキシブルプリント基板10を表側エポキシカバー91と裏側エポキシカバー92とで挟んで封止し、薄型電子機器9を作製した。この薄型電子機器9を比較例とした。図9Aに示すように、この場合であっても、フレキシブルプリント基板10の雄型10aが表側エポキシカバー91の雌型91aに合わさり、封止後の薄型電子機器9の厚みが一定になっていることが理解される。
【0067】
しかしながら、薄型電子機器9を裏側エポキシカバー92側に長手方向に湾曲させると、図9Bに示すように、表側エポキシカバー91が直ぐに割れた。このように、従来のエポキシ樹脂では、直ぐに破損してしまうことが理解される。エポキシ樹脂の破損は、フレキシブルプリント基板10への損傷を誘起し、電子部品10aが正常に動作しなくなる可能性がある。又、雨や茶等に対する簡易防水が損なわれ、装着物として不適である。
【0068】
さて、実施例の薄型電子機器1を表側面材20及び裏側面材21に挟み込んで、電子機器内蔵装着物2を作製した。ここで、人工皮革の表側面材20及び裏側面材21を用意し、表側面材20は、「Smart Emblem」と表示されたワッペンとし、裏側面材21は、薄型電子機器1が収納可能な箱型の容器の形状とした。裏側面材21の内底面には、上下に表側磁石30が設けられ、表側磁石カバー33と裏側磁石カバー34とで保護した。又、裏側磁石31のための裏側磁石カバー34を備える補助面材32を用意し、裏側磁石カバー34に裏側磁石31を収納し、表側磁石カバー33を裏側磁石31に被せて固定し、補助面材32を所望の形状に切断することで、装着補助材3を作製した。作製した装着補助材3を上着の胸ポケットに入れ、電子機器内蔵装着物2を胸ポケットの表側に配置し、表側磁石30を裏側磁石31に付着させることで、電子機器内蔵装着物2を胸ポケットに装着した。電子機器内蔵装着物2は全体として柔軟性を有し、胸ポケットの変形に応じて電子機器内蔵装着物2が胸ポケットに追従するため、ユーザは違和感無く装着することが出来た。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明に係る電子機器内蔵装着物は、ユーザに常時装着させる必要がある装着物等に有用であり、ユーザに違和感なく装着させ続けることが可能な電子機器内蔵装着物として有効である。
【符号の説明】
【0070】
1 薄型電子機器
10 フレキシブルプリント基板
11 表側シリコンカバー
12 裏側シリコンカバー
2 電子機器内蔵装着物
20 表側面材
21 裏側面材
【要約】      (修正有)
【課題】見の回り品に、ユーザが違和感なく装着し続けることが可能な電子機器内蔵装着物。
【解決手段】フレキシブルプリント基板10は、表面に電子部品10aが実装されている。表側シリコンカバー11は、シリコン樹脂製の薄板材であって、フレキシブルプリント基板10の電子部品10aの凸形状を雄型とし、当該雄型に対応した凹部の雌型11aを裏面に有し、雌型をフレキシブルプリント基板の雄型に合わせている。裏側シリコンカバー12は、シリコン樹脂製の面材であって、フレキシブルプリント基板10の裏面に対応した平坦面を表面に有し、平坦面をフレキシブルプリント基板10の裏面に合わせた状態で、周端部12bを表側シリコンカバー11の周端部11bに接合している。表側面材21は、表側シリコンカバー11を覆う。裏側面材22は、裏側シリコンカバー12を覆い、表側面材21に貼り付けられている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9