(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[床材の下地材]
本発明の床材の下地材1は、
図1に示すように、発泡樹脂層2と、前記発泡樹脂層2に積層された不織布であって、金属Mが蒸着された不織布3と、を有し、それらが積層接着されている。
各図において、不織布3に蒸着された金属Mを、薄い層で示しているが、蒸着金属Mは、不織布3を構成する各繊維に付着しているので、図示のような、明確な層を構成しているわけではないことに留意されたい。
【0011】
本発明の下地材1は、前記発泡樹脂層2と不織布3を有していることを条件として、他の層を有していてもよい。他の層としては、布地などの補強層などが挙げられる。
下地材1は、長尺状又は枚葉状でもよいが、施工性及び運搬性を考慮すると、長尺状であることが好ましい。長尺状の下地材1は、所要幅(例えば、900mm〜4000mm)の帯状に形成されたものであり、その長さは、例えば、10m〜300mである。
なお、本明細書において、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
また、各図の寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0012】
発泡樹脂層2と不織布3は、例えば、公知の接着剤を用いて一体化されている。図示例では、発泡樹脂層2の上面の上に、不織布3の下面が重ねられ、接着剤(図示せず)を介して接着されている。
不織布3は、その一方面側又は両面側から金属Mが蒸着されており、好ましくは、一方面側のみから金属Mが蒸着された不織布3が用いられる。
【0013】
一方面側のみから金属Mが蒸着された不織布3を用いた場合、その一方面(金属蒸着面)を下に向けて発泡樹脂層2に積層してもよいし、その一方面とは反対側の面(非蒸着面)を下に向けて発泡樹脂層2に積層してもよい。
図示例では、非蒸着面を発泡樹脂層2に重ねて不織布3が発泡樹脂層2に積層されている。
【0014】
なお、下地材1は、
図1に示すように、1層の発泡樹脂層2と1層の不織布3が積層された構造に限られず、例えば、1層又は2層以上の発泡樹脂層2と1層又は2層以上の不織布3が積層されていてもよい。
例えば、
図2に示す下地材1は、金属Mが蒸着された1層の不織布3の下面に、発泡樹脂層2が積層され、その不織布3の上面に、発泡樹脂層2が積層されている。
また、
図3に示す下地材1は、1層の発泡樹脂層2の下面に、金属Mが蒸着された不織布3が積層され、その発泡樹脂層2の上面に、金属Mが蒸着された不織布3が積層されている。
【0015】
(発泡樹脂層)
発泡樹脂層2は、公知の合成樹脂を化学的又は物理的に発泡させて得られるシート材からなる。発泡樹脂層2を構成する合成樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルなどが挙げられる。中でも、遮音性が高く、熱に強い性質を有することから、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。特に、軽量で、且つ、断熱性、緩衝性、成形性及び非吸水性に優れていることから、電子線架橋ポリオレフィンフォームを発泡樹脂層2として使用することが好ましい。
【0016】
発泡樹脂層2の発泡倍率は、特に限定されないが、10倍〜50倍が好ましく、20倍〜40倍がより好ましい。発泡倍率が小さすぎると、遮音性及び衝撃吸収性が低下するおそれがあり、発泡倍率が大きすぎると、強度及び耐久性が低下するおそれがある。
発泡樹脂層2の厚みは、特に限定されないが、1.0mm〜5.0mmが好ましく、1.5mm〜2.5mmがより好ましい。発泡樹脂層2の厚みが余りに大きいと、床材の上から荷重が加わったときに沈み込みが大きくなりすぎて、歩行感が悪くなり、一方、厚みが余りに小さいと、遮音性及び衝撃吸収性などが期待できない。
【0017】
(金属が蒸着された不織布)
金属Mが蒸着された不織布3は、不織布3と、不織布3の繊維に蒸着によって付着した金属Mと、を有する。
不織布3は、特に限定されず、メルトブロー法、スパンボンド法、紙すきなどの公知の方法で繊維を絡めて得られる不織布を用いることができる。繊維としては、例えば、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系、アクリル系などの1種又は2種以上の混合物からなる合成樹脂繊維;ビスコースレーヨン、キュプラアンモニウムレーヨンなどの再生繊維;綿、麻、シュロなどの天然繊維;などが挙げられる。前記繊維は、単一成分からなる繊維でもよいし、2種以上の混合物又は2種以上の成分の複合繊維でもよい。また、不織布は、1種の繊維、又は、2種以上の繊維からなるものでもよい。中でも、強度及び耐熱性に優れていることから、ポリエステル系不織布を用いることが好ましい。
【0018】
繊維は、不織布として一般に用いられている短繊維でもよく、或いは、長繊維でもよい。接合力強化により不織布強度が向上することから、長繊維を含む不織布が好ましく、特に、長繊維をニードルパンチ交絡法又は液体交絡法などで交絡させた不織布を用いることが好ましい。なお、前記短繊維の繊維長は、例えば、38mm〜150mmである。長繊維の繊維長は、長いほど優れた吸音率を示し、例えば、150mm以上である。
繊維の太さは、特に限定されないが、平均繊維径5μm〜50μmが好ましく、平均繊維径7μm〜20μmがより好ましい。繊維径が細すぎると、不織布を積層し難くなって生産性が低下する上、不織布が毛羽立つという別の問題を生じる場合がある。一方、繊維径が太すぎると、吸音性に対する寄与が小さくなり好ましくない。
また、不織布3の厚みは、特に限定されないが、0.1mm〜1.0mmが好ましく、0.1mm〜0.7mmがより好ましく、0.2mm〜0.6mmが特に好ましい。厚みが小さすぎると、衝撃吸収性や吸音性が低くなり、厚みが大きすぎると、層間で剥離が生じるなど強度が低下する場合がある。
【0019】
不織布の目付は、特に限定されないが、10g/m
2〜90g/m
2が好ましく、20g/m
2〜40g/m
2がより好ましい。目付が小さすぎると、衝撃吸収性や吸音性が低くなり、目付が大きすぎると、重量が重くなりすぎて取り扱い性が低下する上、不織布の界面剥離の可能性が生じるので好ましくない。
【0020】
不織布3に蒸着させる金属Mとしては、アルミニウム、銅、クロム、チタン、ステンレス、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ルテニウム、レニウム、パラジウム、銀、錫、オスミウム、プラチナ、金などが挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上(例えば、銅と亜鉛などの組み合わせ)を併用できる。中でも、本発明の効果を顕著に奏し、軽量でもあることから、前記金属Mは、アルミニウムを含むことが好ましく、さらに、アルミニウム単独がより好ましい。
不織布3に金属Mを蒸着させる方法は、特に限定されず、真空蒸着法などの公知の方法で実施できる。不織布3の一方面及び両面は、略鏡面状ではなく、絡み合った繊維が露出しているので、金属Mは、蒸着される面から露出している繊維及び蒸着される面の近傍に埋没している繊維の表面全体又は一部に付着すると考えられる。
金属Mの厚み(繊維に付着した金属Mの厚み)は、特に限定されないが、概ね、100Å〜1000Åの範囲内であることが好ましく、200Å〜500Åの範囲内がより好ましい。
【0021】
[床構造]
本発明の床構造10は、
図4に示すように、床面9と、床面9の上に敷設された前記下地材1と、下地材1の上に敷設された床材8と、を有する。
本発明の床構造10は、床面9上に、前記下地材1及び床材8を有していることを条件として、他の部材を有していてもよい。
【0022】
下地材1は、床面9上に載せるだけでもよいが、位置ずれ防止の観点から、公知の接着剤又は粘着剤(図示せず)を用いて床面9に接着されている。
同様に、床材8は、下地材1上に載せるだけでもよいが、位置ずれ防止の観点から、公知の接着剤又は粘着剤(図示せず)を用いて下地材1に接着されている。
図1に示すような下地材1の場合、床面9上に発泡樹脂層2を対面させて下地材1を敷設してもよいし、或いは、床面9上に不織布3を対面させて下地材1を敷設してもよい。
床材8の温度上昇を効果的に抑制できることから、
図4に示すように、床面9上に発泡樹脂層2を対面させ且つ床材8の下面に不織布3を対面させた状態で、下地材1が敷設されていることが好ましい。
【0023】
前記床構造は、例えば、床面9上又は下地材1の下面に接着剤又は粘着剤を塗布し、その床面9の上に下地材1を接着させる工程、その下地材1の上面又は床材8の下面に接着剤又は粘着剤を塗布し、その下地材1の上に床材8を接着させる工程、を経て得られる。
なお、接着剤などの接着性を向上させるために、床面9若しくは下地材1の下面、又は、下地材1の上面若しくは床材8の下面に、公知のプライマー処理を施しておいてもよい。
【0024】
前記床面9は、建築構造物の各種床面である。本発明の効果を顕在化させる意味で、下地材1が施工される床面9としては、屋上、通路、ルーフバルコニーなどの屋外に存する床面が好ましい。
床面9の材質は、特に限定されず、例えば、コンクリート、モルタル、金属、木、合成樹脂などが挙げられる。これらの床面上には、適宜なプラスター、又は、溶剤系若しくはエマルジョン系塗料などが塗装されていてもよい。
【0025】
接着剤又は粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂系接着剤又は粘着剤(ピールアップ型粘着剤)、ゴム系接着剤又は粘着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などが挙げられる。
中でも、ウレタン樹脂系接着剤は、耐久性、耐候性及び強度に優れ、屋外環境においても安定的であるので好ましい。
【0026】
(床材)
床材8は、従来公知の床材を使用できる。床材8としては、表面に合成樹脂層を配した合成樹脂製床材、表面に天然石を配した床材、表面に天然木を配した床材などが挙げられる。
図4の床構造は、床材8として、合成樹脂製床材を用いた例である。
この合成樹脂製床材8は、上から順に、表層81と、中間層82と、補強層83と、下層84と、を有する。なお、合成樹脂製床材8は、このような4層構造に限られず、適宜設計変更可能である。
例えば、前記中間層82及び/又は補強層83が設けられていなくてもよいし、或いは、表層81に凹凸が形成されてもよいし、或いは、表層81と中間層82間に、化粧印刷層が設けられていてもよいし、或いは、下層84の下に、さらに、別の裏面層が設けられていてもよい(いずれも図示せず)。
【0027】
前記裏面層としては、織布、不織布、ゴム層などが挙げられる。前記不織布としては、ポリエステル繊維などからなるスパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布などが挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、寸法安定性及び耐久性の点から、ポリエステル系のスパンボンド不織布を用いることが好ましい。
なお、スパンボンド不織布は、長繊維を重ね合わせて熱接着などにより固定した、繊維間に隙間のある不織布である。
【0028】
合成樹脂製床材8は、長尺状又は枚葉状(タイル状)でもよいが、施工性及び運搬性を考慮すると、長尺状であることが好ましい。長尺状の合成樹脂製床材8は、所要幅(例えば、900mm〜4000mm)の帯状に形成されたものであり、その長さは、例えば、10m〜300mである。
【0029】
表層81は、
床材8の表面部を保護するための層である。
表層81は、通常、合成樹脂を主成分とする塗膜又はシートが用いられる。
表層81には、紫外線吸収剤が含まれていることが好ましい。紫外線吸収剤が含まれていることにより、表層81よりも下方の層に紫外線が入射することを防止できるため、長期間に亘って、床材8の紫外線劣化を防止できる。
【0030】
前記合成樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−スチレン、ナイロン、ポリアセタール、アクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂の1種若しくは2種以上の混合物又は2種以上の共重合体、エポキシ樹脂などの反応型樹脂などが挙げられる。
これらの合成樹脂は、1種単独で又は2種以上を併用できる。
好ましくは、表層81を構成する主成分樹脂は、ポリ塩化ビニルである。ポリ塩化ビニルは、加工性に優れ、更に、経済的にも有利である。
【0031】
また、表層81を構成する合成樹脂として、樹脂チップを用いてもよい。
樹脂チップは、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂を主成分とする小さな塊である。樹脂チップは、例えば、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂、無機充填材、可塑剤、安定剤などを混合し、これをカレンダー成形又は押出成形などの任意の成形法によって厚み0.3mm〜3mm程度のシート状に成形した後、このシートを破砕機で粉砕し、篩い機で篩い分けすることによって得ることができる。
樹脂チップの大きさは、所望する意匠に応じて適宜設定されるが、直径1mm〜3mm程度が好ましい。
表層81は、透明又は不透明でもよい。表層81が透明であれば、これよりも下方に設けられた層を透視することができる。特に、表層81と中間層82の間に化粧印刷層が設けられている場合、表層81を透明とすることにより、床材8の上面から化粧印刷層の意匠を透視することができ、意匠性に優れた床構造10を構成できる。
【0032】
また、表層81の表面に凹凸が形成されている場合、凹部の深さ(凹凸の凸部と凹部の高さの差)は、例えば、0.05mm〜1.5mmであり、好ましくは、0.1mm〜1.0mmであり、より好ましくは、0.3mm〜0.9mmである。
表層81の表面に凹凸を形成する方法としては、金属ブラシ、サンドペーパー、サンドブラストなどを用いて表層81の表面を研磨する方法;エンボス加工、レーザー加工などで表層81の表面形状を変形させる方法;フレキソ印刷加工、グラビア印刷加工、樹脂コーティング加工、エッチング加工、微粒子の固着などによって表層81の表面に凸部を付着させる方法などが挙げられる。
【0033】
好ましくは、表層81の凹凸は、表層81の表面にエンボス加工を施すことにより形成される。エンボス加工によれば、所望の深さの凹部を容易に形成できる。
エンボス加工は、表層81の表面に、突出型部を有するエンボスロールを押圧することにより実施できる。
表層81の凹凸の凸部の形状は、特に限定されず、例えば、平面視円形状、平面視多角形状、平面視格子状、平面視不定形状などが挙げられる。凸部の配置は、規則的でもよいし、不規則的でもよい。
【0034】
表層81には、必要に応じて、ワックス剤が塗布されていてもよい。ワックスを塗布することによって、表面の耐久性や光沢性を向上できる。
【0035】
中間層82を構成する合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・スチレン、ナイロン、ポリアセタール、アクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂の1種若しくは2種以上の混合物又は2種以上の共重合体、エポキシ樹脂などの反応型樹脂などが挙げられる。
これらの合成樹脂は、1種単独で又は2種以上を併用できる。
好ましくは、中間層82を構成する主成分樹脂は、ポリ塩化ビニルである。ポリ塩化ビニルは、加工性に優れ、更に、経済的にも有利である。
【0036】
中間層82は、非発泡でもよいし、或いは、発泡されていてもよい。
中間層82が発泡樹脂である場合、その発泡倍率は特に限定されないが、好ましくは、1.5倍〜2倍である。発泡倍率が余りに低いと、実質的に衝撃吸収性や遮音性を付与するという発泡による効果を期待できず、一方、発泡倍率が余りに高いと、耐久性が低下し、長期間使用している間に靴底による傷付きが生じるおそれがある。
中間層82の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、0.1mm〜2.0mmであり、より好ましくは、0.3mm〜1.5mmであり、特に好ましくは、0.4mm〜1.0mmである。
【0037】
補強層83は、床材8の寸法安定性や剛性などの機械的強度を高めるために、必要に応じて設けられる層である。
補強層83としては、例えば、ガラスマットなどのガラス繊維不織布、ポリエステル不織布などの不織布;ガラスネットなどの編み物;基布などの織物;などが挙げられる。
また、補強層83として、前記不織布、編み物又は織物などに樹脂を含浸させた樹脂含浸シートを用いてもよい。
ガラス繊維製の補強層83は、温度による寸法変動が少なく且つ強度に優れるため、これを使用することにより、床材8の反りぐせの改善及び床材8の寸法変化の軽減を図ることができる。
補強層83の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1mm〜0.5mmが好ましい。
【0038】
下層84を構成する合成樹脂としては、上記中間層82で例示した合成樹脂を適宜用いることができる。好ましくは、下層84の主成分樹脂は、ポリ塩化ビニルである。
前記合成樹脂を含む組成物をシート状に成形することによって、下層84を形成できる。ポリ塩化ビニルを用いる場合、下層84は、通常、ペーストゾルのゲル化、又は、カレンダー成形若しくは押出成形などによって形成される。
下層84の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、0.2mm〜3.0mmであり、より好ましくは、1.0mm〜2.5mmであり、特に好ましくは、1.5mm〜2.0mmである。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を示し、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0040】
[実施例1]
金属が蒸着された不織布として、厚み0.2mm、目付30g/m
2のアルミニウム蒸着ポリエステル不織布(東洋紡績株式会社製の商品名「メタルギア」)を用いた。
この不織布の非蒸着面に、発泡樹脂層として、厚み2.0mmの電子線架橋ポリオレフィンフォーム(東レ株式会社製の商品名「ペフ20020 8A00」。発泡倍率20倍)をエチレン酢酸ビニル系接着剤を用いて接着した。
このようにして、
図1に示す層構成の下地材を作製した。なお、作製した下地材の大きさは、幅×長さ=950mm×20mであった。
【0041】
[実施例2]
発泡樹脂層として、厚み4.0mmの電子線架橋ポリオレフィンフォーム(同商品。発泡倍率20倍)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下地材を作製した。
【0042】
[実施例3]
金属が蒸着された不織布として、厚み0.4mm、目付60g/m
2のアルミニウム蒸着ポリエステル不織布(同商品)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下地材を作製した。
【0043】
[実施例4]
発泡樹脂層として、厚み4.0mmの電子線架橋ポリオレフィンフォーム(同商品。発泡倍率20倍)を用いたこと、及び、金属が蒸着された不織布として、厚み0.4mm、目付60g/m
2のアルミニウム蒸着ポリエステル不織布(同商品)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下地材を作製した。
【0044】
[比較例1]
金属が蒸着された不織布に代えて、金属が蒸着されていない、厚み0.2mm、目付30g/m
2のスパンボンドポリエステル製長繊維不織布(東洋紡績株式会社製の商品名「エクーレ3301A」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下地材を作製した。
【0045】
[比較例2]
金属が蒸着された不織布に代えて、金属が蒸着されていない、厚み0.2mm、目付30g/m
2のスパンボンドポリエステル製長繊維不織布(東洋紡績株式会社製の商品名「エクーレ3301A」)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、下地材を作製した。
【0046】
[比較例3]
金属が蒸着された不織布に代えて、金属が蒸着されていない、厚み0.4mm、目付60g/m
2のスパンボンドポリエステル製長繊維不織布(東洋紡績株式会社製の商品名「エクーレ3601A」)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、下地材を作製した。
【0047】
[比較例4]
金属が蒸着された不織布に代えて、金属が蒸着されていない、厚み0.4mm、目付60g/m
2のスパンボンドポリエステル製長繊維不織布(東洋紡績株式会社製の商品名「エクーレ3601A」)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、下地材を作製した。
【0048】
[温度試験]
各実施例及び各比較例で作製した下地材をそれぞれ用いて、試験的に、次のような床構造を構築した。
コンクリート製の床面上にウレタン樹脂系接着剤(東リ株式会社製の商品名「USセメント」)を塗布量360g/m
2の割合で塗布し、20分〜30分程度の十分なオープンタイムを取った。その後、各下地材を、発泡樹脂層を床面上に対面させて、床面上に接着した。
次に、下地材の上面となる不織布の上に、同ウレタン樹脂系接着剤を540g/m
2の割合で塗布し、十分なオープンタイムを取った。その後、床材としてポリ塩化ビニル製床シート(東リ株式会社製の商品名「NS800」)を、下地材の上に接着した。
このようにして床構造を作製した。
【0049】
各実施例及び各比較例の下地材を用いた床構造のそれぞれを、屋外(気温36℃、湿度25%)に置き、太陽光を各床構造の床材の上面に30分間当てた。
太陽光を当てる前と30分間太陽光を当てた後のそれぞれについて、床構造の断面部の温度を、赤外線サーモグラフィ装置(FLIR社製の商品名「i60」)を用いて測定した。温度の測定は、床材の断面部の幅10cmの領域を測定し、それらの平均値を採用した。
その結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1の結果から、金属蒸着の不織布を有する下地材を用いた実施例1乃至4は、金属非蒸着の不織布を用いた比較例1乃至4に比べ、温度上昇抑制効果が認められた。試験は比較的短時間で行ったが、さらに長時間太陽光を当てた場合には、実施例と比較例の間では、温度上昇抑制効果の差が顕著に表れると推定される。
このように実施例の下地材は、温度上昇抑制効果があるので、床材の色彩が熱によって変色する度合いを抑制できると推定される。
【0052】
[衝撃吸収性試験、遮音性試験及び耐候性試験]
次に、実施例1及び比較例1の下地材を用いた床構造について、衝撃吸収性、遮音性及び耐候性を確認するための試験を行った。
【0053】
衝撃吸収性試験は、JIS A 6519(体育館用鋼製床下地構成材)の床の硬さ試験に準じて測定した。その結果を、表2に示す。
なお、転倒によって床に激突した時の衝撃を緩和できる程度は、床材の硬さ試験(JIS A 6519)の一般体育館用データG値(転倒衝突時の衝撃加速度)によって比較できる。G値が小さいほど、衝撃吸収性に優れていると言える。例えば、高い衝撃吸収性が求められる体育館の床は、JIS規格では100G以下と規定されている。また、G値は、単なる床材表面のやわらかさや弾力性の評価とは異なる。
実施例1の床構造のG値は、126であるが、通路などに用いて転倒時の衝撃を吸収するためには十分な衝撃吸収性である。
なお、参考例として、下地材を省略した床構造(床面の上に直接床材を接着した床構造)を準備し、同様に遮音性試験を行ったところ、そのG値は、144であった。
【0054】
遮音性試験は、JIS A 1418(建築物遮音性の現場における軽量床衝撃音レベルの測定方法)に準じて測定した。その結果を、表2に示す。
L値が小さいほど遮音性に優れていると言える。各実施例の床構造のL値は、46であり、これは、低い衝撃音で階下の住民にも快適であり、また歩行感も良好であった。
なお、参考例として、下地材を省略した床構造(床面の上に直接床材を接着した床構造)を準備し、同様に遮音性試験を行ったところ、そのL値は、73であった。
【0055】
耐候性試験は、キセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製の商品名「SX75」)を用いて、床構造の床材の上面に光を4000時間照射した。照射中、3000時間照射時、3500時間照射時、4000時間照射後の各段階で、床材の上面を目視で観察し、その状態を下記の基準で評価した。
○:変色がなかった
△:若干の変色が見られた
×:変色が目立った
【0056】
【表2】
【0057】
なお、耐候性試験で用いたキセノンウェザーメーターによる4000時間の光の照射は、おおよそ屋外に5年間放置した場合に相当する照射量と考えられる。
表2の結果から、金属蒸着の不織布を有する下地材を用いた実施例1は、衝撃吸収性及び耐候性の双方に優れていることが判る。金属非蒸着の不織布を有する下地材を用いた比較例1は、耐候性に劣っていた。これは、金属非蒸着の不織布を用いた下地材では、熱上昇を十分に抑制できないためと推定される。